説明

車両用ミラー装置

【課題】支持軸の上方における回動体と保持部材との間の液体の溜まりを抑制する。
【解決手段】ドアミラー装置10では、カバー100の開口孔102の周縁部には、水切壁104が設けられており、水切壁104の下方に第1傾斜面68が離間して配置されている。車両用ミラー装置10内へ浸入した液体がカバー100の開口孔102内に流入する場合には、液体が水切壁104を伝って下方へ流下される。そして、液体が、水切壁104の先端に到達して、水切壁104の先端から第1傾斜面68に落下する。第1傾斜面68に落下した液体は第1傾斜面68を伝って連通孔66へ流出される。これにより、連通孔66を介してスタンドの下方へ液体が排出される。したがって、支持軸の上方におけるカバー100(回動体43)とモータベース48との間の液体の溜まりを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの駆動により車両のアウタミラーが回動される車両用ミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1の車両用ミラー装置では、格納機構のモータの駆動により、アウタミラーが回動されるように構成されている。また、この格納機構は、スタンド(支持部材)と、ケース及びカバー(回動体)と、モータベース(保持部材)とを含んで構成されている。そして、ケースはスタンドの支持軸に回動可能に支持されており、ケース内には、モータベースが収容されている。このモータベースは、モータを保持しており、この状態で、カバーによってケースが閉塞されている。
【0003】
ここで、このような車両用ミラー装置では、一般に、支持軸が略円筒状に形成されており、モータ等へ電力を供給するためのハーネス(コード)が支持軸の内部に配線されている。このため、モータベース及びカバーには、支持軸の上方において、支持軸の内部と連通する孔が形成されている。
【0004】
さらに、この孔の周囲では、カバー及びモータベースの各々に筒状のリブが立設されており、このリブが互いに嵌合されている。これにより、例えば、このリブによって、車両用ミラー装置内に浸入した液体がカバー及びケース内へ浸入することが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−5915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の車両用ミラー装置では、仮にカバーのリブの先端とモータベースとの間に液体が侵入した場合には、この間に液体が溜まる可能性がある。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮し、支持軸の上方における回動体と保持部材との間の液体の溜まりを抑制できる車両用ミラー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の車両用ミラー装置は、内部に挿通孔を有する筒状に形成された支持軸を含んで構成され、車体に連結された支持部材と、前記支持軸に回動可能に支持されると共に、モータの駆動により車両のアウタミラーと一体回動可能に構成され、前記挿通孔の上方に開口孔が設けられた回動体と、前記モータを保持した状態で前記モータと共に前記回動体内に収容された保持部材と、前記回動体の前記開口孔周縁に設けられ、前記開口孔内に浸入した液体を下方へ案内する案内部と、前記保持部材に設けられると共に、前記案内部に対して下方へ離間して配置され、前記案内部によって下方へ案内された液体を前記挿通孔へ排出させる排出部と、を備えている。
【0009】
請求項1に記載の車両用ミラー装置では、支持部材が車体に連結されている。この支持部材は、筒状の支持軸を含んで構成されており、支持軸には挿通孔が形成されている。また、支持軸には、回動体が回動可能に支持されており、回動体には、挿通孔の上方に開口孔が設けられている。さらに、回動体内には、保持部材とこの保持部材に保持されたモータとが収容されている。
【0010】
ここで、回動体の開口孔周縁には、案内部が設けられており、開口孔内に浸入した液体を案内部が下方へ案内する。また、保持部材には排出部が設けられており、排出部は、案内部に対して下方へ離間して配置されると共に、案内部によって下方へ案内された液体を挿通孔へ排出させる。
【0011】
これにより、例えば、水等の液体が車両用ミラー装置内へ浸入した際にこの液体が回動体の開口孔内に浸入(流入)する場合には、当該液体が案内部によって下方へ流下される。そして、液体が、案内部から排出部に落下して、排出部によって挿通孔へ流出される。これにより、挿通孔を介して支持部材の下方へ液体が排出される。
【0012】
請求項2に記載の車両用ミラー装置は、請求項1に記載の車両用ミラー装置において、前記保持部材に設けられ、前記支持軸の上端部を覆うと共に、前記挿通孔に連通する連通孔が形成された上端カバー部を備え、前記案内部は前記開口孔周縁に沿って筒状に形成されると共に前記回動体から下方へ突出され、前記排出部は前記上端カバー部における前記連通孔の上縁部に設けられると共に下方へ向かうに従い前記連通孔の径方向内側へ傾斜して配置されている。
【0013】
請求項2に記載の車両用ミラー装置では、案内部が、開口孔周縁に沿って筒状に形成されて、回動体から下方へ突出されている。これにより、液体が開口孔内に浸入(流入)する場合に、液体が案内部の突出方向に沿って流下されるため、液体を下方へ確実に流下できる。
【0014】
また、保持部材には上端カバー部が設けられており、上端カバー部は、支持軸の上端部を覆っている。この上端カバー部には、挿通孔に連通する連通孔が形成されている。そして、この連通孔の上縁部に排出部が設けられており、排出部は、下方へ向かうに従い連通孔の径方向内側へ傾斜して配置されている。これにより、上端カバー部の上縁部に排出部を傾斜して設けることで、液体を連通孔に容易に排出できる。
【0015】
請求項3に記載の車両用ミラー装置は、請求項2に記載の車両用ミラー装置において、前記案内部の外周面が、下方へ向かうに従い前記開口孔の径方向内側へ傾斜して配置されている。
【0016】
請求項3に記載の車両用ミラー装置では、案内部の外周面が、下方へ向かうに従い開口孔の径方向内側へ傾斜して配置されているため、案内部を伝って下方へ流下された液体が案内部の先端に到達した際に、当該液体が案内部の外周面側へ浸入することが抑制される。また、仮に当該液体が案内部の外周面側へ浸入して、案内部の外周面に当該液体が付着した際には、この付着した液体が、案内部の外周面を伝って案内部の先端へ流下されて、排出部へ落下する。
【0017】
請求項4に記載の車両用ミラー装置は、請求項2又は請求項3に記載の車両用ミラー装置において、前記回動体に筒状に設けられ、前記案内部に対して前記開口孔の径方向外側において前記回動体から下方へ突出されると共に、前記上端カバー部の上方に配置された外筒部を備え、前記排出部が前記外筒部の先端に対して下方に配置されている。
【0018】
請求項4に記載の車両用ミラー装置では、回動体に筒状の外筒部が設けられている。外筒部は、案内部に対して開口孔の径方向外側において回動体から下方へ突出されて、上端カバー部の上方に配置されている。これにより、仮に、案内部を伝って案内部の先端に到達した液体が案内部の径方向外側へ浸入した場合には、当該液体が、外筒部によって遮断されて上端カバー部に落下する。
【0019】
ここで、排出部が、外筒部の先端に対して下方に配置されている。このため、上端カバー部に落下した液体が排出部から連通孔へ排出されることで、上端カバー部に落下した液体に外筒部の先端が浸水することが抑制される。これにより、上端カバー部に落下した液体が、再び外筒部に伝わることを抑制できる。
【0020】
請求項5に記載の車両用ミラー装置は、請求項4に記載の車両用ミラー装置において、前記上端カバー部に筒状に設けられ、前記外筒部に対して前記外筒部の径方向外側において前記上端カバー部から上方へ突出されると共に、前記外筒部の外周部と嵌合される被嵌合筒部を備えている。
【0021】
請求項5に記載の車両用ミラー装置では、上端カバー部に筒状の被嵌合筒部が設けられており、被嵌合筒部は、外筒部に対して外筒部の径方向外側において上端カバー部から上方へ突出されている。また、被嵌合筒部は、外筒部の外周部と嵌合されている。
【0022】
これにより、仮に、案内部と排出部との間から案内部の径方向外側へ液体が浸入した場合には、外筒部と被嵌合筒部とによって、当該液体の回動体内への浸入が抑制される。
【0023】
請求項6に記載の車両用ミラー装置は、請求項2〜請求項5の何れか1項に記載の車両用ミラー装置において、前記案内部の先端部が下方へ向かうに従い前記開口孔の径方向内側へ傾斜するように屈曲されている。
【0024】
請求項6に記載の車両用ミラー装置では、案内部の先端部が下方へ向かうに従い開口孔の径方向内側へ傾斜するように屈曲されているため、平面視において案内部の先端を連通孔に対して連通孔の径方向内側へ配置できる。これにより、案内部を伝って案内部の先端に流下された液体を連通孔及び挿通孔へ直接排出できる。
【0025】
請求項7に記載の車両用ミラー装置は、請求項2〜請求項6の何れか1項に記載の車両用ミラー装置において、前記回動体に筒状に設けられ、前記開口孔の周縁から上方へ突出される浸入防止筒部を備えている。
【0026】
請求項7に記載の車両用ミラー装置では、回動体に浸入防止筒部が設けられている。浸入防止筒部は、筒状に設けられると共に、開口孔の周縁部から上方へ突出している。このため、浸入防止筒部によって、車両用ミラー装置内へ浸入した液体の開口孔内への浸入が抑制される。
【0027】
請求項8に記載の車両用ミラー装置は、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の車両用ミラー装置において、前記案内部と前記排出部との間には、毛細管現象が生じない間隙が設けられている。
【0028】
請求項8に記載の車両用ミラー装置では、案内部と排出部との間に、毛細管現象が生じない間隙が設けられているため、案内部と排出部との間に液体が溜まることが一層抑制される。
【発明の効果】
【0029】
請求項1に記載の車両用ミラー装置によれば、支持軸の上方における回転体と保持部材との間の液体の溜まりを抑制できる。
【0030】
請求項2に記載の車両用ミラー装置によれば、開口孔内に浸入した液体を下方へ確実に案内できると共に、簡易な構成で液体を挿通孔へ排出できる。
【0031】
請求項3に記載の車両用ミラー装置によれば、案内部に伝った液体を排出部に確実に落下させることができる。
【0032】
請求項4に記載の車両用ミラー装置によれば、上端カバー部へ落下した液体が、再び外筒部に伝わることを抑制できる。
【0033】
請求項5に記載の車両用ミラー装置によれば、外筒部と被嵌合筒部とによって、液体の回動体内への浸入を抑制できる。
【0034】
請求項6に記載の車両用ミラー装置によれば、開口孔から浸入した液体を挿通孔へ効果的に排出できる。
【0035】
請求項7に記載の車両用ミラー装置によれば、車両用ミラー装置内へ浸入した液体の開口孔内への浸入を抑制できる。
【0036】
請求項8に記載の車両用ミラー装置によれば、案内部の先端と排出部との間に液体が溜まることを一層抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置に用いられる格納機構の一部を拡大した縦断面図(図3のA部を拡大した図)である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置を示す車両後方から見た正面図である。
【図3】図1に示される格納機構全体の縦断面図である。
【図4】図3に示される格納機構の主要部を示す車両上方から見た平面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置に用いられる格納機構の一部を拡大した縦断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置に用いられる格納機構の一部を拡大した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(第1の実施の形態)
【0039】
図2には、第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置10が車両後方から見た正面図にて示されている。なお、図面に適宜示される矢印FRは車両前方を示し、矢印OUTは車幅方向外側(車両右方)を示し、矢印UPは上方を示している。また、車両用ドアミラー装置10は、車両のドア(図示省略)に設置されて、車両の車幅方向外側に配置されている。
【0040】
この図に示されるように、車両用ドアミラー装置10は、ステー12とドアミラー本体16とを含んで構成されている。
【0041】
ステー12は、車両のドアの車幅方向外側に配置されており、ステー12の車幅方向内側部分が車両のドア(車体)に固定されている。ステー12には、車幅方向外側部分において、後述する格納機構30を固定するための固定部14が設けられている。
【0042】
ドアミラー本体16は、バイザ18と、アウタミラー20と、格納機構30とを含んで構成されている。ドアミラー本体16は、後述する格納機構30を介してステー12の固定部14の上方に設けられている。バイザ18は略直方体形容器状に形成されており、バイザ18の車両後方面が開放されている。アウタミラー20は、バイザ18の開放部分に設けられており、バイザ18によってアウタミラー20の全周部及び車両前方面が覆われている。また、アウタミラー20は、アウタミラー20の鏡面を車両後方へ向けて配置されており、アウタミラー20によって乗員が車両後方を視認可能にされている。
【0043】
このバイザ18及びアウタミラー20は、後述する格納機構30の回動体43(ケース44及びカバー100)に連結されており、格納機構30によって、図2に示される使用位置とアウタミラー20が車両のドアと略対向して配置される格納位置との間で、バイザ18及びアウタミラー20が回動可能に構成されている。
【0044】
次に、本発明の要部である格納機構30の構成について説明する。図3に示すように、格納機構30は、「支持部材」としてのスタンド32と、「保持部材」としてのモータベース48と、回動体43と、を有している。また回動体43は、ケース44とカバー100とを含んで構成されている。
【0045】
スタンド32は、格納機構30の車幅方向内側部分を構成している。スタンド32には、下端部において、被固定部34が設けられており、被固定部34はステー12の固定部14内に固定されている。これにより、ステー12を介して車両のドア(車体)にスタンド32が連結されている。また、スタンド32には、被固定部34の上方において、略円筒状の支持軸36が設けられており、支持軸36は被固定部34から上方へ突出されている。
【0046】
支持軸36には、軸心に沿って断面円形状の挿通孔38が貫通形成されている。この挿通孔38は、挿通孔38の下側部分を構成する下側挿通孔38Aと、挿通孔38の上端部を構成する上側挿通孔38Cと、下側挿通孔38Aと上側挿通孔38Bとの間に配置された中間挿通孔部38Bとを有している。
【0047】
下側挿通孔38Aの直径は、下端から上方へ向かうに従い徐々に小さく設定されており、下側挿通孔38Aの上端において、挿通孔38の直径寸法が最小直径寸法D1とされている。また、上側挿通孔部38Cは上下方向に沿って延設されると共に、上側挿通孔部38Cの直径寸法が最小直径寸法D1に比べて大きく設定されている。ここで、支持軸36の上端が、支持部40とされている。また、中間挿通孔部38Bの直径は、上端から下方へ向かうに従い徐々に小さく設定されており、中間挿通孔部38Bは下側挿通孔38Aと上側挿通孔38Bを連結している。
【0048】
ケース44は、格納機構30の下部を構成している。ケース44は略直方体容器状に形成されており、ケース44の上面が開放されている。ケース44の車幅方向内側部分には、下方からスタンド32の支持軸36が挿入されており、ケース44は、支持軸36に回動可能に支持されている。ケース44の下壁には、車幅方向外側部分において、円柱状の軸支孔46が形成されており、軸支孔46は上方へ開放されている。
【0049】
モータベース48は、ケース44内に設けられている。モータベース48は、樹脂(例えば、POM(ポリアセタール))により製作されると共に、ケース44の上面を覆う状態で、ケース44の上端内に嵌入(圧入)されている。
【0050】
モータベース48の車幅方向内側部分には、カバー部50が一体に設けられている。カバー部50は、上下方向に沿った略円筒状に形成されると共に、支持軸36と同軸上に配置されて、支持軸36の外周部を覆っている。カバー部50は、カバー部50の下側部分を構成する下側カバー部52とカバー部50の上側部分を構成する上側カバー部54とを有している。この上側カバー部54の直径寸法は、下側カバー部52の直径寸法に比して、小さく設定されており、上側カバー部54の下端部と下側カバー部52の上端部とが、連結部56によって連結されている。
【0051】
上側カバー部54の上端には、全周において、上端カバー部58が設けられており、上端カバー部58は、断面略クランク状に形成されている。図1に示すように、この上端カバー部58は、側壁60と、上壁62と、「被嵌合筒部」としての被嵌合壁70とを含んで構成されている。
【0052】
側壁60は、円筒状に形成されて、上側カバー部54に対して上側カバー部54の径方向内側に設けられると共に、支持軸36と同軸上に配置されている。また、上壁62は、上下方向に対して直交する方向に配置されて、側壁60の上端と上側カバー部54の上端とを連結している。これにより、側壁60と上壁62と上側カバー部54との間には、溝部64が設けられており、溝部64は、円環状に形成されて、支持軸36と同軸上に配置されると共に、下方へ開放されている。溝部64内には、支持軸36の支持部40(上端部)が挿入されており、支持部40に上端カバー部58が回動可能に支持されている。これにより、上端カバー部58によって支持部40が覆われている。
【0053】
また、側壁60の軸心部分が連通孔66とされており、連通孔66は支持軸36の挿通孔38(下側挿通孔38A及び中間挿通孔38B)と連通されている。また、連通孔66の直径寸法D2は、挿通孔38の最小直径寸法D1と同じ寸法に設定されている(図3参照)。なお、挿通孔38の最小直径寸法D1に比して、連通孔66の直径寸法D2が拡径に設定されてもよい。つまり、平面視において(上方から見て)、下側挿通孔38Aの上端に対して、側壁60の内周面が支持軸36の径方向外側へ配置されてもよい。
【0054】
上端カバー部58には、連通孔66の上縁部全周において、「排出部」としての第1傾斜面68が設けられている。第1傾斜面68は、下方へ向かうに従い連通孔66の径方向内側へ傾斜して配置されている。なお、第1傾斜面68の断面は円弧形状に形成されていてもよい。
【0055】
被嵌合壁70は、上側カバー部54の上方に設けられている。被嵌合壁70は、略円筒状に形成されると共に、上壁62から上方へ突出されている。上壁62と被嵌合壁70との境界部分には、第2傾斜面72が形成されている。第2傾斜面72は、下方へ向かうに従い被嵌合壁70の径方向内側へ傾斜されるように配置されている。
【0056】
図3に示すように、モータベース48の車幅方向外側部分には、略矩形筒状の固定筒74が一体に設けられており、固定筒74は、モータベース48から上方に突出されている。また、モータベース48には、固定筒74内の中央において、円形状の貫通孔76が形成されており、貫通孔76はケース44の軸支孔46と同軸上に配置されている。
【0057】
固定筒74内には、モータ78が固定(保持)されている。モータ78は略矩形筒状の本体部78Aと本体部78Aから下方へ突出された出力軸78B(シャフト)とを含んで構成されており、モータ78が駆動されることで、出力軸78Bが回転する。出力軸78Bは、モータベース48の貫通孔76を貫通しており、出力軸78Bは、ケース44内に挿入されている。出力軸78Bの全周と貫通孔76との間には隙間が形成されており、出力軸78Bはモータベース48に軸支されていない。
【0058】
出力軸78Bには、ウォームギア80が設けられている。ウォームギア80は、樹脂により製作されると共に、略円筒状に形成されている。ウォームギア80には、軸心に沿って、挿入孔80Aが形成されており、挿入孔80Aには、上方から出力軸78Bが挿入されている。これにより、出力軸78Bが回転することで、ウォームギア80が出力軸78Bと一体回転可能に構成されている。
【0059】
ウォームギア80の上端は、モータベース48に当接されており、これにより、モータベース48によって、ウォームギア80の上方への移動が制限(係止)されている。なお、出力軸78Bは、挿入孔80Aの下端まで挿入しておらず、出力軸78Bとウォームギア80との間では、出力軸78Bに対するウォームギア80の上側(本体部78A側)への移動が許容される構成にされている。
【0060】
ウォームギア80の下部には、円筒状の軸支部80Bが形成されており、軸支部80Bは、ケース44の軸支孔46に嵌入されている。これにより、軸支部80Bが軸支孔46に回転自在に軸支されると共に、ケース44の下壁によってウォームギア80の下側への移動が制限(係止)されている。
【0061】
軸支部80B内には、挿入孔80Aの下部が形成されて、出力軸78Bの下部が挿入されており、軸支部80Bの軸支孔46による軸支位置と出力軸78B下部の挿入孔80A下部への挿入位置とは、ウォームギア80及び出力軸78Bの軸方向(上下方向)において一致(ラップ)している。これにより、出力軸78Bの下部が、ウォームギア80の軸支部80Bを介して、ケース44(軸支孔46)に回転自在に軸支されている。
【0062】
また、図4に示すように、ケース44内には、ウォームシャフト82が設けられている。ウォームシャフト82には、金属製で円軸状のギア軸84が設けられており、ギア軸84は、両端において、ケース44内に回転自在に軸支されている。ギア軸84の一端側部分には、樹脂製のヘリカルギア部86(ウォームホイールギア)が固定されており、ギア軸84の他端側部分には、樹脂製のウォームギア部88が固定されている。ヘリカルギア部86は、ウォームギア80の軸方向中間部に噛合されており、ウォームギア80が回転されることで、ヘリカルギア部86、ギア軸84及びウォームギア部88が一体回転されて、ウォームシャフト82が回転される。
【0063】
さらに、ケース44内には、金属により製作されたギアプレート90が設けられている。ギアプレート90には、スタンド32の支持軸36が貫通されており、ギアプレート90は、支持軸36と同軸上に配置されると共に、支持軸36に対して回転不能に保持されている。ギアプレート90には、ウォームギア部88が噛合されており、ウォームギア部88が回転することで、ウォームギア部88がギアプレート90の回りを回動する。これにより、格納機構30のケース44及びモータベース48がウォームギア部88と一体に支持軸36の回りを回動可能に構成されている。
【0064】
一方、図3に示すように、カバー100は、格納機構30の上部を構成している。カバー100は、樹脂(例えば、PP(ポリプロピレン))により製作されると共に、略容器状に形成されており、カバー100の下面が開放されている。カバー100の下端は、ケース44の上端外周に固定されており、カバー100は、モータ78及びモータベース48を覆う状態でケース44を閉塞している。これにより、カバー100は、ケース44と一体に支持軸36の回りを回動可能に構成されている。また、カバー100の車幅方向内側部分は、モータベース48の車幅方向内側部分を下方に押圧しており、これにより、ケース44とカバー100との間にモータベース48が挟持されている。
【0065】
カバー100の上壁には、支持軸36の挿通孔38及びモータベース48の連通孔66の上方において、円形状の開口孔102が貫通形成されている。開口孔102は、挿通孔38及び連通孔66と同軸上に配置されており、開口孔102の直径寸法D3が連通孔66の直径寸法D2と同じ寸法に設定されている。
【0066】
図1に示すように、カバー100の上壁には、開口孔102の周縁部において、「案内部」としての水切壁104が設けられている。水切壁104は、円筒状に形成されると共に、開口孔102の周縁部から下方へ突出されており、水切壁104の内周面が開口孔102の内周面と面一に配置されている。また、水切壁104の外周面は、下方へ向かうに従い開口孔102の径方向内側へ傾斜して配置されており、水切壁104の内周面の下端と水切壁104の外周面の下端とが、水切壁104の先端面(下端面)によって連結されている。この水切壁104の先端面は、上下方向に対して直交する方向に配置されており、カバー100の成形性を考慮して、水切壁104の先端面の厚さ寸法W1が、例えば0.8mmに設定されている。また、水切壁104の先端面は、モータベース48の第1傾斜面68の真上に配置されており、水切壁104の先端面と第1傾斜面68との間の間隙Gの最小寸法G1が、1mmに設定されている。
【0067】
また、カバー100の上壁には、水切壁104に対して開口孔102の径方向外側において、「外筒部」としての嵌合壁106が設けられている。嵌合壁106は、円筒状に形成されると共に、カバー100の上壁から下方へ突出されている。また、嵌合壁106の先端部は、水切壁104の先端面に対して下方に配置されており、嵌合壁106と水切壁104の先端との間の隙間寸法G2が、1mmに設定されている。
【0068】
さらに、嵌合壁106は、被嵌合壁70に対して嵌合壁106の径方向内側かつ上壁62の上方に配置されており、嵌合壁106の径方向において嵌合壁106と被嵌合壁70とがオーバーラップした状態で、嵌合壁106が被嵌合壁70に嵌合されている。これにより、カバー100とモータベース48との間には、空間Sが形成されている。
【0069】
さらに、カバー100の上壁には、開口孔102の周縁部において、「浸入防止筒部」としての浸入防止壁108が設けられている。浸入防止壁108は、円筒状に形成されると共に、開口孔102の周縁部から上方へ突出されており、浸入防止壁108の内周面が開口孔102の内周面と面一に配置されている。
【0070】
さらに、図3に示すように、支持軸36の挿通孔38内、モータベース48の連通孔66内、及びカバー100の開口孔102内には、ハーネス110(コード)が配線されている。ハーネス110は、車両側の電力供給装置(図示省略)と車両用ミラー装置10内の基板(図示省略)とを接続しており、ハーネス110によってモータ78に電力が供給されるように構成されている。また、挿通孔38の最小直径寸法D1及び連通孔66、開口孔102のそれぞれの直径寸法D2、D3とハーネス110の直径寸法D4との差に比して、上下方向における浸入防止壁108の上端(先端)と水切壁104の下端(先端)との間の寸法Hが大きく設定されている。
【0071】
ここで、上述したように、バイザ18及びアウタミラー20は、回動体43(ケース44及びカバー100)に連結されており、バイザ18及びアウタミラー20は、回動体43(ケース44及びカバー100)と一体に支持軸36の回りを回動可能にされている。このため、モータ78が駆動されて出力軸78Bが一方向へ回転することで、ケース44及びカバー100と一体にバイザ18及びアウタミラー20が車両後側かつ車幅方向内側へ回動される。これにより、バイザ18及びアウタミラー20が格納位置に格納される。一方、モータ78が駆動されて出力軸78Bが他方向へ回転することで、ケース44及びカバー100と一体にバイザ18及びアウタミラー20が使用位置へ回動される。
【0072】
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0073】
以上の構成のドアミラー装置10では、格納機構30において、モータ78が駆動されて、出力軸78Bが回転することで、出力軸78Bと一体にウォームギア80が回転されて、ウォームシャフト82が回転される(ヘリカルギア部86、ギア軸84及びウォームギア部88が一体回転される)。これにより、ウォームギア部88がギアプレート90の回りを回動されることで、ウォームギア部88と一体にケース44及びカバー100が支持軸36の回りを回動されて、ケース44及びカバー100と一体にバイザ18及びアウタミラー20が回動される。
【0074】
このため、モータ78が駆動されて出力軸78Bが一方向へ回転することで、バイザ18及びアウタミラー20が、ケース44及びカバー100と一体に格納位置へ回動される。一方、モータ78が駆動されて出力軸78Bが他方向へ回転されることで、バイザ18及びアウタミラー20が、ケース44と一体に使用位置に回動される。
【0075】
ところで、高圧洗車時等において水等の液体が車両用ミラー装置10内へ浸入した際に、当該液体がカバー100の開口孔102の上方から開口孔102内に流入(浸入)する場合がある。
【0076】
ここで、カバー100の開口孔102の周縁部には、水切壁104が設けられており、水切壁104の下方に第1傾斜面68が離間して配置されている。
【0077】
このため、車両用ミラー装置10内へ浸入した液体がカバー100の開口孔102内に流入(浸入)する場合には、当該液体が水切壁104を伝って下方へ流下される。そして、当該液体が、水切壁104の先端に到達して、水切壁104の先端から第1傾斜面68に落下する。第1傾斜面68に落下した液体は第1傾斜面68を伝って連通孔66へ流出される。これにより、連通孔66及び挿通孔38を介してスタンド32の下方へ液体が排出される。したがって、支持軸36の上方におけるカバー100(回動体43)とモータベース48との間の液体の溜まりを抑制できる。
【0078】
また、水切壁104が、開口孔102の周縁に沿って筒状に形成されて、カバー100の上壁から下方へ突出されている。これにより、液体が開口孔102内に流入(浸入)する場合に、液体が水切壁104の突出方向に沿って流下されるため、液体を下方へ確実に流下できる。
【0079】
さらに、上端カバー部58の連通孔66の上縁部に第1傾斜面68が設けられており、第1傾斜面68は、下方へ向かうに従い連通孔66の径方向内側へ傾斜して配置されている。これにより、簡易な構成で液体を連通孔66に容易に排出できる。
【0080】
また、水切壁104の外周面は、下方へ向かうに従い開口孔102の径方向内側へ傾斜して配置されている。このため、水切壁104を伝って下方へ流下された液体が水切壁104の先端に到達した際に、この液体が水切壁104の外周面側へ浸入することを抑制できる。また、仮に、液体が水切壁104の外周面側へ浸入して、水切壁104の外周面に液体が付着した際には、水切壁104の外周面に付着した液体が、水切壁104の外周面を伝って下方へ流下される。そして、当該液体が水切壁104の先端に到達して、第1傾斜面68に落下する。これにより、水切壁104に伝った液体を第1傾斜面68に確実に落下させることができる。
【0081】
さらに、カバー100の嵌合壁106は、水切壁104に対して開口孔102の径方向外側においてカバー100から下方へ突出されると共に、上端カバー部58の上方に配置されている。これにより、仮に水切壁104の先端に到達した液体が水切壁104の径方向外側へ浸入した場合には、嵌合壁106によって当該液体を遮断して、当該液体を上端カバー部58の上壁62に落下させることができる。
【0082】
また、第1傾斜面68が、嵌合壁106の先端に対して下方に配置されている。このため、上端カバー部58の上壁62に落下した液体を第1傾斜面68から連通孔66へ排出させることで、上端カバー部58に落下した液体に嵌合壁106の先端が浸水することを抑制できる。これにより、上端カバー部58に落下した液体が、再び嵌合壁106に伝わることを抑制できる。
【0083】
さらに、上端カバー部58には被嵌合壁70が設けられている。また、嵌合壁106の径方向において被嵌合壁70と嵌合壁106とがオーバーラップした状態で、被嵌合壁70が嵌合壁106と嵌合されている。これにより、仮に、水切壁104と第1傾斜面68との間から嵌合壁106の空間S内に液体が侵入した際には、嵌合壁106と被嵌合壁70とによって、当該液体のカバー100内への浸入を抑制できる。
【0084】
また、水切壁104の先端面と第1傾斜面68との間の間隙Gの最小寸法G1が、1mmに設定されている。また、モータベース48はPOMにより製作されており、カバー100はPPにより製作されている。このため、液体が水切壁104を伝って水切壁104の先端に到達した際に、毛細管現象が生じることを抑制できる。これにより、水切壁104を伝って水切壁104の先端に到達した液体の空間S内への侵入を一層抑制できるため、空間S内に液体が溜まることを抑制できる。
【0085】
さらに、カバー100の上壁には、浸入防止壁108が設けられており、浸入防止壁108は、開口孔102の周縁部から上方へ突出されている。このため、浸入防止壁108によって、例えば、カバー100の上壁に付着した液体の開口孔102への流入を遮断できるため、車両用ミラー装置10内へ浸入した液体の開口孔102内への流入(浸入)を抑制できる。
【0086】
また、嵌合壁106と水切壁104の先端との間の隙間寸法G2が、1mmに設定されている。このため、水切壁104を伝って水切壁104の先端に到達した液体が、水切壁104と嵌合壁106との間において、表面張力によって上方へ持ち上がることを抑制できる。これにより、水切壁104を伝って水切壁104の先端に到達した液体を第1傾斜面68に一層確実に落下させることができる。
【0087】
さらに、挿通孔38の最小直径寸法D1及び連通孔66、開口孔102のそれぞれの直径寸法D2、D3とハーネス110の直径寸法D4との差に比して、浸入防止壁108の上端(先端)と水切壁104の下端(先端)との間の上下方向における寸法Hが大きく設定されている。このため、車両用ミラー装置10内に浸入した液体が、開口孔102に対して斜め上方から開口孔102内への浸入することを抑制できる。これにより、車両用ミラー装置10内へ浸入した液体の開口孔102内への浸入を一層抑制できる。
【0088】
また、挿通孔38の最小直径寸法D1と、連通孔66及び開口孔102のそれぞれの直径寸法D2、D3が同じに設定されている。これにより、挿通孔38、連通孔66、及び開口孔102内に配線されるハーネス110の挿通性への影響を抑制しつつ、カバー100とモータベース48との間の液体の溜まりを抑制できる。
【0089】
(第2の実施の形態)
【0090】
図5には、第2の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置200に用いられる格納機構30の一部が拡大した縦断面図にて示されている。第2の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置200は第1実施の形態に係る車両用ドアミラー装置10と略同様の構成をしているが以下の点で異なる。
【0091】
この図に示すように、モータベース48の上端カバー部58には、連通孔66の上縁部全周において、断面略台形状の凸部202が設けられている。凸部202は上壁62に対して上方に突出されており、凸部202の内周面が第1傾斜面68とされている。つまり、第2の実施の形態における第1傾斜面68は、第1の実施の形態の第1傾斜面68に比べて、上方に配置されている。また、凸部202と被嵌合壁70との間には、ベース側溝部206が設けられており、ベース側溝部206は、嵌合壁106の真下に配置されている。
【0092】
ここで、車両用ミラー装置10内へ浸入した液体がカバー100の開口孔102内に流入する場合には、第1の実施の形態と同様に、当該液体が水切壁104を伝って下方へ流下される。そして、当該液体が、水切壁104の先端に到達して、水切壁104の先端から第1傾斜面68に落下する。第1傾斜面68に落下した液体は第1傾斜面68を伝って連通孔66へ流出される。
【0093】
また、仮に水切壁104の先端に到達した液体が水切壁104の径方向外側へ浸入した場合には、当該液体が嵌合壁106に遮断されてベース側溝部206内に落下される。
【0094】
さらに、第1傾斜面68が、嵌合壁106の先端に対して下方に配置されているため、ベース側溝部206内に落下した液体が第1傾斜面68から連通孔66へ排出されることで、ベース側溝部206内に落下した液体に嵌合壁106の先端が浸水することを抑制できる。これにより、上端カバー部58に落下した液体が、再び嵌合壁106に伝わることを抑制できる。
【0095】
以上により、第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0096】
また、第2の実施の形態では、モータベース48の上端カバー部58に、凸部202が設けられている。このため、モータベース48における第1傾斜面68と溝部64との間の肉厚を厚くできる。これにより、モータベース48の上端カバー部58における強度を確保しつつ、上端カバー部58に第1傾斜面68を設けることができる。
【0097】
(第3の実施の形態)
【0098】
図6には、第3の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置300に用いられる格納機構30の一部が拡大した縦断面図にて示されている。第3の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置300は第1実施の形態に係る車両用ドアミラー装置10と略同様の構成をしているが以下の点で異なる。
【0099】
この図に示すように、カバー100の水切壁104の先端部(下端部)が、開口孔102の径方向内側へ屈曲されている。つまり、平面視において、連通孔66の内周面に対して連通孔66の径方向内側に水切壁104の先端が配置されている。
【0100】
ここで、車両用ミラー装置10内へ浸入した液体がカバー100の開口孔102内に流入する場合には、当該液体が水切壁104を伝って下方へ流下される。そして、当該液体が、水切壁104の先端に到達して、水切壁104の先端から挿通孔38内へ直接落下する。これにより、水切壁104を伝って水切壁104の先端に流下された液体を挿通孔38へ直接排出できる。
【0101】
なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、水切壁104の先端が第1傾斜面68の真上に配置されている。これに替えて、水切壁104の先端を第1傾斜面68に対して連通孔66の径方向内側に配置してもよい。この場合には、例えば、連通孔66の直径寸法D2に比べて、開口孔102の直径寸法D3を小さくして、水切壁104の先端を第1傾斜面68に対して連通孔66の径方向内側に配置してもよい。
【0102】
また、第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、水切壁104の外周面が下方へ向かうに従い開口孔102の径方向内側に傾斜して配置されている。これに替えて、水切壁104の外周面を上下方向に沿って配置してもよい。
【0103】
さらに、第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、水切壁104の先端面の厚さ寸法Wが、0.8mmに設定されているが、この厚さ寸法Wは任意に設定できる。特に、厚さ寸法Wを小さくすることで、水切壁104を伝って水切壁104の先端に到達した液体を第1傾斜面68に落下させやすくできる。またさらに、水切壁104の先端面を省略してもよい。つまり、水切壁104の内周面の下端と水切壁104の外周面の下端とが接続されてもよい。
【0104】
また、第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、水切壁104の先端面と第1傾斜面68との間の間隙Gの最小寸法G1が、1mmに設定されているが、間隙Gの最小寸法G1は任意に設定することができる。つまり、カバー100及びモータベース48の材料を考慮して、水切壁104の先端面と第1傾斜面68との間で、毛細管現象の生じない間隙Gが設けられていればよい。
【0105】
さらに、第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、嵌合壁106と水切壁104の先端との間の隙間寸法G2が、1mmに設定されているが、この隙間寸法G2は任意に設定することができる。つまり、水切壁104と嵌合壁106との間において、表面張力による液体の上方への持ち上がりを抑制できる隙間寸法G2が設定されていればよい。
【0106】
また、第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、水切壁104が円筒状に形成されているが、水切壁の形状はこれに限らない。例えば、断面を環状の多角形状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0107】
10 車両用ミラー装置
20 アウタミラー
32 スタンド(支持部材)
36 支持軸
38 挿通孔
44 ケース(回動体)
48 モータベース(保持部材)
58 上端カバー部
66 連通孔
68 第1傾斜面(排出部)
70 被嵌合壁(被嵌合筒部)
78 モータ
100 カバー(回動体)
104 水切壁(案内部)
106 嵌合壁(外筒部)
108 浸入防止壁(浸入防止筒部)
200 車両用ミラー装置
300 車両用ミラー装置
G 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に挿通孔を有する筒状に形成された支持軸を含んで構成され、車体に連結された支持部材と、
前記支持軸に回動可能に支持されると共に、モータの駆動により車両のアウタミラーと一体回動可能に構成され、前記挿通孔の上方に開口孔が設けられた回動体と、
前記モータを保持した状態で前記モータと共に前記回動体内に収容された保持部材と、
前記回動体の前記開口孔周縁に設けられ、前記開口孔内に浸入した液体を下方へ案内する案内部と、
前記保持部材に設けられると共に、前記案内部に対して下方へ離間して配置され、前記案内部によって下方へ案内された液体を前記挿通孔へ排出させる排出部と、
を備えた車両用ミラー装置。
【請求項2】
前記保持部材に設けられ、前記支持軸の上端部を覆うと共に、前記挿通孔に連通する連通孔が形成された上端カバー部を備え、
前記案内部は前記開口孔周縁に沿って筒状に形成されると共に前記回動体から下方へ突出され、
前記排出部は前記上端カバー部における前記連通孔の上縁部に設けられると共に下方へ向かうに従い前記連通孔の径方向内側へ傾斜して配置された請求項1に記載の車両用ミラー装置。
【請求項3】
前記案内部の外周面が、下方へ向かうに従い前記開口孔の径方向内側へ傾斜して配置された請求項2に記載の車両用ミラー装置。
【請求項4】
前記回動体に筒状に設けられ、前記案内部に対して前記開口孔の径方向外側において前記回動体から下方へ突出されると共に、前記上端カバー部の上方に配置された外筒部を備え、
前記排出部が前記外筒部の先端に対して下方に配置された請求項2又は請求項3に記載の車両用ミラー装置。
【請求項5】
前記上端カバー部に筒状に設けられ、前記外筒部に対して前記外筒部の径方向外側において前記上端カバー部から上方へ突出されると共に、前記外筒部の外周部と嵌合される被嵌合筒部を備えた請求項4に記載の車両用ミラー装置。
【請求項6】
前記案内部の先端部が下方へ向かうに従い前記開口孔の径方向内側へ傾斜するように屈曲された請求項2〜請求項5の何れか1項に記載の車両用ミラー装置。
【請求項7】
前記回動体に筒状に設けられ、前記開口孔の周縁から上方へ突出される浸入防止筒部を備えた請求項2〜請求項6の何れか1項に記載の車両用ミラー装置。
【請求項8】
前記案内部と前記排出部との間には、毛細管現象が生じない間隙が設けられた請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の車両用ミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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