説明

車両用スイッチ装置

【課題】主に自動車のステアリングホイール近傍に装着され、各種機能の操作に用いられる車両用スイッチ装置に関し、多様な操作を容易に行うことが可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】一端がステアリングホイール1の背後に装着されるアーム6の他端に、ステアリングホイール1外周から突出し、複数の操作釦7Aや7Bを配置した操作体8を設けることによって、様々な操作の付加が可能になると共に、ステアリングホイール1を握ったまま、操作する指だけを伸ばして容易に操作が可能な車両用スイッチ装置5を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車のステアリングホイール近傍に装着され、各種機能の操作に用いられる車両用スイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の高機能化が進むなか、これら自動車の各機能や搭載された各種電子機器の様々な操作を、ステアリングホイール近傍に装着された車両用スイッチ装置で行うものが増えている。
【0003】
このような従来の車両用スイッチ装置について、図3を用いて説明する。
【0004】
図3は従来の車両用スイッチ装置が装着されたステアリングホイールの平面図であり、同図において、1はステアリングホイールで、このステアリングホイール1中央のパッド1Aや左右のスポーク1B内には、押圧操作型の複数のプッシュスイッチ2が収納され、その操作釦2Aや2Bが前面に設けられている。
【0005】
また、ステアリングホイール1の背後には、上下や前後方向に揺動操作可能なレバースイッチ3が装着され、そのレバー3Aと3Bがステアリングホイール1の左右から突出している。
【0006】
そして、このステアリングホイール1が車両本体から延出したステアリングシャフト(図示せず)に固着されると共に、複数のプッシュスイッチ2やレバースイッチ3が、リード線等(図示せず)によって車両の電子回路に電気的に接続される。
【0007】
以上の構成において、走行中、操作釦2Aを押圧操作すると、そのプッシュスイッチ2の電気的接離が行われ、この電気信号が車両の電子回路に送信されて、例えば、オートマチックトランスミッションの変速ギアのシフトアップやシフトダウンが行われる。
【0008】
また、所定の操作釦2Bを押圧操作すると、同じくそのプッシュスイッチ2の電気的接離が行われ、例えば、ラジオやエアコンの操作が行われ、これらの音量や風量が増減される。
【0009】
さらに、レバー3Aや3Bを揺動操作すると、レバースイッチ3の電気的接離が行われ、例えば、ターンシグナルランプが点滅したり、ヘッドライトの点灯やワイパーの操作が行われたりするように構成されている。
【0010】
つまり、ステアリングホイール1前面に設けられた複数の操作釦2Aや2B、或いは、背後に設けられたレバースイッチ3のレバー3Aや3Bを操作することによって、ギアやライトといった自動車の各機能や、ラジオやエアコン等の各種電子機器の操作を行うように構成されているものであった。
【0011】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2003−118587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来の車両用スイッチ装置においては、自動車の高機能化が進み操作する機能も増加するなか、ステアリングホイール1のパッド1Aやスポーク1B等の限られたスペースでは、配置するスイッチや操作釦の数に限界があり、また、速度メータ等の計器類が取付けられたインストルメントパネルにスイッチを設けたのでは、ステアリングホイールから離れているため、ステアリングホイールから手を完全に離し、操作釦の位置を目で確認しながら手を伸ばして操作しなければならず、操作しづらいという課題があった。
【0013】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、ステアリングホイール近傍で、様々な操作が容易に行える車両用スイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0015】
本発明の請求項1に記載の発明は、一端がステアリングホイールの背後に装着されるアームの他端に、ステアリングホイール外周から突出し、複数の操作釦を配置した操作体を設けて車両用スイッチ装置を構成したものであり、様々な操作の付加が可能になると共に、ステアリングホイールを握ったまま、操作する指だけを伸ばして容易に操作が可能な車両用スイッチ装置を得ることができるという作用を有する。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、操作釦をステアリングホイール外周方向の操作体側面に設けると共に、この操作体前面に操作釦の識別表示を形成したものであり、ステアリングホイール前面方向から識別表示によって、操作体側面の操作釦を識別できるため、操作釦の操作を容易に行うことができるという作用を有する。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の発明において、ステアリングホイール背面との間隙が1〜15cmとなる箇所に、操作体を形成したものであり、ステアリングホイールの操作を妨げることなく、操作釦も容易に操作することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば、多様な操作が容易に行える車両用スイッチ装置を実現できるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図1及び図2を用いて説明する。
【0020】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0021】
(実施の形態)
図1は本発明の車両用スイッチ装置が装着されたステアリングホイールの平面図であり、同図において、1はステアリングホイールで、このステアリングホイール1中央のパッド1Aや左右のスポーク1B内には、押圧操作型の複数のプッシュスイッチ2が収納され、その操作釦2Aや2Bが前面に設けられている。
【0022】
また、ステアリングホイール1の背後には、上下や前後方向に揺動操作可能なレバースイッチ3が装着され、そのレバー3Aと3Bがステアリングホイール1の左右から突出している。
【0023】
そして、5は本発明の車両用スイッチ装置で、絶縁樹脂製のアーム6の一端がステアリングホイール1背後のステアリングコラム(図示せず)に装着されると共に、アーム6の他端には、複数のスイッチ7を収納した操作体8が、ステアリングホイール1外周からやや突出して形成されている。
【0024】
また、スイッチ7の操作釦7Aや7Bが、操作体8のステアリングホイール1外周方向の側面に配置されると共に、ステアリングホイール1前面方向の操作体8前面には、操作釦7Aや7Bの操作する機能を表す識別表示9Aや9Bが、印刷等によって形成されている。
【0025】
さらに、この操作体8がステアリングホイール1背面と1〜15cm、好ましくは2〜10cmの間隙を空けた箇所に形成されて、車両用スイッチ装置5が構成されている。
【0026】
そして、この車両用スイッチ装置5を左右に装着したステアリングホイール1が、車両本体から延出したステアリングシャフト(図示せず)に固着されると共に、複数のプッシュスイッチ2やレバースイッチ3、車両用スイッチ装置5が、リード線等(図示せず)によって車両の電子回路に電気的に接続される。
【0027】
以上の構成において、走行中、操作釦2Aを押圧操作すると、そのプッシュスイッチ2の電気的接離が行われ、この電気信号が車両の電子回路に送信されて、例えば、オートマチックトランスミッションの変速ギアのシフトアップやシフトダウンが行われる。
【0028】
そして、所定の操作釦2Bを押圧操作すると、同じくそのプッシュスイッチ2の電気的接離が行われ、例えば、ラジオやエアコンの操作が行われ、これらの音量や風量が増減される。
【0029】
また、レバー3Aや3Bを揺動操作すると、レバースイッチ3の電気的接離が行われ、例えば、ターンシグナルランプの点滅や、ヘッドライトの消点灯、ワイパーの操作が行われる。
【0030】
さらに、車両用スイッチ装置5の操作釦7Aを上下に揺動操作すると、複数のスイッチ7の電気的接離が行われて、例えば、エアコンの温度の切換えが行われ、操作釦7Bを押圧操作すると、例えば、電話やオーディオの電源の入/切や録音等が行われる。
【0031】
そして、この車両用スイッチ装置5は、図2(a)の斜視図に示すように、複数のスイッチ7を収納した操作体8が、ステアリングホイール1背面と所定の間隙を空けた箇所に形成されているため、ステアリングホイール1を握った手が操作体8に当たることはなく、ステアリングホイール1の操作を妨げることのないように構成されている。
【0032】
また、この操作体8がステアリングホイール1外周からやや突出して形成されると共に、操作釦7Aや7Bが操作体8のステアリングホイール1外周方向の側面に配置されているため、図2(b)に示すように、操作釦7Aや7Bを操作する際、ステアリングホイール1から手を離すことなく、握ったままで操作する指だけを伸ばして容易に操作を行うことができる。
【0033】
さらに、ステアリングホイール1前面方向の操作体8前面には、操作釦7Aや7Bの操作する機能を表す「ON」「REC」「TEL」等の、識別表示9Aや9Bが形成されているため、運転方向の前方に顔を向けたまま、操作しようとする操作釦を、ステアリングホイール1前面方向から目で容易に識別することができる。
【0034】
また、車両用スイッチ装置5は、アーム6の一端がステアリングホイール1背後に装着され一体化されているため、ステアリングホイール1を回転すると、これに伴って車両用スイッチ装置5も回転し、ステアリングホイール1と操作体8の位置関係は常に一定であるため、ステアリングホイール1を回転操作したままの状態でも、操作する指だけを伸ばして操作釦7Aや7Bの操作を容易に行うことができる。
【0035】
なお、操作体8とステアリングホイール1背面との間隙は、ステアリングホイール1を握った手が操作体8に当たることなく、かつステアリングホイール1を握ったまま指だけを伸ばして操作が可能な間隙が必要で、1〜15cmの間隙、できれば2〜10cmの間隙が好ましい。
【0036】
このように本実施の形態によれば、一端がステアリングホイール1の背後に装着されるアーム6の他端に、ステアリングホイール1外周から突出し、複数の操作釦7Aや7Bを配置した操作体8を設けることによって、様々な操作の付加が可能になると共に、ステアリングホイール1を握ったまま、操作する指だけを伸ばして容易に操作が可能な車両用スイッチ装置5を得ることができるものである。
【0037】
なお、以上の説明では、車両用スイッチ装置5をステアリングホイール1の左右に装着した構成について説明したが、付加する操作や機能の数によって一方のみに設けてもよく、また、操作体8の操作釦7Aや7Bも、上記した揺動操作や押圧操作の他、回転操作や傾倒操作等、様々な操作形態において本発明の実施は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明による車両用スイッチ装置は、多様な操作を容易に行うことが可能なものが得られ、主に自動車の各種機能の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施の形態による車両用スイッチ装置を装着したステアリングホイールの平面図
【図2】同斜視図
【図3】従来の車両用スイッチ装置が装着されたステアリングホイールの平面図
【符号の説明】
【0040】
1 ステアリングホイール
1A パッド
1B スポーク
2 プッシュスイッチ
2A,2B 操作釦
3 レバースイッチ
3A,3B レバー
5 車両用スイッチ装置
6 アーム
7 スイッチ
7A,7B 操作釦
8 操作体
9A,9B 識別表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端がステアリングホイールの背後に装着されるアームの他端に、ステアリングホイール外周から突出し、複数の操作釦を配置した操作体を設けた車両用スイッチ装置。
【請求項2】
操作釦をステアリングホイール外周方向の操作体側面に設けると共に、この操作体前面に操作釦の識別表示を形成した請求項1記載の車両用スイッチ装置。
【請求項3】
ステアリングホイール背面との間隙が1〜15cmとなる箇所に、操作体を形成した請求項1記載の車両用スイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−218883(P2006−218883A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−31381(P2005−31381)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】