説明

車両用ドアラッチ装置

【課題】車両用ドアラッチ装置において、検出スイッチの組付作業を効率的に行うことができるようにする。
【解決手段】噛合ユニット2は、ベース部材4、6と、ベース部材4、6に枢支されストライカに噛合可能なラッチ7と、ベース部材4、6に枢支され、ラッチ7に係合してラッチ7の回動を阻止可能なラチェット8と、ラッチ7の回動位置を検出可能なラッチ検出スイッチ11と、ベース部材4、6に固定されると共に、ラッチ検出スイッチ11に電気的に接続されるラッチ通電板9Aをインサート成形した合成樹脂製のターミナルブロック10とを含む。ターミナルブロック10は、締結手段を使用しないでラッチ検出スイッチ11を保持可能なラッチ検出スイッチ保持部101を一体形成する。ラッチ通電板9Aは、ラッチ検出スイッチ保持部101に露出し、かつラッチ検出スイッチ11に直接電気的に接続される接続端子91Aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッチの回動位置を検出可能な検出スイッチを備えた車両用ドアラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ドアラッチ装置においては、ドアに固定されるベース部材に、ドアの閉鎖時に車体側のストライカと係合可能なラッチと、ラッチに係合してラッチの回動を阻止するラチェットと、ラッチの回動位置を検出するラッチ検出スイッチと、ラチェットの回動位置を検出するラチェット検出スイッチとを設け、ラッチ検出スイッチがラッチのハーフラッチ位置を検出したことを契機に、モータを駆動制御して当該モータの動力によりラッチをハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回動させて、ドアを半ドア状態から全閉状態に強制的に閉め込むようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−116042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載されている車両用ドアラッチ装置は、各検出スイッチをそれぞれの所定の位置にボルト等の締結手段により固定する組付作業が必要であることに加え、各検出スイッチの検出信号を外部へ出力するためのワイヤハーネス(電線)を必要とするため、各検出スイッチの組付作業効率が極めて悪い。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、ワイヤハーネスを一切不要として、検出スイッチの組付作業を効率的に行うことができるようにした車両用ドアラッチ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、ストライカと噛合することでドアを閉鎖状態に保持可能な噛合ユニットを備えた車両用ドアラッチ装置において、前記噛合ユニットは、ストライカが進入可能なストライカ進入溝を有するベース部材と、前記ベース部材に枢支され、前記ストライカ進入溝に進入した前記ストライカに噛合可能なラッチと、前記ベース部材に枢支され、前記ストライカに噛合した前記ラッチに係合して前記ラッチの回動を阻止可能なラチェットと、前記ラッチの回動位置を検出可能なラッチ検出スイッチと、前記ベース部材に固定されると共に、前記ラッチ検出スイッチに電気的に接続されるラッチ通電板をインサート成形した合成樹脂製のターミナルブロックとを含み、前記ターミナルブロックは、締結手段を使用しないで前記ラッチ検出スイッチを保持可能なラッチ検出スイッチ保持部を一体形成し、前記ラッチ通電板は、前記ラッチ検出スイッチ保持部に露出し、かつ前記ラッチ検出スイッチに直接電気的に接続される接続端子を有することを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記噛合ユニットは、さらに前記ラチェットの回動位置を検出可能なラチェット検出スイッチを含み、前記ターミナルブロックは、前記ストライカ進入溝を跨ぐように前記ベース部材に固定されると共に、前記ストライカ進入溝を境に一方側に前記ラッチ検出スイッチ保持部を形成し、前記ストライカ進入溝を境に他方側に前記ラチェット検出スイッチを締結手段を使用しないで保持可能なラチェット検出スイッチ保持部を一体形成する。
【0008】
より好ましくは、前記ターミナルブロックは、さらに前記ラチェット検出スイッチに電気的に接続されるラチェット通電板をインサート成形する。
【0009】
より好ましくは、前記ラチェット通電板は、前記ラチェット検出スイッチ保持部に露出し、かつ前記ラチェット検出スイッチが直接電気的に接続される接続端子を有する。
【0010】
より好ましくは、前記ラチェット通電板は、前記ストライカ進入溝を跨ぐように前記ターミナルブロックにインサート成形される。
【0011】
より好ましくは、前記噛合ユニットは、さらに前記ラッチ検出スイッチが検出する前記ラッチの回動位置と異なる他の回動位置を検出可能な他のラッチ検出スイッチを含み、前記ターミナルブロックは、さらに前記他のラッチ検出スイッチを締結手段を使用しないで保持可能な他のラッチ検出スイッチ保持部を一体形成し、前記ラッチ検出スイッチ保持部及び前記他のラッチ検出スイッチ保持部を、前記ラッチ検出スイッチ及び前記他のラッチ検知スイッチが互いに前記ラッチの軸方向へ積層される形態で前記ターミナルブロックに保持されるように、前記ターミナルブロックの相反する面にそれぞれ形成する。
【0012】
より好ましくは、前記ターミナルブロックは、外部のワイヤハーネスが接続される外部コネクタが接続されるカプラを一体成形する。
【0013】
より好ましくは、前記ラッチ通電板及び前記ラチェット通電板の端部は、前記カプラ内に露出して前記外部コネクタの端子が電気的に接続される端子を形成する。
【0014】
より好ましくは、前記カプラは、前記ターミナルブロックにおける前記ストライカ進入溝を境に前記一方側に形成する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、ラッチ通電板をインサート成形したターミナルブロックに、ラッチ検出スイッチを保持可能なラッチ検出スイッチ保持部を一体形成すると共に、ラッチ通電板にラッチ検出スイッチに直接電気的に接続される接続端子を設けたことによって、ラッチ検出スイッチを予め組み込んだターミナルブロックをベース部材に固定することで、ワイヤハーネスを一切不要としてラッチ検出スイッチを噛合ユニットに組み込むことが可能となり、ラッチ検出スイッチの組付作業を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係わるドアラッチ装置の正面図である。
【図2】同じくドアラッチ装置の平面図である。
【図3】同じくドアラッチ装置の斜視図である。
【図4】同じくドアラッチ装置の分解斜視図である。
【図5】バックプレートを外した形態の噛合ユニットの平面図である。
【図6】ボディ及びバックプレートを外した形態で、かつフルラッチ状態にある噛合ユニットの平面図である。
【図7】ボディ及びバックプレートを外した形態で、かつハーフラッチ状態にある噛合ユニットの平面図である。
【図8】噛合ユニットの要部の拡大斜視図である。
【図9】噛合ユニットの要部の分解斜視図である。
【図10】噛合ユニットの要部の平面図である。
【図11】ボディ及びターミナルブロックの斜視図である。
【図12】ターミナルブロックの斜め下方から見た斜視図である。
【図13】各検出スイッチにおける検出タイミングチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係わる一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、図1において紙面手前側を「前側」とし、紙面奥側を「後側」とし、左右方向を「左右方向」とする。
【0018】
ドアラッチ装置1は、車両の車体後部に上端が左右方向のヒンジ軸(図示略)を介して上下方向へ開閉可能に枢着されたバックドア(図示略)の下端部に配置され、車体側に固着されたストライカS(図6、7参照)に噛合することによりバックドアを閉止位置に拘束する噛合ユニット2と、噛合ユニット2を電動でハーフラッチ状態(バックドアの半ドア状態に相当)からフルラッチ状態(バックドアの全閉状態に相当)に変位させてバックドアを半ドア状態から全閉状態へ閉め込むクローズ機能及び噛合ユニット2の噛合状態を解除してバックドアの開きを可能にするリリース機能を有する操作ユニット3とを備える。
【0019】
噛合ユニット2は、バックドアの下端部にボルト(図示略)により固定され、ベース部材を形成する金属製のカバープレート4と、カバープレート4の上側に設置されてカバープレート4と共にバックドアに固定される金属製のバックプレート5と、カバープレート4とバックプレート5との間に固定され、カバープレート4と共にベース部材を形成する合成樹脂製のボディ6と、カバープレート4の上面とボディ6の下面との間に枢支されるラッチ7及びラチェット8と、導電性のハーフラッチ通電板9A、フルラッチ通電板9B及びラチェット通電板9C(共に図10参照)をインサート成形した合成樹脂製のターミナルブロック10と、ラッチ7の回動位置を検出可能なハーフラッチ検出スイッチ11及びフルラッチ検出スイッチ12と、ラチェット8の回動位置を検出可能なラチェット検出スイッチ13と、ラッチ7と一体的に回動可能なラッチレバー14等を備える。
【0020】
カバープレート4は、ボディ6を保持する部分の基部41の左右両側に取付片42、42を有する。基部41のほぼ中央部には、バックドアの閉鎖時にストライカSが進入する前後方向のストライカ進入溝411が設けられる。両取付片42には、カバープレート4をバックドアに固定するためのボルト(図示略)が挿入される取付孔421がそれぞれ設けられる。
【0021】
バックプレート5は、ボディ6の上面を押さえる基部51と、基部51の左右両側にあって、カバープレート4の両取付片42の上側にそれぞれ重なる左右の取付片52、52とを一体形成する。両取付片52、52には、カバープレート4をバックドアに固定するためのボルト(図示略)が下方から螺合する雌ねじ孔521がそれぞれ形成される。
【0022】
ボディ6は、主に図11に示すように、左右方向のほぼ中央部にあって、カバープレート4のストライカ進入溝411に対してその上側に重なって下方及び前方が開口するストライカ進入溝61と、ストライカ進入溝61を境に右側にあって上下方向に貫通する円筒状の支持筒部62と、ストライカ進入溝61を境に左側にあって上下方向に貫通する円筒状の支持筒部63と、支持筒部62を中心とする円弧孔64と、支持筒部63を中心とする円弧孔65、66(図5参照)と、ストライカ進入溝61の外側を形成する溝覆部67と、上方へ円柱状に突出するターミナルブロック10用の左右の位置決め突部68、69と、ターミナルブロック10に係合することによりターミナルブロック10をボディ6に保持し得るように上方へ突出する爪部6a〜6cを一体形成する。
【0023】
ラッチ7は、カバープレート4とボディ6間にあって、ボディ6の支持筒部62に回動可能に挿入される上下方向の支軸16により各ストライカ進入溝411、61を境に右側に枢支されると共に、支持筒部62に巻装されるばね18によりオープン方向(図6、7において反時計方向)へ付勢され、バックドアの閉動作に伴って、ストライカSに噛合していないオープン位置(図7に2点鎖線で示す位置)からストライカSと辛うじて係合するハーフラッチ位置(図7に実線で示す位置)を経て、ストライカSと完全に係合するフルラッチ位置(図6に示す位置)に回動する。
【0024】
ラッチ7は、表面が合成樹脂材でモールド成型され、その回転面には、モールド成型により一体成形され上方へ円弧状に突出する第1被検出部71及び第1被検出部71よりも低い位置の第2被検出部72が形成される。第1、2被検出部71、72は、ボディ6の円弧孔64を下方から貫通してボディ6の上面へ突出する。
【0025】
ラッチレバー14は、ラッチ7と一体回動する支軸16の上端に固着されることでラッチ7と一体回動し、その回動端部には、上方へ向けて突出する円柱状の突出部141が固着される。
【0026】
ラチェット8は、カバープレート4とボディ6間にあって、ボディ6の支持筒部63に回動可能に挿入される上下方向の支軸15により、各ストライカ進入溝411、61を境に左側に枢支されると共に、支持筒部63に巻装されるばね17により係合方向(図6、7において時計方向)へ付勢され、バックドアの閉動作に伴ってラッチ7がオープン位置からハーフラッチ位置に回動することにより、ばね17の付勢力をもって、図7に示すように、ラッチ7の外周に設けられるハーフラッチ爪部73に係合し、またラッチ7がフルラッチ位置に回動することにより、図6に示すように、ラッチ7のフルラッチ爪部74に係合して、ラッチ7のオープン方向(図6において反時計方向)への回動を阻止する。ラチェット8の回動端部には、上方へ突出する円柱状の被検出部82が固着される。被検出部82は、ボディ6の円弧孔65を下方から貫通してボディ6の上面に突出する。
【0027】
図7に示すように、ラチェット8がラッチ7のハーフラッチ爪部73に係合している場合には、ラッチ7のハーフラッチ位置からオープン方向(図7において反時計方向)への回動が阻止されて、バックドアは半ドア状態に保持される。また、図6に示すように、ラチェット8がラッチ7のフルラッチ爪部74に係合している場合には、ラッチ7がフルラッチ位置に拘束されて、バックドアは全閉状態に保持される。また、ラチェット8がばね17の付勢力に抗してリリース方向(図7、8において反時計方向)へ回動した場合には、ラチェット8はハーフラッチ爪部73またはフルラッチ爪部74の係合から外れて、ラッチ7とストライカSとの噛合を解除して、バックドアの開放を可能にする。
【0028】
操作ユニット3は、噛合ユニット2のカバープレート4に固定される金属製のベースプレート31と、ベースプレート31の後面に固定されるモータ32と、ベースプレート31の前面に前後方向を向く支軸33により枢支され、モータ32の回転を減速して回転するピニオンギヤ34に噛合するセクタギヤ35と、噛合ユニット2におけるバックプレート5の折曲部53に前後方向を向く支軸36により枢支されるオープンレバー37と、セクタギヤ35の回動位置を検出可能なセクタギヤ検出スイッチ38とを有する。
【0029】
ベースプレート31は、カバープレート4の取付片42とバックプレート5の取付片52間に挟み込まれた状態でカバープレート4に固定される左右の取付片311、311と、プレス加工によって前方へ切り起こし形成され、ピニオンギヤ34の真ん前に位置するスイッチ取付部312とを一体的に形成する。
【0030】
オープンレバー37は、上下方向のほぼ中央部がバックプレート5の折曲部53に前後方向の支軸36により枢支され支軸36に巻装されたばね39により待機位置(図1に示す位置)に保持され、上部には、バックドアの外側に配置される開扉用のドアハンドル(図示略)のドア開操作力を入力する操作入力部371が設けられ、下部には、ラチェット8の後端部81に対して回動方向へ当接可能な当接部372(図6〜8参照)が設けられる。
【0031】
バックドアのドアハンドルが開操作された場合には、ドアハンドルの作動部分がオープンレバー37の操作力入力部371に当接することによって、オープンレバー37は、ばね39の付勢力に抗して待機位置からリリース方向(図1において時計方向)へ回動し当接部372がラチェット8の後端部81に対して回動方向へ当接することにより、ラチェット8をリリース方向へ回動させて、ドアの開きを可能にする。
【0032】
セクタギヤ35は、回転面に前方へ突出する円柱状の押部351及び被検出部352を有し、モータ32の正転によりピニオンギヤ34が回転した場合、ニュートラル位置(図1に示す位置)からリリース方向(図1において時計方向)へ回動し、またモータ32の逆転によりピニオンギヤ34が回転した場合、ニュートラル位置からクローズ方向(図1において反時計方向)へ回動する。
【0033】
バックドアが閉じているとき、操作スイッチ(図示略)が開操作されると、車体の適所に配置される制御装置50は、モータ32を正転制御する。これにより、セクタギヤ35は、モータ32の動力によりニュートラル位置からリリース方向へ回動し、押部351の左側部が、オープンレバー37の右側縁に設けた被当接部373に対して右側から回動方向へ押動してオープンレバー37をリリース方向へ回動させて、バックドアの開きを可能にする。
【0034】
バックドアの閉動作に伴って、ラッチ7がオープン位置からハーフラッチ位置手前に回動すると、制御装置50は、ハーフラッチ検出スイッチ11が検出するラッチ7のハーフラッチ検出信号に基づいて、モータ32を逆転制御する。これにより、セクタギヤ35は、モータ32の動力によりニュートラル位置からクローズ方向へ回動し、押部351の右側部がラッチレバー14の突出部141に対して左側から回動方向へ押動してラッチレバー14を介してラッチ7をハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回動させて、バックドアを半ドア状態から全閉状態へ強制的に閉め込む。そして、フルラッチ検出スイッチ12がラッチ7のフルラッチ位置を検出すると、制御装置50は、モータ32を反転制御して、セクタギヤ35をニュートラル位置に戻す制御を行う。
【0035】
セクタギヤ検出スイッチ38は、ベースプレート31のスイッチ取付部312の前面に固定され、セクタギヤ35がニュートラル位置にあるとき、出没自在な検出部381がセクタギヤ35の被検出部352に接触することでセクタギヤ35のニュートラル位置を検出する。セクタギヤ検出スイッチ38の検出信号は、制御装置50に送信される。制御装置50は、セクタギヤ検出スイッチ38が検出するニュートラル検出信号に基づいてモータ32を停止制御する。
【0036】
次に、ターミナルブロック10について説明する。ターミナルブロック10は、図10に示すように、導電性のハーフラッチ通電板9A、フルラッチ通電板9B及びラチェット通電板9Cをインサート成形すると共に、ボディ6のストライカ進入溝61を左右方向に跨ぐようにボディ6の上面に固定される。
【0037】
ターミナルブロック10におけるボディ6のストライカ進入溝61を境に右側には、ハーフラッチ検出スイッチ11をボルト等の締結手段を用いないで保持可能とするため、ハーフラッチ検出スイッチ11を上方から収容し得るように上方が開口する凹状をなし、かつ当該凹状の凹部1011に収容されるハーフラッチ検出スイッチ11の上面に係合してハーフラッチ検出スイッチ11を凹部1011に保持可能な弾性爪107を有するハーフラッチ検出スイッチ保持部101と、フルラッチ検出スイッチ12をボルト等の締結手段を用いないで保持可能とするため、フルラッチ検出スイッチ12を下方から収容し得るように下方が開口する凹状をなし、かつ当該凹状の凹部1021に収容されるフルラッチ検出スイッチ12の下面に係合してフルラッチ検出スイッチ12を凹部1021に保持可能な弾性爪108を有するフルラッチ検出スイッチ保持部102と、ボディ6の右側の位置決め突部68に嵌合することによりターミナルブロック10の右側の位置を定める位置決め孔103と、各保持部101、102の後方にあって、制御装置50に外部のワイヤハーネスを介して電気的に接続される外部コネクタ501が接続されるカプラ106とが一体成形される。また、同じくボディ6のストライカ進入溝61を境に左側には、ラチェット検出スイッチ13をボルト等の締結手段を用いないで保持可能とするため、ラチェット検出スイッチ13を下方から収容し得るように下方が開口する凹状をなし、かつ当該凹状の凹部1041に収容されるラチェット検出スイッチ13の下面に係合してラチェット検出スイッチ13を凹部1041に保持可能な弾性爪109を有するラチェット検出スイッチ保持部104と、ボディ6の左側の位置決め突部69に嵌合することによりターミナルブロック10の左側の位置を定める位置決め孔105とが一体形成される。
【0038】
ターミナルブロック10は、位置決め孔103、105がボディ6の位置決め突部68、69に左右方向に係合すると共に、ボディ6の爪部6a〜6cに上下方向に係合することによってボディ6の上面に固定される。
【0039】
ハーフラッチ検出スイッチ保持部101及びフルラッチ検出スイッチ保持部102は、ターミナルブロック10の互いに相反する面に設けられる。これにより、ハーフラッチ検出スイッチ11及びフルラッチ検出スイッチ12は、互いにラッチ7の回転軸方向へ積層された状態でターミナルブロック10に配置される。この結果、ハーフラッチ検出スイッチ11及びフルラッチ検出スイッチ12を狭いスペースに配置することができる。
【0040】
図10に示すように、ハーフラッチ通電板9A及びフルラッチ通電板9Bは、それぞれの後端に設けられる端子92A及び92Bがカプラ106内に露出し、かつそれぞれの前端に設けられる接続端子91A及び91Bがハーフラッチ検出スイッチ保持部101及びフルラッチ検出スイッチ保持部102に露出するようにターミナルブロック10にインサート成形される。
【0041】
ラチェット通電板9Cは、ターミナルブロック10におけるボディ6のストライカ進入溝61を境に右側に設けられるカプラ106と左側に配置されるラチェット検出スイッチ13とを電気的に繋ぐため、後端に設けられる端子92Cがカプラ106内に露出し、かつ前端に設けられる接続端子91Cがラチェット検出スイッチ保持部104に露出するように、ストライカ進入溝61を跨いだ形態でターミナルブロック10にインサート成形される。
【0042】
カプラ106内に露出する各通電板9A、9B、9Cの端子92A、92B、92Cは、カプラ106に外部コネクタ501が接続されることにより、外部コネクタ501側の端子に電気的に接続される。
【0043】
ハーフラッチ検出スイッチ11は、ターミナルブロック10のハーフラッチ検出スイッチ保持部101の凹部1011内に上方から収容されると共に弾性爪107の先端に係合することによって、自体のケーシングに出没自在に設けられる検出部112がラッチ7の第1被検出部71の外周面に対向し得るようにハーフラッチ検出スイッチ保持部101内に保持され、また自体のケーシングから突出する端子111がハーフラッチ通電板9Aの接続端子91Aに直接電気的に接続される。
【0044】
フルラッチ検出スイッチ12は、ターミナルブロック10のフルラッチ検出スイッチ保持部102の凹部1021内に下方から収容されると共に弾性爪108の先端に係合することによって、自体のケーシングに出没自在に設けられる検出部122がラッチ7の第2被検出部72の外周面に対向し得るようにフルラッチ検出スイッチ保持部102内に保持され、また自体のケーシングから突出する端子121がフルラッチ通電板9Bの接続端子91Bに直接電気的に接続される。
【0045】
ラチェット検出スイッチ13は、ターミナルブロック10のラチェット検出スイッチ保持部104の凹部1041内に下方から収容されると共に弾性爪109の先端に係合することによって、自体のケーシングに出没自在に設けられる検出部132がラチェット8の被検出部82に対向し得るようにラチェット検出スイッチ保持部104内に保持され、自体のケーシングから突出する端子131がラチェット通電板9Cの接続端子91Cに直接電気的に接続される。
【0046】
ハーフラッチ検出スイッチ11は、図13に示すタイミングチャート図のように、バックドアの閉動作に伴って、ラッチ7がオープン位置からハーフラッチ位置手前に回動した時点で、検出部111がラッチ7の第1被検出部71の外周面から外れることによりONからOFFに切り替わりラッチ7のハーフラッチ位置を検出する。ハーフラッチ検出スイッチ11が検出したラッチ7のハーフラッチ検出信号は、ハーフラッチ通電板9Aを通って端子92Aから出力され、カプラ106に接続される外部コネクタ501を介して制御装置50へ送信される。
【0047】
フルラッチ検出スイッチ12は、図13に示すタイミングチャート図のように、ラッチ7がハーフラッチ位置からフルラッチ位置手前に回動した時点で、検出部122がラッチ7の第2被検出部72の外周面から外れることによりONからOFFに切り替わりラッチ7のフルラッチ位置を検出する。フルラッチ検出スイッチ12が検出したラッチ7のフルラッチ検出信号は、フルラッチ通電板9Bを通って端子92Bから出力され、カプラ106に接続される外部コネクタ501を介して制御装置50へ送信される。
【0048】
ラチェット検出スイッチ13は、ラチェット8が係合位置からリリース方向へ回動すると、ラチェット8の被検出部82が検出部132に接触することによりOFFからONに切り替わりラチェット8がリリース位置に回動したことを検出する。ラチェット検出スイッチ13が検出したラチェット8のリリース検出信号は、ラチェット通電板9Cを通って端子92Cから出力され、カプラ106に接続される外部コネクタ501を介して制御装置50へ送信される。
【0049】
上述のように、ターミナルブロック10に各通電板9A、9B及び9Cをインサート成形すると共に、各検出スイッチ11、12及び13を締結手段を用いないで保持可能な各保持部101、102及び104を一体形成し、さらに、各保持部101、102及び104に保持した各検出スイッチ11、12及び13を各通電板9A、9B及び9Cの接続端子91A、91B及び91Cを直接電気的に接続したことによって、ターミナルブロック10に各検出スイッチ11、12及び13を予め組み付けた状態で、ターミナルブロック10をボディ6に固定するだけで、ワイヤハーネスを一切使用しないで、各検出スイッチ11、12及び13を噛合ユニット2のボディ6に簡単かつ確実に組み付けることが可能となる。
【0050】
また、ターミナルブロック10にカプラ106も一体成形すると共に、各通電板9A、9B及び9Cをカプラ106内まで延ばして露出させたことによって、ワイヤハーネスを一切使用しないで、各検出スイッチ11、12及び13の各検出信号を外部に出力することが可能となる。
【0051】
また、ターミナルブロック10をストライカ進入溝411、61を左右方向へ跨ぐようにボディ6に固定すると共に、ストライカ進入溝411、61を跨がないハーフラッチ通電板9A、フルラッチ通電板9Bと、ストライカ進入溝411、61を跨ぐラチェット通電板9Cをインサート成形したことによって、ストライカ進入溝411、61を境に一方側(右側)に各ラッチ検出スイッチ11、12を配置し、同じく他方側(左側)にラチェット検出スイッチ13を配置することが可能となる。また、ラチェット通電板9Cをストライカ進入溝411、61を迂回させて配線する必要がないので、ラチェット通電板9Cの長さを短縮することができ、コスト低減を図ることができる。
【0052】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、各実施形態に種々の変形や変更を施すことが可能である。
(i)カバープレート4及びボディ6は、ベース部材を形成するが、これに代えて、ボディ6を省略して、ベース部材をカバープレート4のみで形成しても良い。この場合には、ターミナルブロック10は、ボディ6に固定するのではなく、カバープレート4に固定する。
(ii)ドアをサイドドア、スライドドアとする。
【符号の説明】
【0053】
1 ドアラッチ装置
2 噛合ユニット
3 操作ユニット
4 カバープレート(ベース部材)
5 バックプレート
6 ボディ(ベース部材)
6a〜6c 爪部
7 ラッチ
8 ラチェット
9A ハーフラッチ通電板
9B フルラッチ通電板
9C ラチェット通電板
10 ターミナルブロック
11 ハーフラッチ検出スイッチ
12 フルラッチ検出スイッチ
13 ラチェット検出スイッチ
14 ラッチレバー
15、16 支軸
17、18 ばね
31 ベースプレート
32 モータ
33 支軸
34 ピニオンギヤ
35 セクタギヤ
36 支軸
37 オープンレバー
38 セクタギヤ検出スイッチ
39 ばね
41 基部
42 取付片
50 制御装置
51 基部
52 取付片
53 折曲部
61 ストライカ進入溝
62、63 支持筒部
64、65、66 円弧孔
67 溝覆部
68、69 位置決め突部
71 第1被検出部
72 第2被検出部
73 ハーフラッチ爪部
74 フルラッチ爪部
81 後端部
82 被検出部
91A、91B、91C 接続端子
92A、92B、92C 端子
101 ハーフラッチ検出スイッチ保持部
102 フルラッチ検出スイッチ保持部
103 位置決め孔
104 ラチェット検出スイッチ保持部
105 位置決め孔
106 カプラ
107、108、109 弾性爪
111 端子
112 検出部
121 端子
122 検出部
131 端子
132 検出部
141 突出部
311 取付片
312 スイッチ取付部
351 押部
352 被検出部
371 操作入力部
372 当接部
373 被当接部
381 検出部
411 ストライカ進入溝
421 取付孔
501 外部コネクタ
521 雌ねじ孔
1011、1021、1041 凹部
S ストライカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライカと噛合することでドアを閉鎖状態に保持可能な噛合ユニットを備えた車両用ドアラッチ装置において、
前記噛合ユニットは、ストライカが進入可能なストライカ進入溝を有するベース部材と、前記ベース部材に枢支され、前記ストライカ進入溝に進入した前記ストライカに噛合可能なラッチと、前記ベース部材に枢支され、前記ストライカに噛合した前記ラッチに係合して前記ラッチの回動を阻止可能なラチェットと、前記ラッチの回動位置を検出可能なラッチ検出スイッチと、前記ベース部材に固定されると共に、前記ラッチ検出スイッチに電気的に接続されるラッチ通電板をインサート成形した合成樹脂製のターミナルブロックとを含み、
前記ターミナルブロックは、締結手段を使用しないで前記ラッチ検出スイッチを保持可能なラッチ検出スイッチ保持部を一体形成し、
前記ラッチ通電板は、前記ラッチ検出スイッチ保持部に露出し、かつ前記ラッチ検出スイッチに直接電気的に接続される接続端子を有することを特徴とする車両用ドアラッチ装置。
【請求項2】
前記噛合ユニットは、さらに前記ラチェットの回動位置を検出可能なラチェット検出スイッチを含み、
前記ターミナルブロックは、前記ストライカ進入溝を跨ぐように前記ベース部材に固定されると共に、前記ストライカ進入溝を境に一方側に前記ラッチ検出スイッチ保持部を形成し、前記ストライカ進入溝を境に他方側に前記ラチェット検出スイッチを締結手段を使用しないで保持可能なラチェット検出スイッチ保持部を一体形成したことを特徴とする請求項1記載の車両用ドアラッチ装置。
【請求項3】
前記ターミナルブロックは、さらに前記ラチェット検出スイッチに電気的に接続されるラチェット通電板をインサート成形したことを特徴とする請求項2記載の車両用ドアラッチ装置。
【請求項4】
前記ラチェット通電板は、前記ラチェット検出スイッチ保持部に露出し、かつ前記ラチェット検出スイッチが直接電気的に接続される接続端子を有することを特徴とする請求項3記載の車両用ドアラッチ装置。
【請求項5】
前記ラチェット通電板は、前記ストライカ進入溝を跨ぐように前記ターミナルブロックにインサート成形されることを特徴とする請求項3または4記載の車両用ドアラッチ装置。
【請求項6】
前記噛合ユニットは、さらに前記ラッチ検出スイッチが検出する前記ラッチの回動位置と異なる他の回動位置を検出可能な他のラッチ検出スイッチを含み、
前記ターミナルブロックは、さらに前記他のラッチ検出スイッチを締結手段を使用しないで保持可能な他のラッチ検出スイッチ保持部を一体形成し、
前記ラッチ検出スイッチ保持部及び前記他のラッチ検出スイッチ保持部を、前記ラッチ検出スイッチ及び前記他のラッチ検知スイッチが互いに前記ラッチの軸方向へ積層される形態で前記ターミナルブロックに保持されるように、前記ターミナルブロックの相反する面にそれぞれ形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車両用ドアラッチ装置。
【請求項7】
前記ターミナルブロックは、外部のワイヤハーネスが接続される外部コネクタが接続されるカプラを一体成形したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車両用ドアラッチ装置。
【請求項8】
前記ラッチ通電板及び前記ラチェット通電板の端部は、前記カプラ内に露出して前記外部コネクタの端子が電気的に接続される端子を形成することを特徴とする請求項7記載の車両用ドアラッチ装置。
【請求項9】
前記カプラは、前記ターミナルブロックにおける前記ストライカ進入溝を境に前記一方側に形成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の車両用ドアラッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−49990(P2013−49990A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188943(P2011−188943)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000148896)三井金属アクト株式会社 (127)
【Fターム(参考)】