説明

車両用スポットランプ制御装置および車両用スポットランプシステム

【課題】2つのスポットランプを用いて、より最適な照射制御を実現する。
【解決手段】車両用スポットランプシステムにおいて、左スポットランプおよび右スポットランプは、それぞれ複数の発光素子を有し照射方向を変更可能に設けられている。カメラおよび画像処理部は、車両前方の歩行者位置を検出する。スポットランプECUは、検出された歩行者位置を取得する。スポットランプECUは、取得した歩行者位置に向けて光が照射されるよう、右スポットランプおよび左スポットランプによる光の照射を制御する。スポットランプECUは、2つの歩行者位置を取得した場合、右の歩行者位置に向けて右スポットランプが光を照射し、左の歩行者位置に向けて左スポットランプが光を照射するよう、右スポットランプおよび左スポットランプの光の照射方向を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用スポットランプ制御装置および車両用スポットランプシステムに関し、特に、車両との衝突を回避すべき対象物の位置に向けて光を照射する車両用スポットランプ制御装置および車両用スポットランプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両前方を撮像するカメラにより撮像された画像を用いて、例えば歩行者など車両との衝突を回避すべき対象物の位置を取得し、運転者にその存在を認識させるためにその対象物に向けて光を照射するスポットランプが知られている(例えば、特許文献1または2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−21631号公報
【特許文献2】特開2010−36835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両用前照灯は自動車では通常車両の左前部と右前部の2個所に設けられている。例えばこの車両用前照灯と共に、上記のスポットランプも車両右前部および左前部の2個所に設ける態様が考えられる。
【0005】
このとき、例えば同じ対象物に向けてこれら2つのスポットランプから同時に光を照射すると、車両に近い路面には各対象物に向けてそれぞれ2本の光が伸びるよう照射される可能性がある。また、2つのスポットランプから同じ対象物に同様に光を照射した場合、対象物の部分に応じて光量を調整するなど、より最適な照射制御は困難となる。このため、2つのスポットランプを用いてさらに最適な照射制御を実現することが求められている。
【0006】
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、2つのスポットランプを用いて、より最適な照射制御を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用スポットランプ制御装置は、車両との衝突を回避すべき対象物の位置を検出する位置検出装置によって検出された、対象物の位置を取得する対象物位置取得部と、対象物の位置に向けて光が照射されるよう、同じ車両に搭載され且つそれぞれ照射方向を変更可能な第1スポットランプおよび第2スポットランプによる光の照射を制御する制御部と、を備える。制御部は、対象物の位置に向けて光を照射するとき、互いに異なる位置に向けて光を照射するよう第1スポットランプおよび第2スポットランプの光の照射方向を制御する。
【0008】
この態様によれば、第1スポットランプおよび第2スポットランプより同一の対象物または対象物の同一個所に光が照射されることを抑制できる。このため、対象物の数や対象物の部分などに応じて互いに異なる位置に向けて光を照射するよう第1スポットランプおよび第2スポットランプを制御することができ、2つのスポットランプを用いてより最適な照射制御を実現することができる。
【0009】
制御部は、2つの対象物の位置を取得した場合、一方の対象物の位置に向けて光を照射するよう第1スポットランプの光の照射方向を制御し、他方の対象物の位置に向けて光を照射するよう第2スポットランプの光の照射方向を制御してもよい。
【0010】
この態様によれば、2つの対象物の各々に第1スポットランプおよび第2スポットランプの双方から光が照射されることを回避できる。このため、各々の対象物に向けて一本の光が延在するよう光を照射することができ、運転者の視認性を向上させることができる。
【0011】
第1スポットランプは、第2スポットランプよりも車両の右側に設けられ、制御部は、2つの対象物の位置を取得した場合、右側の対象物の位置に向けて光を照射するよう第1スポットランプの光の照射方向を制御し、左側の対象物の位置に向けて光を照射するよう第2スポットランプの光の照射方向を制御してもよい。
【0012】
この態様によれば、各々の対象物に向けて交差するように光が延在して照射されることを回避できる。このため、運転者の視認性をさらに向上させることができる。
【0013】
制御部は、対象物の位置を取得した場合、当該対象物の互いに異なる部分に光を照射するよう第1スポットランプおよび第2スポットランプの光の照射方向を制御してもよい。
【0014】
この態様によれば、例えば歩行者の顔が向いていない第1スポットランプで歩行者の顔を含む上部を、歩行者の顔が第1スポットランプよりも近い第2スポットランプで歩行者の下部をそれぞれ照射するなど、対象物の部分の特性に応じて対象物の互いに異なる部分に光を照射することができる。
【0015】
本発明の別の態様は、車両用スポットランプシステムである。この車両用スポットランプシステムは、それぞれ照射方向を変更可能に同じ車両に搭載された第1スポットランプおよび第2スポットランプと、車両との衝突を回避すべき対象物の位置を検出する位置検出装置によって検出された対象物の位置を取得し、対象物の位置に向けて光が照射されるよう第1スポットランプおよび第2スポットランプによる光の照射を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、対象物の位置に向けて光を照射するとき、互いに異なる位置に向けて光を照射するよう第1スポットランプおよび第2スポットランプの光の照射方向を制御する。
【0016】
この態様によれば、第1スポットランプおよび第2スポットランプより同一の対象物または対象物の同一個所に光が照射されることを抑制できる。このため、対象物の数や対象物の部分などに応じて互いに異なる位置に向けて光を照射するよう第1スポットランプおよび第2スポットランプを制御することができ、2つのスポットランプを用いてより最適な照射制御を実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、2つのスポットランプを用いて、より最適な照射制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態に係る車両用スポットランプの鉛直断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る発光素子ユニットを灯具後方から見た図である。
【図3】第1の実施形態に係る車両用スポットランプによって路面に投影される投影像を示す図である。
【図4】車両用スポットランプシステムの構成を模式的に示す機能ブロック図である。
【図5】第1の実施形態に係る歩行者スポットライトモードにおける照射制御の実行手順を示すフローチャートである。
【図6】(a)および(b)は、第1の実施形態に係る車両用スポットランプによる照射制御の一例を示す図である。
【図7】第1の実施形態に係る歩行者スポットライトモードにおける照射制御の実行手順を示すフローチャートである。
【図8】(a)および(b)は、第2の実施形態において、歩行者の存在が検出されたときの車両用スポットランプによる光の照射の一例を示す図である。
【図9】(a)および(b)は、第2の実施形態において、歩行者の存在が検出されたときの車両用スポットランプによる光の照射の一例を示す図である。
【図10】(a)は、第3の実施形態に係る車両用スポットランプシステムの構成を示す図である。(b)は、光照射装置を(a)の視点Rから見た図である。
【図11】(a)は、フォグランプモードにおける車両用スポットランプシステムの作動状態を示す図である。(b)は、フォグランプモードで光が照射されている状態を示す図である。
【図12】(a)は、歩行者スポットライトモードにおける車両用スポットランプシステムの作動状態を示す図である。(b)は、歩行者スポットライトモードにおいて歩行者位置に光が照射されている状態を示す図である。
【図13】(a)は、第4の実施形態に係る発光素子ユニットを灯具後方から見た図である。(b)は、第4の実施形態に係る車両用スポットランプによって路面に投影される投影像を示す図である。
【図14】(a)は、第5の実施形態に係る発光素子ユニットを灯具後方から見た図である。(b)は、第5の実施形態に係る車両用スポットランプによって路面に投影される投影像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る車両用スポットランプ10の鉛直断面図である。車両には、左前部および右全部の各々にこの車両用スポットランプ10が設けられている。車両用スポットランプ10は、車両用前照灯であるロービーム用光源およびハイビーム用光源とは別に設けられる。
【0021】
車両用スポットランプ10は、投影レンズ12および光照射装置14を備える。投影レンズ12は、車両前後方向に延びる光軸Ax上に配置される。投影レンズ12は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズからなり、後方焦点面F上に形成される光源像を、反転像として車両用スポットランプ10前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。したがって投影レンズ12は、光照射装置14からの光を集光する光学部材として機能する。
【0022】
光照射装置14は、発光素子基板16およびヒートシンク18を有する。発光素子基板16は、基板20および発光素子ユニット22を有する。発光素子ユニット22は複数の発光素子24を含む。発光素子24は、半導体発光素子であるLEDによって構成される。光照射装置14は、複数の発光素子24の各々の発光面が投影レンズ12の後方焦点面Fに位置するよう配置される。なお、発光素子24がLED以外の半導体発光素子によって構成されていてもよい。また、発光素子24に代えて、例えばハロゲンランプ、白熱灯、または放熱灯が用いられてもよい。
【0023】
基板20はプリント配線基板であり、基板20の表面などに形成された導電性部材を介して発光素子24へ電力が供給される。ヒートシンク18は、アルミニウムなど放熱性の高い放熱材料によって形成される。ヒートシンク18は発光素子基板16に直接取り付けられ、発光素子ユニット22および基板20が発する熱を外部へ放散させる。
【0024】
図2は、第1の実施形態に係る発光素子ユニット22を灯具後方から見た図である。図2に示すように、発光素子ユニット22を構成する複数の発光素子24の各々は、略正方形の発光面を有する。なお、発光素子24の各々が、例えば長方形など正方形以外の発光面を有していてもよい。第1の実施形態では、発光素子24は24個設けられ、鉛直方向に3列、水平方向に8列に互いに隙間無く並ぶよう基板20上に実装されている。
【0025】
図2において、H−H線は、投影されたときに水平線に位置する仮想線であり、V−V線は、投影されたときに車両前方中央を通過する鉛直線に位置する仮想線である。第1の実施形態では、24個の発光素子24は、4列がV−V線よりも左に、他の4列がV−V線よりも右に配置される。また、24個の発光素子24は、最下段の発光素子24にH−H線が通過するよう配置される。これにより、最下段の発光素子24が点灯したときは水平線よりも上方に光が照射されることになる。したがって、水平線よりも上方に顔が位置する歩行者がいた場合に、その顔に光を照射することができ、歩行者にも車両の存在を気づかせることが可能となる。なお、発光素子24の数や配置がこれに限られないことは勿論である。例えば複数の発光素子24のすべてがH−H線よりも上方に配置されていてもよい。
【0026】
以下、図2に示すように、24個の発光素子24の各々を識別するために、発光素子24の各々を「発光素子24Pxy」と表す。xは右から何番目の列かを示し、yは下から何番目の列かを示す。
【0027】
図3は、第1の実施形態に係る車両用スポットランプ10によって路面に投影される投影像を示す図である。投影像の各領域に示される「領域Rxy」は、発光素子24Pxyによって形成される配光パターンを示す。したがって、例えば「領域R11」は、発光素子24P11が点灯することにより形成される配光パターンを示す。路面は通常水平なため、路面に投影される配光パターンは車両を中心に放射状に広がるように形成される。
【0028】
第1の実施形態では、車両用スポットランプ10は、歩行者が存在する領域とその手前の領域に光を照射することにより、歩行者に向けて延在する配光パターンを形成して光の延在方向に歩行者が存在することを運転者に報知する。例えば領域R31に歩行者位置が検出された場合、車両用スポットランプ10は、発光素子24P31を点灯させて領域R31の配光パターンを形成するだけでなく、発光素子24P32および発光素子24P33も点灯させて領域R31の手前の領域R32およびR33の配光パターンも形成する。これにより、領域R33、領域R32、および領域R31と一直線状に延在する配光パターンを形成し、歩行者が存在する方向を運転者に適切に報知することができる。
【0029】
図4は、車両用スポットランプシステム100の構成を模式的に示す機能ブロック図である。図4はCPU、ROM、RAMなどのハードウェア、およびソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックが描かれている。したがって、これらの機能ブロックは、ハードウェアおよびソフトウェアの組合せによって様々な形で実現することができる。車両用スポットランプシステム100は、車両電子制御ユニット(以下、「車両ECU(Electronic Control Unit)」という)120、モードスイッチ122、画像処理部130、カメラ132、スポットランプ電子制御ユニット(以下、「スポットランプECU」という)150、車両左前部に設けられた左スポットランプ10L、および右前部に設けられた右スポットランプ10Rを含む。
【0030】
モードスイッチ122は、車両運転席付近に設けられる。運転者は、モードスイッチ122を操作することにより、歩行者スポットライトモードの開始および終了を指示することができる。
【0031】
撮像装置であるカメラ132は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含み、撮像して得られた画像を画像データとして出力する。カメラ132は、車両前方を撮像できるよう、例えばフロントガラスの内側など車両室内に設置されている。カメラ132には、ステレオカメラが採用されている。なお、カメラ132に他のカメラが採用されてもよい。カメラ132は、車両前方を撮像し、静止画または動画の画像データを生成して画像処理部130に出力する。
【0032】
画像処理部130は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有する。画像処理部130は、カメラ132によって撮像された画像データを取得し、画像処理を施す。カメラ132により生成された画像データを取得する画像データ取得部として機能する。
【0033】
画像処理部130は、歩行者位置検出部134を有する。歩行者位置検出部134は、車両前方を撮像したカメラ132からの画像データに画像処理を施すことにより、歩行者画像を特定し、これにより歩行者位置を検出する。したがってカメラ132および画像処理部130は、歩行者位置を検出する位置検出装置として機能する。歩行者画像を特定する技術や歩行者位置を検出する技術は公知であるため説明を省略する。検出された歩行者位置は、車両ECU120に送信される。
【0034】
第1の実施形態では、車両との衝突を回避すべき対象物の位置として歩行者位置を検出しているが、カメラ132と画像処理部130とが位置を検出する対象物が歩行者に限られないことは勿論である。例えば、歩行者位置検出部134に代えて、車両との衝突を回避すべき動物や路面上障害物など他の対象物の位置も検出する対象物位置検出部が設けられてもよい。対象物位置検出部は、カメラ132からの画像データに画像処理を施すことによりこのような対象物の画像を特定し、これにより対象物の位置を検出してもよい。
【0035】
なお、カメラ132が車両ECU120に接続されていてもよい。車両ECU120は、カメラ132からの画像データを用いて歩行者画像を特定し、これにより歩行者位置を検出してもよい。また、カメラ132がスポットランプECU150に接続されていてもよい。スポットランプECU150は、カメラ132からの画像データを用いて歩行者画像を特定し、これにより歩行者位置を検出してもよい。
【0036】
車両ECU120もまた、CPU、ROM、RAMを有する。車両ECU120は、モードスイッチ122の操作に応じて、スポットランプモードの開始要求や終了要求を取得する。
【0037】
スポットランプECU150は、灯室の外部に配置され、左スポットランプ10Lおよび右スポットランプ10Rの各々の発光素子24の点灯を制御する。したがってスポットランプECU150は、車両用スポットランプ10による光の照射を制御する制御部または制御装置として機能する。
【0038】
スポットランプECU150は、歩行者位置取得部152および点灯制御部154を有する。車両ECU120は、画像処理部130から受信した歩行者位置をスポットランプECU150に送信する。歩行者位置取得部152は、車両ECU120から受信した歩行者位置を取得する。なお、歩行者位置取得部152に代えて、上述の対象物位置検出部によって検出された、車両との衝突を回避すべき対象物の位置を取得する対象物位置取得部が設けられてもよい。
【0039】
点灯制御部154は、左スポットランプ10Lおよび右スポットランプ10Rの各々の発光素子基板16にオンオフ信号を出力することにより、左スポットランプ10Lおよび右スポットランプ10Rに設けられた複数の発光素子24の各々の点灯を制御する。
【0040】
第1の実施形態では、点灯制御部154は、歩行者位置の領域と、歩行者位置から車両寄りの領域と、に光が照射されるよう、これらの領域に光を照射するための発光素子24を点灯させる。例えば領域R61に歩行者が位置しているとき、点灯制御部154は領域R61だけでなく、領域R61よりも車両寄りの領域R62および領域R63も光を照射するよう、発光素子24P61、P62、およびP63を点灯させる。このように歩行者位置の領域だけでなく歩行者位置から車両寄りの領域にも光を照射することにより、歩行者位置に向けて直線状に伸びる光を路面に照射することができる。
【0041】
一方、上述のように、右スポットランプ10Rと左スポットランプ10Lとは、それぞれ車両右前部および左前部に設けられることから、車幅に近い距離を隔てて配置されている。このため、同じ歩行者に右スポットランプ10Rおよび左スポットランプ10Lの双方から光を照射すると、歩行者が一人であるにもかかわらず、車両に近い路面には対象物に向けて2本の光が伸びるよう照射されるおそれがある。
【0042】
このため点灯制御部154は、2つの歩行者位置を取得した場合、一方の歩行者位置に向けて光を照射するよう左スポットランプ10Lの光の照射方向を制御し、他方の歩行者位置に向けて光を照射するよう右スポットランプ10Rの光の照射方向を制御する。さらに具体的には、点灯制御部154は、2つの歩行者位置を取得した場合、左側の歩行者位置に向けて光を照射するよう左スポットランプ10Lの光の照射方向を制御し、右側の歩行者位置に向けて光を照射するよう右スポットランプ10Rの光の照射方向を制御する。このように点灯制御部154は、歩行者位置に向けて光を照射するとき、互いに異なる位置に向けて光を照射するよう左スポットランプ10Lおよび右スポットランプ10Rの光の照射方向を制御することにより、一つの歩行者位置に伸びる路面の光を単数にすることができる。以下、フローチャートに関連してこの制御手順について詳細に説明する。
【0043】
図5は、第1の実施形態に係る歩行者スポットライトモードにおける照射制御の実行手順を示すフローチャートである。このフローチャートにおける処理は、モードスイッチ122が操作され歩行者スポットライトモードの開始要求が取得されたときに開始する。開始された当該処理は、モードスイッチ122が操作され歩行者スポットライトモードの終了要求が取得されるまで所定時間毎に繰り返し実行される。
【0044】
点灯制御部154は、歩行者位置を取得したか否かで、歩行者位置が検出されたか否かを判定する(S10)。歩行者位置が検出されなかった場合(S10のN)、本フローチャートにおける処理を一旦終了する。
【0045】
歩行者位置が検出された場合(S10のY)、歩行者位置取得部152は、取得した歩行者位置が前後方向に伸びる一列の領域群に含まれるか否かを判定する(S12)。前後方向に伸びる一列とは、例えば領域R51、52、53など、車両前方に放射状に伸びる列をいう。したがって、領域R51と領域R53でそれぞれ歩行者位置が検出されたとき、一列の領域群に含まれることになる。歩行者位置取得部152は、歩行者の存在が検出された領域Rxyのいずれかを特定する情報を取得する。これにより歩行者位置取得部152は、取得した歩行者位置が前後方向に伸びる一列か否かを判定する。
【0046】
このように、第1の実施形態では、領域一つ一つではなく、前後方向に伸びる領域の列で判断する。一つの列を左右の車両用スポットランプ10から同時に光を照射すると、一つの列であるにもかかわらず左右の車両用スポットランプ10の間隔によって2本の光が延在する可能性があるためである。なお、歩行者位置取得部152は、このS12の判定に代えて、取得した歩行者位置が単一か否かを判定してもよい。
【0047】
取得した歩行者位置が一列の領域群に含まれる場合(S12のY)、点灯制御部154は、その列がV−V線より左か否かを判定する(S14)。その列がV−V線より左の場合(S14のY)、点灯制御部154は、左スポットランプ10Lでその列の歩行者位置の領域および歩行者位置から車両寄りの領域に光を照射する(S16)。その列がV−V線より右の場合(S14のN)、点灯制御部154は、右スポットランプ10Rでその列の歩行者位置の領域および歩行者位置から車両寄りの領域に光を照射する(S18)。
【0048】
取得した歩行者位置を含む領域の列が複数の場合(S12のN)、点灯制御部154は、その列の数が奇数か否かを判定する(S20)。奇数の場合(S20のY)、点灯制御部154は、中央の列の照射制御についてはS14に移行する(S22)。次に点灯制御部154は、中央の列を除く複数の列のうち、左半分の列の歩行者位置の領域および歩行者位置から車両寄りの領域に左スポットランプ10Lで光を照射する。また、点灯制御部154は、右半分の列の歩行者位置の領域および歩行者位置から車両寄りの領域に右スポットランプ10Rで光を照射する。(S24)。列の数が偶数の場合(S20のN)、点灯制御部154は、S22をスキップし、左半分の列の歩行者位置の領域および歩行者位置から車両寄りの領域に左スポットランプ10Lで光を照射する。また、点灯制御部154は、右半分の列の歩行者位置の領域および歩行者位置から車両寄りの領域に右スポットランプ10Rで光を照射する。(S24)。
【0049】
例えば、領域R31、領域R51、および領域R71が歩行者位置として検出された場合、点灯制御部154は、左の列である領域R31、R32、R33を左スポットランプ10Lで光を照射し、右の列である領域R71、R72、R73を右スポットランプ10Rで光を照射する。また中央の列である領域R51、R52、R53はV−V線よりも右側に位置するため、この中央の列の領域を右スポットランプ10Rで光を照射する。
【0050】
図6(a)および図6(b)は、第1の実施形態に係る車両用スポットランプ10による照射制御の一例を示す図である。図6(a)は、右スポットランプ10Rによって光が照射されている領域を示す図であり、図6(b)は、左スポットランプ10Lによって光が照射されている領域を示す図である。
【0051】
この例では、領域R31および領域R32が一人の歩行者位置として検出され、領域R61にも一人の歩行者位置が検出された例を示している。したがって、歩行者位置が検出された列が、領域R31、R32、R33の列と、領域R61、R62、R63の列の2列となる。このため点灯制御部154は、右スポットランプ10Rで、図6(a)に示すように右側の列である領域R61、R62、R63に光が照射されるよう、発光素子24P61、P62、P63を点灯させる。また、点灯制御部154は、左スポットランプ10Lで、図6(b)に示すように左側の列である領域R31、R32、R33に光が照射されるよう、発光素子24P31、P32、P33を点灯させる。
【0052】
このように第1の実施形態では、車両用スポットランプ10は、複数の発光素子24の各々の点灯を制御することにより、照射方向および照射形状を変更可能に設けられている。なお、車両用スポットランプ10は、複数の発光素子24によって構成されていなくてもよく、例えばモータなどのアクチュエータによって発光素子24などの光源を移動させることにより照射方向を変更可能に設けられてもよい。また、モータなどのアクチュエータによりシェードを駆動して発光素子24などの光源の遮光範囲を変化させることで照射形状を変更可能に設けられていてもよい。
【0053】
(第2の実施形態)
図7は、第1の実施形態に係る歩行者スポットライトモードにおける照射制御の実行手順を示すフローチャートである。このフローチャートにおける処理は、モードスイッチ122の操作よって歩行者スポットライトモードの開始要求が取得されたときに開始する。開始された当該処理は、モードスイッチ122の操作よって歩行者スポットライトモードの終了要求が取得されるまで所定時間毎に繰り返し実行される。以下、特に言及しない限り、第2の実施形態に係る車両用スポットランプ10の構成は第1の実施形態と同様である。また、第1の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
第2の実施形態では、点灯制御部154は、各々の発光素子24の点灯だけでなく、各々の発光素子24に与える電力を制御することにより、発光素子24が発する光の光度を制御する。発光素子24の出力制御の方法は公知であるため説明を省略する。
【0055】
点灯制御部154は、歩行者位置を取得したか否かで、歩行者位置が検出されたか否かを判定する(S50)。歩行者位置が検出されなかった場合(S50のN)、本フローチャートにおける処理を一旦終了する。
【0056】
第2の実施形態においても、点灯制御部154は、歩行者位置の領域と、歩行者位置から車両寄りの領域と、に光が照射されるよう、これらの領域に光を照射するための発光素子24を点灯させる。しかし、第2の実施形態では、歩行者位置が検出された場合(S50のY)、点灯制御部154は、歩行者位置がV−V線より左か否かを判定する(S52)。歩行者位置がV−V線より左の場合(S52のY)、点灯制御部154は、歩行者位置が上下に並ぶ複数領域にまたがっているか否かにかかわらず、最上領域を右スポットランプ10Rで照射し、最上領域よりも下方の下方領域を左スポットランプ10Lで光を照射する(S54)。歩行者位置がV−V線より右の場合においても(S52のN)、点灯制御部154は、歩行者位置が上下に並ぶ複数領域にまたがっているか否かにかかわらず、最上領域を左スポットランプ10Lで照射し、下方領域を右スポットランプ10Rで光を照射する(S56)。
【0057】
このとき、点灯制御部154は、最上領域よりも下方領域の方が高い光度で光が照射されるよう、発光素子24の光の光度を制御する。したがって、最上領域は、下方領域よりも弱い光が照射される。上述のように歩行者位置が検出された場合、歩行者位置の領域と、歩行者位置から車両寄りの領域と、に光が照射される。このため、最上領域は、常に歩行者位置が含まれることになる。例えば上下に並ぶ複数の領域にまたがって歩行者が存在している場合でも歩行者の目の位置は最上領域に含まれている可能性が高い。このため、最上領域に下方領域よりも弱い光を照射することで、歩行者に与えるグレアを抑制することができる。
【0058】
図8(a)および図8(b)は、第2の実施形態において、歩行者の存在が検出されたときの車両用スポットランプ10による光の照射の一例を示す図である。この例では、領域R61と領域R62にまたがるように歩行者が存在していることから、歩行者位置として領域R61と領域R62とが検出されている。このため歩行者位置の領域である領域R61および領域R62と、歩行者位置から車両寄りの領域である領域R63と、に光が照射される。
【0059】
しかし、最上領域は領域R61となり、下方領域は領域R62、R63となる。このため点灯制御部154は、右スポットランプ10Rで図8(a)に示すように下方領域の領域R62、R63に光を照射する。また、点灯制御部154は、左スポットランプ10Lで図8(b)に示すように最上領域の領域R61に下方領域よりも弱い光を照射する。このため、図8(a)および図8(b)に示すように、領域R61、R62に存在する歩行者のうち、上部に左スポットランプ10Lから弱い光が照射され、下部に右スポットランプ10Rから強い光が照射される。
【0060】
これにより、領域R61、R62に存在する歩行者の顔の部分に弱い光を照射する一方、歩行者位置に向けて延在する強い光を路面に照射できる。また、V−V線より右に位置する歩行者に、歩行者からよい遠い左スポットランプ10Lから光を照射することで、右スポットランプ10Rから光を照射するよりも光源を直視する可能性を低く抑えることができ、歩行者に与えるグレアを抑制できる。
【0061】
図9(a)および図9(b)は、第2の実施形態において、歩行者の存在が検出されたときの車両用スポットランプ10による光の照射の一例を示す図である。この例では、領域R31と領域R32にまたがるように歩行者が存在していることから、歩行者位置として領域R31と領域R32とが検出されている。このため歩行者位置の領域である領域R31および領域R32と、歩行者位置から車両寄りの領域である領域R33と、に光が照射される。
【0062】
しかし、最上領域は領域R31となり、下方領域は領域R32、R33となる。このため点灯制御部154は、左スポットランプ10Lで図9(a)に示すように下方領域の領域R32、R33に光を照射する。また、点灯制御部154は、右スポットランプ10Rで図9(b)に示すように最上領域の領域R31に下方領域よりも弱い光を照射する。
【0063】
また、第2の実施形態では、歩行者位置がV−V線より左か右かによって最上領域および下方領域の各々に照射する車両用スポットランプ10を左右で切り換える。具体的には、歩行者位置がV−V線よりも右の場合は右スポットランプ10Rで下方領域に光を照射し、左の場合は左スポットランプ10Lで下方領域に光を照射する。これにより、車両進行方向に近い角度で延在する光を路面に照射することができる。
【0064】
例えば、図9(a)および図9(b)に示すように、領域R31、R32にまたがって歩行者が存在する場合、顔が位置する上部の領域R31に右スポットランプ10Rから弱い光が照射され、下方領域である領域R32、R33に左スポットランプ10Lから領域R31よりも強い光が照射される。
【0065】
これにより、領域R31、R32に存在する歩行者の顔の部分に弱い光を照射する一方、歩行者位置に向けて延在する強い光を路面に照射できる。また、V−V線より左に位置する歩行者に、歩行者からよい遠い右スポットランプ10Rから光を照射することで、左スポットランプ10Lから光を照射するよりも光源を直視する可能性を低く抑えることができ、歩行者に与えるグレアを抑制できる。
【0066】
このように点灯制御部154は、歩行者位置を取得した場合、当該対象物の互いに異なる部分に光を照射するよう右スポットランプ10Rおよび左スポットランプ10Lの光の照射方向を制御する。これにより、歩行者の顔の部分に、歩行者からより遠い車両用スポットランプ10から光を照射する制御が可能となり、歩行者に与えるグレアを抑制することができる。
【0067】
(第3の実施形態)
図10(a)は、第3の実施形態に係る車両用スポットランプシステム200の構成を示す図である。以下、上述の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略する。車両用スポットランプシステム200は、投影レンズ12、光照射装置202、および光反射装置204を有する。
【0068】
図10(b)は、光照射装置202を図10(a)の視点Rから見た図である。光照射装置202は、発光素子基板210およびヒートシンク212を有する。発光素子基板210は、基板213および発光素子ユニット214を有する。発光素子ユニット214は複数の発光素子216を含む。発光素子216は、半導体発光素子であるLEDによって構成される。なお、発光素子216がLED以外の半導体発光素子によって構成されていてもよい。
【0069】
基板213はプリント配線基板であり、基板213の表面などに形成された導電性部材を介して発光素子216へ電力が供給される。ヒートシンク212は、アルミニウムなど放熱性の高い放熱材料によって形成される。ヒートシンク212は発光素子基板210に直接取り付けられ、発光素子ユニット214および基板213が発する熱を外部へ放散させる。
【0070】
図10(b)に示すように、発光素子ユニット214を構成する複数の発光素子216の各々は、略正方形の発光面を有する。なお、発光素子216の各々が、例えば長方形など正方形以外の発光面を有していてもよい。基板213上には、3個の発光素子216が互いに隙間無く一列に並ぶよう実装される。
【0071】
図10(a)に戻る。光照射装置202は、複数の発光素子216の各々の発光面が投影レンズ12の後方焦点面Fより後方において略鉛直上方向に向くよう配置される。このとき、光照射装置202は、発光素子216が並ぶ方向が光軸Axと平行となるよう配置される。
【0072】
光反射装置204は、リフレクタ240、回転軸242、およびモータ244を有する。リフレクタ240は、両面に反射面が設けられた板状部材をZ字に折り曲げて形成される。リフレクタ240の折り返された端部の各々に回転軸242が同軸となるよう取り付けられる。回転軸242の一方は、車両本体に固定された支持部材246に回転可能に支持される。回転軸242の他方は、モータ244に連結される。こうしてリフレクタ240は、モータ244が作動することで回転するよう設けられている。
【0073】
光反射装置204は、回転軸242の中心線が、投影レンズ12に近づくほど上昇するよう傾斜するとともに、中途部で光軸Axと交わるよう配置される。このとき光反射装置204は、リフレクタ240の中心部分が光照射装置202の中央の発光素子216の鉛直上方に位置するよう配置される。以下、リフレクタ240の2つの反射面のうち、発光素子216と対向するときに光軸Axに大きな角度で傾斜する面を第1反射面240aとし、発光素子216と対向するときに光軸Axに小さな角度で傾斜する面を第2反射面240bとする。第3の実施形態では第1反射面240aおよび第2反射面240bはともに平面状に形成されているが、一方または双方が曲面状に形成されてもよい。
【0074】
第3の実施形態では、運転者は、モードスイッチ122を操作することにより、歩行者スポットライトモードおよびフォグランプモードいずれかの開始および終了を指示することができる。スポットランプECU150は、回転制御部(図示せず)をさらに有する。回転制御部は、モータ244へ作動信号を供給することによりモータ244を作動させ、リフレクタ240を回転させる。
【0075】
モードスイッチ122によって歩行者スポットライトモードまたはフォグランプモードの開始が指示された場合、回転制御部は、モータ244に作動信号を供給して作動を開始させ、リフレクタ240を回転させる。このとき回転制御部は、人間の目に与えるちらつきが軽減されるといわれている60Hz以上の回転数、すなわち3600rpm以上の回転数でリフレクタ240を回転させる。なお、3600rpm未満の回転数でリフレクタ240を回転させてもよい。
【0076】
図11(a)は、フォグランプモードにおける車両用スポットランプシステム200の作動状態を示す図である。フォグランプモードでは、点灯制御部154は、リフレクタ240が回転中において、第1反射面240aが発光素子216に対向する位置にあるときにのみ発光素子216を点灯させる。
【0077】
さらに具体的には、フォグランプモードでは、点灯制御部154は、水平方向に長いフォグランプ用配光パターンを形成するよう、歩行者スポット配光パターンを形成するときよりも長く発光素子216を点灯させる。
【0078】
図11(b)は、フォグランプモードで光が照射されている状態を示す図である。このように点灯制御部154は、第1反射面240aが発光素子216に対向しているときに発光素子216を長い時間点灯させることにより、水平方向に延在するフォグランプ用配光パターンPFを形成する。
【0079】
図12(a)は、歩行者スポットライトモードにおける車両用スポットランプシステム200の作動状態を示す図である。歩行者スポットライトモードでは、点灯制御部154は、リフレクタ240が回転中において、第2反射面240bが発光素子216に対向する位置にあるときにのみ発光素子216を点灯させる。
【0080】
さらに具体的には、歩行者位置が検出された場合、歩行者位置取得部152は、検出された歩行者位置を取得する。点灯制御部154は、取得した歩行者位置に光が照射されるよう、第2反射面240bを反射した光が歩行者位置に照射されるタイミングでのみ発光素子216を点灯させる。
【0081】
図12(b)は、歩行者スポットライトモードにおいて歩行者位置に光が照射されている状態を示す図である。このように点灯制御部154は、歩行者位置に光が照射される非常に短い時間だけ3つの発光素子216を点灯させることで、歩行者位置に向かって伸びるように路面に光を照射させる。
【0082】
第3の実施形態では、歩行者位置に光を照射するとき、点灯制御部154は、3つの発光素子216のすべてを点灯させる。こうして、歩行者位置を含む歩行者スポット配光パターンPAが形成される。なお、点灯制御部154は、歩行者位置が検出された場合、歩行者位置を含む所定領域に光が照射されるよう発光素子216の点灯を制御してもよい。例えば点灯制御部154は、歩行者位置が検出された場合、歩行者位置の領域と、歩行者位置から車両寄りの領域と、に光が照射されるよう、3つの発光素子216のうち1以上の発光素子216を点灯させてもよい。
【0083】
(第4の実施形態)
図13(a)は、第4の実施形態に係る発光素子ユニット300を灯具後方から見た図である。第4の実施形態に係る車両用スポットランプは、発光素子ユニット22に代えて発光素子ユニット300が設けられた以外は、第1の実施形態に係る車両用スポットランプ10と同様に構成される。
【0084】
第1の実施形態と同様、第4の実施形態においても、発光素子24は24個設けられ、鉛直方向に3列、水平方向に8列に互いに隙間無く並ぶよう基板20上に実装されている。しかし、第4の実施形態では、V−V線に対応する中心の鉛直線に近い発光素子24ほど幅が狭くなっている。
【0085】
図13(b)は、第4の実施形態に係る車両用スポットランプによって路面に投影される投影像を示す図である。第4の実施形態に係る発光素子ユニット300では、このように、V−V線に近いほど光が照射可能な領域の幅を狭くすることができる。V−V線に近いほど遠方の歩行者に向けて、V−V線から遠いほど近い歩行者に向けて光を照射する可能性が高くなる。このようにV−V線に近いほど光が照射可能な領域の幅を狭くすることで、歩行者との距離に応じた幅で歩行者に向けて光を照射することができる。
【0086】
(第5の実施形態)
図14(a)は、第5の実施形態に係る発光素子ユニット400を灯具後方から見た図である。第5の実施形態に係る車両用スポットランプは、発光素子ユニット22に代えて発光素子ユニット400が設けられた以外は、第1の実施形態に係る車両用スポットランプ10と同様に構成される。
【0087】
第5の実施形態に係る発光素子ユニット400は、第1の実施形態に係る発光素子ユニット22から右側の2列を削除したものとなっている。このため、発光素子24は18個設けられ、鉛直方向に3列、水平方向に6列に互いに隙間無く並ぶよう基板20上に実装されている。
【0088】
図14(b)は、第5の実施形態に係る車両用スポットランプによって路面に投影される投影像を示す図である。第5の実施形態に係る発光素子ユニット400では、このように、自車線側の左端2列の領域が第1の実施形態に比べ削除されている。図14(b)に示すように、対向車線側に比べ、自車線側の方が道路脇の歩道がV−V線に近い。このため、自車線側において歩行者に向けて光を照射する領域が対向車線側と比べて狭くても、適切に歩行者に光を照射することができる。したがって、第1の実施形態に係る発光素子ユニット22から右側の2列を削除することにより、発光素子24の数を削減することができ、コストを抑制することができる。
【0089】
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0090】
10 車両用スポットランプ、 10L 左スポットランプ、 10R 右スポットランプ、 12 投影レンズ、 14 光照射装置、 16 発光素子基板、 18 ヒートシンク、 20 基板、 22 発光素子ユニット、 24 発光素子、 100 車両用スポットランプシステム、 120 車両ECU、 122 モードスイッチ、 124 車速センサ、 130 画像処理部、 132 カメラ、 134 歩行者位置検出部、 150 スポットランプECU、 152 歩行者位置取得部、 154 点灯制御部、 200 車両用スポットランプシステム、 202 光照射装置、 204 光反射装置、 210 発光素子基板、 212 ヒートシンク、 213 基板、 214 発光素子ユニット、 216 発光素子、 240 リフレクタ、 240a 第1反射面、 240b 第2反射面、 242 回転軸、 244 モータ、 300,400 発光素子ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両との衝突を回避すべき対象物の位置を検出する位置検出装置によって検出された、前記対象物の位置を取得する対象物位置取得部と
前記対象物の位置に向けて光が照射されるよう、同じ車両に搭載され且つそれぞれ照射方向を変更可能な第1スポットランプおよび第2スポットランプによる光の照射を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記対象物の位置に向けて光を照射するとき、互いに異なる位置に向けて光を照射するよう第1スポットランプおよび第2スポットランプの光の照射方向を制御することを特徴とする車両用スポットランプ制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、2つの前記対象物の位置を取得した場合、一方の前記対象物の位置に向けて光を照射するよう第1スポットランプの光の照射方向を制御し、他方の前記対象物の位置に向けて光を照射するよう第2スポットランプの光の照射方向を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用スポットランプ制御装置。
【請求項3】
第1スポットランプは、第2スポットランプよりも前記車両の右側に設けられ、
前記制御部は、2つの前記対象物の位置を取得した場合、右側の前記対象物の位置に向けて光を照射するよう第1スポットランプの光の照射方向を制御し、左側の前記対象物の位置に向けて光を照射するよう第2スポットランプの光の照射方向を制御することを特徴とする請求項2に記載の車両用スポットランプ制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記対象物の位置を取得した場合、当該対象物の互いに異なる部分に光を照射するよう第1スポットランプおよび第2スポットランプの光の照射方向を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用スポットランプ制御装置。
【請求項5】
それぞれ照射方向を変更可能に同じ車両に搭載された第1スポットランプおよび第2スポットランプと、
車両との衝突を回避すべき対象物の位置を検出する位置検出装置によって検出された前記対象物の位置を取得し、前記対象物の位置に向けて光が照射されるよう第1スポットランプおよび第2スポットランプによる光の照射を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記対象物の位置に向けて光を照射するとき、互いに異なる位置に向けて光を照射するよう第1スポットランプおよび第2スポットランプの光の照射方向を制御することを特徴とする車両用スポットランプシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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