説明

車両用サイドミラーの雨滴除去装置

【課題】
風が強く吹いて塵芥が混じっている環境や、黄砂が飛んできて砂塵が混じっている環境や春先の虫の繁殖期の環境において、雨天時にサイドミラーの鏡面に雨滴が付着しても、視認性の良好な車両用サイドミラーの雨滴除去装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】
本発明は、自動車・トラックなどの車両におけるサイドミラーの周壁に装着し、車両走行による走行風を取り込む取入口と、該走行風を反転してサイドミラー鏡面に吹き付ける排出口と、これら取入口と排出口とを連結する通風道と、上記取入口に開閉弁を備え、該開閉弁を開口することにより上記取入口より取り込んだ走行風を排出口より吹き出すことによりサイドミラー鏡面に付着した雨滴を吹き飛ばすようにしたことを特徴とする車両用サイドミラーの雨滴除去装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車・トラックなどの車両の外側に取り付けられる車両用サイドミラーに関するもので、雨天時においても後方を容易に確認できる視認性の良い車両用サイドミラーの雨滴除去装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車・トラックなどの車両には、後方確認のために、車内に取り付けられるバックミラーと車外左右に取り付けられるサイドミラー(例えば、ドアミラー,フェンダーミラーなど)が装備されている。バックミラーは車内に取り付けられているため、外気の環境に影響されることはないが、サイドミラーは車外に取り付けられているため、外気の環境に影響され易く、特に、雨天時での走行では、サイドミラーに雨滴が付き、後方確認が著しく難しくなる。
この雨滴がサイドミラーに付着すると、昼間での走行時においても視認性が悪く、まして夜間になると、走行はより困難となってくる。
【0003】
このような問題に対し、種々の発明が提案されている。例えば、特開平11−151979号公報には、サイドミラー上部に進行方向に向かって傾斜する傾斜部を取り付け、該傾斜部に沿って取り込んだ風を反転させ、この反進行方向の風をミラー表面に当てることにより、ミラー表面に付着している水滴を風圧により除去する発明が提供されている。
【0004】
また、特開2006−36111号公報には、サイドミラー上部の周壁に雨滴除去装置を装着可能とし、車両の走行により生じる風を取り入れ、上記先行技術と同様に取り入れた風を反転することにより、その風をミラー表面に吹き出し、ミラー表面に付着した水滴を流れ落とす発明が提供されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−151979号公報
【特許文献2】特開2006−36111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような雨滴除去装置の場合、晴天時,雨天時に関係なく、車両が走行すると常に走行中の風圧による風(以下「走行風」という)がミラー表面に吹き付けられることになる。即ち、いずれも車両走行時に生じる走行風を取り入れる取入口が常時開口しており、車両が走行すれば、晴天時であっても雨天時であっても天候に関係なく、該取入口より走行風が常時取り込まれることになる。従って、風が強く吹いて塵芥が混じっていたり、黄砂が飛んできて砂塵が混じっている環境の中を走ると、その塵芥や砂塵がミラーに衝突することになり、鏡面に傷をつける可能性がある。また、春先の虫の繁殖期に走行すると、小さな虫が取り込まれ、この虫がサイドミラー鏡面にぶつかり鏡面を汚し、かえって視認性を悪化することになる。
また、いずれの雨滴除去装置も同じであるが、走行風を反転することによりサイドミラーの鏡面に走行風を吹き付ける構造となっているため、走行風取入口より取り込まれた塵芥・砂塵や虫が、その反転部分に留まり、走行風の流れを悪化させることになる。
それに、取り込まれた走行風を反転させるため、空気抵抗が増加し、走行性能を低下させるとともに、その走行風の流れによりサイドミラーに振動を与え、視認性を悪化させることになる。
【0007】
そして、近年のサイドミラーは、殆んどドアーに装備されており、該サイドミラーはドアーの窓越しに視認することになり、ドアーウィンドウに付着している雨滴がより視認性を悪化している。また、車両のオーナーによっては、ドアー枠の上部にドアバイザーを装備している。このドアバイザーを装備していると、該ドアバイザーが車体外方に向け取り付けられているため、そのドアバイザーにより走行時に生じる風が車体外方に吹き分けられる。その結果、ドアーウィンドウ前方、特に窓越しに見なければいけないサイドミラー近くのドアーウィンドウ部分が負圧になり、ドアーウィンドウに雨滴が付着し留まりやすくなる。ドアーウィンドウに雨滴が付着すると、サイドミラーに付着した雨滴との相乗作用で、より視認性を悪化することになる。
本発明は、上記種々の課題を解消し、雨天時においても視認性の良好な車両用サイドミラーの雨滴除去装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、自動車・トラックなどの車両におけるサイドミラーの周壁に装着し、車両走行による走行風を取り込む取入口と、該走行風を反転してサイドミラー鏡面に吹き付ける排出口と、これら取入口と排出口とを連結する通風道と、上記取入口に開閉弁を備え、該開閉弁を開口することにより上記取入口より取り込んだ走行風を排出口より吹き出すことによりサイドミラー鏡面に付着した雨滴を吹き飛ばすようにしたことを特徴とする車両用サイドミラーの雨滴除去装置である。
本発明は、自動車・トラックなどの車両におけるサイドミラーの周壁に装着し、車両走行による走行風を取り込む取入口と、該走行風を通過放出させる放出口と、該走行風を反転してサイドミラー鏡面に吹き付ける排出口と、これら取入口と放出口および排出口とを連結する通風道と、上記放出口および排出口近傍に開閉弁とを備え、該開閉弁を開口することにより上記取入口より取り込んだ走行風を放出口より吹き抜けるようにし、開閉弁を閉口することにより上記取入口より取り込んだ走行風を排出口より吹き出しサイドミラー鏡面に付着した雨滴を吹き飛ばすようにしたことを特徴とする車両用サイドミラーの雨滴除去装置である。
【0009】
また、上記通風道内に隔壁を形成し、該隔壁により通風道内を流れる走行風を分岐し、走行風の一部をドアーウィンドウに、その残部をサイドミラー鏡面に吹き付けるようにしたことを特徴とする車両用サイドミラーの雨滴除去装置である。
また、上記開閉弁の駆動はワイパーの駆動に連動して開閉弁を開閉するようにしていること、あるいは開閉弁駆動用のスイッチを車内のインストルメントパネル等に装備して、開閉弁を開閉するようにしたことを特徴とする車両用サイドミラーの雨滴除去装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の本発明によれば、走行風の取入口に開閉弁を備え、該開閉弁を開閉することにより、上記取入口を開閉可能としたので、雨天時等には該取入口に設けた開閉弁を開くことにより、取入口より走行風を導入してサイドミラーの鏡面に風を送り、該鏡面に付着した雨滴を吹き飛ばし、常時良好な視認性が可能になったと共に、雨天時以外は開閉弁を閉じて取入口を閉じることにより、取入口からの砂塵や虫の侵入を阻止することができるので、サイドミラーの鏡面に傷をつけたり、鏡面を汚すということがなくなった。
また、雨天時にのみ取入口を開くので、雨滴除去装置の反転部に砂塵や虫が溜まったとしても、取入口より進入した雨水で洗い流され、通風道内を常に綺麗な状態に維持することができる。
晴天時での走行では取入口を閉じることにより、走行風が雨滴除去装置の外周に沿って流れるため、走行風の反転によって生じる空気抵抗を著しく減少させることができると共に、サイドミラーに振動を生じさせるなどの影響を与えることはない。
【0011】
また、請求項2の発明によれば、上記の効果があることは勿論であるが、上記開閉弁を放出口および排出口の近傍に装備し、晴天時には該開閉弁を開口することにより上記取入口より取り込んだ走行風を放出口より吹き抜けるようにしたので、より一層の空気抵抗の減少をはかれると共に、雨天時には閉口して走行風を排出口に導入し、サイドミラー鏡面に走行風を送り、該鏡面に付着した雨滴を吹き飛ばすことができ、常にサイドミラーの視認性を著しく向上させることができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、通風道内に隔壁を形成し、該通風道内を流れる走行風を分岐し、走行風の一部をドアーウィンドウに、その残部をサイドミラー鏡面に吹き付けるようにしたので、ドアーウィンドウに付着した雨滴もサイドミラー鏡面に付着した雨滴も吹き飛ばすことができ、ドアーウィンドウ越しに見るサイドミラーの視認性を著しく向上させることができるようになった。
請求項4の発明によれば、風の取入口の開閉をワイパーの駆動に連動しておけば、ワイパーの作動とともに雨滴除去装置の取入口を開閉することができるので、取入口を開き忘れるとか、取入口を閉め忘れることがなく、後方確認が容易で快適に走行が可能になった。
また、インストルメントパネル等の車内にスイッチを装備することにより、車内にて開閉弁を操作できるので、同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明による車両用サイドミラーの雨滴除去装置の最良の形態について図面により詳細に説明する。
図1は本発明による車両用サイドミラーの雨滴除去装置の最良の形態を示す断面側面図である。同図において、1はサイドミラーで、該サイドミラー1は、ミラーハウジング2を有し、該ミラーハウジング2内には傾動装置によりミラーユニット4を上下左右に傾動可能にするパワーユニット3が装備されている。ミラーハウジング2は、詳細には図示しないが、一体形成されたステーを介して車両ドアーに取り付けられ、車両の前方側(同図左側)の部分が閉塞され、車両の後方側(同図右側)の部分が開口されている。
ミラーユニット4は、鏡面を有するミラー41と該ミラー41を保持するミラーホルダ42とから構成され、ミラーホルダ42がパワーユニット3に傾動可能に取り付けられている。パワーユニット3によりミラーホルダ42を駆動することにより、ミラー41の鏡面が、ミラーハウジング2の開口部で上下左右に傾動可能となるものである。
なお、サイドミラーに関するその他の構成については、本発明の要旨に関係しないので、詳細な説明を省略する。
【0014】
5は雨滴除去装置で、該雨滴除去装置5は偏平な略箱状に形成され、サイドミラー1上部の周壁に装着されており、内部に通風道6が形成されている。雨滴除去装置5の先端(車両進行方向側)には走行風12の取入口7が開口されており、該開口部には取入口7を開閉する開閉弁10が雨滴除去装置5の側壁に回動可能に軸支されている。後端(ミラーユニット4側)は弧状に形成することにより反転部8を形成し、排出口9がミラーユニット4に対向して開口されている。走行風12の取入口7から排出口9までは通風道6にて連結されている。車両が走行することにより、走行風12が、雨滴除去装置5に装備された取入口7より導入されると、同図に示すように走行風12は通風道6に沿って流れ、同図中矢印で示すように反転部8によりミラーユニット4の方向へ反転され、雨滴除去装置5の後端に形成された排出口9より吹き出されミラー41の鏡面に吹きつけられる。ミラー41の鏡面に付着した雨滴は、その風圧により吹き飛ばされ、常時綺麗な表面を維持するものである。
上記雨滴除去装置5は、ミラーハウジング2に直接固着しても良いし、該雨滴除去装置5を本体とベースに分割して構成し、ベースをサイドミラー1上部周壁のミラーハウジング2に固着し、該ベースに本体を嵌合することにより一体的に形成し、通風道6を形成するようにしても良い。
なお、上記反転部8の形状は、本実施例に示す弧状に限定するものではなく、逆くの字状あるいはコの字状に屈曲することにより形成しても良いことは言うまでもない。また、本実施例では、排出口9を単に開口したものを示しているが、ノズル状に形成すれば、走行風12の吹き出す圧力を高めることができ、ミラー41の鏡面に付着した雨滴を除去する効果がより向上することは言うまでもない。
【0015】
図2は、雨滴除去装置5の取入口7に軸支される回動式の筒状の開閉弁10を示す斜視図である。同図に示すように、上記取入口7には、筒状の開閉弁10が一点鎖線で示す雨滴除去装置5の側壁に回動自在に軸支されている。該開閉弁10の中央胴部には、走行風12が流入することができる通風孔11が形成されている。走行風12は、この通風孔11より通風道6に導入されるものである。
図2Aは開閉弁10を開き、走行風12の取入口7が開口した状態を示し、走行風12が通風孔11を通過できる。同図Bは開閉弁10がほぼ90°回動され、開閉弁10が閉じた状態を示し、取入口7が閉口しており、走行風12が通風孔11を通過することができず、走行風12は同図中矢印で示すように雨滴除去装置5の周壁に沿って通過する状態を示すものである。従って、開閉弁10を閉じた状態では、走行風12は雨滴除去装置5の周壁に沿って通過するので、走行風12の空気抵抗を著しく減少させることができる。
【0016】
そして、同図示のとおり、開閉弁10はモーター13に連結されており、該モーター13を駆動させることにより図2A中矢印で示すように回動される。該モーター13は、ワイパーに連動して作動するようにしておけば、より便利である。即ち、走行中に雨が降ってきてワイパーを駆動させれば、同時に開閉弁10を駆動して取入口7が開口され、雨滴除去装置5に走行風12を取り込むことができる。勿論、手動で回動させても良いし、該開閉弁10の開閉を作動させるスイッチを車内のインストルメントパネルなどに装備しておいても良いことは言うまでもない。なお、開閉弁10をモーター13にて駆動すること、またワイパーの駆動に連動させることについては、以下に説明する実施例においても適用できることは言うまでもない。
【実施例1】
【0017】
図3は、本発明による車両用サイドミラーの雨滴除去装置の実施例を示し、開閉弁10を板状の弁で形成したものを示すものである。同図中図1および図2に示した符号と同じものは、同一物を示し詳細な説明を省略する。
同図において、点線で示すものは、取入口7を閉口した状態を示すもので、雨天時以外はこの状態で走行し、雨天時には、実線のように取入口7を開口し、走行する。板状の開閉弁10を実線のように開くことにより、取入口7を開口すれば、前記最良の形態で説明したように、走行風12が取入口7より導入され、通風道6に沿って流れ、該走行風12が反転部8によりミラーユニット4の方向へ反転され、雨滴除去装置5の後端に装備された排出口9より吹き出てミラー41の鏡面に吹きつけられる。ミラー41の鏡面に付着した雨滴は、その風圧により吹き飛ばされ、常時綺麗な表面を維持するものである。
本実施例の場合、開閉弁10を板状にしたことにより、該板状開閉弁10がやや上方に向いているため、より多くの風量の走行風12を取り込むことができ、ミラー41鏡面への吹き付け力を高めることができ、ミラー41鏡面に付着した雨滴を確実に吹き飛ばすことができる。
【実施例2】
【0018】
図4は、本発明による車両用サイドミラーの雨滴除去装置の他の実施例を示し、開閉弁10をルーバー状の弁で形成したものを示すものである。同図中図1および図2に示した符号と同じものは、同一物を示し詳細な説明を省略する。
同図において、点線で示すものは、取入口7を閉口した状態を示すもので、雨天時以外はこの状態で走行し、雨天時には、実線のように取入口7を開口し、走行する。上記実施例と同様に、ルーバー状の開閉弁10を実線のように開くことにより、前記最良の形態で説明したように、取入口7を開口すれば、走行風12が取入口7より導入され、通風道6に沿って流れ、該走行風12が反転部8によりミラーユニット4の方向へ反転され、雨滴除去装置5の後端に装備された排出口9より吹き出てミラー41の鏡面に吹きつけられる。ミラー41の鏡面に付着した雨滴は、その風圧により吹き飛ばされ、常時綺麗な表面を維持するものである。
本実施例の場合、開閉弁10をルーバー状にしたことにより、実施例1と同様にルーバー状開閉弁10がやや上方に向いているため、より多くの風量の走行風を取り込むことができると共に、走行風12の整流性を向上することができ、通風道6内での走行風12の流れをよりスムースに行えることができる。
【実施例3】
【0019】
図5は、本発明による車両用サイドミラーの雨滴除去装置の他の実施例を示し、開閉弁10をへの字状の弁で形成したものを示すものである。同図中図1および図2に示した符号と同じものは、同一物を示し詳細な説明を省略する。
同図において、点線で示すものは、取入口7を閉口した状態を示すもので、雨天時以外はこの状態で走行し、雨天時には、実線のように取入口7を開口し、走行する。上記実施例と同様に、への字状の開閉弁10を実線のように開くことにより、前記最良の形態で説明したように、取入口7を開口すれば、走行風12が取入口7より導入され、通風道6に沿って流れ、該走行風12が反転部8によりミラーユニット4の方向へ反転され、雨滴除去装置5の後端に装備された排出口9より吹き出てミラー41の鏡面に吹きつけられる。ミラー41の鏡面に付着した雨滴は、その風圧により吹き飛ばされ、常時綺麗な表面を維持するものである。
本実施例による開閉弁10をへの字状にしたことにより、お互いの弁間の密閉性をより向上させることが可能となり、開閉弁10を閉じた際、より気密性を維持することができ、雨滴除去装置5の空気抵抗をより軽減することができる。
【0020】
なお、上記実施例において、回転式,板状,ルーバー状およびへの字状の開閉弁を示したが、本実施例に特定するものではなく、本発明と同じく走行風12の進入のための取入口7を開閉するという思想を有するものであれば、いずれの方式であっても良いことは言うまでもない。
【実施例4】
【0021】
図6は、本発明による車両用サイドミラーの雨滴除去装置の他の実施例を示し、開閉弁10を排出口近傍に備えたものを示すものである。同図中図1および図2に示した符号と同じものは、同一物を示し詳細な説明を省略する。
同図において、14は放出口で、該放出口14は、排出口9の近傍で走行風12の取入口7とほぼ同じ水平位置で雨滴除去装置5の後端に開口されており、走行風12は開閉弁10の開閉により、排出口9あるいは放出口14に分岐され吹き出される。開閉弁10は排出口9および放出口14の近傍で、これら排出口9および放出口14の通路を跨ぐようにして雨滴除去装置5の側壁に軸支されている。晴天時には該開閉弁10を開口することにより上記取入口7より取り込んだ走行風12を、図中点線の矢印で示すように放出口14より吹き抜けるようにし、雨天時には放出口14への出口を閉口して走行風12を排出口9に導入し、前記実施例と同様に走行風12が反転部8によりミラーユニット4の方向に反転され、排出口9より吹き出て、ミラー41の鏡面に吹きつけられる。ミラー41の鏡面に付着した雨滴は、その風圧により吹き飛ばされ、常時綺麗な表面を維持するものである。即ち、開閉弁10により、走行風12の流れを排出口9あるいは放出口14に切り替えるようにしたものである。
本実施例は、他の実施例にも適用できることは言うまでもない。
【実施例5】
【0022】
図7は、サイドミラーのみではなく、運転席側および助手席側のドアーウィンドウに付着した雨滴も吹き飛ばすことができる雨滴除去装置に関するもので、前記図1で説明した回動式の筒状開閉弁を装備した雨滴除去装置に適用した実施例を示す斜視図である。図8は本実施例の雨滴除去装置の水平面における断面平面図である。
図7において、15はノズルで、該ノズル15は、雨滴除去装置5に一体的に固着されており、サイドミラー1のミラーハウジング2の側壁に沿って形成され、雨滴除去装置5の側方より延設されている。このノズル15より噴出される走行風12により運転席側および助手席側のドアーウィンドウに付着した雨滴を吹き飛ばすものである。
また、通風道6内部には、図8に示すように、隔壁16が形成され、該隔壁16により通風道6が通風道61と通風道62に分岐され、走行風12の一部は通風道61を通過してノズル15へ導入され、その残部は通風道62を通過して排出口9へ導入するように形成したものである。このように構成することにより、取入口7より進入した走行風12は、隔壁16で分岐され、その一部がノズル15へ導かれ、図8に示すように運転席側あるいは助手席側のドアーウィンドウに付着した雨滴も吹き飛ばすことができるものである。残部の走行風12は、前記実施例で説明したように通風道6に沿って流れ、反転部8によりミラー41の方向へ反転され、雨滴除去装置5の後端に装備された排出口9より吹き出てミラー41の鏡面に吹きつけられる。ミラー41の鏡面に付着した雨滴は、その風圧により吹き飛ばされ、常時綺麗な表面を維持するものである。ドアーウィンドウ側へ導かれる走行風12の流れは、車両進行方向の後方側に向け吹き出されるので、空気抵抗が増加することはない。
なお、17は整流板で、該整流板17を形成することにより、通風道6内を流れる走行風12をよりスムースに流すことができるもので、該整流板17は必須のものではなく、形成しなくても良い。
【0023】
図9は、本発明による車両用サイドミラーの雨滴除去装置を装備した状態を示す要部拡大平面図である。
同図中、18は自動車・トラックなどの車両を示し、19は車両18の運転席側のドアーウィンドウを示す。図8で説明したように、前記隔壁15にて分岐され、雨滴除去装置5に流入した走行風12の一部が、ドアーウィンドウ19に付着した雨滴を吹き飛ばし、ドアーウィンドウ19の窓越しに見るサイドミラー1の確認が容易となり、雨天時においても後方視認性が著しく向上するものである。
本実施例では、車両18の運転席側のサイドミラー1についてのみ説明したが、車両18の助手席側の左側ドアーウィンドウに対しても装備することにより、同様にして視認性が向上することは言うまでもない。また、助手席側のサイドミラー1は、図7,図9に示す実施例と対称に形成されることは言うまでもない。そして、この思想は、最良の形態にのみ適用できるものではなく、前記した実施例にも適用できることは言うまでもない。
【0024】
上記で説明した最良の形態および各実施例において、走行風12の取入口7あるいは排出口9,放出口14の近傍に設けた開閉弁10をワイパーの駆動に連動しておけば、取入口7を開き忘れたり、また取入口7を閉め忘れることがなく、快適に走行が可能になる。また、開閉弁10の駆動用スイッチを車両室内のインストルメントパネルなどに装備しておいても良く、勿論手動で開閉しても良いことは言うまでもない。
また、上記実施例においては、ドアーに装備される電動格納式のサイドミラー装置について説明したが、この発明においては、電動格納式のサイドミラー装置以外の車両の外側に装備されるフェンダーミラーにも適用可能であり、トラック等の貨物車両のサイドミラーにも適用可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による車両用サイドミラーの雨滴除去装置の最良の形態を示す断面側面図である。
【図2】本発明による雨滴除去装置の走行風取入口に軸支される回動式の筒状開閉弁を示す斜視図である。
【図3】本発明による車両用サイドミラーの雨滴除去装置の実施例1を示し、開閉弁が板状の弁で形成したものを示す断面側面図である。
【図4】本発明による車両用サイドミラーの雨滴除去装置の実施例2を示し、開閉弁がルーバー状の弁で形成したものを示す断面側面図である。
【図5】本発明による車両用サイドミラーの雨滴除去装置の実施例3を示し、開閉弁がへの字状の弁で形成したものを示す断面側面図である。
【図6】本発明による車両用サイドミラーの雨滴除去装置の実施例4を示し、開閉弁を排出口・放出口近傍に備えたものを示す断面側面図である。
【図7】本発明による車両用サイドミラーの雨滴除去装置の実施例5を示し、走行風の一部をドアーウィンドウにも噴出するようにしたものを示す斜視図である。
【図8】本発明による車両用サイドミラーの雨滴除去装置の実施例5の水平面における断面平面図である。
【図9】本発明による車両用サイドミラーの雨滴除去装置を装備した状態を示す要部拡大平面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 サイドミラー
2 ミラーハウジング
3 パワーユニット
4 ミラーユニット
41 ミラー
42 ミラーホルダ
5 雨滴除去装置
6 通風道
7 取入口
8 反転部
9 排出口
10 開閉弁
12 走行風
14 放出口
15 ノズル
16 隔壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車・トラックなどの車両におけるサイドミラーの周壁に装着し、車両走行による走行風を取り込む取入口と、該走行風を反転してサイドミラー鏡面に吹き付ける排出口と、これら取入口と排出口とを連結する通風道と、上記取入口に開閉弁とを備え、該開閉弁を開口することにより上記取入口より取り込んだ走行風を排出口より吹き出すことによりサイドミラー鏡面に付着した雨滴を吹き飛ばすようにしたことを特徴とする車両用サイドミラーの雨滴除去装置。
【請求項2】
自動車・トラックなどの車両におけるサイドミラーの周壁に装着し、車両走行による走行風を取り込む取入口と、該走行風を通過放出させる放出口と、該走行風を反転してサイドミラー鏡面に吹き付ける排出口と、これら取入口と放出口および排出口とを連結する通風道と、上記放出口および排出口近傍に開閉弁とを備え、該開閉弁を開口することにより上記取入口より取り込んだ走行風を放出口より吹き抜けるようにし、開閉弁を閉口することにより上記取入口より取り込んだ走行風を排出口より吹き出しサイドミラー鏡面に付着した雨滴を吹き飛ばすようにしたことを特徴とする車両用サイドミラーの雨滴除去装置。
【請求項3】
上記通風道内に隔壁を形成し、該隔壁により通風道内を流れる走行風を分岐し、該走行風の一部をドアーウィンドウに、その残部をサイドミラー鏡面に吹き付けるようにしたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の車両用サイドミラーの雨滴除去装置。
【請求項4】
上記開閉弁がワイパーの駆動に連動していること、あるいは開閉弁駆動用のスイッチを車内に装備することを特徴とする請求項1,2または3のいずれかに記載の車両用サイドミラーの雨滴除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−143398(P2009−143398A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322937(P2007−322937)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(307043843)
【Fターム(参考)】