説明

車両用シート

【課題】表皮材の吸湿と放湿を効率良く行うことにある。
【解決手段】シート外形をなすクッション材4Pと、クッション材4Pを覆う表皮材4Sとを備える車両用シート2において、表皮材4Sを、吸湿により発熱可能とするとともに、クッション材4Pに、外部と連通する連通部20を設けて、表皮材4S中の湿気を外部に放散可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱可能な車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用シートとして特許文献1に開示の車両用シートが公知である。この車両用シートは、シート外形をなすクッション体と、クッション体を覆う表皮材と、シートヒータを有する。シートヒータは面状の発熱体であり、シートの着座性などを考慮してクッション体と表皮材の間に介装される。
ところでこの種の車両用シートでは、消費電力の低減(省電力化)が求められている。上述の技術では、シートヒータに通電してシートの着座部等を発熱させるのであるが、このとき表皮材が断熱材となり、シートヒータの消費電力が増加することがあった。
【0003】
ここで特許文献2には発熱可能な布材の開示がある。この布材は、吸湿によって発熱する性質を有し、例えば架橋アクリル系繊維にて構成される。
そして布材は、吸湿と放湿(吸放湿)を繰り返すことで、通電を要することなく継続的に発熱することができる。そこで車両用シートの表皮材に、特許文献2の布材を用いることで、シートの省電力化を期待することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−12833号公報
【特許文献2】特開2004−55219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら公知技術では、車両用シートに乗員が着座することにより、表皮材の放湿が妨げられて、車両用シートが効率良く発熱しないことがあった。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、表皮材の吸湿と放湿を効率良く行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、第1発明の車両用シートは、シート外形をなすクッション材と、クッション材を覆う表皮材とを備える。そして車両用シートは、乗員の保温等のために発熱可能とされるのであるが、この種の構成では消費電力の低減化が望まれる。
そこで本発明では、上述の表皮材を、吸湿により発熱可能とする。そしてクッション材に外部と連通する連通部を設けて、表皮材中の湿気を外部に放散可能とすることにより、表皮材の吸放湿を効率良く行う構成とした。
【0007】
第2発明の車両用シートは、第1発明の車両用シートであって、上述のクッション材が、連通部に通じる案内溝部を有する。そして表皮材中の湿気を、案内溝部によって連通部にスムーズに導くことで、表皮材の吸放湿をより効率良く行う構成とした。
【0008】
第3発明の車両用シートは、第1発明又は第2発明の車両用シートであって、上述のクッション材と表皮材の間に、着座時の押圧により弾縮変形可能な支持部材(例えば3Dネット体)を介装する。そして表皮材中の湿気を、支持部材に設けた通気部を通じて連通部にスムーズに導く構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る第1発明によれば、表皮材の吸湿と放湿を効率良く行うことができる。また第2発明によれば、より効率良く表皮材を発熱させることができる。そして第3発明によれば、車両用シートの着座性を維持しつつ、より効率良く表皮材を発熱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】車両用シートの斜視図である。
【図2】シートクッションの一部縦断面図である。
【図3】実施形態2の車両用シートの斜視図である。
【図4】実施形態2のシートクッションの一部縦断面図である。
【図5】実施形態3の車両用シートの斜視図である。
【図6】実施形態3のシートクッションの一部縦断面図である。
【図7】試験装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図7を参照して説明する。各図には、適宜、車両用シート前方に符号F、車両用シート後方に符号B、車両用シート上方に符号UP、車両用シート下方に符号DWを付す。
図1の車両用シート2は、シートクッション4とシートバック6とヘッドレスト8を有する。そして本実施形態では、シートクッション4とシートバック6を発熱させて乗員を保温するのであるが、この種の構成ではシートの省電力化を図ることが望まれる。
そこで本実施形態では、吸湿により発熱可能な表皮材S(4S,6S)を用いて、車両用シート2をより効率良く発熱させることとした。
【0012】
[実施形態1]
本実施形態のシートクッション4とシートバック6は、各々、シート外形をなすクッション材(4P,6P)と、クッション材を被覆する表皮材(4S,6S)を有する。
そして表皮材(4S,6S)の一部又は全部は、後述する吸湿発熱繊維によって構成されている(発熱可能な構成である)。またクッション材(4P,6P)は、外部に通じる連通部20を有する。
ここでシートクッション4の上記構成とシートバック6の上記構成はほぼ同一である。このため以下においては、専らシートクッション4の各構成を詳述することとし、シートバック6には、シートクッション4の各構成に対応する符号を付すことで詳細な説明を極力省略する。以下、各構成について詳述する。
【0013】
(表皮材)
表皮材4Sは、シートの着座面をなす表材10と、表材10裏面のパッド材12を有する。これら部材は、ラミネート等の接合方法によって一体化される。パッド材12は、湿気を通気可能な多孔性の部材であり、例えばウレタンパッドなどの発泡性の樹脂部材(連続気泡体)を用いることができる。
そして表材10は、袋状の布帛(織物、編物又は不織布)であり、吸湿により発熱可能な繊維(後述の吸湿発熱繊維)にて構成することができる。
上述の吸湿発熱繊維の線材(紡績糸やフィラメント等)によって表材10の一部又は全部を作製することにより、表皮材4S自体が吸湿によって発熱可能となる。
ここで表材10の一部を吸湿発熱繊維で構成する場合には、表材10の他部を、吸湿発熱繊維とは異なる他の繊維で構成することができる。他の繊維として、天然繊維、合成繊維及びこれらの混紡繊維を例示することができる。
【0014】
(吸湿発熱繊維)
上述の吸湿発熱繊維の種類は特に限定しないが、例えばアクリレート系の吸湿発熱繊維(架橋アクリル系繊維)を使用することができる。
ここで架橋アクリル系繊維は、出発繊維としてのアクリルニトリル(AN)を40重量%以上、好ましくは50重量%以上含有するAN系重合体により形成された繊維である。
ここでAN系重合体は、AN単独重合体、ANと他の単量体との共重合体のいずれでもよい。他の単量体として、ハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン;アクリル酸エステル;メタリルスルホン酸、p―スチレンスルホン酸等のスルホン酸含有単量体及びその塩;メタアクリル酸、イタコン酸等のカルボン酸含有単量体及びその塩;アクリルアミド、スチレン、酢酸ビニル等の単量体を例示することができる。
【0015】
さらに吸湿発熱繊維として、下記の構成を例示することができる。
例えば吸湿発熱性を有する高分子化合物が付着した繊維を、吸湿発熱繊維として使用することができる。この高分子化合物は、ビニルカルボン酸とビニルモノマーの重合体である(特開2002−212880号を参照)。
またアクリル系繊維などの吸湿発熱繊維を30%以上含有する紡績糸を、吸湿発熱繊維として使用することができる(特開2003−227043号を参照)。
【0016】
(クッション材)
クッション材4Pは、シート中央の凹部(着座部C)と、シート両側の凸部(サイドサポート部L)と、後述の連通部20を有する。
このクッション材4Pは、軟質ウレタンフォームやスラブウレタンフォームなどの多孔性の部材(独立気泡体や連続気泡体等)にて形成できる。
【0017】
(連通部)
そして連通部20は、着座部Cをシート上下に貫通する貫通孔である。連通部20の上部開口が表皮材側に開口するとともに、連通部20の下部開口がクッション材4Pの底部に開口する(目立ちにくい構成である)。
本実施形態では、複数の連通部20をシート幅方向に並列して形成する。このとき図1を参照して、乗員との接触部(例えばシート後方位置)に複数の連通部20を配置することが好ましい。そしてクッション材4Pを表皮材4Sで密着状に被覆することにより、表材10で意匠面を構成しつつ、連通部20を表皮材4Sで覆う。
【0018】
またシートバック6(起立時)の連通部20は、着座部Cをシート前後に貫通する貫通孔である。このとき図1を参照して、乗員との接触部(例えばシート下方位置)に複数の連通部20を配置することが好ましい。そして連通部20の後部開口がクッション材6Pの後部に開口する。
そしてこの種のシートバック6では、その後部が、バックボード部材(図示省略)にて被覆される。このバックボード部材によって連通部20の後部開口が被覆される(目立ちにくい構成である)。
【0019】
そして図1及び図2を参照して、車両用シート2に乗員(図示省略)が着座すると、この乗員から発する湿気を表皮材4S(6S)が吸湿して発熱する。そして表皮材4S(6S)中の湿気が、パッド材12を通じてクッション材側に放湿されたのち、連通部20を通じて外部に放散する(シート内外の湿度差に応じて放散される)。このように表皮材4S(6S)が吸放湿を繰り返すことで、車両用シート2を発熱させることができる。
このように本実施形態によれば、表皮材4S(6S)の吸放湿を効率良く行うことにより、車両用シート2を効率的に発熱させることができる。そして表皮材4S(6S)は、通電を要することなく継続的に発熱できるため、車両用シート2の省電力化とともに、車両の燃費を低減することができる。
さらに車両用シート2では、連通部20によって表皮材4S(6S)の湿気が適度に調節される。このため本実施形態では、湿気が原因の不快感(例えば夏場のムレによる不快感)を鎮めることができる。
【0020】
[実施形態2]
本実施形態の車両用シート2aは、実施形態1の車両用シート2とほぼ同一の基本構成を備えるため、共通の構造等は対応する符号を付して詳細な説明を省略する。また以下においては、専らシートクッション4の各構成を詳述する。シートバック6には、シートクッション4の各構成に対応する符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0021】
本実施形態のクッション材4Pは、連通部20と、案内溝部22(後述)を有する(図3及び図4を参照)。そして本実施形態では、複数の連通部20が、着座部Cの側端に形成されている。このように連通部20を着座部Cの側端に形成することで、クッション材4Pの伸縮性(特に着座部C中央の伸縮性)が維持されて、シートの着座性を好適に維持することができる。
【0022】
(案内溝部)
そして案内溝部22は、クッション材4Pに形成された凹部である。本実施形態のクッション材4Pには、各連通部20から着座部C中央に延びる線状の案内溝部22が形成されている。
なお案内孔部の深さ寸法は特に限定しないが、シートの着座性に悪影響を与えない程度の深さ寸法とすることが好ましい。なお案内溝部22を浅くしても、湿気(気体)の流通を確保することが可能である。
【0023】
そして車両用シート2aに乗員(図示省略)が着座すると、この乗員から発する湿気を表皮材4Sが吸湿して発熱する。そして表皮材4S中の湿気が、パッド材12を通じてクッション材側に放湿されたのち、案内溝部22によって連通部20(着座部Cの側端)にスムーズに導かれる。そして連通部20を通じて外部に放湿することで、表皮材4Sの吸放湿をスムーズに繰り返して、車両用シート2aを効率良く発熱させることができる。
このように本実施形態によれば、シートの着座感を比較的好適に維持しつつ、より効率良く表皮材4Sを発熱させることができる。
【0024】
[実施形態3]
本実施形態の車両用シート2bは、実施形態1又は2の車両用シート2(2a)とほぼ同一の基本構成を備えるため、共通の構造等は対応する符号を付して詳細な説明を省略する。また以下においては、専らシートクッション4の各構成を詳述する。シートバック6には、シートクッション4の各構成に対応する符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0025】
本実施形態の車両用シート2bは、複数の連通部20と、後述の支持部材30を有する(図5及び図6を参照)。
複数の連通部20は着座部Cの側端に形成されている。このように連通部20を着座部Cの側端に形成することで、クッション材4Pの伸縮性が維持されて、シートの着座性を好適に維持することができる。
【0026】
(支持部材)
支持部材30は、着座時の押圧により弾縮可能なクッション性と、湿気が通過可能な通気性を有する部材である。この支持部材30を、クッション材4Pと表皮材4Sの間に介装することでシートの着座性が向上する。
ここで支持部材30として、三次元立体編物(3Dネット体)を例示することができる。例えば本実施形体の支持部材30(3Dネット体)は、天然繊維や合成繊維の線材を三次元的に編製した面状部材であり、乗員の押圧により弾縮可能である。そして支持部材30(3Dネット体)内部には、線材の網目間に空隙(通気部32)を有する。
【0027】
さらに支持部材30として、不織布などの繊維マット体や3次元スプリング構造体を例示することができる。繊維マット体は、天然繊維や合成繊維の線材を積層した面状部材である。繊維マット体は、乗員の押圧によって弾縮可能であり、繊維と繊維の間に空隙(通気部)を有する。
また3次元スプリング構造体は、天然繊維や合成繊維の線材がランダムに交絡集合してなる面状部材である。3次元スプリング構造体は、ゴム弾性を有して乗員の押圧によって弾縮可能であり、繊維と繊維の間に空隙(通気部)を備える。
【0028】
そして車両用シート2bに乗員(図示省略)が着座すると、この乗員から発する湿気を表皮材4Sが吸湿して発熱する。このとき表皮材4S中の湿気は、パッド材12を通じてクッション材側に放湿されたのち、支持部材30に設けた通気部32を通じて連通部20(着座部Cの側端)にスムーズに導かれる。そして連通部20を通じて外部に放湿することで、表皮材4Sの吸放湿をスムーズに繰り返して、車両用シート2bを効率良く発熱させることができる。
このように本実施形態では、車両用シート2bの着座性を好適に維持しつつ、より効率良く表皮材4Sを発熱させることができる。
【0029】
以下、本実施形態を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されない。
(実施例1)
実施例1の構成は、実施形態1のシート構成に相当する(図7を参照)。表皮材4Sとして、アクリレート系の吸湿発熱繊維を備える織物(表材10)と、スラブウレタンのパッド材12を用いた。
本実施例では、重量比で、吸湿発熱繊維6.7%(東洋紡社製、商品名「モイスケア(登録商標)」)とポリエステル(他の繊維)93.3%とからなる表材10を使用した。
またクッション材4P(ウレタンパッド)に、上下に貫通する複数の連通部20(貫通孔)を設けた。連通部の孔径はφ20mmに設定した。
そしてクッション材4Pの上面側を表皮材4Sで被覆するとともに、クッション材4Pの下面側を露出させた面状部材(縦400mm×横400mm×高さ100mm)を実施例1のシート構成とした。
【0030】
(比較例1)
比較例1の表皮材として、100%ポリエステルの表材(織物)と、スラブウレタンのパッド材を用いた。またクッション材としてウレタンパッドを用いた。
そしてクッション材の上面側を表皮材で被覆するとともに、クッション材の下面側を露出させた面状部材(実施例1と同寸法)を比較例1のシート構成とした。
【0031】
(参考例1)
参考例1の表皮材として、アクリレート系の吸湿発熱繊維を備える織物(表材)と、スラブウレタンのパッド材を用いた。本実施例では、ポリエステル(他の繊維)93.3%と、上記アクリレート系吸湿発熱繊維6.7%の表材を使用した。
そしてクッション材の上面側を表皮材で被覆するとともに、クッション材の下面側を露出させた面状部材(実施例1と同寸法)を参考例1のシート構成とした。
【0032】
(温度測定試験)
本試験では、放熱板42と、放熱板42に水を供給する供給機構(容器44、ポンプ46、供給パイプ48)を有する装置40を用いた(図7を参照)。
放熱板42は、ラバーヒータを備える銅板(90mm×130mm)であり、その一面(表皮材を臨む面)に、ポリエステル製の擬似皮膚41を貼付した。そして放熱板42に6つの貫通孔(孔径φ20mm)を等間隔に設けて、これら貫通孔から水を表皮材に供給する構成とした。
そして容器44の水を、放熱板42によって表皮材4Sに付与した。このときの条件は、放熱板42の温度:37℃、水の供給量(発汗量):80ml/m・hrに設定した。そして表皮材表面に取付けたセンサ47によって表皮材の温度を測定した。
また同様に、比較例1及び参考例1の表皮材の温度測定試験を行った。
【0033】
(結果及び考察)
上記試験の結果を下記[表1]に示す。
【表1】

【0034】
[表1]を参照して、比較例1では、表皮材の温度がほとんど上がらなかった。また参考例1では、表皮材の温度が若干上昇した(極端な温度上昇はみられなかった)。
これとは異なり、実施例1では、表皮材の温度が3℃以上昇温した(体感温度としては極端な温度上昇であった)。そして実施例1の表皮材は、参考例1と比較して、同一素材を用いたにもかかわらず2.6℃も温度が高かった。
このことから実施例1では、表皮材が吸放湿を繰り返すことで、効率良く昇温したことがわかった。このため実施例1の表皮材によれば、車両用シートを効率良く発熱させて、車両の省電力化を図ることができることがわかった。
【0035】
本実施形態の車両用シートは、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。
(1)本実施形態では、シート上下に貫通する連通部を説明したが、連通部の構成を限定する趣旨ではない。例えばサイドサポート部Lに、シート幅方向に貫通する連通部を設けてもよい。また着座部のみを有するシートクッション(サイドサポート部Lを省略した構成)では、着座部の側面に上下に走る溝部(連通部)を設けることができる。
【0036】
(2)また本実施形態では、単数の連通部20に通じる案内溝部22(線状)を例示したが、案内溝部の構成を限定する趣旨ではない。すなわち案内溝部の形状や寸法は、シート構成に応じて適宜設定可能である。例えば着座部の両端に配置する一対の連通部の双方に通じる案内溝部を形成してもよい。また複数の連通部すべてに通じる案内溝部を設けてもよい。また案内溝部は、直線状、湾曲状、波状など各種の線状形状を取り得る。
(3)また本実施形態では、専ら複数の連通部をクッション材に形成したが、単数の連通部をクッション材に形成してもよい。また連通部の形状は、円形や楕円形や半円形、三角形や四角形などの各種形状を取り得る。
【0037】
(4)また本実施形態では、専らシートクッション4とシートバック6の表皮材を一例に説明した。本実施形態の表皮材は、車両用シートの各構成(ヘッドレスト8やアームレスト等)に適用可能な技術である。なお表皮材は、表材のみで構成されていてもよい。また表皮材は、表材とパッド材と裏基布(布帛)をこの順で積層して構成してもよい。
(5)本実施形態では、表材の一部又は全部を吸湿発熱繊維にて構成する例を説明した。これとは異なり、他の繊維で表材を構成したのち、吸湿発熱繊維の面状体(表材とは別体)を表材に取付けることもできる。
【0038】
(6)また本実施形態では、シートヒータ(面状の発熱体)を併用することもできる。この場合には、クッション体と表皮材の間にシートヒータを介装するとともに、シートヒータの電源ケーブルを、連通部を介して外部の車載電源に配索することができる(連通部が、ケーブルの配索通路としての機能を有する)。
なおシートヒータは、通気性を備える構成であることが望ましい。例えば、布帛製の基材と、導電糸(加熱線)を有するシートヒータを好適に用いることができる。またクッション材に導線(加熱線)を配設してなるシートヒータを用いることもできる。
【符号の説明】
【0039】
2 車両用シート
4 シートクッション
6 シートバック
10 表材
12 パッド材
20 連通部
22 案内溝部
30 支持部材
32 通気部
4P,6P クッション材
4S,6S 表皮材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート外形をなすクッション材と、前記クッション材を覆う表皮材とを備える車両用シートにおいて、
前記表皮材を、吸湿により発熱可能とするとともに、前記クッション材に、外部と連通する連通部を設けて、前記表皮材中の湿気を外部に放散可能とした車両用シート。
【請求項2】
前記クッション材が、前記連通部に通じる案内溝部を有する請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記クッション材と前記表皮材の間に、着座時の押圧により弾縮変形可能な支持部材を介装して、
前記表皮材中の湿気を、前記支持部材に設けた通気部を通じて前記連通部に導く構成とした請求項1又は請求項2に記載の車両用シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−240248(P2010−240248A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94189(P2009−94189)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】