車両用シートのシートベルト組付構造
【課題】シートベルトの端末固定具をベルト締結部の近傍まで案内して下降させることができ、ベルト締結部に対するシートベルトの端末固定具の締結作業を容易に行うことができる車両用シートのシートベルト組付構造を提供する。
【解決手段】シートクッションの側部にサイドシールド部材50が配設され、サイドシールド部材50にシートベルト70の端末固定具72が上方から挿通可能な開口部55が形成される。シートクッション側部の下部に端末固定具72を締結するためのベルト締結部11が配設される。シートクッションの側部とサイドシールド部材50との間には、開口部55を通して挿通される端末固定具72をベルト締結部11の近傍まで下降案内するベルト案内部65が設けられている。
【解決手段】シートクッションの側部にサイドシールド部材50が配設され、サイドシールド部材50にシートベルト70の端末固定具72が上方から挿通可能な開口部55が形成される。シートクッション側部の下部に端末固定具72を締結するためのベルト締結部11が配設される。シートクッションの側部とサイドシールド部材50との間には、開口部55を通して挿通される端末固定具72をベルト締結部11の近傍まで下降案内するベルト案内部65が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両用シートのシートベルト組付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートのシートベルト組付構造においては、例えば、特許文献1に開示されている。
これにおいては、シートクッションの側部にサイドシールド部材が配設される。このサイドシールド部材には、シートベルトの端末固定具が上方から挿通可能な開口部が形成される。一方、シートクッション側部の下部には、シートベルトの端末固定具を締結ボルト(締結部材)によって締結するためのベルト締結部が配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−89738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記した車両用シートのシートベルト組付構造においては、シートベルトの端末固定具をシートクッション側部の下部に配設されたベルト締結部に締結ボルトによって締結する場合、先ず、シートベルトの端末固定具をサイドシールド部材の開口部の上方から挿通する。
その後、シートベルトの端末固定具をベルト締結部に向けて下降させる。
この際、シートベルトの端末固定具がサイドシールド部材によって隠される。このため、シートベルトの端末固定具をベルト締結部の近傍まで下降させることが困難となる場合がある。
例えば、シートクッションの側部に昇降機構やリクライニング機構等の構成部品の一部が突出して配置される場合には、その構成部品の一部がシートベルトの端末固定具の下降の障害物となることがある。この場合には、シートベルトの端末固定具をベルト締結部の近傍まで下降させることがより一層困難となり、ベルト締結部に対するシートベルトの端末固定具の締結作業に多くの手間や時間が必要となる。
【0005】
この発明の目的は、前記問題点に鑑み、シートベルトの端末固定具をベルト締結部の近傍まで案内して下降させることができ、ベルト締結部に対するシートベルトの端末固定具の締結作業を容易に行うことができる車両用シートのシートベルト組付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明の請求項1に係る車両用シートのシートベルト組付構造は、シートクッションの側部にサイドシールド部材が配設され、前記サイドシールド部材にシートベルトの端末固定具が上方から挿通可能な開口部が形成され、前記シートクッション側部の下部に前記端末固定具を締結するためのベルト締結部が配設された車両用シートのシートベルト組付構造であって、
前記シートクッションの側部と前記サイドシールド部材との間には、前記開口部を通して挿通される前記端末固定具を前記ベルト締結部の近傍まで下降案内するベルト案内部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
前記構成によると、シートベルトの端末固定具をシートクッション側部の下部に配設されたベルト締結部に締結部材によって締結する場合、先ず、サイドシールド部材の開口部の上方からシートベルトの端末固定具を挿通する。
その後、シートベルトの端末固定具をベルト案内部に沿って下降させる。すると、端末固定具がベルト案内部に案内されてベルト締結部の近傍まで下降される。
このため、ベルト締結部に対するシートベルトの端末固定具の締結作業を容易に行うことができる。
【0008】
請求項2に係る車両用シートのシートベルト組付構造は、請求項1に記載の車両用シートのシートベルト組付構造であって、
ベルト案内部は、サイドシールド部材の内壁面からシートクッションの側部に向けて突出するリブ形状に形成され、
前記ベルト案内部には、前記サイドシールド部材の開口部の一端側からベルト締結部に向けて傾斜する傾斜案内面が形成されていることを特徴とする。
【0009】
前記構成によると、ベルト案内部の傾斜案内面に沿って端末固定具を沿って滑走させて下降させることで、端末固定具をベルト締結部の近傍まで確実に下降させることができる。これによって、ベルト締結部に対する端末固定具の締結作業をより一層容易に行うことができる。
【0010】
請求項3に係る車両用シートのシートベルト組付構造は、請求項1又は2に記載の車両用シートのシートベルト組付構造であって、
サイドシールド部材の開口部には、この開口部を塞ぐ塞ぎ部材が設けられ、
前記塞ぎ部材には、シートベルトが挿通可能なベルト案内孔が形成されていることを特徴とする。
【0011】
前記構成によると、サイドシールド部材の開口部をシートベルトの端末固定具が容易に挿通可能な大きさに形成して挿通作業性を高めながら、開口部を塞ぎ部材によって塞ぐことで、開口部からの異物の浸入を防止することができると共に、開口部による見栄えの悪化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施例1に係る車両用シートのシートベルト組付構造が採用されたシートクッションのサイドフレームとサイドシールド部材との関係を分離して示す斜視図である。
【図2】同じくシートクッションのサイドフレームにサイドシールド部材が組み付けられた状態においてサイドシールド部材の開口部からシートベルトの端末固定具を挿入する前の状態を示す斜視図である。
【図3】同じく図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】同じくベルト締結部にシートベルトの端末固定具が締結された状態を示す斜視図である。
【図5】同じくベルト締結部がカバー部材によって覆われた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明を実施するための形態について実施例にしたがって説明する。
【実施例1】
【0014】
この発明の実施例1に係る車両用シートのシートベルト組付構造を図面にしたがって説明する。
図1と図2に示すように、車両用シートのシートクッションの骨枠部を構成するクッションフレームのサイドフレーム31は、スライドレール機構1によってスライド可能にかつ昇降機構20によって昇降可能に装着されている。
スライドレール機構1は、前後方向へ延びるロアレール2と、このロアレール2に沿ってスライド可能に嵌合されたアッパレール5とを備え、ロアレール2は、その下面の前後部に固定された前レールブラケット3と後レールブラケット4によって車室フロアに固定される。
【0015】
アッパレール5上面には、ブラケット6が固定され、このブラケット6には、昇降機構20を構成する駆動リンク26と従動リンク27によってシートクッションのサイドフレーム31が取り付けられている。
また、昇降機構20の昇降駆動部21の中心軸22の軸端部回りには昇降レバー28が装着され、この昇降レバー28の先端部には操作ノブ29が装着される。なお、昇降機構20は、周知の構造のものが用いられ、詳細については、例えば、特開2009−227011号公報に開示されている。
【0016】
図1に示すように、シートクッションのサイドフレーム31の後部には、リクライニング機構40によってシートバックのサイドフレーム36の下部が連結される。
また、リクライニング機構40から延出されたリクライニングレバー41の先端部には操作ノブ42が装着される。
【0017】
図1に示すように、シートクッション側部の下部に位置するアッパレール5の後端部には、固定部材10が固定されており、この固定部材10の外側部にはベルト締結部11が一体状に延出されている。そして、ベルト締結部11には、シートベルト70の端末固定具72を締結する締結部材としての締結ボルト15に対応する貫通孔12が形成され、ベルト締結部11の裏面側には貫通孔12の周囲においてナット11a(ウエルトナット)が固定されている(図3参照)。
【0018】
図1と図2に示すように、シートクッションのサイドフレーム31の側部には、サイドフレーム31及びスライドレール機構1の側部を覆う合成樹脂製のサイドシールド部材50が配設されている。
このサイドシールド部材50は、サイドフレーム31及びスライドレール機構1の側部の前半部を覆う前側部51と、後半部を覆う後側部52とを一体に備え、後側部52は、昇降機構20の昇降駆動部21及びリクライニング機構40を覆うために、前側部51よりも側方への突出量が大きく形成さている。
【0019】
サイドシールド部材50の前側部51と後側部52との段差部には、昇降レバー28が上下方向へ移動操作可能に嵌挿されるスリット部54が形成されている。
また、サイドシールド部材50の前側部51の内壁面側の前後複数箇所には、シートクッションのサイドフレーム36の外側壁に突出された各ボス部37a、37bに対応するクリップ75、76が配設されている。
そして、サイドシールド部材50のクリップ75、76をサイドフレーム36の側方から各ボス部37a、37bに押し込んで弾性的に係合させることで、サイドフレーム36の側方にサイドシールド部材50が装着されるようになっている。
なお、この実施例1において、サイドシールド部材50の前側部51後側のクリップ76は、後述する補強部材80の内面から突出された突部の先端に配設されている。
【0020】
図1と図2に示すように、サイドシールド部材50の後側部52の側部中央には、凹部53が形成され、この凹部53の底面には、シートベルト70の端末部71に装着された端末固定具72が上方から挿通可能な開口部55が形成されている。この開口部55は上部が広く、下部が狭い側面形状が台形状に形成され、開口部55の前側縁はその上端から下向きに下傾する傾斜状に形成されている。
また、図2に示すように、凹部53の後側部には、開口部55の後縁に連続しかつリクライニングレバー41の先端部が挿通されるレバー挿通部55aが形成されている。
また、サイドシールド部材50の凹部53の下方には、固定部材10のベルト締結部11を露出させる切欠部56が形成されている。
【0021】
シートクッションのサイドフレーム36とサイドシールド部材50との間には、その開口部55を通して挿通されるシートベルト70の端末固定具72を固定部材10のベルト締結部11の近傍まで下降案内するベルト案内部65が設けられている。
この実施例1において、図2と図3に示すように、ベルト案内部65は、サイドシールド部材50の後側部52の(凹部53の底面の内壁側を含む)内壁面からサイドフレーム36に向けて突出するリブ形状に一体に形成されている。
また、ベルト案内部65には、サイドシールド部材50の開口部55の一端(前側)の上部からベルト締結部11に向けて傾斜(下傾)する傾斜案内面66が形成されている。
そして、シートベルト70の端末固定具72は、開口部55の上方から挿入された後、ベルト案内部65の傾斜案内面66に沿って滑走させて下降させることで、ベルト締結部11の近傍まで案内されるようになっている。
【0022】
図1に示すように、サイドシールド部材50の内面には、補強部材80が適宜の結合手段(かしめピン、ネジ、接着剤等)によって一体状に結合された状態で配設されている。この補強部材80は、サイドシールド部材50の前側部51の後端部から後側部52にわたる大きさ及び形状に形成されている。そして、補強部材80の中央部には、サイドシールド部材50の開口部55の開口面積を小さくすることなく開口させる開口部が形成されている。
【0023】
図4と図5に示すように、サイドシールド部材50の開口部55には、この開口部55を塞ぐ塞ぎ部材60が装着されている。
塞ぎ部材60は、シートベルト70が固定された後、後付けによってサイドシールド部材50の開口部55の上方から差し込まれて装着可能に形成されている。
すなわち、塞ぎ部材60の上部には、シートベルト70のベルト部を引き出し並びに引き込み案内するベルト案内孔62を有する口枠部60aが形成され、この口枠部60a一端部には、シートベルト70のベルト部をベルト案内孔62まで挿通可能なスリット状のベルト挿通溝63が形成されている。
また、口枠部60aの両端部には、サイドシールド部材50の開口部55上部の前後部に形成された係合部に弾性的に係合する弾性係止爪60b、60cが形成されている。さらに、口枠部60aから下方へ延出された覆う部60d下部の前後部には、サイドシールド部材50の開口部55下部の前後部に形成された係合部に弾性的に係合する弾性係止爪60e、60fが形成されている。
【0024】
また、この実施例1において、アッパレール5の後端部に配設された固定部材10の前部上面にはカバー取付部材100が装着されている。そして、カバー取付部材100には、サイドシールド部材50の切欠部56に対応する位置において、ベルト締結部11、シートベルト70の端末固定具72及び締結ボルト15の頭部を覆い隠すカバー部材110が、開閉可能(例えば前後方向へスライド開閉可能)に装着されている。
【0025】
この実施例1に係る車両用シートのシートベルト組付構造は上述したように構成される。
したがって、シートベルト70の端末固定具72をベルト締結部11に締結部材としての締結ボルト15によって締結する場合、図2と図3に示すように、先ず、シートベルト70の端末固定具72をサイドシールド部材50の開口部55の上方から挿入する。
その後、端末固定具72をベルト案内部65の傾斜案内面66に沿って滑走させて下降させる。すると、端末固定具72が傾斜案内面66に案内されてベルト締結部11の近傍まで下降される。
ここで、端末固定具72を通して締結ボルト15をベルト締結部11のナット11aにねじ込むことで、ベルト締結部11にシートベルト70を締結することができる。このため、ベルト締結部11に対する端末固定具72の締結作業を容易に行うことができる。
【0026】
また、この実施例1において、ベルト案内部65は、サイドシールド部材50の内壁面からシートクッションのサイドフレーム36に向けて突出するリブ形状に形成されている。このため、サイドシールド部材50とは別にベルト案内部65を製作して組み付ける手間を省くことができ、コスト低減に効果が大きい。
【0027】
また、この実施例1において、図4に示すように、シートベルト70が締結(固定)された後、シートベルト70のベルト部を塞ぎ部材60の口枠部60aのベルト挿通溝63を通してベルト案内孔65に挿通する。
この状態で、サイドシールド部材50の開口部55の上方から塞ぎ部材60を差し込んで、塞ぎ部材60の各弾性係止爪60b、60c、60e、60fをサイドシールド部材50の各係合部に係合させることで、サイドシールド部材50の開口部55に塞ぎ部材60が装着される(図5参照)。
このため、サイドシールド部材50の開口部55をシートベルト70の端末固定具72が容易に挿通可能な大きさに形成して挿通作業性を高めることができる。さらに、開口部55を塞ぎ部材60によって塞ぐことで、開口部55からの異物の浸入を防止することができると共に、開口部55による見栄えの悪化を防止することができる。
【0028】
なお、この発明は前記実施例1に限定するものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の形態で実施することができる。
例えば、前記実施例1においては、サイドシールド部材50の内壁面にベルト案内部65がリブ形状に一体に形成される場合を例示したが、ベルト案内部65はリブ形状以外であってもこの発明を実施することができる。
また、サイドシールド部材50とは別にベルト案内部65を製作してサイドシールド部材50の内壁面に取り付けてもよく、又はシートクッションのサイドフレーム31に取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 スライドレール機構
2 ロアレール
5 アッパレール
11 ベルト締結部
15 締結ボルト(締結部材)
20 昇降機構
40 リクライニング機構
50 サイドシールド部材
55 開口部
60 塞ぎ部材
62 ベルト案内孔
65 ベルト案内部
66 傾斜案内面
70 シートベルト
72 端末固定具
【技術分野】
【0001】
この発明は車両用シートのシートベルト組付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートのシートベルト組付構造においては、例えば、特許文献1に開示されている。
これにおいては、シートクッションの側部にサイドシールド部材が配設される。このサイドシールド部材には、シートベルトの端末固定具が上方から挿通可能な開口部が形成される。一方、シートクッション側部の下部には、シートベルトの端末固定具を締結ボルト(締結部材)によって締結するためのベルト締結部が配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−89738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記した車両用シートのシートベルト組付構造においては、シートベルトの端末固定具をシートクッション側部の下部に配設されたベルト締結部に締結ボルトによって締結する場合、先ず、シートベルトの端末固定具をサイドシールド部材の開口部の上方から挿通する。
その後、シートベルトの端末固定具をベルト締結部に向けて下降させる。
この際、シートベルトの端末固定具がサイドシールド部材によって隠される。このため、シートベルトの端末固定具をベルト締結部の近傍まで下降させることが困難となる場合がある。
例えば、シートクッションの側部に昇降機構やリクライニング機構等の構成部品の一部が突出して配置される場合には、その構成部品の一部がシートベルトの端末固定具の下降の障害物となることがある。この場合には、シートベルトの端末固定具をベルト締結部の近傍まで下降させることがより一層困難となり、ベルト締結部に対するシートベルトの端末固定具の締結作業に多くの手間や時間が必要となる。
【0005】
この発明の目的は、前記問題点に鑑み、シートベルトの端末固定具をベルト締結部の近傍まで案内して下降させることができ、ベルト締結部に対するシートベルトの端末固定具の締結作業を容易に行うことができる車両用シートのシートベルト組付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明の請求項1に係る車両用シートのシートベルト組付構造は、シートクッションの側部にサイドシールド部材が配設され、前記サイドシールド部材にシートベルトの端末固定具が上方から挿通可能な開口部が形成され、前記シートクッション側部の下部に前記端末固定具を締結するためのベルト締結部が配設された車両用シートのシートベルト組付構造であって、
前記シートクッションの側部と前記サイドシールド部材との間には、前記開口部を通して挿通される前記端末固定具を前記ベルト締結部の近傍まで下降案内するベルト案内部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
前記構成によると、シートベルトの端末固定具をシートクッション側部の下部に配設されたベルト締結部に締結部材によって締結する場合、先ず、サイドシールド部材の開口部の上方からシートベルトの端末固定具を挿通する。
その後、シートベルトの端末固定具をベルト案内部に沿って下降させる。すると、端末固定具がベルト案内部に案内されてベルト締結部の近傍まで下降される。
このため、ベルト締結部に対するシートベルトの端末固定具の締結作業を容易に行うことができる。
【0008】
請求項2に係る車両用シートのシートベルト組付構造は、請求項1に記載の車両用シートのシートベルト組付構造であって、
ベルト案内部は、サイドシールド部材の内壁面からシートクッションの側部に向けて突出するリブ形状に形成され、
前記ベルト案内部には、前記サイドシールド部材の開口部の一端側からベルト締結部に向けて傾斜する傾斜案内面が形成されていることを特徴とする。
【0009】
前記構成によると、ベルト案内部の傾斜案内面に沿って端末固定具を沿って滑走させて下降させることで、端末固定具をベルト締結部の近傍まで確実に下降させることができる。これによって、ベルト締結部に対する端末固定具の締結作業をより一層容易に行うことができる。
【0010】
請求項3に係る車両用シートのシートベルト組付構造は、請求項1又は2に記載の車両用シートのシートベルト組付構造であって、
サイドシールド部材の開口部には、この開口部を塞ぐ塞ぎ部材が設けられ、
前記塞ぎ部材には、シートベルトが挿通可能なベルト案内孔が形成されていることを特徴とする。
【0011】
前記構成によると、サイドシールド部材の開口部をシートベルトの端末固定具が容易に挿通可能な大きさに形成して挿通作業性を高めながら、開口部を塞ぎ部材によって塞ぐことで、開口部からの異物の浸入を防止することができると共に、開口部による見栄えの悪化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施例1に係る車両用シートのシートベルト組付構造が採用されたシートクッションのサイドフレームとサイドシールド部材との関係を分離して示す斜視図である。
【図2】同じくシートクッションのサイドフレームにサイドシールド部材が組み付けられた状態においてサイドシールド部材の開口部からシートベルトの端末固定具を挿入する前の状態を示す斜視図である。
【図3】同じく図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】同じくベルト締結部にシートベルトの端末固定具が締結された状態を示す斜視図である。
【図5】同じくベルト締結部がカバー部材によって覆われた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明を実施するための形態について実施例にしたがって説明する。
【実施例1】
【0014】
この発明の実施例1に係る車両用シートのシートベルト組付構造を図面にしたがって説明する。
図1と図2に示すように、車両用シートのシートクッションの骨枠部を構成するクッションフレームのサイドフレーム31は、スライドレール機構1によってスライド可能にかつ昇降機構20によって昇降可能に装着されている。
スライドレール機構1は、前後方向へ延びるロアレール2と、このロアレール2に沿ってスライド可能に嵌合されたアッパレール5とを備え、ロアレール2は、その下面の前後部に固定された前レールブラケット3と後レールブラケット4によって車室フロアに固定される。
【0015】
アッパレール5上面には、ブラケット6が固定され、このブラケット6には、昇降機構20を構成する駆動リンク26と従動リンク27によってシートクッションのサイドフレーム31が取り付けられている。
また、昇降機構20の昇降駆動部21の中心軸22の軸端部回りには昇降レバー28が装着され、この昇降レバー28の先端部には操作ノブ29が装着される。なお、昇降機構20は、周知の構造のものが用いられ、詳細については、例えば、特開2009−227011号公報に開示されている。
【0016】
図1に示すように、シートクッションのサイドフレーム31の後部には、リクライニング機構40によってシートバックのサイドフレーム36の下部が連結される。
また、リクライニング機構40から延出されたリクライニングレバー41の先端部には操作ノブ42が装着される。
【0017】
図1に示すように、シートクッション側部の下部に位置するアッパレール5の後端部には、固定部材10が固定されており、この固定部材10の外側部にはベルト締結部11が一体状に延出されている。そして、ベルト締結部11には、シートベルト70の端末固定具72を締結する締結部材としての締結ボルト15に対応する貫通孔12が形成され、ベルト締結部11の裏面側には貫通孔12の周囲においてナット11a(ウエルトナット)が固定されている(図3参照)。
【0018】
図1と図2に示すように、シートクッションのサイドフレーム31の側部には、サイドフレーム31及びスライドレール機構1の側部を覆う合成樹脂製のサイドシールド部材50が配設されている。
このサイドシールド部材50は、サイドフレーム31及びスライドレール機構1の側部の前半部を覆う前側部51と、後半部を覆う後側部52とを一体に備え、後側部52は、昇降機構20の昇降駆動部21及びリクライニング機構40を覆うために、前側部51よりも側方への突出量が大きく形成さている。
【0019】
サイドシールド部材50の前側部51と後側部52との段差部には、昇降レバー28が上下方向へ移動操作可能に嵌挿されるスリット部54が形成されている。
また、サイドシールド部材50の前側部51の内壁面側の前後複数箇所には、シートクッションのサイドフレーム36の外側壁に突出された各ボス部37a、37bに対応するクリップ75、76が配設されている。
そして、サイドシールド部材50のクリップ75、76をサイドフレーム36の側方から各ボス部37a、37bに押し込んで弾性的に係合させることで、サイドフレーム36の側方にサイドシールド部材50が装着されるようになっている。
なお、この実施例1において、サイドシールド部材50の前側部51後側のクリップ76は、後述する補強部材80の内面から突出された突部の先端に配設されている。
【0020】
図1と図2に示すように、サイドシールド部材50の後側部52の側部中央には、凹部53が形成され、この凹部53の底面には、シートベルト70の端末部71に装着された端末固定具72が上方から挿通可能な開口部55が形成されている。この開口部55は上部が広く、下部が狭い側面形状が台形状に形成され、開口部55の前側縁はその上端から下向きに下傾する傾斜状に形成されている。
また、図2に示すように、凹部53の後側部には、開口部55の後縁に連続しかつリクライニングレバー41の先端部が挿通されるレバー挿通部55aが形成されている。
また、サイドシールド部材50の凹部53の下方には、固定部材10のベルト締結部11を露出させる切欠部56が形成されている。
【0021】
シートクッションのサイドフレーム36とサイドシールド部材50との間には、その開口部55を通して挿通されるシートベルト70の端末固定具72を固定部材10のベルト締結部11の近傍まで下降案内するベルト案内部65が設けられている。
この実施例1において、図2と図3に示すように、ベルト案内部65は、サイドシールド部材50の後側部52の(凹部53の底面の内壁側を含む)内壁面からサイドフレーム36に向けて突出するリブ形状に一体に形成されている。
また、ベルト案内部65には、サイドシールド部材50の開口部55の一端(前側)の上部からベルト締結部11に向けて傾斜(下傾)する傾斜案内面66が形成されている。
そして、シートベルト70の端末固定具72は、開口部55の上方から挿入された後、ベルト案内部65の傾斜案内面66に沿って滑走させて下降させることで、ベルト締結部11の近傍まで案内されるようになっている。
【0022】
図1に示すように、サイドシールド部材50の内面には、補強部材80が適宜の結合手段(かしめピン、ネジ、接着剤等)によって一体状に結合された状態で配設されている。この補強部材80は、サイドシールド部材50の前側部51の後端部から後側部52にわたる大きさ及び形状に形成されている。そして、補強部材80の中央部には、サイドシールド部材50の開口部55の開口面積を小さくすることなく開口させる開口部が形成されている。
【0023】
図4と図5に示すように、サイドシールド部材50の開口部55には、この開口部55を塞ぐ塞ぎ部材60が装着されている。
塞ぎ部材60は、シートベルト70が固定された後、後付けによってサイドシールド部材50の開口部55の上方から差し込まれて装着可能に形成されている。
すなわち、塞ぎ部材60の上部には、シートベルト70のベルト部を引き出し並びに引き込み案内するベルト案内孔62を有する口枠部60aが形成され、この口枠部60a一端部には、シートベルト70のベルト部をベルト案内孔62まで挿通可能なスリット状のベルト挿通溝63が形成されている。
また、口枠部60aの両端部には、サイドシールド部材50の開口部55上部の前後部に形成された係合部に弾性的に係合する弾性係止爪60b、60cが形成されている。さらに、口枠部60aから下方へ延出された覆う部60d下部の前後部には、サイドシールド部材50の開口部55下部の前後部に形成された係合部に弾性的に係合する弾性係止爪60e、60fが形成されている。
【0024】
また、この実施例1において、アッパレール5の後端部に配設された固定部材10の前部上面にはカバー取付部材100が装着されている。そして、カバー取付部材100には、サイドシールド部材50の切欠部56に対応する位置において、ベルト締結部11、シートベルト70の端末固定具72及び締結ボルト15の頭部を覆い隠すカバー部材110が、開閉可能(例えば前後方向へスライド開閉可能)に装着されている。
【0025】
この実施例1に係る車両用シートのシートベルト組付構造は上述したように構成される。
したがって、シートベルト70の端末固定具72をベルト締結部11に締結部材としての締結ボルト15によって締結する場合、図2と図3に示すように、先ず、シートベルト70の端末固定具72をサイドシールド部材50の開口部55の上方から挿入する。
その後、端末固定具72をベルト案内部65の傾斜案内面66に沿って滑走させて下降させる。すると、端末固定具72が傾斜案内面66に案内されてベルト締結部11の近傍まで下降される。
ここで、端末固定具72を通して締結ボルト15をベルト締結部11のナット11aにねじ込むことで、ベルト締結部11にシートベルト70を締結することができる。このため、ベルト締結部11に対する端末固定具72の締結作業を容易に行うことができる。
【0026】
また、この実施例1において、ベルト案内部65は、サイドシールド部材50の内壁面からシートクッションのサイドフレーム36に向けて突出するリブ形状に形成されている。このため、サイドシールド部材50とは別にベルト案内部65を製作して組み付ける手間を省くことができ、コスト低減に効果が大きい。
【0027】
また、この実施例1において、図4に示すように、シートベルト70が締結(固定)された後、シートベルト70のベルト部を塞ぎ部材60の口枠部60aのベルト挿通溝63を通してベルト案内孔65に挿通する。
この状態で、サイドシールド部材50の開口部55の上方から塞ぎ部材60を差し込んで、塞ぎ部材60の各弾性係止爪60b、60c、60e、60fをサイドシールド部材50の各係合部に係合させることで、サイドシールド部材50の開口部55に塞ぎ部材60が装着される(図5参照)。
このため、サイドシールド部材50の開口部55をシートベルト70の端末固定具72が容易に挿通可能な大きさに形成して挿通作業性を高めることができる。さらに、開口部55を塞ぎ部材60によって塞ぐことで、開口部55からの異物の浸入を防止することができると共に、開口部55による見栄えの悪化を防止することができる。
【0028】
なお、この発明は前記実施例1に限定するものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の形態で実施することができる。
例えば、前記実施例1においては、サイドシールド部材50の内壁面にベルト案内部65がリブ形状に一体に形成される場合を例示したが、ベルト案内部65はリブ形状以外であってもこの発明を実施することができる。
また、サイドシールド部材50とは別にベルト案内部65を製作してサイドシールド部材50の内壁面に取り付けてもよく、又はシートクッションのサイドフレーム31に取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 スライドレール機構
2 ロアレール
5 アッパレール
11 ベルト締結部
15 締結ボルト(締結部材)
20 昇降機構
40 リクライニング機構
50 サイドシールド部材
55 開口部
60 塞ぎ部材
62 ベルト案内孔
65 ベルト案内部
66 傾斜案内面
70 シートベルト
72 端末固定具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションの側部にサイドシールド部材が配設され、前記サイドシールド部材にシートベルトの端末固定具が上方から挿通可能な開口部が形成され、前記シートクッション側部の下部に前記端末固定具を締結するためのベルト締結部が配設された車両用シートのシートベルト組付構造であって、
前記シートクッションの側部と前記サイドシールド部材との間には、前記開口部を通して挿通される前記端末固定具を前記ベルト締結部の近傍まで下降案内するベルト案内部が設けられていることを特徴とする車両用シートのシートベルト組付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートのシートベルト組付構造であって、
ベルト案内部は、サイドシールド部材の内壁面からシートクッションの側部に向けて突出するリブ形状に形成され、
前記ベルト案内部には、前記サイドシールド部材の開口部の一端側からベルト締結部に向けて傾斜する傾斜案内面が形成されていることを特徴とする車両用シートのシートベルト組付構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用シートのシートベルト組付構造であって、
サイドシールド部材の開口部には、この開口部を塞ぐ塞ぎ部材が設けられ、
前記塞ぎ部材には、シートベルトが挿通可能なベルト案内孔が形成されていることを特徴とする車両用シートのシートベルト組付構造。
【請求項1】
シートクッションの側部にサイドシールド部材が配設され、前記サイドシールド部材にシートベルトの端末固定具が上方から挿通可能な開口部が形成され、前記シートクッション側部の下部に前記端末固定具を締結するためのベルト締結部が配設された車両用シートのシートベルト組付構造であって、
前記シートクッションの側部と前記サイドシールド部材との間には、前記開口部を通して挿通される前記端末固定具を前記ベルト締結部の近傍まで下降案内するベルト案内部が設けられていることを特徴とする車両用シートのシートベルト組付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートのシートベルト組付構造であって、
ベルト案内部は、サイドシールド部材の内壁面からシートクッションの側部に向けて突出するリブ形状に形成され、
前記ベルト案内部には、前記サイドシールド部材の開口部の一端側からベルト締結部に向けて傾斜する傾斜案内面が形成されていることを特徴とする車両用シートのシートベルト組付構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用シートのシートベルト組付構造であって、
サイドシールド部材の開口部には、この開口部を塞ぐ塞ぎ部材が設けられ、
前記塞ぎ部材には、シートベルトが挿通可能なベルト案内孔が形成されていることを特徴とする車両用シートのシートベルト組付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2013−1147(P2013−1147A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131266(P2011−131266)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
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