車両用ドアラッチのリモートコントロール装置
【課題】各レバーの配置を改善することによって小型化を可能にした車両用ドアラッチのリモートコントロール装置を提供する。
【解決手段】アウトサイドハンドルの開扉操作に従動するアウトサイドレバー13及びドアラッチ手段に連係されるリリースレバー14をベースプレート8の一側面側に配置する。インサイドハンドルの操作に従動するインサイドレバー15及び施解錠操作手段9、10の操作に従動するノブレバー11をベースプレート8の他側面側に配置する。アウトサイドレバー13、リリースレバー14及びインサイドレバー15を同軸の操作軸21により枢支する。ノブレバー11を、インサイドレバー15と操作軸21の軸線方向に重なり合わない位置に配置する。
【解決手段】アウトサイドハンドルの開扉操作に従動するアウトサイドレバー13及びドアラッチ手段に連係されるリリースレバー14をベースプレート8の一側面側に配置する。インサイドハンドルの操作に従動するインサイドレバー15及び施解錠操作手段9、10の操作に従動するノブレバー11をベースプレート8の他側面側に配置する。アウトサイドレバー13、リリースレバー14及びインサイドレバー15を同軸の操作軸21により枢支する。ノブレバー11を、インサイドレバー15と操作軸21の軸線方向に重なり合わない位置に配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアに設けられる操作ハンドルの開扉操作を中継する車両用ドアラッチのリモートコントロール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のリモートコントロール装置は、スライドドアに設けたアウトサイドハンドル及びインサイドハンドルの開扉操作に従動してリリース作動するアウトサイドレバー及びインサイドレバーと、ドアラッチ機構に連結されるリリースレバーと、アクチュエータや施解錠操作ノブ等の操作に従動して、アウトサイドレバー及びインサイドレバーのリリース作動をリリースレバーに伝達可能とする解錠位置及び伝達不能とする施錠位置に移動可能なノブレバーとを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−182403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載された車両用ドアラッチのリモートコントロール装置においては、アウトサイドレバー、インサイドレバー、リリースレバー及びノブレバーの全てがベースプレートの一側面側に配置されるため、各レバー同士が干渉しないように各レバーの位置を設定しなければならない。そのため、各レバー同士がベースプレートの一側面側で幾重にも重なり合う等して、構成の複雑化及び大型化を招くこととなる。
【0005】
本発明は、上述のような従来の課題に鑑み、各レバーの配置を改善することによって小型化を可能にした車両用ドアラッチのリモートコントロール装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)車両のドアに固定されるベースプレートと、該ベースプレートに枢支され、車外に設けられたアウトサイドハンドルの開扉操作に従動して待機位置からリリース作動するアウトサイドレバーと、前記ベースプレートに枢支され、車内に設けられたインサイドハンドルの操作に従動して前記アウトサイドレバーを前記待機位置からリリース作動させるインサイドレバーと、前記ベースプレートに枢支され、前記ドアを閉鎖位置に保持可能なドアラッチ手段に連係されるリリースレバーと、前記アウトサイドレバーのリリース作動を前記リリースレバーに伝達可能な解錠位置と伝達不能な施錠位置に移動可能な係脱手段と、該係脱手段を解錠位置及び施錠位置に移動させ得るノブレバーと、前記ノブレバーを操作するための施解錠操作手段とを備えた車両用ドアラッチのリモートコントロール装置において、前記アウトサイドレバー及び前記リリースレバーを前記ベースプレートの一側面側に配置し、また、前記インサイドレバー及び前記ノブレバーを前記ベースプレートの他側面側に配置するとともに、前記アウトサイドレバー、前記リリースレバー及び前記インサイドレバーを同軸の操作軸により枢支し、前記ノブレバーを、前記インサイドレバーと前記操作軸の軸線方向に重なり合わない位置に配置する。
【0007】
(2)上記(1)項において、前記アウトサイドレバーは、前記アウトサイドハンドルの開扉操作を伝達可能な操作伝達部材が連結される連結部を有し、前記リリースレバーは、そのリリース作動を前記ドアラッチ手段に伝達可能なリリース伝達部材が連結される連結部を有し、前記アウトサイドレバーの連結部を、前記リリースレバーと前記操作軸の軸線方向に重なり合わない位置に設け、前記リリースレバーの連結部を、前記アウトサイドレバーと前記操作軸の軸線方向に重なり合わない位置に設ける。
【0008】
(3)上記(1)または(2)項において、前記係脱手段は、前記ノブレバーに設けた長孔に摺動可能に係合するとともに、前記ベースプレートに設けた開口部を貫通して前記アウトサイドレバー及び前記リリースレバーに設けた制御孔に摺動可能に係合する。
【0009】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、前記施解錠操作手段は、車内から手動により操作可能な施解錠操作ノブと、電動により操作可能なアクチュエータとを含み、前記施解錠操作ノブを、前記ベースプレートの一側面側に配置し、また、前記アクチュエータを、前記ベースプレートの他側面側に配置して、前記施解錠操作ノブと前記アクチュエータとを、前記ベースプレートを挟んで互いに対向させる。
【0010】
(5)上記(4)項において、前記ノブレバーの一端部を、前記施解錠操作ノブに直接、連結させる。
【0011】
(6)上記(4)または(5)項において、前記ノブレバーを、前記アクチュエータの動力を出力する出力軸に枢着する。
【0012】
(7)上記(1)〜(6)項のいずれかにおいて、前記アウトサイドレバーを、スプリングにより待機位置に向けて付勢し、前記リリースレバーに設けた被当接部を介して前記ベースプレートに設けたストッパ部に当接させることによって前記待機位置に保持させる。
【0013】
(8)上記(7)項において、前記リリースレバーに設けた前記被当接部を、弾性力を有する緩衝部材により形成する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、次のような効果が奏せられる。
請求項1記載の発明によると、ノブレバーを、インサイドレバーと操作軸の軸線方向に重なり合わない位置に配置したことにより、リモートコントロール装置の左右方向の厚みを薄くすることができる。
【0015】
請求項2記載の発明によると、ノブレバーを、施解錠用アクチュエータの出力軸に枢着したことにより、余計な枢軸等を必要がなくなり、部品点数を少なくして、構成を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用したスライドドアの側面図である。
【図2】本発明に係わるリモートコントロール装置の分解斜視図である。
【図3】車内側から見たリモートコントロール装置の側面図である。
【図4】車外側から見たリモートコントロール装置の側面図である。
【図5】図3におけるV−V線に沿う縦断面図である。
【図6】図3におけるVIーVI線に沿う横断面図である。
【図7】リモートコントロール装置が解錠状態にあるときの要部の説明図である。
【図8】リモートコントロール装置が施錠状態にあるときの要部の説明図である。
【図9】リモートコントロール装置が解錠状態にあるときの要部のリリース作動説明図である。
【図10】リモートコントロール装置が施錠状態にあるときの要部の作動説明図である。
【図11】リモートコントロール装置が解錠状態にあるときの要部のリリース作動説明図である。
【図12】リモートコントロール装置が解錠状態にあるときの要部の閉扉作動説明図である。
【図13】チャイルドロックレバーが施錠位置にあるときのリモートコントロール装置における要部の説明図である。
【図14】チャイルドロックレバーが施錠位置にあるときのリモートコントロール装置における要部の作動説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係わる一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明を適用したスライドドアの側面図、図2は、本発明に係わるリモートコントロール装置の分解斜視図、図3は、車内側から見たリモートコントロール装置の側面図、図4は、車外側から見たリモートコントロール装置の側面図、図5は、図3におけるV−V線に沿う縦断面図、図6は、図3におけるVIーVI線に沿う横断面図、図7〜14は、要部の説明図である。
【0018】
なお、以下の説明においては、図1、3、7〜14における左方、図4における右方を「前方」とし、図1、3、7〜14における右方、図4における左方を「後方」とし、図1、3、7〜14における図面手前、図4における図面奥を「車内側」とし、図1、3、7〜14における図面奥、図4における図面手前を「車外側」とする。
【0019】
スライドドア(以下、ドアと記す)(1)は、車体の側面に前後方向へ開閉可能に支持され、その車外側側面には、車外からドア(1)を開閉するときに操作される車外側の操作ハンドルをなすアウトサイドハンドル(2)が設けられ、同じく車内側側面には、車内からドア(1)を開閉するときに操作される車内側の操作ハンドルなすインサイドハンドル(3)が設けられている。
【0020】
ドア(1)の前、後部には、車体側に固着されたフロント側ストライカ(図示略)及びリヤ側ストライカ(図示略)に対してそれぞれ係合することにより、ドア(1)を閉鎖位置に保持するドアラッチ手段をなすフロント側ドアラッチ機構(4)及びリヤ側ドアラッチ機構(5)が設けられ、下部には、ドア(1)を全開位置に保持する全開ラッチ機構(7)が設けられ、また、前部寄りには、アウトサイドハンドル(2)及びインサイドハンドル(3)の操作力を中継するリモートコントロール装置(6)が設けられている。
【0021】
なお、本発明は、フロント側ドアラッチ機構(4)、リヤ側ドアラッチ機構(5)の両方を必ずしも必要とするものではなく、少なくともいずれか一方を備えれば良い。
【0022】
図2に示すように、リモートコントロール装置(6)は、ドア(1)のインナパネル(車内側側面)に固定されるベースプレート(8)を備え、このベースプレート(8)には、主な部品として、施解錠操作手段をなす施解錠操作ノブ(9)及び施解錠用アクチュエータ(10)と、ノブレバー(11)と、リリース用アクチュエータ(12)(図2においては省略)と、アウトサイドハンドル(2)の開扉操作に従動する操作レバーをなすアウトサイドレバー(13)と、リリースレバー(14)と、インサイドハンドル(3)の開扉操作に従動する操作レバーをなすインサイドレバー(15)と、チャイルドロックレバー(16)と、第1全開ラッチリリースレバー(17)と、第2全開ラッチリリースレバー(18)とが配置される。
【0023】
施解錠操作ノブ(9)は、車内側からリモートコントロール装置(6)を解錠状態及び施錠状態に切り換えるときに手動操作されるもので、ベースプレート(8)の一側面(車内側を向く側面)の下部に固定されるガイド部材(40)に前後方向へ移動可能に支持され、車内側に露出するように設けられた摘み部(91)を操作することにより、リモートコントロール装置(6)を解錠状態にする解錠位置(図3、7、9、11〜14に示す位置)と施錠状態にする施錠位置(図8、10に示す位置)とに移動可能である。
【0024】
なお、リモートコントロール装置(6)の解錠状態とは、施解錠操作ノブ(9)、ノブレバー(11)及び後述の係脱手段をなすロック制御ピン(19)が解錠位置(ノブレバー(11)及びロック制御ピン(19)の解錠位置及び施錠位置については後述する)にあって、アウトサイドハンドル(2)及びインサイドハンドル(3)の開扉操作に基いて、ドア(1)を開けることができる状態であり、また、施錠状態とは、施解錠操作ノブ(9)、ノブレバー(11)及びロック制御ピン(19)が施錠位置にあって、アウトサイドハンドル(2)及びインサイドハンドル(3)を開扉操作しても、ドア(1)を開けることができない状態である。
【0025】
ガイド部材(40)は、合成樹脂製で形成され、裏面側(車外側)に設けた前、後の突起部(401)(402)がベースプレート(8)に設けた前、後の係合孔(83)(84)に係合した状態で、ベースプレート(8)に固定される。
【0026】
施解錠操作ノブ(9)は、ガイド部材(40)に設けた前後方向を向く上下1対のレール部(403)に摺動自在に嵌合されることによって、解錠位置と施錠位置とに移動可能に支持される。
【0027】
施解錠用アクチュエータ(10)は、モータの動力によりリモートコントロール装置(6)を解錠状態及び施錠状態に切換操作するもので、ベースプレート(8)の他側面(車外側を向く側面)の下部に取り付けられ、ワイヤレス操作スイッチ(図示略)や運転席に設けた操作スイッチ等の施解錠操作に基いて駆動する。なお、施解錠操作ノブ(9)と施解錠用アクチュエータ(10)とは、ベースプレート(8)を挟んで、互いに対向するように配置される。
【0028】
ノブレバー(11)は、側面視ほぼくの字形をなして、ほぼ中央部が施解錠用アクチュエータ(10)の出力軸(施解錠用アクチュエータ(10)のモータの回転力を減速して出力する軸)(101)に枢着されることによって、ベースプレート(8)の他側面側に回動可能に配置される。ノブレバー(11)の下部には、突部(112)が設けられ、また、同じく上部には、上下方向の長孔(111)が穿設されている。
【0029】
ノブレバー(11)の突部(112)は、ベースプレート(8)の下部に設けた第1開口部(85)を貫通してベースプレート(8)の他側面側から一側面側に突出して、施解錠操作ノブ(9)の裏面側に設けられた前後1対の係合突部(92)(92)間に直接、遊嵌している。これにより、施解錠操作ノブ(9)の手動操作及び施解錠用アクチュエータ(10)の電動操作に基いて、ノブレバー(11)は、解錠位置(図3、7、9、11〜14に示す位置)と、解錠位置から時計方向へ所定量回動した施錠位置(図8、10に示す位置)に回動して、スプリング(20)の付勢力により各位置に保持される。
【0030】
前述のように、ノブレバー(11)の突部(112)を施解錠操作ノブ(9)の係合突部(92)(92)間に直接、遊嵌させたことにより、余計な部品を用いることなく、ノブレバー(11)を施解錠操作ノブ(9)に直接、連結することができる。また、ノブレバー(11)を、施解錠用アクチュエータ(10)の出力軸(101)に枢着したことにより、余計な枢軸等を用いることなく、ノブレバー(11)をベースプレート(8)の他側面側に回動可能に配置することができる。さらには、ノブレバー(11)を側面視ほぼくの字状として、施解錠操作ノブ(9)と施解錠用アクチュエータ(10)とを、ベースプレート(8)を挟んで互いに対向するように配置したことにより、ノブレバー(11)の回動を施解錠操作ノブ(9)の前後動に容易に変換することが可能である。
【0031】
ノブレバー(11)の長孔(111)には、前述の係脱手段をなす軸状のロック制御ピン(19)が摺動可能に係合される。なお、長孔(111)は、ノブレバー(11)が解錠位置にあるとき、後述の操作軸(21)を中心とする円弧を描くような円弧状に形成される。
【0032】
ロック制御ピン(19)は、ベースプレート(8)に設けた第2開口部(86)を貫通してベースプレート(8)の両側面に突出して、ベースプレート(8)の他側面側に突出する端部がノブレバー(11)の長孔(111)に摺動可能に係合し、また、ベースプレート(8)の一側面側に突出する端部がアウトサイドレバー(13)及びリリースレバー(14)に設けた後述の制御孔(134)制御孔(141)に摺動可能に係合する。
【0033】
リリース用アクチュエータ(12)は、モータの動力によりフロント側ドアラッチ機構(4)、リヤ側ドアラッチ機構(5)及び全開ラッチ機構(7)をリリース作動させるもので、ベースプレート(8)の後部に取り付けられ、ワイヤレス操作スイッチ(図示略)や運転席に設けた操作スイッチのリリース操作に基いて、モータ、減速歯車等を収容したハウジング(121)に枢着された出力レバー(122)が待機位置(図4に示す位置)からスプリング(41)の付勢力に抗してリリース方向(図4において反時計方向)へリリース作動する。
【0034】
アウトサイドレバー(13)は、車内外方向を向く鍔付きの操作軸(21)によりベースプレート(8)の一側面側のほぼ中央部に枢支されるとともに、操作伝達部材をなす第1ケーブル(22)及び第2ケーブル(23)を介して、アウトサイドハンドル(2)及びリリース用アクチュエータ(12)の出力レバー(122)に連結される。これにより、アウトサイドハンドル(2)を開扉操作するか、またはリリース用アクチュエータ(12)を駆動させると、アウトサイドレバー(13)は、スプリング(24)の付勢力に抗して、待機位置(図3、7、8、12〜14に示す位置)からリリース方向(図3において時計方向)へ所定量回動し、リリース位置(図9、10、11に示す位置)へ向けてリリース作動する。
【0035】
アウトサイドハンドル(2)の操作力をアウトサイドレバー(13)に伝達する第1ケーブル(22)は、ドア(1)に上下方向へ開閉可能に設けられた窓ガラス(1a)の下端を迂回するようにしてドア(1)内に配索される。なお、本実施形態におけるアウトサイドハンドル(2)は、開扉及び閉扉操作が同一方向の操作となるハンドルを用いていることから、アウトサイドレバー(13)のリリース作動についても、開扉及び閉扉操作は同一方向の回動となっている。
【0036】
アウトサイドレバー(13)の上部には、第1ケーブル(22)の端末部が摺動自在に係合される第1連結部(131)が穿設されている。第1連結部(131)の前方には、リリース用アクチュエータ(12)の動力を伝達する第2ケーブル(23)の端末部が摺動自在に係合される第2連結部(132)が穿設されている。第2連結部(132)の下方には、後述のチャイルドロック制御ピン(25)が摺動自在に係合する前後方向の長孔(133)が穿設されている。なお、第1、2連結部(131)(132)は、操作軸(21)を中心とする円弧状の長孔に形成される。
【0037】
アウトサイドレバー(13)の下部には、ロック制御ピン(19)が摺動自在に係合するほぼ倒立L字状の制御孔(134)が穿設されている。なお、この制御孔(134)は、ベースプレート(8)を介してノブレバー(11)の長孔(111)に重なる位置に設けられる。
【0038】
アウトサイドレバー(13)を待機位置に付勢するスプリング(24)は、一端がベースプレート(8)に掛止され、他端がアウトサイドレバー(13)に掛止される引っ張りコイルスプリングにより形成され、アウトサイドレバー(13)に設けた開口部(135)内に配置される。これにより、アウトサイドレバー(13)が待機位置から作動位置に移動しても、スプリング(24)がアウトサイドレバー(13)と車内外方向(操作軸(21)の軸線方向)に重なり合うことがないため、リモートコントロール装置(6)の車内外方向の薄型化を図ることができる。
【0039】
リリースレバー(14)は、操作軸(21)によりベースプレート(8)の一側面側に枢支されるとともに、その下部側面には、アウトサイドレバー(13)の制御孔(134)に重なり、かつロック制御ピン(19)が摺動可能に係合する円弧状の制御孔(141)が穿設されている。なお、アウトサイドレバー(13)及びリリースレバー(14)は、操作軸(21)と別個に回動し得るように枢支される。
【0040】
ロック制御ピン(19)は、ノブレバー(11)の作動に従動して、アウトサイドレバー(13)の制御孔(134)、リリースレバー(14)の制御孔(141)内を移動し、ノブレバー(11)が解錠位置にあるとき、アウトサイドレバー(13)の制御孔(134)の端部に位置する解錠位置(図3、7、9、11〜14に示す位置)に保持され、また、ノブレバー(11)が施錠位置にあるとき、制御孔(134)のほぼ中央部に位置する施錠位置(図8に示す位置)に保持される。
【0041】
ロック制御ピン(19)が解錠位置にある場合には、アウトサイドレバー(13)のリリース作動は、リリースレバー(14)に伝達可能である。具体的に説明すると、アウトサイドレバー(13)が、図7に示す待機位置から図9に示すようにリリース作動すると、ロック制御ピン(19)は、アウトサイドレバー(13)の制御孔(134)の端部に押されて、ノブレバー(11)の長孔(111)内の後端から前端へ移動し、また、移動するロック制御ピン(19)は、リリースレバー(14)の制御孔(141)に係合して、リリースレバー(14)を待機位置(図3、7、8、10、12〜14に示す位置)からリリース位置(図9、11に示す位置)にリリース作動させる。しかし、ロック制御ピン(19)が施錠位置にある場合には、アウトサイドレバー(13)がリリース作動しても、図10に示すように、ロック制御ピン(19)がアウトサイドレバー(13)の倒立L字状の制御孔(134)内を相対的に移動するだけで、アウトサイドレバー(13)のリリース作動は、リリースレバー(14)に伝達されない。
【0042】
リリースレバー(14)の下部に設けた第3連結部(142)及び第4連結部(143)は、リリースレバー(14)のリリース作動を伝達可能なリリース伝達部材をなす第3ケーブル(26)及び第4ケーブル(27)を介して、フロント側ドアラッチ機構(4)及びリヤ側ドアラッチ機構(5)にそれぞれ連結される。これにより、リリースレバー(14)がリリース作動すると、このリリース作動は、第3ケーブル(26)及び第4ケーブル(27)を介して、フロント側ドアラッチ機構(4)及びリヤ側ドアラッチ機構(5)に伝達される。
【0043】
フロント側ドアラッチ機構(4)及びリヤ側ドアラッチ機構(5)は、リリース作動が伝達されると、それぞれのストライカから離脱してドア(1)の開きを可能にする。
【0044】
アウトサイドレバー(13)の第1連結部(131)及び第2連結部(132)は、アウトサイドレバー(13)が待機位置とリリース位置間の作動範囲を作動しても、リリースレバー(14)と車内外方向に重なり合わないように、リリースレバー(14)の作動領域外に設けられる。また、リリースレバー(14)の第3連結部(142)及び第4連結部(143)は、アウトサイドレバー(13)が作動範囲を作動しても、アウトサイドレバー(13)と車内外方向に重なり合わないように、アウトサイドレバー(13)の作動領域外に設けられる。これにより、各連結部(131)(132)(142)(143)をベースプレート(8)の一側面に接近させることができ、リモートコントロール装置(6)の車内外方向の薄型化を図ることができる。
【0045】
図3に示すように、リリースレバー(14)が待機位置に停止している場合、リリースレバー(14)に設けられた前方を向くアーム部(144)に外嵌された被当接部をなす弾性力を有するゴム等により形成される緩衝部材(28)が、ベースプレート(8)に設けた第1ストッパ部(81)に当接している。また、アウトサイドレバー(13)が待機位置に停止している場合、アウトサイドレバー(13)に設けた折曲片(136)が緩衝部材(28)を介して第1ストッパ部(81)に当接している。これにより、アウトサイドレバー(13)を待機位置に向けて付勢するスプリング(24)により、アウトサイドレバー(13)及びリリースレバー(14)の両方を、待機位置にがた付くことがないように保持することができる。また、アウトサイドレバー(13)及びリリースレバー(14)が待機位置に復帰する際の当接音を緩和することもできる。
【0046】
インサイドレバー(15)は、ベースプレート(8)の他側面側に操作軸(21)と一体的に回動し得るように枢支され、インサイドハンドル(3)の操作に基いて、スプリング(29)の付勢力に抗して、中立位置(図3、7〜10、13に示す位置)から開扉方向(図3において時計方向)及び閉扉方向(図3において反時計方向)へ回動可能である。なお、インサイドハンドル(3)は、操作軸(21)の端部に取り付けられる。
【0047】
ノブレバー(11)は、ベースプレート(8)の他側面側でインサイドレバー(15)と車内外方向に重なり合わないような位置に配置される。これにより、リモートコントロール装置(6)の左右方向の厚みを薄くすることができる。
【0048】
チャイルドロックレバー(16)は、車内外方向を向く枢軸(30)によりベースプレート(8)の他側面側の前部に枢着され、ドア(1)の前端面から突出する操作部(161)を手動操作することにより、解錠位置(図3、7〜12に示す位置)から施錠位置(図13、14に示す位置)、及びその逆へ移動可能である。
【0049】
チャイルドロックレバー(16)の下部には、車内外方向へ弾性変形可能な弾性アーム部(163)が設けられている。この弾性アーム部(163)は、ベースプレート(8)の他側面に設けられた突部(87)(図2参照)に弾性係合することにより、チャイルドロックレバー(16)を解錠位置及び施錠位置に弾性保持する。
【0050】
前述のアウトサイドレバー(13)の長孔(133)に摺動可能に係合したチャイルドロック制御ピン(25)は、ベースプレート(8)に設けた第3開口部(88)を貫通して、チャイルドロックレバー(16)の上部に設けた上下方向の長孔(162)に摺動可能に係合している。
【0051】
チャイルドロックレバー(16)が解錠位置に移動すると、チャイルドロック制御ピン(25)は、アウトサイドレバー(13)の長孔(133)内を移動して、インサイドレバー(15)に設けたアーム部(151)に対して係合可能な位置に移動して保持される。これにより、チャイルドロックレバー(16)が解錠位置にあるとき、インサイドレバー(15)が開扉方向へ回動すると、アーム部(151)がチャイルドロック制御ピン(25)に係合して、アウトサイドレバー(13)をリリース作動させることができる。したがって、ドア(1)を開けることができる。
【0052】
チャイルドロックレバー(16)が施錠位置にある場合には、チャイルドロック制御ピン(25)は、アーム部(151)に対して係合不能な位置に保持される。これにより、インサイドレバー(15)が開扉方向へ回動しても、その回動はアウトサイドレバー(13)には伝達されない。したがって、ドア(1)を開けることができない。
【0053】
第1全開ラッチリリースレバー(17)は、車内外方向を向く枢軸(31)によりベースプレート(8)の他側面に枢着されるとともに、スプリング(32)の付勢力によりベースプレート(8)に設けた第2ストッパ部(82)に当接した待機位置(図4、7、8、13、14に示す位置)に保持される。
【0054】
第1全開ラッチリリースレバー(17)の後端部には、全開ラッチ機構(7)に連結される上下方向を向く第5ケーブル(33)の上端部が連結される第5連結部(172)が形成され、また、同じく前端部には、車内側を向く係合ピン(171)が植設されている。この係合ピン(171)は、ベースプレート(8)に設けた円弧孔(89)を貫通してベースプレート(8)の一側面側に突出し、アウトサイドレバー(13)がリリース作動した際、アウトサイドレバー(13)に係合して下方へ移動する。
【0055】
第2全開ラッチリリースレバー(18)は、後部が連結軸(34)により第1全開ラッチリリースレバー(17)の上部に回動可能に連結され、前部に設けられた前後方向の長孔(181)がインサイドレバー(15)の上部に植設された連結軸(35)に摺動可能に係合される。
【0056】
インサイドレバー(15)が中立位置から閉扉方向へ回動すると(図12参照)、第1全開ラッチリリースレバー(17)は、第2全開ラッチリリースレバー(18)を介して、待機位置からリリース位置(図9、10〜12に示す位置)に回動する。第1全開ラッチリリースレバー(17)がリリース位置に回動すると、第5ケーブル(33)を介して、全開ラッチ機構(7)をリリース作動させて、全開位置に保持されているドア(1)の閉作動を可能にする。また、アウトサイドレバー(13)がリリース作動した場合にも(閉扉操作としてのアウトサイドレバー(13)の作動)、係合ピン(171)がアウトサイドレバー(13)に係合することによって、第1全開ラッチリリースレバー(17)はリリース位置に回動する。
【0057】
次に、本発明に係わる本実施形態の動作を図7〜14に基いて説明する。
(A)図7に示す状態(リモートコントロール装置(6)が解錠状態で、チャイルドロックレバー(16)が解錠位置にある場合)において、アウトサイドハンドル(2)を開扉操作するか、またはリリース用アクチュエータ(12)を駆動させた場合、第1ケーブル(22)または第2ケーブル(23)を介して、アウトサイドレバー(13)に操作力が伝達される。これにより、図9に示すように、アウトサイドレバー(13)は、リリース作動して、解錠位置にあるロック制御ピン(19)を介して、リリースレバー(14)をリリース作動させる。リリースレバー(14)がリリース作動すると、第3、4ケーブル(26)(27)を介して、フロント側ドアラッチ機構(4)及びリヤ側ドアラッチ機構(5)をリリース作動させて、閉鎖位置に保持されているドア(1)を開くことができる。
【0058】
(B)図7に示す状態において、インサイドハンドル(3)を開扉方向に操作した場合、図11に示すように、インサイドレバー(15)が開扉方向へ回動すると、インサイドレバー(15)のアーム部(151)が解錠位置にあるチャイルドロック制御ピン(25)を介して、アウトサイドレバー(13)をリリース作動させる。これにより、アウトサイドハンドル(2)を開扉操作した場合と同様に、フロント側ドアラッチ機構(4)及びリヤ側ドアラッチ機構(5)をリリース作動させて、閉鎖位置に保持されているドア(1)を開くことができる。
【0059】
(C)図7に示す状態において、インサイドハンドル(3)を閉扉操作した場合、図12に示すように、インサイドレバー(15)が閉扉方向へ回動すると、第2全開ラッチリリースレバー(18)を介して、第1全開ラッチリリースレバー(17)をリリース位置に移動させる。第1全開ラッチリリースレバー(17)がリリース位置に移動すると、第5ケーブル(33)を介して、全開ラッチ機構(7)をリリース作動させて、全開位置に保持されているドア(1)を閉じることができる。
【0060】
(D)図8に示す状態(リモートコントロール装置(6)が施錠状態で、チャイルドロックレバー(16)が解錠位置にある場合)において、アウトサイドハンドル(2)を開扉操作するか、またはリリース用アクチュエータ(12)を駆動させた場合、第1ケーブル(22)または第2ケーブル(23)を介して、アウトサイドレバー(13)に操作力が伝達される。しかし、この場合には、図10に示すように、アウトサイドレバー(13)がリリース作動しても、ロック制御ピン(19)が施錠位置にあるため、リリースレバー(14)をリリース作動させることができない。よって、閉鎖位置に保持されているドア(1)を開くことができない。また、インサイドハンドル(3)を開扉操作しても、同様にドア(1)を開くことができない。
【0061】
(E)図13に示す状態(リモートコントロール装置(6)が解錠状態で、チャイルドロックレバー(16)が施錠位置にある場合)において、アウトサイドハンドル(2)を開扉操作するか、またはリリース用アクチュエータ(12)を駆動させることにより、アウトサイドレバー(13)がリリース作動するため、チャイルドロックレバー(16)の位置に関係なく、閉鎖位置に保持されているドア(1)を開くことができる。
【0062】
しかし、インサイドハンドル(3)を開扉操作した場合には、図14に示すように、インサイドレバー(15)が開扉方向へ回動しても、チャイルドロックレバー(16)が施錠位置にあって、チャイルドロック制御ピン(25)に対して、インサイドレバー(15)のアーム部(151)が係合不能であるため、アウトサイドレバー(13)をリリース作動させることができない。よって、車内側からは、閉鎖位置に保持されているドア(1)を開くことができない。
【符号の説明】
【0063】
(1)…スライドドア、(1a)…窓ガラス、(2)…アウトサイドハンドル(操作ハンドル)、(3)…インサイドハンドル(操作ハンドル)、(4)…フロント側ドアラッチ機構(ドアラッチ手段)、(5)…リヤ側ドアラッチ機構(ドアラッチ手段)、(6)…リモートコントロール装置、(7)…全開ラッチ機構、(8)…ベースプレート、(9)…施解錠操作ノブ(施解錠操作手段)、(10)…施解錠用アクチュエータ(施解錠操作手段)、(11)…ノブレバー、(12)…リリース用アクチュエータ、(13)…アウトサイドレバー(操作レバー)、(14)…リリースレバー、(15)…インサイドレバー(操作レバー)、(16)…チャイルドロックレバー、(17)…第1全開ラッチリリースレバー、(18)…第2全開ラッチリリースレバー、(19)…ロック制御ピン(係脱手段)、(20)…スプリング、(21)…操作軸、(22)…第1ケーブル(操作伝達部材)、(23)…第2ケーブル(操作伝達部材)、(24)…スプリング、(25)…チャイルドロック制御ピン、(26)…第3ケーブル(リリース伝達部材)、(27)…第4ケーブル(リリース伝達部材)、(28)…緩衝部材(被当接部)、(29)…スプリング、(30)…枢軸、(31)…枢軸、(32)…スプリング、(33)…第5ケーブル、(34)…連結軸、(35)…連結軸、(40)…ガイド部材、(41)…スプリング、(81)…第1ストッパ部、(82)…第2ストッパ部、(83)…係合孔、(84)…係合孔、(85)…第1開口部、(86)…第2開口部、(87)…突部、(88)…第3開口部、(89)…円弧孔、(91)…摘み部、(92)…係合突部、(101)…出力軸、(111)…長孔、(112)…突部、(121)…ハウジング、(122)…出力レバー、(131)…第1連結部(連結部)、(132)…第2連結部(連結部)、(133)…長孔、(134)…制御孔、(135)…開口部、(136)…折曲片、(141)…制御孔、(142)…第3連結部、(143)…第4連結部、(144)…アーム部、(151)…アーム部、(161)…操作部、(162)…長孔、(163)…弾性アーム部、(171)…係合ピン、(172)…第5連結部、(181)…長孔、(401)…突起部、(402)…突起部、(403)…レール部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアに設けられる操作ハンドルの開扉操作を中継する車両用ドアラッチのリモートコントロール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のリモートコントロール装置は、スライドドアに設けたアウトサイドハンドル及びインサイドハンドルの開扉操作に従動してリリース作動するアウトサイドレバー及びインサイドレバーと、ドアラッチ機構に連結されるリリースレバーと、アクチュエータや施解錠操作ノブ等の操作に従動して、アウトサイドレバー及びインサイドレバーのリリース作動をリリースレバーに伝達可能とする解錠位置及び伝達不能とする施錠位置に移動可能なノブレバーとを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−182403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載された車両用ドアラッチのリモートコントロール装置においては、アウトサイドレバー、インサイドレバー、リリースレバー及びノブレバーの全てがベースプレートの一側面側に配置されるため、各レバー同士が干渉しないように各レバーの位置を設定しなければならない。そのため、各レバー同士がベースプレートの一側面側で幾重にも重なり合う等して、構成の複雑化及び大型化を招くこととなる。
【0005】
本発明は、上述のような従来の課題に鑑み、各レバーの配置を改善することによって小型化を可能にした車両用ドアラッチのリモートコントロール装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)車両のドアに固定されるベースプレートと、該ベースプレートに枢支され、車外に設けられたアウトサイドハンドルの開扉操作に従動して待機位置からリリース作動するアウトサイドレバーと、前記ベースプレートに枢支され、車内に設けられたインサイドハンドルの操作に従動して前記アウトサイドレバーを前記待機位置からリリース作動させるインサイドレバーと、前記ベースプレートに枢支され、前記ドアを閉鎖位置に保持可能なドアラッチ手段に連係されるリリースレバーと、前記アウトサイドレバーのリリース作動を前記リリースレバーに伝達可能な解錠位置と伝達不能な施錠位置に移動可能な係脱手段と、該係脱手段を解錠位置及び施錠位置に移動させ得るノブレバーと、前記ノブレバーを操作するための施解錠操作手段とを備えた車両用ドアラッチのリモートコントロール装置において、前記アウトサイドレバー及び前記リリースレバーを前記ベースプレートの一側面側に配置し、また、前記インサイドレバー及び前記ノブレバーを前記ベースプレートの他側面側に配置するとともに、前記アウトサイドレバー、前記リリースレバー及び前記インサイドレバーを同軸の操作軸により枢支し、前記ノブレバーを、前記インサイドレバーと前記操作軸の軸線方向に重なり合わない位置に配置する。
【0007】
(2)上記(1)項において、前記アウトサイドレバーは、前記アウトサイドハンドルの開扉操作を伝達可能な操作伝達部材が連結される連結部を有し、前記リリースレバーは、そのリリース作動を前記ドアラッチ手段に伝達可能なリリース伝達部材が連結される連結部を有し、前記アウトサイドレバーの連結部を、前記リリースレバーと前記操作軸の軸線方向に重なり合わない位置に設け、前記リリースレバーの連結部を、前記アウトサイドレバーと前記操作軸の軸線方向に重なり合わない位置に設ける。
【0008】
(3)上記(1)または(2)項において、前記係脱手段は、前記ノブレバーに設けた長孔に摺動可能に係合するとともに、前記ベースプレートに設けた開口部を貫通して前記アウトサイドレバー及び前記リリースレバーに設けた制御孔に摺動可能に係合する。
【0009】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、前記施解錠操作手段は、車内から手動により操作可能な施解錠操作ノブと、電動により操作可能なアクチュエータとを含み、前記施解錠操作ノブを、前記ベースプレートの一側面側に配置し、また、前記アクチュエータを、前記ベースプレートの他側面側に配置して、前記施解錠操作ノブと前記アクチュエータとを、前記ベースプレートを挟んで互いに対向させる。
【0010】
(5)上記(4)項において、前記ノブレバーの一端部を、前記施解錠操作ノブに直接、連結させる。
【0011】
(6)上記(4)または(5)項において、前記ノブレバーを、前記アクチュエータの動力を出力する出力軸に枢着する。
【0012】
(7)上記(1)〜(6)項のいずれかにおいて、前記アウトサイドレバーを、スプリングにより待機位置に向けて付勢し、前記リリースレバーに設けた被当接部を介して前記ベースプレートに設けたストッパ部に当接させることによって前記待機位置に保持させる。
【0013】
(8)上記(7)項において、前記リリースレバーに設けた前記被当接部を、弾性力を有する緩衝部材により形成する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、次のような効果が奏せられる。
請求項1記載の発明によると、ノブレバーを、インサイドレバーと操作軸の軸線方向に重なり合わない位置に配置したことにより、リモートコントロール装置の左右方向の厚みを薄くすることができる。
【0015】
請求項2記載の発明によると、ノブレバーを、施解錠用アクチュエータの出力軸に枢着したことにより、余計な枢軸等を必要がなくなり、部品点数を少なくして、構成を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用したスライドドアの側面図である。
【図2】本発明に係わるリモートコントロール装置の分解斜視図である。
【図3】車内側から見たリモートコントロール装置の側面図である。
【図4】車外側から見たリモートコントロール装置の側面図である。
【図5】図3におけるV−V線に沿う縦断面図である。
【図6】図3におけるVIーVI線に沿う横断面図である。
【図7】リモートコントロール装置が解錠状態にあるときの要部の説明図である。
【図8】リモートコントロール装置が施錠状態にあるときの要部の説明図である。
【図9】リモートコントロール装置が解錠状態にあるときの要部のリリース作動説明図である。
【図10】リモートコントロール装置が施錠状態にあるときの要部の作動説明図である。
【図11】リモートコントロール装置が解錠状態にあるときの要部のリリース作動説明図である。
【図12】リモートコントロール装置が解錠状態にあるときの要部の閉扉作動説明図である。
【図13】チャイルドロックレバーが施錠位置にあるときのリモートコントロール装置における要部の説明図である。
【図14】チャイルドロックレバーが施錠位置にあるときのリモートコントロール装置における要部の作動説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係わる一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明を適用したスライドドアの側面図、図2は、本発明に係わるリモートコントロール装置の分解斜視図、図3は、車内側から見たリモートコントロール装置の側面図、図4は、車外側から見たリモートコントロール装置の側面図、図5は、図3におけるV−V線に沿う縦断面図、図6は、図3におけるVIーVI線に沿う横断面図、図7〜14は、要部の説明図である。
【0018】
なお、以下の説明においては、図1、3、7〜14における左方、図4における右方を「前方」とし、図1、3、7〜14における右方、図4における左方を「後方」とし、図1、3、7〜14における図面手前、図4における図面奥を「車内側」とし、図1、3、7〜14における図面奥、図4における図面手前を「車外側」とする。
【0019】
スライドドア(以下、ドアと記す)(1)は、車体の側面に前後方向へ開閉可能に支持され、その車外側側面には、車外からドア(1)を開閉するときに操作される車外側の操作ハンドルをなすアウトサイドハンドル(2)が設けられ、同じく車内側側面には、車内からドア(1)を開閉するときに操作される車内側の操作ハンドルなすインサイドハンドル(3)が設けられている。
【0020】
ドア(1)の前、後部には、車体側に固着されたフロント側ストライカ(図示略)及びリヤ側ストライカ(図示略)に対してそれぞれ係合することにより、ドア(1)を閉鎖位置に保持するドアラッチ手段をなすフロント側ドアラッチ機構(4)及びリヤ側ドアラッチ機構(5)が設けられ、下部には、ドア(1)を全開位置に保持する全開ラッチ機構(7)が設けられ、また、前部寄りには、アウトサイドハンドル(2)及びインサイドハンドル(3)の操作力を中継するリモートコントロール装置(6)が設けられている。
【0021】
なお、本発明は、フロント側ドアラッチ機構(4)、リヤ側ドアラッチ機構(5)の両方を必ずしも必要とするものではなく、少なくともいずれか一方を備えれば良い。
【0022】
図2に示すように、リモートコントロール装置(6)は、ドア(1)のインナパネル(車内側側面)に固定されるベースプレート(8)を備え、このベースプレート(8)には、主な部品として、施解錠操作手段をなす施解錠操作ノブ(9)及び施解錠用アクチュエータ(10)と、ノブレバー(11)と、リリース用アクチュエータ(12)(図2においては省略)と、アウトサイドハンドル(2)の開扉操作に従動する操作レバーをなすアウトサイドレバー(13)と、リリースレバー(14)と、インサイドハンドル(3)の開扉操作に従動する操作レバーをなすインサイドレバー(15)と、チャイルドロックレバー(16)と、第1全開ラッチリリースレバー(17)と、第2全開ラッチリリースレバー(18)とが配置される。
【0023】
施解錠操作ノブ(9)は、車内側からリモートコントロール装置(6)を解錠状態及び施錠状態に切り換えるときに手動操作されるもので、ベースプレート(8)の一側面(車内側を向く側面)の下部に固定されるガイド部材(40)に前後方向へ移動可能に支持され、車内側に露出するように設けられた摘み部(91)を操作することにより、リモートコントロール装置(6)を解錠状態にする解錠位置(図3、7、9、11〜14に示す位置)と施錠状態にする施錠位置(図8、10に示す位置)とに移動可能である。
【0024】
なお、リモートコントロール装置(6)の解錠状態とは、施解錠操作ノブ(9)、ノブレバー(11)及び後述の係脱手段をなすロック制御ピン(19)が解錠位置(ノブレバー(11)及びロック制御ピン(19)の解錠位置及び施錠位置については後述する)にあって、アウトサイドハンドル(2)及びインサイドハンドル(3)の開扉操作に基いて、ドア(1)を開けることができる状態であり、また、施錠状態とは、施解錠操作ノブ(9)、ノブレバー(11)及びロック制御ピン(19)が施錠位置にあって、アウトサイドハンドル(2)及びインサイドハンドル(3)を開扉操作しても、ドア(1)を開けることができない状態である。
【0025】
ガイド部材(40)は、合成樹脂製で形成され、裏面側(車外側)に設けた前、後の突起部(401)(402)がベースプレート(8)に設けた前、後の係合孔(83)(84)に係合した状態で、ベースプレート(8)に固定される。
【0026】
施解錠操作ノブ(9)は、ガイド部材(40)に設けた前後方向を向く上下1対のレール部(403)に摺動自在に嵌合されることによって、解錠位置と施錠位置とに移動可能に支持される。
【0027】
施解錠用アクチュエータ(10)は、モータの動力によりリモートコントロール装置(6)を解錠状態及び施錠状態に切換操作するもので、ベースプレート(8)の他側面(車外側を向く側面)の下部に取り付けられ、ワイヤレス操作スイッチ(図示略)や運転席に設けた操作スイッチ等の施解錠操作に基いて駆動する。なお、施解錠操作ノブ(9)と施解錠用アクチュエータ(10)とは、ベースプレート(8)を挟んで、互いに対向するように配置される。
【0028】
ノブレバー(11)は、側面視ほぼくの字形をなして、ほぼ中央部が施解錠用アクチュエータ(10)の出力軸(施解錠用アクチュエータ(10)のモータの回転力を減速して出力する軸)(101)に枢着されることによって、ベースプレート(8)の他側面側に回動可能に配置される。ノブレバー(11)の下部には、突部(112)が設けられ、また、同じく上部には、上下方向の長孔(111)が穿設されている。
【0029】
ノブレバー(11)の突部(112)は、ベースプレート(8)の下部に設けた第1開口部(85)を貫通してベースプレート(8)の他側面側から一側面側に突出して、施解錠操作ノブ(9)の裏面側に設けられた前後1対の係合突部(92)(92)間に直接、遊嵌している。これにより、施解錠操作ノブ(9)の手動操作及び施解錠用アクチュエータ(10)の電動操作に基いて、ノブレバー(11)は、解錠位置(図3、7、9、11〜14に示す位置)と、解錠位置から時計方向へ所定量回動した施錠位置(図8、10に示す位置)に回動して、スプリング(20)の付勢力により各位置に保持される。
【0030】
前述のように、ノブレバー(11)の突部(112)を施解錠操作ノブ(9)の係合突部(92)(92)間に直接、遊嵌させたことにより、余計な部品を用いることなく、ノブレバー(11)を施解錠操作ノブ(9)に直接、連結することができる。また、ノブレバー(11)を、施解錠用アクチュエータ(10)の出力軸(101)に枢着したことにより、余計な枢軸等を用いることなく、ノブレバー(11)をベースプレート(8)の他側面側に回動可能に配置することができる。さらには、ノブレバー(11)を側面視ほぼくの字状として、施解錠操作ノブ(9)と施解錠用アクチュエータ(10)とを、ベースプレート(8)を挟んで互いに対向するように配置したことにより、ノブレバー(11)の回動を施解錠操作ノブ(9)の前後動に容易に変換することが可能である。
【0031】
ノブレバー(11)の長孔(111)には、前述の係脱手段をなす軸状のロック制御ピン(19)が摺動可能に係合される。なお、長孔(111)は、ノブレバー(11)が解錠位置にあるとき、後述の操作軸(21)を中心とする円弧を描くような円弧状に形成される。
【0032】
ロック制御ピン(19)は、ベースプレート(8)に設けた第2開口部(86)を貫通してベースプレート(8)の両側面に突出して、ベースプレート(8)の他側面側に突出する端部がノブレバー(11)の長孔(111)に摺動可能に係合し、また、ベースプレート(8)の一側面側に突出する端部がアウトサイドレバー(13)及びリリースレバー(14)に設けた後述の制御孔(134)制御孔(141)に摺動可能に係合する。
【0033】
リリース用アクチュエータ(12)は、モータの動力によりフロント側ドアラッチ機構(4)、リヤ側ドアラッチ機構(5)及び全開ラッチ機構(7)をリリース作動させるもので、ベースプレート(8)の後部に取り付けられ、ワイヤレス操作スイッチ(図示略)や運転席に設けた操作スイッチのリリース操作に基いて、モータ、減速歯車等を収容したハウジング(121)に枢着された出力レバー(122)が待機位置(図4に示す位置)からスプリング(41)の付勢力に抗してリリース方向(図4において反時計方向)へリリース作動する。
【0034】
アウトサイドレバー(13)は、車内外方向を向く鍔付きの操作軸(21)によりベースプレート(8)の一側面側のほぼ中央部に枢支されるとともに、操作伝達部材をなす第1ケーブル(22)及び第2ケーブル(23)を介して、アウトサイドハンドル(2)及びリリース用アクチュエータ(12)の出力レバー(122)に連結される。これにより、アウトサイドハンドル(2)を開扉操作するか、またはリリース用アクチュエータ(12)を駆動させると、アウトサイドレバー(13)は、スプリング(24)の付勢力に抗して、待機位置(図3、7、8、12〜14に示す位置)からリリース方向(図3において時計方向)へ所定量回動し、リリース位置(図9、10、11に示す位置)へ向けてリリース作動する。
【0035】
アウトサイドハンドル(2)の操作力をアウトサイドレバー(13)に伝達する第1ケーブル(22)は、ドア(1)に上下方向へ開閉可能に設けられた窓ガラス(1a)の下端を迂回するようにしてドア(1)内に配索される。なお、本実施形態におけるアウトサイドハンドル(2)は、開扉及び閉扉操作が同一方向の操作となるハンドルを用いていることから、アウトサイドレバー(13)のリリース作動についても、開扉及び閉扉操作は同一方向の回動となっている。
【0036】
アウトサイドレバー(13)の上部には、第1ケーブル(22)の端末部が摺動自在に係合される第1連結部(131)が穿設されている。第1連結部(131)の前方には、リリース用アクチュエータ(12)の動力を伝達する第2ケーブル(23)の端末部が摺動自在に係合される第2連結部(132)が穿設されている。第2連結部(132)の下方には、後述のチャイルドロック制御ピン(25)が摺動自在に係合する前後方向の長孔(133)が穿設されている。なお、第1、2連結部(131)(132)は、操作軸(21)を中心とする円弧状の長孔に形成される。
【0037】
アウトサイドレバー(13)の下部には、ロック制御ピン(19)が摺動自在に係合するほぼ倒立L字状の制御孔(134)が穿設されている。なお、この制御孔(134)は、ベースプレート(8)を介してノブレバー(11)の長孔(111)に重なる位置に設けられる。
【0038】
アウトサイドレバー(13)を待機位置に付勢するスプリング(24)は、一端がベースプレート(8)に掛止され、他端がアウトサイドレバー(13)に掛止される引っ張りコイルスプリングにより形成され、アウトサイドレバー(13)に設けた開口部(135)内に配置される。これにより、アウトサイドレバー(13)が待機位置から作動位置に移動しても、スプリング(24)がアウトサイドレバー(13)と車内外方向(操作軸(21)の軸線方向)に重なり合うことがないため、リモートコントロール装置(6)の車内外方向の薄型化を図ることができる。
【0039】
リリースレバー(14)は、操作軸(21)によりベースプレート(8)の一側面側に枢支されるとともに、その下部側面には、アウトサイドレバー(13)の制御孔(134)に重なり、かつロック制御ピン(19)が摺動可能に係合する円弧状の制御孔(141)が穿設されている。なお、アウトサイドレバー(13)及びリリースレバー(14)は、操作軸(21)と別個に回動し得るように枢支される。
【0040】
ロック制御ピン(19)は、ノブレバー(11)の作動に従動して、アウトサイドレバー(13)の制御孔(134)、リリースレバー(14)の制御孔(141)内を移動し、ノブレバー(11)が解錠位置にあるとき、アウトサイドレバー(13)の制御孔(134)の端部に位置する解錠位置(図3、7、9、11〜14に示す位置)に保持され、また、ノブレバー(11)が施錠位置にあるとき、制御孔(134)のほぼ中央部に位置する施錠位置(図8に示す位置)に保持される。
【0041】
ロック制御ピン(19)が解錠位置にある場合には、アウトサイドレバー(13)のリリース作動は、リリースレバー(14)に伝達可能である。具体的に説明すると、アウトサイドレバー(13)が、図7に示す待機位置から図9に示すようにリリース作動すると、ロック制御ピン(19)は、アウトサイドレバー(13)の制御孔(134)の端部に押されて、ノブレバー(11)の長孔(111)内の後端から前端へ移動し、また、移動するロック制御ピン(19)は、リリースレバー(14)の制御孔(141)に係合して、リリースレバー(14)を待機位置(図3、7、8、10、12〜14に示す位置)からリリース位置(図9、11に示す位置)にリリース作動させる。しかし、ロック制御ピン(19)が施錠位置にある場合には、アウトサイドレバー(13)がリリース作動しても、図10に示すように、ロック制御ピン(19)がアウトサイドレバー(13)の倒立L字状の制御孔(134)内を相対的に移動するだけで、アウトサイドレバー(13)のリリース作動は、リリースレバー(14)に伝達されない。
【0042】
リリースレバー(14)の下部に設けた第3連結部(142)及び第4連結部(143)は、リリースレバー(14)のリリース作動を伝達可能なリリース伝達部材をなす第3ケーブル(26)及び第4ケーブル(27)を介して、フロント側ドアラッチ機構(4)及びリヤ側ドアラッチ機構(5)にそれぞれ連結される。これにより、リリースレバー(14)がリリース作動すると、このリリース作動は、第3ケーブル(26)及び第4ケーブル(27)を介して、フロント側ドアラッチ機構(4)及びリヤ側ドアラッチ機構(5)に伝達される。
【0043】
フロント側ドアラッチ機構(4)及びリヤ側ドアラッチ機構(5)は、リリース作動が伝達されると、それぞれのストライカから離脱してドア(1)の開きを可能にする。
【0044】
アウトサイドレバー(13)の第1連結部(131)及び第2連結部(132)は、アウトサイドレバー(13)が待機位置とリリース位置間の作動範囲を作動しても、リリースレバー(14)と車内外方向に重なり合わないように、リリースレバー(14)の作動領域外に設けられる。また、リリースレバー(14)の第3連結部(142)及び第4連結部(143)は、アウトサイドレバー(13)が作動範囲を作動しても、アウトサイドレバー(13)と車内外方向に重なり合わないように、アウトサイドレバー(13)の作動領域外に設けられる。これにより、各連結部(131)(132)(142)(143)をベースプレート(8)の一側面に接近させることができ、リモートコントロール装置(6)の車内外方向の薄型化を図ることができる。
【0045】
図3に示すように、リリースレバー(14)が待機位置に停止している場合、リリースレバー(14)に設けられた前方を向くアーム部(144)に外嵌された被当接部をなす弾性力を有するゴム等により形成される緩衝部材(28)が、ベースプレート(8)に設けた第1ストッパ部(81)に当接している。また、アウトサイドレバー(13)が待機位置に停止している場合、アウトサイドレバー(13)に設けた折曲片(136)が緩衝部材(28)を介して第1ストッパ部(81)に当接している。これにより、アウトサイドレバー(13)を待機位置に向けて付勢するスプリング(24)により、アウトサイドレバー(13)及びリリースレバー(14)の両方を、待機位置にがた付くことがないように保持することができる。また、アウトサイドレバー(13)及びリリースレバー(14)が待機位置に復帰する際の当接音を緩和することもできる。
【0046】
インサイドレバー(15)は、ベースプレート(8)の他側面側に操作軸(21)と一体的に回動し得るように枢支され、インサイドハンドル(3)の操作に基いて、スプリング(29)の付勢力に抗して、中立位置(図3、7〜10、13に示す位置)から開扉方向(図3において時計方向)及び閉扉方向(図3において反時計方向)へ回動可能である。なお、インサイドハンドル(3)は、操作軸(21)の端部に取り付けられる。
【0047】
ノブレバー(11)は、ベースプレート(8)の他側面側でインサイドレバー(15)と車内外方向に重なり合わないような位置に配置される。これにより、リモートコントロール装置(6)の左右方向の厚みを薄くすることができる。
【0048】
チャイルドロックレバー(16)は、車内外方向を向く枢軸(30)によりベースプレート(8)の他側面側の前部に枢着され、ドア(1)の前端面から突出する操作部(161)を手動操作することにより、解錠位置(図3、7〜12に示す位置)から施錠位置(図13、14に示す位置)、及びその逆へ移動可能である。
【0049】
チャイルドロックレバー(16)の下部には、車内外方向へ弾性変形可能な弾性アーム部(163)が設けられている。この弾性アーム部(163)は、ベースプレート(8)の他側面に設けられた突部(87)(図2参照)に弾性係合することにより、チャイルドロックレバー(16)を解錠位置及び施錠位置に弾性保持する。
【0050】
前述のアウトサイドレバー(13)の長孔(133)に摺動可能に係合したチャイルドロック制御ピン(25)は、ベースプレート(8)に設けた第3開口部(88)を貫通して、チャイルドロックレバー(16)の上部に設けた上下方向の長孔(162)に摺動可能に係合している。
【0051】
チャイルドロックレバー(16)が解錠位置に移動すると、チャイルドロック制御ピン(25)は、アウトサイドレバー(13)の長孔(133)内を移動して、インサイドレバー(15)に設けたアーム部(151)に対して係合可能な位置に移動して保持される。これにより、チャイルドロックレバー(16)が解錠位置にあるとき、インサイドレバー(15)が開扉方向へ回動すると、アーム部(151)がチャイルドロック制御ピン(25)に係合して、アウトサイドレバー(13)をリリース作動させることができる。したがって、ドア(1)を開けることができる。
【0052】
チャイルドロックレバー(16)が施錠位置にある場合には、チャイルドロック制御ピン(25)は、アーム部(151)に対して係合不能な位置に保持される。これにより、インサイドレバー(15)が開扉方向へ回動しても、その回動はアウトサイドレバー(13)には伝達されない。したがって、ドア(1)を開けることができない。
【0053】
第1全開ラッチリリースレバー(17)は、車内外方向を向く枢軸(31)によりベースプレート(8)の他側面に枢着されるとともに、スプリング(32)の付勢力によりベースプレート(8)に設けた第2ストッパ部(82)に当接した待機位置(図4、7、8、13、14に示す位置)に保持される。
【0054】
第1全開ラッチリリースレバー(17)の後端部には、全開ラッチ機構(7)に連結される上下方向を向く第5ケーブル(33)の上端部が連結される第5連結部(172)が形成され、また、同じく前端部には、車内側を向く係合ピン(171)が植設されている。この係合ピン(171)は、ベースプレート(8)に設けた円弧孔(89)を貫通してベースプレート(8)の一側面側に突出し、アウトサイドレバー(13)がリリース作動した際、アウトサイドレバー(13)に係合して下方へ移動する。
【0055】
第2全開ラッチリリースレバー(18)は、後部が連結軸(34)により第1全開ラッチリリースレバー(17)の上部に回動可能に連結され、前部に設けられた前後方向の長孔(181)がインサイドレバー(15)の上部に植設された連結軸(35)に摺動可能に係合される。
【0056】
インサイドレバー(15)が中立位置から閉扉方向へ回動すると(図12参照)、第1全開ラッチリリースレバー(17)は、第2全開ラッチリリースレバー(18)を介して、待機位置からリリース位置(図9、10〜12に示す位置)に回動する。第1全開ラッチリリースレバー(17)がリリース位置に回動すると、第5ケーブル(33)を介して、全開ラッチ機構(7)をリリース作動させて、全開位置に保持されているドア(1)の閉作動を可能にする。また、アウトサイドレバー(13)がリリース作動した場合にも(閉扉操作としてのアウトサイドレバー(13)の作動)、係合ピン(171)がアウトサイドレバー(13)に係合することによって、第1全開ラッチリリースレバー(17)はリリース位置に回動する。
【0057】
次に、本発明に係わる本実施形態の動作を図7〜14に基いて説明する。
(A)図7に示す状態(リモートコントロール装置(6)が解錠状態で、チャイルドロックレバー(16)が解錠位置にある場合)において、アウトサイドハンドル(2)を開扉操作するか、またはリリース用アクチュエータ(12)を駆動させた場合、第1ケーブル(22)または第2ケーブル(23)を介して、アウトサイドレバー(13)に操作力が伝達される。これにより、図9に示すように、アウトサイドレバー(13)は、リリース作動して、解錠位置にあるロック制御ピン(19)を介して、リリースレバー(14)をリリース作動させる。リリースレバー(14)がリリース作動すると、第3、4ケーブル(26)(27)を介して、フロント側ドアラッチ機構(4)及びリヤ側ドアラッチ機構(5)をリリース作動させて、閉鎖位置に保持されているドア(1)を開くことができる。
【0058】
(B)図7に示す状態において、インサイドハンドル(3)を開扉方向に操作した場合、図11に示すように、インサイドレバー(15)が開扉方向へ回動すると、インサイドレバー(15)のアーム部(151)が解錠位置にあるチャイルドロック制御ピン(25)を介して、アウトサイドレバー(13)をリリース作動させる。これにより、アウトサイドハンドル(2)を開扉操作した場合と同様に、フロント側ドアラッチ機構(4)及びリヤ側ドアラッチ機構(5)をリリース作動させて、閉鎖位置に保持されているドア(1)を開くことができる。
【0059】
(C)図7に示す状態において、インサイドハンドル(3)を閉扉操作した場合、図12に示すように、インサイドレバー(15)が閉扉方向へ回動すると、第2全開ラッチリリースレバー(18)を介して、第1全開ラッチリリースレバー(17)をリリース位置に移動させる。第1全開ラッチリリースレバー(17)がリリース位置に移動すると、第5ケーブル(33)を介して、全開ラッチ機構(7)をリリース作動させて、全開位置に保持されているドア(1)を閉じることができる。
【0060】
(D)図8に示す状態(リモートコントロール装置(6)が施錠状態で、チャイルドロックレバー(16)が解錠位置にある場合)において、アウトサイドハンドル(2)を開扉操作するか、またはリリース用アクチュエータ(12)を駆動させた場合、第1ケーブル(22)または第2ケーブル(23)を介して、アウトサイドレバー(13)に操作力が伝達される。しかし、この場合には、図10に示すように、アウトサイドレバー(13)がリリース作動しても、ロック制御ピン(19)が施錠位置にあるため、リリースレバー(14)をリリース作動させることができない。よって、閉鎖位置に保持されているドア(1)を開くことができない。また、インサイドハンドル(3)を開扉操作しても、同様にドア(1)を開くことができない。
【0061】
(E)図13に示す状態(リモートコントロール装置(6)が解錠状態で、チャイルドロックレバー(16)が施錠位置にある場合)において、アウトサイドハンドル(2)を開扉操作するか、またはリリース用アクチュエータ(12)を駆動させることにより、アウトサイドレバー(13)がリリース作動するため、チャイルドロックレバー(16)の位置に関係なく、閉鎖位置に保持されているドア(1)を開くことができる。
【0062】
しかし、インサイドハンドル(3)を開扉操作した場合には、図14に示すように、インサイドレバー(15)が開扉方向へ回動しても、チャイルドロックレバー(16)が施錠位置にあって、チャイルドロック制御ピン(25)に対して、インサイドレバー(15)のアーム部(151)が係合不能であるため、アウトサイドレバー(13)をリリース作動させることができない。よって、車内側からは、閉鎖位置に保持されているドア(1)を開くことができない。
【符号の説明】
【0063】
(1)…スライドドア、(1a)…窓ガラス、(2)…アウトサイドハンドル(操作ハンドル)、(3)…インサイドハンドル(操作ハンドル)、(4)…フロント側ドアラッチ機構(ドアラッチ手段)、(5)…リヤ側ドアラッチ機構(ドアラッチ手段)、(6)…リモートコントロール装置、(7)…全開ラッチ機構、(8)…ベースプレート、(9)…施解錠操作ノブ(施解錠操作手段)、(10)…施解錠用アクチュエータ(施解錠操作手段)、(11)…ノブレバー、(12)…リリース用アクチュエータ、(13)…アウトサイドレバー(操作レバー)、(14)…リリースレバー、(15)…インサイドレバー(操作レバー)、(16)…チャイルドロックレバー、(17)…第1全開ラッチリリースレバー、(18)…第2全開ラッチリリースレバー、(19)…ロック制御ピン(係脱手段)、(20)…スプリング、(21)…操作軸、(22)…第1ケーブル(操作伝達部材)、(23)…第2ケーブル(操作伝達部材)、(24)…スプリング、(25)…チャイルドロック制御ピン、(26)…第3ケーブル(リリース伝達部材)、(27)…第4ケーブル(リリース伝達部材)、(28)…緩衝部材(被当接部)、(29)…スプリング、(30)…枢軸、(31)…枢軸、(32)…スプリング、(33)…第5ケーブル、(34)…連結軸、(35)…連結軸、(40)…ガイド部材、(41)…スプリング、(81)…第1ストッパ部、(82)…第2ストッパ部、(83)…係合孔、(84)…係合孔、(85)…第1開口部、(86)…第2開口部、(87)…突部、(88)…第3開口部、(89)…円弧孔、(91)…摘み部、(92)…係合突部、(101)…出力軸、(111)…長孔、(112)…突部、(121)…ハウジング、(122)…出力レバー、(131)…第1連結部(連結部)、(132)…第2連結部(連結部)、(133)…長孔、(134)…制御孔、(135)…開口部、(136)…折曲片、(141)…制御孔、(142)…第3連結部、(143)…第4連結部、(144)…アーム部、(151)…アーム部、(161)…操作部、(162)…長孔、(163)…弾性アーム部、(171)…係合ピン、(172)…第5連結部、(181)…長孔、(401)…突起部、(402)…突起部、(403)…レール部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インサイドハンドル(3)と開扉操作および閉扉操作が同一方向の操作となるアウトサイドハンドル(2)とを備えた車両ドア(1)に固定されるベースプレート(8)と、前記アウトサイドハンドル(2)の操作により作動するアウトサイドレバー(13)と、前記インサイドハンドル(3)の開扉操作により作動するインサイドレバー(15)と、前記車両ドア(1)を閉鎖位置に保持するフロントドアラッチ機構(4)及び/又はリヤドアラッチ機構(5)に連係され前記アウトサイドレバー(13)の前記作動により前記フロントドアラッチ機構(4)及び/又は前記リヤドアラッチ機構(5)をリリース作動させるリリースレバー(14)と、前記車両ドア(1)を全開位置に保持する全開ラッチ機構(7)に連係され前記アウトサイドハンドル(2)の操作により前記全開ラッチ機構(7)をリリース作動させる全開ラッチリリースレバー(17)と、前記アウトサイドレバー(13)の前記作動を前記リリースレバー(14)に伝達可能な解錠位置と伝達不能な施錠位置に移動可能な係脱手段(19)と、前記係脱手段(19)を前記解錠位置と前記施錠位置とに移動させるノブレバー(11)と、前記インサイドレバー(15)の前記作動を前記アウトサイドレバー(13)に伝達可能なチャイルド解錠位置と伝達不能なチャイルド施錠位置とに移動可能な制御ピン(25)と、前記制御ピン(25)を前記チャイルド解錠位置と前記チャイルド施錠位置とに移動させるチャイルドロックレバー(16)とを備えた車両用ドアラッチのリモートコントロール装置において、
前記係脱手段(19)の一方側は前記ノブレバー(11)に設けたノブ側長孔(111)に摺動可能に係合させるとともに前記係脱手段(19)の他方側は前記ベースプレート(8)を介して前記ノブ側長孔(111)と重なる位置に設けた前記アウトサイドレバー(13)の制御孔(134)および前記リリースレバー(14)の制御孔(141)にそれぞれ摺動可能に係合させ、前記制御ピン(25)の一方側は前記チャイルドロックレバー(16)に設けたチャイルドロック切替用長孔(162)に摺動可能に係合させるとともに前記制御ピン(25)の他方側は前記ベースプレート(8)を介して前記チャイルドロック切替用長孔(162)と重なる位置に設けた前記アウトサイドレバー(13)のスライド移動用孔(133)に摺動可能に係合させ、前記アウトサイドレバー(13)と前記リリースレバー(14)と前記インサイドレバー(15)とは同一の操作軸(21)により前記ベースプレート(8)に枢支させ、前記ノブレバー(11)を、前記インサイドレバー(15)と前記操作軸(21)の軸線方向において重なり合わない位置に配置したことを特徴とする車両用ドアラッチのリモートコントロール装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ノブレバー(11)は施錠解錠切替用アクチュエータ(10)の出力軸(101)に枢着させたことを特徴とする車両用ドアラッチのリモートコントロール装置。
【請求項3】
請求項1又2において、前記全開ラッチリリースレバー(17)は前記ベースプレート(8)の円弧孔(89)を通して前記アウトサイドレバー(13)に連係される係合部材(171)を備えたことを特徴とする車両用ドアラッチのリモートコントロール装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項ににおいて、前記アウトサイドレバー(13)の前記スライド移動用孔(133)は長孔状に形成して前記チャイルドロック長孔(162)と重なる位置に設けたことを特徴とする車両用ドアラッチのリモートコントロール装置。
【請求項1】
インサイドハンドル(3)と開扉操作および閉扉操作が同一方向の操作となるアウトサイドハンドル(2)とを備えた車両ドア(1)に固定されるベースプレート(8)と、前記アウトサイドハンドル(2)の操作により作動するアウトサイドレバー(13)と、前記インサイドハンドル(3)の開扉操作により作動するインサイドレバー(15)と、前記車両ドア(1)を閉鎖位置に保持するフロントドアラッチ機構(4)及び/又はリヤドアラッチ機構(5)に連係され前記アウトサイドレバー(13)の前記作動により前記フロントドアラッチ機構(4)及び/又は前記リヤドアラッチ機構(5)をリリース作動させるリリースレバー(14)と、前記車両ドア(1)を全開位置に保持する全開ラッチ機構(7)に連係され前記アウトサイドハンドル(2)の操作により前記全開ラッチ機構(7)をリリース作動させる全開ラッチリリースレバー(17)と、前記アウトサイドレバー(13)の前記作動を前記リリースレバー(14)に伝達可能な解錠位置と伝達不能な施錠位置に移動可能な係脱手段(19)と、前記係脱手段(19)を前記解錠位置と前記施錠位置とに移動させるノブレバー(11)と、前記インサイドレバー(15)の前記作動を前記アウトサイドレバー(13)に伝達可能なチャイルド解錠位置と伝達不能なチャイルド施錠位置とに移動可能な制御ピン(25)と、前記制御ピン(25)を前記チャイルド解錠位置と前記チャイルド施錠位置とに移動させるチャイルドロックレバー(16)とを備えた車両用ドアラッチのリモートコントロール装置において、
前記係脱手段(19)の一方側は前記ノブレバー(11)に設けたノブ側長孔(111)に摺動可能に係合させるとともに前記係脱手段(19)の他方側は前記ベースプレート(8)を介して前記ノブ側長孔(111)と重なる位置に設けた前記アウトサイドレバー(13)の制御孔(134)および前記リリースレバー(14)の制御孔(141)にそれぞれ摺動可能に係合させ、前記制御ピン(25)の一方側は前記チャイルドロックレバー(16)に設けたチャイルドロック切替用長孔(162)に摺動可能に係合させるとともに前記制御ピン(25)の他方側は前記ベースプレート(8)を介して前記チャイルドロック切替用長孔(162)と重なる位置に設けた前記アウトサイドレバー(13)のスライド移動用孔(133)に摺動可能に係合させ、前記アウトサイドレバー(13)と前記リリースレバー(14)と前記インサイドレバー(15)とは同一の操作軸(21)により前記ベースプレート(8)に枢支させ、前記ノブレバー(11)を、前記インサイドレバー(15)と前記操作軸(21)の軸線方向において重なり合わない位置に配置したことを特徴とする車両用ドアラッチのリモートコントロール装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ノブレバー(11)は施錠解錠切替用アクチュエータ(10)の出力軸(101)に枢着させたことを特徴とする車両用ドアラッチのリモートコントロール装置。
【請求項3】
請求項1又2において、前記全開ラッチリリースレバー(17)は前記ベースプレート(8)の円弧孔(89)を通して前記アウトサイドレバー(13)に連係される係合部材(171)を備えたことを特徴とする車両用ドアラッチのリモートコントロール装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項ににおいて、前記アウトサイドレバー(13)の前記スライド移動用孔(133)は長孔状に形成して前記チャイルドロック長孔(162)と重なる位置に設けたことを特徴とする車両用ドアラッチのリモートコントロール装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−144631(P2011−144631A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45154(P2011−45154)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【分割の表示】特願2006−138169(P2006−138169)の分割
【原出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000148896)三井金属アクト株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【分割の表示】特願2006−138169(P2006−138169)の分割
【原出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000148896)三井金属アクト株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
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