説明

車両用シートのシート面冷房装置

【課題】冷却しようとするシート面に温度むらが発生するのを抑制するとともに、シート面をより効率良く冷房できる車両用シートのシート面冷房装置を得る。
【解決手段】イグニッションスイッチ20のONでウォータポンプ13aを作動開始した後、シート外熱交換器12内の媒体温度を検出するシート外熱交換器側センサ21またはシート内熱交換器11内の媒体温度を検出するシート内熱交換器側センサ22の温度変化に基づいて、シート冷却制御回路23によってウォータポンプ13aの停止タイミングを制御することにより、熱交換媒体によってシート面2a,3aをむら無く冷却できるとともに、シート内熱交換器11が最も冷却された時点で熱交換媒体の循環を停止させて、シート面2a,3aの冷却効率を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートクッションやシートバックからなる車両用シートの表面側となるシート面を冷却するシート面冷房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用シートを冷房する装置として、冷却または加温機能を有する熱源で発生した熱を、熱伝導部を介してシート面となる被温度調節部に伝熱する一方、送風機から送風される冷温風を対流部を介して前記被温度調節部の全面に形成した多数の吹出し孔より吹き出すことにより、シート面を冷房するものが知られている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−42590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、かかる従来のシート面冷房装置にあっては、一つの熱源の熱を熱伝導部を介して被温度調節部に伝熱する構造であるため、熱伝導部の温度は熱源に近い部分がより冷却され、かつ、熱源から遠い部分で冷却度が低くなるため、被温度調節部つまりシート面には温度むらが生じてしまうという問題があった。
【0004】
また、送風機の冷温風を被温度調節部の吹出し孔から吹き出してシート面を冷暖房する場合にも、送風機から吹き出される風の方向によって吹出し孔から吹き出される風量が各吹出し孔によって変化されるため、やはり、シート面には温度むらが発生してしまうという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、冷却しようとするシート面に温度むらが発生するのを抑制でき、かつ、シート面をより効率良く冷房できる車両用シートのシート面冷房装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1にかかる発明にあっては、シートクッション(2)やシートバック(3)からなる車両用シート(1)の表面側となるシート面(2a,3a)の内部に埋設されたシート内熱交換器(11)と、上記車両用シート(1)の裏面側に配置されたシート外熱交換器(12)と、上記シート内熱交換器(11)と上記シート外熱交換器(12)との間で熱交換媒体を循環させる媒体循環手段(13)と、上記媒体循環手段(13)を作動開始させる初期作動手段(20)と、上記シート内熱交換器(11)内の媒体の温度変化および上記シート外熱交換器(12)内の媒体の温度変化のうち少なくともいずれか一つに基づいて上記媒体循環手段(13)の停止タイミングを制御する作動停止制御手段(23)と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2にかかる発明にあっては、上記作動停止制御手段(23)は、上記シート内熱交換器(11)内の媒体の温度変化および上記シート外熱交換器(12)内の媒体の温度変化のうち少なくともいずれか一つに基づいて、上記シート内熱交換器(11)の熱交換媒体が上記シート外熱交換器(12)の熱交換媒体と略入れ代わったと判断した時点で上記媒体循環手段(13)に停止信号を出力することを特徴とする。
【0008】
請求項3にかかる発明にあっては、上記作動停止制御手段(23)は、上記シート内熱交換器(11)内の媒体の温度変化および上記シート外熱交換器(12)内の媒体の温度変化のうち少なくともいずれか一つに基づいて、上記シート内熱交換器(11)の熱交換媒体と上記シート外熱交換器(12)の熱交換媒体との入れ代わりを開始したと判断した後、上記温度変化がピーク温度を通過したと判断した時点で上記媒体循環手段(13)に停止信号を出力することを特徴とする。
【0009】
請求項4にかかる発明にあっては、上記作動停止制御手段(23)は、上記シート内熱交換器(11)内の媒体の温度変化および上記シート外熱交換器(12)内の媒体の温度変化の双方に基づいて、上記シート内熱交換器(11)の熱交換媒体が上記シート外熱交換器(12)の熱交換媒体と略入れ代わったと判断した時点で上記媒体循環手段(13)に停止信号を出力することを特徴とする。
【0010】
請求項5にかかる発明にあっては、上記作動停止制御手段(23)は、上記シート内熱交換器(11)内の媒体の温度変化および上記シート外熱交換器(12)内の媒体の温度変化の双方に基づいて、上記シート内熱交換器(11)の熱交換媒体と上記シート外熱交換器(12)の熱交換媒体との入れ代わりを開始したと判断した後、上記温度変化がピーク温度を通過したと判断した時点で上記媒体循環手段(13)に停止信号を出力することを特徴とする。
【0011】
請求項6にかかる発明にあっては、上記シート外熱交換器(12)内の媒体温度を、当該シート外熱交換器(12)の適宜部位で検出するシート外熱交換器側センサ(21)を備え、上記シート外熱交換器側センサ(21)は、シート外熱交換器(12)の媒体出口部分に配置されることを特徴とする。
【0012】
請求項7にかかる発明にあっては、上記シート内熱交換器(11)内の媒体温度を、当該シート内熱交換器(11)の適宜部位で検出するシート内熱交換器側センサ(22)を備え、上記シート内熱交換器側センサ(22)は、シート内熱交換器(11)の媒体出口部分に配置されることを特徴とする。
【0013】
請求項8にかかる発明にあっては、上記シート外熱交換器(12)内の媒体温度を、当該シート外熱交換器(12)の適宜部位で検出するシート外熱交換器側センサ(21)を備え、上記シート外熱交換器側センサ(21)は、シート外熱交換器(12)の媒体入口部分に配置されることを特徴とする。
【0014】
請求項9にかかる発明にあっては、上記シート内熱交換器(11)内の媒体温度を、当該シート内熱交換器(11)の適宜部位で検出するシート内熱交換器側センサ(22)を備え、上記シート内熱交換器側センサ(22)は、シート内熱交換器(11)の媒体入口部分に配置されることを特徴とする。
【0015】
請求項10にかかる発明にあっては、上記作動停止制御手段(23)は、室温や外気温や日射量等による車体の熱負荷状態を検出する熱負荷検出手段(24)の検出値を付加して、上記媒体循環手段(13)の停止タイミングを制御することを特徴とする。
【0016】
請求項11にかかる発明にあっては、上記作動停止制御手段(23)は、空調装置の稼働状況の検出値を付加して、上記媒体循環手段(13)の停止タイミングを制御することを特徴とする。
【0017】
請求項12にかかる発明にあっては、上記作動停止制御手段(23)は、上記シート内熱交換器(11)内の媒体温度がシート外熱交換器(12)内の媒体温度よりも低くなった時点で上記媒体循環手段(13)を停止するとともに、上記シート内熱交換器(11)内の媒体温度がシート外熱交換器(12)内の媒体温度よりも高くなった時点で上記媒体循環手段(13)を再作動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1にかかる発明によれば、夏期炎天下で駐車して直射日光が車両用シートに照射されている場合には、その車両用シートの表面側となるシート面は高温化される。この場合、車両用シートの裏面側に配置されたシート外熱交換器は直射日光を避けた状態にあるため、そのシート外熱交換器内の熱交換媒体は上記シート面、つまり、シート内熱交換器よりも低温状態にある。
【0019】
そして、そのような駐車状態で初期作動手段によって媒体循環手段が作動されると、シート外熱交換器とシート内熱交換器との間で熱交換媒体が循環されて、シート外熱交換器の低温状態にある熱交換媒体がシート内熱交換器に供給されることにより、このシート内熱交換器を冷却し、ひいては、熱交換媒体によって上記シート面をむら無く冷却することができる。
【0020】
また、このように熱交換媒体が循環された後、上記シート内熱交換器内の媒体の温度変化および上記シート外熱交換器内の媒体の温度変化のうち少なくともいずれか一つに基づいて、作動停止制御手段によって媒体循環手段の停止タイミングが制御される。
【0021】
したがって、低温状態にあるシート外熱交換器内の熱交換媒体がシート内熱交換器に供給された時点で媒体循環手段を停止することができるため、シート内熱交換器が最も冷却された時点で熱交換媒体の循環を停止させることができ、ひいては、シート面の冷却効率を向上することができる。
【0022】
請求項2にかかる発明によれば、上記シート内熱交換器内の媒体の温度変化および上記シート外熱交換器内の媒体の温度変化のうち少なくともいずれか一つに基づいて、シート内熱交換器の熱交換媒体とシート外熱交換器の熱交換媒体との入れ代わりを判断できるため、シート外熱交換器側センサまたは上記シート内熱交換器側センサのいずれか一つのセンサでよく、構成を簡素化できるとともに安価な車両用シートを得ることができる。
【0023】
請求項3にかかる発明によれば、上記作動停止制御手段は、上記シート内熱交換器内の媒体の温度変化および上記シート外熱交換器内の媒体の温度変化のうち少なくともいずれか一つに基づいて、シート内熱交換器の熱交換媒体とシート外熱交換器の熱交換媒体との入れ代わりの開始を判断し、その後に上記温度変化が変化するピーク温度を判断し、そのピーク温度を通過した時点で媒体循環手段を停止することができるので、シート内熱交換器の熱交換媒体とシート外熱交換器の熱交換媒体との入れ代わりをより正確に判断できるので、シート面の冷却効果を高めることができる。
【0024】
請求項4にかかる発明によれば、上記シート内熱交換器内の媒体の温度変化および上記シート外熱交換器内の媒体の温度変化の双方に基づいて、シート内熱交換器の熱交換媒体とシート外熱交換器の熱交換媒体との入れ代わりを判断するようになっており、シート内熱交換器の熱交換媒体とシート外熱交換器の熱交換媒体との入れ代わりをより正確に判断でき、シート面の冷却効果をより高めることができる。
【0025】
請求項5にかかる発明によれば、上記シート内熱交換器内の媒体の温度変化および上記シート外熱交換器内の媒体の温度変化の双方に基づいて、シート内熱交換器の熱交換媒体とシート外熱交換器の熱交換媒体との入れ代わりの開始を判断し、その後に上記温度変化が変化するピーク温度を判断し、そのピーク温度を通過した時点で媒体循環手段を停止するので、上記二つの温度変化でシート内熱交換器の熱交換媒体とシート外熱交換器の熱交換媒体との入れ代わりをより正確に判断できるので、シート面の冷却効果をさらに高めることができる。
【0026】
請求項6にかかる発明によれば、上記シート外熱交換器側センサをシート外熱交換器の媒体出口部分に配置したので、当該シート外熱交換器側センサを用いた場合に、シート内熱交換器の熱交換媒体とシート外熱交換器の熱交換媒体との入れ代わりをより的確に判断することができる。
【0027】
請求項7にかかる発明によれば、上記シート内熱交換器側センサをシート内熱交換器の媒体出口部分に配置したので、当該シート内熱交換器側センサを用いた場合に、シート内熱交換器の熱交換媒体とシート外熱交換器の熱交換媒体との入れ代わりをより的確に判断することができる。
【0028】
請求項8にかかる発明によれば、上記シート外熱交換器側センサをシート外熱交換器の媒体入口部分に配置したので、温度変化のピーク温度から媒体循環手段の停止タイミングを判断する場合に、シート内熱交換器の熱交換媒体とシート外熱交換器の熱交換媒体との入れ代わりをより的確に判断することができる。
【0029】
請求項9にかかる発明によれば、上記シート内熱交換器側センサをシート内熱交換器の媒体入口部分に配置したので、温度変化のピーク温度から媒体循環手段の停止タイミングを判断する場合に、シート内熱交換器の熱交換媒体とシート外熱交換器の熱交換媒体との入れ代わりをより的確に判断することができる。
【0030】
請求項10にかかる発明によれば、上記作動停止制御手段は、熱負荷検出手段の検出値を付加して上記媒体循環手段の停止タイミングを制御するようにしたので、室温や外気温や日射量等に応じて媒体循環手段の停止タイミングをより細かく制御することができる。
【0031】
請求項11にかかる発明によれば、上記作動停止制御手段は、空調装置の稼働状況の検出値を付加して、上記媒体循環手段の停止タイミングを制御するようにしたので、空調装置の制御状態に応じて媒体循環手段の停止タイミングをより細かく制御することができる。
【0032】
請求項12にかかる発明によれば、上記作動停止制御手段は、上記シート内熱交換器内の媒体温度がシート外熱交換器内の媒体温度よりも低くなった時点で上記媒体循環手段を停止するとともに、シート内熱交換器内の媒体温度がシート外熱交換器内の媒体温度よりも高くなった時点で上記媒体循環手段を再作動することができるので、常にシート外熱交換器で低温化された熱交換媒体をシート内熱交換器で温められた熱交換媒体と入れ代えて、シート面の冷却効果をより長く維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態にかかるシート面冷暖房装置を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
(第1実施形態)図1は、本実施形態にかかるシート面冷房装置を搭載した車両用シートの側断面図、図2は、シート面冷房装置を展開して示す概略構成図、図3は、シート面冷房装置の制御ブロック図、図4は、シート面冷房装置を制御するためのフローチャートを示す説明図である。
【0035】
本実施形態にかかるシート面冷房装置10が適用される車両用シート1は、図1に示すように、シートクッション2、シートバック3、ヘッドレスト4を備えて概略構成され、シートクッション2は支持脚(例えば、スライド装置)5を介して車体フロア6に設置されている。
【0036】
また、この車両用シート1では、シートクッション2の表面側となる上面およびシートバック3の表面側となる前面がシート面2a,3aとなる。
【0037】
シート面冷房装置10は、図2にも示すように、シートクッション2のシート面2aおよびシートバック3のシート面3aの内部に埋設されたシート内熱交換器11と、車両用シート1の裏面となるシートクッション2の下面2b側に配置されたシート外熱交換器12と、これらシート内熱交換器11とシート外熱交換器12との間で熱交換媒体を循環させる媒体循環手段13と、を備えて構成される。
【0038】
そして、媒体循環手段13を作動させてシート外熱交換器12の低温媒体をシート内熱交換器11に供給することにより、シート内熱交換器11内の熱交換媒体をシート外熱交換器12の低温媒体と入れ換えて、シート面2a,3aを冷房できるようになっている。
【0039】
また、シート内熱交換器11は、図1に示すように、シートクッション2に設けられるシートクッション側熱交換器11Aと、シートバック3に設けられるシートバック側熱交換器11Bと、によって構成される。なお、図2では、便宜上、シートクッション側熱交換器11Aとシートバック側熱交換器11Bとをまとめて一つのシート内熱交換器11として示してある。
【0040】
シートクッション側熱交換器11Aおよびシートバック側熱交換器11Bは、エーテル系ウレタン等の柔軟な2枚の可撓性シートをそれらの間に媒体流路11Ap,11Bpを形成しつつ高周波溶着して接合することによって形成される。
【0041】
シート外熱交換器12は、シートクッション2側のみに設けられるようになっており、そのシート外熱交換器12と、シートクッション側熱交換器11Aおよびシートバック側熱交換器11B(つまり、シート内熱交換器11)とは、それぞれエンジン冷却水等の熱交換媒体を循環させるシートクッション側循環径路15とシートバック側循環径路16とによって連通される。
【0042】
シートクッション側循環径路15は、シート外熱交換器12とシートクッション側熱交換器11Aとを連通する往路15aと復路15bとを備えるとともに、シートバック側循環径路16は、シート外熱交換器12とシートバック側熱交換器11Bとを連通する往路16aと復路16bとを備えており、それぞれの復路15b,16bに、媒体循環手段13が配置されている。
【0043】
媒体循環手段13は、図2に示すように、電動式のウォータポンプ13aと、このウォータポンプ13aの上流側に直列配置されるリザーバタンク13bと、を備えて構成されている。
【0044】
そして、ウォータポンプ13aを作動させることにより、シートクッション側熱交換器11A内およびシートバック側熱交換器11B内の熱交換媒体を、リザーバタンク13bを介して吸引した後、その吸引した熱交換媒体がシート外熱交換器12に圧送される。シート外熱交換器12に圧送された熱交換媒体は、シート外熱交換器12内の蛇腹状に配索された媒体流路12pを流通した後、往路15a,16aに分配してシートクッション側熱交換器11Aとシートバック側熱交換器11Bとに流入し、それらシートクッション側熱交換器11Aおよびシートバック側熱交換器11Bの蛇腹状に配索された媒体流路11Ap,11Bpを流通した後、リザーバタンク13bに集合される。
【0045】
そして、そのリザーバタンク13bからウォータポンプ13aに再度吸引されることにより、その熱交換媒体は、シート外熱交換器12と、シートクッション側熱交換器11Aおよびシートバック側熱交換器11Bと、の間で循環される。
【0046】
ここで、本発明のシート面冷房装置10では、図3に示すように、媒体循環手段13、つまり、ウォータポンプ13aを作動開始させる初期作動手段としてのイグニッションスイッチ(IGN)20と、シート外熱交換器12内の媒体温度を、そのシート外熱交換器12の適宜部位で検出するシート外熱交換器側センサ21と、シート内熱交換器11内の媒体温度を、そのシート内熱交換器11の適宜部位で検出するシート内熱交換器側センサ22と、シート外熱交換器側センサ21またはシート内熱交換器側センサ22の温度変化からウォータポンプ13aの停止タイミングを制御する作動停止制御手段としてのシート冷却制御回路23と、を備えて構成される。
【0047】
そして、シート冷却制御回路23は、シート外熱交換器側センサ21およびシート内熱交換器側センサ22のうちいずれか一つの温度変化によって、シート内熱交換器11の熱交換媒体がシート外熱交換器12の熱交換媒体と略入れ代わったと判断した時点でウォータポンプ13aに停止信号を出力するようになっている。
【0048】
シート外熱交換器側センサ21は、図2に示すように、シート外熱交換器12の媒体出口部分に配置されるシート外側出口センサ21Aであり、また、シート内熱交換器側センサ22は、シート内熱交換器11の媒体出口部分に配置されるシート内側出口センサ22Aである。
【0049】
したがって、シート外側出口センサ21Aまたはシート内側出口センサ22Aを用いて、シート内熱交換器11の熱交換媒体がシート外熱交換器12の熱交換媒体と略入れ代わったとする判断は、表1に示す温度変化で知ることができる。
【表1】

【0050】
すなわち、シート外側出口センサ21Aを用いた場合のシート内熱交換器11とシート外熱交換器12との熱交換媒体の入れ代わりの判断は、表1のケース1に示すように、まず、シート外側出口センサ21Aの初期温度(温度センサ初期値)Tstartを計測しておき、そして、その初期温度Tstartとウォータポンプ13aの作動後の現在温度Trefとを比較して、Tstart<Trefとなった時点で熱交換媒体の入れ代わりを判断できる。
【0051】
また、シート内側出口センサ22Aを用いた場合のシート内熱交換器11とシート外熱交換器12との熱交換媒体の入れ代わりの判断は、表1のケース2に示すように、まず、シート内側出口センサ22Aの初期温度(温度センサ初期値)Ttartを計測しておき、そして、その初期温度Tstartとウォータポンプ13aの作動後の現在温度Trefとを比較して、Tstart>Trefとなった時点で熱交換媒体の入れ代わりを判断できる。
【0052】
したがって、シート冷却制御回路23によるウォータポンプ13aの作動・停止制御は、図4に示すフローチャートによって実行することができ、まず、ステップS1によって初期作動手段であるイグニッションスイッチ(IGN)20がONされると、ステップS2によって初期温度Tstartを読み込んだ後、ステップS3でウォータポンプ13aを作動し、シート内熱交換器11とシート外熱交換器12との間で熱交換媒体を循環させる。
【0053】
次に、ステップS4で現在温度Trefを計測して、それが表1の条件(ケース1またはケース2)に適合したかどうかを判断し、適合した場合はステップS5によってウォータポンプ13aを停止する信号を出力する。
【0054】
以上の構成により本実施形態にかかるシート面冷房装置によれば、夏期炎天下で長時間駐車した場合には、車室内に照射される直射日光によって車両用シート1の表面側となるシートクッション2やシートバック3のシート面2a,3aは高温化される。このとき、車両用シート1の裏面側、つまり、シートクッション2の下面2bやシートバック3の後側面、特に、本実施形態ではシートクッション2の下面2bは直射日光が遮られて低温状態、つまり、車室内の雰囲気温度と略同等となる。
【0055】
このため、シートクッション2の下面2b側に配置されたシート外熱交換器13は、車室内雰囲気温度と略同等の低温状態となる一方、シートクッション2およびシートバック3のシート面2a,3a側に配置したシートクッション側熱交換器11Aおよびシートバック側熱交換器11Bは高温状態となっている。
【0056】
そして、このように長時間駐車した車両のイグニッションスイッチ20をONすると、これに伴って媒体循環手段13のウォータポンプ13aが作動されて、シート外熱交換器12とシート内熱交換器11との間で熱交換媒体が循環されて、シート外熱交換器12の低温状態にある熱交換媒体がシート内熱交換器11に供給されることにより、このシート内熱交換器11を冷却し、ひいては、熱交換媒体によってシート面2a,3aをむら無く冷却することができる。
【0057】
また、このように熱交換媒体が循環された後、シート外熱交換器12内の媒体温度を検出するシート外熱交換器側センサ21またはシート内熱交換器11内の媒体温度を検出するシート内熱交換器側センサ22の温度変化から、シート冷却制御回路23によってウォータポンプ13aの停止タイミングが制御される。
【0058】
したがって、低温状態にあるシート外熱交換器12内の熱交換媒体がシート内熱交換器11に供給された時点でウォータポンプ13aを停止することができるため、シート内熱交換器11が最も冷却された時点で熱交換媒体の循環を停止させることができ、ひいては、シート面2a,3aの冷却効率を向上することができる。
【0059】
さらに、シート冷却制御回路23は、シート外熱交換器側センサ21およびシート内熱交換器側センサ22のうちいずれか一つの温度変化によって、シート内熱交換器11の熱交換媒体がシート外熱交換器12の熱交換媒体と略入れ代わったと判断した時点でウォータポンプ13aに停止信号を出力するので、シート外熱交換器側センサ21またはシート内熱交換器側センサ22のいずれか一つのセンサでよく、構成を簡素化できるとともに安価な車両用シートを提供することができる。
【0060】
さらにまた、シート外熱交換器側センサ21は、シート外熱交換器12の媒体出口部分に配置されるシート外側出口センサ21Aであり、また、シート内熱交換器側センサ22は、シート内熱交換器11の媒体出口部分に配置されるシート内側出口センサ22Aであるので、シート内熱交換器11の熱交換媒体とシート外熱交換器12の熱交換媒体との入れ代わりをより的確に判断することができる。
【0061】
(第2実施形態)図5は、本実施形態にかかるシート面冷房装置を制御するためのフローチャートを示す説明図である。なお、本実施形態にかかるシート面冷房装置は、上記第1実施形態にかかるシート面冷房装置と同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0062】
本実施形態にかかるシート面冷房装置は、基本的に第1実施形態のシート面冷房装置10と略同様に構成されており、イグニッションスイッチ(IGN)20でウォータポンプ13aを初期作動するとともに、シート冷却制御回路23によってウォータポンプ13aの停止タイミングを制御するようになっている。
【0063】
ただし、本実施形態では、シート冷却制御回路23が、シート外熱交換器側センサ21またはシート内熱交換器側センサ22のいずれか一つの温度変化によって、シート内熱交換器11の熱交換媒体とシート外熱交換器12の熱交換媒体との入れ代わりを開始したと判断した後、温度変化がピーク温度を通過したと判断した時点でウォータポンプ13aに停止信号を出力するようになっている。
【0064】
シート外熱交換器側センサ21は、図2に示すように、シート外熱交換器12の媒体入口部分に配置されるシート外側入口センサ21Bであり、また、シート内熱交換器側センサ22は、シート内熱交換器11の媒体入口部分に配置されるシート内側入口センサ22Bである。
【0065】
したがって、シート外側入口センサ21Bまたはシート内側入口センサ22Bを用いて、シート内熱交換器11の熱交換媒体がシート外熱交換器12の熱交換媒体と略入れ代わったとする判断は、表2に示す温度変化で知ることができる。
【表2】

【0066】
すなわち、シート外側入口センサ21Bを用いた場合のシート内熱交換器11とシート外熱交換器12との熱交換媒体の入れ代わりの判断は、表2のケース3に示すように、まず、シート外側入口センサ21Bの初期温度(温度センサ初期値)Tstartを計測しておき、そして、その初期温度Tstartとウォータポンプ13aの作動後の現在温度Trefとを比較して、Tstart<Trefとなった時点で熱交換媒体の入れ代わりを開始したと判断できる。
【0067】
また、シート内側入口センサ22Bを用いた場合のシート内熱交換器11とシート外熱交換器12との熱交換媒体の入れ代わりの判断は、表2のケース4に示すように、まず、シート内側入口センサ22Bの初期温度(温度センサ初期値)Ttartを計測しておき、そして、その初期温度Tstartとウォータポンプ13aの作動後の現在温度Trefとを比較して、Tstart>Trefとなった時点で熱交換媒体の入れ代わりを開始したと判断できる。
【0068】
さらに、シート外熱交換器側センサ21とシート内熱交換器側センサ22の温度変化がピーク温度Tpeakを通過したことの判断は、シート外側入口センサ21Bを用いた場合は、現在温度Trefからピーク温度Tpeakを求めておき、表3のケース5に示すようにそのピーク温度Tpeakと現在温度Trefとを比較して、Tpeak>Trefとなることで判断できる。
【表3】

【0069】
また、シート内側入口センサ22Bを用いた場合のシート外熱交換器側センサ21とシート内熱交換器側センサ22の温度変化がピーク温度Tpeakを通過したことの判断は、表3のケース6に示すように現在温度Trefから求めたピーク温度Tpeakと現在温度Trefとを比較して、Tpeak<Trefとなることで判断できる。
【0070】
したがって、シート冷却制御回路23によるウォータポンプ13aの作動・停止制御は、図5に示すフローチャートによって実行することができ、まず、ステップS11によって初期作動手段であるイグニッションスイッチ(IGN)20がONされると、ステップS12によって初期温度Tstartを読み込んだ後、ステップS13でウォータポンプ13aを作動し、シート内熱交換器11とシート外熱交換器12との間で熱交換媒体を循環させる。
【0071】
次に、ステップS14で現在温度Trefを計測して、それが表2の条件(ケース3またはケース4)に適合したかどうかを判断し、適合した場合はステップS15によって現在温度Trefをピーク温度Tpeakとした後、ステップS16によって表3の条件(ケース5またはケース6)に適合したかどうかを判断し、適合した場合はステップS17によってウォータポンプ13aを停止する信号を出力する。
【0072】
したがって、本実施形態にかかるシート面冷房装置によれば、シート外熱交換器側センサ21またはシート内熱交換器側センサ22の温度変化からシート冷却制御回路23によってウォータポンプ13aの停止タイミングが制御されるのであるが、本実施形態ではシート外熱交換器側センサ21またはシート内熱交換器側センサ22のいずれか一つの温度変化で、シート内熱交換器11の熱交換媒体とシート外熱交換器12の熱交換媒体との入れ代わりを開始したと判断した後、温度変化がピーク温度Tpeakを通過したと判断した時点で、ウォータポンプ13aに停止信号を出力するようになっている。
【0073】
このように、ピーク温度Tpeakからウォータポンプ13aの停止タイミングを制御できるので、シート内熱交換器11の熱交換媒体とシート外熱交換器12の熱交換媒体との入れ代わり判断をより的確に行うことができ、また、本実施形態にあってもシート外熱交換器側センサ21またはシート内熱交換器側センサ22のいずれか一つのセンサでよく、構成を簡素化できるとともに安価な車両用シートを得ることができる。
【0074】
また、シート外熱交換器側センサ21は、図2に示すように、シート外熱交換器12の媒体入口部分に配置されるシート外側入口センサ21Bであり、また、シート内熱交換器側センサ22は、シート内熱交換器11の媒体入口部分に配置されるシート内側入口センサ22Bであるので、ピーク値Tpeakからウォータポンプ13aの停止タイミングを制御する場合に、シート内熱交換器11の熱交換媒体とシート外熱交換器12の熱交換媒体との入れ代わりをより的確に判断することができる。
【0075】
(第3実施形態)図6は、本実施形態にかかるシート面冷房装置の制御ブロック図、図7はシート面冷房装置を制御するためのフローチャートを示す説明図である。なお、本実施形態にかかるシート面冷房装置は、上記第1実施形態にかかるシート面冷房装置と同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0076】
本実施形態にかかるシート面冷房装置10Aは、図6に示すように、基本的に第1実施形態のシート面冷房装置10と略同様に構成されており、イグニッションスイッチ(IGN)20でウォータポンプ13aを初期作動するとともに、シート冷却制御回路23によってウォータポンプ13aの停止タイミングを制御するようになっている。
【0077】
ただし、本実施形態では、シート冷却制御回路23は、図6に示すように、シート外熱交換器側センサ21およびシート内熱交換器側センサ22の二つの温度変化によって、シート内熱交換器11の熱交換媒体がシート外熱交換器12の熱交換媒体と略入れ代わったと判断した時点でウォータポンプ13aに停止信号を出力するようになっている。
【0078】
このとき、シート外熱交換器側センサ21は、第1実施形態と同様にシート外熱交換器12の媒体出口部分に配置されるシート外側出口センサ21Aであり、また、シート内熱交換器側センサ22は、シート内熱交換器11の媒体出口部分に配置されるシート内側出口センサ22Aである(図2参照)。
【0079】
したがって、シート外側出口センサ21Aおよびシート内側出口センサ22Aを用いて、シート内熱交換器11の熱交換媒体がシート外熱交換器12の熱交換媒体と略入れ代わったとする判断は、表4に示す温度変化で知ることができる。
【表4】

【0080】
すなわち、熱交換媒体の入れ代わりの判断は、まず、シート外側出口センサ21Aおよびシート内側出口センサ22Aの両者の初期温度(温度センサ初期値)Tstartを計測しておき、そして、それら初期温度Tstartとウォータポンプ13aの作動後のそれぞれの現在温度Trefとを比較して、シート外側出口センサ21Aの検出値がTstart<Trefとなるとともに、シート内側出口センサ22Aの検出値がTstart>Trefとなった時点で熱交換媒体の入れ代わりを判断できる。
【0081】
したがって、シート冷却制御回路23によるウォータポンプ13aの作動・停止制御は、図7に示すフローチャートによって実行することができ、まず、ステップS21によって初期作動手段であるイグニッションスイッチ(IGN)20がONされると、ステップS22によって二つの出口センサ21A,22Aの初期温度Tstartを読み込んだ後、ステップS23でウォータポンプ13aを作動し、シート内熱交換器11とシート外熱交換器12との間で熱交換媒体を循環させる。
【0082】
次に、ステップS24で二つの出口センサ21A,22Aの現在温度Trefを計測して、それが表4の条件に適合したかどうかを判断し、適合した場合はステップS25によってウォータポンプ13aを停止する信号を出力する。
【0083】
したがって、本実施形態にかかるシート面冷房装置によれば、シート内熱交換器11の熱交換媒体とシート外熱交換器12の熱交換媒体との入れ代わりを、シート外熱交換器側センサ21およびシート内熱交換器側センサ22の二つの温度変化で判断することができるので、シート内熱交換器11の熱交換媒体とシート外熱交換器12の熱交換媒体との入れ代わりをより正確に判断でき、シート面2a,3aの冷却効果をより高めることができる。
【0084】
また、本実施形態にあっても上記第1実施形態と同様に、シート外熱交換器側センサ21は、シート外熱交換器12の媒体出口部分に配置されるシート外側出口センサ21Aであり、また、シート内熱交換器側センサ22は、シート内熱交換器11の媒体出口部分に配置されるシート内側出口センサ22Aであるので、シート内熱交換器11の熱交換媒体とシート外熱交換器12の熱交換媒体との入れ代わりをより的確に判断することができる。
【0085】
(第4実施形態)図8は、本実施形態にかかるシート面冷房装置を制御するためのフローチャートを示す説明図である。なお、本実施形態にかかるシート面冷房装置は、上記第2実施形態にかかるシート面冷房装置と同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0086】
本実施形態にかかるシート面冷房装置は、基本的に第2実施形態のシート面冷房装置10Aと略同様に構成されており、イグニッションスイッチ(IGN)20でウォータポンプ13aを初期作動するとともに、シート冷却制御回路23によってウォータポンプ13aの停止タイミングを制御するようになっており、かつ、シート冷却制御回路23は、シート外熱交換器側センサ21およびシート内熱交換器側センサ22の二つの温度変化で、シート内熱交換器11の熱交換媒体とシート外熱交換器12の熱交換媒体との入れ代わりを判断するようになっている。
【0087】
ただし、本実施形態では、シート冷却制御回路23は、シート外熱交換器側センサ21およびシート内熱交換器側センサ22の二つの温度変化によって、シート内熱交換器11の熱交換媒体とシート外熱交換器12の熱交換媒体との入れ代わりを開始したと判断した後、温度変化がピーク温度Tpeakを通過したと判断した時点でウォータポンプ13aに停止信号を出力するようになっている。
【0088】
このとき、シート外熱交換器側センサ21は、第2実施形態と同様にシート外熱交換器12の媒体入口部分に配置されるシート外側入口センサ21Bであり、また、シート内熱交換器側センサ22は、シート内熱交換器11の媒体入口部分に配置されるシート内側入口センサ22Bである(図2参照)。
【0089】
したがって、シート外側入口センサ21Bおよびシート内側入口センサ22Bの両者を用いて、シート内熱交換器11の熱交換媒体がシート外熱交換器12の熱交換媒体と略入れ代わったとする判断は、表5に示す温度変化で知ることができる。
【表5】

【0090】
すなわち、熱交換媒体の入れ代わりの判断は、まず、シート外側入口センサ21Bおよびシート内側入口センサ22Bの両者の初期温度(温度センサ初期値)Tstartを計測しておき、そして、それら初期温度Tstartとウォータポンプ13aの作動後のそれぞれの現在温度Trefとを比較して、表5に示すようにシート外側入口センサ21Bの検出値がTstart<Trefとなるとともに、シート内側入口センサ22Bの検出値がTstart>Trefとなった時点で熱交換媒体の入れ代わりを判断できる。
【0091】
また、シート外熱交換器側センサ21とシート内熱交換器側センサ22の温度変化がピーク温度Tpeakを通過したことの判断は、シート外側入口センサ21Bおよびシート内側入口センサ22Bの両者の現在温度Trefからピーク温度Tpeakをそれぞれ求めておき、表6に示すようにシート外側入口センサ21Bの検出値がTpeak>Trefとなるとともに、シート内側入口センサ22Bの検出値がTpeak>Trefとなることで判断できる。
【表6】

【0092】
したがって、シート冷却制御回路23によるウォータポンプ13aの作動・停止制御は、図8に示すフローチャートによって実行することができ、まず、ステップS31によって初期作動手段であるイグニッションスイッチ(IGN)20がONされると、ステップS32によって二つの入口センサ21B,22Bの初期温度Tstartを読み込んだ後、ステップS33でウォータポンプ13aを作動し、シート内熱交換器11とシート外熱交換器12との間で熱交換媒体を循環させる。
【0093】
次に、ステップS34で二つの入口センサ21B,22Bの現在温度Trefを計測して、それが表5の条件に適合したかどうかを判断し、適合した場合はステップS35によってそれぞれの現在温度Trefをピーク温度Tpeakとした後、ステップS36によって表6の条件に適合したかどうかを判断し、適合した場合はステップS37によってウォータポンプ13aを停止する信号を出力する。
【0094】
したがって、本実施形態にかかるシート面冷房装置によれば、シート内熱交換器11の熱交換媒体とシート外熱交換器12の熱交換媒体との入れ代わりを、シート外熱交換器側センサ21およびシート内熱交換器側センサ22の二つの温度変化で判断することができるので、シート内熱交換器11の熱交換媒体とシート外熱交換器12の熱交換媒体との入れ代わりをより正確に判断でき、シート面2a,3aの冷却効果をより高めることができる。
【0095】
また、本実施形態にあっても、上記第1実施形態と同様に、シート外熱交換器側センサ21は、シート外熱交換器12の媒体出口部分に配置されるシート外側出口センサ21Aであり、また、シート内熱交換器側センサ22は、シート内熱交換器11の媒体出口部分に配置されるシート内側出口センサ22Aであるので、シート内熱交換器11の熱交換媒体とシート外熱交換器12の熱交換媒体との入れ代わりをより的確に判断することができる。
【0096】
(第5実施形態)図9は、本実施形態にかかるシート面冷房装置の制御ブロック図である。なお、本実施形態にかかるシート面冷房装置は、上記第1実施形態にかかるシート面冷房装置と同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0097】
本実施形態にかかるシート面冷房装置10Bは、基本的に第1実施形態のシート面冷房装置10と略同様に構成されており、イグニッションスイッチ(IGN)20でウォータポンプ13aを初期作動するとともに、シート外熱交換器側センサ21および/またはシート内熱交換器側センサ22の温度変化に基づいてシート冷却制御回路23がウォータポンプ13aの停止タイミングを制御するようになっている。
【0098】
ただし、本実施形態では、図9に示すように、シート冷却制御回路23によるウォータポンプ13aの作動・停止制御に、イグニッションスイッチ(IGN)20とシート外熱交換器側センサ21および/またはシート内熱交換器側センサ22以外に、室温や外気温や日射量等による車体の熱負荷状態を検出する熱負荷検出手段24の検出値を付加して、ウォータポンプ13aの停止タイミングを制御するようにしてある。
【0099】
すなわち、熱負荷検出手段24としては、本実施形態では室温センサ25、外気温センサ26および日射センサ27等が用いられる。
【0100】
したがって、本実施形態のシート面冷房装置によれば、シート冷却制御回路23は、室温センサ25や外気温センサ26および日射センサ27等の熱負荷検出手段24の検出値を付加してウォータポンプ13aの停止タイミングを制御できるので、室温や外気温や日射量等に起因する車体の熱負荷状態に応じてウォータポンプ13aの停止タイミングをより細かく制御することができる。
【0101】
(第6実施形態)図10は、本実施形態にかかるシート面冷房装置の制御ブロック図である。なお、本実施形態にかかるシート面冷房装置は、上記第1実施形態にかかるシート面冷房装置と同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0102】
本実施形態にかかるシート面冷房装置10Cは、基本的に第1実施形態のシート面冷房装置10と略同様に構成されており、イグニッションスイッチ(IGN)20でウォータポンプ13aを初期作動するとともに、シート外熱交換器側センサ21および/またはシート内熱交換器側センサ22の温度変化に基づいてシート冷却制御回路23がウォータポンプ13aの停止タイミングを制御するようになっている。
【0103】
ここで、本実施形態では、図10に示すように、シート冷却制御回路23は、図示省略した空調装置の稼働状況を空調制御回路28によって検出し、その検出値を付加してウォータポンプ13aの停止タイミングを制御するようにしてある。
【0104】
この場合、空調制御回路28には、第5実施形態に示した室温センサ25や外気温センサ26および日射センサ27等の熱負荷検出手段24の検出値が入力され、その検出値に基づいて空調制御が行われるようになっている。
【0105】
したがって、本実施形態にかかるシート面冷房装置によれば、シート冷却制御回路23は、空調装置(空調制御回路28)の検出値を付加してウォータポンプ13aの停止タイミングを制御できるので、空調装置の制御状態に応じてウォータポンプ13aの停止タイミングをより細かく制御することができる。
【0106】
(第7実施形態)図11は、本実施形態にかかるシート面冷房装置の制御ブロック図である。なお、本実施形態にかかるシート面冷房装置は、上記第6実施形態にかかるシート面冷房装置と同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0107】
本実施形態のシート面冷房装置10Dは、第6実施形態のシート面冷房装置10Cにシート面を暖房するヒーター29を付加した構成となり、したがって、このようにヒーター29を付加したことによって、シート面冷房装置10Cのシート冷却制御回路23は本実施形態のシート面冷房装置10Dでシート冷暖房制御回路23Aとなり、また、そのシート冷暖房制御回路23Aにはシート温度センサ30の検出値が入力される。
【0108】
したがって、本実施形態にかかるシート面冷房装置10Dによれば、シート面2a,3aの暖房も可能になるとともに、シート冷暖房制御回路23Aはそのシート面2a,3aの冷房を協調させつつ暖房が可能となり、冬季に車両用シート1に着座した際の心地良さを増すことができる。
【0109】
ところで、上記各実施形態では、シート冷却制御回路23(シート冷暖房制御回路23A)は、ウォータポンプ13aの停止タイミングの制御を制御する場合を例示したが、これに限られるものではなく、シート外熱交換器側センサ21の温度がシート内熱交換器側センサ22の温度よりも高くなった時点でウォータポンプ13aを停止するとともに、シート外熱交換器側センサ21の温度がシート内熱交換器側センサ22の温度よりも低くなった時点でウォータポンプ13aを再作動することができる。
【0110】
この場合、各実施形態では図2に示すようにシート外熱交換器12には、シート外側出口センサ21Aまたはシート外側入口センサ21Bを設け、かつ、シート内熱交換器11には、シート内側出口センサ22Aまたはシート内側入口センサ22Bを設けた場合を開示したが、これに限ることなくシート外熱交換器12の中間部にシート外側中間センサ21Cを設けるとともに、シート内熱交換器11の中間部にシート内側中間センサ22Cを設け、これらシート外側中間センサ21Cおよびシート内側中間センサ22Cの検出温度をシート冷却制御回路23に入力して、ウォータポンプ13aの停止および再作動のタイミングを、下記の(a)〜(d)に示すように制御することもできる。
【0111】
(a)シート外側出口センサ21A(検出温度T1out)とシート内側入口センサ22B(検出温度T2in)とを用いた場合、T1out>T2inでウォータポンプ13aを停止するとともに、T1out<T2inでウォータポンプ13aを再作動させる。
【0112】
(b)シート外側出口センサ21A(検出温度T1out)とシート内側出口センサ22A(検出温度T2out)とを用いた場合、T1out>T2outでウォータポンプ13aを停止するとともに、T1out<T2outでウォータポンプ13aを再作動させる。
【0113】
(c)シート外側入口センサ21B(検出温度T1in)とシート内側出口センサ22A(検出温度T2out)とを用いた場合、T1in>T2outでウォータポンプ13aを停止するとともに、T1in<T2outでウォータポンプ13aを再作動させる。
【0114】
(d)シート外側中間センサ21C(検出温度T1mid)とシート内側中間センサ22C(検出温度T2mid)とを用いた場合、T1mid>T2midでウォータポンプ13aを停止するとともに、T1mid<T2midでウォータポンプ13aを再作動させる。
【0115】
したがって、このようにシート冷却制御回路23(シート冷暖房制御回路23A)は、シート外熱交換器側センサ21の温度がシート内熱交換器側センサ22の温度よりも高くなった時点でウォータポンプ13aを停止するとともに、シート外熱交換器側センサ21の温度がシート内熱交換器側センサ22の温度よりも低くなった時点でウォータポンプ13aを再作動することができるので、常にシート外熱交換器12で低温化された熱交換媒体をシート内熱交換器11で温められた熱交換媒体と入れ代えて、シート面2a,3aの冷却効果をより長く維持することができる。
【0116】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0117】
例えば、上記各実施形態では、シートクッション2のシート面2aおよびシートバック3のシート面3aに、シートクッション側熱交換器11Aおよびシートバック側熱交換器11Bを設けて、シートクッション2とシートバック3の両方を冷暖房するようにした場合を開示したが、シート内熱交換器11は、シートクッション2のシート面2aまたはシートバックのシート面3aのいずれか一方に設けてもよく、さらには、ヘッドレスト4の前面にシート内熱交換器11を設けることもできる。
【0118】
また、初期作動手段としてイグニッションスイッチ20を用いたが、これには限られず、乗員が着座した状態、若しくは着座しようとする状態を検知する手段、例えば、乗員の着座状態を検知するスイッチ、またはドアの開放を検知するドアスイッチやドアロックスイッチ等の信号を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるシート面冷房装置を搭載した車両用シートの側断面図。
【図2】本発明の第1実施形態にかかるシート面冷房装置を展開して示す概略構成図。
【図3】本発明の第1実施形態にかかるシート面冷房装置の制御ブロック図。
【図4】本発明の第1実施形態にかかるシート面冷房装置を制御するためのフローチャートを示す説明図。
【図5】本発明の第2実施形態にかかるシート面冷房装置を制御するためのフローチャートを示す説明図。
【図6】本発明の第3実施形態にかかるシート面冷房装置の制御ブロック図。
【図7】本発明の第3実施形態にかかるシート面冷房装置を制御するためのフローチャートを示す説明図。
【図8】本発明の第4実施形態にかかるシート面冷房装置を制御するためのフローチャートを示す説明図。
【図9】本発明の第5実施形態にかかるシート面冷房装置の制御ブロック図。
【図10】本発明の第6実施形態にかかるシート面冷房装置の制御ブロック図。
【図11】本発明の第7実施形態にかかるシート面冷房装置の制御ブロック図。
【符号の説明】
【0120】
1 車両用シート
2 シートクッション
2a シートクッションのシート面
3 シートバック
3a シートバックのシート面
10,10A,10B,10C,10D シート面冷房装置
11 シート内熱交換器
11A シートクッション側熱交換器(シート内熱交換器)
11B シートバック側熱交換器(シート内熱交換器)
12 シート外熱交換器
13 媒体循環手段
13a ウォータポンプ
20 イグニッションスイッチ(初期作動手段)
21 シート外熱交換器側センサ
21A シート外側出口センサ
21B シート外側入口センサ
21C シート外側中間センサ
22シート内熱交換器側センサ
22A シート内側出口センサ
22B シート内側入口センサ
22C シート内側中間センサ
23 シート冷却制御回路(作動停止制御手段)
24 熱負荷検出手段
28 空調制御回路(空調装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッション(2)やシートバック(3)からなる車両用シート(1)の表面側となるシート面(2a,3a)の内部に埋設されたシート内熱交換器(11)と、
前記車両用シート(1)の裏面側に配置されたシート外熱交換器(12)と、
前記シート内熱交換器(11)と前記シート外熱交換器(12)との間で熱交換媒体を循環させる媒体循環手段(13)と、
前記媒体循環手段(13)を作動開始させる初期作動手段(20)と、
前記シート内熱交換器(11)内の媒体の温度変化および前記シート外熱交換器(12)内の媒体の温度変化のうち少なくともいずれか一つに基づいて前記媒体循環手段(13)の停止タイミングを制御する作動停止制御手段(23)と、
を備えたことを特徴とする車両用シートのシート面冷房装置。
【請求項2】
前記作動停止制御手段(23)は、前記シート内熱交換器(11)内の媒体の温度変化および前記シート外熱交換器(12)内の媒体の温度変化のうち少なくともいずれか一つに基づいて、前記シート内熱交換器(11)の熱交換媒体が前記シート外熱交換器(12)の熱交換媒体と略入れ代わったと判断した時点で前記媒体循環手段(13)に停止信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の車両用シートのシート面冷房装置。
【請求項3】
前記作動停止制御手段(23)は、前記シート内熱交換器(11)内の媒体の温度変化および前記シート外熱交換器(12)内の媒体の温度変化のうち少なくともいずれか一つに基づいて、前記シート内熱交換器(11)の熱交換媒体と前記シート外熱交換器(12)の熱交換媒体との入れ代わりを開始したと判断した後、前記温度変化がピーク温度を通過したと判断した時点で前記媒体循環手段(13)に停止信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の車両用シートのシート面冷房装置。
【請求項4】
前記作動停止制御手段(23)は、前記シート内熱交換器(11)内の媒体の温度変化および前記シート外熱交換器(12)内の媒体の温度変化の双方に基づいて、前記シート内熱交換器(11)の熱交換媒体が前記シート外熱交換器(12)の熱交換媒体と略入れ代わったと判断した時点で前記媒体循環手段(13)に停止信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の車両用シートのシート面冷房装置。
【請求項5】
前記作動停止制御手段(23)は、前記シート内熱交換器(11)内の媒体の温度変化および前記シート外熱交換器(12)内の媒体の温度変化の双方に基づいて、前記シート内熱交換器(11)の熱交換媒体と前記シート外熱交換器(12)の熱交換媒体との入れ代わりを開始したと判断した後、前記温度変化がピーク温度を通過したと判断した時点で前記媒体循環手段(13)に停止信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の車両用シートのシート面冷房装置。
【請求項6】
前記シート外熱交換器(12)内の媒体温度を、当該シート外熱交換器(12)の適宜部位で検出するシート外熱交換器側センサ(21)を備え、
前記シート外熱交換器側センサ(21)は、シート外熱交換器(12)の媒体出口部分に配置されることを特徴とする請求項2または4に記載の車両用シートのシート面冷房装置。
【請求項7】
前記シート内熱交換器(11)内の媒体温度を、当該シート内熱交換器(11)の適宜部位で検出するシート内熱交換器側センサ(22)を備え、
前記シート内熱交換器側センサ(22)は、シート内熱交換器(11)の媒体出口部分に配置されることを特徴とする請求項2または4に記載の車両用シートのシート面冷房装置。
【請求項8】
前記シート外熱交換器(12)内の媒体温度を、当該シート外熱交換器(12)の適宜部位で検出するシート外熱交換器側センサ(21)を備え、
前記シート外熱交換器側センサ(21)は、シート外熱交換器(12)の媒体入口部分に配置されることを特徴とする請求項3または5に記載の車両用シートのシート面冷房装置。
【請求項9】
前記シート内熱交換器(11)内の媒体温度を、当該シート内熱交換器(11)の適宜部位で検出するシート内熱交換器側センサ(22)を備え、
前記シート内熱交換器側センサ(22)は、シート内熱交換器(11)の媒体入口部分に配置されることを特徴とする請求項3または5に記載の車両用シートのシート面冷房装置。
【請求項10】
前記作動停止制御手段(23)は、室温や外気温や日射量等による車体の熱負荷状態を検出する熱負荷検出手段(24)の検出値を付加して、前記媒体循環手段(13)の停止タイミングを制御することを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか一つに記載の車両用シートのシート面冷房装置。
【請求項11】
前記作動停止制御手段(23)は、空調装置の稼働状況の検出値を付加して、前記媒体循環手段(13)の停止タイミングを制御することを特徴とする請求項1〜10のうちいずれか一つに記載の車両用シートのシート面冷房装置。
【請求項12】
前記作動停止制御手段(23)は、前記シート内熱交換器(11)内の媒体温度がシート外熱交換器(12)内の媒体温度よりも低くなった時点で前記媒体循環手段(13)を停止するとともに、前記シート内熱交換器(11)内の媒体温度がシート外熱交換器(12)内の媒体温度よりも高くなった時点で前記媒体循環手段(13)を再作動することを特徴とする請求項1に記載の車両用シートのシート面冷房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−99735(P2008−99735A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282781(P2006−282781)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】