車両用ドアロック装置
【課題】車両用ドアロック装置のクローザ装置にて、異物の挟み込み検知が周囲温度やドアの車体に対する建付による影響を受け難くし、異物の挟み込みを的確に回避すること。
【解決手段】車両用ドアロック装置では、クローザ装置20の駆動レバー23に介装されてクローザ装置20の電気モータ24からラッチに伝達される駆動力を検出する機械式の駆動力検出装置30によって、ドアと車体間に異物が挟み込まれたことを検出するように構成されている。このため、異物の挟み込み検知が周囲温度やドアの車体に対する建付による影響を受け難く、精度の高い挟み込み検知を行うことが可能であり、異物の挟み込みを的確に回避することが可能である。
【解決手段】車両用ドアロック装置では、クローザ装置20の駆動レバー23に介装されてクローザ装置20の電気モータ24からラッチに伝達される駆動力を検出する機械式の駆動力検出装置30によって、ドアと車体間に異物が挟み込まれたことを検出するように構成されている。このため、異物の挟み込み検知が周囲温度やドアの車体に対する建付による影響を受け難く、精度の高い挟み込み検知を行うことが可能であり、異物の挟み込みを的確に回避することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアロック装置に関し、特に、ストライカと係合するラッチを備えるとともに、このラッチをハーフラッチ状態とフルラッチ状態にて保持可能なポールを備えているラッチ機構と、ハーフラッチ状態のラッチをフルラッチ状態に移動させることが可能な駆動レバーと、この駆動レバーを正回転または逆回転で駆動可能な電気モータとを備えているクローザ装置とを備えている車両用ドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用ドアロック装置は、例えば、下記特許文献1に示されている。下記特許文献1に示されている車両用ドアロック装置では、車両のドアが半ドア状態にあり、ラッチ機構のラッチがハーフラッチ状態であると、電気モータが駆動レバーを正回転させるため、ハーフラッチ状態のラッチがフルラッチ状態へと移動する。また、ラッチがフルラッチ状態へと移動して、車両のドアが全閉状態になると、電気モータが停止して、駆動レバーが停止する。また、車両のドアが全閉状態に移行した後には、電気モータが駆動レバーを逆回転させるため、駆動レバーは初期位置に向けて移動する。駆動レバーが初期位置に移動すると、電気モータが停止して、クローザ装置が初期状態となる。
【0003】
なお、ラッチ機構のラッチがハーフラッチ状態であること、ラッチがフルラッチ状態へと移動したこと、駆動レバーが初期位置に移動したこと等は、例えば、下記特許文献2に示されているように、各センサによって検出されるように構成されていて、各センサの検出信号に基づいてモータ制御装置(コントローラ)が電気モータの作動を制御するように構成されている。
【0004】
また、下記特許文献3には、ハーフラッチ状態のラッチがフルラッチ状態に向けて所定の位置まで回転したことを位置センサ(挟み込み防止センサ)にて検出し、この状態にて、ドアと車体間に異物が挟まれて、電気モータに通電される電流値が所定値となったときに、電気モータを逆転させる構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−138532号公報
【特許文献2】特開2010−84321号公報
【特許文献3】特開平9−287336号公報
【発明の概要】
【0006】
(発明が解決しようとする課題)
上記した特許文献3では、位置センサ(挟み込み防止センサ)の検出状態にて、電気モータに通電される電流値が所定値となったときに、電気モータを逆転させる構成が採用されている。ところで、電気モータに通電される電流値は、周囲温度によるモータートルクのバラツキおよびドアの車体に対する建付のバラツキ等による影響が大きいため、異物の挟み込みが無いのにドアを全閉状態に引き込まなかったり、異物の挟み込みが有ってもドアを全閉状態に引き込んでしまう可能性がある。
【0007】
(課題を解決するための手段)
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、
ストライカと係合するラッチを備えるとともに、このラッチをハーフラッチ状態とフルラッチ状態にて保持可能なポールを備えているラッチ機構と、
ハーフラッチ状態のラッチをフルラッチ状態に移動させることが可能な駆動レバーと、この駆動レバーを正回転または逆回転で駆動可能な電気モータとを備えているクローザ装置と、
前記駆動レバーに介装されて前記電気モータから前記ラッチに伝達される駆動力を検出する機械式の駆動力検出装置を備えていて、
前記電気モータが前記駆動レバーを正回転させて前記ラッチをハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移動させる初期において、前記駆動力検出装置にて検出される駆動力が設定値以上となったとき、前記電気モータを停止または逆回転させる制御手段を備えている車両用ドアロック装置(請求項1に係る発明)に特徴がある。
【0008】
この場合において、前記駆動レバーは、ハーフラッチ状態のラッチをフルラッチ状態に移動させることが可能なパッシブレバーと、このパッシブレバーに対して同軸的かつ相対回転可能に組付けられて前記電気モータに連結されるモータレバーと、このモータレバーと前記パッシブレバー間に設けられて前記駆動力が設定値となったときに所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーを所定量相対回転させるスプリングを備え、前記駆動力検出装置は、前記スプリングが初期状態から所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーが所定量相対回転したときに作動するスイッチを備えていること(請求項2に係る発明)も可能であり、また、ハーフラッチ状態のラッチをフルラッチ状態に移動させることが可能なラッチレバーを備え、前記駆動レバーは、前記ラッチレバーに駆動ケーブルを介して連結されるパッシブレバーと、このパッシブレバーに対して同軸的かつ相対回転可能に組付けられて前記電気モータに連結されるモータレバーと、このモータレバーと前記パッシブレバー間に設けられて前記駆動力が設定値となったときに所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーを所定量相対回転させるスプリングを備え、前記駆動力検出装置は、前記スプリングが初期状態から所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーが所定量相対回転したときに作動するスイッチを備えていること(請求項3に係る発明)も可能である。
【0009】
前記スイッチは、前記パッシブレバーと一体的に回転する第1ターミナル、前記モータレバーと一体的に回転し前記第1ターミナルに対して接触・非接触可能な第2ターミナルを備えていて、前記パッシブレバーに対して前記モータレバーが所定量相対回転したときに作動するロータリスイッチであること(請求項4に係る発明)、または、前記スイッチは、前記パッシブレバーに対して一体回転可能に連結されるカム、前記モータレバーに対して一体回転可能かつ回転軸方向に移動可能に連結されるカムフォロア、このカムフォロアを復帰位置に向けて回転軸方向に付勢するリターンスプリング、前記カムフォロアの回転軸方向での移動に応じて動作するリミットスイッチを備えていて、前記パッシブレバーに対して前記モータレバーが所定量相対回転したときに作動するカム式スイッチであること(請求項5に係る発明)も可能である。
【0010】
(発明の作用効果)
上記した本発明の車両用ドアロック装置によれば、クローザ装置の駆動レバーに機械式の駆動力検出装置が介装されていて、ラッチが電気モータの正回転によってハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移動する初期において、ドアと車体間に異物が挟み込まれて、駆動力検出装置にて検出される駆動力が設定値以上となったとき、電気モータが制御装置によって停止または逆回転するように構成されている。このため、ドアと車体間に異物の挟み込みが有れば、電気モータによるドアの全閉状態への引き込みが防止される。
【0011】
ところで、本発明では、クローザ装置の駆動レバーに介装されて電気モータからラッチに伝達される駆動力を検出する機械式の駆動力検出装置によって、ドアと車体間に異物が挟み込まれたことを検出するように構成されている。このため、異物の挟み込み検知が周囲温度やドアの車体に対する建付による影響を受け難く、精度の高い挟み込み検知を行うことが可能であり、異物の挟み込みを的確に回避することが可能である。
【0012】
また、本発明の実施に際して、前記駆動レバーは、ハーフラッチ状態のラッチをフルラッチ状態に移動させることが可能なパッシブレバー(または、ハーフラッチ状態のラッチをフルラッチ状態に移動させることが可能なラッチレバーに駆動ケーブルを介して連結されるパッシブレバー)と、このパッシブレバーに対して同軸的かつ相対回転可能に組付けられて前記電気モータに連結されるモータレバーと、このモータレバーと前記パッシブレバー間に設けられて前記駆動力が設定値となったときに所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーを所定量相対回転させるスプリングを備え、前記駆動力検出装置は、前記スプリングが所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーが所定量相対回転したときに作動するスイッチを備えている場合には、例えば、スプリングが弾性変形を開始する荷重特性を変えることにより、最悪条件のドア建付にも対応させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による車両用ドアロック装置の一実施形態を含む車両前方部位の側面図である。
【図2】図1に示した車両用ドアロック装置の拡大背面図である。
【図3】図2に示した車両用ドアロック装置(電気モータの作動を制御するコントローラを含む)の側面図である。
【図4】図2および図3に示した車両用ドアロック装置のラッチがハーフラッチ状態にありラッチレバーが初期状態にあるときのラッチ、ポール、ラッチレバー等の関係を示した図である。
【図5】図4に示したラッチがラッチレバーによってハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移動されたときのラッチ、ポール、ラッチレバー等の関係を示した図である。
【図6】図2および図3に示したクローザ装置におけるアクチュエータ部分の拡大側面図である。
【図7】図6に示したクローザ装置におけるアクチュエータ部分の部分分解斜視図である。
【図8】図6および図7に示したパッシブレバー単体の図であり、(a)は側面図であり、(b)は(a)のA−A線に沿った断面図である。
【図9】図6および図7に示したロータリスイッチのOFF状態を概略的に示した拡大図である。
【図10】図9に示したロータリスイッチのON状態を概略的に示した図である。
【図11】図1〜図9に示した車両用ドアロック装置における各スイッチのON・OFF作動とストライカのストローク(ハーフラッチ状態、フルラッチ状態)との関係を示す作動説明図である。
【図12】図6および図7に示したロータリスイッチに代えてカム式スイッチを採用した実施形態のクローザ装置におけるアクチュエータ部分の部分分解斜視図である。
【図13】図12に示したカム式スイッチのOFF状態を示した拡大断面図である。
【図14】図13に示したカム式スイッチのON状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図11は本発明による車両用ドアロック装置の一実施形態を示していて、この車両用ドアロック装置100は、車両の右前方のドア201に組付けられるラッチ機構10(図1〜5参照)、クローザ装置20(図1〜3と図5〜8参照)、駆動力検出装置30(図6、図7参照)を備えるとともに、車体202に組付けられるコントローラ40(図3参照)を備えている。
【0015】
ラッチ機構10は、図1〜図5に示したように、車体202に固定されたストライカ203に対して係合・離脱可能なラッチ11と、このラッチ11に対して係合・非係合可能でラッチ11のストライカ203に対する係合をハーフラッチ状態(図4の状態)とフルラッチ状態(図5の状態)にて維持(保持)・解放可能なポール12と、このポール12と一体的なリフトレバー(図示省略)を備えている。ハーフラッチ状態(図11のHALF参照)では、車両のドア201が半ドア状態とされるとともに、ラッチ11の回転位置を検出するラッチスイッチSW1がON状態に維持され、フルラッチ状態(図11のFULL参照)では、車両のドア201が全閉状態とされるとともに、ラッチスイッチSW1がOFF状態に維持されるように設定されている。
【0016】
なお、ラッチスイッチSW1は、特開2010−84321号公報(特許文献2)に記載されているラッチスイッチと同様に、ラッチ11の動作に連動してON・OFF作動するように構成されていて、ハーフラッチ状態となる前にOFF状態からON状態に切り替わり、フルラッチ状態となる前にON状態からOFF状態に切り替わるように設定されている(図11参照)。また、ラッチスイッチSW1の検出信号(ON・OFF信号)は、図3に示したワイヤーハーネス41を通してコントローラ40に入力されるように構成(電気的に接続)されている。
【0017】
ラッチ11は、図4および図5に示したように、第1係合部(ハーフラッチ爪)11aと第2係合部(フルラッチ爪)11bを有していて、図2に示したベースプレート13等に組付けた支持軸14に対して回転可能に組付けられている。またラッチ11は、復帰スプリング(図示省略)により初期状態(ラッチ11のラッチ溝11cにストライカ203が嵌合可能な状態)に向けて付勢されていて、初期状態ではストッパ(図示省略)によって保持されている。
【0018】
一方、ポール12は、ベースプレート13等に軸部12aにて回転可能に組付けられていて、ラッチ11の第1係合部11aまたは第2係合部11bに係合・離脱可能な係止部12bを有している。また、ポール12は、復帰スプリング(図示省略)により図4および図5に示した復帰状態(ラッチ11をハーフラッチ状態またはフルラッチ状態にて保持する状態)に向けて付勢されていて、復帰状態ではストッパ(図示省略)によって保持されている。
【0019】
ポール12が復帰状態にあることは、図11に示したように、ポールスイッチSW2のOFF状態(OFF信号)によって検出されるように構成されている。このため、ハーフラッチ状態(図11のHALF参照)は、ラッチスイッチSW1のON状態(ON信号)とポールスイッチSW2のON状態(ON信号)からOFF状態(OFF信号)への切り替えによって検出することが可能である。また、フルラッチ状態(図11のFULL参照)は、ラッチスイッチSW1のOFF状態(OFF信号)とポールスイッチSW2のON状態(ON信号)からOFF状態(OFF信号)への切り替えによって検出することが可能である。
【0020】
なお、ポールスイッチSW2は、特開2010−84321号公報(特許文献2)に記載されているポールスイッチと同様に、ポール12の回動時にON状態となり、初期状態への復帰時にOFF状態となるように構成されている。また、ポールスイッチSW2の検出信号(ON・OFF信号)も、ワイヤーハーネス41を通してコントローラ40に入力されるように構成(電気的に接続)されている。
【0021】
ポール12と一体のリフトレバー(図示省略)は、オープンリンク、オープンレバー等(図示省略)を介してドア201の内側に設けたインサイドドアハンドル204(図1参照)に連係するとともに、オープンリンク、オープンレバー等(図示省略)を介してドア201の外側に設けたアウトサイドドアハンドル205(図1参照)に連係している。オープンリンク(図示省略)は、アンロック状態またはロック状態に切り替えられるように構成されていて、アンロック状態では、インサイドドアハンドル204とアウトサイドドアハンドル205のドア開操作をポール12と一体のリフトレバー(図示省略)に伝達可能であり、ロック状態では、インサイドドアハンドル204とアウトサイドドアハンドル205のドア開操作をポール12と一体のリフトレバー(図示省略)に伝達不能である。
【0022】
クローザ装置20は、図1〜図8に示したように、ハーフラッチ状態のラッチ11をフルラッチ状態に移動させることが可能なラッチレバー21と、このラッチレバー21に駆動ケーブル22を介して連結された駆動レバー23と、この駆動レバー23を正回転または逆回転で駆動可能な電気モータ24とを備えている。ラッチレバー21は、電気モータ24の正回転によって例えば図4に示した復帰位置から図5に示した作動位置に向けて駆動され、電気モータ24の逆回転によって例えば図5に示した作動位置から図4に示した復帰位置に向けて駆動されるように構成されている。
【0023】
なお、ラッチレバー21が復帰位置に復帰したときには、ラッチレバー21がクッション25に当接するとともに復帰スイッチSW3に係合して、復帰スイッチSW3のON状態(ON信号)からOFF状態(OFF信号)への切り替えによってラッチレバー21の復帰が検出されるように構成されている。なお、復帰スイッチSW3の検出信号(ON・OFF信号)も、ワイヤーハーネス41を通してコントローラ40に入力されるように構成(電気的に接続)されている。
【0024】
駆動レバー23は、図6〜図8に示したように、ラッチレバー21に駆動ケーブル22を介して連結されるパッシブレバー23aと、遊星ギヤ機構およびウォーム機構(これらの機構は、図示省略されているが、特開2007−138532号公報(特許文献1)に記載されている遊星ギヤ機構およびウォーム機構と実質的に同じ構成である)を介して電気モータ24の出力軸に連結されている回転軸26(図7参照)に一体的に組付けられているモータレバー23bを備えるとともに、モータレバー23bとパッシブレバー23a間に設けられたスプリング23cを備えている。なお、遊星ギヤ機構のリングギヤと上述したオープンレバー(図示省略)間には、インサイドドアハンドル204とアウトサイドドアハンドル205のドア開操作によって、クローザ装置20の作動を無効とするキャンセル機構(その一構成部材であるキャンセルレバー27が図6に示されているが、特開2007−138532号公報(特許文献1)に記載されているキャンセル機構と実質的に同じ構成であるため、説明は省略する)が設けられている。
【0025】
パッシブレバー23aは、図8に示したように、円形の取付孔23a1、扇形収容凹部23a2、ピン挿通孔23a3、円弧状のケーブルガイド溝23a4等を有していて、取付孔23a1にて回転軸26に対して回転自在に組付けられていて、クリップ28によりモータレバー23bとともに回転軸26に抜け止めされている。モータレバー23bは、スプライン取付孔23b1、円弧状の長溝23b2等を有していて、パッシブレバー23aの扇形収容凹部23a2に収容された状態にて、スプライン取付孔23b1にて回転軸26のスプライン部26aに対して一体回転可能に組付けられている。
【0026】
スプリング23cは、駆動レバー23から駆動ケーブル22を介してラッチレバー21に伝達される駆動力が設定値となったときに所定量弾性変形してパッシブレバー23aに対してモータレバー23bを所定量相対回転させる圧縮コイルスプリングであり、モータレバー23bの設けた円弧状の長溝23b2内に所定の予備荷重を付与して収容されていて、一端にて長溝23b2の一端壁に係合し、他端にてピン23d(ピン挿通孔23a3と長溝23b2を貫通して両端にてパッシブレバー23aにカシメ連結されている)を介してパッシブレバー23aに係合している。なお、スプリング23cは、図7では図示省略されている。
【0027】
駆動力検出装置30は、図6に示したように、クローザ装置20の駆動レバー23に介装されていて、電気モータ24から駆動レバー23、駆動ケーブル22を介してラッチレバー21に伝達される駆動力(荷重)を検出するものである。この駆動力検出装置30は、図6および図7に示したように、モータレバー23bとパッシブレバー23a間に設けたスプリング23cが初期状態(図6の状態)から所定量弾性変形してパッシブレバー23aに対してモータレバー23bが所定量相対回転したときに作動するロータリスイッチ31を備えている。
【0028】
ロータリスイッチ31は、駆動レバー23のパッシブレバー23aに対してモータレバー23bが所定量相対回転したときに作動するものであり、図9および図10にて概略的に示したように、ハウジング31aとアウタロータ31bおよびインナロータ31cを備えるとともに、第1ターミナル31d・31dと第2ターミナル31eを備えている。ハウジング31aは、絶縁材料によって形成されていて、アウタロータ31bおよびインナロータ31cをそれぞれ回転自在に収容しており、ワイヤーハーネス31f(リード線)が組付けられている。
【0029】
アウタロータ31bは、絶縁材料によって形成されていて、パッシブレバー23aに組付けられるように構成されていて、パッシブレバー23aと一体的に回転する。インナロータ31cは、絶縁材料によって形成されていて、回転軸26に組付けられるように構成されていて、回転軸26と一体的に回転する。第1ターミナル31d・31dは、電気良導材料によって形成されていて、アウタロータ31bに組付けられており、アウタロータ31b(パッシブレバー23a)と一体的に回転し、ワイヤーハーネス31fの各リード線に対して常に接触している。第2ターミナル31eは、電気良導材料によって形成されていて、インナロータ31cに組付けられており、インナロータ31c(モータレバー23bと一体的に回転する回転軸26)と一体的に回転し、第1ターミナル31d・31dに対して接触・非接触可能である。
【0030】
このロータリスイッチ31では、駆動レバー23のスプリング23cが初期状態であるとき、第1ターミナル31d・31dと第2ターミナル31eが図9に示した位置関係にあって、ロータリスイッチ31がOFF状態とされ、またスプリング23cが初期状態から所定量弾性変形したとき、第1ターミナル31d・31dと第2ターミナル31eが図10に示した位置関係となって、ロータリスイッチ31がON作動するように設定されている。なお、ロータリスイッチ31の出力信号(ON・OFF信号)も、ワイヤーハーネス41を通してコントローラ40に入力されるように構成(電気的に接続)されている。
【0031】
コントローラ(モータ制御装置)40は、上述したように各スイッチSW1,SW2,SW3,31にワイヤーハーネス41を介して電気的に接続されているとともに、電気モータ24にワイヤーハーネス41と給電線42(図3、図6参照)を介して電気的に接続されている。また、コントローラ40は、上述した各スイッチSW1,SW2,SW3,31等からの信号(ON・OFF信号)に基づいて、電気モータ24の正回転・逆回転・停止を制御するものであり、車両のドア201が開状態から半ドア状態とされたときに、電気モータ24を正回転させてラッチ11をハーフラッチ状態からフルラッチ状態に向けて移動させる第1制御手段と、この第1制御手段の実行開始後、設定時間内(ストライカ203のストロークSに換算して図11のSa相当)に(ラッチ11がハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移動する初期に)、駆動力検出装置30にて検出される駆動力が設定値以上となってロータリスイッチ31がON作動したとき、電気モータ24を逆回転させてラッチレバー21を初期状態に移動させる第2制御手段と、前記第1制御手段の実行によってラッチ11がフルラッチ状態に移動した後に電気モータ24を逆回転させてラッチレバー21を初期状態に移動させる第3制御手段を備えている。
【0032】
なお、第1制御手段の実行開始後、設定時間内にロータリスイッチ31がON作動しないときには、設定時間後にロータリスイッチ31がON作動しても、第2制御手段が実行されることはなく、第1制御手段の実行が完了し、ラッチ11がフルラッチ状態に移動する。また、第1制御手段の実行は、ラッチスイッチSW1のON信号とポールスイッチSW2のON信号からOFF信号への切り替えに基づいて開始され、ラッチスイッチSW1のOFF信号とポールスイッチSW2のON信号からOFF信号への切り替えに基づいて完了する。また、第3制御手段の実行は、第1制御手段の実行完了(ラッチスイッチSW1のOFF信号とポールスイッチSW2のON信号からOFF信号への切り替え)に基づいて開始され、復帰スイッチSW3のON信号からOFF信号への切り替えに基づいて完了する。また、第2制御手段の実行は、復帰スイッチSW3のON信号からOFF信号への切り替えに基づいて完了する。
【0033】
このため、この実施形態においては、ラッチ11が電気モータ24の正回転によってハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移動する初期において、ドア201と車体202間に異物が挟み込まれて、駆動力検出装置30にて検出される駆動力が設定値以上となったとき、電気モータ24がコントローラ40によって逆回転する。このため、ドア201と車体202間に異物の挟み込みが有れば、電気モータ24によるドア201の全閉状態への引き込みが防止される。
【0034】
ところで、この実施形態では、クローザ装置20の駆動レバー23に介装されて電気モータ24からラッチレバー21に伝達される駆動力を検出する機械式の駆動力検出装置30によって、ドア201と車体202間に異物が挟み込まれたことを検出するように構成されている。このため、異物の挟み込み検知が周囲温度やドア201の車体202に対する建付による影響を受け難く、精度の高い挟み込み検知を行うことが可能であり、異物の挟み込みを的確に回避(防止)することが可能である。
【0035】
また、この実施形態の駆動力検出装置30は、駆動レバー23のモータレバー23bとパッシブレバー23a間に設けたスプリング23cが初期状態から所定量弾性変形してパッシブレバー23aに対してモータレバー23bが所定量相対回転したときに作動するロータリスイッチ31を備えている。このため、例えば、スプリング23cが弾性変形を開始する荷重特性(予荷重)を変えることにより、最悪条件のドア建付にも対応させることが可能である。
【0036】
上記実施形態においては、駆動レバー23がパッシブレバー23aとモータレバー23b間にて圧縮変形されるスプリング23c(圧縮コイルスプリング)を備える構成として実施したが、上記したスプリング23cに代えて、パッシブレバーとモータレバー間にて引張変形されるスプリング(予荷重を付与されている引張コイルスプリング)を採用して実施することも可能である。なお、本発明の実施に際しては、上記した圧縮コイルスプリングまたは引張コイルスプリングに付与される予荷重を調節可能に構成して実施することも可能である。
【0037】
また、上記実施形態においては、駆動力検出装置30がロータリスイッチ31を備える構成として実施したが、図12〜図14に示したように、駆動力検出装置30がロータリスイッチ31に代えてカム式スイッチ32を備える構成として実施することも可能である。図12〜図14に示したカム式スイッチ32は、駆動レバー23のパッシブレバー23aに対してモータレバー23bが所定量相対回転したときに作動するものであり、カム32a、カムフォロア32b、リターンスプリング32c、ワッシャ32d(スプリングリテーナ)を備えるとともに、リミットスイッチ32e(図13、図14参照)を備えている。
【0038】
カム32aは、複数個(3個)の傾斜部32a1(図12参照)を有していて、駆動レバー23が回転軸26に組付けられた後に、パッシブレバー23aに組付けられており、パッシブレバー23aの3個の取付孔に対して3個の突起を嵌合させることで、一体回転可能に連結されている。カムフォロア32bは、カム32aの各傾斜部32a1に摺動可能に係合する各摺動凸部32b1(図13、図14参照)を有していて、カム32aが組付けられた後、または、カム32aが組付けられるときに、リターンスプリング32c、ワッシャ32d等とともに回転軸26に組付けられていて、回転軸26の上端部に設けた二面幅部26bにトルク伝達可能に嵌合されており、モータレバー23bに対して回転軸26を介して一体回転可能かつ回転軸方向に移動可能に連結されている。
【0039】
リターンスプリング32cは、カムフォロア32bとワッシャ32d間に介装されていて、カムフォロア32bを図13の復帰位置に向けて(カム32aに向けて)回転軸方向に付勢している。ワッシャ32dは、回転軸26の先端部にカシメで固定されている。リミットスイッチ32eは、ブラケット33を介してクローザ装置20のハウジングに組付けられていて、カムフォロア32bの回転軸方向での移動に応じて動作するように構成されている。
【0040】
このカム式スイッチ32では、駆動レバー23のスプリング23cが初期状態であるとき、カムフォロア32bが図13に示した位置にあって、カム式スイッチ32がOFF状態とされ、またスプリング23cが初期状態から所定量弾性変形したとき、カムフォロア32bが図14に示した位置に移動して(具体的には、カム32aに対してカムフォロア32bが相対回転することにより、カムフォロア32bの各摺動凸部32b1がカム32aの各傾斜部32a1を摺動しながら傾斜上方に移動して、カムフォロア32bがカム32aに対して離間する方向へ移動して)、カム式スイッチ32がON作動するように設定されている。なお、カム式スイッチ32の出力信号(ON・OFF信号)も、ワイヤーハーネス41を通してコントローラ40に入力されるように構成(電気的に接続)されている。
【0041】
このため、駆動力検出装置30がカム式スイッチ32を備える構成として実施した場合(図12〜図14に示した実施形態)においても、駆動力検出装置30がロータリスイッチ31を備える構成として実施した場合(図1〜図11に示した実施形態)と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0042】
また、上記実施形態においては、ラッチ11がハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移動する初期(ストライカ203のハーフラッチ状態(図4の状態)からのストロークSが設定値Sa以内であるとき)において、駆動力検出装置30にて検出される駆動力が設定値以上となったとき(スイッチ31または32がON作動したとき)、電気モータ24を逆回転させてラッチレバー21を初期状態に移動させるように設定して実施したが、電気モータ24を逆回転させてラッチレバー21を初期状態に移動させる代わりに、例えば、電気モータ(24)を所定時間停止させ、その後に電気モータ(24)を正回転させてラッチ(11)をフルラッチ状態に向けて移動させるように設定して実施することも可能である。
【0043】
また、上記各実施形態においては、当該車両用ドアロック装置が、ハーフラッチ状態のラッチ11をフルラッチ状態に移動させることが可能なラッチレバー21を備えていて、このラッチレバー21にパッシブレバー23aが駆動ケーブル22を介して連結されるように構成されているが、上記した駆動ケーブル22に相当する部材が存在しなくて、ラッチレバー21に相当する部材がパッシブレバー(23a)に一体的に設けられている実施形態にも、本発明は上記各実施形態と同様に実施することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
10…ラッチ機構、11…ラッチ、11a…第1係合部、11b…第2係合部、11c…ラッチ溝、12…ポール、12a…軸部、12b…係止部、20…クローザ装置、21…ラッチレバー、22…駆動ケーブル、22a…アウターチューブ、22b…インナーワイヤ、23…駆動レバー、23a…パッシブレバー、23b…モータレバー、23c…スプリング、23d…ピン、24…電気モータ、25…クッション、26…回転軸、27…キャンセルレバー、30…機械式の駆動力検出装置、31…ロータリスイッチ、31a…ハウジング、31b…アウタロータ、31c…インナロータ、31d・31d…第1ターミナル、31e…第2ターミナル、32…カム式スイッチ、32a…カム、32b…カムフォロア、32c…リターンスプリング、32d…ワッシャ(スプリングリテーナ)、32e…リミットスイッチ、40…コントローラ(制御手段)、41…ワイヤーハーネス、42…給電線、100…車両用ドアロック装置、201…ドア、202…車体、203…ストライカ、204…インサイドドアハンドル、205…アウトサイドドアハンドル、SW1…ラッチスイッチ、SW2…ポールスイッチ、SW3…復帰スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアロック装置に関し、特に、ストライカと係合するラッチを備えるとともに、このラッチをハーフラッチ状態とフルラッチ状態にて保持可能なポールを備えているラッチ機構と、ハーフラッチ状態のラッチをフルラッチ状態に移動させることが可能な駆動レバーと、この駆動レバーを正回転または逆回転で駆動可能な電気モータとを備えているクローザ装置とを備えている車両用ドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用ドアロック装置は、例えば、下記特許文献1に示されている。下記特許文献1に示されている車両用ドアロック装置では、車両のドアが半ドア状態にあり、ラッチ機構のラッチがハーフラッチ状態であると、電気モータが駆動レバーを正回転させるため、ハーフラッチ状態のラッチがフルラッチ状態へと移動する。また、ラッチがフルラッチ状態へと移動して、車両のドアが全閉状態になると、電気モータが停止して、駆動レバーが停止する。また、車両のドアが全閉状態に移行した後には、電気モータが駆動レバーを逆回転させるため、駆動レバーは初期位置に向けて移動する。駆動レバーが初期位置に移動すると、電気モータが停止して、クローザ装置が初期状態となる。
【0003】
なお、ラッチ機構のラッチがハーフラッチ状態であること、ラッチがフルラッチ状態へと移動したこと、駆動レバーが初期位置に移動したこと等は、例えば、下記特許文献2に示されているように、各センサによって検出されるように構成されていて、各センサの検出信号に基づいてモータ制御装置(コントローラ)が電気モータの作動を制御するように構成されている。
【0004】
また、下記特許文献3には、ハーフラッチ状態のラッチがフルラッチ状態に向けて所定の位置まで回転したことを位置センサ(挟み込み防止センサ)にて検出し、この状態にて、ドアと車体間に異物が挟まれて、電気モータに通電される電流値が所定値となったときに、電気モータを逆転させる構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−138532号公報
【特許文献2】特開2010−84321号公報
【特許文献3】特開平9−287336号公報
【発明の概要】
【0006】
(発明が解決しようとする課題)
上記した特許文献3では、位置センサ(挟み込み防止センサ)の検出状態にて、電気モータに通電される電流値が所定値となったときに、電気モータを逆転させる構成が採用されている。ところで、電気モータに通電される電流値は、周囲温度によるモータートルクのバラツキおよびドアの車体に対する建付のバラツキ等による影響が大きいため、異物の挟み込みが無いのにドアを全閉状態に引き込まなかったり、異物の挟み込みが有ってもドアを全閉状態に引き込んでしまう可能性がある。
【0007】
(課題を解決するための手段)
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、
ストライカと係合するラッチを備えるとともに、このラッチをハーフラッチ状態とフルラッチ状態にて保持可能なポールを備えているラッチ機構と、
ハーフラッチ状態のラッチをフルラッチ状態に移動させることが可能な駆動レバーと、この駆動レバーを正回転または逆回転で駆動可能な電気モータとを備えているクローザ装置と、
前記駆動レバーに介装されて前記電気モータから前記ラッチに伝達される駆動力を検出する機械式の駆動力検出装置を備えていて、
前記電気モータが前記駆動レバーを正回転させて前記ラッチをハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移動させる初期において、前記駆動力検出装置にて検出される駆動力が設定値以上となったとき、前記電気モータを停止または逆回転させる制御手段を備えている車両用ドアロック装置(請求項1に係る発明)に特徴がある。
【0008】
この場合において、前記駆動レバーは、ハーフラッチ状態のラッチをフルラッチ状態に移動させることが可能なパッシブレバーと、このパッシブレバーに対して同軸的かつ相対回転可能に組付けられて前記電気モータに連結されるモータレバーと、このモータレバーと前記パッシブレバー間に設けられて前記駆動力が設定値となったときに所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーを所定量相対回転させるスプリングを備え、前記駆動力検出装置は、前記スプリングが初期状態から所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーが所定量相対回転したときに作動するスイッチを備えていること(請求項2に係る発明)も可能であり、また、ハーフラッチ状態のラッチをフルラッチ状態に移動させることが可能なラッチレバーを備え、前記駆動レバーは、前記ラッチレバーに駆動ケーブルを介して連結されるパッシブレバーと、このパッシブレバーに対して同軸的かつ相対回転可能に組付けられて前記電気モータに連結されるモータレバーと、このモータレバーと前記パッシブレバー間に設けられて前記駆動力が設定値となったときに所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーを所定量相対回転させるスプリングを備え、前記駆動力検出装置は、前記スプリングが初期状態から所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーが所定量相対回転したときに作動するスイッチを備えていること(請求項3に係る発明)も可能である。
【0009】
前記スイッチは、前記パッシブレバーと一体的に回転する第1ターミナル、前記モータレバーと一体的に回転し前記第1ターミナルに対して接触・非接触可能な第2ターミナルを備えていて、前記パッシブレバーに対して前記モータレバーが所定量相対回転したときに作動するロータリスイッチであること(請求項4に係る発明)、または、前記スイッチは、前記パッシブレバーに対して一体回転可能に連結されるカム、前記モータレバーに対して一体回転可能かつ回転軸方向に移動可能に連結されるカムフォロア、このカムフォロアを復帰位置に向けて回転軸方向に付勢するリターンスプリング、前記カムフォロアの回転軸方向での移動に応じて動作するリミットスイッチを備えていて、前記パッシブレバーに対して前記モータレバーが所定量相対回転したときに作動するカム式スイッチであること(請求項5に係る発明)も可能である。
【0010】
(発明の作用効果)
上記した本発明の車両用ドアロック装置によれば、クローザ装置の駆動レバーに機械式の駆動力検出装置が介装されていて、ラッチが電気モータの正回転によってハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移動する初期において、ドアと車体間に異物が挟み込まれて、駆動力検出装置にて検出される駆動力が設定値以上となったとき、電気モータが制御装置によって停止または逆回転するように構成されている。このため、ドアと車体間に異物の挟み込みが有れば、電気モータによるドアの全閉状態への引き込みが防止される。
【0011】
ところで、本発明では、クローザ装置の駆動レバーに介装されて電気モータからラッチに伝達される駆動力を検出する機械式の駆動力検出装置によって、ドアと車体間に異物が挟み込まれたことを検出するように構成されている。このため、異物の挟み込み検知が周囲温度やドアの車体に対する建付による影響を受け難く、精度の高い挟み込み検知を行うことが可能であり、異物の挟み込みを的確に回避することが可能である。
【0012】
また、本発明の実施に際して、前記駆動レバーは、ハーフラッチ状態のラッチをフルラッチ状態に移動させることが可能なパッシブレバー(または、ハーフラッチ状態のラッチをフルラッチ状態に移動させることが可能なラッチレバーに駆動ケーブルを介して連結されるパッシブレバー)と、このパッシブレバーに対して同軸的かつ相対回転可能に組付けられて前記電気モータに連結されるモータレバーと、このモータレバーと前記パッシブレバー間に設けられて前記駆動力が設定値となったときに所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーを所定量相対回転させるスプリングを備え、前記駆動力検出装置は、前記スプリングが所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーが所定量相対回転したときに作動するスイッチを備えている場合には、例えば、スプリングが弾性変形を開始する荷重特性を変えることにより、最悪条件のドア建付にも対応させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による車両用ドアロック装置の一実施形態を含む車両前方部位の側面図である。
【図2】図1に示した車両用ドアロック装置の拡大背面図である。
【図3】図2に示した車両用ドアロック装置(電気モータの作動を制御するコントローラを含む)の側面図である。
【図4】図2および図3に示した車両用ドアロック装置のラッチがハーフラッチ状態にありラッチレバーが初期状態にあるときのラッチ、ポール、ラッチレバー等の関係を示した図である。
【図5】図4に示したラッチがラッチレバーによってハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移動されたときのラッチ、ポール、ラッチレバー等の関係を示した図である。
【図6】図2および図3に示したクローザ装置におけるアクチュエータ部分の拡大側面図である。
【図7】図6に示したクローザ装置におけるアクチュエータ部分の部分分解斜視図である。
【図8】図6および図7に示したパッシブレバー単体の図であり、(a)は側面図であり、(b)は(a)のA−A線に沿った断面図である。
【図9】図6および図7に示したロータリスイッチのOFF状態を概略的に示した拡大図である。
【図10】図9に示したロータリスイッチのON状態を概略的に示した図である。
【図11】図1〜図9に示した車両用ドアロック装置における各スイッチのON・OFF作動とストライカのストローク(ハーフラッチ状態、フルラッチ状態)との関係を示す作動説明図である。
【図12】図6および図7に示したロータリスイッチに代えてカム式スイッチを採用した実施形態のクローザ装置におけるアクチュエータ部分の部分分解斜視図である。
【図13】図12に示したカム式スイッチのOFF状態を示した拡大断面図である。
【図14】図13に示したカム式スイッチのON状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図11は本発明による車両用ドアロック装置の一実施形態を示していて、この車両用ドアロック装置100は、車両の右前方のドア201に組付けられるラッチ機構10(図1〜5参照)、クローザ装置20(図1〜3と図5〜8参照)、駆動力検出装置30(図6、図7参照)を備えるとともに、車体202に組付けられるコントローラ40(図3参照)を備えている。
【0015】
ラッチ機構10は、図1〜図5に示したように、車体202に固定されたストライカ203に対して係合・離脱可能なラッチ11と、このラッチ11に対して係合・非係合可能でラッチ11のストライカ203に対する係合をハーフラッチ状態(図4の状態)とフルラッチ状態(図5の状態)にて維持(保持)・解放可能なポール12と、このポール12と一体的なリフトレバー(図示省略)を備えている。ハーフラッチ状態(図11のHALF参照)では、車両のドア201が半ドア状態とされるとともに、ラッチ11の回転位置を検出するラッチスイッチSW1がON状態に維持され、フルラッチ状態(図11のFULL参照)では、車両のドア201が全閉状態とされるとともに、ラッチスイッチSW1がOFF状態に維持されるように設定されている。
【0016】
なお、ラッチスイッチSW1は、特開2010−84321号公報(特許文献2)に記載されているラッチスイッチと同様に、ラッチ11の動作に連動してON・OFF作動するように構成されていて、ハーフラッチ状態となる前にOFF状態からON状態に切り替わり、フルラッチ状態となる前にON状態からOFF状態に切り替わるように設定されている(図11参照)。また、ラッチスイッチSW1の検出信号(ON・OFF信号)は、図3に示したワイヤーハーネス41を通してコントローラ40に入力されるように構成(電気的に接続)されている。
【0017】
ラッチ11は、図4および図5に示したように、第1係合部(ハーフラッチ爪)11aと第2係合部(フルラッチ爪)11bを有していて、図2に示したベースプレート13等に組付けた支持軸14に対して回転可能に組付けられている。またラッチ11は、復帰スプリング(図示省略)により初期状態(ラッチ11のラッチ溝11cにストライカ203が嵌合可能な状態)に向けて付勢されていて、初期状態ではストッパ(図示省略)によって保持されている。
【0018】
一方、ポール12は、ベースプレート13等に軸部12aにて回転可能に組付けられていて、ラッチ11の第1係合部11aまたは第2係合部11bに係合・離脱可能な係止部12bを有している。また、ポール12は、復帰スプリング(図示省略)により図4および図5に示した復帰状態(ラッチ11をハーフラッチ状態またはフルラッチ状態にて保持する状態)に向けて付勢されていて、復帰状態ではストッパ(図示省略)によって保持されている。
【0019】
ポール12が復帰状態にあることは、図11に示したように、ポールスイッチSW2のOFF状態(OFF信号)によって検出されるように構成されている。このため、ハーフラッチ状態(図11のHALF参照)は、ラッチスイッチSW1のON状態(ON信号)とポールスイッチSW2のON状態(ON信号)からOFF状態(OFF信号)への切り替えによって検出することが可能である。また、フルラッチ状態(図11のFULL参照)は、ラッチスイッチSW1のOFF状態(OFF信号)とポールスイッチSW2のON状態(ON信号)からOFF状態(OFF信号)への切り替えによって検出することが可能である。
【0020】
なお、ポールスイッチSW2は、特開2010−84321号公報(特許文献2)に記載されているポールスイッチと同様に、ポール12の回動時にON状態となり、初期状態への復帰時にOFF状態となるように構成されている。また、ポールスイッチSW2の検出信号(ON・OFF信号)も、ワイヤーハーネス41を通してコントローラ40に入力されるように構成(電気的に接続)されている。
【0021】
ポール12と一体のリフトレバー(図示省略)は、オープンリンク、オープンレバー等(図示省略)を介してドア201の内側に設けたインサイドドアハンドル204(図1参照)に連係するとともに、オープンリンク、オープンレバー等(図示省略)を介してドア201の外側に設けたアウトサイドドアハンドル205(図1参照)に連係している。オープンリンク(図示省略)は、アンロック状態またはロック状態に切り替えられるように構成されていて、アンロック状態では、インサイドドアハンドル204とアウトサイドドアハンドル205のドア開操作をポール12と一体のリフトレバー(図示省略)に伝達可能であり、ロック状態では、インサイドドアハンドル204とアウトサイドドアハンドル205のドア開操作をポール12と一体のリフトレバー(図示省略)に伝達不能である。
【0022】
クローザ装置20は、図1〜図8に示したように、ハーフラッチ状態のラッチ11をフルラッチ状態に移動させることが可能なラッチレバー21と、このラッチレバー21に駆動ケーブル22を介して連結された駆動レバー23と、この駆動レバー23を正回転または逆回転で駆動可能な電気モータ24とを備えている。ラッチレバー21は、電気モータ24の正回転によって例えば図4に示した復帰位置から図5に示した作動位置に向けて駆動され、電気モータ24の逆回転によって例えば図5に示した作動位置から図4に示した復帰位置に向けて駆動されるように構成されている。
【0023】
なお、ラッチレバー21が復帰位置に復帰したときには、ラッチレバー21がクッション25に当接するとともに復帰スイッチSW3に係合して、復帰スイッチSW3のON状態(ON信号)からOFF状態(OFF信号)への切り替えによってラッチレバー21の復帰が検出されるように構成されている。なお、復帰スイッチSW3の検出信号(ON・OFF信号)も、ワイヤーハーネス41を通してコントローラ40に入力されるように構成(電気的に接続)されている。
【0024】
駆動レバー23は、図6〜図8に示したように、ラッチレバー21に駆動ケーブル22を介して連結されるパッシブレバー23aと、遊星ギヤ機構およびウォーム機構(これらの機構は、図示省略されているが、特開2007−138532号公報(特許文献1)に記載されている遊星ギヤ機構およびウォーム機構と実質的に同じ構成である)を介して電気モータ24の出力軸に連結されている回転軸26(図7参照)に一体的に組付けられているモータレバー23bを備えるとともに、モータレバー23bとパッシブレバー23a間に設けられたスプリング23cを備えている。なお、遊星ギヤ機構のリングギヤと上述したオープンレバー(図示省略)間には、インサイドドアハンドル204とアウトサイドドアハンドル205のドア開操作によって、クローザ装置20の作動を無効とするキャンセル機構(その一構成部材であるキャンセルレバー27が図6に示されているが、特開2007−138532号公報(特許文献1)に記載されているキャンセル機構と実質的に同じ構成であるため、説明は省略する)が設けられている。
【0025】
パッシブレバー23aは、図8に示したように、円形の取付孔23a1、扇形収容凹部23a2、ピン挿通孔23a3、円弧状のケーブルガイド溝23a4等を有していて、取付孔23a1にて回転軸26に対して回転自在に組付けられていて、クリップ28によりモータレバー23bとともに回転軸26に抜け止めされている。モータレバー23bは、スプライン取付孔23b1、円弧状の長溝23b2等を有していて、パッシブレバー23aの扇形収容凹部23a2に収容された状態にて、スプライン取付孔23b1にて回転軸26のスプライン部26aに対して一体回転可能に組付けられている。
【0026】
スプリング23cは、駆動レバー23から駆動ケーブル22を介してラッチレバー21に伝達される駆動力が設定値となったときに所定量弾性変形してパッシブレバー23aに対してモータレバー23bを所定量相対回転させる圧縮コイルスプリングであり、モータレバー23bの設けた円弧状の長溝23b2内に所定の予備荷重を付与して収容されていて、一端にて長溝23b2の一端壁に係合し、他端にてピン23d(ピン挿通孔23a3と長溝23b2を貫通して両端にてパッシブレバー23aにカシメ連結されている)を介してパッシブレバー23aに係合している。なお、スプリング23cは、図7では図示省略されている。
【0027】
駆動力検出装置30は、図6に示したように、クローザ装置20の駆動レバー23に介装されていて、電気モータ24から駆動レバー23、駆動ケーブル22を介してラッチレバー21に伝達される駆動力(荷重)を検出するものである。この駆動力検出装置30は、図6および図7に示したように、モータレバー23bとパッシブレバー23a間に設けたスプリング23cが初期状態(図6の状態)から所定量弾性変形してパッシブレバー23aに対してモータレバー23bが所定量相対回転したときに作動するロータリスイッチ31を備えている。
【0028】
ロータリスイッチ31は、駆動レバー23のパッシブレバー23aに対してモータレバー23bが所定量相対回転したときに作動するものであり、図9および図10にて概略的に示したように、ハウジング31aとアウタロータ31bおよびインナロータ31cを備えるとともに、第1ターミナル31d・31dと第2ターミナル31eを備えている。ハウジング31aは、絶縁材料によって形成されていて、アウタロータ31bおよびインナロータ31cをそれぞれ回転自在に収容しており、ワイヤーハーネス31f(リード線)が組付けられている。
【0029】
アウタロータ31bは、絶縁材料によって形成されていて、パッシブレバー23aに組付けられるように構成されていて、パッシブレバー23aと一体的に回転する。インナロータ31cは、絶縁材料によって形成されていて、回転軸26に組付けられるように構成されていて、回転軸26と一体的に回転する。第1ターミナル31d・31dは、電気良導材料によって形成されていて、アウタロータ31bに組付けられており、アウタロータ31b(パッシブレバー23a)と一体的に回転し、ワイヤーハーネス31fの各リード線に対して常に接触している。第2ターミナル31eは、電気良導材料によって形成されていて、インナロータ31cに組付けられており、インナロータ31c(モータレバー23bと一体的に回転する回転軸26)と一体的に回転し、第1ターミナル31d・31dに対して接触・非接触可能である。
【0030】
このロータリスイッチ31では、駆動レバー23のスプリング23cが初期状態であるとき、第1ターミナル31d・31dと第2ターミナル31eが図9に示した位置関係にあって、ロータリスイッチ31がOFF状態とされ、またスプリング23cが初期状態から所定量弾性変形したとき、第1ターミナル31d・31dと第2ターミナル31eが図10に示した位置関係となって、ロータリスイッチ31がON作動するように設定されている。なお、ロータリスイッチ31の出力信号(ON・OFF信号)も、ワイヤーハーネス41を通してコントローラ40に入力されるように構成(電気的に接続)されている。
【0031】
コントローラ(モータ制御装置)40は、上述したように各スイッチSW1,SW2,SW3,31にワイヤーハーネス41を介して電気的に接続されているとともに、電気モータ24にワイヤーハーネス41と給電線42(図3、図6参照)を介して電気的に接続されている。また、コントローラ40は、上述した各スイッチSW1,SW2,SW3,31等からの信号(ON・OFF信号)に基づいて、電気モータ24の正回転・逆回転・停止を制御するものであり、車両のドア201が開状態から半ドア状態とされたときに、電気モータ24を正回転させてラッチ11をハーフラッチ状態からフルラッチ状態に向けて移動させる第1制御手段と、この第1制御手段の実行開始後、設定時間内(ストライカ203のストロークSに換算して図11のSa相当)に(ラッチ11がハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移動する初期に)、駆動力検出装置30にて検出される駆動力が設定値以上となってロータリスイッチ31がON作動したとき、電気モータ24を逆回転させてラッチレバー21を初期状態に移動させる第2制御手段と、前記第1制御手段の実行によってラッチ11がフルラッチ状態に移動した後に電気モータ24を逆回転させてラッチレバー21を初期状態に移動させる第3制御手段を備えている。
【0032】
なお、第1制御手段の実行開始後、設定時間内にロータリスイッチ31がON作動しないときには、設定時間後にロータリスイッチ31がON作動しても、第2制御手段が実行されることはなく、第1制御手段の実行が完了し、ラッチ11がフルラッチ状態に移動する。また、第1制御手段の実行は、ラッチスイッチSW1のON信号とポールスイッチSW2のON信号からOFF信号への切り替えに基づいて開始され、ラッチスイッチSW1のOFF信号とポールスイッチSW2のON信号からOFF信号への切り替えに基づいて完了する。また、第3制御手段の実行は、第1制御手段の実行完了(ラッチスイッチSW1のOFF信号とポールスイッチSW2のON信号からOFF信号への切り替え)に基づいて開始され、復帰スイッチSW3のON信号からOFF信号への切り替えに基づいて完了する。また、第2制御手段の実行は、復帰スイッチSW3のON信号からOFF信号への切り替えに基づいて完了する。
【0033】
このため、この実施形態においては、ラッチ11が電気モータ24の正回転によってハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移動する初期において、ドア201と車体202間に異物が挟み込まれて、駆動力検出装置30にて検出される駆動力が設定値以上となったとき、電気モータ24がコントローラ40によって逆回転する。このため、ドア201と車体202間に異物の挟み込みが有れば、電気モータ24によるドア201の全閉状態への引き込みが防止される。
【0034】
ところで、この実施形態では、クローザ装置20の駆動レバー23に介装されて電気モータ24からラッチレバー21に伝達される駆動力を検出する機械式の駆動力検出装置30によって、ドア201と車体202間に異物が挟み込まれたことを検出するように構成されている。このため、異物の挟み込み検知が周囲温度やドア201の車体202に対する建付による影響を受け難く、精度の高い挟み込み検知を行うことが可能であり、異物の挟み込みを的確に回避(防止)することが可能である。
【0035】
また、この実施形態の駆動力検出装置30は、駆動レバー23のモータレバー23bとパッシブレバー23a間に設けたスプリング23cが初期状態から所定量弾性変形してパッシブレバー23aに対してモータレバー23bが所定量相対回転したときに作動するロータリスイッチ31を備えている。このため、例えば、スプリング23cが弾性変形を開始する荷重特性(予荷重)を変えることにより、最悪条件のドア建付にも対応させることが可能である。
【0036】
上記実施形態においては、駆動レバー23がパッシブレバー23aとモータレバー23b間にて圧縮変形されるスプリング23c(圧縮コイルスプリング)を備える構成として実施したが、上記したスプリング23cに代えて、パッシブレバーとモータレバー間にて引張変形されるスプリング(予荷重を付与されている引張コイルスプリング)を採用して実施することも可能である。なお、本発明の実施に際しては、上記した圧縮コイルスプリングまたは引張コイルスプリングに付与される予荷重を調節可能に構成して実施することも可能である。
【0037】
また、上記実施形態においては、駆動力検出装置30がロータリスイッチ31を備える構成として実施したが、図12〜図14に示したように、駆動力検出装置30がロータリスイッチ31に代えてカム式スイッチ32を備える構成として実施することも可能である。図12〜図14に示したカム式スイッチ32は、駆動レバー23のパッシブレバー23aに対してモータレバー23bが所定量相対回転したときに作動するものであり、カム32a、カムフォロア32b、リターンスプリング32c、ワッシャ32d(スプリングリテーナ)を備えるとともに、リミットスイッチ32e(図13、図14参照)を備えている。
【0038】
カム32aは、複数個(3個)の傾斜部32a1(図12参照)を有していて、駆動レバー23が回転軸26に組付けられた後に、パッシブレバー23aに組付けられており、パッシブレバー23aの3個の取付孔に対して3個の突起を嵌合させることで、一体回転可能に連結されている。カムフォロア32bは、カム32aの各傾斜部32a1に摺動可能に係合する各摺動凸部32b1(図13、図14参照)を有していて、カム32aが組付けられた後、または、カム32aが組付けられるときに、リターンスプリング32c、ワッシャ32d等とともに回転軸26に組付けられていて、回転軸26の上端部に設けた二面幅部26bにトルク伝達可能に嵌合されており、モータレバー23bに対して回転軸26を介して一体回転可能かつ回転軸方向に移動可能に連結されている。
【0039】
リターンスプリング32cは、カムフォロア32bとワッシャ32d間に介装されていて、カムフォロア32bを図13の復帰位置に向けて(カム32aに向けて)回転軸方向に付勢している。ワッシャ32dは、回転軸26の先端部にカシメで固定されている。リミットスイッチ32eは、ブラケット33を介してクローザ装置20のハウジングに組付けられていて、カムフォロア32bの回転軸方向での移動に応じて動作するように構成されている。
【0040】
このカム式スイッチ32では、駆動レバー23のスプリング23cが初期状態であるとき、カムフォロア32bが図13に示した位置にあって、カム式スイッチ32がOFF状態とされ、またスプリング23cが初期状態から所定量弾性変形したとき、カムフォロア32bが図14に示した位置に移動して(具体的には、カム32aに対してカムフォロア32bが相対回転することにより、カムフォロア32bの各摺動凸部32b1がカム32aの各傾斜部32a1を摺動しながら傾斜上方に移動して、カムフォロア32bがカム32aに対して離間する方向へ移動して)、カム式スイッチ32がON作動するように設定されている。なお、カム式スイッチ32の出力信号(ON・OFF信号)も、ワイヤーハーネス41を通してコントローラ40に入力されるように構成(電気的に接続)されている。
【0041】
このため、駆動力検出装置30がカム式スイッチ32を備える構成として実施した場合(図12〜図14に示した実施形態)においても、駆動力検出装置30がロータリスイッチ31を備える構成として実施した場合(図1〜図11に示した実施形態)と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0042】
また、上記実施形態においては、ラッチ11がハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移動する初期(ストライカ203のハーフラッチ状態(図4の状態)からのストロークSが設定値Sa以内であるとき)において、駆動力検出装置30にて検出される駆動力が設定値以上となったとき(スイッチ31または32がON作動したとき)、電気モータ24を逆回転させてラッチレバー21を初期状態に移動させるように設定して実施したが、電気モータ24を逆回転させてラッチレバー21を初期状態に移動させる代わりに、例えば、電気モータ(24)を所定時間停止させ、その後に電気モータ(24)を正回転させてラッチ(11)をフルラッチ状態に向けて移動させるように設定して実施することも可能である。
【0043】
また、上記各実施形態においては、当該車両用ドアロック装置が、ハーフラッチ状態のラッチ11をフルラッチ状態に移動させることが可能なラッチレバー21を備えていて、このラッチレバー21にパッシブレバー23aが駆動ケーブル22を介して連結されるように構成されているが、上記した駆動ケーブル22に相当する部材が存在しなくて、ラッチレバー21に相当する部材がパッシブレバー(23a)に一体的に設けられている実施形態にも、本発明は上記各実施形態と同様に実施することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
10…ラッチ機構、11…ラッチ、11a…第1係合部、11b…第2係合部、11c…ラッチ溝、12…ポール、12a…軸部、12b…係止部、20…クローザ装置、21…ラッチレバー、22…駆動ケーブル、22a…アウターチューブ、22b…インナーワイヤ、23…駆動レバー、23a…パッシブレバー、23b…モータレバー、23c…スプリング、23d…ピン、24…電気モータ、25…クッション、26…回転軸、27…キャンセルレバー、30…機械式の駆動力検出装置、31…ロータリスイッチ、31a…ハウジング、31b…アウタロータ、31c…インナロータ、31d・31d…第1ターミナル、31e…第2ターミナル、32…カム式スイッチ、32a…カム、32b…カムフォロア、32c…リターンスプリング、32d…ワッシャ(スプリングリテーナ)、32e…リミットスイッチ、40…コントローラ(制御手段)、41…ワイヤーハーネス、42…給電線、100…車両用ドアロック装置、201…ドア、202…車体、203…ストライカ、204…インサイドドアハンドル、205…アウトサイドドアハンドル、SW1…ラッチスイッチ、SW2…ポールスイッチ、SW3…復帰スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライカと係合するラッチを備えるとともに、このラッチをハーフラッチ状態とフルラッチ状態にて保持可能なポールを備えているラッチ機構と、
ハーフラッチ状態のラッチをフルラッチ状態に移動させることが可能な駆動レバーと、この駆動レバーを正回転または逆回転で駆動可能な電気モータとを備えているクローザ装置と、
前記駆動レバーに介装されて前記電気モータから前記ラッチに伝達される駆動力を検出する機械式の駆動力検出装置を備えていて、
前記電気モータが前記駆動レバーを正回転させて前記ラッチをハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移動させる初期において、前記駆動力検出装置にて検出される駆動力が設定値以上となったとき、前記電気モータを停止または逆回転させる制御手段を備えている車両用ドアロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドアロック装置において、
前記駆動レバーは、ハーフラッチ状態のラッチをフルラッチ状態に移動させることが可能なパッシブレバーと、このパッシブレバーに対して同軸的かつ相対回転可能に組付けられて前記電気モータに連結されるモータレバーと、このモータレバーと前記パッシブレバー間に設けられて前記駆動力が設定値となったときに所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーを所定量相対回転させるスプリングを備え、
前記駆動力検出装置は、前記スプリングが初期状態から所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーが所定量相対回転したときに作動するスイッチを備えている、車両用ドアロック装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用ドアロック装置において、
ハーフラッチ状態のラッチをフルラッチ状態に移動させることが可能なラッチレバーを備え、
前記駆動レバーは、前記ラッチレバーに駆動ケーブルを介して連結されるパッシブレバーと、このパッシブレバーに対して同軸的かつ相対回転可能に組付けられて前記電気モータに連結されるモータレバーと、このモータレバーと前記パッシブレバー間に設けられて前記駆動力が設定値となったときに所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーを所定量相対回転させるスプリングを備え、
前記駆動力検出装置は、前記スプリングが初期状態から所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーが所定量相対回転したときに作動するスイッチを備えている、車両用ドアロック装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の車両用ドアロック装置において、
前記スイッチは、前記パッシブレバーと一体的に回転する第1ターミナル、前記モータレバーと一体的に回転し前記第1ターミナルに対して接触・非接触可能な第2ターミナルを備えていて、前記パッシブレバーに対して前記モータレバーが所定量相対回転したときに作動するロータリスイッチである、車両用ドアロック装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の車両用ドアロック装置において、
前記スイッチは、前記パッシブレバーに対して一体回転可能に連結されるカム、前記モータレバーに対して一体回転可能かつ回転軸方向に移動可能に連結されるカムフォロア、このカムフォロアを復帰位置に向けて回転軸方向に付勢するリターンスプリング、前記カムフォロアの回転軸方向での移動に応じて動作するリミットスイッチを備えていて、前記パッシブレバーに対して前記モータレバーが所定量相対回転したときに作動するカム式スイッチである、車両用ドアロック装置。
【請求項1】
ストライカと係合するラッチを備えるとともに、このラッチをハーフラッチ状態とフルラッチ状態にて保持可能なポールを備えているラッチ機構と、
ハーフラッチ状態のラッチをフルラッチ状態に移動させることが可能な駆動レバーと、この駆動レバーを正回転または逆回転で駆動可能な電気モータとを備えているクローザ装置と、
前記駆動レバーに介装されて前記電気モータから前記ラッチに伝達される駆動力を検出する機械式の駆動力検出装置を備えていて、
前記電気モータが前記駆動レバーを正回転させて前記ラッチをハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移動させる初期において、前記駆動力検出装置にて検出される駆動力が設定値以上となったとき、前記電気モータを停止または逆回転させる制御手段を備えている車両用ドアロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドアロック装置において、
前記駆動レバーは、ハーフラッチ状態のラッチをフルラッチ状態に移動させることが可能なパッシブレバーと、このパッシブレバーに対して同軸的かつ相対回転可能に組付けられて前記電気モータに連結されるモータレバーと、このモータレバーと前記パッシブレバー間に設けられて前記駆動力が設定値となったときに所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーを所定量相対回転させるスプリングを備え、
前記駆動力検出装置は、前記スプリングが初期状態から所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーが所定量相対回転したときに作動するスイッチを備えている、車両用ドアロック装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用ドアロック装置において、
ハーフラッチ状態のラッチをフルラッチ状態に移動させることが可能なラッチレバーを備え、
前記駆動レバーは、前記ラッチレバーに駆動ケーブルを介して連結されるパッシブレバーと、このパッシブレバーに対して同軸的かつ相対回転可能に組付けられて前記電気モータに連結されるモータレバーと、このモータレバーと前記パッシブレバー間に設けられて前記駆動力が設定値となったときに所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーを所定量相対回転させるスプリングを備え、
前記駆動力検出装置は、前記スプリングが初期状態から所定量弾性変形して前記パッシブレバーに対して前記モータレバーが所定量相対回転したときに作動するスイッチを備えている、車両用ドアロック装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の車両用ドアロック装置において、
前記スイッチは、前記パッシブレバーと一体的に回転する第1ターミナル、前記モータレバーと一体的に回転し前記第1ターミナルに対して接触・非接触可能な第2ターミナルを備えていて、前記パッシブレバーに対して前記モータレバーが所定量相対回転したときに作動するロータリスイッチである、車両用ドアロック装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の車両用ドアロック装置において、
前記スイッチは、前記パッシブレバーに対して一体回転可能に連結されるカム、前記モータレバーに対して一体回転可能かつ回転軸方向に移動可能に連結されるカムフォロア、このカムフォロアを復帰位置に向けて回転軸方向に付勢するリターンスプリング、前記カムフォロアの回転軸方向での移動に応じて動作するリミットスイッチを備えていて、前記パッシブレバーに対して前記モータレバーが所定量相対回転したときに作動するカム式スイッチである、車両用ドアロック装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−19215(P2013−19215A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154873(P2011−154873)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]