車両用モールおよびモールエンドキャップの取付方法
【課題】 簡素な工程で、且つ高温下でも引張荷重が低下することなくモールエンドキャップがモール本体に取り付けられるように構成される車両用モールを提供すること。
【解決手段】 車両用モール1は、車両に取り付けられる長尺状の樹脂製のモール本体10と樹脂製のモールエンドキャップ20とを備える。モールエンドキャップ20は、モール本体10の長手方向端面に接するように対面配置して長手方向端面を覆うキャップ部21と、キャップ部21に連結するとともにモール本体10の内面10bに対面するようにキャップ部21からモール本体10の長手方向に向けて延びるキャップ支持部22とを有する。モール本体10とモールエンドキャップとはそれぞれ異なる樹脂材で形成されている。そして、キャップ支持部22には、超音波溶着によってモール本体10の内面10bからモール本体10に埋め込まれた部分である埋め込み部22aが形成されている。
【解決手段】 車両用モール1は、車両に取り付けられる長尺状の樹脂製のモール本体10と樹脂製のモールエンドキャップ20とを備える。モールエンドキャップ20は、モール本体10の長手方向端面に接するように対面配置して長手方向端面を覆うキャップ部21と、キャップ部21に連結するとともにモール本体10の内面10bに対面するようにキャップ部21からモール本体10の長手方向に向けて延びるキャップ支持部22とを有する。モール本体10とモールエンドキャップとはそれぞれ異なる樹脂材で形成されている。そして、キャップ支持部22には、超音波溶着によってモール本体10の内面10bからモール本体10に埋め込まれた部分である埋め込み部22aが形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用モールおよびモールエンドキャップの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用モールは、車両の例えばドアパネルに形成される窓開口部の縁に取り付けられ、車両の外装を装飾する。車両用モールは、例えば窓開口部の縁に沿って取り付けられる長尺状のモール本体と、モール本体の長手方向端末部に取り付けられモール本体の長手方向端面を覆うキャップ部を有するモールエンドキャップを備える。モール本体とモールエンドキャップとの取付構造に関する技術が従来から提案されている。
【0003】
特許文献1は、モール本体に係止される引掛部が形成されたモールエンドキャップを開示する。このモールエンドキャップは、モール本体の長手方向端面に対面配置してその長手方向端面を覆うキャップ部と、キャップ部に連結するとともにモール本体の側方部に対面するようにモール本体の長手方向に向けて延びるキャップ支持部とを備える。また、キャップ支持部に引掛部が形成され、この引掛部がモール本体の長手方向端末部付近の側方部に形成された切欠部に係止される。引掛部はモールエンドキャップに予め装着された板バネ上に設けられ、板バネが発生する弾発力でモール本体の切欠部に引掛部が段発的に係止されることによりモールエンドキャップがモール本体に強固に取り付けられる。また、引掛部はモール本体の長手方向軸に対して傾斜した傾斜面と直交した鉛直面を有する。切欠部の形成位置が多少変化しても、引掛部の傾斜面のいずれかの部分が切欠部の縁部に係止することにより、モールエンドキャップがモール本体に固定される。また、切欠部の設計寸法が多少小さくても、引掛部の鉛直面が切欠部の縁に係止することにより、モールエンドキャップがモール本体に固定される。
【0004】
特許文献2は、モール本体の長手方向端面の開口部に嵌合部(支持部)を有するモールエンドキャップを挿入し、モール本体の側方部に設けられた取付孔からモールエンドキャップの嵌合部に設けられた取付孔に樹脂ピンを打ち込むことにより、モールエンドキャップをモール本体に固定する方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−104168号公報
【特許文献2】特開2003−118384号公報
【発明の概要】
【0006】
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1に記載されたモール本体へのモールエンドキャップの取付構造によれば、モール本体の長手方向端末部の側方部に形成された切欠部の寸法誤差分を加味した隙間がモール本体(切欠部)とモールエンドキャップ(引掛部)との間に設けられるように、両者が設計される。この隙間は板バネの弾発力により埋められる。しかし、高温時等に板バネの弾発力が低下すると、上記隙間が埋められない。上記隙間の存在は、モールエンドキャップをモール本体の長手方向に引っ張った時にモールエンドキャップがモール本体から抜け落ちるまでに要する荷重(引張荷重)を低下させる。
【0007】
特許文献2に記載された取付方法によれば、モールエンドキャップをモール本体に取り付けるために、モール本体およびモールエンドキャップに取付孔を形成する工程、取付孔に樹脂ピンを打ち込む工程を要する。したがって、モールエンドキャップをモール本体に取り付けるための工程数が増加し、ひいては製造コストも増加する。
【0008】
故に、本発明は、簡素な工程で、且つ高温下でも引張荷重が低下することなくモールエンドキャップがモール本体に取り付けられるように構成される車両用モールおよびモールエンドキャップの取付方法を提供することを目的とする。
【0009】
(課題を解決するための手段)
本発明は、車両に取り付けられる長尺状の樹脂製のモール本体と、前記モール本体の長手方向端面に接するように対面配置して前記長手方向端面を覆うキャップ部と、前記キャップ部に連結するとともに前記モール本体の側方部に対面するように前記キャップ部から前記モール本体の長手方向に向けて延びるキャップ支持部とを有し、前記モール本体とは異なる樹脂材で形成されたモールエンドキャップとを備え、前記キャップ支持部には、超音波溶着によって前記モール本体の側方部から前記モール本体に埋め込まれた部分である埋め込み部が形成されている、車両用モールを提供する。
【0010】
また、本発明は、車両に取り付けられる長尺状の樹脂製のモール本体に、前記モール本体の長手方向端面を覆うキャップ部および前記キャップ部に連結したキャップ支持部とを備え前記モール本体とは異なる樹脂材で形成されたモールエンドキャップを取り付ける、モールエンドキャップの取付方法であって、前記キャップ部が前記モール本体の長手方向端面に接するように対面配置し且つ前記キャップ支持部が前記モール本体の側方部に接するように、前記モールエンドキャップを配置するエンドキャップ配置工程と、超音波溶着に用いられる超音波ホーンの先端面が前記キャップ支持部および前記モール本体に接触するように超音波ホーンを配置し、超音波ホーンを超音波振動させながら、超音波ホーンで前記キャップ支持部が前記モール本体の側方部に押し付けられるように前記キャップ支持部を加圧することにより、前記キャップ支持部および前記モール本体に超音波ホーンの振動による摩擦熱で溶融した溶融部を形成するとともに超音波ホーンからの加圧力により前記キャップ支持部の溶融部を前記モール本体の側方部から前記モール本体に埋め込んで前記モールエンドキャップを前記モール本体に溶着する超音波溶着工程と、を含む、モールエンドキャップの取付方法を提供する。
【0011】
本発明によれば、樹脂製のモール本体に、モール本体とは異なる樹脂材で成形された樹脂製のモールエンドキャップが、超音波溶着により取り付けられる。超音波溶着は溶着ロボット等を用いて簡単に実施することができる。また、特許文献2に記載のモールエンドキャップの取付方法のように、モール本体およびモールエンドキャップに取付孔を形成する工程、取付孔に樹脂ピンを打ち込む工程を必要としない。したがって、簡素な工程でモールエンドキャップをモール本体に取り付けることができる。
【0012】
また、超音波溶着に用いられる超音波ホーンが超音波振動しながら、キャップ支持部がモール本体の側方部に押し付けられる方向にキャップ支持部を加圧する。このため超音波振動によってキャップ支持部およびモール本体が溶融するとともに、超音波ホーンから受ける加圧力によってキャップ支持部の溶融部がモール本体の側方部からモール本体内に埋め込まれる。埋め込まれた部分(埋め込み部)はモール本体の側方部から厚み方向(モール本体の長手方向に直交する方向)に延びているので、モールエンドキャップがモール本体の長手方向に引っ張られた場合に埋め込み部がモール本体に干渉する。この干渉状態は高温下であってもそれほど変化しない。よって、例え高温下等であってもモールエンドキャップの引張荷重は低下しない。
【0013】
このように、本発明によれば、簡素な工程で、且つ高温下等でも引張荷重が低下することなくモールエンドキャップがモール本体に取り付けられるように構成される車両用モールおよびモールエンドキャップの取付方法を提供することができる。
【0014】
通常、超音波溶着は、同種の樹脂材を溶融して自着により接合することを目的として用いられる。これに対し本発明では、超音波溶着で一方の部品を他方の部品に埋め込むことにより、異種材料同士の超音波溶着が実現される。本発明によれば、異なる樹脂材料で形成されたモール本体とモールエンドキャップを超音波溶着することができる。
【0015】
上記において、モール本体の「側方部」とは、長尺状のモール本体の端面以外の部分、つまりモール本体の長手方向に直交する断面外形により表わされる部分を言う。この場合において、モール本体の側方部は、車両に取り付けられたときに車両の外装を装飾する装飾面(意匠面)とその装飾面の反対側の内面とを有するのがよい。そして、超音波溶着によりキャップ支持部に形成される埋め込み部は、モール本体の内面側からモール本体に埋め込まれているのがよい。
【0016】
また、モール本体とモールエンドキャップは、異なる樹脂材であればどのような樹脂材で形成されていてもよい。特に、モール本体とモールエンドキャップは、比較的融点の近い異なる樹脂材で形成されているのがよい。モール本体は例えばポリプロピレン(PP)樹脂やポリ塩化ビニル(PVC)樹脂で形成されてもよい。モールエンドキャップは例えばポリアセタール(POM)樹脂やポリエステル樹脂等で形成されてもよい。
【0017】
前記埋め込み部の長さは0.25mm以上であるとよい。埋め込み部の長さが0.25mm以上である場合、モールエンドキャップの引張荷重が大きく向上する。よって、引張荷重に関する要求品質を十分に満たした車両用モールを提供することができる。
【0018】
前記キャップ支持部には、前記モール本体の長手方向に沿った複数箇所に前記埋め込み部が形成されているのがよい。また、前記超音波溶着工程にて、前記モール本体の長手方向に沿った複数の位置で超音波ホーンが前記キャップ支持部および前記モール本体に接触するように、超音波ホーンが配置されるのがよい。モール本体の長手方向に沿った複数箇所でキャップ支持部が超音波溶着によりモール本体に埋め込まれることにより、モールエンドキャップの引張荷重を大きく向上させることができる。よって、引張荷重に関する要求品質を確実に満たした車両用モールを提供することができる。
【0019】
また、前記超音波ホーンの先端面に凹部が形成されているとよい。これによれば、超音波溶着によりキャップ支持部及び樹脂製モール本体が溶融するときに発生するバリが超音波ホーンの先端面に形成された凹部に捕捉される。このためバリが製品外部(特に超音波ホーンの外周回り)に露呈することが防止される。
【0020】
また、前記モール本体の側方部には、車両の外装を装飾する装飾面とその反対側に位置する内面が形成され、前記モール本体には、その長手方向に沿って前記内面に対面する方向に折り曲げられ、車両部品に接触するリップを支持する長尺状のリップ支持部が設けられているとよい。そして、本発明に係るモールエンドキャップの取付方法は、前記リップ支持部をその端面から長手方向に向かって超音波カッターにより部分的に切除する超音波カット工程をさらに含み、前記エンドキャップ配置工程は、前記キャップ支持部が前記超音波カット工程で切除された部分に対面していた前記モール本体の前記内面に接触するように、前記モールエンドキャップを配置する工程であるのがよい。
【0021】
これによれば、超音波カット工程でリップ支持部の一部が切除され、切除された部分に覆われていたモール本体の内面側が露呈される。そして、エンドキャップ配置工程にて、露呈されたモール本体の内面にキャップ支持部が接するようにモールエンドキャップが配置される。その後、超音波ホーンを作動させることにより、キャップ支持部がモール本体の内面側からモール本体に埋め込まれる。これによりモールエンドキャップがモール本体に超音波溶着される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る車両用モールの分解斜視図である。
【図2】モール本体の正面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2のB−B断面図である。
【図5】カット前モール本体の正面図である。
【図6】切断装置にセットされたカット前モール本体と超音波カッターの初期位置との位置関係を、カット前モール本体の長手方向から見た図である。
【図7】切断装置にセットされたカット前モール本体と超音波カッターの初期位置との配置関係を、カット前モール本体の長手方向に直交する側方から見た図である。
【図8】モールエンドキャップが配設されたモール本体の長手方向に直交する断面を表す。
【図9】超音波ホーンを示す図である。
【図10】モール本体およびキャップ支持部に対する超音波ホーンの配設位置を示す図である。
【図11】超音波ホーンの接触部の先端面が、モール本体およびキャップ支持部に接触する位置を、モール本体の長手方向に直交する方向から示す図である。
【図12】キャップ支持部が樹脂製モール本体に超音波溶着された状態を示す図である。
【図13】図12のD部詳細図である。
【図14】超音波ホーンの接触部をキャップ支持部から引き抜いた状態を示す図である。
【図15】埋め込み長さXとストローク長さYとを示す図である。
【図16】張荷重Fの測定方法を示す図である。
【図17】ストローク長さYと引張荷重Fとの関係を表すグラフである。
【図18】埋め込み長さXと引張荷重Fとの関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る車両用モールの分解斜視図である。図1に示すように、この車両用モール1はモール本体10とモールエンドキャップ20とを備える。モール本体10は長尺状に形成され、長手方向端面101および側方部102を有する。側方部102は、モール本体10の長手方向に直交する断面の外形により表わされる。モール本体10は押出成形等によって成形される。モールエンドキャップ20は射出成形等によりモール本体10とは別体として成形され、成形後にモール本体10の長手方向端末部に取り付けられる。本実施形態において、車両用モール1は、車両のドアパネルに形成される窓開口部の下縁に取り付けられるベルトモールである。
【0024】
図2はモール本体10の長手方向端末付近を主に表わす正面図である。また、図3は図2のA−A断面図であって、モール本体10の長手方向の中央部付近の断面形状を表す。図4は図2のB−B断面図であって、モール本体10の長手方向の端末部付近の断面形状を表す。図3および図4からわかるように、モール本体10の長手方向に直交する断面により表わされる外形部分(側方部102)には装飾面10aと内面10bが形成される。装飾面10aは、車両用モール1が車両のドアパネルの窓開口部の下縁に取り付けられたときに車両外方を向き、車両の外装を装飾する。内面10bは装飾面10aの反対側に位置し、装飾面10aの反対面を構成する。また、装飾面10aおよび内面10bの下端部分には、内面10b側に折り曲げられた爪部11が形成される。
【0025】
また、図3に示すように、モール本体10にはリップ支持部12が設けられる。リップ支持部12はモール本体10の装飾面10aおよび内面10bの図において上端部分から、下方に向けて折り曲がり、内面10bに対面するように延設されている。したがって、図3に示す断面位置では、リップ支持部12によってモール本体10の内面10bが覆われる。リップ支持部12には2本のリップ30が取り付けられる。リップ30はリップ支持部12の長手方向に沿って長尺状に形成される。リップ30は、車両用モール1が車両のドアパネルの窓開口部の下端に取り付けられたときに、車両のドアパネルに設置されたウインドウガラスに毛質状の布材等を介して接触する。リップ30により車室内の防音が高められるとともに車室内への雨滴の進入が防止される。
【0026】
また、図4に示すように、モール本体10の長手方向端末部においては、リップ支持部12の大部分およびリップ30の大部分が切除されている。したがって、この断面位置では、モール本体10の内面10bはリップ支持部12に覆われていない。
【0027】
図1に示すように、モールエンドキャップ20は、キャップ部21とキャップ支持部22とを有する。キャップ部21は平板状に形成され、モールエンドキャップ20がモール本体10に取り付けられたときにモール本体10の長手方向端面101に接触し、長手方向端面101を覆う。キャップ支持部22はキャップ部21の一方面から延設されている。キャップ支持部22は、モールエンドキャップ20がモール本体10に取り付けられたときに、モール本体10の内面10bに対面するように配置される。
【0028】
モール本体10とモールエンドキャップ20は、それぞれ異なる樹脂材で形成されている。本実施形態においては、モール本体10はPP(ポリプロピレン)樹脂で成形されている。一方、モールエンドキャップ20はPOM(ポリアセタール)樹脂で成形されている。
【0029】
上記構造の車両用モール1において、モール本体10へのモールエンドキャップ20の取付方法を以下に説明する。
【0030】
(各部品作製工程)
まず、カット前モール本体10’およびモールエンドキャップ20を樹脂成形する。カット前モール本体10’は、モール本体10を成形するための中間成形品である。図5は、カット前モール本体10’の正面図である。カット前モール本体10’の長手方向端末部の断面形状は中央部の断面形状に等しい。この断面形状は、図3に示されるモール本体10の中央部分の断面形状に等しい。すなわち、カット前モール本体10’は、長手方向端末部に形成されていたリップ支持部12およびリップ30がモール本体10から切除される前の成形品である。このカット前モール本体10’の長手方向端末部におけるリップ支持部およびリップが、後述の超音波カット工程で切除されることにより、モール本体10が成形される。カット前モール本体10’は、例えば押出成形により長手方向に沿って均一な断面形状を有するように成形される。モールエンドキャップ20は、例えば射出成形により成形される。
【0031】
(超音波カット工程)
次に、超音波カッターが設けられた切断装置にカット前モール本体10’をセットする。図6は、切断装置100にセットされたカット前モール本体10’と超音波カッターの初期位置との位置関係を、カット前モール本体10’の長手方向から見た図である。図7は、カット前モール本体10’と超音波カッターの初期位置との配置関係を、カット前モール本体10’の長手方向に直交する側方から見た図である。図6および図7に示すように、切断装置100には、4個の超音波カッターS1,S2,S3,S4が備えられている。超音波カッターS1の初期位置は、カット前モール本体10’の長手方向端面にてリップ支持部12に設けられた2本のリップ30のうち上側のリップ30Uの根元付近に接する位置である。超音波カッターS2の初期位置は、カット前モール本体10’の長手方向端面にてリップ支持部12の図6において上方部分に接する位置である。超音波カッターS3の初期位置は、カット前モール本体10’の長手方向端末部と中央部との境界近傍にてリップ30Uの先端に接する位置である。超音波カッターS4の初期位置は、カット前モール本体10’の長手方向端末部と中央部との境界近傍にてリップ支持部12の下端に接する位置である。
【0032】
カット前モール本体10’を切断装置100にセットした後に、超音波カッターS1および超音波カッターS2を超音波振動させながらそれぞれ初期位置からカット前モール本体10’の長手方向に移動させる。超音波カッターS1の移動によりリップ30Uがその根元からカット前モール本体10’の長手方向に沿って切断される。超音波カッターS2の移動によりリップ支持部12がカット前モール本体10’の長手方向に沿って切断される。
【0033】
超音波カッターS1およびS2によってリップ30Uおよびリップ支持部12をカット前モール本体10’の長手方向端末部と中央部との境界付近まで切断した後に、超音波カッターS1およびS2を初期位置まで戻す。その後、超音波カッターS3を超音波振動させながら、初期位置から超音波カッターS1によりカット前モール本体10’の長手方向に沿って形成された切断線の終点位置まで移動させる。これにより、カット前モール本体10’の長手方向端末部に形成されていたリップ30Uが切除される。リップ30が切除された後に超音波カッターS3を初期位置に戻す。次いで、超音波カッターS4を超音波振動させながら、初期位置から超音波カッターS2によりカット前モール本体10’の長手方向に沿って形成された切断線の終点位置まで移動させる。これにより、カット前モール本体10’の長手方向端末部に形成されていたリップ支持部12が切除される。リップ支持部12が切除された後に超音波カッターS4を初期位置に戻す。このような超音波カット工程での切断加工により、カット前モール本体10’の長手方向端末部に形成されていたリップ30Uとリップ支持部12の大部分が切断され、その部分に覆われていたモール本体10の内面10bが露呈される。この超音波カット工程により、カット前モール本体10’から図3に示すモール本体10が成形される。
【0034】
(エンドキャップ配置工程)
次いで、超音波カット工程で成形されたモール本体10の長手方向端末部にモールエンドキャップ20を配置する。この場合において、モールエンドキャップ20は、キャップ部21がモール本体10の長手方向端面101に接してこの長手方向端面を覆い、且つキャップ支持部22がモール本体10の長手方向端末部における内面10bに対面して接触するように、モールエンドキャップ20をモール本体10に対して配置する。
【0035】
図8は、モールエンドキャップ20が配設されたモール本体10の長手方向に直交する断面を表す。図8に示すように、モールエンドキャップ20のキャップ支持部22は、基部221および平板部222とを有する。基部221は、モール本体10の内面10bのうち上記超音波カット工程によって露呈された部分に接触し、その接触部位から図8の右方に立設される。平板部222は基部221から図8において略上方に延びて形成されている。また、基部221の立設方向における高さは、モール本体10の爪部11の高さにほぼ等しい。このため、基部221の立設方向における基部221の上面221aの高さ位置と爪部11の先端面11aの高さ位置はほぼ等しい。なお、基部221の上面221aの高さ位置と爪部11の先端面11aの高さ位置は、必ずしもほぼ等しくなくてもよい。
【0036】
(超音波溶着工程)
次に、モールエンドキャップ20が配設されたモール本体10を超音波溶着装置に移送する。超音波溶着装置内には、超音波溶着に用いられる超音波ホーンが設けられている。
【0037】
図9は本実施形態に係る超音波ホーン40を示す図であり、図9(a)は斜視図、図9(b)は正面図、図9(c)は側面図、図9(d)は図9(b)におけるC−C断面図である。図9に示すように、超音波ホーン40は、基部41と、中間部42と、接触部43とを備える。基部41は、円柱状に形成され、その断面外形が略楕円状であり、側周に二面幅が形成されている。この基部41に図示しない超音波振動子が接触される。中間部42は基部41から連続して円柱状に形成される。中間部42の径は基部41の径よりも小さい。中間部42の端面に二個の接触部43が並んで形成されている。接触部43は、超音波溶着すべき部材に接触する部位であり、図9(d)に示すように、その先端面431に凹部432が形成されている。本実施形態において、接触部43の外径(超音波ホーン40の打点径)は3mmである。
【0038】
上記構造の超音波ホーン40が、モール本体10およびモールエンドキャップ20に対して配置される。図10は、モール本体10およびモールエンドキャップ20のキャップ支持部22に対する超音波ホーン40の配設位置を示す図である。図10に示すように、超音波ホーン40は、その接触部43の先端面431がキャップ支持部22の基部221の上面221aと、モール本体10の爪部11の先端面11aとの双方に接するように、配置される。
【0039】
図11は、超音波ホーン40の接触部43の先端面431が、モール本体10およびキャップ支持部22に接触する位置を、モール本体10の長手方向に直交する方向から示す図である。図11において、斜線で示した部分がモール本体10に配設されたモールエンドキャップ20を示す。また、黒丸で示した位置が、超音波ホーン40の接触部43の先端面431がモール本体10およびキャップ支持部22に接触する位置である。図11に示すように、接触部43の先端面431は、キャップ支持部22とモール本体10(爪部11)との境界位置にて、キャップ支持部22およびモール本体10(爪部11)の双方に接触する。また、モール本体10の長手方向に沿った2位置で、2個の接触部43がそれぞれキャップ支持部22およびモール本体10(爪部11)の双方に接触する。
【0040】
上記のように超音波ホーン40をモール本体10およびモールエンドキャップ20に対して配置した後に、超音波ホーン40を超音波振動させながら、超音波ホーン40でキャップ支持部22を加圧する。このときキャップ支持部22がモール本体10の内面10bに押し付けられるように、超音波ホーン40でキャップ支持部22を加圧する。超音波ホーン40の超音波振動がモール本体10およびキャップ支持部22に伝わることにより、モール本体10およびキャップ支持部22が振動する。振動による摩擦熱でモール本体10の一部およびキャップ支持部22の一部が溶融する。
【0041】
キャップ支持部22の溶融に伴い、キャップ支持部22を加圧している超音波ホーン40の接触部43が加圧方向に沿ってキャップ支持部22内に押し込まれる。また、超音波振動によってモール本体10の内面10b側が溶融あるいは軟化している。キャップ支持部22の溶融部は超音波ホーン40からの加圧力によって、溶融あるいは軟化したモール本体10の内面10b側からモール本体10内に埋め込まれる。このようにしてキャップ支持部22がモール本体10に埋め込まれることにより、モールエンドキャップ20がモール本体10に超音波溶着される。
【0042】
図12は、キャップ支持部22がモール本体10に超音波溶着された状態を示す図である。図12に示すように、超音波ホーン40の接触部43がキャップ支持部22に押し込まれている。また、超音波振動によってモール本体10およびキャップ支持部22が溶融あるいは軟化し、且つ超音波ホーン40でキャップ支持部22がモール本体10の内面10bに押し付けられるように加圧されることによって、溶融したキャップ支持部22の一部がモール本体10の内面10b側に埋め込まれる。これにより、モール本体10の内面10bに凹部10cが形成されるとともに、この凹部10c内に埋め込まれた埋め込み部22aがキャップ支持部22に形成される。なお、一つの接触部43に対応して一つの埋め込み部22aが形成される。本実施形態では、2個の接触部43がモール本体10の長手方向に沿ってモール本体10とキャップ支持部22との双方に接触しているので、埋め込み部22aはモール本体10の長手方向に沿った異なる2位置に形成される。この2位置は、図11において黒丸で示される位置とほぼ同じ位置である。
【0043】
図13は図12のD部の詳細図である。図13に示すように、超音波ホーン40の接触部43の先端面431に形成された凹部432内には、キャップ支持部22が溶融する際に生じるバリ、およびモール本体10が溶融する際に生じるバリが捕捉される。
【0044】
超音波ホーン40の接触部43のキャップ支持部22への押し込み長さ(後述のストローク長さ)あるい加圧力が設定値に達した後に、接触部43をキャップ支持部22から引き抜く。図14は、超音波ホーン40の接触部43をキャップ支持部22から引き抜いた状態を示す図である。図14に示すように、接触部43が引き抜かれた部分には、接触部43の凹部432に捕捉されたバリが集約された突起が形成される。以上の工程を経て、モールエンドキャップ20がモール本体10に取り付けられる。
【0045】
本実施形態で示した超音波溶着によるモールエンドキャップ20の取付方法によれば、超音波溶着によって、モールエンドキャップ20のキャップ支持部22にモール本体10の内面10b側からモール本体10内に埋め込まれた埋め込み部22aが形成される。この埋め込み部22aは、モール本体10の内面10bから装飾面10aに向かう厚み方向、すなわちモール本体10の長手方向に直交する方向に延びる。よって、モール本体10に取り付けられたモールエンドキャップ20をモール本体10の長手方向に引っ張った場合、キャップ支持部22に形成された埋め込み部22aがモール本体10の凹部10cに干渉する。よって、モールエンドキャップ20がモール本体10の長手方向に引き抜かれることが防止される。
【0046】
図15は、モール本体10に超音波溶着されたモールエンドキャップ20のキャップ支持部22に形成された埋め込み部22aの埋め込み長さXと、超音波ホーン40を超音波振動させながら接触部43をキャップ支持部22に押し込む長さ(ストローク長さ)Yとを示す図である。埋め込み長さXは、モール本体10の内面10bからモール本体10内に埋め込まれている埋め込み部22aの内面10bに直交する方向(厚み方向)に沿った長さを表す。ストローク長さYは、キャップ支持部22の基部221の上面221aから加圧方向に向けてキャップ支持部22内に接触部43が押し込まれた長さを表す。
【0047】
超音波溶着によりモール本体10に溶着されたモールエンドキャップ20がモール本体10の長手方向に引っ張られた場合において、モールエンドキャップ20がモール本体10から引き抜かれるまでに要する荷重(引張荷重)Fは、埋め込み部22aの埋め込み長さXに依存すると考えられる。また、埋め込み部22aの埋め込み長さXは超音波ホーン40の接触部43のストローク長さYに依存すると考えられる。そこで、埋め込み長さXおよびストローク長さYが引張荷重に及ぼす影響を把握するために、ストローク長さYを種々変化させてモールエンドキャップ20をモール本体10に超音波溶着した複数のサンプル品を試作し、試作したサンプル品について、それぞれ埋め込み長さXおよび引張荷重Fを測定した。
【0048】
図16は、引張荷重Fの測定方法を示す図である。図16に示すように、作成したサンプル品Sのモールエンドキャップ20にプシュプルゲージPの測定針P1を引掛けて、プシュプルゲージPをモール本体10の長手方向に引張る。モールエンドキャップ20がモール本体10から引き抜かれたときにプシュプルゲージPが示す荷重を引張荷重として測定した。また、各サンプル品をX線撮影し、撮影画像から埋め込み長さXを測定した。
【0049】
測定結果を表1に示す。
【表1】
【0050】
表1において、移動長さZは、超音波ホーン40の超音波振動を停止させた状態で、接触部43を加圧方向に移動させた長さである。表1からわかるように、移動長さZと引張荷重Fとの相関関係は小さい。
【0051】
図17は、表1から得られるストローク長さYと引張荷重Fとの関係を表すグラフであり、図18は、表1から得られる埋め込み長さXと引張荷重Fとの関係を表すグラフである。
【0052】
図17からわかるように、ストローク長さYが4.0mmであるときに測定された引張荷重Fは、ストローク長さYが4.0mm未満であるときに測定された引張荷重Fと比較して非常に大きい。よって、ストローク長さYは4.0mm以上であるのがよい。また、図18からわかるように、埋め込み長さXが0.25mm以上であるときに測定された引張荷重Fは、埋め込み長さXが0.25mm未満であるときに測定された引張荷重Fと比較して非常に大きい。よって、埋め込み長さXが0.25mm以上となるように、モールエンドキャップ20をモール本体10に超音波溶着するのがよい。
【0053】
以上のように、本実施形態に係る車両用モール1は、車両に取り付けられる長尺状の樹脂製のモール本体10と樹脂製のモールエンドキャップ20とを備える。モールエンドキャップ20は、モール本体10の長手方向端面101に接するように対面配置して長手方向端面を覆うキャップ部21と、キャップ部21に連結するとともにモール本体10の長手方向端面部における内面10bに対面するようにキャップ部21からモール本体10の長手方向に向けて延びるキャップ支持部22とを有する。モール本体10とモールエンドキャップとはそれぞれ異なる樹脂材で形成されている。そして、キャップ支持部22には、超音波溶着によってモール本体10の内面10bからモール本体10に埋め込まれた部分である埋め込み部22aが形成されている。
【0054】
また、本実施形態に係るモールエンドキャップの取付方法は、キャップ部21がモール本体10の長手方向端面101を塞ぎ、且つキャップ支持部22がモール本体10の内面10bに接するように、モールエンドキャップ20をモール本体10に対して配置するエンドキャップ配置工程と、超音波溶着に用いられる超音波ホーン40の接触部43の先端面431がキャップ支持部22およびモール本体10に接触するように超音波ホーン40を配置し、超音波ホーン40を超音波振動させながら、超音波ホーン40でキャップ支持部22がモール本体10の内面10b側に押し付けられるようにキャップ支持部22を加圧することにより、キャップ支持部22およびモール本体10に超音波ホーン40の振動による摩擦熱で溶融した溶融部を形成するとともに超音波ホーン40からの加圧力によりキャップ支持部22の溶融部をモール本体10の内面10b側からモール本体10に埋め込んでモールエンドキャップ20をモール本体10に溶着する超音波溶着工程と、を含む。
【0055】
本実施形態によれば、樹脂製のモール本体10に、モール本体10とは異なる樹脂材で成形された樹脂製のモールエンドキャップ20が、超音波溶着により取り付けられる。超音波溶着は溶着ロボット等を用いて簡単に実施することができる。したがって、簡素な工程でモールエンドキャップ20をモール本体10に取り付けることができる。
【0056】
また、超音波溶着に用いられる超音波ホーン40が超音波振動しながら、キャップ支持部22がモール本体10の内面10b側に押し付けられる方向にキャップ支持部22を加圧する。このため超音波振動によってキャップ支持部22およびモール本体10が溶融するとともに、超音波ホーン40から受ける加圧力によってキャップ支持部22の溶融部がモール本体10の内面10b側からモール本体10内に埋め込まれる。埋め込まれた部分(埋め込み部22a)はモール本体10の内面10bから厚み方向(内面10bに対して鉛直な方向であり、モール本体10の長手方向に直交する方向)に延びているので、モールエンドキャップ20がモール本体10の長手方向に引っ張られた場合に埋め込み部22aがモール本体10に干渉する。この干渉状態は高温下であってもそれほど変化しない。よって、例え高温下であってもモールエンドキャップ20の引張荷重は低下しない。
【0057】
このように、本実施形態によれば、簡素な工程で、且つ高温下でも引張荷重が低下することなくモールエンドキャップ20がモール本体10に取り付けられるように構成される車両用モール1およびモールエンドキャップ20の取付方法を提供することができる。
【0058】
また、本実施形態から、埋め込み部22aの長さ(埋め込み長さX)が0.25mm以上であれば、モールエンドキャップ20の引張荷重Fが十分大きいことがわかる。さらに、本実施形態から、ストローク長さYが4mm以上であれば、モールエンドキャップ20の引張荷重Fが十分大きいことがわかる。よって、埋め込み長さXを0.25mm以上、あるいはストローク長さYを4mm以上にすることによって、要求される引張荷重の大きさを十分に満たした車両用モールを提供することができる。
【0059】
また、キャップ支持部22には、モール本体10の長手方向に沿った2位置に埋め込み部22aが形成されている。このように複数の埋め込み部22aがモール本体10の長手方向に沿って形成されていることにより、モールエンドキャップ20の引張荷重Fを大きく向上させることができる。
【0060】
また、超音波ホーン40の接触部43の先端面431に凹部432が形成されていて、超音波溶着によりキャップ支持部22及びモール本体10が溶融するときに発生するバリが上記凹部432に捕捉される。このためバリが製品外部に露呈することが防止される。また、本実施形態では、接触部43の外径が3mmの超音波ホーン40を使用した。接触部43の外径が5mmである超音波ホーンを用いてモール本体10にモールエンドキャップ20を超音波溶着したところ、接触部43の回りにバリがささくれ立つように形成された。このようなバリの形成は、溶着後の製品を内面からみたときに製品の外観を損ねる。故に、接触部43の外径(超音波溶着の打点径)は、3mm程度であるのがよい。
【0061】
また、モール本体10には、その長手方向に沿って内面10bに対面する方向に折り曲げられ、リップ30を支持する長尺状のリップ支持部12が設けられている。このリップ支持部12に形成されたリップ30が車両のドアパネルに装着されたウインドウガラスに接触することにより、車室内の防音や雨滴の進入が防止される。しかし、モール本体の長手方向端末部分は車両のドアフレームのガーニッシュ等に接触するので、リップ支持部12やリップ30は不必要である。よって、モール本体の長手方向端末部分におけるリップ支持部12やリップ30は切除される。
【0062】
上記特許文献1に記載の車両用モールによれば、モールエンドキャップをモール本体に取り付けるための切欠部をモール本体の長手方向端末部の側方部に形成する必要があることから、リップ支持部12の切除形状が複雑化する。それゆえ従来ではプレス加工によってリップ支持部12を切除していた。しかし、プレス加工によりリップ支持部12を切除(トリミング)する場合、プレス型を製作しなければならないので設備投資費が高騰する。これに対し、本実施形態の車両用モール1によれば、超音波溶着によりモールエンドキャップをモール本体に取り付けるように構成されるので、モール本体の長手方向端末部分の側方部に上記の切欠部を設ける必要がなく、リップ支持部12の切除形状を簡素化することができる。そのため、超音波カッターによりリップ支持部12を切除することができる。超音波カッターはプレス型に比べて安価であるので、設備投資費用を抑えることができる。また、超音波カッターの移動軌跡を変更することによって、新たな設備投資をせつとも様々な車種に対応してリップ支持部12を切除することができる。
【0063】
また、超音波カッターによりリップ支持部12の一部が切除され、切除された部分に覆われていたモール本体10の内面10b側が露呈される。そして、露呈されたモール本体10の内面10bにキャップ支持部22が接するようにモールエンドキャップ20を配置し、超音波溶着によって簡単にモールエンドキャップ20をモール本体10に超音波溶着することができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、POM樹脂製のモールエンドキャップ20をPP樹脂製のモール本体10に取り付ける例について説明したが、モールエンドキャップ20とモール本体10が異なる樹脂材で形成されていれば、本発明を適用することができる。この場合、モール本体10を形成する樹脂の融点とモールエンドキャップ20を形成する樹脂の融点が近いのが好ましい。また、上記実施形態においてはベルトモールのモールエンドキャップの取付方法について説明したが、車両に取り付けられるモール本体とそのモール本体の長手方向端末部に取り付けられるモールエンドキャップを備える車両用モールであれば、本発明を適用することができる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…車両用モール、10…モール本体、10’…カット前モール本体、10a…装飾面、10b…内面、10c…凹部、101…長手方向端面、102…側方部、11…爪部、11a…先端面、12…リップ支持部、20…モールエンドキャップ、21…キャップ部、22…キャップ支持部、22a…埋め込み部、30…リップ、40…超音波ホーン、41…基部、42…中間部、43…接触部、431…先端面、432…凹部、S1,S2,S3,S4…超音波カッター
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用モールおよびモールエンドキャップの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用モールは、車両の例えばドアパネルに形成される窓開口部の縁に取り付けられ、車両の外装を装飾する。車両用モールは、例えば窓開口部の縁に沿って取り付けられる長尺状のモール本体と、モール本体の長手方向端末部に取り付けられモール本体の長手方向端面を覆うキャップ部を有するモールエンドキャップを備える。モール本体とモールエンドキャップとの取付構造に関する技術が従来から提案されている。
【0003】
特許文献1は、モール本体に係止される引掛部が形成されたモールエンドキャップを開示する。このモールエンドキャップは、モール本体の長手方向端面に対面配置してその長手方向端面を覆うキャップ部と、キャップ部に連結するとともにモール本体の側方部に対面するようにモール本体の長手方向に向けて延びるキャップ支持部とを備える。また、キャップ支持部に引掛部が形成され、この引掛部がモール本体の長手方向端末部付近の側方部に形成された切欠部に係止される。引掛部はモールエンドキャップに予め装着された板バネ上に設けられ、板バネが発生する弾発力でモール本体の切欠部に引掛部が段発的に係止されることによりモールエンドキャップがモール本体に強固に取り付けられる。また、引掛部はモール本体の長手方向軸に対して傾斜した傾斜面と直交した鉛直面を有する。切欠部の形成位置が多少変化しても、引掛部の傾斜面のいずれかの部分が切欠部の縁部に係止することにより、モールエンドキャップがモール本体に固定される。また、切欠部の設計寸法が多少小さくても、引掛部の鉛直面が切欠部の縁に係止することにより、モールエンドキャップがモール本体に固定される。
【0004】
特許文献2は、モール本体の長手方向端面の開口部に嵌合部(支持部)を有するモールエンドキャップを挿入し、モール本体の側方部に設けられた取付孔からモールエンドキャップの嵌合部に設けられた取付孔に樹脂ピンを打ち込むことにより、モールエンドキャップをモール本体に固定する方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−104168号公報
【特許文献2】特開2003−118384号公報
【発明の概要】
【0006】
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1に記載されたモール本体へのモールエンドキャップの取付構造によれば、モール本体の長手方向端末部の側方部に形成された切欠部の寸法誤差分を加味した隙間がモール本体(切欠部)とモールエンドキャップ(引掛部)との間に設けられるように、両者が設計される。この隙間は板バネの弾発力により埋められる。しかし、高温時等に板バネの弾発力が低下すると、上記隙間が埋められない。上記隙間の存在は、モールエンドキャップをモール本体の長手方向に引っ張った時にモールエンドキャップがモール本体から抜け落ちるまでに要する荷重(引張荷重)を低下させる。
【0007】
特許文献2に記載された取付方法によれば、モールエンドキャップをモール本体に取り付けるために、モール本体およびモールエンドキャップに取付孔を形成する工程、取付孔に樹脂ピンを打ち込む工程を要する。したがって、モールエンドキャップをモール本体に取り付けるための工程数が増加し、ひいては製造コストも増加する。
【0008】
故に、本発明は、簡素な工程で、且つ高温下でも引張荷重が低下することなくモールエンドキャップがモール本体に取り付けられるように構成される車両用モールおよびモールエンドキャップの取付方法を提供することを目的とする。
【0009】
(課題を解決するための手段)
本発明は、車両に取り付けられる長尺状の樹脂製のモール本体と、前記モール本体の長手方向端面に接するように対面配置して前記長手方向端面を覆うキャップ部と、前記キャップ部に連結するとともに前記モール本体の側方部に対面するように前記キャップ部から前記モール本体の長手方向に向けて延びるキャップ支持部とを有し、前記モール本体とは異なる樹脂材で形成されたモールエンドキャップとを備え、前記キャップ支持部には、超音波溶着によって前記モール本体の側方部から前記モール本体に埋め込まれた部分である埋め込み部が形成されている、車両用モールを提供する。
【0010】
また、本発明は、車両に取り付けられる長尺状の樹脂製のモール本体に、前記モール本体の長手方向端面を覆うキャップ部および前記キャップ部に連結したキャップ支持部とを備え前記モール本体とは異なる樹脂材で形成されたモールエンドキャップを取り付ける、モールエンドキャップの取付方法であって、前記キャップ部が前記モール本体の長手方向端面に接するように対面配置し且つ前記キャップ支持部が前記モール本体の側方部に接するように、前記モールエンドキャップを配置するエンドキャップ配置工程と、超音波溶着に用いられる超音波ホーンの先端面が前記キャップ支持部および前記モール本体に接触するように超音波ホーンを配置し、超音波ホーンを超音波振動させながら、超音波ホーンで前記キャップ支持部が前記モール本体の側方部に押し付けられるように前記キャップ支持部を加圧することにより、前記キャップ支持部および前記モール本体に超音波ホーンの振動による摩擦熱で溶融した溶融部を形成するとともに超音波ホーンからの加圧力により前記キャップ支持部の溶融部を前記モール本体の側方部から前記モール本体に埋め込んで前記モールエンドキャップを前記モール本体に溶着する超音波溶着工程と、を含む、モールエンドキャップの取付方法を提供する。
【0011】
本発明によれば、樹脂製のモール本体に、モール本体とは異なる樹脂材で成形された樹脂製のモールエンドキャップが、超音波溶着により取り付けられる。超音波溶着は溶着ロボット等を用いて簡単に実施することができる。また、特許文献2に記載のモールエンドキャップの取付方法のように、モール本体およびモールエンドキャップに取付孔を形成する工程、取付孔に樹脂ピンを打ち込む工程を必要としない。したがって、簡素な工程でモールエンドキャップをモール本体に取り付けることができる。
【0012】
また、超音波溶着に用いられる超音波ホーンが超音波振動しながら、キャップ支持部がモール本体の側方部に押し付けられる方向にキャップ支持部を加圧する。このため超音波振動によってキャップ支持部およびモール本体が溶融するとともに、超音波ホーンから受ける加圧力によってキャップ支持部の溶融部がモール本体の側方部からモール本体内に埋め込まれる。埋め込まれた部分(埋め込み部)はモール本体の側方部から厚み方向(モール本体の長手方向に直交する方向)に延びているので、モールエンドキャップがモール本体の長手方向に引っ張られた場合に埋め込み部がモール本体に干渉する。この干渉状態は高温下であってもそれほど変化しない。よって、例え高温下等であってもモールエンドキャップの引張荷重は低下しない。
【0013】
このように、本発明によれば、簡素な工程で、且つ高温下等でも引張荷重が低下することなくモールエンドキャップがモール本体に取り付けられるように構成される車両用モールおよびモールエンドキャップの取付方法を提供することができる。
【0014】
通常、超音波溶着は、同種の樹脂材を溶融して自着により接合することを目的として用いられる。これに対し本発明では、超音波溶着で一方の部品を他方の部品に埋め込むことにより、異種材料同士の超音波溶着が実現される。本発明によれば、異なる樹脂材料で形成されたモール本体とモールエンドキャップを超音波溶着することができる。
【0015】
上記において、モール本体の「側方部」とは、長尺状のモール本体の端面以外の部分、つまりモール本体の長手方向に直交する断面外形により表わされる部分を言う。この場合において、モール本体の側方部は、車両に取り付けられたときに車両の外装を装飾する装飾面(意匠面)とその装飾面の反対側の内面とを有するのがよい。そして、超音波溶着によりキャップ支持部に形成される埋め込み部は、モール本体の内面側からモール本体に埋め込まれているのがよい。
【0016】
また、モール本体とモールエンドキャップは、異なる樹脂材であればどのような樹脂材で形成されていてもよい。特に、モール本体とモールエンドキャップは、比較的融点の近い異なる樹脂材で形成されているのがよい。モール本体は例えばポリプロピレン(PP)樹脂やポリ塩化ビニル(PVC)樹脂で形成されてもよい。モールエンドキャップは例えばポリアセタール(POM)樹脂やポリエステル樹脂等で形成されてもよい。
【0017】
前記埋め込み部の長さは0.25mm以上であるとよい。埋め込み部の長さが0.25mm以上である場合、モールエンドキャップの引張荷重が大きく向上する。よって、引張荷重に関する要求品質を十分に満たした車両用モールを提供することができる。
【0018】
前記キャップ支持部には、前記モール本体の長手方向に沿った複数箇所に前記埋め込み部が形成されているのがよい。また、前記超音波溶着工程にて、前記モール本体の長手方向に沿った複数の位置で超音波ホーンが前記キャップ支持部および前記モール本体に接触するように、超音波ホーンが配置されるのがよい。モール本体の長手方向に沿った複数箇所でキャップ支持部が超音波溶着によりモール本体に埋め込まれることにより、モールエンドキャップの引張荷重を大きく向上させることができる。よって、引張荷重に関する要求品質を確実に満たした車両用モールを提供することができる。
【0019】
また、前記超音波ホーンの先端面に凹部が形成されているとよい。これによれば、超音波溶着によりキャップ支持部及び樹脂製モール本体が溶融するときに発生するバリが超音波ホーンの先端面に形成された凹部に捕捉される。このためバリが製品外部(特に超音波ホーンの外周回り)に露呈することが防止される。
【0020】
また、前記モール本体の側方部には、車両の外装を装飾する装飾面とその反対側に位置する内面が形成され、前記モール本体には、その長手方向に沿って前記内面に対面する方向に折り曲げられ、車両部品に接触するリップを支持する長尺状のリップ支持部が設けられているとよい。そして、本発明に係るモールエンドキャップの取付方法は、前記リップ支持部をその端面から長手方向に向かって超音波カッターにより部分的に切除する超音波カット工程をさらに含み、前記エンドキャップ配置工程は、前記キャップ支持部が前記超音波カット工程で切除された部分に対面していた前記モール本体の前記内面に接触するように、前記モールエンドキャップを配置する工程であるのがよい。
【0021】
これによれば、超音波カット工程でリップ支持部の一部が切除され、切除された部分に覆われていたモール本体の内面側が露呈される。そして、エンドキャップ配置工程にて、露呈されたモール本体の内面にキャップ支持部が接するようにモールエンドキャップが配置される。その後、超音波ホーンを作動させることにより、キャップ支持部がモール本体の内面側からモール本体に埋め込まれる。これによりモールエンドキャップがモール本体に超音波溶着される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る車両用モールの分解斜視図である。
【図2】モール本体の正面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2のB−B断面図である。
【図5】カット前モール本体の正面図である。
【図6】切断装置にセットされたカット前モール本体と超音波カッターの初期位置との位置関係を、カット前モール本体の長手方向から見た図である。
【図7】切断装置にセットされたカット前モール本体と超音波カッターの初期位置との配置関係を、カット前モール本体の長手方向に直交する側方から見た図である。
【図8】モールエンドキャップが配設されたモール本体の長手方向に直交する断面を表す。
【図9】超音波ホーンを示す図である。
【図10】モール本体およびキャップ支持部に対する超音波ホーンの配設位置を示す図である。
【図11】超音波ホーンの接触部の先端面が、モール本体およびキャップ支持部に接触する位置を、モール本体の長手方向に直交する方向から示す図である。
【図12】キャップ支持部が樹脂製モール本体に超音波溶着された状態を示す図である。
【図13】図12のD部詳細図である。
【図14】超音波ホーンの接触部をキャップ支持部から引き抜いた状態を示す図である。
【図15】埋め込み長さXとストローク長さYとを示す図である。
【図16】張荷重Fの測定方法を示す図である。
【図17】ストローク長さYと引張荷重Fとの関係を表すグラフである。
【図18】埋め込み長さXと引張荷重Fとの関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る車両用モールの分解斜視図である。図1に示すように、この車両用モール1はモール本体10とモールエンドキャップ20とを備える。モール本体10は長尺状に形成され、長手方向端面101および側方部102を有する。側方部102は、モール本体10の長手方向に直交する断面の外形により表わされる。モール本体10は押出成形等によって成形される。モールエンドキャップ20は射出成形等によりモール本体10とは別体として成形され、成形後にモール本体10の長手方向端末部に取り付けられる。本実施形態において、車両用モール1は、車両のドアパネルに形成される窓開口部の下縁に取り付けられるベルトモールである。
【0024】
図2はモール本体10の長手方向端末付近を主に表わす正面図である。また、図3は図2のA−A断面図であって、モール本体10の長手方向の中央部付近の断面形状を表す。図4は図2のB−B断面図であって、モール本体10の長手方向の端末部付近の断面形状を表す。図3および図4からわかるように、モール本体10の長手方向に直交する断面により表わされる外形部分(側方部102)には装飾面10aと内面10bが形成される。装飾面10aは、車両用モール1が車両のドアパネルの窓開口部の下縁に取り付けられたときに車両外方を向き、車両の外装を装飾する。内面10bは装飾面10aの反対側に位置し、装飾面10aの反対面を構成する。また、装飾面10aおよび内面10bの下端部分には、内面10b側に折り曲げられた爪部11が形成される。
【0025】
また、図3に示すように、モール本体10にはリップ支持部12が設けられる。リップ支持部12はモール本体10の装飾面10aおよび内面10bの図において上端部分から、下方に向けて折り曲がり、内面10bに対面するように延設されている。したがって、図3に示す断面位置では、リップ支持部12によってモール本体10の内面10bが覆われる。リップ支持部12には2本のリップ30が取り付けられる。リップ30はリップ支持部12の長手方向に沿って長尺状に形成される。リップ30は、車両用モール1が車両のドアパネルの窓開口部の下端に取り付けられたときに、車両のドアパネルに設置されたウインドウガラスに毛質状の布材等を介して接触する。リップ30により車室内の防音が高められるとともに車室内への雨滴の進入が防止される。
【0026】
また、図4に示すように、モール本体10の長手方向端末部においては、リップ支持部12の大部分およびリップ30の大部分が切除されている。したがって、この断面位置では、モール本体10の内面10bはリップ支持部12に覆われていない。
【0027】
図1に示すように、モールエンドキャップ20は、キャップ部21とキャップ支持部22とを有する。キャップ部21は平板状に形成され、モールエンドキャップ20がモール本体10に取り付けられたときにモール本体10の長手方向端面101に接触し、長手方向端面101を覆う。キャップ支持部22はキャップ部21の一方面から延設されている。キャップ支持部22は、モールエンドキャップ20がモール本体10に取り付けられたときに、モール本体10の内面10bに対面するように配置される。
【0028】
モール本体10とモールエンドキャップ20は、それぞれ異なる樹脂材で形成されている。本実施形態においては、モール本体10はPP(ポリプロピレン)樹脂で成形されている。一方、モールエンドキャップ20はPOM(ポリアセタール)樹脂で成形されている。
【0029】
上記構造の車両用モール1において、モール本体10へのモールエンドキャップ20の取付方法を以下に説明する。
【0030】
(各部品作製工程)
まず、カット前モール本体10’およびモールエンドキャップ20を樹脂成形する。カット前モール本体10’は、モール本体10を成形するための中間成形品である。図5は、カット前モール本体10’の正面図である。カット前モール本体10’の長手方向端末部の断面形状は中央部の断面形状に等しい。この断面形状は、図3に示されるモール本体10の中央部分の断面形状に等しい。すなわち、カット前モール本体10’は、長手方向端末部に形成されていたリップ支持部12およびリップ30がモール本体10から切除される前の成形品である。このカット前モール本体10’の長手方向端末部におけるリップ支持部およびリップが、後述の超音波カット工程で切除されることにより、モール本体10が成形される。カット前モール本体10’は、例えば押出成形により長手方向に沿って均一な断面形状を有するように成形される。モールエンドキャップ20は、例えば射出成形により成形される。
【0031】
(超音波カット工程)
次に、超音波カッターが設けられた切断装置にカット前モール本体10’をセットする。図6は、切断装置100にセットされたカット前モール本体10’と超音波カッターの初期位置との位置関係を、カット前モール本体10’の長手方向から見た図である。図7は、カット前モール本体10’と超音波カッターの初期位置との配置関係を、カット前モール本体10’の長手方向に直交する側方から見た図である。図6および図7に示すように、切断装置100には、4個の超音波カッターS1,S2,S3,S4が備えられている。超音波カッターS1の初期位置は、カット前モール本体10’の長手方向端面にてリップ支持部12に設けられた2本のリップ30のうち上側のリップ30Uの根元付近に接する位置である。超音波カッターS2の初期位置は、カット前モール本体10’の長手方向端面にてリップ支持部12の図6において上方部分に接する位置である。超音波カッターS3の初期位置は、カット前モール本体10’の長手方向端末部と中央部との境界近傍にてリップ30Uの先端に接する位置である。超音波カッターS4の初期位置は、カット前モール本体10’の長手方向端末部と中央部との境界近傍にてリップ支持部12の下端に接する位置である。
【0032】
カット前モール本体10’を切断装置100にセットした後に、超音波カッターS1および超音波カッターS2を超音波振動させながらそれぞれ初期位置からカット前モール本体10’の長手方向に移動させる。超音波カッターS1の移動によりリップ30Uがその根元からカット前モール本体10’の長手方向に沿って切断される。超音波カッターS2の移動によりリップ支持部12がカット前モール本体10’の長手方向に沿って切断される。
【0033】
超音波カッターS1およびS2によってリップ30Uおよびリップ支持部12をカット前モール本体10’の長手方向端末部と中央部との境界付近まで切断した後に、超音波カッターS1およびS2を初期位置まで戻す。その後、超音波カッターS3を超音波振動させながら、初期位置から超音波カッターS1によりカット前モール本体10’の長手方向に沿って形成された切断線の終点位置まで移動させる。これにより、カット前モール本体10’の長手方向端末部に形成されていたリップ30Uが切除される。リップ30が切除された後に超音波カッターS3を初期位置に戻す。次いで、超音波カッターS4を超音波振動させながら、初期位置から超音波カッターS2によりカット前モール本体10’の長手方向に沿って形成された切断線の終点位置まで移動させる。これにより、カット前モール本体10’の長手方向端末部に形成されていたリップ支持部12が切除される。リップ支持部12が切除された後に超音波カッターS4を初期位置に戻す。このような超音波カット工程での切断加工により、カット前モール本体10’の長手方向端末部に形成されていたリップ30Uとリップ支持部12の大部分が切断され、その部分に覆われていたモール本体10の内面10bが露呈される。この超音波カット工程により、カット前モール本体10’から図3に示すモール本体10が成形される。
【0034】
(エンドキャップ配置工程)
次いで、超音波カット工程で成形されたモール本体10の長手方向端末部にモールエンドキャップ20を配置する。この場合において、モールエンドキャップ20は、キャップ部21がモール本体10の長手方向端面101に接してこの長手方向端面を覆い、且つキャップ支持部22がモール本体10の長手方向端末部における内面10bに対面して接触するように、モールエンドキャップ20をモール本体10に対して配置する。
【0035】
図8は、モールエンドキャップ20が配設されたモール本体10の長手方向に直交する断面を表す。図8に示すように、モールエンドキャップ20のキャップ支持部22は、基部221および平板部222とを有する。基部221は、モール本体10の内面10bのうち上記超音波カット工程によって露呈された部分に接触し、その接触部位から図8の右方に立設される。平板部222は基部221から図8において略上方に延びて形成されている。また、基部221の立設方向における高さは、モール本体10の爪部11の高さにほぼ等しい。このため、基部221の立設方向における基部221の上面221aの高さ位置と爪部11の先端面11aの高さ位置はほぼ等しい。なお、基部221の上面221aの高さ位置と爪部11の先端面11aの高さ位置は、必ずしもほぼ等しくなくてもよい。
【0036】
(超音波溶着工程)
次に、モールエンドキャップ20が配設されたモール本体10を超音波溶着装置に移送する。超音波溶着装置内には、超音波溶着に用いられる超音波ホーンが設けられている。
【0037】
図9は本実施形態に係る超音波ホーン40を示す図であり、図9(a)は斜視図、図9(b)は正面図、図9(c)は側面図、図9(d)は図9(b)におけるC−C断面図である。図9に示すように、超音波ホーン40は、基部41と、中間部42と、接触部43とを備える。基部41は、円柱状に形成され、その断面外形が略楕円状であり、側周に二面幅が形成されている。この基部41に図示しない超音波振動子が接触される。中間部42は基部41から連続して円柱状に形成される。中間部42の径は基部41の径よりも小さい。中間部42の端面に二個の接触部43が並んで形成されている。接触部43は、超音波溶着すべき部材に接触する部位であり、図9(d)に示すように、その先端面431に凹部432が形成されている。本実施形態において、接触部43の外径(超音波ホーン40の打点径)は3mmである。
【0038】
上記構造の超音波ホーン40が、モール本体10およびモールエンドキャップ20に対して配置される。図10は、モール本体10およびモールエンドキャップ20のキャップ支持部22に対する超音波ホーン40の配設位置を示す図である。図10に示すように、超音波ホーン40は、その接触部43の先端面431がキャップ支持部22の基部221の上面221aと、モール本体10の爪部11の先端面11aとの双方に接するように、配置される。
【0039】
図11は、超音波ホーン40の接触部43の先端面431が、モール本体10およびキャップ支持部22に接触する位置を、モール本体10の長手方向に直交する方向から示す図である。図11において、斜線で示した部分がモール本体10に配設されたモールエンドキャップ20を示す。また、黒丸で示した位置が、超音波ホーン40の接触部43の先端面431がモール本体10およびキャップ支持部22に接触する位置である。図11に示すように、接触部43の先端面431は、キャップ支持部22とモール本体10(爪部11)との境界位置にて、キャップ支持部22およびモール本体10(爪部11)の双方に接触する。また、モール本体10の長手方向に沿った2位置で、2個の接触部43がそれぞれキャップ支持部22およびモール本体10(爪部11)の双方に接触する。
【0040】
上記のように超音波ホーン40をモール本体10およびモールエンドキャップ20に対して配置した後に、超音波ホーン40を超音波振動させながら、超音波ホーン40でキャップ支持部22を加圧する。このときキャップ支持部22がモール本体10の内面10bに押し付けられるように、超音波ホーン40でキャップ支持部22を加圧する。超音波ホーン40の超音波振動がモール本体10およびキャップ支持部22に伝わることにより、モール本体10およびキャップ支持部22が振動する。振動による摩擦熱でモール本体10の一部およびキャップ支持部22の一部が溶融する。
【0041】
キャップ支持部22の溶融に伴い、キャップ支持部22を加圧している超音波ホーン40の接触部43が加圧方向に沿ってキャップ支持部22内に押し込まれる。また、超音波振動によってモール本体10の内面10b側が溶融あるいは軟化している。キャップ支持部22の溶融部は超音波ホーン40からの加圧力によって、溶融あるいは軟化したモール本体10の内面10b側からモール本体10内に埋め込まれる。このようにしてキャップ支持部22がモール本体10に埋め込まれることにより、モールエンドキャップ20がモール本体10に超音波溶着される。
【0042】
図12は、キャップ支持部22がモール本体10に超音波溶着された状態を示す図である。図12に示すように、超音波ホーン40の接触部43がキャップ支持部22に押し込まれている。また、超音波振動によってモール本体10およびキャップ支持部22が溶融あるいは軟化し、且つ超音波ホーン40でキャップ支持部22がモール本体10の内面10bに押し付けられるように加圧されることによって、溶融したキャップ支持部22の一部がモール本体10の内面10b側に埋め込まれる。これにより、モール本体10の内面10bに凹部10cが形成されるとともに、この凹部10c内に埋め込まれた埋め込み部22aがキャップ支持部22に形成される。なお、一つの接触部43に対応して一つの埋め込み部22aが形成される。本実施形態では、2個の接触部43がモール本体10の長手方向に沿ってモール本体10とキャップ支持部22との双方に接触しているので、埋め込み部22aはモール本体10の長手方向に沿った異なる2位置に形成される。この2位置は、図11において黒丸で示される位置とほぼ同じ位置である。
【0043】
図13は図12のD部の詳細図である。図13に示すように、超音波ホーン40の接触部43の先端面431に形成された凹部432内には、キャップ支持部22が溶融する際に生じるバリ、およびモール本体10が溶融する際に生じるバリが捕捉される。
【0044】
超音波ホーン40の接触部43のキャップ支持部22への押し込み長さ(後述のストローク長さ)あるい加圧力が設定値に達した後に、接触部43をキャップ支持部22から引き抜く。図14は、超音波ホーン40の接触部43をキャップ支持部22から引き抜いた状態を示す図である。図14に示すように、接触部43が引き抜かれた部分には、接触部43の凹部432に捕捉されたバリが集約された突起が形成される。以上の工程を経て、モールエンドキャップ20がモール本体10に取り付けられる。
【0045】
本実施形態で示した超音波溶着によるモールエンドキャップ20の取付方法によれば、超音波溶着によって、モールエンドキャップ20のキャップ支持部22にモール本体10の内面10b側からモール本体10内に埋め込まれた埋め込み部22aが形成される。この埋め込み部22aは、モール本体10の内面10bから装飾面10aに向かう厚み方向、すなわちモール本体10の長手方向に直交する方向に延びる。よって、モール本体10に取り付けられたモールエンドキャップ20をモール本体10の長手方向に引っ張った場合、キャップ支持部22に形成された埋め込み部22aがモール本体10の凹部10cに干渉する。よって、モールエンドキャップ20がモール本体10の長手方向に引き抜かれることが防止される。
【0046】
図15は、モール本体10に超音波溶着されたモールエンドキャップ20のキャップ支持部22に形成された埋め込み部22aの埋め込み長さXと、超音波ホーン40を超音波振動させながら接触部43をキャップ支持部22に押し込む長さ(ストローク長さ)Yとを示す図である。埋め込み長さXは、モール本体10の内面10bからモール本体10内に埋め込まれている埋め込み部22aの内面10bに直交する方向(厚み方向)に沿った長さを表す。ストローク長さYは、キャップ支持部22の基部221の上面221aから加圧方向に向けてキャップ支持部22内に接触部43が押し込まれた長さを表す。
【0047】
超音波溶着によりモール本体10に溶着されたモールエンドキャップ20がモール本体10の長手方向に引っ張られた場合において、モールエンドキャップ20がモール本体10から引き抜かれるまでに要する荷重(引張荷重)Fは、埋め込み部22aの埋め込み長さXに依存すると考えられる。また、埋め込み部22aの埋め込み長さXは超音波ホーン40の接触部43のストローク長さYに依存すると考えられる。そこで、埋め込み長さXおよびストローク長さYが引張荷重に及ぼす影響を把握するために、ストローク長さYを種々変化させてモールエンドキャップ20をモール本体10に超音波溶着した複数のサンプル品を試作し、試作したサンプル品について、それぞれ埋め込み長さXおよび引張荷重Fを測定した。
【0048】
図16は、引張荷重Fの測定方法を示す図である。図16に示すように、作成したサンプル品Sのモールエンドキャップ20にプシュプルゲージPの測定針P1を引掛けて、プシュプルゲージPをモール本体10の長手方向に引張る。モールエンドキャップ20がモール本体10から引き抜かれたときにプシュプルゲージPが示す荷重を引張荷重として測定した。また、各サンプル品をX線撮影し、撮影画像から埋め込み長さXを測定した。
【0049】
測定結果を表1に示す。
【表1】
【0050】
表1において、移動長さZは、超音波ホーン40の超音波振動を停止させた状態で、接触部43を加圧方向に移動させた長さである。表1からわかるように、移動長さZと引張荷重Fとの相関関係は小さい。
【0051】
図17は、表1から得られるストローク長さYと引張荷重Fとの関係を表すグラフであり、図18は、表1から得られる埋め込み長さXと引張荷重Fとの関係を表すグラフである。
【0052】
図17からわかるように、ストローク長さYが4.0mmであるときに測定された引張荷重Fは、ストローク長さYが4.0mm未満であるときに測定された引張荷重Fと比較して非常に大きい。よって、ストローク長さYは4.0mm以上であるのがよい。また、図18からわかるように、埋め込み長さXが0.25mm以上であるときに測定された引張荷重Fは、埋め込み長さXが0.25mm未満であるときに測定された引張荷重Fと比較して非常に大きい。よって、埋め込み長さXが0.25mm以上となるように、モールエンドキャップ20をモール本体10に超音波溶着するのがよい。
【0053】
以上のように、本実施形態に係る車両用モール1は、車両に取り付けられる長尺状の樹脂製のモール本体10と樹脂製のモールエンドキャップ20とを備える。モールエンドキャップ20は、モール本体10の長手方向端面101に接するように対面配置して長手方向端面を覆うキャップ部21と、キャップ部21に連結するとともにモール本体10の長手方向端面部における内面10bに対面するようにキャップ部21からモール本体10の長手方向に向けて延びるキャップ支持部22とを有する。モール本体10とモールエンドキャップとはそれぞれ異なる樹脂材で形成されている。そして、キャップ支持部22には、超音波溶着によってモール本体10の内面10bからモール本体10に埋め込まれた部分である埋め込み部22aが形成されている。
【0054】
また、本実施形態に係るモールエンドキャップの取付方法は、キャップ部21がモール本体10の長手方向端面101を塞ぎ、且つキャップ支持部22がモール本体10の内面10bに接するように、モールエンドキャップ20をモール本体10に対して配置するエンドキャップ配置工程と、超音波溶着に用いられる超音波ホーン40の接触部43の先端面431がキャップ支持部22およびモール本体10に接触するように超音波ホーン40を配置し、超音波ホーン40を超音波振動させながら、超音波ホーン40でキャップ支持部22がモール本体10の内面10b側に押し付けられるようにキャップ支持部22を加圧することにより、キャップ支持部22およびモール本体10に超音波ホーン40の振動による摩擦熱で溶融した溶融部を形成するとともに超音波ホーン40からの加圧力によりキャップ支持部22の溶融部をモール本体10の内面10b側からモール本体10に埋め込んでモールエンドキャップ20をモール本体10に溶着する超音波溶着工程と、を含む。
【0055】
本実施形態によれば、樹脂製のモール本体10に、モール本体10とは異なる樹脂材で成形された樹脂製のモールエンドキャップ20が、超音波溶着により取り付けられる。超音波溶着は溶着ロボット等を用いて簡単に実施することができる。したがって、簡素な工程でモールエンドキャップ20をモール本体10に取り付けることができる。
【0056】
また、超音波溶着に用いられる超音波ホーン40が超音波振動しながら、キャップ支持部22がモール本体10の内面10b側に押し付けられる方向にキャップ支持部22を加圧する。このため超音波振動によってキャップ支持部22およびモール本体10が溶融するとともに、超音波ホーン40から受ける加圧力によってキャップ支持部22の溶融部がモール本体10の内面10b側からモール本体10内に埋め込まれる。埋め込まれた部分(埋め込み部22a)はモール本体10の内面10bから厚み方向(内面10bに対して鉛直な方向であり、モール本体10の長手方向に直交する方向)に延びているので、モールエンドキャップ20がモール本体10の長手方向に引っ張られた場合に埋め込み部22aがモール本体10に干渉する。この干渉状態は高温下であってもそれほど変化しない。よって、例え高温下であってもモールエンドキャップ20の引張荷重は低下しない。
【0057】
このように、本実施形態によれば、簡素な工程で、且つ高温下でも引張荷重が低下することなくモールエンドキャップ20がモール本体10に取り付けられるように構成される車両用モール1およびモールエンドキャップ20の取付方法を提供することができる。
【0058】
また、本実施形態から、埋め込み部22aの長さ(埋め込み長さX)が0.25mm以上であれば、モールエンドキャップ20の引張荷重Fが十分大きいことがわかる。さらに、本実施形態から、ストローク長さYが4mm以上であれば、モールエンドキャップ20の引張荷重Fが十分大きいことがわかる。よって、埋め込み長さXを0.25mm以上、あるいはストローク長さYを4mm以上にすることによって、要求される引張荷重の大きさを十分に満たした車両用モールを提供することができる。
【0059】
また、キャップ支持部22には、モール本体10の長手方向に沿った2位置に埋め込み部22aが形成されている。このように複数の埋め込み部22aがモール本体10の長手方向に沿って形成されていることにより、モールエンドキャップ20の引張荷重Fを大きく向上させることができる。
【0060】
また、超音波ホーン40の接触部43の先端面431に凹部432が形成されていて、超音波溶着によりキャップ支持部22及びモール本体10が溶融するときに発生するバリが上記凹部432に捕捉される。このためバリが製品外部に露呈することが防止される。また、本実施形態では、接触部43の外径が3mmの超音波ホーン40を使用した。接触部43の外径が5mmである超音波ホーンを用いてモール本体10にモールエンドキャップ20を超音波溶着したところ、接触部43の回りにバリがささくれ立つように形成された。このようなバリの形成は、溶着後の製品を内面からみたときに製品の外観を損ねる。故に、接触部43の外径(超音波溶着の打点径)は、3mm程度であるのがよい。
【0061】
また、モール本体10には、その長手方向に沿って内面10bに対面する方向に折り曲げられ、リップ30を支持する長尺状のリップ支持部12が設けられている。このリップ支持部12に形成されたリップ30が車両のドアパネルに装着されたウインドウガラスに接触することにより、車室内の防音や雨滴の進入が防止される。しかし、モール本体の長手方向端末部分は車両のドアフレームのガーニッシュ等に接触するので、リップ支持部12やリップ30は不必要である。よって、モール本体の長手方向端末部分におけるリップ支持部12やリップ30は切除される。
【0062】
上記特許文献1に記載の車両用モールによれば、モールエンドキャップをモール本体に取り付けるための切欠部をモール本体の長手方向端末部の側方部に形成する必要があることから、リップ支持部12の切除形状が複雑化する。それゆえ従来ではプレス加工によってリップ支持部12を切除していた。しかし、プレス加工によりリップ支持部12を切除(トリミング)する場合、プレス型を製作しなければならないので設備投資費が高騰する。これに対し、本実施形態の車両用モール1によれば、超音波溶着によりモールエンドキャップをモール本体に取り付けるように構成されるので、モール本体の長手方向端末部分の側方部に上記の切欠部を設ける必要がなく、リップ支持部12の切除形状を簡素化することができる。そのため、超音波カッターによりリップ支持部12を切除することができる。超音波カッターはプレス型に比べて安価であるので、設備投資費用を抑えることができる。また、超音波カッターの移動軌跡を変更することによって、新たな設備投資をせつとも様々な車種に対応してリップ支持部12を切除することができる。
【0063】
また、超音波カッターによりリップ支持部12の一部が切除され、切除された部分に覆われていたモール本体10の内面10b側が露呈される。そして、露呈されたモール本体10の内面10bにキャップ支持部22が接するようにモールエンドキャップ20を配置し、超音波溶着によって簡単にモールエンドキャップ20をモール本体10に超音波溶着することができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、POM樹脂製のモールエンドキャップ20をPP樹脂製のモール本体10に取り付ける例について説明したが、モールエンドキャップ20とモール本体10が異なる樹脂材で形成されていれば、本発明を適用することができる。この場合、モール本体10を形成する樹脂の融点とモールエンドキャップ20を形成する樹脂の融点が近いのが好ましい。また、上記実施形態においてはベルトモールのモールエンドキャップの取付方法について説明したが、車両に取り付けられるモール本体とそのモール本体の長手方向端末部に取り付けられるモールエンドキャップを備える車両用モールであれば、本発明を適用することができる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…車両用モール、10…モール本体、10’…カット前モール本体、10a…装飾面、10b…内面、10c…凹部、101…長手方向端面、102…側方部、11…爪部、11a…先端面、12…リップ支持部、20…モールエンドキャップ、21…キャップ部、22…キャップ支持部、22a…埋め込み部、30…リップ、40…超音波ホーン、41…基部、42…中間部、43…接触部、431…先端面、432…凹部、S1,S2,S3,S4…超音波カッター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられる長尺状の樹脂製のモール本体と、
前記モール本体の長手方向端面に接するように対面配置して前記長手方向端面を覆うキャップ部と、前記キャップ部に連結するとともに前記モール本体の側方部に対面するように前記キャップ部から前記モール本体の長手方向に向けて延びるキャップ支持部とを有し、前記モール本体とは異なる樹脂材で形成されたモールエンドキャップとを備え、
前記キャップ支持部には、超音波溶着によって前記モール本体の側方部から前記モール本体に埋め込まれた部分である埋め込み部が形成されている、車両用モール。
【請求項2】
請求項1記載の車両用モールにおいて、
前記埋め込み部の長さが0.25mm以上である、車両用モール。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用モールにおいて、
前記キャップ支持部には、前記モール本体の長手方向に沿った複数箇所に前記埋め込み部が形成されている、車両用モール。
【請求項4】
車両に取り付けられる長尺状の樹脂製のモール本体に、前記モール本体の長手方向端面を覆うキャップ部および前記キャップ部に連結したキャップ支持部とを備え前記モール本体とは異なる樹脂材で形成されたモールエンドキャップを取り付ける、モールエンドキャップの取付方法であって、
前記キャップ部が前記モール本体の長手方向端面に対面配置し且つ前記キャップ支持部が前記モール本体の側方部に接するように、前記モールエンドキャップを配置するエンドキャップ配置工程と、
超音波溶着に用いられる超音波ホーンの先端面が前記キャップ支持部および前記モール本体に接触するように超音波ホーンを配置し、超音波ホーンを超音波振動させながら、超音波ホーンで前記キャップ支持部が前記モール本体の側方部に押し付けられるように前記キャップ支持部を加圧することにより、前記キャップ支持部および前記モール本体に超音波ホーンの振動による摩擦熱で溶融した溶融部を形成するとともに超音波ホーンからの加圧力により前記キャップ支持部の溶融部を前記モール本体の側方部から前記モール本体に埋め込んで前記モールエンドキャップを前記モール本体に溶着する超音波溶着工程と、
を含む、モールエンドキャップの取付方法。
【請求項5】
請求項4記載のモールエンドキャップの取付方法において、
前記超音波溶着工程で前記モール本体の側方部から前記モール本体に埋め込まれる部分の埋め込み長さが0.25mm以上である、モールエンドキャップの取付方法。
【請求項6】
請求項4または5記載のモールエンドキャップの取付方法において、
超音波ホーンの先端面に凹部が形成される、モールエンドキャップの取付方法。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれか1項記載のモールエンドキャップの取付方法において、
前記超音波溶着工程にて、前記モール本体の長手方向に沿った複数の位置で超音波ホーンが前記キャップ支持部および前記モール本体に接触するように、超音波ホーンが配置される、モールエンドキャップの取付方法。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれか1項記載のモールエンドキャップの取付方法において、
前記モール本体の側方部には、車両の外装を装飾する装飾面とその反対側に位置する内面が形成され、
前記モール本体には、その長手方向に沿って前記内面に対面する方向に折り曲げられ、車両部品に接触するリップを支持する長尺状のリップ支持部が設けられ、
前記リップ支持部をその端面から長手方向に向かって超音波カッターにより部分的に切除する超音波カット工程をさらに含み、
前記エンドキャップ配置工程は、前記キャップ支持部が前記超音波カット工程で切除された部分に対面していた前記モール本体の前記内面に接触するように、前記モールエンドキャップを配置する、モールエンドキャップの取付方法。
【請求項1】
車両に取り付けられる長尺状の樹脂製のモール本体と、
前記モール本体の長手方向端面に接するように対面配置して前記長手方向端面を覆うキャップ部と、前記キャップ部に連結するとともに前記モール本体の側方部に対面するように前記キャップ部から前記モール本体の長手方向に向けて延びるキャップ支持部とを有し、前記モール本体とは異なる樹脂材で形成されたモールエンドキャップとを備え、
前記キャップ支持部には、超音波溶着によって前記モール本体の側方部から前記モール本体に埋め込まれた部分である埋め込み部が形成されている、車両用モール。
【請求項2】
請求項1記載の車両用モールにおいて、
前記埋め込み部の長さが0.25mm以上である、車両用モール。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用モールにおいて、
前記キャップ支持部には、前記モール本体の長手方向に沿った複数箇所に前記埋め込み部が形成されている、車両用モール。
【請求項4】
車両に取り付けられる長尺状の樹脂製のモール本体に、前記モール本体の長手方向端面を覆うキャップ部および前記キャップ部に連結したキャップ支持部とを備え前記モール本体とは異なる樹脂材で形成されたモールエンドキャップを取り付ける、モールエンドキャップの取付方法であって、
前記キャップ部が前記モール本体の長手方向端面に対面配置し且つ前記キャップ支持部が前記モール本体の側方部に接するように、前記モールエンドキャップを配置するエンドキャップ配置工程と、
超音波溶着に用いられる超音波ホーンの先端面が前記キャップ支持部および前記モール本体に接触するように超音波ホーンを配置し、超音波ホーンを超音波振動させながら、超音波ホーンで前記キャップ支持部が前記モール本体の側方部に押し付けられるように前記キャップ支持部を加圧することにより、前記キャップ支持部および前記モール本体に超音波ホーンの振動による摩擦熱で溶融した溶融部を形成するとともに超音波ホーンからの加圧力により前記キャップ支持部の溶融部を前記モール本体の側方部から前記モール本体に埋め込んで前記モールエンドキャップを前記モール本体に溶着する超音波溶着工程と、
を含む、モールエンドキャップの取付方法。
【請求項5】
請求項4記載のモールエンドキャップの取付方法において、
前記超音波溶着工程で前記モール本体の側方部から前記モール本体に埋め込まれる部分の埋め込み長さが0.25mm以上である、モールエンドキャップの取付方法。
【請求項6】
請求項4または5記載のモールエンドキャップの取付方法において、
超音波ホーンの先端面に凹部が形成される、モールエンドキャップの取付方法。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれか1項記載のモールエンドキャップの取付方法において、
前記超音波溶着工程にて、前記モール本体の長手方向に沿った複数の位置で超音波ホーンが前記キャップ支持部および前記モール本体に接触するように、超音波ホーンが配置される、モールエンドキャップの取付方法。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれか1項記載のモールエンドキャップの取付方法において、
前記モール本体の側方部には、車両の外装を装飾する装飾面とその反対側に位置する内面が形成され、
前記モール本体には、その長手方向に沿って前記内面に対面する方向に折り曲げられ、車両部品に接触するリップを支持する長尺状のリップ支持部が設けられ、
前記リップ支持部をその端面から長手方向に向かって超音波カッターにより部分的に切除する超音波カット工程をさらに含み、
前記エンドキャップ配置工程は、前記キャップ支持部が前記超音波カット工程で切除された部分に対面していた前記モール本体の前記内面に接触するように、前記モールエンドキャップを配置する、モールエンドキャップの取付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−67341(P2013−67341A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208945(P2011−208945)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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