車両用シート空調装置
【課題】乗員の体格に基づいてシート空調の出力を制限することにより、車両全体の電力消費を抑制するようにした車両用シート空調装置を提供する。
【解決手段】車両用シート空調装置は、車両のシート1に設けられた空調装置10(10A,10B)と、シート1に着座した乗員を撮影するカメラ110(体格情報取得手段)と、カメラ110の画像に基づいて求めた乗員の体の大きさ(体格情報)が基準値未満であるときは空調装置10(10A,10B)の動作を通常モードに設定し、乗員の体の大きさが基準値以上であるときは空調装置10(10A,10B)の動作を通常モードよりも動作出力が制限される制限モードに設定するECU103(空調制御手段)と、を備える。
【解決手段】車両用シート空調装置は、車両のシート1に設けられた空調装置10(10A,10B)と、シート1に着座した乗員を撮影するカメラ110(体格情報取得手段)と、カメラ110の画像に基づいて求めた乗員の体の大きさ(体格情報)が基準値未満であるときは空調装置10(10A,10B)の動作を通常モードに設定し、乗員の体の大きさが基準値以上であるときは空調装置10(10A,10B)の動作を通常モードよりも動作出力が制限される制限モードに設定するECU103(空調制御手段)と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用シート空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車室内空間は、一般住居等に比較すると空間容積が小さく、また、窓を閉めきると密閉空間となり、例えば、ガラス越しに漏入する熱線により駐車中の車内温度は夏季には異常に上昇する。しかし、一般の自動車用空調装置は集中型であり、車室内の空間全体の空気温度を下げるべく設計されているので、どうしても温度調節に時間がかかる問題がある。
【0003】
そこで、下記特許文献1,2には、シート内に局所空調装置を組み込み、ヘッドレストや手すり等に設けた吹き出し口から冷風を吹き出すことで、車室内を分散空調する方式が提案されている。また、下記特許文献1,3には、ペルチェモジュールをシートバックや座部に組み込み、冷却シートを介して冷却する方式も提案されている。さらに、下記特許文献2には、シートに組み込んだファンによりペルチェモジュールの冷却ブロックに送風し、シートに形成された吹出口から座面に吹き出すようにした局所冷房装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特許第3301109号公報
【特許文献2】特開2006−131106号公報
【特許文献3】特開2002−233431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載された車両用シート空調装置では、乗員の体が大きい場合、吹出口が乗員により遮蔽されて空調風がシート外へ吹き出さないことがある。また、乗員の体重が重い場合、吹出口が乗員により塞がれて(押し潰されて)空調風がシート外へ吹き出さないこともある。これらの場合には、シート空調の効率が低下するが、その時の電力は通常時と同等に消費されるので、無駄に電力が消費されてしまうという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、乗員の体格に基づいてシート空調の出力を制限することにより、車両全体の電力消費を抑制するようにした車両用シート空調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の車両用シート空調装置は、車両のシートに設けられた空調装置と、シートに着座した乗員の体格情報を取得する体格情報取得手段と、体格情報取得手段により取得された乗員の体格情報に基づいて、乗員の体格が基準値未満であるときは空調装置の動作を通常モードに設定し、乗員の体格が基準値以上であるときは空調装置の動作を通常モードよりも動作出力が制限される制限モードに設定する空調制御手段と、を備えたことを特徴とする。この場合、乗員の体格情報は、例えば乗員の体の大きさまたは体重であると好適である。ここで、「基準値」とは、例えば乗員により遮蔽される吹出口が多くなることでシート空調の効率が低下してしまう程度に大きく設定された体の面積、周長等を意味し、また例えば乗員により塞がれる(押し潰される)吹出口が多くなることでシート空調の効率が低下してしまう程度に重く設定された重量を意味する。
【0008】
本発明の車両用シート空調装置では、体格情報取得手段により取得された乗員の体格情報に基づいて、乗員の体格が基準値以上であるときは通常時よりも空調装置の動作出力が制限される。したがって、乗員の体格に起因してシート空調の効率が低下する場合は、シート空調の作動が制限されるので、空調装置の無駄な動作を回避することができ、車両全体の電力消費を効果的に抑制することができる。
【0009】
本発明の実施に際して、空調装置は、シート内の導風通路部に配置されたペルチェモジュールおよび送風機と、導風通路部を通してシート外へ吹き出される空調風の温度を設定するための温度設定手段とを備え、空調制御手段は、通常モードにおいて、温度設定手段により設定された温度に近づくように空調装置の動作を制御するものであるとよい。これによれば、ペルチェモジュールの採用により、シートへ冷媒配管等を引き込む必要がなくなり、空調装置の構造を大幅に簡易化することができる。また、ペルチェモジュールはシート毎に容易に設けることができるので、乗員毎に異なる条件で空調制御することもできる。さらに、エンジンを始動せずとも、ペルチェモジュールへの電力供給さえなされれば動作が可能である。ただし、ペルチェモジュールは、外部からの電力供給により熱電子を媒介として熱移動を行なう原理上、電力消費率の高いパワー機器であり(シートに内蔵できる小形のものでも、5〜15A、50〜150W程度)、エンジンを始動せずに長時間動作を継続させるとバッテリーの消耗が進みやすい問題がある。しかしながら、本発明の採用により、乗員の体格が基準値以上である場合に、ペルチェモジュールの動作を制限するようにすることで、バッテリーの消耗を効果的に抑制することができる。
【0010】
また、本発明の実施に際して、空調制御手段は、制限モードにおいて空調装置の動作を停止させるように構成することができる。このようにすると、制限モードでのバッテリーの消耗を最大限に抑制することができる。他方、空調制御手段は、制限モードにおいて、動作出力を通常モードよりも低減した状態にて空調装置の動作を継続させるように構成することもできる。この場合、通常モードよりは低出力にて空調装置の動作が継続されるので、制限モードでのバッテリーの消耗をゼロにすることはできないが、シートの予熱(暖房時)あるいは予冷(冷房時)等を効果的に行なうことができるので便利である。例えば、空調装置からの空調風の温度を設定するための温度設定手段を設ける場合、空調制御手段は、制限モードにおいて、温度設定許容範囲の高出力側の限界値を出力低減方向に変更設定するように構成することができる。「温度設定許容範囲の高出力側の限界値」とは、空調が暖房である場合は温度設定許容範囲の上限値を、同じく冷房である場合は温度設定許容範囲の下限値を意味する。すなわち、制限モードにおいて空調装置を完全に停止させるのではなく、暖房であれば設定温度上限値を引き下げる向きに、冷房であれば設定温度下限値を引き上げる向きに変更することで、温度設定手段による現在の設定温度入力値が、変更後の上限値ないし下限値を逸脱する値になっていても、実際の設定温度は該変更後の上限値ないし下限値により制限され、空調出力が過大な状態となることを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
a.第1実施形態
以下、本発明の各実施形態を添付の図面を用いて説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る車両用シート空調装置を示す全体概要図である。この車両用シート空調装置は、自動車のシート1に組み込まれている。シート1は、乗員の臀部を乗せる座部101と、背中を当てる背もたれ部102と、背もたれ部102の頂部に取り付けられたヘッドレスト2とを有する。そして、座部101及び背もたれ部102の各表皮103には吹出口(風穴)104が形成されている。
【0012】
座部101及び背もたれ部102の各内部には、導風通路部としての空気ダクト105が形成されている。この空気ダクト105は車室内に一端が開口し、他端が上記吹出口104に開口している。そして、各空気ダクト105の途中にペルチェモジュール3が介装されている。ペルチェモジュール3は、一方の面が吸熱面、他方の面が放熱面となるように、厚さ方向に直流通電駆動される周知のペルチェ素子と、順方向通電時に冷却側、逆方向通電時に発熱側となる面に密着配置される金属製のヒートブロックと、同じく空調熱交換側となる面に密着配置される金属製のヒートシンクとを有し、ヒートシンクの裏面に熱交換を促進するためのフィンが一体化された周知の構成を有するものである(例えば特開2005−280710号公報参照)。
【0013】
空気ダクト105の途中におけるペルチェモジュール3の上流側には、ペルチェモジュール3のフィンに向けて車室内の空気を圧送する送風機4が設けられている。送風機4はペルチェモジュール3のフィンに周囲の空気を吹き付けることにより温度調節された空気を生成し、この温度調節された空気が空気ダクト105を介して吹出口104から吹き出される。このように、空気ダクト105、ペルチェモジュール3及び送風機4を有した空調装置10(空調装置10A)が背もたれ部102に、また、同様の構成の空調装置10(空調装置10B)が座部101に、それぞれ個別に組み込まれた構造となっている。上記のような構造の空調装置10A,10Bの組を有した車両用シート空調装置が、図3に示すように、自動車の各シート(具体的には、運転席1(A)、助手席1(B),右後部座席1(C)、左後部座席1(D))に独立して組み込まれている。
【0014】
図4は、上記車両用シート空調装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。要部をなすのはマイクロプロセッサとして構成されたECU103(空調制御手段)を主体とする制御回路100であり、カメラ110がドライバ回路110aを介して、着座センサ114及び内気温センサ115がそれぞれアンプ124,125を介して、温度設定手段としての温調設定スイッチ(手元操作スイッチ)112と電源スイッチ113が温調入力インターフェース122を介して、それぞれECU103に接続されている。
【0015】
カメラ110(体重情報取得手段)は、各シート1(A)〜1(D)に着座した乗員を撮影可能な例えば赤外線カメラである。着座センサ114(体重情報取得手段)は、乗員の体重を検出可能な例えば荷重センサであり、各シート1(A)〜1(D)の座部101の着座面に埋設されている(図3参照)。
【0016】
ECU103には、各々ペルチェモジュール3、送風機4、及びそれらを駆動制御する駆動ユニット121の組からなる空調装置10A(背もたれ部102側)及び空調装置10B(座部101側)が接続されている。駆動ユニット121は、ペルチェモジュール3を冷房使用時と暖房使用時とで互いに異なる極性にて通電駆動するものである。この第1実施形態では、ECU103は、カメラ110により撮影された乗員の画像を基に乗員の体の大きさを数値化し、この数値化された体の大きさに基づいて、空調装置10A,10Bの動作を、体の大きさが基準値未満であるときの動作モードである通常モードと、体の大きさが基準値以上であるときの動作モードであって通常モードよりも動作出力が制限される制限モードとの間で切り替えつつ制御する。なお、この第1実施形態では、制限モードにおいて、空調装置10A,10Bの動作が停止されるように構成されている。
【0017】
また、各シート1の空調装置10A,10Bに対し、独立した個別のECU103が設けられているが、単一のECU103を各シート間で共用化し、これに各シート1の空調装置10A,10Bを一括接続して制御を行なうようにしてもよい。いずれの場合においても、ECU103は、乗員の体の大きさに基づいて、個々のシート1の空調装置10A,10Bの動作モードを通常モードと制限モードとの間で独立に切り替える制御を行なう。
【0018】
また、車載バッテリー+Bにつながる電源ラインとして、車両のイグニッションスイッチ120と連動して電源電圧の供給/遮断が切り替わる第一電源ラインPL1と、イグニッションスイッチ120の状態とは無関係に常時電源電圧が供給される第二電源ラインPL2とが設けられている。イグニッションスイッチ120は、アクセサリ系負荷とエンジン電装系負荷のいずれにも電源電圧が供給されないオフ位置(OFF)と、アクセサリ系負荷にのみ供給されるアクセサリ・オン位置(ACC−ON)と、アクセサリ系負荷とエンジン電装系負荷との双方に供給されるイグニッション・オン位置(IG−ON)との間で切り替えを行なう。そして、ECU103及び空調装置10A,10Bが第二電源ラインPL2に接続されている。
【0019】
図2に示すように、各シート1には、乗員が操作するための空調装置10A,10B用の温調設定スイッチ112が設けられている。ECU103は、電源スイッチ113がオフ状態のとき、空調装置10A,10Bの動作を停止させる。また、電源スイッチ113がオン状態のとき、乗員の体格に基づいて通常モードと制限モードとの間で切り替えつつ空調装置10A,10Bの動作を制御する。
【0020】
温調設定スイッチ112は、プッシュ機能付のロータリースイッチであり、1回押圧すると引っ込んで電源スイッチ113(図3参照)をオフ状態とする。一方、さらに押圧すると飛び出して電源スイッチ113をオン状態とし、設定温度変更のための回転操作が可能となる。このとき、温調設定スイッチ112は、中立位置NTLに関して第一方向に回転させると暖房モードでの温度設定となり、中立位置NTLから離れるほど設定温度は高くなるとともに、当該第一方向の限界位置まで回転させると最高暖房温度の設定状態となる。また、中立位置NTLに関して第二方向に回転させると冷房モードでの温度設定となり、中立位置NTLから離れるほど設定温度が低くなるとともに、当該第二方向の限界位置まで回転させると最低冷房温度の設定状態となる。電源スイッチ113のオン/オフ状態、及び温度設定状態(さらには、冷暖房モード)は温調入力インターフェース122を介してECU103に入力される。
【0021】
図5は、駆動ユニット121の回路構成例を示すものである。駆動電源は、ペルチェ素子への過電圧印加防止を考慮して、絶縁型に構成されている。具体的には、車載バッテリー電圧+Bを入力電圧として受電する入力側DC電源150を有し、そのDC出力電圧が、昇圧用発振回路153により駆動される昇圧スイッチング用トランジスタ152(本実施形態ではパワーFETにて構成され、昇圧スイッチング周波数は10〜30kHz:例えば、15kHz)によりスイッチングされつつ、昇圧用のトランス151の1次側に入力される。該トランス151の2次側昇圧出力電圧は8〜15V(例えば12V)である。なお、昇圧用発振回路153は、トランス151の一次側インダクタンスの一部を流用した自励式発振回路として構成されている。
【0022】
トランス151の2次側昇圧出力電圧は、ダイオード154Dにより半波整流され、さらにコンデンサ154Cにより平滑化された後、PWMスイッチング用トランジスタ155に入力される。PWMスイッチング用トランジスタ155はパワーFETにて構成され、ECU103が決定するデューティ比(例えば50〜100%)にてPWMスイッチングされる。PWMスイッチング用トランジスタ155は、ゲート駆動用トランジスタ156を介してフォトカプラ165によりスイッチングされる。
【0023】
ペルチェ素子は導通断面積の大きい金属導体として構成されているので、PWMスイッチング電圧波形をペルチェ素子へ直接入力すると、波形エッジでの電流遮断時に渦電流が発生し、目的の極性と逆方向の電圧が供給されて冷却効率を低下させるジュール熱が多量に発生するので好ましくない。そこで、本実施形態では、コイル158とコンデンサ159とを有した駆動平滑化回路201により、上記PWMスイッチング電圧波形をディーティ比に応じた直流駆動電圧(出力電圧範囲は、例えば6〜12V:出力電流範囲は、例えば3〜6A)として平滑化し、極性切替スイッチ160を介してペルチェモジュール3に供給するようにしている。なお、PWMスイッチング周波数は例えば1〜5kHzであり、昇圧スイッチング周波数よりも小さく設定される。
【0024】
極性切替スイッチ160は、本実施形態ではリレースイッチとして構成され、リレー駆動トランジスタ162を介してフォトカプラ163により動作制御される(ここでは、リレー駆動トランジスタ162がオフのとき、端子160Aが電源入力、端子160Bが接地となり(順方向極性)、同じくオンのときは端子160Aが接地、端子160Bが電源入力となるよう(逆方向極性)、極性切替スイッチ160が切り替わる)。また、送風機(ファンモータ)4へのモータ駆動出力は、トランス151の2次側にてPWMスイッチング用トランジスタ155の前段より、電圧安定化用のレギュレータIC164を介して非スイッチング状態で取り出される。
【0025】
なお、本実施形態では車載バッテリー電圧+Bの変動を補償するために昇圧回路を組み込んでいるが、ペルチェ素子の動作が保障できる場合、例えば、ペルチェ素子への駆動出力電圧範囲が車載バッテリー電圧+Bの変動範囲よりも常時小さいことが保障できる場合には、この昇圧回路を省略することも可能である。この場合、ペルチェ素子への出力段に電圧モニタリング部を追加し、PWMスイッチングのデューティ比制御にこれをフィードバックして電圧を安定化するレギュレータ部を追加すればよい。また、ペルチェ素子への駆動出力電圧が車載バッテリー電圧+Bの変動範囲を若干上回る場合にあっても、該レギュレータ部を周知の昇圧型ステップアップ回路として構成すれば、昇圧回路は同様に省略できる。
【0026】
前述のごとく、電源スイッチ113のオン/オフ状態、及び温度設定状態(さらには、冷暖房モード)は温調入力インターフェース122を介してECU103に入力される。電源スイッチ113がオフ状態のとき、ECU103は、入力側DC電源150へのバッテリー受電系路上に設けられた電源スイッチ150Sをオフにし、ペルチェモジュール3と送風機4との双方を停止させる。一方、電源スイッチ113がオン状態のときは、通常モードでは電源スイッチ150Sをオンにする。そして、温調設定スイッチ112が冷房側に回転していればリレー駆動トランジスタ162をオフとし、通電極性を順方向とする。また、暖房側に回転していればリレー駆動トランジスタ162をオンとし、通電極性を逆方向とする。
【0027】
冷房側及び暖房側のいずれにおいても、温調設定スイッチ112の操作角度は、例えばポテンショメータ等を介して温調入力インターフェース122により読み取られ、冷房設定温度θないし暖房設定温度θ’に変換されてECU103に送られる。ECU103は、その冷房設定温度θないし暖房設定温度θ’と内気温センサ115の温度検出値Tとを取得し、冷房時は図6のデューティ比テーブルを、暖房時は図7のデューティ比(電流値)テーブルを参照して、適正なデューティ比ηを読み取り、PWMスイッチング用トランジスタ155をそのデューティ比ηでスイッチング駆動して、ペルチェ素子の出力調整を行なう。冷房時はT−θが大きくなるほどデューティ比(電流値)ηは高く設定され、暖房時はθ−Tが大きくなるほどデューティ比(電流値)ηは高く設定される。
【0028】
以下、フローチャートを用いて、上記車両用シート空調装置の動作説明を行なう。制御内容は4つのシート1についてそれぞれ同様であり、かつ、独立した駆動制御が実施される。図8は、ECU103による乗員体格情報取得処理の流れを示すフローチャートである。最初に、乗員体格情報、すなわちカメラ110により撮影された乗員の画像を読み取る(S1)。
【0029】
次に、S1で読み取った画像を画像処理(例えば2値化)して体の大きさの指標となる例えば体の面積(或いは体の周長等)を求め、予め設定されている基準値と比較する(S2)。この基準値は、座部101及び背もたれ部102の吹出口104が乗員により遮蔽されることで、シート空調の効率を実質上低下させることになる体の大きさを考慮に入れて設定されている。比較の結果、体の大きさが基準値未満であれば(S2:Yes)、空調装置10A,10Bの作動を許可する(S4)。一方、体の大きさが基準値以上であれば(S2:No)、空調装置10A,10Bの作動を禁止する(S3)。
【0030】
図9は、ECU103によるシート空調制御の流れを示すフローチャートである。最初に、空調装置10A,10Bの作動が禁止されているか否かを判定する(S51)。禁止されていれば(S51:Yes)、図5の電源スイッチ150Sをオフとし、ペルチェモジュール3及び送風機(ファン)4の動作を停止させる(S56)。
【0031】
一方、S51で空調装置10A,10Bの作動が許可されていれば(S51:No)、電源スイッチ113の状態を読み取る(S52)。電源スイッチ113がオフであれば(S52:No)、図5の電源スイッチ150Sをオフとし、ペルチェモジュール3及び送風機(ファン)4の動作を停止させる(S56)。
【0032】
これに対して、電源スイッチ113がオンであれば(S52:Yes)、図5の電源スイッチ150Sをオンとして、温調設定スイッチ112の操作位置から設定温度(及び冷暖房のモード)を読み取り(S53)、前述のごとく、図6又は図7のテーブルを参照して設定デューティ比(電流値)ηを読み取り(S54)、当該デューティ比でペルチェモジュール3を駆動する(S55)。
【0033】
この第1実施形態においては、カメラ110により撮影された乗員の画像に基づいて乗員の体の大きさ(体の面積や周長など)を求め、その体の大きさが基準値以上であるときは(S2:No)、空調装置10A,10Bの作動を禁止するようにした。(S3)したがって、乗員の体の大きさに起因してシート空調の効率が低下する場合は、シート空調の作動が停止されるので、空調装置10A,10Bの無駄な動作を回避することができ、車両全体の電力消費を効果的に抑制することができる。特に、この第1実施形態では、制限モードにおいて空調装置10A,10Bの動作を停止させるように構成したので、制限モードでのバッテリーの消耗を最大限に抑制することができる。
【0034】
上記第1実施形態では、図8のステップS1によって、カメラ110により撮影された乗員の画像を読み取り、ステップS2によって、画像処理により求めた体の大きさ(体の面積や周長など)を基準値と比較するように構成したが、これに代えて、例えば図10に示すように、着座センサ114により検出された乗員の体重を読み取り(S1)、その体重を基準値(重量を表す)と比較するように構成してもよい(S2’)。この場合の基準値は、座部101及び背もたれ部102の吹出口104が乗員により塞がれる(押し潰される)ことで、シート空調の効率を実質上低下させることになる重量を考慮に入れて設定されている。なお、その他の構成は上記第1実施形態と同じである。
【0035】
この第1変形例によれば、乗員の体重に起因してシート空調の効率が低下する場合は、空調装置10A,10Bの作動が停止されるので、上記第1実施形態と同様、空調装置10A,10Bの無駄な動作を回避することができ、車両全体の電力消費を効果的に抑制することができる。
【0036】
また、上記第1実施形態及び第1変形例に限らず、例えば図11に示すように、図8のステップS2と図10のステップS2’とを共に備えるように構成してもよい。なお、その他の構成は上記第1実施形態と同じである。この第2変形例では、乗員の体の大きさが基準値(面積、長さ等を表す)以上であり(S2:No)、かつ乗員の体重が基準値(重量を表す)以上であるとき(S2’:No)、空調装置10A,10Bの作動が禁止されるようになる(S3)。体が小さくても体重が重い場合があり、これとは逆に体重が軽くても体が大きい場合があり、これらの場合には、ステップS2とステップS2’とのいずれか一方のみを判断するだけでは、シート空調の効率が必ずしも低下しない場合にも空調装置10A,10Bの作動が禁止されてしまう事態が生じ得る。したがって、図8のステップS2と図10のステップS2’とを共に備えるように構成すれば、シート空調の効率がほぼ確実に低下する場合に限って空調装置10A,10Bの作動を停止させることができる。
【0037】
b.第2実施形態
上記第1実施形態では、図8のステップS3において、空調装置10A,10Bの動作を停止させるように構成したが、これに代えて、例えば図12及び図13に示すように、空調装置10A,10Bの動作出力を通常モードよりも低減した状態にて空調装置10A,10Bの動作を継続させるように構成してもよい。なお、その他の構成は上記第1実施形態と同じである。
【0038】
図12は、ECU103による乗員体格情報の流れを示すフローチャートである。図8のステップS3との違いは、ステップS3’にて図5の電源スイッチ150Sをオフにすることなく、これをオンにしたまま、シート空調制御処理に対し作動制限の指示を与える点にある。図13は、この場合のECU103によるシート空調制御処理の流れを示すものである。最初に、電源スイッチ113の状態を読み取る(S101)。電源スイッチ113がオフであれば(S101:No)、図5の電源スイッチ150Sをオフとし、ペルチェモジュール3及び送風機(ファン)4の動作を停止させる(S109)。
【0039】
一方、電源スイッチ113がオンであれば(S101:Yes)、温調設定スイッチ112の操作位置から設定温度(及び冷暖房のモード)を読み取る(S102)。その後、制限モードであるかどうかを判定する(S103)。制限モードでなければ(S103:No)、図6又は図7のテーブルを参照して設定温度に対応するデューティ比(電流値)ηを読み取り(S104)、当該デューティ比でペルチェモジュール3を駆動する(S105)。
【0040】
これに対して、制限モードであれば(S103:Yes)、温調設定スイッチ112の操作位置が示す設定温度を、冷房時であれば別途定められている冷房時制限温度(制限時下限値(例えば、28℃))と、暖房時であれば別途定められている暖房時制限温度(制限時上限値(例えば、22℃))と比較する(S106)。
【0041】
そして、冷房時において設定温度が冷房時制限温度を下回っている場合、或いは暖房時において設定温度が暖房時制限温度を上回っている場合は(S107:Yes)、冷房時においては設定温度を冷房時制限温度に置き換え、暖房時においては設定温度を暖房時制限温度に置き換える(S108)。一方、冷房時において設定温度が冷房時制限温度を上回っている場合、或いは暖房時において設定温度が暖房時制限温度を下回っている場合は(S107:No)、S108を経由せず、S104に進む。
【0042】
これにより、例えば次のような動作となる。
(冷房時)温調設定スイッチ112による設定温度が、冷房時制限温度28℃よりも低い温度(例えば、25℃)になっても、実際の制御設定温度は冷房時制限温度28℃を下回ることなく、当該冷房時制限温度28℃にホールドされてペルチェモジュール3の動作制御がなされる。
(暖房時)温調設定スイッチ112による設定温度が、暖房時制限温度22℃よりも高い温度(例えば、25℃)になっても、実際の制御設定温度は暖房時制限温度22℃を上回ることなく、当該暖房時制限温度22℃にホールドされてペルチェモジュール3の動作制御がなされる。
いずれの場合においても、制限モードの場合は(S103:Yes)、通常モードよりは低出力にて空調装置10A,10Bの動作が継続されるので、省電力を図りつつシート1の予熱(暖房時)あるいは予冷(冷房時)等を効果的に行なうことができる。
【0043】
上記第2実施形態では、図12のステップS1によって、カメラ110により撮影された乗員の画像を読み取り、図12のステップS2によって、画像処理により求めた体の大きさ(体の面積や周長など)を基準値と比較するように構成したが、これに代えて、例えば図14に示すように、着座センサ114により検出された乗員の体重を読み取り(S1)、その体重を基準値(重量を表す)と比較するように構成してもよい(S2’)。なお、その他の構成は上記第2実施形態と同じである。この第1変形例によれば、乗員の体重に起因してシート空調の効率が低下する場合は、シート空調の作動が制限されるので、上記第2実施形態と同様、空調装置10A,10Bの無駄な動作を回避することができ、車両全体の電力消費を効果的に抑制することができる。
【0044】
また、上記第2実施形態及びその第1変形例に限らず、例えば図15に示すように、図12のステップS2と図14のステップS2’とを共に備えるように構成してもよい。なお、その他の構成は上記第2実施形態と同じである。この第2変形例によれば、シート空調の効率がほぼ確実に低下する場合に限って空調装置10A,10Bの作動を制限することができる。
【0045】
なお、上記第2実施形態及びその変形例では、制限モードにおいて、ペルチェモジュール3への駆動電流を低減制御するように構成したが、これに加えて又は代えて、例えば送風機(ファン)4への駆動電圧を低減制御(送風機4の回転数を低減)するように構成してもよい。
【0046】
また、上記第1及び第2実施形態等では、カメラ110による画像を基に乗員の体の大きさを求めるようにしたが、これに加えて又は代えて、例えばシートベルトの引き出し量から乗員の体の大きさを求めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1及び第2実施形態等に係り、車両用シート空調装置を組み込んだ自動車用シートの一例を示す側面断面図。
【図2】温調設定スイッチ及びその電源スイッチを示す説明図。
【図3】車内のシートレイアウトと空調装置の設置例を示す平面模式図。
【図4】本発明の第1及び第2実施形態等に係り、車両用シート空調装置の電気的構成の一例を示す全体ブロック図。
【図5】ペルチェモジュールの駆動ユニットの電気的構成の一例を示す回路図。
【図6】冷房時に使用するデューティ比テーブルの模式図。
【図7】暖房時に使用するデューティ比テーブルの模式図。
【図8】本発明の第1実施形態に係り、乗員体格情報取得処理の流れを示すフローチャート。
【図9】本発明の第1実施形態に係り、シート空調制御処理の流れを示すフローチャート。
【図10】本発明の第1実施形態の第1変形例に係り、乗員体格情報取得処理の流れを示すフローチャート。
【図11】本発明の第1実施形態の第2変形例に係り、乗員体格情報取得処理の流れを示すフローチャート。
【図12】本発明の第2実施形態に係り、乗員体格情報取得処理の流れを示すフローチャート。
【図13】本発明の第2実施形態に係り、シート空調制御処理の流れを示すフローチャート。
【図14】本発明の第2実施形態の第1変形例に係り、乗員体格情報取得処理の流れを示すフローチャート。
【図15】本発明の第2実施形態の第2変形例に係り、乗員体格情報取得処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0048】
1 シート
3 ペルチェモジュール(空調装置)
4 送風機(空調装置)
10(10A,10B) 空調装置
103 ECU(空調制御手段)
104 吹出口
105 空気ダクト(空調装置、導風通路部)
110 カメラ(体格情報取得手段)
112 温調設定スイッチ(温度設定手段)
113 電源スイッチ(温度設定手段)
114 着座センサ(体格情報取得手段)
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用シート空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車室内空間は、一般住居等に比較すると空間容積が小さく、また、窓を閉めきると密閉空間となり、例えば、ガラス越しに漏入する熱線により駐車中の車内温度は夏季には異常に上昇する。しかし、一般の自動車用空調装置は集中型であり、車室内の空間全体の空気温度を下げるべく設計されているので、どうしても温度調節に時間がかかる問題がある。
【0003】
そこで、下記特許文献1,2には、シート内に局所空調装置を組み込み、ヘッドレストや手すり等に設けた吹き出し口から冷風を吹き出すことで、車室内を分散空調する方式が提案されている。また、下記特許文献1,3には、ペルチェモジュールをシートバックや座部に組み込み、冷却シートを介して冷却する方式も提案されている。さらに、下記特許文献2には、シートに組み込んだファンによりペルチェモジュールの冷却ブロックに送風し、シートに形成された吹出口から座面に吹き出すようにした局所冷房装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特許第3301109号公報
【特許文献2】特開2006−131106号公報
【特許文献3】特開2002−233431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載された車両用シート空調装置では、乗員の体が大きい場合、吹出口が乗員により遮蔽されて空調風がシート外へ吹き出さないことがある。また、乗員の体重が重い場合、吹出口が乗員により塞がれて(押し潰されて)空調風がシート外へ吹き出さないこともある。これらの場合には、シート空調の効率が低下するが、その時の電力は通常時と同等に消費されるので、無駄に電力が消費されてしまうという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、乗員の体格に基づいてシート空調の出力を制限することにより、車両全体の電力消費を抑制するようにした車両用シート空調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の車両用シート空調装置は、車両のシートに設けられた空調装置と、シートに着座した乗員の体格情報を取得する体格情報取得手段と、体格情報取得手段により取得された乗員の体格情報に基づいて、乗員の体格が基準値未満であるときは空調装置の動作を通常モードに設定し、乗員の体格が基準値以上であるときは空調装置の動作を通常モードよりも動作出力が制限される制限モードに設定する空調制御手段と、を備えたことを特徴とする。この場合、乗員の体格情報は、例えば乗員の体の大きさまたは体重であると好適である。ここで、「基準値」とは、例えば乗員により遮蔽される吹出口が多くなることでシート空調の効率が低下してしまう程度に大きく設定された体の面積、周長等を意味し、また例えば乗員により塞がれる(押し潰される)吹出口が多くなることでシート空調の効率が低下してしまう程度に重く設定された重量を意味する。
【0008】
本発明の車両用シート空調装置では、体格情報取得手段により取得された乗員の体格情報に基づいて、乗員の体格が基準値以上であるときは通常時よりも空調装置の動作出力が制限される。したがって、乗員の体格に起因してシート空調の効率が低下する場合は、シート空調の作動が制限されるので、空調装置の無駄な動作を回避することができ、車両全体の電力消費を効果的に抑制することができる。
【0009】
本発明の実施に際して、空調装置は、シート内の導風通路部に配置されたペルチェモジュールおよび送風機と、導風通路部を通してシート外へ吹き出される空調風の温度を設定するための温度設定手段とを備え、空調制御手段は、通常モードにおいて、温度設定手段により設定された温度に近づくように空調装置の動作を制御するものであるとよい。これによれば、ペルチェモジュールの採用により、シートへ冷媒配管等を引き込む必要がなくなり、空調装置の構造を大幅に簡易化することができる。また、ペルチェモジュールはシート毎に容易に設けることができるので、乗員毎に異なる条件で空調制御することもできる。さらに、エンジンを始動せずとも、ペルチェモジュールへの電力供給さえなされれば動作が可能である。ただし、ペルチェモジュールは、外部からの電力供給により熱電子を媒介として熱移動を行なう原理上、電力消費率の高いパワー機器であり(シートに内蔵できる小形のものでも、5〜15A、50〜150W程度)、エンジンを始動せずに長時間動作を継続させるとバッテリーの消耗が進みやすい問題がある。しかしながら、本発明の採用により、乗員の体格が基準値以上である場合に、ペルチェモジュールの動作を制限するようにすることで、バッテリーの消耗を効果的に抑制することができる。
【0010】
また、本発明の実施に際して、空調制御手段は、制限モードにおいて空調装置の動作を停止させるように構成することができる。このようにすると、制限モードでのバッテリーの消耗を最大限に抑制することができる。他方、空調制御手段は、制限モードにおいて、動作出力を通常モードよりも低減した状態にて空調装置の動作を継続させるように構成することもできる。この場合、通常モードよりは低出力にて空調装置の動作が継続されるので、制限モードでのバッテリーの消耗をゼロにすることはできないが、シートの予熱(暖房時)あるいは予冷(冷房時)等を効果的に行なうことができるので便利である。例えば、空調装置からの空調風の温度を設定するための温度設定手段を設ける場合、空調制御手段は、制限モードにおいて、温度設定許容範囲の高出力側の限界値を出力低減方向に変更設定するように構成することができる。「温度設定許容範囲の高出力側の限界値」とは、空調が暖房である場合は温度設定許容範囲の上限値を、同じく冷房である場合は温度設定許容範囲の下限値を意味する。すなわち、制限モードにおいて空調装置を完全に停止させるのではなく、暖房であれば設定温度上限値を引き下げる向きに、冷房であれば設定温度下限値を引き上げる向きに変更することで、温度設定手段による現在の設定温度入力値が、変更後の上限値ないし下限値を逸脱する値になっていても、実際の設定温度は該変更後の上限値ないし下限値により制限され、空調出力が過大な状態となることを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
a.第1実施形態
以下、本発明の各実施形態を添付の図面を用いて説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る車両用シート空調装置を示す全体概要図である。この車両用シート空調装置は、自動車のシート1に組み込まれている。シート1は、乗員の臀部を乗せる座部101と、背中を当てる背もたれ部102と、背もたれ部102の頂部に取り付けられたヘッドレスト2とを有する。そして、座部101及び背もたれ部102の各表皮103には吹出口(風穴)104が形成されている。
【0012】
座部101及び背もたれ部102の各内部には、導風通路部としての空気ダクト105が形成されている。この空気ダクト105は車室内に一端が開口し、他端が上記吹出口104に開口している。そして、各空気ダクト105の途中にペルチェモジュール3が介装されている。ペルチェモジュール3は、一方の面が吸熱面、他方の面が放熱面となるように、厚さ方向に直流通電駆動される周知のペルチェ素子と、順方向通電時に冷却側、逆方向通電時に発熱側となる面に密着配置される金属製のヒートブロックと、同じく空調熱交換側となる面に密着配置される金属製のヒートシンクとを有し、ヒートシンクの裏面に熱交換を促進するためのフィンが一体化された周知の構成を有するものである(例えば特開2005−280710号公報参照)。
【0013】
空気ダクト105の途中におけるペルチェモジュール3の上流側には、ペルチェモジュール3のフィンに向けて車室内の空気を圧送する送風機4が設けられている。送風機4はペルチェモジュール3のフィンに周囲の空気を吹き付けることにより温度調節された空気を生成し、この温度調節された空気が空気ダクト105を介して吹出口104から吹き出される。このように、空気ダクト105、ペルチェモジュール3及び送風機4を有した空調装置10(空調装置10A)が背もたれ部102に、また、同様の構成の空調装置10(空調装置10B)が座部101に、それぞれ個別に組み込まれた構造となっている。上記のような構造の空調装置10A,10Bの組を有した車両用シート空調装置が、図3に示すように、自動車の各シート(具体的には、運転席1(A)、助手席1(B),右後部座席1(C)、左後部座席1(D))に独立して組み込まれている。
【0014】
図4は、上記車両用シート空調装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。要部をなすのはマイクロプロセッサとして構成されたECU103(空調制御手段)を主体とする制御回路100であり、カメラ110がドライバ回路110aを介して、着座センサ114及び内気温センサ115がそれぞれアンプ124,125を介して、温度設定手段としての温調設定スイッチ(手元操作スイッチ)112と電源スイッチ113が温調入力インターフェース122を介して、それぞれECU103に接続されている。
【0015】
カメラ110(体重情報取得手段)は、各シート1(A)〜1(D)に着座した乗員を撮影可能な例えば赤外線カメラである。着座センサ114(体重情報取得手段)は、乗員の体重を検出可能な例えば荷重センサであり、各シート1(A)〜1(D)の座部101の着座面に埋設されている(図3参照)。
【0016】
ECU103には、各々ペルチェモジュール3、送風機4、及びそれらを駆動制御する駆動ユニット121の組からなる空調装置10A(背もたれ部102側)及び空調装置10B(座部101側)が接続されている。駆動ユニット121は、ペルチェモジュール3を冷房使用時と暖房使用時とで互いに異なる極性にて通電駆動するものである。この第1実施形態では、ECU103は、カメラ110により撮影された乗員の画像を基に乗員の体の大きさを数値化し、この数値化された体の大きさに基づいて、空調装置10A,10Bの動作を、体の大きさが基準値未満であるときの動作モードである通常モードと、体の大きさが基準値以上であるときの動作モードであって通常モードよりも動作出力が制限される制限モードとの間で切り替えつつ制御する。なお、この第1実施形態では、制限モードにおいて、空調装置10A,10Bの動作が停止されるように構成されている。
【0017】
また、各シート1の空調装置10A,10Bに対し、独立した個別のECU103が設けられているが、単一のECU103を各シート間で共用化し、これに各シート1の空調装置10A,10Bを一括接続して制御を行なうようにしてもよい。いずれの場合においても、ECU103は、乗員の体の大きさに基づいて、個々のシート1の空調装置10A,10Bの動作モードを通常モードと制限モードとの間で独立に切り替える制御を行なう。
【0018】
また、車載バッテリー+Bにつながる電源ラインとして、車両のイグニッションスイッチ120と連動して電源電圧の供給/遮断が切り替わる第一電源ラインPL1と、イグニッションスイッチ120の状態とは無関係に常時電源電圧が供給される第二電源ラインPL2とが設けられている。イグニッションスイッチ120は、アクセサリ系負荷とエンジン電装系負荷のいずれにも電源電圧が供給されないオフ位置(OFF)と、アクセサリ系負荷にのみ供給されるアクセサリ・オン位置(ACC−ON)と、アクセサリ系負荷とエンジン電装系負荷との双方に供給されるイグニッション・オン位置(IG−ON)との間で切り替えを行なう。そして、ECU103及び空調装置10A,10Bが第二電源ラインPL2に接続されている。
【0019】
図2に示すように、各シート1には、乗員が操作するための空調装置10A,10B用の温調設定スイッチ112が設けられている。ECU103は、電源スイッチ113がオフ状態のとき、空調装置10A,10Bの動作を停止させる。また、電源スイッチ113がオン状態のとき、乗員の体格に基づいて通常モードと制限モードとの間で切り替えつつ空調装置10A,10Bの動作を制御する。
【0020】
温調設定スイッチ112は、プッシュ機能付のロータリースイッチであり、1回押圧すると引っ込んで電源スイッチ113(図3参照)をオフ状態とする。一方、さらに押圧すると飛び出して電源スイッチ113をオン状態とし、設定温度変更のための回転操作が可能となる。このとき、温調設定スイッチ112は、中立位置NTLに関して第一方向に回転させると暖房モードでの温度設定となり、中立位置NTLから離れるほど設定温度は高くなるとともに、当該第一方向の限界位置まで回転させると最高暖房温度の設定状態となる。また、中立位置NTLに関して第二方向に回転させると冷房モードでの温度設定となり、中立位置NTLから離れるほど設定温度が低くなるとともに、当該第二方向の限界位置まで回転させると最低冷房温度の設定状態となる。電源スイッチ113のオン/オフ状態、及び温度設定状態(さらには、冷暖房モード)は温調入力インターフェース122を介してECU103に入力される。
【0021】
図5は、駆動ユニット121の回路構成例を示すものである。駆動電源は、ペルチェ素子への過電圧印加防止を考慮して、絶縁型に構成されている。具体的には、車載バッテリー電圧+Bを入力電圧として受電する入力側DC電源150を有し、そのDC出力電圧が、昇圧用発振回路153により駆動される昇圧スイッチング用トランジスタ152(本実施形態ではパワーFETにて構成され、昇圧スイッチング周波数は10〜30kHz:例えば、15kHz)によりスイッチングされつつ、昇圧用のトランス151の1次側に入力される。該トランス151の2次側昇圧出力電圧は8〜15V(例えば12V)である。なお、昇圧用発振回路153は、トランス151の一次側インダクタンスの一部を流用した自励式発振回路として構成されている。
【0022】
トランス151の2次側昇圧出力電圧は、ダイオード154Dにより半波整流され、さらにコンデンサ154Cにより平滑化された後、PWMスイッチング用トランジスタ155に入力される。PWMスイッチング用トランジスタ155はパワーFETにて構成され、ECU103が決定するデューティ比(例えば50〜100%)にてPWMスイッチングされる。PWMスイッチング用トランジスタ155は、ゲート駆動用トランジスタ156を介してフォトカプラ165によりスイッチングされる。
【0023】
ペルチェ素子は導通断面積の大きい金属導体として構成されているので、PWMスイッチング電圧波形をペルチェ素子へ直接入力すると、波形エッジでの電流遮断時に渦電流が発生し、目的の極性と逆方向の電圧が供給されて冷却効率を低下させるジュール熱が多量に発生するので好ましくない。そこで、本実施形態では、コイル158とコンデンサ159とを有した駆動平滑化回路201により、上記PWMスイッチング電圧波形をディーティ比に応じた直流駆動電圧(出力電圧範囲は、例えば6〜12V:出力電流範囲は、例えば3〜6A)として平滑化し、極性切替スイッチ160を介してペルチェモジュール3に供給するようにしている。なお、PWMスイッチング周波数は例えば1〜5kHzであり、昇圧スイッチング周波数よりも小さく設定される。
【0024】
極性切替スイッチ160は、本実施形態ではリレースイッチとして構成され、リレー駆動トランジスタ162を介してフォトカプラ163により動作制御される(ここでは、リレー駆動トランジスタ162がオフのとき、端子160Aが電源入力、端子160Bが接地となり(順方向極性)、同じくオンのときは端子160Aが接地、端子160Bが電源入力となるよう(逆方向極性)、極性切替スイッチ160が切り替わる)。また、送風機(ファンモータ)4へのモータ駆動出力は、トランス151の2次側にてPWMスイッチング用トランジスタ155の前段より、電圧安定化用のレギュレータIC164を介して非スイッチング状態で取り出される。
【0025】
なお、本実施形態では車載バッテリー電圧+Bの変動を補償するために昇圧回路を組み込んでいるが、ペルチェ素子の動作が保障できる場合、例えば、ペルチェ素子への駆動出力電圧範囲が車載バッテリー電圧+Bの変動範囲よりも常時小さいことが保障できる場合には、この昇圧回路を省略することも可能である。この場合、ペルチェ素子への出力段に電圧モニタリング部を追加し、PWMスイッチングのデューティ比制御にこれをフィードバックして電圧を安定化するレギュレータ部を追加すればよい。また、ペルチェ素子への駆動出力電圧が車載バッテリー電圧+Bの変動範囲を若干上回る場合にあっても、該レギュレータ部を周知の昇圧型ステップアップ回路として構成すれば、昇圧回路は同様に省略できる。
【0026】
前述のごとく、電源スイッチ113のオン/オフ状態、及び温度設定状態(さらには、冷暖房モード)は温調入力インターフェース122を介してECU103に入力される。電源スイッチ113がオフ状態のとき、ECU103は、入力側DC電源150へのバッテリー受電系路上に設けられた電源スイッチ150Sをオフにし、ペルチェモジュール3と送風機4との双方を停止させる。一方、電源スイッチ113がオン状態のときは、通常モードでは電源スイッチ150Sをオンにする。そして、温調設定スイッチ112が冷房側に回転していればリレー駆動トランジスタ162をオフとし、通電極性を順方向とする。また、暖房側に回転していればリレー駆動トランジスタ162をオンとし、通電極性を逆方向とする。
【0027】
冷房側及び暖房側のいずれにおいても、温調設定スイッチ112の操作角度は、例えばポテンショメータ等を介して温調入力インターフェース122により読み取られ、冷房設定温度θないし暖房設定温度θ’に変換されてECU103に送られる。ECU103は、その冷房設定温度θないし暖房設定温度θ’と内気温センサ115の温度検出値Tとを取得し、冷房時は図6のデューティ比テーブルを、暖房時は図7のデューティ比(電流値)テーブルを参照して、適正なデューティ比ηを読み取り、PWMスイッチング用トランジスタ155をそのデューティ比ηでスイッチング駆動して、ペルチェ素子の出力調整を行なう。冷房時はT−θが大きくなるほどデューティ比(電流値)ηは高く設定され、暖房時はθ−Tが大きくなるほどデューティ比(電流値)ηは高く設定される。
【0028】
以下、フローチャートを用いて、上記車両用シート空調装置の動作説明を行なう。制御内容は4つのシート1についてそれぞれ同様であり、かつ、独立した駆動制御が実施される。図8は、ECU103による乗員体格情報取得処理の流れを示すフローチャートである。最初に、乗員体格情報、すなわちカメラ110により撮影された乗員の画像を読み取る(S1)。
【0029】
次に、S1で読み取った画像を画像処理(例えば2値化)して体の大きさの指標となる例えば体の面積(或いは体の周長等)を求め、予め設定されている基準値と比較する(S2)。この基準値は、座部101及び背もたれ部102の吹出口104が乗員により遮蔽されることで、シート空調の効率を実質上低下させることになる体の大きさを考慮に入れて設定されている。比較の結果、体の大きさが基準値未満であれば(S2:Yes)、空調装置10A,10Bの作動を許可する(S4)。一方、体の大きさが基準値以上であれば(S2:No)、空調装置10A,10Bの作動を禁止する(S3)。
【0030】
図9は、ECU103によるシート空調制御の流れを示すフローチャートである。最初に、空調装置10A,10Bの作動が禁止されているか否かを判定する(S51)。禁止されていれば(S51:Yes)、図5の電源スイッチ150Sをオフとし、ペルチェモジュール3及び送風機(ファン)4の動作を停止させる(S56)。
【0031】
一方、S51で空調装置10A,10Bの作動が許可されていれば(S51:No)、電源スイッチ113の状態を読み取る(S52)。電源スイッチ113がオフであれば(S52:No)、図5の電源スイッチ150Sをオフとし、ペルチェモジュール3及び送風機(ファン)4の動作を停止させる(S56)。
【0032】
これに対して、電源スイッチ113がオンであれば(S52:Yes)、図5の電源スイッチ150Sをオンとして、温調設定スイッチ112の操作位置から設定温度(及び冷暖房のモード)を読み取り(S53)、前述のごとく、図6又は図7のテーブルを参照して設定デューティ比(電流値)ηを読み取り(S54)、当該デューティ比でペルチェモジュール3を駆動する(S55)。
【0033】
この第1実施形態においては、カメラ110により撮影された乗員の画像に基づいて乗員の体の大きさ(体の面積や周長など)を求め、その体の大きさが基準値以上であるときは(S2:No)、空調装置10A,10Bの作動を禁止するようにした。(S3)したがって、乗員の体の大きさに起因してシート空調の効率が低下する場合は、シート空調の作動が停止されるので、空調装置10A,10Bの無駄な動作を回避することができ、車両全体の電力消費を効果的に抑制することができる。特に、この第1実施形態では、制限モードにおいて空調装置10A,10Bの動作を停止させるように構成したので、制限モードでのバッテリーの消耗を最大限に抑制することができる。
【0034】
上記第1実施形態では、図8のステップS1によって、カメラ110により撮影された乗員の画像を読み取り、ステップS2によって、画像処理により求めた体の大きさ(体の面積や周長など)を基準値と比較するように構成したが、これに代えて、例えば図10に示すように、着座センサ114により検出された乗員の体重を読み取り(S1)、その体重を基準値(重量を表す)と比較するように構成してもよい(S2’)。この場合の基準値は、座部101及び背もたれ部102の吹出口104が乗員により塞がれる(押し潰される)ことで、シート空調の効率を実質上低下させることになる重量を考慮に入れて設定されている。なお、その他の構成は上記第1実施形態と同じである。
【0035】
この第1変形例によれば、乗員の体重に起因してシート空調の効率が低下する場合は、空調装置10A,10Bの作動が停止されるので、上記第1実施形態と同様、空調装置10A,10Bの無駄な動作を回避することができ、車両全体の電力消費を効果的に抑制することができる。
【0036】
また、上記第1実施形態及び第1変形例に限らず、例えば図11に示すように、図8のステップS2と図10のステップS2’とを共に備えるように構成してもよい。なお、その他の構成は上記第1実施形態と同じである。この第2変形例では、乗員の体の大きさが基準値(面積、長さ等を表す)以上であり(S2:No)、かつ乗員の体重が基準値(重量を表す)以上であるとき(S2’:No)、空調装置10A,10Bの作動が禁止されるようになる(S3)。体が小さくても体重が重い場合があり、これとは逆に体重が軽くても体が大きい場合があり、これらの場合には、ステップS2とステップS2’とのいずれか一方のみを判断するだけでは、シート空調の効率が必ずしも低下しない場合にも空調装置10A,10Bの作動が禁止されてしまう事態が生じ得る。したがって、図8のステップS2と図10のステップS2’とを共に備えるように構成すれば、シート空調の効率がほぼ確実に低下する場合に限って空調装置10A,10Bの作動を停止させることができる。
【0037】
b.第2実施形態
上記第1実施形態では、図8のステップS3において、空調装置10A,10Bの動作を停止させるように構成したが、これに代えて、例えば図12及び図13に示すように、空調装置10A,10Bの動作出力を通常モードよりも低減した状態にて空調装置10A,10Bの動作を継続させるように構成してもよい。なお、その他の構成は上記第1実施形態と同じである。
【0038】
図12は、ECU103による乗員体格情報の流れを示すフローチャートである。図8のステップS3との違いは、ステップS3’にて図5の電源スイッチ150Sをオフにすることなく、これをオンにしたまま、シート空調制御処理に対し作動制限の指示を与える点にある。図13は、この場合のECU103によるシート空調制御処理の流れを示すものである。最初に、電源スイッチ113の状態を読み取る(S101)。電源スイッチ113がオフであれば(S101:No)、図5の電源スイッチ150Sをオフとし、ペルチェモジュール3及び送風機(ファン)4の動作を停止させる(S109)。
【0039】
一方、電源スイッチ113がオンであれば(S101:Yes)、温調設定スイッチ112の操作位置から設定温度(及び冷暖房のモード)を読み取る(S102)。その後、制限モードであるかどうかを判定する(S103)。制限モードでなければ(S103:No)、図6又は図7のテーブルを参照して設定温度に対応するデューティ比(電流値)ηを読み取り(S104)、当該デューティ比でペルチェモジュール3を駆動する(S105)。
【0040】
これに対して、制限モードであれば(S103:Yes)、温調設定スイッチ112の操作位置が示す設定温度を、冷房時であれば別途定められている冷房時制限温度(制限時下限値(例えば、28℃))と、暖房時であれば別途定められている暖房時制限温度(制限時上限値(例えば、22℃))と比較する(S106)。
【0041】
そして、冷房時において設定温度が冷房時制限温度を下回っている場合、或いは暖房時において設定温度が暖房時制限温度を上回っている場合は(S107:Yes)、冷房時においては設定温度を冷房時制限温度に置き換え、暖房時においては設定温度を暖房時制限温度に置き換える(S108)。一方、冷房時において設定温度が冷房時制限温度を上回っている場合、或いは暖房時において設定温度が暖房時制限温度を下回っている場合は(S107:No)、S108を経由せず、S104に進む。
【0042】
これにより、例えば次のような動作となる。
(冷房時)温調設定スイッチ112による設定温度が、冷房時制限温度28℃よりも低い温度(例えば、25℃)になっても、実際の制御設定温度は冷房時制限温度28℃を下回ることなく、当該冷房時制限温度28℃にホールドされてペルチェモジュール3の動作制御がなされる。
(暖房時)温調設定スイッチ112による設定温度が、暖房時制限温度22℃よりも高い温度(例えば、25℃)になっても、実際の制御設定温度は暖房時制限温度22℃を上回ることなく、当該暖房時制限温度22℃にホールドされてペルチェモジュール3の動作制御がなされる。
いずれの場合においても、制限モードの場合は(S103:Yes)、通常モードよりは低出力にて空調装置10A,10Bの動作が継続されるので、省電力を図りつつシート1の予熱(暖房時)あるいは予冷(冷房時)等を効果的に行なうことができる。
【0043】
上記第2実施形態では、図12のステップS1によって、カメラ110により撮影された乗員の画像を読み取り、図12のステップS2によって、画像処理により求めた体の大きさ(体の面積や周長など)を基準値と比較するように構成したが、これに代えて、例えば図14に示すように、着座センサ114により検出された乗員の体重を読み取り(S1)、その体重を基準値(重量を表す)と比較するように構成してもよい(S2’)。なお、その他の構成は上記第2実施形態と同じである。この第1変形例によれば、乗員の体重に起因してシート空調の効率が低下する場合は、シート空調の作動が制限されるので、上記第2実施形態と同様、空調装置10A,10Bの無駄な動作を回避することができ、車両全体の電力消費を効果的に抑制することができる。
【0044】
また、上記第2実施形態及びその第1変形例に限らず、例えば図15に示すように、図12のステップS2と図14のステップS2’とを共に備えるように構成してもよい。なお、その他の構成は上記第2実施形態と同じである。この第2変形例によれば、シート空調の効率がほぼ確実に低下する場合に限って空調装置10A,10Bの作動を制限することができる。
【0045】
なお、上記第2実施形態及びその変形例では、制限モードにおいて、ペルチェモジュール3への駆動電流を低減制御するように構成したが、これに加えて又は代えて、例えば送風機(ファン)4への駆動電圧を低減制御(送風機4の回転数を低減)するように構成してもよい。
【0046】
また、上記第1及び第2実施形態等では、カメラ110による画像を基に乗員の体の大きさを求めるようにしたが、これに加えて又は代えて、例えばシートベルトの引き出し量から乗員の体の大きさを求めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1及び第2実施形態等に係り、車両用シート空調装置を組み込んだ自動車用シートの一例を示す側面断面図。
【図2】温調設定スイッチ及びその電源スイッチを示す説明図。
【図3】車内のシートレイアウトと空調装置の設置例を示す平面模式図。
【図4】本発明の第1及び第2実施形態等に係り、車両用シート空調装置の電気的構成の一例を示す全体ブロック図。
【図5】ペルチェモジュールの駆動ユニットの電気的構成の一例を示す回路図。
【図6】冷房時に使用するデューティ比テーブルの模式図。
【図7】暖房時に使用するデューティ比テーブルの模式図。
【図8】本発明の第1実施形態に係り、乗員体格情報取得処理の流れを示すフローチャート。
【図9】本発明の第1実施形態に係り、シート空調制御処理の流れを示すフローチャート。
【図10】本発明の第1実施形態の第1変形例に係り、乗員体格情報取得処理の流れを示すフローチャート。
【図11】本発明の第1実施形態の第2変形例に係り、乗員体格情報取得処理の流れを示すフローチャート。
【図12】本発明の第2実施形態に係り、乗員体格情報取得処理の流れを示すフローチャート。
【図13】本発明の第2実施形態に係り、シート空調制御処理の流れを示すフローチャート。
【図14】本発明の第2実施形態の第1変形例に係り、乗員体格情報取得処理の流れを示すフローチャート。
【図15】本発明の第2実施形態の第2変形例に係り、乗員体格情報取得処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0048】
1 シート
3 ペルチェモジュール(空調装置)
4 送風機(空調装置)
10(10A,10B) 空調装置
103 ECU(空調制御手段)
104 吹出口
105 空気ダクト(空調装置、導風通路部)
110 カメラ(体格情報取得手段)
112 温調設定スイッチ(温度設定手段)
113 電源スイッチ(温度設定手段)
114 着座センサ(体格情報取得手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシートに設けられた空調装置と、
前記シートに着座した乗員の体格情報を取得する体格情報取得手段と、
前記体格情報取得手段により取得された乗員の体格情報に基づいて、乗員の体格が基準値未満であるときは前記空調装置の動作を通常モードに設定し、乗員の体格が前記基準値以上であるときは前記空調装置の動作を前記通常モードよりも動作出力が制限される制限モードに設定する空調制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両用シート空調装置。
【請求項2】
前記乗員の体格情報は、乗員の体の大きさまたは体重である請求項1に記載の車両用シート空調装置。
【請求項3】
前記空調装置は、前記シート内の導風通路部に配置されたペルチェモジュールおよび送風機と、前記導風通路部を通して前記シート外へ吹き出される空調風の温度を設定するための温度設定手段とを備え、
前記空調制御手段は、前記通常モードにおいて、前記温度設定手段により設定された温度に近づくように前記空調装置の動作を制御する請求項1または2に記載の車両用シート空調装置。
【請求項4】
前記空調制御手段は、前記制限モードにおいて、前記空調装置の動作を停止させる請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項5】
前記空調制御手段は、前記制限モードにおいて、動作出力を前記通常モードよりも低減した状態にて前記空調装置の動作を継続させる請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項1】
車両のシートに設けられた空調装置と、
前記シートに着座した乗員の体格情報を取得する体格情報取得手段と、
前記体格情報取得手段により取得された乗員の体格情報に基づいて、乗員の体格が基準値未満であるときは前記空調装置の動作を通常モードに設定し、乗員の体格が前記基準値以上であるときは前記空調装置の動作を前記通常モードよりも動作出力が制限される制限モードに設定する空調制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両用シート空調装置。
【請求項2】
前記乗員の体格情報は、乗員の体の大きさまたは体重である請求項1に記載の車両用シート空調装置。
【請求項3】
前記空調装置は、前記シート内の導風通路部に配置されたペルチェモジュールおよび送風機と、前記導風通路部を通して前記シート外へ吹き出される空調風の温度を設定するための温度設定手段とを備え、
前記空調制御手段は、前記通常モードにおいて、前記温度設定手段により設定された温度に近づくように前記空調装置の動作を制御する請求項1または2に記載の車両用シート空調装置。
【請求項4】
前記空調制御手段は、前記制限モードにおいて、前記空調装置の動作を停止させる請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項5】
前記空調制御手段は、前記制限モードにおいて、動作出力を前記通常モードよりも低減した状態にて前記空調装置の動作を継続させる請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−298368(P2009−298368A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157853(P2008−157853)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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