車両用エアシャッタ
【課題】 トラック、電車、バス等の人又は被輸送物が出入りするとともに、車内が空調されて車内と外気とで温度差のある車両の出入口の開口部に設けられ、簡単な構造で、人及び物の出入りを妨げず、空気の流通を効率良く遮断して、冷暖房効率、冷蔵・冷凍効率等の低下を招かない車両用エアシャッタを提供する。
【解決手段】 車内が空調されて車内と外気とで温度差のある車両の出入口の開口部に設けられ空気の流通を遮断するエアシャッタにおいて、開口部を挟んだ両側部に空気ダクト1a,1bを立設し、同両空気ダクトにおいて同一高さでは一方の空気ダクトに空気吹出口を設けるとともに他方の空気ダクトに空気吸込口を設けて互いに対峙させるとともに、ある一部の高さでは空気吹出口及び空気吸込口の配置を逆にして、開口部に車両の内部と外気とを遮断する水平方向の空気循環流f1、f2を形成する。
【解決手段】 車内が空調されて車内と外気とで温度差のある車両の出入口の開口部に設けられ空気の流通を遮断するエアシャッタにおいて、開口部を挟んだ両側部に空気ダクト1a,1bを立設し、同両空気ダクトにおいて同一高さでは一方の空気ダクトに空気吹出口を設けるとともに他方の空気ダクトに空気吸込口を設けて互いに対峙させるとともに、ある一部の高さでは空気吹出口及び空気吸込口の配置を逆にして、開口部に車両の内部と外気とを遮断する水平方向の空気循環流f1、f2を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック、電車、バス等の人又は被輸送物が出入りするとともに、車内が空調されて車内と外気とで温度差のある車両の出入口の開口部に設けられ、簡単な構造で、人及び物の出入りを妨げず、空気の流通を効率良く遮断して、冷暖房効率、冷蔵・冷凍効率等の低下を招かない車両用エアシャッタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来冷蔵・冷凍トラックなどにおいて、積荷の積載あるいは荷降ろし等の際に、荷台の出入口の開口部にトラック外の常温空気を開口部の下部から吹き出すことにより、開口部に常温風壁を形成することで、トラック外への冷気流出、トラック内への暖気流入を遮断していた。
あるいは場合によっては、トラック内の冷却空気を開口部の上部から下方に吹き降ろすことにより、開口部に冷風壁を形成する場合もあった。
【0003】
たとえば特許文献1(特開2000−205727号公報)には、送風機によって外気を冷凍車の後部冷凍室のドアの下方から上方に向かって吹き出す吹出ダクトを備え、同吹出ダクトから吹き出す空気流によりドア開口部にエアカーテンを形成するエアカーテン装置を具備した冷凍車が開示されている。また特許文献2(特開2004−44844号公報)には、冷凍車のエアカーテン装置として、保冷庫の後部開閉ドアの下方位置に複数の空気吹出口を列配置し、同開閉ドアの開放時に各空気吹出口から空気を上方へ吹き出すエアカーテン装置が開示されている。
【0004】
また従来暖房された電車の開閉扉には、天井に設置されたファンとヒータにより温風を吹き降ろす方式のエアカーテン装置、あるいは開閉ドアの両側部に吹き出し口を設けて車内の空気を吸って水平方向に吹き出し、開口部の中央でぶつける方式がある。
【0005】
【特許文献1】特開2000−205727号公報
【特許文献2】特開2004−44844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1又は2に開示されたエアカーテン装置においては、開口部上方で吹出空気の流速を維持するのが困難であり、また開閉扉の下部に空気吹出口を設置することは、ごみや結露水が溜まりやすいことから、衛生上問題があり、また空気吹出口がごみ等で詰まりやすくなり、故障しやすいという問題がある。
また開口部の上部から下方に吹き降ろす方式は、簡便な方式であるので、従来から広く用いられているが、冷蔵・冷凍トラックの場合あるいは電車の暖房に際しても、吹き出し空気の流速が最も低下する床面付近では遮断効率が低下し、安定したカーテン効果が得られ難いという問題がある。
【0007】
また開閉ドアの横に吹き出し口を設けて開口部の中央でぶつける方式は、吹き出した空気が中央部でぶつかり合うことから、乱れが発生し、冷気流出、暖気流入等を促進させる問題がある。その状態を避けるために、吹き出し風速を低くすることも考えられるが、空気壁を形成することが困難となり、冷気流出、暖気流入等を遮断することが困難になる。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、トラック、電車、バス等の人又は被輸送物が出入りするとともに、車内が空調されて車内と外気とで温度差のある車両の出入口の開口部に設けられ、簡単な構造で、人及び物の出入りを妨げず、空気の流通を効率良く遮断して、冷暖房効率、冷蔵・冷凍効率等の低下を招かない車両用エアシャッタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる目的を達成するもので、その手段は、車内が空調されて車内と外気とで温度差のある車両の出入口の開口部に設けられ空気の流通を遮断するエアシャッタにおいて、前記開口部を挟んだ両側部に空気ダクトを立設し、同両空気ダクトにおいて同一高さでは一方の空気ダクトに空気吹出口を設けるとともに他方の空気ダクトに空気吸込口を設けて互いに対峙させるとともに、ある一部の高さでは空気吹出口及び空気吸込口の配置を逆にして、前記開口部に前記車両の内部と外気とを遮断する水平方向の空気循環流を形成することを特徴とする。
【0010】
本発明においては、前記構成により、空気吸込口では、最初開口部付近の車内外の空気を取り入れつつ、同空気吸込口と同一高さで対峙する空気吹出口から空気を取り入れて、前記開口部に車内空気温度と車外空気温度との間の中間温度を有する独立した空気壁を形成する。これによって内外空気の出入りを高効率で遮断することができる。
本発明者等は、先に、建屋等の温度差のある出入口開口部で発生する建屋外への冷気流出、あるいは建屋内への暖気に対して、エアシャッタによる遮断方法を提案したが(特開2004−77113号公報)、本発明によるエア遮断効果は、前記先願発明のエア遮断効果と同等の遮断効果を奏することができる。
【0011】
かかる手段において、好ましくは、前記空気ダクトの空気吹出口及び空気吸込口を複数の空気循環流を形成するように配置する。
このように複数の空気循環流を構成することにより、各空気循環流の吸い込み流路が短縮されるとともに、吸い込み流の干渉の少ない滑らかな流路形状となる。これにより、空気循環流を形成する駆動手段、たとえば空気吹出ファンへの吸い込み抵抗が減少して、空気ダクト内における空気吹出ファンの吸い込み側の空気通路が狭いことによる吸い込み側静圧の上昇及び不均一化を抑制できるとともに、吹き出し流速のばらつきが小さくなり、吸い込み側静圧の上昇に伴なう循環風速・風量の低下を防止できる。
【0012】
また好ましくは、前記空気ダクトの内部に空気吹出ファンを設ける。これによって本発明のエアシャッタが車両の開口部付近で大きなスペースを占めることのないコンパクトな構造が可能であるとともに、余分な流路を排除した、流路抵抗が少なく、効率の良い循環流を形成できる。
【0013】
また好ましくは、前記空気吹出ファンを前記空気ダクトの内部で空気吹出方向が垂直方向に向くように設け、同空気吹出方向の上流側に空気吸込口を設け、同空気吹出方向の下流側に空気吹出口を設ける。
空気吹出ファンの上流には、静圧を高くしないため、ある一定距離以上の助走空間(たとえば150〜350mm以上)が必要であり、これ以下では空気吹出ファンの性能が発揮できない。従って空気ダクト内に空気吹出ファンを水平方向に空気を吹き出すように設置すると、空気ダクトの水平方向の空間幅を長く取る必要が生じるが、これに対し、前記構成により、空気ダクト内において空気の吹出方向を垂直方向に変えることができ、空気ダクトの水平方向の長さを短くしても(たとえば150mmに設定可能)、静圧が高くなることはない。従って空気ダクトの水平方向の長さを短く、コンパクトにできるため、車両の開口部面積を最大限広げることが可能となる。
【0014】
さらに好ましくは、前記空気吹出ファンを前記空気ダクトの下方に配置し、同空気吹出ファンと同空気ダクトとを連通管で連通させる。
これによって、空気ダクトの内部空間をさらに狭めることができ、空気ダクトの幅方向長さをさらに短くすることができる(たとえば100mm)。
【0015】
また好ましくは、前記空気ダクトを輸送用トラックの荷台の後部に設けられた開口部において前記荷台の内側又は開閉扉の内側に設け、同開閉扉を開放した状態で前記空気ダクトが前記開口部の両側で向き合うようにする。
これによって荷物の積み降ろしの際に、開口部に空気循環流を容易に形成することができる。
【0016】
さらに好ましくは、前記開閉扉を開放した状態で前記空気ダクトが前記開口部を遮らない位置まで移動可能としたことにより、開口部を最大限に広く開放しながら、空気ダクトがじゃまにならずに、荷物の積み下ろしが可能となる。
また好ましくは、前記空気ダクトを電車の開閉扉の内側に設けることにより、電車のスライドドアにおいて水平方向の空気循環流を形成でき、スライドドアが開放された時でも内外空気の出入りを高効率で遮断することができ、空調された電車内部の温度を所定の温度に維持できる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、開口部を挟んだ両側部に空気ダクトを立設し、同両空気ダクトにおいて同一高さでは一方の空気ダクトに空気吹出口を設けるとともに他方の空気ダクトに空気吸込口を設けて互いに対峙させるとともに、ある一部の高さでは空気吹出口及び空気吸込口の配置を逆にして、前記開口部に前記車両の内部と外気とを遮断する水平方向の空気循環流を形成することにより、空気吸込口では、最初開口部付近の車両内外の空気を取り入れつつ、対峙する空気吹出口から空気を取り入れて、前記開口部に車内空気温度と車外空気温度との間の中間温度を有する独立した空気壁を形成し、これによって内外空気の出入りを高効率で遮断することができる。
【0018】
また、本発明によれば、前記空気ダクトの空気吹出口及び空気吸込口を複数の空気循環流を形成するように配置することにより、空気循環流を形成する駆動手段、たとえば空気吹出ファンへの吸い込み抵抗が減少して、空気ダクト内における空気吹出ファンの吸い込み側の空気通路が狭いことによる吸い込み側静圧の上昇及び不均一化を抑制できるとともに、吹き出し流速のばらつきが小さくなり、吸い込み側静圧の上昇に伴なう循環風速・風量の低下を防止できる。
【0019】
また空気ダクトの構造を簡単かつ小型化できるため、車両の出入口の開口部を遮ることがなく、積荷の荷降ろしに支障をきたすことがないため、輸送トラック等でエアシャッタを稼動しながら、荷物の積載、荷降ろしを支障をきたすことなく行なうことができる。また空調された電車のスライドドアに設置して、スライドドアの開放時に効果的に外気を遮断できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1の(a)は、本発明の第1実施例に係る立面断面図、(b)は前記第1実施例の平面断面図、図2は、図1の(a)の左側空気ダクトの拡大図、図3の(a)は、本発明の第2実施例に係る立面断面図、(b)は前記第2実施例の平面断面図、図4は、図3の(a)の左側空気ダクトの拡大図、図5の(a)は、本発明の第3実施例に係る立面断面図、(b)は前記第3実施例の平面断面図、図6は、図5の(a)の左側空気ダクトの拡大図である。
【0021】
図7から図10は、本発明を冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部ドアに適用した第4実施例に係る斜視図、図11は、本発明を冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部ドアに適用した第5実施例に係る斜視図、図12は前記第5実施例に係る固定板の立面図、図13〜17は、本発明を冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部ドアに適用した第6実施例に係る斜視図、図18は、本発明を冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部ドアに適用した第7実施例に係る斜視図、図19は、前記第7実施例において、冷凍冷蔵トラックをトラックブースに設置した場合を示す縦断面図、図20は、本発明を電車のスライドドアに適用した第8実施例に係る立面図、図21は、前記第8実施例に係る平面図、図22の(a)は図21中のA−A線に沿う断面図、(b)は図21中のB−B線に沿う断面図である。
【0022】
本発明の第1実施例を示す図1及び図2において、1a及び1bは、図示しない冷蔵トラックの後部荷台開口部の両側部に配置された空気ダクトで、仕切り4で上下空間に仕切られ、これら上下空間で2つの循環流f1及びf2が形成されるように、複数の空気吹出ファン2が設置されている。空気吹出ファン2は、空気ダクト1a及び1b両者間で、同一高さで2台配置されないように、互い違いに配置され、空気吹出ファン2が配置される吹き出し側に対して、必ず吸い込み側が対峙するように構成されている。
また図2に示すように、空気吹出ファン2の空気吹出側の風向板3には、吹出流速を増速して、空気流を他の空気ダクトに対峙するように設けられた空気吸込口まで一定の流速を維持するように絞り部3aが設けられている。たとえば空気吹出ファンユニットの幅が200mmに対し絞り部3aの開放幅は100mmとする。
【0023】
第1実施例において、空気吹出ファン2を稼動することにより、冷蔵トラックの開口部に2つの循環空気流f1及びf2が形成される。これら循環空気流は、最初トラック荷台内外の開口部付近の温度差のある空気流を取り込みつつ、吸い込み側の空気を取り入れて、冷蔵トラック荷台内外の温度の中間に当たる温度の独立した循環空気流を形成する。たとえば荷台内の温度が−20℃で、外気温が30℃の場合、約10℃の循環流となる。
【0024】
第1実施例によれば、水平方向の独立した循環流を形成することにより外気を高効率で遮断することができる。また空気吹出ファン2が空気ダクト1a,1b内に内蔵されているので、装置のコンパクト化が達成できる。
また風向板3に絞り部3aを有するので、空気吹出ファン2の動力を強化することなく、循環流を増速できて、循環流による遮断効果を低下させることがないという利点をもつ。
【0025】
本発明の第2実施例を示す図3及び図4において、空気ダクト11a及び11bでは、仕切り14により内部空間が多分割され、それぞれの空間に1台の空気吹出ファン12が設置され、それらの吹き出し口は、空気ダクト11aでは下向きに配置され、空気ダクト11bでは上向きに配置され、また風向板13が空気吹出ファン12の下流側に分散配置されており、これによって垂直方向に並んで多数の循環流f1〜f5が形成されるようになっている。なお風向板13の絞り部13a等他の構成は前記第1実施例と同一である。
【0026】
第2実施例において、垂直方向に並んで多数の循環流が形成されるため、各空気循環流の吸い込み流路がさらに短縮されるとともに、吸い込み流の干渉の少ない滑らかな流路形状となる。これにより、空気吹出ファン12への吸い込み抵抗が減少して、空気ダクト内における空気吹出ファン12の吸い込み側の空気通路が狭いことによる吸い込み側静圧の上昇及び不均一化を抑制できるとともに、吹き出し流速のばらつきが小さくなり、吸い込み側静圧の上昇に伴なう循環風速・風量の低下を防止できる。
【0027】
さらに空気吹出ファン12が空気ダクト11a,11b内で吹き出し方向が垂直方向になるように配置されているため、空気ダクト11a,11b内で水平方向に、静圧を高くしないための助走区間を確保する必要がなくなり(たとえば150mm以下でよい)、そのため空気ダクトの幅方向長さを大幅に短縮することができる。
このことは、後部荷台の横幅に制限があり、開口部が必ずしも広くはない冷蔵トラック等の車両にとって大きな利点となる。これによって同開口部をあまり遮断することなく、本発明の空気ダクトを設置できる。
【0028】
また本発明の第3実施例を示す図5及び図6において、空気ダクト21a,21bは、内部空間に吹出空間25と吸込空間26とを仕切る仕切り24が設けられているとともに、空気ダクトの下部に空気吹出ファン22が設置され、空気吹出ファン22の吹出路25aが吹出空間25に連通しているとともに、空気吹出ファン22の吸込路26aが吸込空間26に連通している。
なお風向板23の絞り部23a他の構成は前記第1実施例と同一である。
【0029】
第3実施例において、空気吹出ファン22を空気ダクトの内部から空気ダクトの下部に移動させたことにより、空気ダクト21a,21bの水平方向幅をさらに短縮することができ(たとえば100mm)、このため荷物の積載、荷降ろし等の際、荷台の開口部をさらに大きく開放することができる。
【0030】
図7〜図10は本発明の第4実施例を示す。第4実施例は、冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部ドアに本発明を適用した例である。すなわち冷蔵冷凍トラックのコンテナ31の後部ドア32a,32bの内側に空気ダクト33a,33bを取り付けている。なお空気吹出ファンの図示は省略されている。
図7は後部ドア32a,32bが閉まった状態(走行中又は待機中の保冷)で、本エアシャッタは停止している状態を示す。図8は後部ドアを90度開けた状態を示し、本エアシャッタはまだ停止状態である。図9は、後部ドアを180度開いた状態を示し、この状態では本エアシャッタはまだ停止状態であるが、図10は、180度開いた後部ドアに対し、ドアの内側にヒンジされた空気ダクト33a,33bを両者の吹出口及び吸込口が向かい合わせになるように回動し、後部ドアの内面に固定した後、後部ドア32a,32bの内側に固定し、本エアシャッタが稼動を開始する。
本実施例によれば、空気ダクトがコンテナ31の後部開口部を遮ることがないため、荷物の積み降ろしのじゃまになることがない。また後部ドアの内側に取り付けられた空気ダクトを稼動位置まで設置することが容易である。
【0031】
図11は本発明の第5実施例を示し、空気ダクト43a,43bが後部ドア42a,42bが取り付けられたヒンジ軸45a,45bを共有し、同ヒンジ軸を中心に回動可能に後部ドア42a,42bの内側に取り付けられているので、後部ドア42a,42bを開いた状態で、空気ダクト43a,43bを稼動可能な位置に設置する場合、下部に固定板44a,44bを設置し、その上に空気ダクトを固定する。
【0032】
固定板44a,44bは、後部ドア42a,42bの内側に2つ折り式に折りたたんだ状態で収納されており、回動可能にヒンジ支持されており、本エアシャッタの稼動時、後部ドアを開放した状態で外側に回動し、折りたたみ部を広げ、荷台の床面と同じ高さに水平に固定し、その上に空気ダクトを載せ、固定する。
図12は、固定板44aの拡大図であり、コンテナ41の床面と同じ高さの水平なヒンジ軸46aで、後部ドア42aの内側に回動可能に収納されており、また2つ割り式にヒンジ軸48aで結合されている片方の折りたたみ部49aがヒンジ軸48aを中心に外側に開くことができるようになっている。47aは固定板に設けられた溝であり、この溝内を空気ダクトの下部に設けられた図示しない車輪又はコロ50aが回動することにより、空気ダクト43aが固定板44a上を移動でき、図11に図示された稼動位置で固定される。
本実施例によれば、空気ダクトが後部ドアの内側に同じヒンジ軸で回動可能に支持されているので、稼動位置への引き出しが楽であり、かつ稼動時には空気ダクトを固定板上に強固に固定して稼動させることができる。
【0033】
次に図13〜図17は、空気ダクトが冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部の内面に取り付けられている場合の本発明の第6実施例を示す。図13は、後部ドア52a,52bが閉まった状態(走行中又は待機中の保冷)で、本エアシャッタは停止している状態を示す。図14は、後部ドアを開けた状態を示し、積荷が少量の場合は、この状態で積荷を降ろす。この場合後部ドアを開けると同時に本エアシャッタを起動する。
【0034】
積荷が多量の場合は、図15に示すように、本エアシャッタを稼動しながら、空気ダクト53a,53bを固定板54a,54b上に移動させる。まず図16に示すように、2つ折りの固定板を外側に開き、その後空気ダクト53a,53bを固定板54a,54b上に載せ、固定板54a,54b上を移動させて、図17に示す位置で固定する。
このように空気ダクトを移動させ、図17に示す位置で固定することにより、コンテナ51の後部開口部を最大限開放させることができ、積荷が多量な場合でも荷降ろしに支障をきたすことがない。また空気ダクトをコンテナの内面に固定しているため、後部ドアの開放と同時に本エアシャッタの稼動を開始することができる。
【0035】
図18〜19は、運送用トラックをトラックブースに接続して荷物を積載あるいは降ろす場合の本発明の第7実施例を示し、この場合は、図19に示すように、後部ドア62a,62bをトラックブース65の入り口に挿入し、トラックブース65の入り口とトラックのコンテナ61との隙間をビニールカーテン又はエアシェルター等の遮蔽手段66で密封した状態で、荷物の荷降ろし又は積載を行うため、後部ドア62a,62bを全開することができない。この場合は、図18に示す空気ダクト63a,63bの位置で本エアシャッタを稼動させる。
【0036】
次に本発明のエアシャッタを車内が空調された電車のスライドドアに適用した第8実施例を図20〜22に基づいて説明する。
図20〜22において、電車の自動スライドドア72a,72bの車内側でかつスライドドア72a,72bの両側部に空気ダクト73a,73bが設けられている。同空気ダクトは、風向板74aが設けられている部分が吹出空間74を形成し、図示しない空気吹出ファンが風向板74aの上流側に設けられている。吹出空間74に同一高さで対峙した部分が吸込空間75であり、このような配置により、空気循環流Fが空気ダクト73a,73b間で形成される。
76は、座席77と空気ダクト73a,73bとの間を仕切る風避け板であり、78は座席77の上方に設置された窓である。
【0037】
第8実施例において、スライドドア72a,72bの内側で、空気ダクト73a,73b間に最初周囲の空気を取り入れつつ、独立した空気循環流Fが形成されるので、スライドドア72a,72bが開放された時においても、電車内外の空気を完全に遮断でき、電車内の空調温度を維持できる。その際座席77と空気ダクト73a,73bとの間を風避け板76で仕切っているので、座席77に座った乗客に空気循環流Fが当たることはない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、トラック、電車、バス等の人又は輸送物が出入りするとともに、車内が空調されて車内と外気とで温度差のある車両の出入口の開口部に設けられ、簡単な構造で、人及び物の出入りを妨げず、空気の流通を効率良く遮断して、冷暖房効率、冷蔵・冷凍効率等の低下を招かない車両用エアシャッタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】(a)は、本発明の第1実施例に係る立面断面図、(b)は前記第1実施例の平面断面図である。
【図2】図1の左側空気ダクト1aの拡大断面図である。
【図3】(a)は、本発明の第2実施例に係る立面断面図、(b)は前記第2実施例の平面断面図である。
【図4】図3の左側空気ダクト11aの拡大断面図である。
【図5】(a)は、本発明の第3実施例に係る立面断面図、(b)は前記第3実施例の平面断面図である。
【図6】図5の左側空気ダクト21aの拡大図である。
【図7】本発明を冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部ドアに適用した第4実施例に係る斜視図である。
【図8】前記第4実施例に係る斜視図である。
【図9】前記第4実施例に係る斜視図である。
【図10】前記第4実施例に係る斜視図である。
【図11】本発明を冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部ドアに適用した第5実施例に係る斜視図である。
【図12】前記第5実施例に係る固定板の立面図である。
【図13】本発明を冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部ドアに適用した第6実施例に係る斜視図である。
【図14】前記第6実施例に係る斜視図である。
【図15】前記第6実施例に係る斜視図である。
【図16】前記第6実施例に係る斜視図である。
【図17】前記第6実施例に係る斜視図である。
【図18】本発明を冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部ドアに適用した第7実施例に係る斜視図である。
【図19】前記第7実施例において、冷凍冷蔵トラックをトラックブースに設置した場合を示す縦断面図である。
【図20】本発明を電車のスライドドアに適用した第8実施例に係る立面図である。
【図21】前記第8実施例に係る平面図である。
【図22】(a)は図21中のA−A線に沿う断面図、(b)は図21中のB−B線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1a,1b,11a,11b,21a,21b,33a,33b,43a,43b,53a,53b,63a,63b,73a,73b 空気ダクト
2,12,22 空気吹出ファン
3,13,23,74a 風向板
3a,13a,23a 絞り部
4,14,24 仕切り
25,74 吹出空間
25a 吹出路
26,75 吸込空間
26a 吸込路
31,41,51,61 コンテナ
32a,32b,42a,42b,52a,52b,62a,62b 後部ドア
44a,44b,54a,54b,64a,64b 固定板
45a,45b,46a,48a ヒンジ軸
47a 溝
49a 折りたたみ部
50a 車輪又はコロ
65 トラックブース
72a,72b 自動スライドドア
76 風避け板
77 座席
78 窓
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック、電車、バス等の人又は被輸送物が出入りするとともに、車内が空調されて車内と外気とで温度差のある車両の出入口の開口部に設けられ、簡単な構造で、人及び物の出入りを妨げず、空気の流通を効率良く遮断して、冷暖房効率、冷蔵・冷凍効率等の低下を招かない車両用エアシャッタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来冷蔵・冷凍トラックなどにおいて、積荷の積載あるいは荷降ろし等の際に、荷台の出入口の開口部にトラック外の常温空気を開口部の下部から吹き出すことにより、開口部に常温風壁を形成することで、トラック外への冷気流出、トラック内への暖気流入を遮断していた。
あるいは場合によっては、トラック内の冷却空気を開口部の上部から下方に吹き降ろすことにより、開口部に冷風壁を形成する場合もあった。
【0003】
たとえば特許文献1(特開2000−205727号公報)には、送風機によって外気を冷凍車の後部冷凍室のドアの下方から上方に向かって吹き出す吹出ダクトを備え、同吹出ダクトから吹き出す空気流によりドア開口部にエアカーテンを形成するエアカーテン装置を具備した冷凍車が開示されている。また特許文献2(特開2004−44844号公報)には、冷凍車のエアカーテン装置として、保冷庫の後部開閉ドアの下方位置に複数の空気吹出口を列配置し、同開閉ドアの開放時に各空気吹出口から空気を上方へ吹き出すエアカーテン装置が開示されている。
【0004】
また従来暖房された電車の開閉扉には、天井に設置されたファンとヒータにより温風を吹き降ろす方式のエアカーテン装置、あるいは開閉ドアの両側部に吹き出し口を設けて車内の空気を吸って水平方向に吹き出し、開口部の中央でぶつける方式がある。
【0005】
【特許文献1】特開2000−205727号公報
【特許文献2】特開2004−44844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1又は2に開示されたエアカーテン装置においては、開口部上方で吹出空気の流速を維持するのが困難であり、また開閉扉の下部に空気吹出口を設置することは、ごみや結露水が溜まりやすいことから、衛生上問題があり、また空気吹出口がごみ等で詰まりやすくなり、故障しやすいという問題がある。
また開口部の上部から下方に吹き降ろす方式は、簡便な方式であるので、従来から広く用いられているが、冷蔵・冷凍トラックの場合あるいは電車の暖房に際しても、吹き出し空気の流速が最も低下する床面付近では遮断効率が低下し、安定したカーテン効果が得られ難いという問題がある。
【0007】
また開閉ドアの横に吹き出し口を設けて開口部の中央でぶつける方式は、吹き出した空気が中央部でぶつかり合うことから、乱れが発生し、冷気流出、暖気流入等を促進させる問題がある。その状態を避けるために、吹き出し風速を低くすることも考えられるが、空気壁を形成することが困難となり、冷気流出、暖気流入等を遮断することが困難になる。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、トラック、電車、バス等の人又は被輸送物が出入りするとともに、車内が空調されて車内と外気とで温度差のある車両の出入口の開口部に設けられ、簡単な構造で、人及び物の出入りを妨げず、空気の流通を効率良く遮断して、冷暖房効率、冷蔵・冷凍効率等の低下を招かない車両用エアシャッタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる目的を達成するもので、その手段は、車内が空調されて車内と外気とで温度差のある車両の出入口の開口部に設けられ空気の流通を遮断するエアシャッタにおいて、前記開口部を挟んだ両側部に空気ダクトを立設し、同両空気ダクトにおいて同一高さでは一方の空気ダクトに空気吹出口を設けるとともに他方の空気ダクトに空気吸込口を設けて互いに対峙させるとともに、ある一部の高さでは空気吹出口及び空気吸込口の配置を逆にして、前記開口部に前記車両の内部と外気とを遮断する水平方向の空気循環流を形成することを特徴とする。
【0010】
本発明においては、前記構成により、空気吸込口では、最初開口部付近の車内外の空気を取り入れつつ、同空気吸込口と同一高さで対峙する空気吹出口から空気を取り入れて、前記開口部に車内空気温度と車外空気温度との間の中間温度を有する独立した空気壁を形成する。これによって内外空気の出入りを高効率で遮断することができる。
本発明者等は、先に、建屋等の温度差のある出入口開口部で発生する建屋外への冷気流出、あるいは建屋内への暖気に対して、エアシャッタによる遮断方法を提案したが(特開2004−77113号公報)、本発明によるエア遮断効果は、前記先願発明のエア遮断効果と同等の遮断効果を奏することができる。
【0011】
かかる手段において、好ましくは、前記空気ダクトの空気吹出口及び空気吸込口を複数の空気循環流を形成するように配置する。
このように複数の空気循環流を構成することにより、各空気循環流の吸い込み流路が短縮されるとともに、吸い込み流の干渉の少ない滑らかな流路形状となる。これにより、空気循環流を形成する駆動手段、たとえば空気吹出ファンへの吸い込み抵抗が減少して、空気ダクト内における空気吹出ファンの吸い込み側の空気通路が狭いことによる吸い込み側静圧の上昇及び不均一化を抑制できるとともに、吹き出し流速のばらつきが小さくなり、吸い込み側静圧の上昇に伴なう循環風速・風量の低下を防止できる。
【0012】
また好ましくは、前記空気ダクトの内部に空気吹出ファンを設ける。これによって本発明のエアシャッタが車両の開口部付近で大きなスペースを占めることのないコンパクトな構造が可能であるとともに、余分な流路を排除した、流路抵抗が少なく、効率の良い循環流を形成できる。
【0013】
また好ましくは、前記空気吹出ファンを前記空気ダクトの内部で空気吹出方向が垂直方向に向くように設け、同空気吹出方向の上流側に空気吸込口を設け、同空気吹出方向の下流側に空気吹出口を設ける。
空気吹出ファンの上流には、静圧を高くしないため、ある一定距離以上の助走空間(たとえば150〜350mm以上)が必要であり、これ以下では空気吹出ファンの性能が発揮できない。従って空気ダクト内に空気吹出ファンを水平方向に空気を吹き出すように設置すると、空気ダクトの水平方向の空間幅を長く取る必要が生じるが、これに対し、前記構成により、空気ダクト内において空気の吹出方向を垂直方向に変えることができ、空気ダクトの水平方向の長さを短くしても(たとえば150mmに設定可能)、静圧が高くなることはない。従って空気ダクトの水平方向の長さを短く、コンパクトにできるため、車両の開口部面積を最大限広げることが可能となる。
【0014】
さらに好ましくは、前記空気吹出ファンを前記空気ダクトの下方に配置し、同空気吹出ファンと同空気ダクトとを連通管で連通させる。
これによって、空気ダクトの内部空間をさらに狭めることができ、空気ダクトの幅方向長さをさらに短くすることができる(たとえば100mm)。
【0015】
また好ましくは、前記空気ダクトを輸送用トラックの荷台の後部に設けられた開口部において前記荷台の内側又は開閉扉の内側に設け、同開閉扉を開放した状態で前記空気ダクトが前記開口部の両側で向き合うようにする。
これによって荷物の積み降ろしの際に、開口部に空気循環流を容易に形成することができる。
【0016】
さらに好ましくは、前記開閉扉を開放した状態で前記空気ダクトが前記開口部を遮らない位置まで移動可能としたことにより、開口部を最大限に広く開放しながら、空気ダクトがじゃまにならずに、荷物の積み下ろしが可能となる。
また好ましくは、前記空気ダクトを電車の開閉扉の内側に設けることにより、電車のスライドドアにおいて水平方向の空気循環流を形成でき、スライドドアが開放された時でも内外空気の出入りを高効率で遮断することができ、空調された電車内部の温度を所定の温度に維持できる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、開口部を挟んだ両側部に空気ダクトを立設し、同両空気ダクトにおいて同一高さでは一方の空気ダクトに空気吹出口を設けるとともに他方の空気ダクトに空気吸込口を設けて互いに対峙させるとともに、ある一部の高さでは空気吹出口及び空気吸込口の配置を逆にして、前記開口部に前記車両の内部と外気とを遮断する水平方向の空気循環流を形成することにより、空気吸込口では、最初開口部付近の車両内外の空気を取り入れつつ、対峙する空気吹出口から空気を取り入れて、前記開口部に車内空気温度と車外空気温度との間の中間温度を有する独立した空気壁を形成し、これによって内外空気の出入りを高効率で遮断することができる。
【0018】
また、本発明によれば、前記空気ダクトの空気吹出口及び空気吸込口を複数の空気循環流を形成するように配置することにより、空気循環流を形成する駆動手段、たとえば空気吹出ファンへの吸い込み抵抗が減少して、空気ダクト内における空気吹出ファンの吸い込み側の空気通路が狭いことによる吸い込み側静圧の上昇及び不均一化を抑制できるとともに、吹き出し流速のばらつきが小さくなり、吸い込み側静圧の上昇に伴なう循環風速・風量の低下を防止できる。
【0019】
また空気ダクトの構造を簡単かつ小型化できるため、車両の出入口の開口部を遮ることがなく、積荷の荷降ろしに支障をきたすことがないため、輸送トラック等でエアシャッタを稼動しながら、荷物の積載、荷降ろしを支障をきたすことなく行なうことができる。また空調された電車のスライドドアに設置して、スライドドアの開放時に効果的に外気を遮断できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1の(a)は、本発明の第1実施例に係る立面断面図、(b)は前記第1実施例の平面断面図、図2は、図1の(a)の左側空気ダクトの拡大図、図3の(a)は、本発明の第2実施例に係る立面断面図、(b)は前記第2実施例の平面断面図、図4は、図3の(a)の左側空気ダクトの拡大図、図5の(a)は、本発明の第3実施例に係る立面断面図、(b)は前記第3実施例の平面断面図、図6は、図5の(a)の左側空気ダクトの拡大図である。
【0021】
図7から図10は、本発明を冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部ドアに適用した第4実施例に係る斜視図、図11は、本発明を冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部ドアに適用した第5実施例に係る斜視図、図12は前記第5実施例に係る固定板の立面図、図13〜17は、本発明を冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部ドアに適用した第6実施例に係る斜視図、図18は、本発明を冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部ドアに適用した第7実施例に係る斜視図、図19は、前記第7実施例において、冷凍冷蔵トラックをトラックブースに設置した場合を示す縦断面図、図20は、本発明を電車のスライドドアに適用した第8実施例に係る立面図、図21は、前記第8実施例に係る平面図、図22の(a)は図21中のA−A線に沿う断面図、(b)は図21中のB−B線に沿う断面図である。
【0022】
本発明の第1実施例を示す図1及び図2において、1a及び1bは、図示しない冷蔵トラックの後部荷台開口部の両側部に配置された空気ダクトで、仕切り4で上下空間に仕切られ、これら上下空間で2つの循環流f1及びf2が形成されるように、複数の空気吹出ファン2が設置されている。空気吹出ファン2は、空気ダクト1a及び1b両者間で、同一高さで2台配置されないように、互い違いに配置され、空気吹出ファン2が配置される吹き出し側に対して、必ず吸い込み側が対峙するように構成されている。
また図2に示すように、空気吹出ファン2の空気吹出側の風向板3には、吹出流速を増速して、空気流を他の空気ダクトに対峙するように設けられた空気吸込口まで一定の流速を維持するように絞り部3aが設けられている。たとえば空気吹出ファンユニットの幅が200mmに対し絞り部3aの開放幅は100mmとする。
【0023】
第1実施例において、空気吹出ファン2を稼動することにより、冷蔵トラックの開口部に2つの循環空気流f1及びf2が形成される。これら循環空気流は、最初トラック荷台内外の開口部付近の温度差のある空気流を取り込みつつ、吸い込み側の空気を取り入れて、冷蔵トラック荷台内外の温度の中間に当たる温度の独立した循環空気流を形成する。たとえば荷台内の温度が−20℃で、外気温が30℃の場合、約10℃の循環流となる。
【0024】
第1実施例によれば、水平方向の独立した循環流を形成することにより外気を高効率で遮断することができる。また空気吹出ファン2が空気ダクト1a,1b内に内蔵されているので、装置のコンパクト化が達成できる。
また風向板3に絞り部3aを有するので、空気吹出ファン2の動力を強化することなく、循環流を増速できて、循環流による遮断効果を低下させることがないという利点をもつ。
【0025】
本発明の第2実施例を示す図3及び図4において、空気ダクト11a及び11bでは、仕切り14により内部空間が多分割され、それぞれの空間に1台の空気吹出ファン12が設置され、それらの吹き出し口は、空気ダクト11aでは下向きに配置され、空気ダクト11bでは上向きに配置され、また風向板13が空気吹出ファン12の下流側に分散配置されており、これによって垂直方向に並んで多数の循環流f1〜f5が形成されるようになっている。なお風向板13の絞り部13a等他の構成は前記第1実施例と同一である。
【0026】
第2実施例において、垂直方向に並んで多数の循環流が形成されるため、各空気循環流の吸い込み流路がさらに短縮されるとともに、吸い込み流の干渉の少ない滑らかな流路形状となる。これにより、空気吹出ファン12への吸い込み抵抗が減少して、空気ダクト内における空気吹出ファン12の吸い込み側の空気通路が狭いことによる吸い込み側静圧の上昇及び不均一化を抑制できるとともに、吹き出し流速のばらつきが小さくなり、吸い込み側静圧の上昇に伴なう循環風速・風量の低下を防止できる。
【0027】
さらに空気吹出ファン12が空気ダクト11a,11b内で吹き出し方向が垂直方向になるように配置されているため、空気ダクト11a,11b内で水平方向に、静圧を高くしないための助走区間を確保する必要がなくなり(たとえば150mm以下でよい)、そのため空気ダクトの幅方向長さを大幅に短縮することができる。
このことは、後部荷台の横幅に制限があり、開口部が必ずしも広くはない冷蔵トラック等の車両にとって大きな利点となる。これによって同開口部をあまり遮断することなく、本発明の空気ダクトを設置できる。
【0028】
また本発明の第3実施例を示す図5及び図6において、空気ダクト21a,21bは、内部空間に吹出空間25と吸込空間26とを仕切る仕切り24が設けられているとともに、空気ダクトの下部に空気吹出ファン22が設置され、空気吹出ファン22の吹出路25aが吹出空間25に連通しているとともに、空気吹出ファン22の吸込路26aが吸込空間26に連通している。
なお風向板23の絞り部23a他の構成は前記第1実施例と同一である。
【0029】
第3実施例において、空気吹出ファン22を空気ダクトの内部から空気ダクトの下部に移動させたことにより、空気ダクト21a,21bの水平方向幅をさらに短縮することができ(たとえば100mm)、このため荷物の積載、荷降ろし等の際、荷台の開口部をさらに大きく開放することができる。
【0030】
図7〜図10は本発明の第4実施例を示す。第4実施例は、冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部ドアに本発明を適用した例である。すなわち冷蔵冷凍トラックのコンテナ31の後部ドア32a,32bの内側に空気ダクト33a,33bを取り付けている。なお空気吹出ファンの図示は省略されている。
図7は後部ドア32a,32bが閉まった状態(走行中又は待機中の保冷)で、本エアシャッタは停止している状態を示す。図8は後部ドアを90度開けた状態を示し、本エアシャッタはまだ停止状態である。図9は、後部ドアを180度開いた状態を示し、この状態では本エアシャッタはまだ停止状態であるが、図10は、180度開いた後部ドアに対し、ドアの内側にヒンジされた空気ダクト33a,33bを両者の吹出口及び吸込口が向かい合わせになるように回動し、後部ドアの内面に固定した後、後部ドア32a,32bの内側に固定し、本エアシャッタが稼動を開始する。
本実施例によれば、空気ダクトがコンテナ31の後部開口部を遮ることがないため、荷物の積み降ろしのじゃまになることがない。また後部ドアの内側に取り付けられた空気ダクトを稼動位置まで設置することが容易である。
【0031】
図11は本発明の第5実施例を示し、空気ダクト43a,43bが後部ドア42a,42bが取り付けられたヒンジ軸45a,45bを共有し、同ヒンジ軸を中心に回動可能に後部ドア42a,42bの内側に取り付けられているので、後部ドア42a,42bを開いた状態で、空気ダクト43a,43bを稼動可能な位置に設置する場合、下部に固定板44a,44bを設置し、その上に空気ダクトを固定する。
【0032】
固定板44a,44bは、後部ドア42a,42bの内側に2つ折り式に折りたたんだ状態で収納されており、回動可能にヒンジ支持されており、本エアシャッタの稼動時、後部ドアを開放した状態で外側に回動し、折りたたみ部を広げ、荷台の床面と同じ高さに水平に固定し、その上に空気ダクトを載せ、固定する。
図12は、固定板44aの拡大図であり、コンテナ41の床面と同じ高さの水平なヒンジ軸46aで、後部ドア42aの内側に回動可能に収納されており、また2つ割り式にヒンジ軸48aで結合されている片方の折りたたみ部49aがヒンジ軸48aを中心に外側に開くことができるようになっている。47aは固定板に設けられた溝であり、この溝内を空気ダクトの下部に設けられた図示しない車輪又はコロ50aが回動することにより、空気ダクト43aが固定板44a上を移動でき、図11に図示された稼動位置で固定される。
本実施例によれば、空気ダクトが後部ドアの内側に同じヒンジ軸で回動可能に支持されているので、稼動位置への引き出しが楽であり、かつ稼動時には空気ダクトを固定板上に強固に固定して稼動させることができる。
【0033】
次に図13〜図17は、空気ダクトが冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部の内面に取り付けられている場合の本発明の第6実施例を示す。図13は、後部ドア52a,52bが閉まった状態(走行中又は待機中の保冷)で、本エアシャッタは停止している状態を示す。図14は、後部ドアを開けた状態を示し、積荷が少量の場合は、この状態で積荷を降ろす。この場合後部ドアを開けると同時に本エアシャッタを起動する。
【0034】
積荷が多量の場合は、図15に示すように、本エアシャッタを稼動しながら、空気ダクト53a,53bを固定板54a,54b上に移動させる。まず図16に示すように、2つ折りの固定板を外側に開き、その後空気ダクト53a,53bを固定板54a,54b上に載せ、固定板54a,54b上を移動させて、図17に示す位置で固定する。
このように空気ダクトを移動させ、図17に示す位置で固定することにより、コンテナ51の後部開口部を最大限開放させることができ、積荷が多量な場合でも荷降ろしに支障をきたすことがない。また空気ダクトをコンテナの内面に固定しているため、後部ドアの開放と同時に本エアシャッタの稼動を開始することができる。
【0035】
図18〜19は、運送用トラックをトラックブースに接続して荷物を積載あるいは降ろす場合の本発明の第7実施例を示し、この場合は、図19に示すように、後部ドア62a,62bをトラックブース65の入り口に挿入し、トラックブース65の入り口とトラックのコンテナ61との隙間をビニールカーテン又はエアシェルター等の遮蔽手段66で密封した状態で、荷物の荷降ろし又は積載を行うため、後部ドア62a,62bを全開することができない。この場合は、図18に示す空気ダクト63a,63bの位置で本エアシャッタを稼動させる。
【0036】
次に本発明のエアシャッタを車内が空調された電車のスライドドアに適用した第8実施例を図20〜22に基づいて説明する。
図20〜22において、電車の自動スライドドア72a,72bの車内側でかつスライドドア72a,72bの両側部に空気ダクト73a,73bが設けられている。同空気ダクトは、風向板74aが設けられている部分が吹出空間74を形成し、図示しない空気吹出ファンが風向板74aの上流側に設けられている。吹出空間74に同一高さで対峙した部分が吸込空間75であり、このような配置により、空気循環流Fが空気ダクト73a,73b間で形成される。
76は、座席77と空気ダクト73a,73bとの間を仕切る風避け板であり、78は座席77の上方に設置された窓である。
【0037】
第8実施例において、スライドドア72a,72bの内側で、空気ダクト73a,73b間に最初周囲の空気を取り入れつつ、独立した空気循環流Fが形成されるので、スライドドア72a,72bが開放された時においても、電車内外の空気を完全に遮断でき、電車内の空調温度を維持できる。その際座席77と空気ダクト73a,73bとの間を風避け板76で仕切っているので、座席77に座った乗客に空気循環流Fが当たることはない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、トラック、電車、バス等の人又は輸送物が出入りするとともに、車内が空調されて車内と外気とで温度差のある車両の出入口の開口部に設けられ、簡単な構造で、人及び物の出入りを妨げず、空気の流通を効率良く遮断して、冷暖房効率、冷蔵・冷凍効率等の低下を招かない車両用エアシャッタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】(a)は、本発明の第1実施例に係る立面断面図、(b)は前記第1実施例の平面断面図である。
【図2】図1の左側空気ダクト1aの拡大断面図である。
【図3】(a)は、本発明の第2実施例に係る立面断面図、(b)は前記第2実施例の平面断面図である。
【図4】図3の左側空気ダクト11aの拡大断面図である。
【図5】(a)は、本発明の第3実施例に係る立面断面図、(b)は前記第3実施例の平面断面図である。
【図6】図5の左側空気ダクト21aの拡大図である。
【図7】本発明を冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部ドアに適用した第4実施例に係る斜視図である。
【図8】前記第4実施例に係る斜視図である。
【図9】前記第4実施例に係る斜視図である。
【図10】前記第4実施例に係る斜視図である。
【図11】本発明を冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部ドアに適用した第5実施例に係る斜視図である。
【図12】前記第5実施例に係る固定板の立面図である。
【図13】本発明を冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部ドアに適用した第6実施例に係る斜視図である。
【図14】前記第6実施例に係る斜視図である。
【図15】前記第6実施例に係る斜視図である。
【図16】前記第6実施例に係る斜視図である。
【図17】前記第6実施例に係る斜視図である。
【図18】本発明を冷蔵冷凍トラックのコンテナ後部ドアに適用した第7実施例に係る斜視図である。
【図19】前記第7実施例において、冷凍冷蔵トラックをトラックブースに設置した場合を示す縦断面図である。
【図20】本発明を電車のスライドドアに適用した第8実施例に係る立面図である。
【図21】前記第8実施例に係る平面図である。
【図22】(a)は図21中のA−A線に沿う断面図、(b)は図21中のB−B線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1a,1b,11a,11b,21a,21b,33a,33b,43a,43b,53a,53b,63a,63b,73a,73b 空気ダクト
2,12,22 空気吹出ファン
3,13,23,74a 風向板
3a,13a,23a 絞り部
4,14,24 仕切り
25,74 吹出空間
25a 吹出路
26,75 吸込空間
26a 吸込路
31,41,51,61 コンテナ
32a,32b,42a,42b,52a,52b,62a,62b 後部ドア
44a,44b,54a,54b,64a,64b 固定板
45a,45b,46a,48a ヒンジ軸
47a 溝
49a 折りたたみ部
50a 車輪又はコロ
65 トラックブース
72a,72b 自動スライドドア
76 風避け板
77 座席
78 窓
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内が空調されて車内と外気とで温度差のある車両の出入口の開口部に設けられ空気の流通を遮断するエアシャッタにおいて、前記開口部を挟んだ両側部に空気ダクトを立設し、同両空気ダクトにおいて同一高さでは一方の空気ダクトに空気吹出口を設けるとともに他方の空気ダクトに空気吸込口を設けて互いに対峙させるとともに、ある一部の高さでは空気吹出口及び空気吸込口の配置を逆にして、前記開口部に前記車両の内部と外気とを遮断する水平方向の空気循環流を形成することを特徴とする車両用エアシャッタ。
【請求項2】
前記空気ダクトの空気吹出口及び空気吸込口を複数の空気循環流を形成するように配置したことを特徴とする請求項1記載の車両用エアシャッタ。
【請求項3】
前記空気ダクトの内部に空気吹出ファンを設けたことを特徴とする請求項1記載の車両用エアシャッタ。
【請求項4】
前記空気吹出ファンを前記空気ダクトの内部で空気吹出方向が垂直方向に向くように設け、同空気吹出方向の上流側に空気吸込口を設け、同空気吹出方向の下流側に空気吹出口を設けたことを特徴とする請求項1記載の車両用エアシャッタ。
【請求項5】
前記空気吹出ファンを前記空気ダクトの下方に配置し、同空気吹出ファンと同空気ダクトとを連通管で連通させたことを特徴とする請求項4記載の車両用エアシャッタ。
【請求項6】
前記空気ダクトを輸送用トラックの荷台の後部に設けられた開口部において前記荷台の内側又は開閉扉の内側に設け、同開閉扉を開放した状態で前記空気ダクトが前記開口部の両側で向き合うようにしたことを特徴とする請求項1記載の車両用エアシャッタ。
【請求項7】
前記空気吹出口に絞りを設け、同空気吹出口から吹き出す空気の風速を維持するようにしたことを特徴とする請求項1記載の車両用エアシャッタ。
【請求項8】
前記開閉扉を開放した状態で前記空気ダクトが前記開口部を遮らない位置まで移動可能としたことを特徴とする請求項7記載の車両用エアシャッタ。
【請求項9】
前記空気ダクトを電車の開閉扉の内側に設けたことを特徴とする請求項1記載の車両用エアシャッタ。
【請求項1】
車内が空調されて車内と外気とで温度差のある車両の出入口の開口部に設けられ空気の流通を遮断するエアシャッタにおいて、前記開口部を挟んだ両側部に空気ダクトを立設し、同両空気ダクトにおいて同一高さでは一方の空気ダクトに空気吹出口を設けるとともに他方の空気ダクトに空気吸込口を設けて互いに対峙させるとともに、ある一部の高さでは空気吹出口及び空気吸込口の配置を逆にして、前記開口部に前記車両の内部と外気とを遮断する水平方向の空気循環流を形成することを特徴とする車両用エアシャッタ。
【請求項2】
前記空気ダクトの空気吹出口及び空気吸込口を複数の空気循環流を形成するように配置したことを特徴とする請求項1記載の車両用エアシャッタ。
【請求項3】
前記空気ダクトの内部に空気吹出ファンを設けたことを特徴とする請求項1記載の車両用エアシャッタ。
【請求項4】
前記空気吹出ファンを前記空気ダクトの内部で空気吹出方向が垂直方向に向くように設け、同空気吹出方向の上流側に空気吸込口を設け、同空気吹出方向の下流側に空気吹出口を設けたことを特徴とする請求項1記載の車両用エアシャッタ。
【請求項5】
前記空気吹出ファンを前記空気ダクトの下方に配置し、同空気吹出ファンと同空気ダクトとを連通管で連通させたことを特徴とする請求項4記載の車両用エアシャッタ。
【請求項6】
前記空気ダクトを輸送用トラックの荷台の後部に設けられた開口部において前記荷台の内側又は開閉扉の内側に設け、同開閉扉を開放した状態で前記空気ダクトが前記開口部の両側で向き合うようにしたことを特徴とする請求項1記載の車両用エアシャッタ。
【請求項7】
前記空気吹出口に絞りを設け、同空気吹出口から吹き出す空気の風速を維持するようにしたことを特徴とする請求項1記載の車両用エアシャッタ。
【請求項8】
前記開閉扉を開放した状態で前記空気ダクトが前記開口部を遮らない位置まで移動可能としたことを特徴とする請求項7記載の車両用エアシャッタ。
【請求項9】
前記空気ダクトを電車の開閉扉の内側に設けたことを特徴とする請求項1記載の車両用エアシャッタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
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【公開番号】特開2006−1401(P2006−1401A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179516(P2004−179516)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)
【Fターム(参考)】
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