車両用ドアロック装置
【課題】衝撃等時における意に反するドアの開放を確実に防止できるとともに、耐久性の低下を抑制できる車両用ドアロック装置を提供する。
【解決手段】車両用ドアロック装置1において、オープンレバー88、89及びコントロールレバー20の一方には、開口9に進退する方向に直交する方向に延びる枢軸X1周りに揺動可能とされ、設定値を超える慣性力F1が作用することにより第1位置から第2位置まで揺動する慣性レバー30が設けられている。慣性レバー30は、第1位置では、ハウジング80との当接を回避するとともに、オープンレバー88、89及びコントロールレバー20の他方との当接を回避する一方、第2位置では、ハウジング80と当接し、又はオープンレバー88、89及びコントロールレバー20の他方と当接し、オープンレバー88、89及びコントロールレバー20の少なくとも一方を拘束するように構成されている。
【解決手段】車両用ドアロック装置1において、オープンレバー88、89及びコントロールレバー20の一方には、開口9に進退する方向に直交する方向に延びる枢軸X1周りに揺動可能とされ、設定値を超える慣性力F1が作用することにより第1位置から第2位置まで揺動する慣性レバー30が設けられている。慣性レバー30は、第1位置では、ハウジング80との当接を回避するとともに、オープンレバー88、89及びコントロールレバー20の他方との当接を回避する一方、第2位置では、ハウジング80と当接し、又はオープンレバー88、89及びコントロールレバー20の他方と当接し、オープンレバー88、89及びコントロールレバー20の少なくとも一方を拘束するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の車両用ドアロック装置が開示されている。この車両用ドアロック装置は、車体の開口を開閉するドアに設けられ、車体に固定されたストライカが進入する進入口をもつハウジングと、ハウジングに揺動可能に設けられ、進入口内においてストライカを係止するラッチ状態、又は進入口内においてストライカの係止を解除するアンラッチ状態に切り替わるフォークと、ハウジングに揺動可能に設けられ、フォークの揺動を固定又は開放可能なポールとを備える。
【0003】
また、この車両用ドアロック装置は、ハウジングにオープンレバー軸心周りに揺動可能に設けられ、一端側がドアハンドルに連結されたオープンレバーと、オープンレバーの他端側に連結されたコントロールレバーとを備える。オープンレバーは、ドアハンドルの開操作によって変位するものである。コントロールレバーは、オープンレバーの揺動に伴って変位するものである。
【0004】
コントロールレバーには、開口に進退する方向に直交する方向に延びる枢軸周りに揺動可能とされた慣性レバーが設けられている。慣性レバーは、設定値を超える慣性力が作用することにより、ポールに当接可能な第1位置から、ポールから離間する第2位置まで揺動するようになっている。
【0005】
上記従来の車両用ドアロック装置では、通常時、慣性レバーに慣性力が作用しないので、慣性レバーが第1位置にある。この場合において、ドアハンドルの開操作によってオープンレバー及びコントロールレバーが変位すると、慣性レバーがポールに当接してフォークの揺動を開放させる。その結果、ポールがフォークをラッチ状態からアンラッチ状態に切り替える。その一方、車両に対して衝撃等が作用した場合、慣性レバーが慣性力により第2位置に揺動する。この場合において、衝撃等によりドアハンドルが変位し、それに伴って、オープンレバー及びコントロールレバーが変位しても、第2位置にある慣性レバーがポールから離間したままとなる。その結果、ポールはフォークの揺動を開放できなくなり、フォークはアンラッチ状態に切り替わらない。こうして、従来の車両用ドアロック装置は、衝撃等時における意に反するドアの開放の防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−26780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の車両用ドアロック装置では、通常時、ドアハンドルの開操作のたびに慣性レバーがポールに当接する。このため、コントロールレバーに揺動可能に支持される慣性レバーと、コントロールレバーとの間にガタつき等の不具合が発生するおそれがあり、ひいては、耐久性が低下するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、衝撃等時における意に反するドアの開放を確実に防止できるとともに、耐久性の低下を抑制できる車両用ドアロック装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両用ドアロック装置は、車体の開口を開閉するドアに設けられ、前記車体に固定されたストライカが進入する進入口をもつハウジングと、
前記ハウジングに揺動可能に設けられ、前記進入口内において前記ストライカを係止するラッチ状態、又は前記進入口内において前記ストライカの係止を解除するアンラッチ状態に切り替わるフォークと、
前記ハウジングに揺動可能に設けられ、前記フォークの揺動を固定又は開放可能なポールと、
前記ハウジングにオープンレバー軸心周りに揺動可能に設けられ、一端側がドアハンドルに連結され、前記ドアハンドルの開操作によって変位するオープンレバーと、
前記オープンレバーの他端側に連結され、前記オープンレバーの揺動に伴って変位して前記ポールに作用し、前記フォークを前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態に切り替えるコントロールレバーとを備える車両用ドアロック装置であって、
前記オープンレバー及び前記コントロールレバーの一方には、前記開口に進退する方向に直交する方向に延びる枢軸周りに揺動可能とされ、設定値を超える慣性力が作用することにより第1位置から第2位置まで揺動する慣性レバーが設けられ、
前記慣性レバーは、前記第1位置では、前記ハウジングとの当接を回避するとともに、前記オープンレバー及び前記コントロールレバーの他方との当接を回避する一方、前記第2位置では、前記ハウジングと当接し、又は前記オープンレバー及び前記コントロールレバーの他方と当接し、前記オープンレバー及び前記コントロールレバーの少なくとも一方を拘束するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の車両用ドアロック装置では、車両に対する衝突等時、慣性レバーが開口に進退する方向に直交する方向に延びる枢軸周りに、第1位置から第2位置まで揺動する。この場合において、衝撃等によりドアハンドルが変位し、それに伴って、オープンレバー及びコントロールレバーが変位しても、第2位置にある慣性レバーがハウジングと当接し、又はオープンレバー及びコントロールレバーの他方と当接し、オープンレバー及びコントロールレバーの少なくとも一方を拘束する。その結果、コントロールレバーは、ポールから離間したままとなるので、ポールはフォークの揺動を開放できなくなり、フォークはアンラッチ状態に切り替わらない。こうして、この車両用ドアロック装置は、衝撃等時における意に反するドアの開放を防止できる。
【0011】
また、この車両用ドアロック装置において、慣性レバーは、衝突等時にのみ、ハウジングと当接し、又はオープンレバー及びコントロールレバーの他方と当接する。このため、コントロールレバーに慣性レバーが設けられ、その慣性レバーがドアの開操作のたびにポールに当接する上記従来技術と比較して、この車両用ドアロック装置は、コントロールレバーに揺動可能に支持される慣性レバーと、コントロールレバーとの間にガタつき等の不具合が発生し難い。
【0012】
したがって、本発明の車両用ドアロック装置は、衝撃等時における意に反するドアの開放を確実に防止できるとともに、耐久性の低下を抑制できる。
【0013】
本発明の車両用ドアロック装置において、オープンレバー及びコントロールレバーの一方には、慣性レバーを第1位置に保持する付勢力を有する付勢部材が設けられていることが望ましい。この構成によれば、慣性レバーを第1位置から第2位置に変位させる設定値を調整し易い。
【0014】
本発明の車両用ドアロック装置において、付勢部材は、枢軸と同軸とされた捩じりコイルバネであることが望ましい。この構成によれば、捩じりコイルバネの占有スペースを小さくし易いので、装置の小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1の車両用ドアロック装置が適用される車両用ドアの概略斜視図である。
【図2】実施例1の車両用ドアロック装置の斜視図である。
【図3】実施例1の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図4】実施例1の車両用ドアロック装置に係り、図3の矢視A方向から見たポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図5】実施例1の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図6】実施例1の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図7】実施例1の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図8】実施例2の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図9】実施例2の車両用ドアロック装置に係り、図8の矢視B方向から見たポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図10】実施例2の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図11】実施例3の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図12】実施例3の車両用ドアロック装置に係り、図11の矢視C方向から見たポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図13】実施例3の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図14】実施例3の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図15】実施例3の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施例1〜3を図面を参照しつつ説明する。
【0017】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の車両用ドアロック装置1(以下、単に「ドアロック装置1」と呼ぶ。)は、自動車、バス、産業車両等の車両に適用されるものである。ドアロック装置1は、車体の左側面に設けられた開口9を開閉するドア2の後端側に配設されている。
【0018】
より詳しくは、ドア2の後部外面には外部ドアハンドル8が配設され、ドア2の内面には内側ドアハンドル7が配設されている。ドアロック装置1は、ドア2の内部において外部ドアハンドル8の下方に配設されている。ドア2の後端面には、ドアロック装置1の進入口91が露出している。進入口91には、ドア2の開閉に伴ってドアロック装置1が移動する際、略「U」字形状のストライカ99が相対的に進入するようになっている。ドアロック装置1は、ロッド71を介して外部ドアハンドル8と連結され、ケーブル72を介して内側ドアハンドル7と接続されている。
【0019】
なお、図2以降に示す前後方向、上下方向及び内外方向は、すべて図1に対応させて表示している。また、本実施例では、左側ドアに設けられるドアロック装置1を例示するが、右側ドアの場合は勝手違いになるだけである。さらに、ドアロック装置1は、スライド式に開閉する車両用ドアやテールゲート等にも設けられ得る。
【0020】
以下、ドアロック装置1の構成について詳述する。図2に示すように、ドアロック装置1は、ドア2の後端側内部に配設されるハウジング80を備える。ハウジング80は、図2に示す樹脂製のメインハウジング81、図2及び図3に示す金属鋼板製のベースプレート82、及び図3に示す金属鋼板製のバックプレート83等が組み合わされてなる。
【0021】
メインハウジング81内には、後ろ側に開口する図示しない内部空間が形成されており、その内部空間の後ろ側は、図2に示すように、ベースプレート82により塞がれている。ベースプレート82には、車両内側から外側に向けて深く溝状に切り欠かれた進入口91が形成されている。図3に示すように、バックプレート83は、メインハウジング81内において、ベースプレート82に対して前方から対向するように固定されている。
【0022】
図3及び図4に示すように、メインハウジング81内には、前後方向に延在するフォーク揺動軸11S及びポール揺動軸12Sが設けられている。図3に示すように、フォーク揺動軸11Sは、進入口91に対して上方に位置し、ポール揺動軸12Sは、進入口91に対して下方に位置する。図4に示すように、ポール揺動軸12Sは、その後端がベースプレート82に固定され、その前端がバックプレート83に固定されている。図示は省略するが、フォーク揺動軸11Sも、その後端がベースプレート82に固定され、その前端がバックプレート83に固定されている。
【0023】
また、ドアロック装置1は、メインハウジング81内に設けられたフォーク11、ポール12、オープンレバー88、89及びコントロールレバー20を備える。
【0024】
図3に示すように、フォーク11は、メインハウジング81内において、フォーク揺動軸11Sに揺動可能に支持されている。そして、フォーク11は、図示しない捩じりコイルバネにより、フォーク揺動軸11S周りにD1方向に揺動するように付勢されている。
【0025】
フォーク11の進入口91側に位置する部位は、内側凸部11Aと外側凸部11Bとに分岐している。そして、内側凸部11Aと外側凸部11Bとの間に形成された凹部11Cには、進入口91内に進入したストライカ99が収まるようになっている。図3に示す状態では、フォーク11が進入口91の底部でストライカ99を保持している。内側凸部11Aのポール12に対面する先端側には、後述するストッパ面12Aと当接可能なラッチ面11Dが形成されている。
【0026】
図3に示すように、ポール12は、メインハウジング81内において、ポール揺動軸12Sに揺動可能に支持されている。そして、ポール12は、図示しない捩じりコイルバネにより、ポール揺動軸12S周りにD2方向に揺動するように付勢されており、通常は、図3に示す姿勢を保持している。
【0027】
ポール12における進入口91の底部側に位置する部位には、ストッパ面12Aが形成されている。ストッパ面12Aは、ポール揺動軸12Sの軸心を中心として円弧状にカーブする曲面であり、上述のラッチ面11Dに対面するように形成されている。ストッパ面12Aを構成する円弧は、フォーク11側で途切れており、そこからポール揺動軸12S側に延びる摺動面12Cが形成されている。一方、ポール12におけるポール揺動軸12Sを挟んでストッパ面12Aとは反対側には、図3及び図4に示すように、前方に向かって柱状に突出する被当接部12Bが形成されている。
【0028】
図3に示すように、ポール12は、フォーク11が進入口91の底部でストライカ99を保持した状態で、内側凸部11Aのラッチ面11Dにストッパ面12Aが当接することにより、フォーク11をD1方向に揺動させないように固定する。これにより、フォーク11は、進入口91内においてストライカ99を係止するラッチ状態となる。
【0029】
また、図5に示すように、後述するコントロールレバー20の上端がポール12の被当接部12Bに当接して押し上げると、ポール12は、図示しない捩じりコイルバネの付勢力に抗しつつ、ポール揺動軸12S周りにD2方向とは逆方向に揺動する。この際、ストッパ面12Aがラッチ面11Dから離反するので、ポール12がフォーク11の揺動を開放する。そして、フォーク11が図示しない捩じりコイルバネの付勢力によりフォーク揺動軸11S周りにD1方向に揺動して、ストライカ99を進入口91から離脱する方向に変位させる。その結果、フォーク11が進入口91内においてストライカ99の係止を解除するアンラッチ状態に切り替わる。
【0030】
逆に、ストライカ99が進入口91内に進入する場合、ストライカ99が外側凸部11Bを押すので、フォーク11も追従してD1方向とは逆方向に揺動し、図5に示す状態から図3に示す状態に復帰する。この際、外側凸部11B及び内側凸部11Aの先端が順次、摺動面12Cに摺接する。そして、内側凸部11Aが摺動面12Cから離反すると、ポール12は、D2方向に揺動して、図3に示す元の状態に復帰するので、ストッパ面12Aがラッチ面11Dと対面して、フォーク11の揺動を固定する。その結果フォーク11がラッチ状態に切り替わる。
【0031】
図3及び図4に示すように、メインハウジング81内において、ポール12の下方には、オープンレバー88、89と、コントロールレバー20とが設けられている。オープンレバー88、89は金属鋼板製であり、オープンレバー揺動軸88Sに支持されて、図3に示すオープンレバー軸心X88周りに揺動可能とされている。コントロールレバー20は樹脂製であり、上下方向に細長く延在している。図3及び図4に示すように、コントロールレバー20の下端部には、オープンレバー89の先端部89Aが係合している。
【0032】
図3に示すように、オープンレバー89は、図示しない捩じりコイルバネにより、オープンレバー軸心X88周りにD3方向に揺動するように付勢されて、図示しないストッパに当て止まっている。これにより、オープンレバー89及びコントロールレバー20は、通常は、図3に示す姿勢を保持している。この状態では、コントロールレバー20の上端は、ポール12の被当接部12Bの真下に位置している。コントロールレバー20の上端と被当接部12Bとの間には、充分な隙間が確保されている。また、図示は省略するが、コントロールレバー20は、その側面の一部がメインハウジング81に形成されたガイド面と摺接することにより、上下方向のみに変位するように規制されている。
【0033】
ロッド71の下端部は、オープンレバー88の外側端部に形成された連結穴88Aに連結されている。外側ドアハンドル8が開操作されてロッド71が下降すると、図5に示すように、オープンレバー88がオープンレバー89の係合部89Bに係合するので、オープンレバー88、89がD3方向とは逆方向に一体的に揺動する。そうすると、オープンレバー89の先端部89Aが上昇して、コントロールレバー20を押し上げる。
【0034】
また、図示は省略するが、ケーブル72は、図3及び図4に示す可動部材87に連結されている。そして、内側ドアハンドル7が開操作されてケーブル72が作動すると、可動部材87が上昇して、コントロールレバー20の下端に当接し、コントロールレバー20を押し上げる。この際、オープンレバー89は、オープンレバー88とは独立してD3方向とは逆方向に揺動するので、可動部材87及びコントロールレバー20の変位を妨げない。
【0035】
こうして、コントロールレバー20は、外側ドアハンドル8又は内側ドアハンドル7の開操作によって上方に変位するようになっている。
【0036】
図3及び図4に示すように、オープンレバー89は、オープンレバー揺動軸88Sと先端部89Aとの中間付近から上方に向けて突出する慣性レバー支持部89Pを有する。慣性レバー支持部89Pには、慣性レバー揺動軸30Sが嵌入されている。慣性レバー揺動軸30Sは、前後方向(開口9に進退する方向に直交する方向)に延びる枢軸X1を軸心として、慣性レバー支持部89Pから前方に向けて突出している。慣性レバー支持部89Pの上端部には、細板状をなして前方に向けて突出するストッパ部89Qが形成されている。
【0037】
オープンレバー89には、慣性レバー30と、捩じりコイルバネ41とが設けられている。慣性レバー30は、慣性レバー揺動軸30Sに挿通されて、枢軸X1周りに揺動可能とされている。慣性レバー30は、本実施例では、亜鉛ダイキャスト製とされている。図4に示すように、捩じりコイルバネ41は、慣性レバー30より前方に位置するように、慣性レバー揺動軸30Sに挿通されて、枢軸X1と同軸に配設されている。捩じりコイルバネ41は、本発明の「付勢部材」の一例である。
【0038】
図3に示すように、慣性レバー30は、枢軸X1の径外方向に延び、さらに前方に屈曲して角柱状に突出しており、その柱状部分が拘束部30Aとされている。捩じりコイルバネ41の一端は拘束部30Aの下端面に係止され、捩じりコイルバネ41の他端はオープンレバー89に係止されている。これにより、慣性レバー30は、枢軸X1周りにD4方向に揺動するように付勢されており、通常状態(図1に示す衝撃F0が作用しない状態)では、ストッパ部89Qに当て止まって、上方に立ち上がった状態となっている。図3に示す慣性レバー30の位置は、本発明の第1位置である。この状態では、図5に示すように、オープンレバー89と、第1位置にある慣性レバー30とがオープンレバー軸心X88周りに一体的に揺動する。
【0039】
ここで、捩じりコイルバネ41の付勢力と、慣性レバー30の重量(特に、拘束部30Aの重量)とは、図6に示すように、設定値を超える慣性力F1が慣性レバー30に作用することにより、慣性レバー30が捩じりコイルバネ41の付勢力に抗しつつ、オープンレバー89に対して枢軸X1周りで第1位置から図6に示す位置まで揺動するように設定されている。図6に示す慣性レバー30の位置は、本発明の第2位置である。設定値は、例えば、車両の側面衝突等の際の実測データ等に基づいて適宜設定される。
【0040】
図3及び図4に示すように、バックプレート83の下部には、規制面83Aが形成されている。規制面83Aは、慣性レバー30の拘束部30Aに対して車両外側に位置する。また、規制面83Aは、緩やかな円弧を描きつつ、車両内側から外側に向かって下り傾斜している。このような形状により、規制面83Aは、図3及び図6に示すように、オープンレバー88、89が揺動していない状態では、第1位置から第2位置に揺動する慣性レバー30に対して離間したまま、慣性レバー30の揺動を妨げないようになっている。
【0041】
このような構成である実施例1のドアロック装置1では、図3に示すように、ラッチ状態のフォーク11がドア2を閉じた状態で保持する場合において、搭乗者が外側ドアハンドル8又は内側ドアハンドル7を操作して、ロッド71又はケーブル72が動作すると、オープンレバー88、89を介してコントロールレバー20が上方に変位する。この際、図5に示すように、第1位置にある慣性レバー30の拘束部30Aは、バックプレート83の規制面83との当接を回避する。
【0042】
そして、コントロールレバー20の上端がポール12の被当接部12Bに当接して押し上げるので、上述した通り、ポール12がポール揺動軸12S周りにD2方向とは逆方向に揺動して、フォーク11の揺動を開放し、フォーク11がアンラッチ状態に切り替わる。その結果、ドアロック装置1は、ドア2を保持しなくなり、搭乗者がドア2を開くことができる。
【0043】
逆に、搭乗者がドア2を閉めようとすることにより、ストライカ99が進入口91内に進入すると、上述したように、フォーク11がストライカ99に押されてD1方向とは逆方向に揺動して、図5に示す状態から図3に示す状態に復帰する。それに伴って、ポール12がD2方向に揺動して、図3に示す元の状態に復帰し、フォーク11の揺動を固定するので、フォーク11がラッチ状態に切り替わる。その結果、ドアロック装置1は、ドア2を閉じた状態で保持する。なお、図5では、ロッド71が下降し、オープンレバー88、89が揺動した状態が図示されているが、搭乗者がドア2を閉めようとする場合は外側ドアハンドル8の開操作は終わっているので、実際には、ロッド71及びオープンレバー88、89は図3に示す元の位置に復帰している。
【0044】
また、車両に対する衝突等により、図1に示すようにドア2や車両が車外から衝撃F0を受けると、図6に示すように、慣性レバー30に対して、衝撃方向とは反対方向に慣性力が作用する。そして、その慣性力が設定値を超える慣性力F1である場合、慣性レバー30は、捩じりコイルバネ41の付勢力に抗しつつ、枢軸X1周りで、第1位置から衝撃方向とは反対方向である第2位置まで揺動する。これにより、慣性レバー30の拘束部30Aとバックプレート83の規制面83Aとが対向する。
【0045】
ここで、ロッド71は剛直な棒体であり、ドア2の外面に露出する外側ドアハンドル8と連結されている。このため、衝撃F0に伴ってドア2が変形し、外側ドアハンドル8とハウジング80との相対位置関係が短縮された場合、ロッド71がハウジング80に対して相対的に下方に変位しようとする。また、外側ドアハンドル8も質量体であることから、車両が衝撃F0を受けると、外側ドアハンドル8にも衝撃方向とは反対方向に慣性力(図示しない)が作用する。そうすると、搭乗者がドア2の開操作を行う場合と同様に外側ドアハンドル8が変位し、外側ドアハンドル8と連結されたロッド71が下方に変位しようとする。そして、仮に、衝撃F0によりロッド71が下方に変位すれば、オープンレバー88、89及びコントロールレバー20が意に反して変位するという不具合が生じることとなる。しかしながら、このような場合であっても、上述したように、慣性レバー30は第2位置まで揺動して、拘束部30Aと規制面83Aとが対向しているので、オープンレバー89が図6に示す状態からオープンレバー軸心X88周りに揺動しようとしても、図7に示すように、拘束部30Aが規制面83Aに当て止まって、オープンレバー89を拘束する。その結果、オープンレバー88、89及びコントロールレバー20が意に反して変位することが阻止される。
【0046】
こうして、衝撃等時、衝撃F0によりロッド71が下方に変位しようとしても、オープンレバー88、89及びコントロールレバー20の変位が阻止されるので、ポール12がフォーク11の揺動を固定したままとなり、フォーク11がラッチ状態からアンラッチ状態に切り替わらない。説明は省略するが、ケーブル72及び可動部材87が衝突等時のドア2の変形等により意に反して変位する場合も同様である。こうして、このドアロック装置1は、衝撃等時における意に反するドア2の開放を防止できる。
【0047】
また、このロック装置1において、慣性レバー30の拘束部30Aは、衝突等時にのみ、バックプレート83の規制面83Aに当接する。このため、コントロールレバーに慣性レバーが設けられ、その慣性レバーがドアの開操作のたびにポールに当接する上記従来技術と比較して、このドアロック装置1は、コントロールレバー20に揺動可能に支持される慣性レバー30と、コントロールレバー20との間に、より詳しくは、慣性レバー30と慣性レバー揺動軸30Sとの間や、慣性レバー揺動軸30Sと慣性レバー支持部89Pとの間等に、ガタつき等の不具合が発生し難い。
【0048】
したがって、実施例1のドアロック装置1は、衝撃等時における意に反するドア2の開放を確実に防止できるとともに、耐久性の低下を抑制できる。
【0049】
また、このドアロック装置1において、オープンレバー89の慣性レバー支持部89Pには、慣性レバー30を第1位置に保持する付勢力を有する捩じりコイルバネ41が枢軸X1と同軸に設けられている。この構成により、このドアロック装置1は、慣性レバー30を第1位置から第2位置に変位させる設定値を調整し易いとともに、捩じりコイルバネ41の占有スペースを小さくし易いので、装置の小型化を実現できる。
【0050】
(実施例2)
図8及び図9に示すように、実施例2のドアロック装置では、実施例1におけるコントロールレバー20の代わりにコントロールレバー220を採用し、コントロールレバー220に慣性レバー230を設けている。そして、オープンレバー89から慣性レバー支持部89Pを取り除いている。実施例2のドアロック装置のその他の構成は、実施例1のドアロック装置1と同様である。このため、実施例1のドアロック装置1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0051】
実施例2のドアロック装置において、コントロールレバー220は、実施例1のコントロールレバー20と同様に、上下方向に細長く延在しており、その下端部には、オープンレバー89の先端部89Aが係合している。また、コントロールレバー220の上端は、ポール12の被当接部12Bの真下に位置しており、双方の間には充分な隙間が確保されている。また、図示は省略するが、コントロールレバー220は、その側面の一部がメインハウジング81に形成されたガイド面と摺接することにより、上下方向のみに変位するように規制されている。
【0052】
コントロールレバー220における上下方向の中間部には、慣性レバー揺動軸230Sが嵌入されている。慣性レバー揺動軸230Sは、前後方向(開口9に進退する方向に直交する方向)に延びる枢軸X21を軸心として、コントロールレバー220の中間部から前方に向けて突出している。コントロールレバー220の上方には、細板状をなして前方に向けて突出するストッパ部229Qが形成されている。
【0053】
コントロールレバー220には、慣性レバー230と、捩じりコイルバネ241とが設けられている。慣性レバー230は、慣性レバー揺動軸230Sに挿通されて、枢軸X21周りに揺動可能とされている。図9に示すように、捩じりコイルバネ241は、慣性レバー230とコントロールレバー220とに前後から挟まれた状態となるように、慣性レバー揺動軸230Sに挿通されて、枢軸X21と同軸に配設されている。捩じりコイルバネ241も、本発明の「付勢部材」の一例である。
【0054】
図8に示すように、慣性レバー230は、枢軸X21の径外方向に延び、さらに前方に屈曲して角柱状に突出しており、その柱状部分が拘束部230Aとされている。捩じりコイルバネ241の一端は拘束部230Aの下端面に係止され、捩じりコイルバネ241の他端はコントロールレバー220に係止されている。これにより、慣性レバー230は、枢軸X21周りにD4方向に揺動するように付勢されており、通常状態(図1に示す衝撃F0が作用しない状態)では、ストッパ部229Qに当て止まって、上方に立ち上がった状態となっている。図8に示す慣性レバー230の位置は、本発明の第1位置である。この状態では、コントロールレバー220と、第1位置にある慣性レバー230とが上下方向に一体的に変位する。この際、慣性レバー230は、後述する規制面283Aとの当接を回避する。
【0055】
ここで、捩じりコイルバネ241の付勢力と、慣性レバー230の重量(特に、拘束部230Aの重量)とは、図10に示すように、設定値を超える慣性力F1が慣性レバー230に作用することにより、慣性レバー230が捩じりコイルバネ241の付勢力に抗しつつ、コントロールレバー220に対して枢軸X21周りで第1位置から図10に示す位置まで揺動するように設定されている。図10に示す慣性レバー230の位置は、本発明の第2位置である。
【0056】
図8及び図9に示すように、バックプレート83の下部には、規制面283Aが形成されている。規制面283Aは、慣性レバー230の拘束部230Aに対して車両外側に位置する。また、規制面283Aは、緩やかな円弧を描きつつ、車両内側から外側に向かって下り傾斜している。このような形状により、規制面283Aは、図8及び図10に示すように、オープンレバー88、89が揺動していない状態では、第1位置から第2位置に揺動する慣性レバー230に対して離間したまま、慣性レバー230の揺動を妨げないようになっている。
【0057】
このような構成である実施例2のドアロック装置では、車両に対する衝突等により、図1に示すようにドア2や車両が車外から衝撃F0を受けると、図10に示すように、慣性レバー230に対して、衝撃方向とは反対方向に慣性力が作用する。そして、その慣性力が設定値を超える慣性力F1である場合、慣性レバー230は、捩じりコイルバネ241の付勢力に抗しつつ、枢軸X21周りで、第1位置から衝撃方向とは反対方向である第2位置まで揺動する。これにより、慣性レバー230の拘束部230Aとバックプレート83の規制面283Aとが対向する。
【0058】
図示は省略するが、衝撃F0によりオープンレバー88、89及びコントロールレバー220が意に反して変位しようとする場合、第2位置に揺動した慣性レバー230の拘束部230Aと、バックプレート83の規制面283Aとが対向しているので、拘束部230Aが規制面283Aに当て止まって、コントロールレバー220を拘束する。その結果、オープンレバー88、89及びコントロールレバー220が意に反して変位することが阻止される。
【0059】
したがって、実施例2のドアロック装置も、実施例1のドアロック装置1と同様の作用効果を奏することができる。
【0060】
(実施例3)
図11及び図12に示すように、実施例3のドアロック装置は、実施例1におけるコントロールレバー20の代わりにコントロールレバー320を採用し、コントロールレバー320に慣性レバー330を設けている。そして、オープンレバー89から慣性レバー支持部89Pを取り除いている。また、実施例3のドアロック装置は、実施例1におけるバックプレート83の規制面83Aの代わりに、オープンレバー89の先端部89Aに、規制面89Sを設けている。実施例3のドアロック装置のその他の構成は、実施例1のドアロック装置1と同様である。このため、実施例1のドアロック装置1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0061】
実施例3のドアロック装置において、コントロールレバー320は、実施例1のコントロールレバー20と同様に、上下方向に細長く延在しており、その下端部には、オープンレバー89の先端部89Aが係合している。また、コントロールレバー320の上端は、ポール12の被当接部12Bの真下に位置しており、双方の間には充分な隙間が確保されている。また、図11に示すように、コントロールレバー20は、その側面の一部がメインハウジング81に形成された規制ガイド81Aと摺接することにより、上下方向のみに変位するように規制されている。なお、規制ガイド81Aは、図11では突起形状とされているが、この構成に限定されず、例えば、ガイド面であってもよい。
【0062】
コントロールレバー320における上下方向の中間部には、慣性レバー揺動軸330Sが嵌入されている。慣性レバー揺動軸330Sは、前後方向(開口9に進退する方向に直交する方向)に延びる枢軸X31を軸心として、コントロールレバー320の中間部から前方に向けて突出している。コントロールレバー320の上方には、細板状をなして前方に向けて突出するストッパ部329Qが形成されている。
【0063】
コントロールレバー320には、慣性レバー330と、捩じりコイルバネ341とが設けられている。慣性レバー330は、慣性レバー揺動軸330Sに挿通されて、枢軸X31周りに揺動可能とされている。図12に示すように、捩じりコイルバネ341は、慣性レバー330とコントロールレバー320とに前後から挟まれた状態となるように、慣性レバー揺動軸330Sに挿通されて、枢軸X31と同軸に配設されている。捩じりコイルバネ341も、本発明の「付勢部材」の一例である。
【0064】
図11及び図12に示すように、慣性レバー330は、枢軸X31の径外方向に延び、さらに前方に屈曲して角柱状に突出しており、その柱状部分が質量部330Mとされている。また、慣性レバー330は、慣性レバー揺動軸330Sより下方に突出する拘束部330Aを有している。
【0065】
捩じりコイルバネ341の一端は質量部330Mの下端面に係止され、捩じりコイルバネ341の他端はコントロールレバー320に係止されている。これにより、慣性レバー330は、枢軸X31周りにD4方向に揺動するように付勢されており、通常状態(図1に示す衝撃F0が作用しない状態)では、ストッパ部329Qに当て止まって、上方に立ち上がった状態となっている。図11に示す慣性レバー330の位置は、本発明の第1位置である。この状態では、図13に示すように、コントロールレバー320と、第1位置にある慣性レバー330とが上下方向に一体的に変位する。この際、拘束部330Aは、後述する規制面89Sとの当接を回避するので、オープンレバー軸心X88周りに揺動するオープンレバー89と、上下方向に変位するコントロールレバー320との相対角度の変化が許容される。
【0066】
ここで、捩じりコイルバネ341の付勢力と、慣性レバー330の重量(特に、質量部330Mの重量)とは、図14に示すように、設定値を超える慣性力F1が慣性レバー330に作用することにより、慣性レバー330が捩じりコイルバネ341の付勢力に抗しつつ、コントロールレバー320に対して枢軸X31周りで第1位置から図14に示す位置まで揺動するように設定されている。図14に示す慣性レバー330の位置は、本発明の第2位置である。
【0067】
図11及び図12に示すように、オープンレバー89の先端部89Aは、コントロールレバー320の反対側まで突き抜けた後、前方に向けて屈曲しており、その屈曲部分の上端面が規制面89Sとされている。規制面89Sは、慣性レバー330の拘束部330Aに対して下方、かつ車両内側に離間するように位置する。このような形状により、規制面89Sは、図11及び図14に示すように、オープンレバー88、89が揺動していない状態では、第1位置から第2位置に揺動する慣性レバー330に対して離間したまま、慣性レバー330の揺動を妨げないようになっている。
【0068】
このような構成である実施例3のドアロック装置では、車両に対する衝突等により、図1に示すようにドア2や車両が車外から衝撃F0を受けると、図14に示すように、慣性レバー330に対して、衝撃方向とは反対方向に慣性力が作用する。そして、その慣性力が設定値を超える慣性力F1である場合、慣性レバー330は、捩じりコイルバネ341の付勢力に抗しつつ、枢軸X31周りで、第1位置から衝撃方向とは反対方向である第2位置まで揺動する。これにより、慣性レバー330の拘束部330Aとオープンレバー89の規制面89Sとが対向する。
【0069】
そして、図15に示すように、衝撃F0によりオープンレバー88、89及びコントロールレバー320が意に反して変位しようとする場合、第2位置に揺動した慣性レバー330の拘束部330Aと、オープンレバー89の規制面89Sとが対向しているので、拘束部330Aが規制面89Sに当て止まる。この際、コントロールレバー320は、規制ガイド81Aにより上下方向の変位しかできないので、オープンレバー軸心X88周りに揺動するオープンレバー89と、上下方向に変位するコントロールレバー320との相対角度の変化が禁止される。こうして、慣性レバー330の拘束部330Aは、オープンレバー89及びコントロールレバー320を拘束する。その結果、オープンレバー88、89及びコントロールレバー320が意に反して変位することが阻止される。
【0070】
したがって、実施例3のドアロック装置も、実施例1のドアロック装置1と同様の作用効果を奏することができる。
【0071】
以上において、本発明を実施例1〜3に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0072】
例えば、実施例1において、慣性レバー30は、第2位置においてバックプレート83の規制面83Aに当接する構成であるが、この構成には限定されない。例えば、慣性レバー30は、第2位置においてメインハウジング81やベースプレート82等に当接する構成でもよい。
【0073】
また、本発明の付勢部材は、実施例1〜3のように枢軸X1、X21、X31に同軸に設けられた捩じりコイルバネ41、241、341に限定されない。例えば、付勢部材は、引っ張りコイルバネや圧縮コイルバネでもよく、その一端が慣性レバーに係止され、その他端がハウジング等に係止されていてもよい。
【0074】
また、本発明のオープンレバーに慣性レバーを設ける場合において、実施例3のようにコントロールレバー320に設けられた慣性レバー330の拘束部330Aがオープンレバー89に当接して、オープンレバー89とコントロールレバー320との相対角度変化を禁止する構成と同様の構成を採用することができる。具体的には、オープンレバーに拘束部330Aと同様の拘束部を有する慣性レバーを設け、その拘束部がコントロールレバーに当接して、オープンレバーとコントロールレバーとの相対角度変化を禁止する構成を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は自動車、バス、産業車両等の車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0076】
9…開口
2…ドア
99…ストライカ
91…進入口
80…ハウジング
11…フォーク
12…ポール
X88…オープンレバー軸心
7、8…ドアハンドル(8…外側ドアハンドル、7…内側ドアハンドル)
88、89…オープンレバー
88A…オープンレバーの一端(連結穴)
89A…オープンレバーの他端(先端部)
20、220、320…コントロールレバー
X1、X21、X31…枢軸
F1…設定値を超える慣性力
30、230、330…慣性レバー
1…車両用ドアロック装置
41、241、341…付勢部材(捩じりコイルバネ)
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の車両用ドアロック装置が開示されている。この車両用ドアロック装置は、車体の開口を開閉するドアに設けられ、車体に固定されたストライカが進入する進入口をもつハウジングと、ハウジングに揺動可能に設けられ、進入口内においてストライカを係止するラッチ状態、又は進入口内においてストライカの係止を解除するアンラッチ状態に切り替わるフォークと、ハウジングに揺動可能に設けられ、フォークの揺動を固定又は開放可能なポールとを備える。
【0003】
また、この車両用ドアロック装置は、ハウジングにオープンレバー軸心周りに揺動可能に設けられ、一端側がドアハンドルに連結されたオープンレバーと、オープンレバーの他端側に連結されたコントロールレバーとを備える。オープンレバーは、ドアハンドルの開操作によって変位するものである。コントロールレバーは、オープンレバーの揺動に伴って変位するものである。
【0004】
コントロールレバーには、開口に進退する方向に直交する方向に延びる枢軸周りに揺動可能とされた慣性レバーが設けられている。慣性レバーは、設定値を超える慣性力が作用することにより、ポールに当接可能な第1位置から、ポールから離間する第2位置まで揺動するようになっている。
【0005】
上記従来の車両用ドアロック装置では、通常時、慣性レバーに慣性力が作用しないので、慣性レバーが第1位置にある。この場合において、ドアハンドルの開操作によってオープンレバー及びコントロールレバーが変位すると、慣性レバーがポールに当接してフォークの揺動を開放させる。その結果、ポールがフォークをラッチ状態からアンラッチ状態に切り替える。その一方、車両に対して衝撃等が作用した場合、慣性レバーが慣性力により第2位置に揺動する。この場合において、衝撃等によりドアハンドルが変位し、それに伴って、オープンレバー及びコントロールレバーが変位しても、第2位置にある慣性レバーがポールから離間したままとなる。その結果、ポールはフォークの揺動を開放できなくなり、フォークはアンラッチ状態に切り替わらない。こうして、従来の車両用ドアロック装置は、衝撃等時における意に反するドアの開放の防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−26780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の車両用ドアロック装置では、通常時、ドアハンドルの開操作のたびに慣性レバーがポールに当接する。このため、コントロールレバーに揺動可能に支持される慣性レバーと、コントロールレバーとの間にガタつき等の不具合が発生するおそれがあり、ひいては、耐久性が低下するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、衝撃等時における意に反するドアの開放を確実に防止できるとともに、耐久性の低下を抑制できる車両用ドアロック装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両用ドアロック装置は、車体の開口を開閉するドアに設けられ、前記車体に固定されたストライカが進入する進入口をもつハウジングと、
前記ハウジングに揺動可能に設けられ、前記進入口内において前記ストライカを係止するラッチ状態、又は前記進入口内において前記ストライカの係止を解除するアンラッチ状態に切り替わるフォークと、
前記ハウジングに揺動可能に設けられ、前記フォークの揺動を固定又は開放可能なポールと、
前記ハウジングにオープンレバー軸心周りに揺動可能に設けられ、一端側がドアハンドルに連結され、前記ドアハンドルの開操作によって変位するオープンレバーと、
前記オープンレバーの他端側に連結され、前記オープンレバーの揺動に伴って変位して前記ポールに作用し、前記フォークを前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態に切り替えるコントロールレバーとを備える車両用ドアロック装置であって、
前記オープンレバー及び前記コントロールレバーの一方には、前記開口に進退する方向に直交する方向に延びる枢軸周りに揺動可能とされ、設定値を超える慣性力が作用することにより第1位置から第2位置まで揺動する慣性レバーが設けられ、
前記慣性レバーは、前記第1位置では、前記ハウジングとの当接を回避するとともに、前記オープンレバー及び前記コントロールレバーの他方との当接を回避する一方、前記第2位置では、前記ハウジングと当接し、又は前記オープンレバー及び前記コントロールレバーの他方と当接し、前記オープンレバー及び前記コントロールレバーの少なくとも一方を拘束するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の車両用ドアロック装置では、車両に対する衝突等時、慣性レバーが開口に進退する方向に直交する方向に延びる枢軸周りに、第1位置から第2位置まで揺動する。この場合において、衝撃等によりドアハンドルが変位し、それに伴って、オープンレバー及びコントロールレバーが変位しても、第2位置にある慣性レバーがハウジングと当接し、又はオープンレバー及びコントロールレバーの他方と当接し、オープンレバー及びコントロールレバーの少なくとも一方を拘束する。その結果、コントロールレバーは、ポールから離間したままとなるので、ポールはフォークの揺動を開放できなくなり、フォークはアンラッチ状態に切り替わらない。こうして、この車両用ドアロック装置は、衝撃等時における意に反するドアの開放を防止できる。
【0011】
また、この車両用ドアロック装置において、慣性レバーは、衝突等時にのみ、ハウジングと当接し、又はオープンレバー及びコントロールレバーの他方と当接する。このため、コントロールレバーに慣性レバーが設けられ、その慣性レバーがドアの開操作のたびにポールに当接する上記従来技術と比較して、この車両用ドアロック装置は、コントロールレバーに揺動可能に支持される慣性レバーと、コントロールレバーとの間にガタつき等の不具合が発生し難い。
【0012】
したがって、本発明の車両用ドアロック装置は、衝撃等時における意に反するドアの開放を確実に防止できるとともに、耐久性の低下を抑制できる。
【0013】
本発明の車両用ドアロック装置において、オープンレバー及びコントロールレバーの一方には、慣性レバーを第1位置に保持する付勢力を有する付勢部材が設けられていることが望ましい。この構成によれば、慣性レバーを第1位置から第2位置に変位させる設定値を調整し易い。
【0014】
本発明の車両用ドアロック装置において、付勢部材は、枢軸と同軸とされた捩じりコイルバネであることが望ましい。この構成によれば、捩じりコイルバネの占有スペースを小さくし易いので、装置の小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1の車両用ドアロック装置が適用される車両用ドアの概略斜視図である。
【図2】実施例1の車両用ドアロック装置の斜視図である。
【図3】実施例1の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図4】実施例1の車両用ドアロック装置に係り、図3の矢視A方向から見たポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図5】実施例1の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図6】実施例1の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図7】実施例1の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図8】実施例2の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図9】実施例2の車両用ドアロック装置に係り、図8の矢視B方向から見たポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図10】実施例2の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図11】実施例3の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図12】実施例3の車両用ドアロック装置に係り、図11の矢視C方向から見たポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図13】実施例3の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図14】実施例3の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【図15】実施例3の車両用ドアロック装置に係り、フォーク、ポール、オープンレバー、コントロールレバー及び慣性レバー等を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施例1〜3を図面を参照しつつ説明する。
【0017】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の車両用ドアロック装置1(以下、単に「ドアロック装置1」と呼ぶ。)は、自動車、バス、産業車両等の車両に適用されるものである。ドアロック装置1は、車体の左側面に設けられた開口9を開閉するドア2の後端側に配設されている。
【0018】
より詳しくは、ドア2の後部外面には外部ドアハンドル8が配設され、ドア2の内面には内側ドアハンドル7が配設されている。ドアロック装置1は、ドア2の内部において外部ドアハンドル8の下方に配設されている。ドア2の後端面には、ドアロック装置1の進入口91が露出している。進入口91には、ドア2の開閉に伴ってドアロック装置1が移動する際、略「U」字形状のストライカ99が相対的に進入するようになっている。ドアロック装置1は、ロッド71を介して外部ドアハンドル8と連結され、ケーブル72を介して内側ドアハンドル7と接続されている。
【0019】
なお、図2以降に示す前後方向、上下方向及び内外方向は、すべて図1に対応させて表示している。また、本実施例では、左側ドアに設けられるドアロック装置1を例示するが、右側ドアの場合は勝手違いになるだけである。さらに、ドアロック装置1は、スライド式に開閉する車両用ドアやテールゲート等にも設けられ得る。
【0020】
以下、ドアロック装置1の構成について詳述する。図2に示すように、ドアロック装置1は、ドア2の後端側内部に配設されるハウジング80を備える。ハウジング80は、図2に示す樹脂製のメインハウジング81、図2及び図3に示す金属鋼板製のベースプレート82、及び図3に示す金属鋼板製のバックプレート83等が組み合わされてなる。
【0021】
メインハウジング81内には、後ろ側に開口する図示しない内部空間が形成されており、その内部空間の後ろ側は、図2に示すように、ベースプレート82により塞がれている。ベースプレート82には、車両内側から外側に向けて深く溝状に切り欠かれた進入口91が形成されている。図3に示すように、バックプレート83は、メインハウジング81内において、ベースプレート82に対して前方から対向するように固定されている。
【0022】
図3及び図4に示すように、メインハウジング81内には、前後方向に延在するフォーク揺動軸11S及びポール揺動軸12Sが設けられている。図3に示すように、フォーク揺動軸11Sは、進入口91に対して上方に位置し、ポール揺動軸12Sは、進入口91に対して下方に位置する。図4に示すように、ポール揺動軸12Sは、その後端がベースプレート82に固定され、その前端がバックプレート83に固定されている。図示は省略するが、フォーク揺動軸11Sも、その後端がベースプレート82に固定され、その前端がバックプレート83に固定されている。
【0023】
また、ドアロック装置1は、メインハウジング81内に設けられたフォーク11、ポール12、オープンレバー88、89及びコントロールレバー20を備える。
【0024】
図3に示すように、フォーク11は、メインハウジング81内において、フォーク揺動軸11Sに揺動可能に支持されている。そして、フォーク11は、図示しない捩じりコイルバネにより、フォーク揺動軸11S周りにD1方向に揺動するように付勢されている。
【0025】
フォーク11の進入口91側に位置する部位は、内側凸部11Aと外側凸部11Bとに分岐している。そして、内側凸部11Aと外側凸部11Bとの間に形成された凹部11Cには、進入口91内に進入したストライカ99が収まるようになっている。図3に示す状態では、フォーク11が進入口91の底部でストライカ99を保持している。内側凸部11Aのポール12に対面する先端側には、後述するストッパ面12Aと当接可能なラッチ面11Dが形成されている。
【0026】
図3に示すように、ポール12は、メインハウジング81内において、ポール揺動軸12Sに揺動可能に支持されている。そして、ポール12は、図示しない捩じりコイルバネにより、ポール揺動軸12S周りにD2方向に揺動するように付勢されており、通常は、図3に示す姿勢を保持している。
【0027】
ポール12における進入口91の底部側に位置する部位には、ストッパ面12Aが形成されている。ストッパ面12Aは、ポール揺動軸12Sの軸心を中心として円弧状にカーブする曲面であり、上述のラッチ面11Dに対面するように形成されている。ストッパ面12Aを構成する円弧は、フォーク11側で途切れており、そこからポール揺動軸12S側に延びる摺動面12Cが形成されている。一方、ポール12におけるポール揺動軸12Sを挟んでストッパ面12Aとは反対側には、図3及び図4に示すように、前方に向かって柱状に突出する被当接部12Bが形成されている。
【0028】
図3に示すように、ポール12は、フォーク11が進入口91の底部でストライカ99を保持した状態で、内側凸部11Aのラッチ面11Dにストッパ面12Aが当接することにより、フォーク11をD1方向に揺動させないように固定する。これにより、フォーク11は、進入口91内においてストライカ99を係止するラッチ状態となる。
【0029】
また、図5に示すように、後述するコントロールレバー20の上端がポール12の被当接部12Bに当接して押し上げると、ポール12は、図示しない捩じりコイルバネの付勢力に抗しつつ、ポール揺動軸12S周りにD2方向とは逆方向に揺動する。この際、ストッパ面12Aがラッチ面11Dから離反するので、ポール12がフォーク11の揺動を開放する。そして、フォーク11が図示しない捩じりコイルバネの付勢力によりフォーク揺動軸11S周りにD1方向に揺動して、ストライカ99を進入口91から離脱する方向に変位させる。その結果、フォーク11が進入口91内においてストライカ99の係止を解除するアンラッチ状態に切り替わる。
【0030】
逆に、ストライカ99が進入口91内に進入する場合、ストライカ99が外側凸部11Bを押すので、フォーク11も追従してD1方向とは逆方向に揺動し、図5に示す状態から図3に示す状態に復帰する。この際、外側凸部11B及び内側凸部11Aの先端が順次、摺動面12Cに摺接する。そして、内側凸部11Aが摺動面12Cから離反すると、ポール12は、D2方向に揺動して、図3に示す元の状態に復帰するので、ストッパ面12Aがラッチ面11Dと対面して、フォーク11の揺動を固定する。その結果フォーク11がラッチ状態に切り替わる。
【0031】
図3及び図4に示すように、メインハウジング81内において、ポール12の下方には、オープンレバー88、89と、コントロールレバー20とが設けられている。オープンレバー88、89は金属鋼板製であり、オープンレバー揺動軸88Sに支持されて、図3に示すオープンレバー軸心X88周りに揺動可能とされている。コントロールレバー20は樹脂製であり、上下方向に細長く延在している。図3及び図4に示すように、コントロールレバー20の下端部には、オープンレバー89の先端部89Aが係合している。
【0032】
図3に示すように、オープンレバー89は、図示しない捩じりコイルバネにより、オープンレバー軸心X88周りにD3方向に揺動するように付勢されて、図示しないストッパに当て止まっている。これにより、オープンレバー89及びコントロールレバー20は、通常は、図3に示す姿勢を保持している。この状態では、コントロールレバー20の上端は、ポール12の被当接部12Bの真下に位置している。コントロールレバー20の上端と被当接部12Bとの間には、充分な隙間が確保されている。また、図示は省略するが、コントロールレバー20は、その側面の一部がメインハウジング81に形成されたガイド面と摺接することにより、上下方向のみに変位するように規制されている。
【0033】
ロッド71の下端部は、オープンレバー88の外側端部に形成された連結穴88Aに連結されている。外側ドアハンドル8が開操作されてロッド71が下降すると、図5に示すように、オープンレバー88がオープンレバー89の係合部89Bに係合するので、オープンレバー88、89がD3方向とは逆方向に一体的に揺動する。そうすると、オープンレバー89の先端部89Aが上昇して、コントロールレバー20を押し上げる。
【0034】
また、図示は省略するが、ケーブル72は、図3及び図4に示す可動部材87に連結されている。そして、内側ドアハンドル7が開操作されてケーブル72が作動すると、可動部材87が上昇して、コントロールレバー20の下端に当接し、コントロールレバー20を押し上げる。この際、オープンレバー89は、オープンレバー88とは独立してD3方向とは逆方向に揺動するので、可動部材87及びコントロールレバー20の変位を妨げない。
【0035】
こうして、コントロールレバー20は、外側ドアハンドル8又は内側ドアハンドル7の開操作によって上方に変位するようになっている。
【0036】
図3及び図4に示すように、オープンレバー89は、オープンレバー揺動軸88Sと先端部89Aとの中間付近から上方に向けて突出する慣性レバー支持部89Pを有する。慣性レバー支持部89Pには、慣性レバー揺動軸30Sが嵌入されている。慣性レバー揺動軸30Sは、前後方向(開口9に進退する方向に直交する方向)に延びる枢軸X1を軸心として、慣性レバー支持部89Pから前方に向けて突出している。慣性レバー支持部89Pの上端部には、細板状をなして前方に向けて突出するストッパ部89Qが形成されている。
【0037】
オープンレバー89には、慣性レバー30と、捩じりコイルバネ41とが設けられている。慣性レバー30は、慣性レバー揺動軸30Sに挿通されて、枢軸X1周りに揺動可能とされている。慣性レバー30は、本実施例では、亜鉛ダイキャスト製とされている。図4に示すように、捩じりコイルバネ41は、慣性レバー30より前方に位置するように、慣性レバー揺動軸30Sに挿通されて、枢軸X1と同軸に配設されている。捩じりコイルバネ41は、本発明の「付勢部材」の一例である。
【0038】
図3に示すように、慣性レバー30は、枢軸X1の径外方向に延び、さらに前方に屈曲して角柱状に突出しており、その柱状部分が拘束部30Aとされている。捩じりコイルバネ41の一端は拘束部30Aの下端面に係止され、捩じりコイルバネ41の他端はオープンレバー89に係止されている。これにより、慣性レバー30は、枢軸X1周りにD4方向に揺動するように付勢されており、通常状態(図1に示す衝撃F0が作用しない状態)では、ストッパ部89Qに当て止まって、上方に立ち上がった状態となっている。図3に示す慣性レバー30の位置は、本発明の第1位置である。この状態では、図5に示すように、オープンレバー89と、第1位置にある慣性レバー30とがオープンレバー軸心X88周りに一体的に揺動する。
【0039】
ここで、捩じりコイルバネ41の付勢力と、慣性レバー30の重量(特に、拘束部30Aの重量)とは、図6に示すように、設定値を超える慣性力F1が慣性レバー30に作用することにより、慣性レバー30が捩じりコイルバネ41の付勢力に抗しつつ、オープンレバー89に対して枢軸X1周りで第1位置から図6に示す位置まで揺動するように設定されている。図6に示す慣性レバー30の位置は、本発明の第2位置である。設定値は、例えば、車両の側面衝突等の際の実測データ等に基づいて適宜設定される。
【0040】
図3及び図4に示すように、バックプレート83の下部には、規制面83Aが形成されている。規制面83Aは、慣性レバー30の拘束部30Aに対して車両外側に位置する。また、規制面83Aは、緩やかな円弧を描きつつ、車両内側から外側に向かって下り傾斜している。このような形状により、規制面83Aは、図3及び図6に示すように、オープンレバー88、89が揺動していない状態では、第1位置から第2位置に揺動する慣性レバー30に対して離間したまま、慣性レバー30の揺動を妨げないようになっている。
【0041】
このような構成である実施例1のドアロック装置1では、図3に示すように、ラッチ状態のフォーク11がドア2を閉じた状態で保持する場合において、搭乗者が外側ドアハンドル8又は内側ドアハンドル7を操作して、ロッド71又はケーブル72が動作すると、オープンレバー88、89を介してコントロールレバー20が上方に変位する。この際、図5に示すように、第1位置にある慣性レバー30の拘束部30Aは、バックプレート83の規制面83との当接を回避する。
【0042】
そして、コントロールレバー20の上端がポール12の被当接部12Bに当接して押し上げるので、上述した通り、ポール12がポール揺動軸12S周りにD2方向とは逆方向に揺動して、フォーク11の揺動を開放し、フォーク11がアンラッチ状態に切り替わる。その結果、ドアロック装置1は、ドア2を保持しなくなり、搭乗者がドア2を開くことができる。
【0043】
逆に、搭乗者がドア2を閉めようとすることにより、ストライカ99が進入口91内に進入すると、上述したように、フォーク11がストライカ99に押されてD1方向とは逆方向に揺動して、図5に示す状態から図3に示す状態に復帰する。それに伴って、ポール12がD2方向に揺動して、図3に示す元の状態に復帰し、フォーク11の揺動を固定するので、フォーク11がラッチ状態に切り替わる。その結果、ドアロック装置1は、ドア2を閉じた状態で保持する。なお、図5では、ロッド71が下降し、オープンレバー88、89が揺動した状態が図示されているが、搭乗者がドア2を閉めようとする場合は外側ドアハンドル8の開操作は終わっているので、実際には、ロッド71及びオープンレバー88、89は図3に示す元の位置に復帰している。
【0044】
また、車両に対する衝突等により、図1に示すようにドア2や車両が車外から衝撃F0を受けると、図6に示すように、慣性レバー30に対して、衝撃方向とは反対方向に慣性力が作用する。そして、その慣性力が設定値を超える慣性力F1である場合、慣性レバー30は、捩じりコイルバネ41の付勢力に抗しつつ、枢軸X1周りで、第1位置から衝撃方向とは反対方向である第2位置まで揺動する。これにより、慣性レバー30の拘束部30Aとバックプレート83の規制面83Aとが対向する。
【0045】
ここで、ロッド71は剛直な棒体であり、ドア2の外面に露出する外側ドアハンドル8と連結されている。このため、衝撃F0に伴ってドア2が変形し、外側ドアハンドル8とハウジング80との相対位置関係が短縮された場合、ロッド71がハウジング80に対して相対的に下方に変位しようとする。また、外側ドアハンドル8も質量体であることから、車両が衝撃F0を受けると、外側ドアハンドル8にも衝撃方向とは反対方向に慣性力(図示しない)が作用する。そうすると、搭乗者がドア2の開操作を行う場合と同様に外側ドアハンドル8が変位し、外側ドアハンドル8と連結されたロッド71が下方に変位しようとする。そして、仮に、衝撃F0によりロッド71が下方に変位すれば、オープンレバー88、89及びコントロールレバー20が意に反して変位するという不具合が生じることとなる。しかしながら、このような場合であっても、上述したように、慣性レバー30は第2位置まで揺動して、拘束部30Aと規制面83Aとが対向しているので、オープンレバー89が図6に示す状態からオープンレバー軸心X88周りに揺動しようとしても、図7に示すように、拘束部30Aが規制面83Aに当て止まって、オープンレバー89を拘束する。その結果、オープンレバー88、89及びコントロールレバー20が意に反して変位することが阻止される。
【0046】
こうして、衝撃等時、衝撃F0によりロッド71が下方に変位しようとしても、オープンレバー88、89及びコントロールレバー20の変位が阻止されるので、ポール12がフォーク11の揺動を固定したままとなり、フォーク11がラッチ状態からアンラッチ状態に切り替わらない。説明は省略するが、ケーブル72及び可動部材87が衝突等時のドア2の変形等により意に反して変位する場合も同様である。こうして、このドアロック装置1は、衝撃等時における意に反するドア2の開放を防止できる。
【0047】
また、このロック装置1において、慣性レバー30の拘束部30Aは、衝突等時にのみ、バックプレート83の規制面83Aに当接する。このため、コントロールレバーに慣性レバーが設けられ、その慣性レバーがドアの開操作のたびにポールに当接する上記従来技術と比較して、このドアロック装置1は、コントロールレバー20に揺動可能に支持される慣性レバー30と、コントロールレバー20との間に、より詳しくは、慣性レバー30と慣性レバー揺動軸30Sとの間や、慣性レバー揺動軸30Sと慣性レバー支持部89Pとの間等に、ガタつき等の不具合が発生し難い。
【0048】
したがって、実施例1のドアロック装置1は、衝撃等時における意に反するドア2の開放を確実に防止できるとともに、耐久性の低下を抑制できる。
【0049】
また、このドアロック装置1において、オープンレバー89の慣性レバー支持部89Pには、慣性レバー30を第1位置に保持する付勢力を有する捩じりコイルバネ41が枢軸X1と同軸に設けられている。この構成により、このドアロック装置1は、慣性レバー30を第1位置から第2位置に変位させる設定値を調整し易いとともに、捩じりコイルバネ41の占有スペースを小さくし易いので、装置の小型化を実現できる。
【0050】
(実施例2)
図8及び図9に示すように、実施例2のドアロック装置では、実施例1におけるコントロールレバー20の代わりにコントロールレバー220を採用し、コントロールレバー220に慣性レバー230を設けている。そして、オープンレバー89から慣性レバー支持部89Pを取り除いている。実施例2のドアロック装置のその他の構成は、実施例1のドアロック装置1と同様である。このため、実施例1のドアロック装置1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0051】
実施例2のドアロック装置において、コントロールレバー220は、実施例1のコントロールレバー20と同様に、上下方向に細長く延在しており、その下端部には、オープンレバー89の先端部89Aが係合している。また、コントロールレバー220の上端は、ポール12の被当接部12Bの真下に位置しており、双方の間には充分な隙間が確保されている。また、図示は省略するが、コントロールレバー220は、その側面の一部がメインハウジング81に形成されたガイド面と摺接することにより、上下方向のみに変位するように規制されている。
【0052】
コントロールレバー220における上下方向の中間部には、慣性レバー揺動軸230Sが嵌入されている。慣性レバー揺動軸230Sは、前後方向(開口9に進退する方向に直交する方向)に延びる枢軸X21を軸心として、コントロールレバー220の中間部から前方に向けて突出している。コントロールレバー220の上方には、細板状をなして前方に向けて突出するストッパ部229Qが形成されている。
【0053】
コントロールレバー220には、慣性レバー230と、捩じりコイルバネ241とが設けられている。慣性レバー230は、慣性レバー揺動軸230Sに挿通されて、枢軸X21周りに揺動可能とされている。図9に示すように、捩じりコイルバネ241は、慣性レバー230とコントロールレバー220とに前後から挟まれた状態となるように、慣性レバー揺動軸230Sに挿通されて、枢軸X21と同軸に配設されている。捩じりコイルバネ241も、本発明の「付勢部材」の一例である。
【0054】
図8に示すように、慣性レバー230は、枢軸X21の径外方向に延び、さらに前方に屈曲して角柱状に突出しており、その柱状部分が拘束部230Aとされている。捩じりコイルバネ241の一端は拘束部230Aの下端面に係止され、捩じりコイルバネ241の他端はコントロールレバー220に係止されている。これにより、慣性レバー230は、枢軸X21周りにD4方向に揺動するように付勢されており、通常状態(図1に示す衝撃F0が作用しない状態)では、ストッパ部229Qに当て止まって、上方に立ち上がった状態となっている。図8に示す慣性レバー230の位置は、本発明の第1位置である。この状態では、コントロールレバー220と、第1位置にある慣性レバー230とが上下方向に一体的に変位する。この際、慣性レバー230は、後述する規制面283Aとの当接を回避する。
【0055】
ここで、捩じりコイルバネ241の付勢力と、慣性レバー230の重量(特に、拘束部230Aの重量)とは、図10に示すように、設定値を超える慣性力F1が慣性レバー230に作用することにより、慣性レバー230が捩じりコイルバネ241の付勢力に抗しつつ、コントロールレバー220に対して枢軸X21周りで第1位置から図10に示す位置まで揺動するように設定されている。図10に示す慣性レバー230の位置は、本発明の第2位置である。
【0056】
図8及び図9に示すように、バックプレート83の下部には、規制面283Aが形成されている。規制面283Aは、慣性レバー230の拘束部230Aに対して車両外側に位置する。また、規制面283Aは、緩やかな円弧を描きつつ、車両内側から外側に向かって下り傾斜している。このような形状により、規制面283Aは、図8及び図10に示すように、オープンレバー88、89が揺動していない状態では、第1位置から第2位置に揺動する慣性レバー230に対して離間したまま、慣性レバー230の揺動を妨げないようになっている。
【0057】
このような構成である実施例2のドアロック装置では、車両に対する衝突等により、図1に示すようにドア2や車両が車外から衝撃F0を受けると、図10に示すように、慣性レバー230に対して、衝撃方向とは反対方向に慣性力が作用する。そして、その慣性力が設定値を超える慣性力F1である場合、慣性レバー230は、捩じりコイルバネ241の付勢力に抗しつつ、枢軸X21周りで、第1位置から衝撃方向とは反対方向である第2位置まで揺動する。これにより、慣性レバー230の拘束部230Aとバックプレート83の規制面283Aとが対向する。
【0058】
図示は省略するが、衝撃F0によりオープンレバー88、89及びコントロールレバー220が意に反して変位しようとする場合、第2位置に揺動した慣性レバー230の拘束部230Aと、バックプレート83の規制面283Aとが対向しているので、拘束部230Aが規制面283Aに当て止まって、コントロールレバー220を拘束する。その結果、オープンレバー88、89及びコントロールレバー220が意に反して変位することが阻止される。
【0059】
したがって、実施例2のドアロック装置も、実施例1のドアロック装置1と同様の作用効果を奏することができる。
【0060】
(実施例3)
図11及び図12に示すように、実施例3のドアロック装置は、実施例1におけるコントロールレバー20の代わりにコントロールレバー320を採用し、コントロールレバー320に慣性レバー330を設けている。そして、オープンレバー89から慣性レバー支持部89Pを取り除いている。また、実施例3のドアロック装置は、実施例1におけるバックプレート83の規制面83Aの代わりに、オープンレバー89の先端部89Aに、規制面89Sを設けている。実施例3のドアロック装置のその他の構成は、実施例1のドアロック装置1と同様である。このため、実施例1のドアロック装置1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0061】
実施例3のドアロック装置において、コントロールレバー320は、実施例1のコントロールレバー20と同様に、上下方向に細長く延在しており、その下端部には、オープンレバー89の先端部89Aが係合している。また、コントロールレバー320の上端は、ポール12の被当接部12Bの真下に位置しており、双方の間には充分な隙間が確保されている。また、図11に示すように、コントロールレバー20は、その側面の一部がメインハウジング81に形成された規制ガイド81Aと摺接することにより、上下方向のみに変位するように規制されている。なお、規制ガイド81Aは、図11では突起形状とされているが、この構成に限定されず、例えば、ガイド面であってもよい。
【0062】
コントロールレバー320における上下方向の中間部には、慣性レバー揺動軸330Sが嵌入されている。慣性レバー揺動軸330Sは、前後方向(開口9に進退する方向に直交する方向)に延びる枢軸X31を軸心として、コントロールレバー320の中間部から前方に向けて突出している。コントロールレバー320の上方には、細板状をなして前方に向けて突出するストッパ部329Qが形成されている。
【0063】
コントロールレバー320には、慣性レバー330と、捩じりコイルバネ341とが設けられている。慣性レバー330は、慣性レバー揺動軸330Sに挿通されて、枢軸X31周りに揺動可能とされている。図12に示すように、捩じりコイルバネ341は、慣性レバー330とコントロールレバー320とに前後から挟まれた状態となるように、慣性レバー揺動軸330Sに挿通されて、枢軸X31と同軸に配設されている。捩じりコイルバネ341も、本発明の「付勢部材」の一例である。
【0064】
図11及び図12に示すように、慣性レバー330は、枢軸X31の径外方向に延び、さらに前方に屈曲して角柱状に突出しており、その柱状部分が質量部330Mとされている。また、慣性レバー330は、慣性レバー揺動軸330Sより下方に突出する拘束部330Aを有している。
【0065】
捩じりコイルバネ341の一端は質量部330Mの下端面に係止され、捩じりコイルバネ341の他端はコントロールレバー320に係止されている。これにより、慣性レバー330は、枢軸X31周りにD4方向に揺動するように付勢されており、通常状態(図1に示す衝撃F0が作用しない状態)では、ストッパ部329Qに当て止まって、上方に立ち上がった状態となっている。図11に示す慣性レバー330の位置は、本発明の第1位置である。この状態では、図13に示すように、コントロールレバー320と、第1位置にある慣性レバー330とが上下方向に一体的に変位する。この際、拘束部330Aは、後述する規制面89Sとの当接を回避するので、オープンレバー軸心X88周りに揺動するオープンレバー89と、上下方向に変位するコントロールレバー320との相対角度の変化が許容される。
【0066】
ここで、捩じりコイルバネ341の付勢力と、慣性レバー330の重量(特に、質量部330Mの重量)とは、図14に示すように、設定値を超える慣性力F1が慣性レバー330に作用することにより、慣性レバー330が捩じりコイルバネ341の付勢力に抗しつつ、コントロールレバー320に対して枢軸X31周りで第1位置から図14に示す位置まで揺動するように設定されている。図14に示す慣性レバー330の位置は、本発明の第2位置である。
【0067】
図11及び図12に示すように、オープンレバー89の先端部89Aは、コントロールレバー320の反対側まで突き抜けた後、前方に向けて屈曲しており、その屈曲部分の上端面が規制面89Sとされている。規制面89Sは、慣性レバー330の拘束部330Aに対して下方、かつ車両内側に離間するように位置する。このような形状により、規制面89Sは、図11及び図14に示すように、オープンレバー88、89が揺動していない状態では、第1位置から第2位置に揺動する慣性レバー330に対して離間したまま、慣性レバー330の揺動を妨げないようになっている。
【0068】
このような構成である実施例3のドアロック装置では、車両に対する衝突等により、図1に示すようにドア2や車両が車外から衝撃F0を受けると、図14に示すように、慣性レバー330に対して、衝撃方向とは反対方向に慣性力が作用する。そして、その慣性力が設定値を超える慣性力F1である場合、慣性レバー330は、捩じりコイルバネ341の付勢力に抗しつつ、枢軸X31周りで、第1位置から衝撃方向とは反対方向である第2位置まで揺動する。これにより、慣性レバー330の拘束部330Aとオープンレバー89の規制面89Sとが対向する。
【0069】
そして、図15に示すように、衝撃F0によりオープンレバー88、89及びコントロールレバー320が意に反して変位しようとする場合、第2位置に揺動した慣性レバー330の拘束部330Aと、オープンレバー89の規制面89Sとが対向しているので、拘束部330Aが規制面89Sに当て止まる。この際、コントロールレバー320は、規制ガイド81Aにより上下方向の変位しかできないので、オープンレバー軸心X88周りに揺動するオープンレバー89と、上下方向に変位するコントロールレバー320との相対角度の変化が禁止される。こうして、慣性レバー330の拘束部330Aは、オープンレバー89及びコントロールレバー320を拘束する。その結果、オープンレバー88、89及びコントロールレバー320が意に反して変位することが阻止される。
【0070】
したがって、実施例3のドアロック装置も、実施例1のドアロック装置1と同様の作用効果を奏することができる。
【0071】
以上において、本発明を実施例1〜3に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0072】
例えば、実施例1において、慣性レバー30は、第2位置においてバックプレート83の規制面83Aに当接する構成であるが、この構成には限定されない。例えば、慣性レバー30は、第2位置においてメインハウジング81やベースプレート82等に当接する構成でもよい。
【0073】
また、本発明の付勢部材は、実施例1〜3のように枢軸X1、X21、X31に同軸に設けられた捩じりコイルバネ41、241、341に限定されない。例えば、付勢部材は、引っ張りコイルバネや圧縮コイルバネでもよく、その一端が慣性レバーに係止され、その他端がハウジング等に係止されていてもよい。
【0074】
また、本発明のオープンレバーに慣性レバーを設ける場合において、実施例3のようにコントロールレバー320に設けられた慣性レバー330の拘束部330Aがオープンレバー89に当接して、オープンレバー89とコントロールレバー320との相対角度変化を禁止する構成と同様の構成を採用することができる。具体的には、オープンレバーに拘束部330Aと同様の拘束部を有する慣性レバーを設け、その拘束部がコントロールレバーに当接して、オープンレバーとコントロールレバーとの相対角度変化を禁止する構成を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は自動車、バス、産業車両等の車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0076】
9…開口
2…ドア
99…ストライカ
91…進入口
80…ハウジング
11…フォーク
12…ポール
X88…オープンレバー軸心
7、8…ドアハンドル(8…外側ドアハンドル、7…内側ドアハンドル)
88、89…オープンレバー
88A…オープンレバーの一端(連結穴)
89A…オープンレバーの他端(先端部)
20、220、320…コントロールレバー
X1、X21、X31…枢軸
F1…設定値を超える慣性力
30、230、330…慣性レバー
1…車両用ドアロック装置
41、241、341…付勢部材(捩じりコイルバネ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の開口を開閉するドアに設けられ、前記車体に固定されたストライカが進入する進入口をもつハウジングと、
前記ハウジングに揺動可能に設けられ、前記進入口内において前記ストライカを係止するラッチ状態、又は前記進入口内において前記ストライカの係止を解除するアンラッチ状態に切り替わるフォークと、
前記ハウジングに揺動可能に設けられ、前記フォークの揺動を固定又は開放可能なポールと、
前記ハウジングにオープンレバー軸心周りに揺動可能に設けられ、一端側がドアハンドルに連結され、前記ドアハンドルの開操作によって変位するオープンレバーと、
前記オープンレバーの他端側に連結され、前記オープンレバーの揺動に伴って変位して前記ポールに作用し、前記フォークを前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態に切り替えるコントロールレバーとを備える車両用ドアロック装置であって、
前記オープンレバー及び前記コントロールレバーの一方には、前記開口に進退する方向に直交する方向に延びる枢軸周りに揺動可能とされ、設定値を超える慣性力が作用することにより第1位置から第2位置まで揺動する慣性レバーが設けられ、
前記慣性レバーは、前記第1位置では、前記ハウジングとの当接を回避するとともに、前記オープンレバー及び前記コントロールレバーの他方との当接を回避する一方、前記第2位置では、前記ハウジングと当接し、又は前記オープンレバー及び前記コントロールレバーの他方と当接し、前記オープンレバー及び前記コントロールレバーの少なくとも一方を拘束するように構成されていることを特徴とする車両用ドアロック装置。
【請求項2】
前記オープンレバー及び前記コントロールレバーの一方には、前記慣性レバーを前記第1位置に保持する付勢力を有する付勢部材が設けられている請求項1記載の車両用ドアロック装置。
【請求項3】
前記付勢部材は、前記枢軸と同軸とされた捩じりコイルバネである請求項2記載の車両用ドアロック装置。
【請求項1】
車体の開口を開閉するドアに設けられ、前記車体に固定されたストライカが進入する進入口をもつハウジングと、
前記ハウジングに揺動可能に設けられ、前記進入口内において前記ストライカを係止するラッチ状態、又は前記進入口内において前記ストライカの係止を解除するアンラッチ状態に切り替わるフォークと、
前記ハウジングに揺動可能に設けられ、前記フォークの揺動を固定又は開放可能なポールと、
前記ハウジングにオープンレバー軸心周りに揺動可能に設けられ、一端側がドアハンドルに連結され、前記ドアハンドルの開操作によって変位するオープンレバーと、
前記オープンレバーの他端側に連結され、前記オープンレバーの揺動に伴って変位して前記ポールに作用し、前記フォークを前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態に切り替えるコントロールレバーとを備える車両用ドアロック装置であって、
前記オープンレバー及び前記コントロールレバーの一方には、前記開口に進退する方向に直交する方向に延びる枢軸周りに揺動可能とされ、設定値を超える慣性力が作用することにより第1位置から第2位置まで揺動する慣性レバーが設けられ、
前記慣性レバーは、前記第1位置では、前記ハウジングとの当接を回避するとともに、前記オープンレバー及び前記コントロールレバーの他方との当接を回避する一方、前記第2位置では、前記ハウジングと当接し、又は前記オープンレバー及び前記コントロールレバーの他方と当接し、前記オープンレバー及び前記コントロールレバーの少なくとも一方を拘束するように構成されていることを特徴とする車両用ドアロック装置。
【請求項2】
前記オープンレバー及び前記コントロールレバーの一方には、前記慣性レバーを前記第1位置に保持する付勢力を有する付勢部材が設けられている請求項1記載の車両用ドアロック装置。
【請求項3】
前記付勢部材は、前記枢軸と同軸とされた捩じりコイルバネである請求項2記載の車両用ドアロック装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−87454(P2013−87454A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227216(P2011−227216)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(591038587)株式会社アンセイ (48)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(591038587)株式会社アンセイ (48)
【Fターム(参考)】
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