説明

車両用シート

【課題】荷重の吸収性能に優れるシェルを備えた車両用シートを提供すること。
【解決手段】クッション材10と、シートフレーム20と、このシートフレーム20に取り付けられるシェル30と、を備え、前記シェル30は、前記シートフレーム20に接続される接続部32、および、前記クッション材10に表面が覆われる本体部31を有し、少なくとも前記本体部31が前記シートフレーム20に対して移動可能である車両用シート1とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サポート性能を高めるためのシェルを備えた車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、いわゆる三層構造の車両用シートが記載されている。かかる車両用シートは、一般的な車両用シートが備えるシートフレーム(シートの骨格)およびクッション材(パッド)に加え、乗員に対するサポート性能を高めることなどを目的として用いられるシェル(バスケットなどとも称される)を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−540224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記シェルは、シートフレームに対してビス等の締結部材を用いて動かないように固定される。したがって、特許文献1に記載されるようなシェルを備える車両用シートは、シートに掛かる荷重(衝撃)を吸収する性能(クッション性)が低く、乗り心地が悪いという問題があった。
【0005】
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、荷重の吸収性能に優れるシェルを備えた車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明にかかる車両用シートは、クッション材と、このクッション材を支持するシェルと、このシェルを支持するシートフレームと、を備え、前記シェルは、前記シートフレームに接続される接続部、および、前記クッション材に表面が覆われる本体部を有し、少なくとも前記本体部が前記シートフレームに対して移動可能であることを要旨とする。
【0007】
なお、ここでいう「移動」には、本体部が弾性変形してその少なくとも一部が移動することや、本体部全体が移動することの両方を含む。つまり、本体部の少なくとも一部が原位置とは異なる位置に移動すること全てを含む。
【0008】
本発明にかかる車両用シートが備えるシェルは、クッション材に表面が覆われる本体部(シートに対する荷重をクッション材を介して受ける部分)と、この本体部をシートフレームに接続する接続部を有する。そして、少なくとも本体部がシートフレームに対して移動可能に構成されているから、シートに対して掛かる荷重(の少なくとも一部)が本体部の移動によって吸収されることとなる。したがって、従来に比して荷重(衝撃)の吸収性能が向上する。その結果、乗り心地や安全性(むち打ち防止性能等)に優れる車両用シートとなる。
【0009】
この場合、前記接続部は、前記本体部の背面から突出した弾性変形可能な変形部分を有していればよい。
【0010】
このようにシェルの接続部が弾性変形可能な変形部分を有する構成とすれば、接続部の弾性変形によって、シェルの本体部全体が移動するとともに、本体部が弾性変形しやすくなるため、荷重の吸収性能がさらに向上する。
【0011】
またこの場合、前記接続部は、前記変形部分の先端に設けられた断面円形の係合部分を有し、前記シェルは、前記接続部の係合部分が前記シートフレームが有する上下方向に延びる断面円形の軸部材に対して回動可能に係合された状態で前記シートフレームに取り付けられていればよい。
【0012】
上記構成を採用すれば、接続部の変形部分が弾性変形しようとすると、接続部の係合部分がシートフレームの軸部材の周りを回動する。つまり、シェルとシートフレームとの接続部分は動かないように固定された構成ではない(シェルとシートフレームの連結によって変形部分の弾性変形や移動が妨げられない)から、シート(本体部)に対して荷重が掛かった場合、接続部の変形部分は大きく弾性変形しつつ移動する。そのため、接続部を介してシートフレームに接続された本体部が荷重を吸収する方向に大きく弾性変形しつつ全体が移動する。したがって、荷重(衝撃)の吸収性能をさらに向上させることができる。
【0013】
またこの場合、前記接続部の係合部分には、前記軸部材が径方向から挿通可能である後方に向かって開口した開口部が形成され、前記本体部は、前記接続部の係合部分に前後方向で重なるように形成されているとよい。
【0014】
上記のように、接続部の係合部分に軸部材が挿通可能である開口部が形成されていれば、シートフレームへのシェルの取り付けが容易となる。また、このような開口部が形成されていると、シート(シェル)に大きな荷重が掛かった場合に係合部分から軸部材が外れてしまうおそれがある。これに対し、上記構成によれば、仮に係合部分から軸部材が外れたとしても、本体部が接続部の係合部分に前後方向で重なっている(すなわち、本体部と軸部材が重なっている)ため、軸部材に本体部が引っ掛かる。つまり、シート(シェル)に大きな荷重が掛かった場合(例えば事故時)にシェル全体がシートフレームの後方に抜けてしまうこと(シェルのサポートが無くなって乗員が負傷してしまうこと)を防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シェルの本体部がシートフレームに対して移動可能に構成されているから、シートに対して掛かる荷重(の少なくとも一部)が本体部の移動によって吸収される。その結果、従来に比して荷重(衝撃)の吸収性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態にかかる車両用シートの分解斜視図である。
【図2】図1に示した車両用シートが備えるシートフレームとシェルを側方から見た状態を模式的に示した図であり、荷重が掛かってシェルが(a)に示す状態から(b)に示す状態まで移動した様子を示す。
【図3】図1に示した車両用シートが備えるシートフレームとシェルの断面(図2におけるA−A線断面)を模式的に示した図であり、荷重が掛かってシェルが(a)に示す状態から(b)に示す状態まで移動した様子を示す。
【図4】変形例にかかる車両用シートが備えるシートフレームとシェルの断面(図2におけるA−A線断面)を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態にかかる車両用シート1について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、単に上下方向とは車両用シート1の上下方向(図2における上下方向)をいい、単に前後方向とは車両用シート1の前後方向(図2における左右方向。車両の進行方向を前とする)をいい、単に幅方向とは車両用シート1の幅方向(上下方向および前後方向に直交する方向;図3における左右方向)をいう。また、原位置とは、車両用シート1に荷重が全く作用していない状態における各部の位置をいう。
【0018】
本発明の実施形態にかかる車両用シート1は、図1から図3に示すように、乗員の背もたれとなるシートバックを備える。このシートバックは、クッション材10と、シートフレーム20と、このシートフレーム20に取り付けられるシェル30とを有し、これらが図示されないシートカバーに覆われてなる。つまり、車両用シート1は、いわゆる三層構造の車両用シートである。
【0019】
クッション材10は、例えば合成樹脂材料が発泡成形されてなる発泡体から構成され、詳細を後述するシェル30の表面(前面)を覆うように設けられている。
【0020】
シートフレーム20は、例えば金属材料で構成されたシートバックの骨格を構成する枠体である。このシートフレーム20は、上下方向に延びる軸部材21を有する。なお、ここでいう「上下方向に延びる」とは、真っ直ぐ重力方向に延びるもののみを含むものではなく、シートバックに沿っておおよそ高さ方向に延びるもの全てを含む。軸部材21は、円管や丸棒などから構成される、断面円形に形成された部分であり、本実施形態ではシートバックの幅方向両側に沿って二本設けられている。この二本の軸部材21は、シートバックを幅方向に二分する面を対称面として対称に位置する。
【0021】
シェル30は、例えば合成樹脂材料によって一体成形された部材であり、本体部31および接続部32を備える。
【0022】
シェル30の本体部31は、図3に示すように、幅方向に沿った平面で切断した断面が椀状である部分である。この断面が椀状である本体部31は、車両用シート1に着座する乗員の上半身を、両サイドから包み込むように保持する(いわゆるサイドサポート部311が設けられた構成である)。この本体部31の表面(前面)は、上記クッション材10で覆われている。なおクッション材10の取り付け方法は特に限定されない。クッション材10をそのまま本体部31の表面に固定する構成であってもよいし、シートフレーム20などに本体部31の表面を覆うように取り付ける構成であってもよい。また、図3から分かるように、本体部31の幅方向両側(「椀」の縁部)、すなわちサイドサポート部311は、後方に向かって略「U」字状に屈曲している。かかる形状とすることにより、本体部31の強度(剛性)が高められるとともに、乗員が本体部31のエッジで負傷してしまうことなどが防止される。
【0023】
かかる本体部31は、シートバック全体と略同じ高さを有する。よって、シートバックの前面に対する荷重は、クッション材10を介して本体部31に作用する。原位置に位置する本体部31にこのような荷重が作用すると、本体部31はその中央部分が後方に移動し(図2(a)および図3(a)で示す状態から図2(b)および図3(b)で示す状態まで移動し)、幅方向の大きさ(サイドサポート部311の間隔)を小さくするように弾性変形する(このように弾性変形するように材質、厚み、形状等が設定されている)。断面で見れば、「椀」の深さが深くなり、「椀」の縁部同士の間隔が小さくなるような方向に弾性変形する。
【0024】
シェル30の接続部32は、本体部31の背面(後面)から突出した部分である。本実施形態では、一のシェル30は、二つの接続部32を有する。この二つの接続部32は、共に、上下方向における略中央位置から突出し(図3参照)、シートバックを幅方向に二分する面を対称面として対称に位置する。また、各接続部32は、変形部分321および係合部分322を有する。図3に示す幅方向に沿った平面で切断した断面で見ると、変形部分321および係合部分322は次のような形状を有する。
【0025】
接続部32の変形部分321は、接続部32の根本部分であり、本体部31の背面における所定位置(「椀」の最も深い位置と「椀」の縁部の略中央位置)から、斜め後方外向きに屈曲して(屈曲部分が斜め後方内向きとなるように)延びる弾性変形可能な部分である。具体的には、原位置に位置する変形部分321は、本体部31と接続部32の交わる点(図3においてCで示す部分)から後方に向かって略直線状に延び、そこから略「U」字状に幅方向外側に屈曲した形状を有する。
【0026】
接続部32の係合部分322は、変形部分321の先端から延びる半円状(必ずしも厳密な半円である必要はない)の部分である。したがって、係合部分322には、後方に向かって所定の大きさに開口した開口部322aが形成される。この半円状の係合部分322の内側には、上記シートフレーム20の軸部材21が係合されている。具体的には、係合部分322の開口部322aを押し拡げるようにして軸部材21がその径方向から係合部分322の内側に係合される。つまり、開口部322aは、係合部分322の弾性変形しやすさ等を考慮して軸部材21が挿通可能な大きさに設定されている。このように、接続部32の係合部とシートフレーム20の軸部材21の係合により、シェル30全体がシートフレーム20に取り付けられている。
【0027】
このようにして軸部材21が内側に係合された接続部32の係合部分322は、軸部材21の周りを回動することができる。つまり、係合部分322(接続部32)に何らかの力が作用すれば、係合部分322は軸部材21の周りを回動する。
【0028】
また、このように構成された接続部32の係合部分322は、前後方向で本体部31と重なる。別の見方をすれば、接続部32の係合部分322にはシートフレーム20の軸部材21が係合されているのであるから、本体部31は前後方向でシートフレーム20の軸部材21と重なる。本実施形態では、本体部31の幅方向両側(サイドサポート部311)における後方に向かって略「U」字状に屈曲した部分が、前後方向で接続部32の係合部分322と重なる。
【0029】
以上の構成を備える車両用シート1の作用(荷重の吸収作用)について説明する。車両用シート1に乗員が着座すると、車両用シート1のシートバックは、その者の重みによる荷重(前方から後方に向かう荷重)を受ける。したがって、シェル30の本体部31には、その表面側からクッション材10を介してその荷重が掛かる。
【0030】
荷重が掛かったシェル30の本体部31は、次のように弾性変形しつつ後方に本体部31全体が移動する。なお、ここでいう「本体部31全体の移動」とは、本体部31が接続部32に支持されている支点(図3においてCで示す部分)が原位置とは異なる位置に移動することである。つまり、本発明における本体部31の「移動」には、本体部31の弾性変形によるその少なくとも一部の移動、および、本体部31全体の移動の両方が含まれる。
【0031】
本体部31に荷重が作用すると、本体部31はその中央部分が後方に移動し、幅方向の大きさ(サイドサポート部311の間隔)を小さくするように弾性変形する。つまり、荷重によって本体部31自体が変形し、荷重の少なくとも一部を吸収する。加えて、本体部31に作用した荷重により、本体部31とシートフレーム20とを繋ぐ接続部32の変形部分321が弾性変形する。また、接続部32の係合部分322は、シートフレーム20の軸部材21に対して回動自在に係合されているため、荷重によって軸部材21の周りを幅方向内側に向かって回動する(図3における左側の係合部分322は右回りに、右側の係合部分322は左回りに回動する)。つまり、接続部32の変形部分321は、弾性変形しつつ後方に向かって移動する。
【0032】
このように変形部分321が弾性変形しつつ後方に向かって移動するため、接続部32を介してシートフレーム20に接続されている本体部31は、変形部分321が弾性変形および移動した分、全体が後方に向かって移動する。また、図3(a)に示すように原位置において本体部31を前後方向に支えるような直線状であった部分Sが、弾性変形すると図3(b)に示すように本体部31の背面に近づく方向に変形するから、本体部31はその中央部分が後方に移動しやすくなる(荷重を吸収する方向に弾性変形しやすくなる)。つまり、シェル30の本体部31は、変形部分321の作用によって大きく弾性変形しつつ全体が後方に向かって移動する。この本体部31の弾性変形および本体部31全体の後方への移動により、シートバックに作用する荷重の少なくとも一部が吸収される。
【0033】
以上説明した本実施形態にかかる車両用シート1によれば、次のような効果が奏される。
【0034】
本実施形態では、シートバックに対して前方から後方へ向かう荷重が掛かると、シェル30の本体部31全体が後方に移動する。したがって、当該本体部31全体の移動によってシートバックに対する荷重の一部が吸収される。また、本実施形態では、荷重によって本体部31はその中央部分が後方に移動するように弾性変形する。したがって、当該本体部31の弾性変形(本体部31の少なくとも一部の移動)によっても荷重の一部が吸収される。このように、車両用シート1では、本体部31全体の後方への移動や、本体部31の弾性変形によって荷重の一部が吸収されるため、従来に比して荷重(衝撃)の吸収性能が向上する。その結果、乗り心地や安全性(むち打ち防止性能等)に優れる車両用シートとなる。
【0035】
特に、本実施形態では、本体部31とシートフレーム20を繋ぐ接続部分の働きにより、本体部31の全体が移動しやすく弾性変形しやすい構成となっている。具体的には、接続部32は、弾性変形可能な変形部分321を有するから、当該変形部分321の弾性変形の作用によって本体部31全体が後方に移動しやすく、かつ弾性変形しやすい。さらに、接続部32の係合部分322は、変形部分321が弾性変形しようとすると、シートフレーム20の軸部材21の周りを回動する。つまり、シェル30とシートフレーム20との接続部分は動かないように固定された構成ではないから、シェル30とシートフレーム20の連結によって、変形部分321の弾性変形や後方への移動が妨げられるということはない。そのため、シート(本体部31)に対して荷重が掛かった場合、接続部32の変形部分321は大きく弾性変形しつつ後方に移動するとともに、接続部32を介してシートフレーム20に接続された本体部31全体が荷重を吸収する方向に大きく弾性変形しつつ移動する。したがって、車両用シート1は優れた荷重(衝撃)の吸収性能を発揮する。
【0036】
また、本実施形態では、本体部31はいわゆるサイドサポート部311を有する。そして、本体部31は、荷重が掛かると、中央部分が後方に移動するとともにサイドサポート部311の間隔が小さくなる方向に弾性変形する。このように、乗員がシートに着座すると本体部31が乗員の上半身(脇腹部分)を挟み込むように弾性変形するから、サポート性能(乗員の横ずれ防止性能)に優れた車両用シートとなる。特に、事故などによって大きな荷重が本体部31に掛かった場合、本体部31が大きく弾性変形し乗員の上半身をより強固に挟み込む構成となるから、車両用シートとしての安全性に優れる。このように、本実施形態にかかる車両用シート1は、優れた荷重(衝撃)の吸収性能を発揮するとともに、優れた乗員のサポート性能も発揮する。
【0037】
さらに、本実施形態では、接続部32の係合部分322に軸部材21が挿通可能である開口部322aが形成されているため、シートフレーム20へのシェル30の取り付けが容易である。
【0038】
また、このような開口部322aが形成されていると、シート(シェル30)に大きな荷重が掛かった場合に係合部分322から軸部材21が外れてしまうおそれがある。これに対し、本実施形態では、仮に係合部分322から軸部材21が外れたとしても、本体部31が接続部32の係合部分322に前後方向で重なっている(すなわち、本体部31と軸部材21が前後方向で重なる)ため、軸部材21に本体部31が引っ掛かる。つまり、シート(シェル30)に大きな荷重が掛かった場合(例えば事故時)にシェル30全体がシートフレーム20の後方に抜けてしまうこと(シェル30のサポートが無くなって乗員が負傷してしまうこと)を防止することができる。特に、本実施形態では、本体部31の幅方向両側(サイドサポート部311)における後方に向かって略「U」字状に屈曲した部分が、前後方向で接続部32の係合部分322と重なっているため、係合部分322から軸部材21が外れたとしても、略「U」字状に屈曲した部分の内側に軸部材21が引っ掛かるため、シェル30全体がシートフレーム20の後方に抜けてしまうことを確実に防止することができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態にかかる車両用シート1の変形例として、図4に示すような構成が考えられる。この変形例にかかる車両用シートは、シェル30hの接続部32hの構成が上記実施形態にかかる車両用シート1と異なる。具体的には、シェル30hの接続部32hにおける変形部分321hが、幅方向に波打つように屈曲した形状(蛇腹状)に形成されている。かかる構成とすれば、接続部32hの変形部分321hがより弾性変形しやすくなるから、荷重(衝撃)の吸収性能がさらに向上する。また、このように変形部分321hが大きく弾性変形する構造の場合には、接続部32hの係合部分322hがシートフレーム20の軸部材21に対して回動可能に係合されていなくても(シェル30hとシートフレーム20との接続部分が動かないように固定されていても)、上記実施形態と同等の効果が得られる。
【0041】
また、上記実施形態にかかる車両用シート1は、車両用シート1のシートバックに本発明の技術的思想が適用された構成であるが、車両用シート1のその他の構成(シートクッション(着座部)やヘッドレスト)に適用することも可能である。なお、シートクッションは、シートバックと略直交する方向に沿って配置されるものであるから、シートクッションに上記本発明の技術的思想を適用する場合には、上記説明における「上下方向」を「前後方向」に、「前後方向」を「上下方向」に置き換えて適用する。
【0042】
また、上記実施形態において、シェル30の本体部31は、乗員の上半身を両サイドから包み込むように保持する、いわゆるサイドサポート部311が設けられた構成であることを説明したが、このようなサイドサポート部が設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 車両用シート
1a シートバック
10 クッション材
20 シートフレーム
21 軸部材
30 シェル
31 本体部
32 接続部
321 変形部分
322 係合部分
322a 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クッション材と、このクッション材を支持するシェルと、このシェルを支持するシートフレームと、を備える車両用シートにおいて、
前記シェルは、前記シートフレームに接続される接続部、および、前記クッション材に表面が覆われる本体部を有し、少なくとも前記本体部が前記シートフレームに対して移動可能であることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
前記接続部は、前記本体部の背面から突出した弾性変形可能な変形部分を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記接続部は、前記変形部分の先端に設けられた断面円形の係合部分を有し、
前記シェルは、前記接続部の係合部分が前記シートフレームが有する上下方向に延びる断面円形の軸部材に対して回動可能に係合された状態で前記シートフレームに取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記接続部の係合部分には、前記軸部材が径方向から挿通可能である後方に向かって開口した開口部が形成され、
前記本体部は、その少なくとも一部が、前記接続部の係合部分に前後方向で重なるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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