説明

車両用シールド導電体

【課題】本発明は、金型の製造コストが低減された車両用シールド導電体を提供する。
【解決手段】定尺鞘部材ユニット18を製造するための金型については、一旦、設計、製造すれば異なる車種に対してもこの金型を使用できるから、金型の使用効率を向上させることができる。これにより、定尺鞘部材ユニット18の1個当たりの金型製造コストを低減させることができる。さらに、分割鞘部材15を複数の各鞘部材ユニット18,19,20を連結させて形成することにより、各鞘部材ユニット18,19,20をプレス加工するための金型を小型化できるから、金型の製造コストを低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シールド導電体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より車両用シールド導電体としては特許文献1に記載のものが知られている。これは、芯線を絶縁樹脂層で被覆してなる電線を、金属製のシールドパイプ内に挿通してなる構造である。この構造によれば、電線の外周が金属パイプによって包囲されるから、電線に異物が衝突して損傷を受けることを防止できるだけでなく、金属パイプによる電磁的なシールド効果も期待できる。
【特許文献1】特開2004−171952公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、パイプ内に電線を挿入する際、例えば電線の先端がパイプの内周面に引っ掛かって電線が座屈して、電線をそれ以上挿入できなくなってしまうことが懸念される。このため、電線を座屈させないようにしながら電線をパイプ内に挿入しなければならず、面倒である。
【0004】
そこで、例えば、二枚の金属板材の間に電線を挟んで合体させることで電線を包囲するシールド部材を形成することが考えられる。これにより電線をパイプ内に挿入する作業を省略することが期待できる。金属板材同士は、例えば各金属板材の端縁の合わせ面を溶接することで、合体させることができる。
【0005】
上記の金属板材は、例えばプレス加工により所定形状に形成できる。しかしながらシールド部材の長さは車種ごとに異なるため、プレス用金型は車種毎に製造される。このため、金型の使用効率が低下し、金属板材1個当たりの金型製造コストが割高になるという問題がある。また、シールド部材に必要とされる長さ寸法の金属板材をプレス可能な金型が必要となるため、金型が大型化し、金型の製造コストも高くなる。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、金型の製造コストが低減された車両用シールド導電体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、車両用シールド導電体であって、電線と、この電線を包囲する金属製のシールド部材とを備え、前記シールド部材がプレス加工により形成された一対の分割鞘部材によって前記電線を挟むようにして一体化されたものであって、前記対をなす分割鞘部材の少なくとも一方は、前記電線を収容する第1電線収容溝を備えて前記電線の延長方向に連結された複数の定尺鞘部材ユニットと、前記電線を収容する第2電線収容溝を備えて前記定尺鞘部材ユニットの端部に前記電線の延長方向に延びるように連結され前記定尺鞘部材ユニットよりも短い端尺鞘部材ユニットとを備える。
【0008】
車両用シールド導電体は、例えば以下のようにして製造できる。まず、予め最適な定尺鞘部材ユニットの長さ寸法を設定すると共に、この定尺鞘部材ユニットをプレス加工するための金型を設計、製造しておく。その後、搭載車種が決定されて、この車種に用いられるシールド部材の長さ寸法が決定された時に、定尺鞘部材ユニットを電線の延長方向に複数連結した形態品だけでは、先に決定されたシールド部材の長さ寸法に不足となる長さ分を、端尺鞘部材ユニットの長さ寸法として設定する。これに伴い端尺鞘部材ユニットをプレス加工するための金型も設計、製造する。
【0009】
上記の金型を用いて、定尺鞘部材ユニット及び端尺鞘部材ユニットにつき、搭載車種1台当たりに必要な数量を金属板材をプレス加工して製造する。次いで、製造された定尺鞘部材ユニットを電線の延長方向に並べて連結すると共に、定尺鞘部材ユニットの端部に、端尺鞘部材ユニットを電線の延長方向に延びるように連結する。このようにして少なくとも一方の分割鞘部材を製造する。他方の分割鞘部材は上記と同様に製造してもよいし、また、金属板材を所定の長さ寸法に切断することによって製造した平板であってもよい。
【0010】
上記のようにして製造した一対の分割鞘部材を、電線を挟むようにして組み合わせて一体化することによりシールド部材を形成し、これにより、電線と、この電線を包囲するシールド部材を備えた車両用シールド導電体が完成する。
【0011】
また、他の車種に用いられる車両用シールド導電体を製造する場合には、他の車種に用いられるシールド部材の長さ寸法が決定された時に、定尺鞘部材ユニットを電線の延長方向に複数連結した形態品だけでは先に決定されたシールド部材の長さ寸法に不足となる長さ分を、端尺鞘部材ユニットの長さ寸法として設定する。これに伴い、端尺鞘部材ユニットをプレス加工するための金型を設計、製造する。以下の工程は、上記と同様であるので省略する。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載のものにおいて、前記両分割鞘部材は同形状をなすと共に、前記電線の延長方向に連結された複数の前記定尺鞘部材ユニットと、前記定尺鞘部材ユニットの端部に前記電線の延長方向に延びるように連結された前記端尺鞘部材ユニットとを備えており、前記定尺鞘部材ユニットの前記第1電線収容溝及び前記端尺鞘部材ユニットの前記第2電線収容溝は断面形状が半円形をなしており、前記シールド部材は、一方の前記分割鞘部材と、他方の前記分割鞘部材とを、前記電線を挟むように組み合わせて構成されている。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2記載のものにおいて、前記両分割鞘部材は、複数の前記定尺鞘部材ユニット及び前記端尺鞘部材ユニットに加えて更に前記定尺鞘部材ユニット及び前記端尺鞘部材ユニットの端部に、断面形状が半円形をなす第3電線収容溝を備えた端末鞘部材ユニットを連結して構成されており、前記端末鞘部材ユニットは、第1端末鞘部材ユニットと、前記電線の延長方向の寸法が前記第1端末鞘部材ユニットとは異なる第2端末鞘部材ユニットとからなり、前記両分割鞘部材の一方の端部には前記第1端末鞘部材ユニットが連結されており、他方の端部には前記第2端末鞘部材ユニットが連結されており、前記シールド部材は、一方の前記分割鞘部材の前記第1端末鞘部材ユニットと、他方の前記分割鞘部材の前記第2端末鞘部材ユニットとを対向させると共に、一方の前記分割鞘部材の前記第2端末鞘部材ユニットと、他方の前記分割鞘部材の前記第1端末鞘部材ユニットとを対向させた姿勢で一体化して構成されており、一方の前記分割鞘部材における前記各鞘部材ユニット同士の連結部分と、他方の前記分割鞘部材における前記各鞘部材ユニット同士の連結部分とは、前記電線の延長方向に対してずれて位置している。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3に記載のものにおいて、前記各鞘部材ユニットには複数の前記各電線収容溝が並んで形成されており、前記シールド部材は複数の前記電線を包囲してなり、前記端末鞘部材ユニットの前記電線の延長方向外側の端部には、複数の前記各電線収容溝を跨いで断面形状が弧状をなす弧状部が前記電線の延長方向外方に延設されており、前記シールド部材の端部には、前記両分割鞘部材を組み合わせた状態で、前記第1及び第2端末鞘部材ユニットの前記弧状部が組み合わさることにより、複数の前記電線を一括して包囲する筒部が形成される。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のものにおいて、前記分割鞘部材における前記各鞘部材ユニット同士は、隣り合う前記各鞘部材ユニット同士の間に掛け渡された状態で前記各鞘部材ユニットに固定された連結部材により連結されている。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のものにおいて、前記各鞘部材ユニットには複数の前記各電線収容溝部が並んで形成されており、前記分割鞘部材は、前記各分割鞘部材の端縁の合わせ面が磁気的に結合された状態で接続されており、前記シールド部材のうち複数の前記各電線収容溝部の間に位置して前記電線を挟む方向の両側から対面する部分は互いに磁気的に絶縁状態にされている。
【0017】
なお、磁気的に絶縁された状態とは、複数の電線収容溝部の間に位置して電線を挟む方向の両側から対面する部分の間に、例えば空間が設けられている場合や、非磁性体が挟まれた状態をいう。
【発明の効果】
【0018】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、定尺鞘部材ユニットを製造するための金型については、一旦、設計、製造すれば異なる車種に対してもこの金型を使用できるから、金型の使用効率を向上させることができる。これにより、定尺鞘部材ユニット1個当たりの金型製造コストを低減させることができる。
【0019】
また、例えば、分割鞘部材を1枚の金属板材で構成する場合、この金属板材をプレス加工するための金型が大型化するため、金型の製造コストが高くなることが懸念される。上記の点に鑑み、請求項1の発明によれば、シールド部材を構成する分割鞘部材は、複数の定尺鞘部材ユニットと、端尺鞘部材ユニットとを連結して製造される。これにより、定尺鞘部材ユニット及び端尺鞘部材ユニットをプレス加工するための金型を小型化できるから、金型の製造コストを低減できる。
【0020】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、シールド部材は同形状をなす一対の分割鞘部材を電線を挟むように組み合わせて構成されるから、製造が容易である。
【0021】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、一方の分割鞘部材における各鞘部材ユニット同士の連結部分と、他方の分割鞘部材における各鞘部材ユニット同士の連結部分とは、電線の延長方向に対してずれて位置している。これにより、一方の分割鞘部材における鞘部材ユニット同士の付き合わせ部分は、他方の各鞘部材ユニットにより補強されるようになっているから、シールド部材の剛性が全体として向上する。
【0022】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、例えばシールド部材の筒部の外周面に編組線を被せて、編組線の外方からリングを組み付けてかしめつけることで、編組線により複数の電線を一括して包囲した状態で、シールド部材と編組線とを容易に接続することができる。このように請求項4の発明によれば、シールド導電体の端末処理を容易に行うことができる。
【0023】
<請求項5の発明>
請求項5の発明によれば、各鞘部材ユニット同士は連結部材により連結されているから、シールド部材の強度向上を図ることができる。
【0024】
<請求項6の発明>
例えば3本の電線の外周を個別に包囲するようにして磁性体金属を配した状態で電線に3相電流を流すと、電線を包囲する各金属内に磁気回路が形成され、電線の周方向にループ状の磁束が発生する。すると、ヒステリシス損と、渦電流損とが大きくなって、金属が発熱する。電線に比較的大きな電流が流れる電力回路用の電線の場合、発熱量が大きくなり、その分、電線の発熱量低減を図るために電線の断面積を増大させる必要が生じてしまう。このため、金属として非磁性体を用いなければならず、コスト高を招くという問題点がある。
【0025】
請求項6の発明によれば、複数の電線収容溝部の間に位置して電線を挟む方向の両側から対面する部分は互いに磁気的に絶縁状態にされているから、全体としてみると、例えば3相分を一括して包囲する磁気回路が形成される。この磁気回路においては、平衡3相電流の合成値は0になるので、この平衡3相電流によって生じる磁束も0となる。この結果、ヒステリシス損や渦電流損を小さくするために高価な非磁性体を使用する必要がなく、安価な強磁性体を用いることが可能となるので、コスト低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図9を参照して説明する。本実施形態の車両用シールド導電体10は、例えば電気自動車等の車両(図示せず)において走行用の動力源を構成するバッテリー、インバータ、モータなどの装置(図示せず)の間に配索されて使用される。このシールド導電体10は、3本の電線11の外周面を金属製のシールド部材12で包囲してなる。
【0027】
電線11は、金属製(例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金など)の芯線13の外周を絶縁樹脂層14で包囲してなる。芯線13は複数本の細線(図示せず)を撚り合わせた撚り線からなる。電線11の断面形状は芯線13と絶縁樹脂層14との双方が真円形とされている。
【0028】
図3に示すように、シールド部材12は、金属製(例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、ステンレス等)であって、空気よりも熱伝導率が高い。シールド部材12は、同一形状をなす2枚の分割鞘部材15が電線11を挟むようにして上下に重ね合わされてなる。シールド部材12は、分割鞘部材15の端縁同士の合わせ面が互いに、公知の手段によりシーム溶接された溶接部16を有している。溶接部16においては、両分割鞘部材15は磁気的に結合されている。シールド部材12の両端部には、3本の電線11を一括して包囲する筒部17が形成されている。筒部17からは電線11が延出される。
【0029】
各分割鞘部材15は、電線11の延長方向に連結された複数の定尺鞘部材ユニット18と、この定尺鞘部材ユニット18の端部に電線11の延長方向に延びるように連結された端尺鞘部材ユニット19とを備えてなる。図1ないし図5においては、1つの分割鞘部材15に2つの定尺鞘部材ユニット18が含まれる構成が示されているが、定尺鞘部材ユニット18は3つ以上含まれてもよい。各分割鞘部材15には、複数の定尺鞘部材ユニット18及び端尺鞘部材ユニット19に加えて更に定尺鞘部材ユニット18及び端尺鞘部材ユニット19の端部に、端末鞘部材ユニット20が連結されている。
【0030】
分割鞘部材15における各鞘部材ユニット18,19,20(定尺鞘部材ユニット18、端尺鞘部材ユニット19、及び端末鞘部材ユニット20)同士は、隣り合う各鞘部材ユニット18,19,20同士の間に掛け渡された状態で各鞘部材ユニット18,19,20の外面に固定された連結部材21により連結されている。連結部材21は、金属板材をプレス加工することにより形成されてなる。連結部材21と各鞘部材ユニット18,19,20とは、例えば公知の手段により溶接して固定される。図3に示すように、連結部材21は、シールド部材12の上面及び下面の双方に固定されている。連結部材21は分割鞘部材15の外面形状に倣った形状に形成されている。
【0031】
定尺鞘部材ユニット18は、金属板材をプレス加工することによって形成されてなる。定尺鞘部材ユニット18には3つの第1電線収容溝22が並んで設けられている。この第1電線収容溝22の断面形状は半円状に形成されており、電線11の延長方向に沿って延設されている。複数の定尺鞘部材ユニット18は、電線11の延長方向の長さ寸法が全て同じに形成されている。
【0032】
端尺鞘部材ユニット19は、金属板材をプレス加工することによって形成されてなる。端尺鞘部材ユニット19には3つの第2電線収容溝23が並んで設けられている。この第2電線収容溝23の断面形状は半円状に形成されており、電線11の延長方向に沿って延設されている。端尺鞘部材ユニット19は、電線11の延長方向の長さ寸法が定尺鞘部材ユニット18よりも短く形成されている。
【0033】
端末鞘部材ユニット20は、定尺鞘部材ユニット18又は端尺鞘部材ユニット19に接続される接続部24と、この接続部24から電線11の延長方向外方(定尺鞘部材ユニット18又は端尺鞘部材ユニット19と反対方向)に延びて、断面形状が弧状をなす弧状部25とからなる。接続部24には3つの第3電線収容溝26が並んで設けられている。この第3電線収容溝26の断面形状は半円状に形成されており、電線11の延長方向に沿って延設されている。弧状部25は、第3電線収容溝26を跨ぐように形成されている。この弧状部25は、一対の分割鞘部材15が組み合わされた状態で、上述したシールド部材12の筒部17を形成するようになっている。
【0034】
図7及び図8に示すように、端末鞘部材ユニット20の弧状部25の一方の端縁には、両端末鞘部材ユニット20の組付け方向(図7及び図8の上下方向)に突出するガイド部27が設けられている。このガイド部27は、図7において上側に位置する端末鞘部材ユニット20では図中左側の端縁に形成されており、下側に位置する端末鞘部材ユニット20では右側の端縁に形成されている。両端末鞘部材ユニット20は同形状であり、上下反転した姿勢になっている。ガイド部27は、両端末鞘部材ユニット20が組み付けられた状態で弧状部25の延長位置に形成されており、このガイド部27と、弧状部25の内側面とが摺接することで、両端末鞘部材ユニット20同士が正規組付け位置に案内されるようになっている(図1参照)。
【0035】
各鞘部材ユニット18,19,20に形成された各電線収容溝22,23,26(第1電線収容溝22、第2電線収容溝23、及び第3電線収容溝26)は、各鞘部材ユニット18,19,20を電線11の延長方向に沿って連結して分割鞘部材15を形成したときに、各鞘部材ユニット18,19,20に形成された各電線収容溝22,23,26が連続するようになっており、これによりシールド部材12には連結電線収容溝28が形成される。
【0036】
各鞘部材ユニット18,19,20を連結して形成した一対の分割鞘部材15同士を、図3に示すように互いに上下反転させた姿勢で組み合わせることにより、互いに対向する連結電線収容溝28同士の間に断面形状が真円形をなす空間が形成され、この空間内に電線11が収容される(図9参照)。連結電線収容溝28の内周面の半径は、電線11の外周面の半径よりもわずかに小さい寸法とされている。連結電線収容溝28の内周面には、電線11の外周面と密着する密着部29が形成されている。これにより、電線11に通電することにより芯線13で発生した熱は絶縁樹脂層14から直接に密着部29を経てシールド部材12に伝達され、外部に放散される。
【0037】
シールド部材12のうち、3つの連結電線収容溝28の間に位置して電線11を挟む方向(図9における上下方向)の両側から対面する部分は、互いに離間しており、磁気的及び電気的な絶縁空間30が形成されている。これにより、3つの連結電線収容溝28の間に位置して電線11を挟む方向の両側から対面する部分は磁気的及び電気的に絶縁状態になっている。
【0038】
続いて、本実施形態のシールド導電体10の製造方法の一例について説明する。まず、予め最適な定尺鞘部材ユニット18の長さ寸法を設定する。そして、この定尺鞘部材ユニット18をプレス加工するための金型(図示せず)を設計、製造する。定尺鞘部材ユニット18の最適な長さ寸法は、例えば、組付け作業性、金型製造コスト、プレス加工性等を勘案して、決定される。その後、搭載車種が決定され、この車種に用いられるシールド部材12の長さ寸法が決定される。定尺鞘部材ユニット18を電線11の延長方向に複数連結した形態品だけでは、先に決定されたシールド部材12の長さに不足となる長さ分を、端尺鞘部材ユニット19及び端末鞘部材ユニット20の長さ寸法として設定する。そして、この端尺鞘部材ユニット19及び端末鞘部材ユニット20をプレス加工するための金型(図示せず)を設計、製造する。また、連結部材21をプレス加工するための金型(図示せず)を設計、製造する。
【0039】
上記の金型を用いて、定尺鞘部材ユニット18、端尺鞘部材ユニット19、端末鞘部材ユニット20及び連結部材21について、搭載車種1台当たりに必要な数量を、金属板材をプレス加工して製造する。次いで、図5に示すように、複数の定尺鞘部材ユニット18を電線11の延長方向に並べ、定尺鞘部材ユニット18の端部に、端尺鞘部材ユニット19を電線11の延長方向に延びるように並べる。さらに、定尺鞘部材ユニット18の端部及び端尺鞘部材ユニット19の端部に、それぞれ、端末鞘部材ユニット20を並べる。各鞘部材ユニット18,19,20を並べて配した後、各鞘部材ユニット18,19,20の付き合わせ部分において、各鞘部材ユニット18,19,20の間を掛け渡すようにして連結部材21を重ねて配置する。その後、図6に示すようにして、連結部材21と、各鞘部材ユニット18,19,20を、公知の手法(例えばスポット溶接)により溶接して固定する。例えば、各鞘部材ユニット18,19,20と連結部材21同士を、上下3対の治具31の間で挟むことにより密着させると共に、それぞれ電源32に接続された上側の治具31と下側の治具31との間に電圧を印加し、スポット溶接を行う。このようにして分割鞘部材15を製造する。他方の分割鞘部材15も上記と同様に製造する。これにより、同形状をなす一対の分割鞘部材15が製造される。
【0040】
次に、図9に示すように、下側に位置する分割鞘部材15の3つの連結電線収容溝28に、それぞれ電線11の下半分を嵌め込む。これにより、3本の電線11が金属板材に対して位置決めされる。この状態で、電線11の嵌め込まれた分割鞘部材15の上方から、上側に位置する分割鞘部材15を重ね合わせる。すると、上側の分割鞘部材15の3つの連結電線収容溝28が、それぞれ対応する電線11の上半分に外嵌される。このとき、ガイド部27と、弧状部25の内周面とが摺接することにより、両分割鞘部材15は正規組付け位置に案内される。この状態では、分割鞘部材15の端縁同士の間には、僅かな隙間が形成されている。
【0041】
次に、図9に示すように、離間している分割鞘部材15の端縁同士を、上下2対のローラ38の間で挟むことにより密着させると共に、それぞれ電源32に接続された上側のローラ38と下側のローラ38との間に電圧を印加し、シーム溶接を行う。これにより、離間状態にあった分割鞘部材15の端縁の合わせ面が面接触状態に固着されて電気的に接続された溶接部16が形成される。
【0042】
上述したように、溶接部16において分割鞘部材15同士を溶接することにより、上下で対応する連結電線収容溝28によって円形断面の空間が形成され、この空間内に、それぞれ電線11が収容される。連結電線収容溝28の内周面は、密着部29において電線11の外周面と密着している。このようにして、3本の電線11が、金属板材により上下に挟まれることで一括して包囲されてなる車両用シールド導電体10が完成する。
【0043】
また、他の車種に用いられる車両用シールド導電体10を製造する場合には、他の車種に用いられるシールド部材12の長さ寸法が決定されたときに、定尺鞘部材ユニット18を電線11の延長方向に複数連結した形態品だけでは、先に決定されたシールド部材12の長さ寸法に不足となる長さ分を、端尺鞘部材ユニット19の長さ寸法として設定する。そして、端尺鞘部材ユニット19をプレス加工するための金型(図示せず)を設計、製造する。以下の工程は、上記と同様であるので省略する。
【0044】
以上のように、本実施形態によれば、定尺鞘部材ユニット18を製造するための金型については、一旦、設計、製造すれば異なる車種に対してもこの金型を使用できるから、金型の使用効率を向上させることができる。これにより、定尺鞘部材ユニット18の1個当たりの金型製造コストを低減させることができる。
【0045】
さらに定尺鞘部材ユニット18は複数の車種に対しても使用されるから大量生産が可能となる。これにより、生産性を向上させることかできると共に、金型償却費低減によるコスト低減を図ることができる。
【0046】
さらに、例えば、分割鞘部材15を1枚の金属板材で構成する場合、この金属板材をプレス加工するための金型が大型化するため、金型の製造コストが高くなることが懸念される。上記の点に鑑み、本実施形態によれば、シールド部材12を構成する分割鞘部材15は、複数の定尺鞘部材ユニット18と、端尺鞘部材ユニット19とを連結し、さらに、定尺鞘部材ユニット18及び端尺鞘部材ユニット19の端部に端末鞘部材ユニット20を連結して製造される。このように、分割鞘部材15を複数の各鞘部材ユニット18,19,20を連結させて形成することにより、各鞘部材ユニット18,19,20をプレス加工するための金型を小型化できるから、金型の製造コストを低減できる。
【0047】
また、シールド部材12は同形状をなす一対の分割鞘部材15を電線11を挟むように組み合わせて構成されるから、製造が容易である。
【0048】
また、例えばシールド部材12の筒部17の外周面に編組線(図示せず)を被せて、編組線の外方からリング(図示せず)を組み付けてかしめつけることで、編組線により複数の電線11を一括して包囲した状態で、シールド部材12と編組線とを容易に接続することができる。このように本実施形態によれば、シールド導電体10の端末処理を容易に行うことができる。
【0049】
また、各鞘部材ユニット18,19,20同士は連結部材21により連結されているから、シールド部材12の強度向上を図ることができる。
【0050】
また、3本の電線11の外周を個別に包囲するようにして磁性体金属を配した状態で電線11に3相電流を流すと、電線11を包囲する各金属内に磁気回路が形成され、電線11の周方向にループ状の磁束が発生する。すると、ヒステリシス損と、渦電流損とが大きくなって、金属が発熱する。電線11に比較的大きな電流が流れる電力回路用の電11線の場合、発熱量が大きくなり、その分、電線11の発熱量低減を図るために電線11の断面積を増大させる必要が生じてしまう。このため、金属として非磁性体を用いなければならず、コスト高を招くという問題点がある。
【0051】
本実施形態によれば、複数の電線収容溝28の間に位置して電線を挟む方向の両側から対面する部分は互いに磁気的に絶縁状態にされているから、全体としてみると、3相分を一括して包囲する磁気回路が形成される。この磁気回路においては、平衡3相電流の合成値は0になるので、この平衡3相電流によって生じる磁束も0となる。この結果、ヒステリシス損や渦電流損を小さくするために、シールド部材12の材料としてステンレス等の高価な非磁性体を使用する必要がなく、安価な鋼材等の磁性体を用いることが可能となるため、コスト低減を図ることができる。なお、連結電線収容溝28は、各電線収容溝22,23,26が連続して形成されてなる。
【0052】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図10ないし図13を参照して説明する。本実施形態における端末鞘部材ユニット20は、第1端末鞘部材ユニット33と、この第1端末鞘部材ユニット33よりも電線11の延長方向の長さ寸法が短く設定された第2端末鞘部材ユニット34とからなる。詳細には、第2端末鞘部材ユニット34の接続部24の長さ寸法が、第1端末鞘部材ユニット33の接続部24の長さ寸法よりも短く設定されており、両端末鞘部材ユニット20の接続部24の長さ寸法は同じに設定されている。
【0053】
図10及び図11において上側に位置する上側分割鞘部材35の、図中左側の端部には第1端末鞘部材ユニット33が連結されており、図中右側の端部には第2端末鞘部材ユニット34が連結されている。
【0054】
一方、下側に位置する下側分割鞘部材36の、図中左側の端部には第2端末鞘部材ユニット34が連結されており、図中右側の端部には第1端末鞘部材ユニット33が連結されている。
【0055】
両分割鞘部材15は、第1及び第2端末鞘部材ユニット33,34の連結される端部が異なっているように見えるが、実際には互いに上下及び左右が反転した姿勢に配されているのであって、同形状をなしている。
【0056】
シールド部材12は、上側分割鞘部材35の第1端末鞘部材ユニット33と、下側分割鞘部材36ユニットとを対向させると共に、上側分割鞘部材35ユニットの第2端末鞘部材ユニット34と、下側分割鞘部材36ユニットの第1端末鞘部材ユニット33とを対向させた姿勢で一体化されている。上述したように、第2端末鞘部材ユニット34の長さ寸法は、第1端末鞘部材ユニット33よりも短く設定されているから、上側分割鞘部材35における各鞘部材ユニット18,19,20同士の連結部分(付き合わせ部分)と、下側分割鞘部材36における各鞘部材ユニット18,19,20同士の連結部分(付き合わせ部分)とは、電線11の延長方向に対して、両端末鞘部材ユニット33,34の長さ寸法の分だけ、ずれて位置するようになっている。
【0057】
図12、図13に示すように、シールド部材12は、上側分割鞘部材35ユニットの側端縁と、下側分割鞘部材36ユニットの側端縁との合わせ面を、例えばシーム溶接により溶接されることで、一体化されている。
【0058】
上記以外の構成については、実施形態1と略同一であるので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0059】
両分割鞘部材35,36において、各鞘部材ユニット18,19,20の連結部分は折れ曲がりやすくなっている。このため、両分割鞘部材35,36を組み合わせたシールド部材12においても、各鞘部材ユニット18,19,20の連結部分の強度が弱くなり、上記連結部分において撓んだりすることが懸念される。シールド部材12は比較的長尺なので、車両への組付け工程において撓んだりすると、作業効率が低下することが懸念される。
【0060】
上記の点に鑑み本実施形態においては、上側分割鞘部材35における各鞘部材ユニット18,19,20同士の連結部分と、下側分割鞘部材36における各鞘部材ユニット18,19,20同士の連結部分とは、電線11の延長方向に対して、両端末鞘部材ユニット33,34の長さ寸法の分だけ、ずれて位置する構成となっている。これにより、例えば、上側分割鞘部材35の各鞘部材ユニット18,19,20同士の連結部分は、下側分割鞘部材36の各鞘部材ユニット18,19,20により補強される。同様に、下側分割鞘部材36の各鞘部材ユニット18,19,20同士の連結部分は、上側分割鞘部材35の各鞘部材ユニット18,19,20により補強される。このように、両分割鞘部材35,36は、互いに、各鞘部材ユニット18,19,20同士の連結部分を補強しあっているので、シールド部材12全体としての剛性が向上し、各鞘部材ユニット18,19,20の連結部分において撓んだり、折れ曲がったりすることを防止できる。
【0061】
さらに、上側分割鞘部材35の各鞘部材ユニット18,19,20同士の連結部分においては、各鞘部材ユニット18,19,20の間に掛け渡されるようにして、下側分割鞘部材36の各鞘部材ユニット18,19,20が位置している。同様に、下側分割鞘部材36の各鞘部材ユニット18,19,20同士の連結部分においては、各鞘部材ユニット18,19,20の間に掛け渡されるようにして、上側分割鞘部材35の各鞘部材ユニット18,19,20が位置している。このため、両分割鞘部材35,36の側縁部をシーム溶接すると、下側分割鞘部材36の各鞘部材ユニット18,19,20によって、上側分割鞘部材35の各鞘部材ユニット18,19,20が連結され、同時に、上側分割鞘部材35の各鞘部材ユニット18,19,20によって、下側分割鞘部材36の各鞘部材ユニット18,19,20が連結されている。これにより、両分割鞘部材35,36は一体化されるから、連結部材21を省略できる。
【0062】
<実施形態3>
図14及び図15は本発明の実施形態3を示す。本実施形態では、各鞘部材ユニット18,19,20の連結部分において、隣り合う各鞘部材ユニット18,19,20の間に掛け渡されるようにして連結部材21が取り付けられている。上記の構成以外は、実施形態2と略同様であるので、同一部材については同一符号を付して、重複する説明を省略する。また、連結部材21の構造及び、連結部材21の取り付け構造については、実施形態1と略同様なので、重複する説明を省略する。
【0063】
本実施形態によれば、各鞘部材ユニット18,19,20の連結部分おいて、隣り合う各鞘部材ユニット18,19,20の間に掛け渡されるようにして連結部材21が取り付けられているから、各鞘部材ユニット18,19,20同士の連結部分の強度向上を図ることができる。これにより、シールド部材12の剛性を全体として向上できるから、車両への組付け作業の効率を向上させることができる。
【0064】
<実施形態4>
図16は本実施形態の実施形態4を示す。本実施形態においては、シールド部材12のうち、3つの連結電線収容溝28の間に位置して電線11を挟む方向(図16における上下方向)の両側から対面する部分は、非磁性体40が挟まれて、磁気的及び電気的に絶縁された状態になっている。上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0065】
本実施形態によれば、3つの電線収容溝28の間に位置して電線11を挟む方向の両側から対面する部分は磁気的に絶縁状態になっているから、ヒステリシス損と、渦電流損とを低減することが可能となり、発熱量を低減できる。
【0066】
さらに、3つの電線収容溝28の間に位置して電線11を挟む方向の両側から対面する部分に空間が形成されないから、電線11に通電する際に発生する電線11から発生する熱が、こもることを防止できる。上述の非磁性体40としては、例えば、合成樹脂、銅、ステンレス等、任意の非磁性体を用いることができる。これらのうち、熱を伝導させやすいことから、銅、ステンレス等の金属が好ましい。
【0067】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態では、シールド導電体10には3本の電線11が用いられる構成としたが、これに限られず、電線11は1本でもよく、又は、2本若しくは4本以上の複数本でもよい。
(2)本実施形態では、電線11を挟む一対の分割鞘部材15の双方に連結電線収容溝28が形成される構成としたが、これに限られず、図17に示すように、分割鞘部材15の一方にのみ連結電線収容溝28が形成されており、他方は平板37であってもよい。この平板37は、金属板材を所定長さに切断することにより製造できる。
(3)芯線13は、単芯線であってもよい。
(4)本実施形態では、シールド部材12のうち複数の連結電線収容溝28の間に位置して電線11を挟む方向の両側から対面する部分は互いに離間した構成となっていたが、これに限られず、シールド部材12として、分割鞘部材15の一方又は双方に非磁性体を用いる場合には、シールド部材12のうち複数の電線収容溝28の間に位置して電線11を挟む方向の両側から対面する部分は当接していてもよい。これにより、複数の電線収容溝28の間に位置して電線11を挟む方向の両側から対面する部分の間に空気層が存在しないので、シールド導電体10の放熱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施形態1に係る車両用シールド導電体の全体斜視図
【図2】シールド導電体の平面図
【図3】シールド導電体の側面図
【図4】シールド導電体の側断面図
【図5】分割鞘部材の組付け状態を示す分解斜視図
【図6】各鞘部材ユニットと、連結部材との溶接工程を示す模式断面図
【図7】端末鞘部材ユニットの正面図
【図8】端末鞘部材ユニットの側面図
【図9】分割鞘部材同士の溶接工程を示す模式断面図
【図10】実施形態2に係る車両用シールド導電体の側面図
【図11】シールド導電体の側断面図
【図12】分割鞘部材同士の溶接工程を示す模式断面図
【図13】分割鞘部材同士の溶接工程を示す側面図
【図14】実施形態3に係る車両用シールド導電体の側面図
【図15】シールド導電体の側断面図
【図16】実施形態4に係る車両用シールド導電体の模式断面図
【図17】その他の実施形態に係る車両用シールド導電体の断面図
【符号の説明】
【0069】
10…シールド導電体
11…電線
12…シールド部材
15…分割鞘部材
17…筒部
18…定尺鞘部材ユニット
19…端尺鞘部材ユニット
20…端末鞘部材ユニット
21…連結部材
22…第1電線収容溝
23…第2電線収容溝
25…弧状部
26…第3電線収容溝
30…絶縁空間
33…第1端末鞘部材ユニット
34…第2端末鞘部材ユニット
35…上側分割鞘部材
36…下側分割鞘部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と、この電線を包囲する金属製のシールド部材とを備え、前記シールド部材がプレス加工により形成された一対の分割鞘部材によって前記電線を挟むようにして一体化されたものであって、
前記対をなす分割鞘部材の少なくとも一方は、前記電線を収容する第1電線収容溝を備えて前記電線の延長方向に連結された複数の定尺鞘部材ユニットと、前記電線を収容する第2電線収容溝を備えて前記定尺鞘部材ユニットの端部に前記電線の延長方向に延びるように連結され前記定尺鞘部材ユニットよりも短い端尺鞘部材ユニットとを備えた車両用シールド導電体。
【請求項2】
前記両分割鞘部材は同形状をなすと共に、前記電線の延長方向に連結された複数の前記定尺鞘部材ユニットと、前記定尺鞘部材ユニットの端部に前記電線の延長方向に延びるように連結された前記端尺鞘部材ユニットとを備えており、
前記定尺鞘部材ユニットの前記第1電線収容溝及び前記端尺鞘部材ユニットの前記第2電線収容溝は断面形状が半円形をなしており、
前記シールド部材は、一方の前記分割鞘部材と、他方の前記分割鞘部材とを、前記電線を挟むように組み合わせて構成されている請求項1記載の車両用シールド導電体。
【請求項3】
前記両分割鞘部材は、複数の前記定尺鞘部材ユニット及び前記端尺鞘部材ユニットに加えて更に前記定尺鞘部材ユニット及び前記端尺鞘部材ユニットの端部に、断面形状が半円形をなす第3電線収容溝を備えた端末鞘部材ユニットを連結して構成されており、
前記端末鞘部材ユニットは、第1端末鞘部材ユニットと、前記電線の延長方向の寸法が前記第1端末鞘部材ユニットとは異なる第2端末鞘部材ユニットとからなり、
前記両分割鞘部材の一方の端部には前記第1端末鞘部材ユニットが連結されており、他方の端部には前記第2端末鞘部材ユニットが連結されており、
前記シールド部材は、一方の前記分割鞘部材の前記第1端末鞘部材ユニットと、他方の前記分割鞘部材の前記第2端末鞘部材ユニットとを対向させると共に、一方の前記分割鞘部材の前記第2端末鞘部材ユニットと、他方の前記分割鞘部材の前記第1端末鞘部材ユニットとを対向させた姿勢で一体化して構成されており、
一方の前記分割鞘部材における前記各鞘部材ユニット同士の連結部分と、他方の前記分割鞘部材における前記各鞘部材ユニット同士の連結部分とは、前記電線の延長方向に対してずれて位置している請求項2記載の車両用シールド導電体。
【請求項4】
前記各鞘部材ユニットには複数の前記各電線収容溝が並んで形成されており、前記シールド部材は複数の前記電線を包囲してなり、
前記端末鞘部材ユニットの前記電線の延長方向外側の端部には、複数の前記各電線収容溝を跨いで断面形状が弧状をなす弧状部が前記電線の延長方向外方に延設されており、
前記シールド部材の端部には、前記両分割鞘部材を組み合わせた状態で、前記第1及び第2端末鞘部材ユニットの前記弧状部が組み合わさることにより、複数の前記電線を一括して包囲する筒部が形成される請求項3に記載の車両用シールド導電体。
【請求項5】
前記分割鞘部材における前記各鞘部材ユニット同士は、隣り合う前記各鞘部材ユニット同士の間に掛け渡された状態で前記各鞘部材ユニットに固定された連結部材により連結されている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用シールド導電体。
【請求項6】
前記各鞘部材ユニットには複数の前記各電線収容溝部が並んで形成されており、
前記分割鞘部材は、前記各分割鞘部材の端縁の合わせ面が磁気的に結合された状態で接続されており、
前記シールド部材のうち複数の前記各電線収容溝部の間に位置して前記電線を挟む方向の両側から対面する部分は互いに磁気的に絶縁状態にされている請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両用シールド導電体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−204804(P2008−204804A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39540(P2007−39540)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】