説明

車両用パワー・エレクトロニクス・システムとそのノイズ抑制方法

【課題】 車体へ高周波の電位変動が伝わらない車両用パワー・エレクトロニクス・システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 インバータ1で直流から交流に変換された電力は3本のシールド線3によりモータ2に給電される。インバータ、モータは、金属製の筐体4、5によりそれぞれ個別に格納され、筐体4、5は接地線6、7で車体8に接地されている。各シールド線は、筐体4、5に設けられた貫通孔を、絶縁材23で筐体4、5と電気的に絶縁されて貫通する。シールド線3の端部の芯線11がインバータまたはモータの端子に接続する。筐体4内に導かれたシールド線3の端部のシールド層12は、高周波リアクトル21を介して、筐体4に接地されている。インバータのスイッチングにより芯線に生じる高周波は、シールド層に高周波の電位変動を誘引するが、高周波リアクトルで吸収され、接地線6を通じて車体伝播されることが抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源を電力変換装置で交流に変換してモータに給電する車両用パワー・エレクトロニクス・システムと、そのノイズ抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直流電力を電力変換装置(以下、インバータと称する)で交流電力に変換し、その交流電力をモータに給電線で給電するパワー・エレクトロニクス・システムにおいては、通常インバータとモータはそれぞれ導電性の金属製の筐体に収納され、それぞれの筐体は大地に接地されている。
【0003】
インバータ内では、半導体スイッチがスイッチングすることで、直流電力から交流電力が生成される。インバータにおける上記スイッチングにより、コモンモード電流が、インバータ→給電線→モータ巻線→モータ筐体→モータ筐体の接地線→大地→インバータ筐体の接地線→インバータ筐体→インバータの経路を流れる。
このコモンモード電流は、放射ノイズを発生し、外部機器へ悪影響を及ぼす可能性がある。それを抑制するために、インバータからモータへ給電する給電線に、例えばコモンモードチョークを接続する方法がとられる。
しかし、コモンモードチョークは、インバータからモータへの大電力の給電経路の一部になるので、それに応じてコモンモードチョークの大きさも大きくする必要がある。
したがって、コモンモードチョークはシステムの小型化、低コスト化を阻害する要因となっている。
【0004】
そこで、コモンモードチョークを使用する代わりに、給電線にシールド線を使用することでコモンモード電流による放射ノイズを低減するパワー・エレクトロニクス・システムが提案されている(特許文献1参照)。
その場合、シールド線の芯線をインバータとモータのそれぞれの端子に接続し、シールド線のシールド層をインバータとモータのそれぞれの筐体に接続する。インバータとモータのそれぞれの筐体は大地に接地する。
このように接続することでインバータからモータへコモンモード電流が流れ、その後モータ筐体→モータ筐体の接地線→大地→インバータ筐体の接地線→インバータ筐体→インバータの経路を流れるコモンモード電流よりも、モータ筐体→シールド層→インバータ筐体→インバータの経路を流れるコモンモード電流のほうが支配的になる。その結果、シールド線の芯線とシールド層を流れるコモンモード電流が作る磁場が打ち消しあい、給電線から放射される放射ノイズが抑制される。
【特許文献1】特開平10−135681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では工場などにおける定置型の強電設備の場合を想定しており、インバータおよびモータの各筐体は電位変動が非常に小さい大地に接地されているので、大地に接地されている他のシステムに接地線を通じて伝わる電位変動は極めて小さい。
これに対し、車両用パワー・エレクトロニクス・システムにこの接続技術を適用すると、必ずしも同様の効果が得られない。それは、車両用パワー・エレクトロニクス・システムにおいては、インバータの筐体、モータの筐体は車体に接地されており、車体は大地との間である大きさを持ったインピーダンスを持っている。つまり、ゴム製のタイヤ、車軸のベアリングといった必ずしもインピーダンスを低くすることができない部分が存在するので、車体の電位は大地に対してフローティングしている。
【0006】
したがって、インバータ内のスイッチングによって発生した電圧変動が、シールド線の芯線とシールド層間の静電容量→筐体→車体→車体と弱電系信号線間の静電容量を経由して、弱電系システムに伝達される電位変動は、大地に接地した場合と異なり非常に大きくなる。そのため同じ車体に搭載された弱電系のシステムに対して悪影響を与える可能性がある。
本発明は、上記の問題点を解決するために、車体へインバータ内のスイッチングによる高周波の電位変動が伝わらない車両用パワー・エレクトロニクス・システムとそのノイズ抑制方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本発明は、直流電力を電力変換装置で交流電力に変換してモータに給電する車両用パワー・エレクトロニクス・システムにおいて、電力変換装置とモータは、それぞれ個別の導電性の金属製の筐体内に設置され、各筐体は導電性の金属製の車体に電気的に接続され、モータへの交流電力の給電線は、シールド線で構成され、シールド線のシールド層は、高周波伝達抑制手段を介して電力変換装置の筐体、モータの筐体の少なくともいずれか一方の筐体に電気的に接続されているものとした。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、パワー・エレクトロニクス・システムのシールド線のシールド層は、高周波伝達抑制手段を介して電力変換装置の筐体、モータの筐体の少なくともいずれか一方に接続されているので、電力変換装置から給電線に伝えられる高周波は高周波伝達抑制手段によって吸収され、各筐体に伝わらない。その結果、筐体が接地されている車体が、高周波による電位変動を生じず、車体の近くに配線されている弱電系の信号線に高周波が伝播するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の実施の形態を実施例により説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は第1の実施例の車両用パワー・エレクトロニクス・システムのインバータとモータ間の給電系統図である。図2は図1のX部詳細図である。
電力変換装置であるインバータ1で直流から交流に変換された電力は給電線である3本のシールド線3によりモータ2に給電される。インバータ1およびモータ2は、インバータ1またはモータ2から絶縁された導電性の金属製の筐体4、5によりそれぞれ個別に格納されている。
筐体4、5は接地線6、7で車体8に接地されている。
シールド線3は芯線11を絶縁材13(図2参照)で被覆し、さらに絶縁材13の外に導電性の金属で構成されたシールド層12で覆われている。シールド層12は、例えば導電性の金属細線を筒状に編んだ編み線である。
シールド層12により芯線11から外部に電磁波が放射されるのが抑制される。
【0011】
図2に示すように各シールド線3は、筐体4に設けられた貫通孔を、絶縁材23で筐体4と電気的に絶縁されて貫通する。貫通孔を通して筐体4内に導かれたシールド線3の端部は、芯線11が剥き出され、インバータ1の端子に接続する。シールド線3の端部のシールド層12は、接地線22により高周波伝達抑制手段である高周波リアクトル21を介して、筐体4に電気的に接続されている。以下、磁心に銅線を巻いたコイルを高周波リアクトルと称する。
なお、インバータ1へのバッテリなどの直流電源からの給電線は図示省略してある。
【0012】
モータ2側においても同様に、シールド線3は、筐体5に設けられた貫通孔を、絶縁材で筐体5と電気的に絶縁されて貫通する。貫通孔を通して筐体5内に導かれたシールド線3の端部は、芯線11が剥き出され、モータ2の端子に接続している。ただし、シールド線3の端部のシールド層12は、高周波リアクトル21を用いて筐体5に接地されず、フローティング状態である。
【0013】
高周波リアクトル21の高周波伝達抑制特性の設定は、予め計算にもとづいて選択した特性の高周波リアクトル21を設置して行うが、パワー・エレクトロニクス・システムを実際に動作させ、問題となる筐体4の高周波の電位変動が検出された場合に、その周波数に有効な特性を有する高周波リアクトルを選択して、さらに高周波の電位変動を抑制する。
【0014】
本実施例の作用を図1から図3にもとづき説明する。
図3は、本実施例の作用を説明する図である。
3本のシールド線3は、筐体4に接地されたシールド層12により芯線11から外部に電磁波が放射されるのを抑制する。また、インバータ1またはモータ2の端子にシールド線3を接続するとき、シールド線3を筐体4、5の貫通孔を通じて内部に導き、筐体4、5内において芯線11をシールド層12ならびに絶縁材13から剥き出した上で行っているので、筐体4、5は芯線11から外部に放射される高周波ノイズをシールドする。
【0015】
また、インバータ1は直流電源から直流電力を供給され、インバータ1内部の半導体スイッチのスイッチングによって三相交流電力を生成している。そのスイッチングによる電圧変化はシールド線3の芯線11内を伝播する。シールド線3の芯線11とシールド層12の間には容量が形成され(図3参照)、芯線11の電圧変動がシールド層12の電位変動を誘引する。
シールド層12は、筐体4、5に直接接地されず、筐体4の内部で接地線22により、高周波リアクトル21を介して筐体4に接地されているので、シールド層12に生じる高周波の電位変動は高周波リアクトル21において熱エネルギに変換され吸収されて、高周波の電位変動が筐体4、接地線6を介して車体8に伝播するのが抑制される。
【0016】
以上のように本実施例によれば、インバータ1が発する高周波の電圧変化にもとづく筐体4の接地線6を介した車体8側の電位変動が抑制されるので、車体8の近傍に配線されている他の弱電系の信号線31と車体8との間での容量結合32による、信号線31への高周波の伝播を抑制できる。
また、設計時の高周波リアクトル21の高周波伝達抑制特性の設定は、必要に応じて高周波リアクトル21の交換だけですみ、高周波伝達抑制特性の手直しのためにシールド線3の取り外し交換などの煩雑な手直し作業が不要である。
【実施例2】
【0017】
図4は第2の実施例のパワー・エレクトロニクス・システムのインバータとモータ間の給電系統図である。
第1の実施例と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。第1の実施例との差異は、シールド線3のシールド層12の接地を、インバータ1側の筐体4の内部で行う代わりに、モータ2側の筐体5の内部で高周波リアクトル21を介して筐体5に行う点である。
【0018】
本実施例においても、第1の実施例と同様に、シールド層12は、筐体4、5に直接接地されず、筐体5の内部で接地線22により、高周波リアクトル21を介して筐体5に接地されているので、シールド層12に生じる高周波の電位変動は高周波リアクトル21において熱エネルギに変換され吸収されて、高周波の電位変動が筐体5、接地線7を介して車体8に伝播するのが抑制される。
その結果、第1の実施例と同様に、車体8の近傍に配線されている他の弱電系の信号線31と車体8との間での容量結合による、信号線31への高周波の伝播を抑制できる。
また、第1の実施例と同様に、設計時の高周波リアクトル21の高周波伝達抑制特性の設定は、必要に応じて高周波リアクトル21の交換だけですみ、高周波伝達抑制特性の手直しのためにシールド線3の取り外し交換などの煩雑な手直し作業が不要である。
【実施例3】
【0019】
図5は第3の実施例のパワー・エレクトロニクス・システムのインバータとモータ間の給電系統図である。
第1の実施例と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。第1の実施例との差異は、シールド線3のシールド層12の接地を、インバータ1側の筐体4の内部と、モータ2側の筐体5の内部の両方で高周波リアクトル21を介して筐体4、5に行う点である。
【0020】
本実施例においても、第1の実施例と同様に、シールド層12は、筐体4、5に直接接地されず、筐体4、5の内部で接地線22により、高周波リアクトル21を介して筐体4、5に接地されているので、高周波の電位変動が筐体4、5、接地線6、7を介して車体8に伝播するのが抑制される。
その結果、第1の実施例と同様に、車体8の近傍に配線されている他の弱電系の信号線31と車体8との間での容量結合による、信号線31への高周波の伝播を抑制できる。
また、第1の実施例と同様に、設計時の高周波リアクトル21の高周波伝達抑制特性の設定は、必要に応じて高周波リアクトル21の交換だけですみ、高周波伝達抑制特性の手直しのためにシールド線3の取り外し交換などの煩雑な手直し作業が不要である。
【実施例4】
【0021】
図6は第4の実施例のパワー・エレクトロニクス・システムのインバータとモータ間の給電系統図である。
第1の実施例と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。第1の実施例との差異は、インバータ1からモータ2に電力を供給する給電線として、3本の芯線11を絶縁材13で分離し、かつ1本に束ねられ、束全体を共通のシールド層12’で覆ったシールド線3’を用いている点である。シールド線3’のシールド層12’の接地は、インバータ1側の筐体4の内部で高周波リアクトル21を介して筐体4に行う。
本実施例においては、3相の交流電力の給電線のシールド層12’を共通にしたので、第1の実施例から第3の実施例までのように、3本の個別のシールド線3を用いた場合に比較して、シールド層12’に誘引される電位変動が相間で相殺され減衰する。
【0022】
第1の実施例と同様に、シールド線3’のシールド層12’は、筐体4、5に直接接地されず、筐体4の内部で接地線22により、高周波リアクトル21を介して筐体4に接地されているので、高周波の電位変動が筐体4、接地線6を介して車体8に伝播するのが抑制される。
その結果、第1の実施例と同様に、車体8の近傍に配線されている他の弱電系の信号線31と車体8との間での容量結合による、信号線31への高周波の伝播を抑制できる。
また、第1の実施例と同様に、設計時の高周波リアクトル21の高周波伝達抑制特性の設定は、必要に応じて高周波リアクトル21の交換だけですみ、高周波伝達抑制特性の手直しのためにシールド線3の取り外し交換などの煩雑な手直し作業が不要である。
【0023】
さらに、3相の交流電力の給電線のシールド層12’を共通にし、シールド層12’に誘引される電位変動を小さくできるので、高周波の電位変動の所要レベルまでの減衰に必要な高周波リアクトルを小さくすることができる。
なお、本実施例では、3本の芯線11を絶縁材13で1本の束にまとめたがそれに限定されるものではなく、芯線11を絶縁材13で個々に被覆したケーブル3本を、共通のシールド層12’で覆ったもの、同軸3相のケーブルに対しさらにシールド層12’で覆ったシールド線3’でもよい。
【0024】
さらに、第4の実施例の変形として、シールド層12’を筐体4の内部で接地する代わりに、筐体5の内部において高周波リアクトル21を介して接地線22で筐体5に接地してもよい。また、別の変形としてシールド層12’を筐体4と筐体5の両方の内部において、高周波リアクトル21を介して接地線22で筐体4、5それぞれに接地してもよい。
【0025】
次に、第1の実施例から第4の実施例における、シールド線を筐体内に導く筐体の貫通孔周辺の構成の変形例を、図7にもとづいて説明する。
(a)に示す変形例では、絶縁材23の肉厚と、貫通孔周辺の所定範囲の筐体4(5)の金属壁の肉厚とを、所定範囲外のそれよりも薄くし、貫通部分でシールド層12(12’)と対向する筐体の壁の断面積を小さくしている。
(b)に示す変形例においては、貫通孔周辺の筐体4(5)の絶縁材23の肉厚を薄くし、かつ貫通孔周辺の所定範囲の筐体4(5)の壁を金網24として、貫通部分でシールド層12と対向する筐体の壁の断面積を小さくしている。なお、金網24は、筐体4(5)内からの放射ノイズが外部に漏れない程度の網の目とする。たとえば、網の目の大きさ(最大の幅)は、問題とする放射ノイズの波長の1/20以下とする。
【0026】
筐体4(5)のシールド線3用の貫通孔周辺の所定範囲の壁を、図7の(a)、(b)のように構成することにより、シールド層12と筐体4(5)との間の容量結合を抑制、低減でき、筐体4(5)に高周波の電位変動が誘引されることを抑制できる。
【実施例5】
【0027】
図8は第5の実施例のパワー・エレクトロニクス・システムのインバータとモータ間の給電系統図である。図9は図8のY部詳細図である。
第1の実施例と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。第1の実施例との差異は、インバータ1側の筐体4の内部におけるシールド層12の接地を、高周波リアクトル21を介して接地線22で筐体4に行う替わりに、インダクタンス素子21’を用いて筐体4に行う点である。
ここでインダクタンス素子21’とは、空芯のコイル、コイル状のワイヤハーネスを指す。空芯のコイル、ワイヤハーネスは、長さと巻きを調整することによって容易に所望の高周波伝達抑制特性を得ることができる。
【0028】
本実施例においても、第1の実施例と同様に、シールド線3のシールド層12は、筐体4、5に直接接地されず、筐体4の内部でインダクタンス素子21’により、筐体4に接地されているので、シールド層12に生じる高周波の電位変動はインダクタンス素子21’において熱エネルギに変換され吸収されて、高周波の電位変動が筐体4、接地線6を介して車体8に伝播するのが抑制される。
その結果、第1の実施例と同様に、車体8の近傍に配線されている他の弱電系の信号線31と車体8との間での容量結合による、信号線31への高周波の伝播を抑制できる。
また、第1の実施例と同様に、設計時のインダクタンス素子21’の高周波伝達抑制特性の設定は、必要に応じてインダクタンス素子21’の交換だけですみ、高周波伝達抑制特性の手直しのためにシールド線3の取り外し交換などの煩雑な手直し作業が不要である。
【0029】
さらに、第5の実施例の変形として、シールド層12を筐体4の内部で接地する代わりに、筐体5の内部においてインダクタンス素子21’で筐体5に接地してもよい。また、別の変形として筐体4と筐体5の両方の内部において、インダクタンス素子21’で筐体4、5それぞれに接地してもよい。
さらに、第4の実施例およびその変形に対して、高周波リアクトル21の代わりにインダクタンス素子21’を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施例の車両用パワー・エレクトロニクス・システムのインバータとモータ間の給電系統図である。
【図2】図1のX部詳細を示す図である。
【図3】第1の実施例の作用を説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施例の車両用パワー・エレクトロニクス・システムのインバータとモータ間の給電系統図である。
【図5】本発明の第3の実施例の車両用パワー・エレクトロニクス・システムのインバータとモータ間の給電系統図である。
【図6】本発明の第4の実施例の車両用パワー・エレクトロニクス・システムのインバータとモータ間の給電系統図である。
【図7】筐体の貫通孔周辺の構成の変形例を示す図である。
【図8】本発明の第5の実施例の車両用パワー・エレクトロニクス・システムのインバータとモータ間の給電系統図である。
【図9】図8のY部詳細を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 インバータ
2 モータ
3、3’ シールド線
4、5 筐体
6、7、22 接地線
8 車体
11 芯線
12、12’ シールド層
13、23 絶縁材
21 高周波リアクトル
21’ インダクタンス素子(ワイヤハーネス)
31 信号線
32 容量結合


【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を電力変換装置で交流電力に変換してモータに給電する車両用パワー・エレクトロニクス・システムにおいて、
前記電力変換装置と前記モータは、それぞれ個別の導電性の金属製の筐体内に設置され、前記各筐体は導電性の金属製の車体に電気的に接続され、
前記モータへの交流電力の給電線は、シールド線で構成され、該シールド線のシールド層は、前記電力変換装置の筐体、前記モータの筐体の少なくともいずれか一方の筐体に、高周波伝達抑制手段を介して電気的に接続されていることを特徴とする車両用パワー・エレクトロニクス・システム。
【請求項2】
前記シールド線の芯線は前記交流電力の相数に対応した本数を有し、前記シールド層は全相分の芯線を共通のシールド層で包んで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用パワー・エレクトロニクス・システム。
【請求項3】
前記高周波伝達抑制手段は、高周波リアクトルであることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用パワー・エレクトロニクス・システム。
【請求項4】
前記高周波伝達抑制手段は、コイル状のワイヤハーネスであることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用パワー・エレクトロニクス・システム。
【請求項5】
前記シールド線は、前記筐体の貫通孔を電気的に絶縁されて筐体の内部に導かれ、前記シールド線の端部のシールド層が前記内部にて前記高周波伝達抑制手段を介して前記筐体に電気的に接続されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1に記載の車両用パワー・エレクトロニクス・システム。
【請求項6】
前記筐体の貫通孔周囲の所定範囲の壁厚が、所定範囲外の壁厚より薄いことを特徴とする請求項5に記載の車両用パワー・エレクトロニクス・システム。
【請求項7】
前記筐体の貫通孔周囲の所定範囲の壁が、導電性の金属製網で形成されていることを特徴とする請求項5に記載の車両用パワー・エレクトロニクス・システム。
【請求項8】
直流電力を電力変換装置で交流電力に変換してモータに給電する車両用パワー・エレクトロニクス・システムにおけるノイズ抑制方法において、
個別の導電性の金属製の筐体内に設置された前記電力変換装置から前記モータへ、シールド線で給電し、
前記各筐体は車体に接地し、
前記モータへ交流電力を給電するシールド線のシールド層を、前記電力変換装置の筐体、前記モータの筐体の少なくともいずれか一方の筐体に、高周波伝達抑制手段を介して電気的に接続して、前記シールド線のシールド層に生じる高周波の電位変動を前記筐体から車体に伝播することを防止可能としたことを特徴とする車両用パワー・エレクトロニクス・システムにおけるノイズ抑制方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−80215(P2006−80215A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261142(P2004−261142)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】