車両用ラッチ装置
【課題】雨水等の水によるラッチ検知センサの作動不良を低コストで防止することのできる車両用ラッチ装置を提供すること。
【解決手段】ストライカSと噛合するラッチ20と、ラッチ20の回動を規制するラチェット30と、本体201と本体201から露呈する端子202a,202bとを有し、ラッチ20またはラチェット30の動作を検知する検知センサ200と、検知センサ200を内部に配設する本体ボディ40と、を備え、車両のドアDに設けられる車両用ラッチ装置LAにおいて、本体ボディ40は、ラッチ検知センサ200の端子202a,202bに対応する位置に形成される排出部417を有し、検知センサ200の端子202a,202bは、ドアDを閉じた状態で排出部417に対して車両上方に配設した。
【解決手段】ストライカSと噛合するラッチ20と、ラッチ20の回動を規制するラチェット30と、本体201と本体201から露呈する端子202a,202bとを有し、ラッチ20またはラチェット30の動作を検知する検知センサ200と、検知センサ200を内部に配設する本体ボディ40と、を備え、車両のドアDに設けられる車両用ラッチ装置LAにおいて、本体ボディ40は、ラッチ検知センサ200の端子202a,202bに対応する位置に形成される排出部417を有し、検知センサ200の端子202a,202bは、ドアDを閉じた状態で排出部417に対して車両上方に配設した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアに適用される車両用ラッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
四輪自動車等の車両には、車両本体とドアとの間に、車両本体に対してドアを閉じた状態に維持するための車両用ラッチ装置が設けられている。車両用ラッチ装置は、ストライカ進入溝を有したカバープレートにラッチ及びラチェットを配設することによって構成されている。この車両用ラッチ装置では、ストライカ進入溝に進入したストライカにラッチを噛み合わせるとともに、ラッチにラチェットを係合させて開放方向への回転を規制し、ストライカ進入溝からのストライカの逸脱を阻止することでドアを閉じた状態に維持するようにしている。一方、ラッチに対するラチェットの係合状態を解除すると、ラッチとストライカとの噛み合い状態も解除され、ストライカをストライカ進入溝から逸脱させることができるようになる。これにより、車両本体に対してドアを開けることが可能となる。
【0003】
この種の車両用ラッチ装置では、ラッチの回転位置を検知するための検知センサを備えたものが提供されている。検知センサはラッチの回転により押動するプランジャを備えており、プランジャの押動によりラッチの回転位置に応じた検知信号を出力することが可能である。検知センサを備えた車両用ラッチ装置では、検知センサの検知信号に基づいてラッチとストライカとの噛み合い状態を検知することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−62347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した車両用ラッチ装置では、検知センサにケースを外嵌させてラッチ検知センサに雨水等の水が浸入するのを防止する工夫がされている。検知センサをケースで覆うことにより車両用ラッチ装置内へ浸入した水によるラッチ検知センサの作動不良を防止することができる。しかし、ケースを設けることにより部品数が増加してコストが掛かることになる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、雨水等の水による検知センサの作動不良を低コストで防止することのできる車両用ラッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用ラッチ装置は、ストライカと噛合するラッチと、該ラッチの回動を規制するラチェットと、本体と該本体から露呈する端子とを有し、前記ラッチまたは前記ラチェットの動作を検知する検知センサと、該検知センサを配設する本体ボディと、を備え、車両のドアに設けられる車両用ラッチ装置において、前記本体ボディは、前記検知センサの端子に対応する位置に排出部を有し、前記検知センサの端子は、前記ドアを閉じた状態で前記排出部に対して車両上方に配設したことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る車両用ラッチ装置は、ストライカと噛合するラッチと、該ラッチの回動を規制するラチェットと、本体と該本体から露呈する端子とを有し、前記ラッチまたは前記ラチェットの動作を検知する検知センサと、該検知センサを配設する本体ボディと、を備え、車両のドアに設けられる車両用ラッチ装置において、前記検知センサの端子に対応する位置に水を排出する排出部を有し、前記検知センサの端子は、前記排出部よりも、水の流れに対する上流側に配設したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る車両用ラッチ装置は、上記の発明において、前記排出部は、前記検知センサの本体から端子側に延在して形成したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る車両用ラッチ装置は、上記の発明において、前記検知センサは、少なくとも二つの端子を有し、前記本体ボディは、前記排出部上に配設した前記二つの端子を分離するリブを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る車両用ラッチ装置は、上記の発明において、前記検知センサは、前記リブに当接して配設したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る車両用ラッチ装置は、上記の発明において、前記本体ボディは、前記検知センサを配設する面を有し、前記ラッチおよび前記ラチェットは、前記本体ボディの面を介して前記検知センサと反対側の面に配設したことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る車両用ラッチ装置は、上記の発明において、前記本体ボディは、前記検知センサを配設する面を有し、前記検知センサと前記ラッチおよび前記ラチェットを前記本体ボディの同一面上に配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る車両用ラッチ装置は、車両用ラッチ装置内に雨水等の水が浸入しても、本体ボディに形成した排出部から水を外部へ排出して水の滞留を防ぐことで、検知センサにケースを設けることなく検知センサ200の作動不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である車両用ラッチ装置の要部を示す側面一部破断図である。
【図2】図2は、図1に示した車両用ラッチ装置の背面図である。
【図3】図3は、図1に示した車両用ラッチ装置の正面図である。
【図4】図4は、図1に示した車両用ラッチ装置を適用する四輪自動車の斜視図である。
【図5】図5は、車両本体に設けたストライカと図1に示した車両用ラッチ装置のラッチとラチェットとの噛合状態を模式的に示す平面図である。
【図6】図6は、図1に示した車両用ラッチ装置に適用するカバープレート、本体ボディ及びバックプレートを示す斜視図である。
【図7】図7は、ラッチの平面図である。
【図8】図8は、図5に示すカバープレートに本体ボディ及びラッチ検知センサを取り付けた状態を示す平面図である。
【図9】図9は、ラチェットの平面図である。
【図10】図10は、図1に示した車両用ラッチ装置に適用する本体ボディを表面側から見た平面図である。
【図11】図11は、図10に示す本体ボディの斜視図である。
【図12】図12は、図10に示す本体ボディにラッチ検知センサを装着した状態を示す斜視図である。
【図13】図13は、図1に示した車両用ラッチ装置に適用するラッチ検知センサを裏面側からみた平面図である。
【図14】図14は、図1に示した車両用ラッチ装置がアンロック状態にある場合のアクチュエータユニットの動作をユニットカバーを外して示す正面図である。
【図15】図15は、図1に示した車両用ラッチ装置がロック状態にある場合のアクチュエータユニットの動作をユニットカバーを外して示す正面図である。
【図16】図16は、図1に示した車両用ラッチ装置のアクチュエータユニットに適用するケーブルレバーの正面図である。
【図17】図17は、図1に示した車両用ラッチ装置のアクチュエータユニットに適用するオープンレバーの正面図である。
【図18】図18は、図1に示した車両用ラッチ装置のアクチュエータユニットに適用するロックレバーの正面図である。
【図19】図19は、本発明の別の実施の形態における車両用ラッチ装置のカバープレートに本体ボディ及びラッチ検知センサを取り付けた状態を示す平面図である。
【図20】図20は、図19に示す矢視Yの断面図である。
【図21】図21は、本発明の別の実施の形態におけるラッチの平面図である。
【図22】図22は、本発明の別の実施の形態における本体ボディを表面側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る車両用ラッチ装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1〜図3は、本発明の実施の形態1である車両用ラッチ装置LAを示したものである。ここで例示する車両用ラッチ装置LAは、図4に示すように、四輪自動車の車両本体Bに設けたストライカSに噛み合うことにより、車両本体Bに対してテールゲートと称されるバックドアDを閉じた状態に維持するものである。バックドアDは、車両本体Bの後端上縁部に支持してあり、車両本体B後面の左右方向に沿った軸心回りに回転させることにより、車両本体Bの後端部開口を開閉することが可能である。
【0018】
本実施の形態の車両用ラッチ装置LAは、図1〜図3及び図6に示すように、カバープレート10、本体ボディ40及びバックプレート50を備えている。
【0019】
カバープレート10は、車両用ラッチ装置LAのベースとなるもので、比較的板厚の大きな金属板によって成形されている。カバープレート10は、図1及び図5に示すように矩形状を成すプレート基部10aと、プレート基部10aと一体的に成形されてプレート基部10aの奥部から垂直方向に傾斜して屈曲させたプレート壁部10bとを有する。図1、図3、図5及び図6に示すように、プレート基部10aにはストライカ進入溝11が設けられ、ストライカ進入溝11を挟む両側にラッチ軸12及びラチェット軸13が設けられている。ストライカ進入溝11は、プレート基部10aの前端中央部から奥部に向けて形成された切欠であり、ストライカSが挿通できる幅に形成されている。ラッチ軸12及びラチェット軸13は、プレート基部10aの内表面に突出する柱状部材であり、互いに平行に配置されている。ラッチ軸12にはラッチ20が回転可能に配設され、ラチェット軸13にはラチェット30が回転可能に配設されている。
【0020】
ラッチ20は、図7に示すように、ラッチ軸12を挿通する挿通孔20aが形成された板状部材であり、外周面に開口する噛合溝21と、噛合溝21の右側に位置するフック部22と、噛合溝21の左側に位置するストライカ当接部23と、ストライカ当接部23の左側に位置する外周爪部24とを有している。ラッチ20には、挿通孔20aを挟みカバープレート10と反対側の上面に挿通孔20aを中心として周方向に延びる凸条25が形成されている。ラッチ20は、噛合溝21がストライカ進入溝11と交差するようにラッチ軸12の軸心回りに回転する。ラッチ20は、図8に示す本体ボディ40と凸条25との間に配置したラッチばね26によってラッチ軸12を中心として図5の反時計回り方向へ付勢されている。
【0021】
図5(a)に示すように、ラッチ20をラッチ軸周りに反時計回り(以下、「開放方向」という)に回転させた場合、フック部22がストライカ進入溝11から退避した状態となる(以下、図5(a)に示す位置を「アンラッチ位置」という)。一方、ラッチ20をラッチ軸周りに時計回り(以下、「噛合方向」という)に回転させた場合、図5(b)に示すように、フック部22が漸次ストライカ進入溝11の前端側から奥部側に移動しながらこれを横切る状態となる(以下、図5(b)に示す位置を「ハーフラッチ位置」という)。ラッチ20がハーフラッチ位置から更に時計回り方向へ回転すると、フック部22がストライカ進入溝11の奥部を横切ることによりストライカ進入溝11の開口が閉塞される状態となる(以下、図5(c)に示す位置を「フルラッチ位置」という)。
【0022】
ラチェット30は、図9に示すように、ラチェット軸13を挿通する挿通孔30aが形成された板状部材であり、ラッチ噛合部31、第1解除操作部32及び第2解除操作部33を有している。ラチェット30は、ラチェット軸13の軸心回りに回転し、図8に示す本体ボディ40と第1解除操作部32との間に配置したラチェットばね35によってラチェット軸13を中心として図5の時計回り方向へ付勢されている。
【0023】
ラッチ噛合部31は、挿通孔30aから半径方向外方に延在する部分である。ラッチ噛合部31は、図5(b)に示すように、ラチェット30をラチェット軸13周りに反時計回りに回転させた場合にハーフラッチ位置に回転したラッチ20のストライカ当接部23に係止する。更に図5(c)に示すように、ラチェット30をラチェット軸13の周りに反時計回りに回転させた場合にフルラッチ位置に回転したラッチ20の外周爪部24に噛合する。
【0024】
第1解除操作部32は、図5及び図9に示すように、ラッチ噛合部31に隣接して位置して挿通孔30aの外周から半径方向外方に延在する部分である。第2解除操作部33は、第1解除操作部32から略180°ずれた位置で挿通孔30aの外周に半径方向外方へ延在した後、ラチェット軸13の延在方向に沿って直角に屈曲させて形成されている。
【0025】
本体ボディ40は、比較的硬質の合成樹脂材によって厚肉のブロック状に成形したもので、図6に示すように、ラッチ20及びラチェット30を配置したカバープレート10の前端部内表面を覆っている。本体ボディ40は、板状の平面である底面部410と、底面部410から垂直方向に立設された壁部42と、ストライカ進入溝11に対応する位置に形成される緩衝溝43と、緩衝溝43を挟む両側に形成されてプレート基部10aの前端部内表面を覆う突面部44a,44bと、を有している。
【0026】
底面部410は、図10〜図12に示すように、ラッチ軸挿通孔411、ラチェット軸挿通孔412、凸条用切欠413、突状底面414、センサ係止部415,416、排出部を成す排出孔417、及び当接用リブ418を有している。ラッチ軸挿通孔411、凸条用切欠413、突状底面414、センサ係止部415,416、排出孔417及び当接用リブ418を有する底面部410aは、図10〜図12に示すように、プレート壁部10bと平行に配設される第一壁部421と、第一壁部421から垂直にストライカ進入側へ延設する第二壁部422と、緩衝溝43の一部を形成している第三壁部423と、第三壁部423と連設して緩衝溝43の奥部から第一壁部421に向けて屈曲して延設している第四壁部424と、突面部44aの底面部410側の側面441と、によって囲まれており、第一壁部421と第四壁部424との間にはケーブル挿入溝419が形成されている。
【0027】
ラッチ軸挿通孔411及びラチェット軸挿通孔412は、それぞれラッチ軸12及びラチェット軸13に対応する位置に形成されている。ラッチ軸挿通孔411及びラチェット軸挿通孔412は、それぞれラッチ軸12及びラチェット軸13に嵌合する内径を有した貫通孔であり、軸方向に沿った長さがラッチ軸12及びラチェット軸13よりも短く設定されている。
【0028】
凸条用切欠413は、図8に示すように、ラッチ20の凸条25に対応する位置に形成され、ラッチ軸挿通孔411を中心として周方向に切欠いた貫通孔である。凸条用切欠413は、ラッチ20の凸条25が移動可能に貫通しており、ラッチ軸12を中心とするラッチ20の回転を許容している。
【0029】
突状底面414は、図10〜図12に示すように、凸条用切欠413近傍の第一壁部421側の底面部410に形成されている。突状底面414は底面部410から突設した状態で矩形状に形成されており、内部に貫通孔である底孔414a,414bが形成されている。センサ係止部415,416は、突状底面414を挟んで底面部410から図10の表面に向けて垂直に立設される板状部材である。図11に示すように、対向するセンサ係止部415,416の先端部の内側面には係止爪4151,4161がそれぞれ設けられている。突状底面414には後述するラッチ検知センサ200が配設される。
【0030】
排出孔417は、図10〜図12に示すように底面部410を切欠いた貫通孔であり、突状底面414から第一壁部421に向かって延在して形成されている。排出孔417は略四角形に形成されている。
【0031】
当接用リブ418は、図10〜図12に示すように底面部410から図10の表面に向けて垂直に立設される板状部材である。図11に示すように第一壁部421から離間した位置から排出孔417上を突状底面414に向かって分離するように形成されている。当接用リブ418の第一壁部421側の端部4181は太く形成されている。
【0032】
緩衝溝43は、図10及び図11に示すように本体ボディ40の前端中央部から基端に向けて設けた切欠であり、ストライカ進入溝11よりもわずかに狭い幅を有するように形成されている。緩衝溝43は、開口端部がストライカSを挿通させることができる大きさを有している一方、奥部に向けて漸次幅が狭くなるように形成されている。また、緩衝溝43の最奥部にクッション用の弾性部材45が装着されている。
【0033】
突面部44a,44bは、図10及び図11に示すようにそれぞれ緩衝溝43の両側に設けられ、底面部410より隆起して形成された面である。ラチェット側の突面部44bには、本体ボディ40によって覆われたラチェット30の第2解除操作部33を外部から操作するための貫通孔442と、貫通孔442を開閉可能に塞ぐ蓋部443と、が形成されている。
【0034】
本体ボディ40には、ラッチ検知センサ200が配設される。ラッチ検知センサ200は、マイクロスイッチと称されるもので、図13に示すように、略直方体に形成されたセンサ本体201と、センサ本体201から露呈するプラス端子202a及びマイナス端子202bと、プランジャ203と、係止突部204a,204bと、を有する。センサ本体201は、本体ボディ40の突状底面414上にセンサ係止部415,416によって挟装保持される。図8及び図12に示すように、プラス端子202a及びマイナス端子202bは排出孔417上に位置するように配設されている。プランジャ203は凸条用切欠413側に位置するように配設されている。係止突部204a,204bは、それぞれ本体ボディ40の底孔414a,414bに挿入され、ラッチ検知センサ200のプラス端子202a及びマイナス端子202b側の側面は、当接用リブ418と当接して本体ボディ40に固定される。ラッチ20の凸条25が凸条用切欠413内を移動してプランジャ203と当接することにより、プランジャ203はラッチ20の回転位置を検知する。ラッチ検知センサ200のプラス端子202a及びマイナス端子202bには、それぞれ検知信号を伝達する信号ケーブル210a,210bが接続されている。信号ケーブル210a,210bは、プラス端子202a及びマイナス端子202bから後述するカプラ160へ延在している。
【0035】
バックプレート50は、図2及び図6に示すように、本体ボディ40の奥部側表面を覆うラッチカバー部50Aと、ラッチカバー部50Aと一体的に形成されてラッチカバー部50Aの奥部から本体ボディ40に対して離隔する方向に屈曲させたユニット保持部50Bとを有する板状の部材である。
【0036】
ラッチカバー部50Aは、図6に示すように本体ボディ40のラッチ軸挿通孔411及びラチェット軸挿通孔412に対応する位置にそれぞれラッチ軸取付孔51及びラチェット軸取付孔52が形成されるとともに、カバープレート10のストライカ進入溝11に対応する位置に切欠溝53が形成されている。ラッチカバー部50Aは、ラッチ軸取付孔51にラッチ軸12の先端部をラチェット軸取付孔52にラチェット軸13の先端部をそれぞれかしめることによってカバープレート10に取り付けられている。ラッチカバー部50Aは、ラチェット30の第1解除操作部32に対応する位置にレバー挿入用開口54が設けられている。レバー挿入用開口54は、第1解除操作部32を外部から操作する開口であり、ラッチカバー部50Aの左右方向に沿って矩形状に形成され、後述するオープンレバー130の回転によって解除操作出力部131の端部が左右方向に移動する。
【0037】
ユニット保持部50Bは、図2に示すアクチュエータユニット100を保持する部分である。ユニット保持部50Bは、図6に示すように、バックプレート50のラッチカバー部50Aを向く側の面にオープンレバー軸101とロックレバー軸102をそれぞれ支持する支持孔55,56が形成されている。
【0038】
アクチュエータユニット100は、車両用ラッチ装置LAを後述するロック状態とアンロック状態に切り換える電動アクチュエータであり、図2に示すように、ケーブルレバー120、オープンレバー130、ロックレバー140及び電動モータ110を備えている。ケーブルレバー120及びオープンレバー130は、図14及び図15に示すように、ユニット保持部50Bのレバー挿入用開口54(図6参照)に近接した側縁部に設けたオープンレバー軸101に回転自在に支持されている。
【0039】
ケーブルレバー120は板状部材であり、図14及び図15に示すように、ユニット保持部50Bとオープンレバー130との間に配置され、図16に示すように、操作出力部121、ケーブル係合部122及びオープンレバー軸101を挿通する軸孔123を有している。操作出力部121は、軸孔123を中心として半径方向外方に向けて設けられている。ケーブル係合部122は、軸孔123を中心として操作出力部121と対向する位置に半径方向外方に向けて設けられ、端部がユニット保持部50Bの一側縁から外部に突出している。ケーブル係合部122の端部には、図3に示すように、バックドアDに設けた操作ハンドルとの間を連結する操作ケーブルCの一端が係合されている。
【0040】
オープンレバー130は、図14及び図15に示すように、ケーブルレバー120と重なる位置に配置され、図17に示すように、解除操作出力部131、係合入力部132及びオープンレバー軸101を挿通する軸孔134を有している。
【0041】
解除操作出力部131は、軸孔134を中心として半径方向外方に向けて設けられ、端部がレバー挿入用開口54からラッチカバー部50Aの内部へ挿通されている。解除操作出力部131の端部は、図5に二点鎖線で示すように第1解除操作部32の右側に位置しており、オープンレバー130がオープンレバー軸101の軸心回りに図15において時計回り方向へ回転すると、ラチェット30の第1解除操作部32を図中左方へ押圧し、ラッチ20を図5(a)に示すアンラッチ位置へ切り換える。
【0042】
係合入力部132は、図17に示すように、軸孔134を中心として解除操作出力部131から略90°ずれた位置に半径方向外方に向けて設けられている。係合入力部132には、スライダ133が設けられている。スライダ133は、係合入力部132の延在方向に沿って移動可能に配設したスライド基部133aと、スライド基部133aにおいてユニット保持部50Bに対向する面に突設した係合ピン133bと、スライド基部133aにおいてユニット保持部50Bから離隔した面に突設したカムピン133cとを有している。スライダ133は、係合入力部132の軸孔134側に配置すると、オープンレバー軸101の軸心回りに図14及び図15において反時計回り方向へ回転した場合に、係合ピン133bがケーブルレバー120の操作出力部121に係合する一方、係合入力部132の先端側に移動すると、ケーブルレバー120の操作出力部121に対して非係合となる。尚、オープンレバー130とユニット保持部50Bとの間には、図14及び図15に示すように、オープンレバー130を常時反時計回りに回転させるオープンレバーばね135が介在させてある。
【0043】
ロックレバー140は、図14及び図15に示すように、オープンレバー軸101よりもユニット保持部50Bの中心側、かつラッチカバー部50Aから屈曲させた屈曲部から離隔した位置に設けたロックレバー軸102に回転自在に支持されている。ロックレバー140は、図18に示すように、カムレバー部141と、セクタギヤ部142と、ロックレバー軸102を挿通する軸孔145とを有しており、カムレバー部141をオープンレバー130の係合入力部132に重ねてロックレバー軸102に支持されている。カムレバー部141は、軸孔145を中心として半径方向外方に向けて設けられ、長孔からなるカム溝143が形成されている。カム溝143は、アクチュエータユニット100としてユニット保持部50Bに取り付けた際に、オープンレバー軸101を中心とする円弧に沿って湾曲するように形成されており、スライダ133のカムピン133cが摺動可能に係合されている。セクタギヤ部142は、軸孔145を中心としてカムレバー部141と対向する位置に扇形状に形成され、円弧状の外周面にギヤ144が形成されている。
【0044】
電動モータ110は、図2、図14及び図15に示すように、ユニット保持部50Bのオープンレバー軸101から最も離隔した位置に配置されており、出力軸111にウォームギヤ112が設けられている。ウォームギヤ112は、ロックレバー140のセクタギヤ部142に形成したギヤ144と噛合する。電動モータ110を駆動した場合、ロックレバー140をロックレバー軸102の軸心回りに回転させることが可能である。
【0045】
上述したアクチュエータユニット100には、図1〜図3に示すように、ユニットカバー150が設けられている。ユニットカバー150は、合成樹脂材によって形成されており、ケーブルレバー120のケーブル係合部122を除くアクチュエータユニット100の全体を覆う大きさを有しており、ネジ等の締結手段によってユニット保持部50Bに取り付けられる。ユニットカバー150には、図1及び図2に示すように、電動モータ110を収容するモータ収容部に一対のターミナル部材151,152が設けてある。ターミナル部材151,152は、電動モータ110に対して給電端子となるもので、ターミナル部材151,152の一方の端部は、ユニットカバー150の外表面に開口するターミナル装着孔153に向けて突出してコネクタ接続端子を構成している。
【0046】
図2に示すユニット保持部50Bの上方にはカプラ160が配設してある。カプラ160からはバックプレート50のユニット保持部50Bを沿ってラッチカバー部50Aの基端に向けて信号ケーブル210a,210bが延設している。カプラ160から延設した信号ケーブル210a,210bは、ケーブルチューブ211で被覆されて1本に纏められてユニット保持部50Bの下端部からカバープレート10に装着される本体ボディ40内へ挿入される。信号ケーブル210a,210bの端部は、ケーブルチューブ211の被覆を逸脱した後、それぞれラッチ検知センサ200のプラス端子202a及びマイナス端子202bに接続している。
【0047】
信号ケーブル210a,210bは、図2に示すように、バックプレート50とカバープレート10との間に形成された間隙から本体ボディ40内へ挿入している。信号ケーブル210a,210bは、図8及び図10〜図12に示すケーブル挿入溝419から底面部410の表面内部に配設される。その後、信号ケーブル210a,210bは、当接用リブ418によって分離されて、それぞれラッチ検知センサ200のプラス端子202a及びマイナス端子202bへと接続される。
【0048】
以下、上述した車両用ラッチ装置LAの動作を説明する。バックドアDのロックが解除されたアンロック状態では、アクチュエータユニット100は図14(a)に示す位置に配置される。このとき、カム溝143に係合したカムピン133cを介してオープンレバー130のスライダ133が係合入力部132の軸孔134側に移動している。このアンロック状態の車両用ラッチ装置LAでは、バックドアDに設けた操作ハンドルを開操作し、操作ケーブルCを介してケーブル係合部122を図中において矢印で示す方向へ引っ張ると、図14(b)に示すように、ケーブルレバー120が時計回り方向に回転する。アンロック状態の場合、オープンレバー130は、スライダ133が係合入力部132の軸孔134側に位置する。そのため、ケーブルレバー120の操作出力部121は、スライダ133の係合ピン133bと係合する。従って、操作ハンドルを開操作すると、図14(b)に示すように、スライダ133を介してオープンレバー130が時計回り方向に回転して解除操作出力部131がラチェット30の第1解除操作部32を押圧し、ラチェット30を図5中において反時計回り方向に回転させる。そのため、ラチェット30のラッチ20への噛合が解除され、ラッチ20は、図5(c)のフルラッチ位置から図5(b)のハーフラッチ位置を経て図5(a)のアンラッチ位置へと回転し、ストライカSとの係合が解除される。この結果、車両用ラッチ装置LAは、アンロック状態においては、操作ハンドルを開操作することによってバックドアDを開くことができる。図5(b)のハーフラッチ位置及び図5(a)のアンラッチ位置では、ラッチ検知センサ200のプランジャ203がラッチ20の凸条25と当接し、ラッチ検知センサ200がON状態となる。このON状態に伴って例えば室内灯を点灯させることにより、乗員にバックドアDが半開き状態または開いた状態であることを知らせることができる。
【0049】
バックドアDを閉じた状態で電動モータ110を駆動し、図14に示すアンロック状態からロックレバー140を反時計回り方向に回転させると、図15(a)に示す位置にロックレバー140が配置され、カム溝143に係合したカムピン133cを介してオープンレバー130のスライダ133が係合入力部132の先端側に移動する。このとき、バックドアDに設けた操作ハンドルを開操作し、操作ケーブルCを介して図15(b)に示すようにケーブル係合部122を図中において矢印で示す方向へ引っ張ると、ケーブルレバー120が時計回り方向に回転する。しかし、オープンレバー130は、スライダ133が係合入力部132の先端側に位置するため、ケーブルレバー120の操作出力部121は、スライダ133の係合ピン133bと係合しない。従って、操作ハンドルを開操作しても、オープンレバー130は回転せず、オープンレバー130の解除操作出力部131がラチェット30の第1解除操作部32を押圧することはなく、ラチェット30のラッチ20への係合は解除されない。そのため、車両用ラッチ装置LAは操作ハンドルを開操作してもバックドアDを開くことができず、ロック状態となる。バックドアDを閉じた状態ではラッチ20が図5(c)のフルラッチ位置となり、ラッチ検知センサ200はラッチ20の凸条25と当接することなくOFF状態となる。このとき、例えば室内灯を消灯させることにより、乗員にバックドアDが閉じた状態であることを知らせることができる。
【0050】
雨天時等においてバックドアDに雨水等の水が付着すると、付着した水はバックドアDの内部に浸入した後、図1に示すカバープレート10のプレート壁部10bとバックプレート50との間の間隙Zから、直接または信号ケーブル210a,210bを伝って、車両用ラッチ装置LA内に浸入することがある。浸入した水はラッチ20やラチェット30を伝って車両外部へ排出することができるが、浸入した水により検知センサ200のプラス端子202aとマイナス端子202bが不意に通電すると、誤信号が送られてラッチ20の回動状態を正確に検知できないことがある。そのため、車両用ラッチ装置LA内に浸入した水を適切に排出することが必要となる。
【0051】
バックドアDを閉じた状態では、間隙Zから直接浸入する水は、図1に示す第一壁部421によって本体ボディ40とラッチカバー部50Aとの間への浸入を阻止される。第一壁部421に付着した水はカバープレート10内へ落下し、ラッチ20またはラチェット30を伝って車両外部へ排出される。
【0052】
第一壁部421を越えて、または信号ケーブル210a,210bを伝って、本体ボディ40とラッチカバー部50Aとの間へ浸入した水は、図10〜図12に示す当接用リブ418(上流側)を介して左右に分離される。分離した水はラッチ検知センサ200に到達する前に底面部410に形成されている排出孔417から車両下方(下流側)に位置するカバープレート10へ排出される。カバープレート10へ排出された水はラッチ20やラチェット30を伝って車両外部へ排出される。ラッチ検知センサ200を越えてラッチ軸12側へ浸入した水は、本体ボディ40の凸条用切欠413から車両下方(下流側)に位置するラッチ20側へ排出され、車両外部へ排出される。
【0053】
尚、バックドアDを開いた状態では、ラッチカバー部50Aがカバープレート10に対して車両下方(下流側)に位置する。そのため、ラッチカバー部50Aと本体ボディ40との間に浸入した水は、ラッチカバー部50Aの本体ボディ40側の面に落下し、溜まった水はラッチカバー部50Aと、突面部44a,44bとの間隙から車両用ラッチ装置LAの外部へ流れて排出される。
【0054】
このような構成の車両用ラッチ装置LAでは、水が上流側に位置するラッチ検知センサ200のプラス端子202a、マイナス端子202bを経てセンサ本体201に到達する前に下流側に位置する排出孔417から本体ボディ40外へ排出されるので、プラス端子202aとマイナス端子202bとの間に水が滞留することがなく、センサ本体201へ水が付着することを防止することができる。また、仮に水がプラス端子202a及びマイナス端子202bへ到達した場合であっても、当接用リブ418によって水がプラス端子202a側とマイナス端子202b側で分離された状態となるため、プラス端子202aとマイナス端子202bが不意に通電することを防止することができる。その結果、ラッチ検知センサ200にセンサケース等の防水処理を施すことなく、低コストでラッチ検知センサ200の検知精度を維持することができる。また、センサケースを設けることなく、ラッチ検知センサ200を被検知体であるラッチ20の近傍に配設することできるため、車両用ラッチ装置LAを小型化することができる。
【0055】
また、ラッチ検知センサ200は、当接用リブ418に当接してセンサ係止部415,416に挟装させることで所定の位置に容易に取付けることができ、作業性を向上することができる。更に、本体ボディ40に形成した凸条用切欠413を介して凸条25を図8に示す本体ボディ40の表面側に配設し、ラッチ20及びラチェット30は底面部410を介して本体ボディ40の裏面側に配設されているため、ラッチ20やラチェット30にグリースを十分に塗布した場合にもこれがラッチ検知センサ200に付着して検知不良を招く恐れはない。
【0056】
尚、ラッチ検知センサ200のプラス端子202aとマイナス端子202bの配置は逆であってもよい。また、ラッチ検知センサ200に変えてラチェットの回転を検知するラチェット検知センサ(図示せず)としてもよい。ラチェット検知センサとする場合、上述した排出孔417、当接用リブ418をそれぞれラチェット検知センサに対応して設ける構成とすることができる。また、本実施の形態ではバックドアDに装着する車両用ラッチ装置について説明しているが、装着するドアはバックドアに限られるものではなく、ドアを閉じた状態において、車両上方(上流側)に設けられるラッチ検知センサまたはラチェット検知センサの端子に対して車両下方(下流側)に設けられた本体ボディの排出部から水が排出されるものであればよく、ラッチ検知センサまたはラチェット検知センサの端子の位置が、排出部に対して傾斜(車両上下方向がほぼ同じ位置)して配置されるものであってもよい。また、検知センサの端子(上流側)が、排出部(下流側)よりも水の流れに対する上流側に配設されれば、ドア開閉によって配置関係が変化しないサイドドア等であってもよい。
【0057】
(実施の形態2)
次に、本発明に係る車両用ラッチ装置の別の実施の形態について説明する。実施の形態2の車両用ラッチ装置は、図19及び図20に示すように、実施の形態1のラッチ20、本体ボディ40、ラッチ検知センサ200及び信号ケーブル210a,210bに替えて、ラッチ60、本体ボディ70、ラッチ検知センサ300及び信号ケーブル310a,310bとを有している。実施の形態2において、実施の形態1と同一の符号は同一の構成を示し、ここではその詳細を省略する。
【0058】
ラッチ60は、図21に示すように、ラッチ軸12を挿通する挿通孔60aが形成された板状部材であり、外周面に開口する噛合溝61と、噛合溝61の右側に位置するフック部62と、噛合溝61の左側に位置するストライカ当接部63と、ストライカ当接部63の左側に位置する外周爪部64とを有している。ラッチ60は、噛合溝61がストライカ進入溝11と交差するようにラッチ軸12の軸心回りに回転する。ラッチ60は、ラッチばね(図示せず)によってラッチ軸12を中心として図19の反時計回り方向へ付勢されている。
【0059】
本体ボディ70は、比較的硬質の合成樹脂材によって厚肉のブロック状に成形したもので、図19に示すように、ラッチ60及びラチェット30を配置したカバープレート10の前端部内表面を覆っている。本体ボディ70は、板状の平面である底面部710と、底面部710から垂直方向に立設された壁部72と、ストライカ進入溝11に対応する位置に形成される緩衝溝73と、緩衝溝73を挟む両側に形成されてプレート基部10aの前端部内表面を覆う突面部74a,74bと、を有している。
【0060】
底面部710は、図22に示すように、ラッチ軸挿通孔711、ラチェット軸挿通孔712、センサ係止部715,716、ケーブル孔717a,717b及び当接用リブ718を有している。
【0061】
ラッチ軸挿通孔711及びラチェット軸挿通孔712は、それぞれラッチ軸12及びラチェット軸13に対応する位置に形成されている。ラッチ軸挿通孔711及びラチェット軸挿通孔712は、それぞれラッチ軸12及びラチェット軸13に嵌合する内径を有した貫通孔であり、軸方向に沿った長さがラッチ軸12及びラチェット軸13よりも短く設定されている。
【0062】
センサ係止部715,716は、底面部710から図22の裏面に向けて垂直に立設される板状部材である。対向するセンサ係止部715,716の先端部の内側面にはそれぞれ係止爪(図示せず)が設けられている。
【0063】
ケーブル孔717a,717bは、図19、図20及び図22に示すように底面部710を切欠いた貫通孔である。ケーブル孔717a,717bは、それぞれ信号ケーブル310a,310bを挿通可能な大きさに底面部710を略円形に切り欠いて形成されている。
【0064】
当接用リブ718は、図19、図20及び図22に示すように底面部710から図22の裏面に向けて垂直に立設される板状部材である。当接用リブ718はケーブル孔717a,717bの間に位置するように形成されている。図20に示すように、底面部710から最遠端となる当接用リブ718の端部718aは、カバープレート10のプレート基部10a及びプレート壁部10bの内面と当接するように配設している。
【0065】
緩衝溝73は、図19及び図22に示すように本体ボディ70の前端中央部から基端に向けて設けた切欠であり、ストライカ進入溝11よりもわずかに狭い幅を有するように形成されている。緩衝溝73は、開口端部がストライカSを挿通させることができる大きさを有している一方、奥部に向けて漸次幅が狭くなるように形成されている。また、緩衝溝73の最奥部にクッション用の弾性部材45が装着されている。
【0066】
突面部74a,74bは、図19及び図22に示すようにそれぞれ緩衝溝73の両側に設けられ、底面部710より隆起して形成された面である。ラチェット側の突面部74bには、本体ボディ70によって覆われたラチェット30の第2解除操作部33を外部から操作するための貫通孔742と、貫通孔742を開閉可能に塞ぐ蓋部743と、が形成されている。
【0067】
本体ボディ70には、ラッチ検知センサ300が配設される。ラッチ検知センサ300は、マイクロスイッチと称されるもので、略直方体に形成されたセンサ本体301と、センサ本体301から露呈するプラス端子302a及びマイナス端子302bと、プランジャ303と、を有する。センサ本体301は、図22に示す本体ボディ70の裏面に形成されたセンサ係止部715,716によって挟装保持される。図20に示すように、センサ本体301はラッチ60よりも薄厚に形成してあり、カバープレート10のプレート基部10aと離間した状態で隙間A(排出部)を形成するように配設してある。図19に示すようにプラス端子302a及びマイナス端子302bは、センサ本体301に対してプレート壁部10b側に位置するように配設している。ラッチ検知センサ300のプラス端子302a及びマイナス端子302b側の側面は、当接用リブ718と当接して本体ボディ70に固定される。プランジャ303はラッチ60側に位置するように配設している。ラッチ60の外周爪部64が回動してプランジャ303と当接することにより、プランジャ303はラッチ60の回転位置を検知する。ラッチ検知センサ300のプラス端子302a及びマイナス端子302bには、それぞれ検知信号を伝達する信号ケーブル310a,310bが接続されている。信号ケーブル310a,310bは、カプラ160から延在しており、図19に示す本体ボディ70の表面からケーブル孔717a,717bを挿通して本体ボディ70の裏面に配設されたラッチ検知センサ300のプラス端子302a及びマイナス端子302bと接続している。
【0068】
次に、実施の形態2における車両用ラッチ装置内に浸入した水の排出経路について説明する。雨天時等にバックドアDに付着した雨水等の水は、バックドアDの内部に浸入した後、カバープレート10のプレート壁部10bとバックプレート50との間の間隙から、直接または信号ケーブル310a,310bを伝って、車両用ラッチ装置内に浸入することがある。
【0069】
バックドアDを閉じた状態では、プレート壁部10bとバックプレート50との間の間隙から直接浸入した水は、図20に示す本体ボディ70とカバープレート10との間の間隙Wからカバープレート10の内部へ浸入することがある。浸入した水は、当接用リブ718(上流側)によって信号ケーブル310a側と、信号ケーブル310b側に分離された状態でプラス端子302a(上流側)と、マイナス端子302b(上流側)を通過した後、プレート基部10aの内面に到達し、隙間A(下流側)を通ってラッチ60側へ排出され、車両外部へ排出される。
【0070】
信号ケーブル310a,310bを伝って、ケーブル孔717a,717bから本体ボディ70とカバープレート10との間へ浸入した水は、当接用リブ718によって信号ケーブル310a側と、信号ケーブル310b側に分離される。分離された水は、それぞれプラス端子302a(上流側)と、マイナス端子302b(上流側)を経て、センサ本体301またはプレート基部10aの内面へ到達し、その後、隙間A(下流側)を通ってラッチ60側へ排出され、車両外部へ排出される。
【0071】
バックドアDを開いた状態では、ラッチカバー部50Aがカバープレート10に対して車両下方(下流側)に位置する。このとき、カバープレート10と本体ボディ70との間に浸入した水は、当接用リブ718によって分離された状態で、図20に示す底面部710の下面を伝ってラッチ60側へ流れて車両外部へ排出される。
【0072】
このような構成の車両用ラッチ装置では、水がラッチ検知センサ300のプラス端子302a、マイナス端子302b及びセンサ本体301に到達した場合に、当接用リブ718によって水がプラス端子302a側とマイナス端子302b側に分離した状態となるため、プラス端子302aとマイナス端子302bとが不意に通電することを防止することができる。また、プラス端子302a及びマイナス端子302bに対して車両下方(下流側)に隙間A(排出部)を形成することにより、水をプラス端子302aとマイナス端子302bとの間に滞留させることなく車両用ラッチ装置の外部へ排出することができる。その結果、ラッチ検知センサ300にセンサケース等の防水処理を施すことなく、低コストでラッチ検知センサ300の検知精度を維持することができる。
【0073】
また、ラッチ検知センサ300は、当接用リブ718に当接してセンサ係止部715,716に挟装保持させることで所定の位置に容易に取付けることができ、作業性を向上することができる。更に、ラッチ検知センサ300にセンサケースを設けることなく、ラッチ検知センサ300とラッチ60を本体ボディ70の同一面上に配設できるので、車両用ラッチ装置の厚さを抑えて小型化を図ることができる。
【0074】
尚、ラッチ検知センサ300のプラス端子302aとマイナス端子302bの配置は逆であってもよい。また、ラッチ検知センサ300に変えてラチェットの回転を検知するラチェット検知センサ(図示せず)としてもよい。ラチェット検知センサとする場合、上述した隙間A(排出部)、当接用リブ718をそれぞれラチェット検知センサに対応して設ける構成とすることができる。また、本実施の形態ではバックドアDに装着する車両用ラッチ装置について説明しているが、装着するドアはバックドアに限られるものではなく、車両上方(上流側)に設けられるラッチ検知センサまたはラチェット検知センサの端子に対して車両下方(下流側)に設けられた本体ボディの排出部から水が排出されるものであればよく、ラッチ検知センサまたはラチェット検知センサの端子の位置が、排出部に対して傾斜(車両上下方向がほぼ同じ位置)して配置されるものであってもよい。また、検知センサの端子(上流側)が、排出部(下流側)よりも水の流れに対する上流側に配設されればドア開閉によって配置関係が変化しないサイドドア等であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 カバープレート
11 ストライカ進入溝
20、60 ラッチ
30 ラチェット
40、70 本体ボディ
410、710 底面部
415,416、715,716 センサ係止部
417 排出孔(排出部)
418、718 当接用リブ
421 第一壁部
200、300 ラッチ検知センサ
201、301 センサ本体
202a、302a プラス端子
202b、302b マイナス端子
210a,210b、310a,310b 信号ケーブル
A 隙間(排出部)
B 車両本体
D バックドア
LA 車両用ラッチ装置
S ストライカ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアに適用される車両用ラッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
四輪自動車等の車両には、車両本体とドアとの間に、車両本体に対してドアを閉じた状態に維持するための車両用ラッチ装置が設けられている。車両用ラッチ装置は、ストライカ進入溝を有したカバープレートにラッチ及びラチェットを配設することによって構成されている。この車両用ラッチ装置では、ストライカ進入溝に進入したストライカにラッチを噛み合わせるとともに、ラッチにラチェットを係合させて開放方向への回転を規制し、ストライカ進入溝からのストライカの逸脱を阻止することでドアを閉じた状態に維持するようにしている。一方、ラッチに対するラチェットの係合状態を解除すると、ラッチとストライカとの噛み合い状態も解除され、ストライカをストライカ進入溝から逸脱させることができるようになる。これにより、車両本体に対してドアを開けることが可能となる。
【0003】
この種の車両用ラッチ装置では、ラッチの回転位置を検知するための検知センサを備えたものが提供されている。検知センサはラッチの回転により押動するプランジャを備えており、プランジャの押動によりラッチの回転位置に応じた検知信号を出力することが可能である。検知センサを備えた車両用ラッチ装置では、検知センサの検知信号に基づいてラッチとストライカとの噛み合い状態を検知することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−62347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した車両用ラッチ装置では、検知センサにケースを外嵌させてラッチ検知センサに雨水等の水が浸入するのを防止する工夫がされている。検知センサをケースで覆うことにより車両用ラッチ装置内へ浸入した水によるラッチ検知センサの作動不良を防止することができる。しかし、ケースを設けることにより部品数が増加してコストが掛かることになる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、雨水等の水による検知センサの作動不良を低コストで防止することのできる車両用ラッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用ラッチ装置は、ストライカと噛合するラッチと、該ラッチの回動を規制するラチェットと、本体と該本体から露呈する端子とを有し、前記ラッチまたは前記ラチェットの動作を検知する検知センサと、該検知センサを配設する本体ボディと、を備え、車両のドアに設けられる車両用ラッチ装置において、前記本体ボディは、前記検知センサの端子に対応する位置に排出部を有し、前記検知センサの端子は、前記ドアを閉じた状態で前記排出部に対して車両上方に配設したことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る車両用ラッチ装置は、ストライカと噛合するラッチと、該ラッチの回動を規制するラチェットと、本体と該本体から露呈する端子とを有し、前記ラッチまたは前記ラチェットの動作を検知する検知センサと、該検知センサを配設する本体ボディと、を備え、車両のドアに設けられる車両用ラッチ装置において、前記検知センサの端子に対応する位置に水を排出する排出部を有し、前記検知センサの端子は、前記排出部よりも、水の流れに対する上流側に配設したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る車両用ラッチ装置は、上記の発明において、前記排出部は、前記検知センサの本体から端子側に延在して形成したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る車両用ラッチ装置は、上記の発明において、前記検知センサは、少なくとも二つの端子を有し、前記本体ボディは、前記排出部上に配設した前記二つの端子を分離するリブを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る車両用ラッチ装置は、上記の発明において、前記検知センサは、前記リブに当接して配設したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る車両用ラッチ装置は、上記の発明において、前記本体ボディは、前記検知センサを配設する面を有し、前記ラッチおよび前記ラチェットは、前記本体ボディの面を介して前記検知センサと反対側の面に配設したことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る車両用ラッチ装置は、上記の発明において、前記本体ボディは、前記検知センサを配設する面を有し、前記検知センサと前記ラッチおよび前記ラチェットを前記本体ボディの同一面上に配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る車両用ラッチ装置は、車両用ラッチ装置内に雨水等の水が浸入しても、本体ボディに形成した排出部から水を外部へ排出して水の滞留を防ぐことで、検知センサにケースを設けることなく検知センサ200の作動不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である車両用ラッチ装置の要部を示す側面一部破断図である。
【図2】図2は、図1に示した車両用ラッチ装置の背面図である。
【図3】図3は、図1に示した車両用ラッチ装置の正面図である。
【図4】図4は、図1に示した車両用ラッチ装置を適用する四輪自動車の斜視図である。
【図5】図5は、車両本体に設けたストライカと図1に示した車両用ラッチ装置のラッチとラチェットとの噛合状態を模式的に示す平面図である。
【図6】図6は、図1に示した車両用ラッチ装置に適用するカバープレート、本体ボディ及びバックプレートを示す斜視図である。
【図7】図7は、ラッチの平面図である。
【図8】図8は、図5に示すカバープレートに本体ボディ及びラッチ検知センサを取り付けた状態を示す平面図である。
【図9】図9は、ラチェットの平面図である。
【図10】図10は、図1に示した車両用ラッチ装置に適用する本体ボディを表面側から見た平面図である。
【図11】図11は、図10に示す本体ボディの斜視図である。
【図12】図12は、図10に示す本体ボディにラッチ検知センサを装着した状態を示す斜視図である。
【図13】図13は、図1に示した車両用ラッチ装置に適用するラッチ検知センサを裏面側からみた平面図である。
【図14】図14は、図1に示した車両用ラッチ装置がアンロック状態にある場合のアクチュエータユニットの動作をユニットカバーを外して示す正面図である。
【図15】図15は、図1に示した車両用ラッチ装置がロック状態にある場合のアクチュエータユニットの動作をユニットカバーを外して示す正面図である。
【図16】図16は、図1に示した車両用ラッチ装置のアクチュエータユニットに適用するケーブルレバーの正面図である。
【図17】図17は、図1に示した車両用ラッチ装置のアクチュエータユニットに適用するオープンレバーの正面図である。
【図18】図18は、図1に示した車両用ラッチ装置のアクチュエータユニットに適用するロックレバーの正面図である。
【図19】図19は、本発明の別の実施の形態における車両用ラッチ装置のカバープレートに本体ボディ及びラッチ検知センサを取り付けた状態を示す平面図である。
【図20】図20は、図19に示す矢視Yの断面図である。
【図21】図21は、本発明の別の実施の形態におけるラッチの平面図である。
【図22】図22は、本発明の別の実施の形態における本体ボディを表面側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る車両用ラッチ装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1〜図3は、本発明の実施の形態1である車両用ラッチ装置LAを示したものである。ここで例示する車両用ラッチ装置LAは、図4に示すように、四輪自動車の車両本体Bに設けたストライカSに噛み合うことにより、車両本体Bに対してテールゲートと称されるバックドアDを閉じた状態に維持するものである。バックドアDは、車両本体Bの後端上縁部に支持してあり、車両本体B後面の左右方向に沿った軸心回りに回転させることにより、車両本体Bの後端部開口を開閉することが可能である。
【0018】
本実施の形態の車両用ラッチ装置LAは、図1〜図3及び図6に示すように、カバープレート10、本体ボディ40及びバックプレート50を備えている。
【0019】
カバープレート10は、車両用ラッチ装置LAのベースとなるもので、比較的板厚の大きな金属板によって成形されている。カバープレート10は、図1及び図5に示すように矩形状を成すプレート基部10aと、プレート基部10aと一体的に成形されてプレート基部10aの奥部から垂直方向に傾斜して屈曲させたプレート壁部10bとを有する。図1、図3、図5及び図6に示すように、プレート基部10aにはストライカ進入溝11が設けられ、ストライカ進入溝11を挟む両側にラッチ軸12及びラチェット軸13が設けられている。ストライカ進入溝11は、プレート基部10aの前端中央部から奥部に向けて形成された切欠であり、ストライカSが挿通できる幅に形成されている。ラッチ軸12及びラチェット軸13は、プレート基部10aの内表面に突出する柱状部材であり、互いに平行に配置されている。ラッチ軸12にはラッチ20が回転可能に配設され、ラチェット軸13にはラチェット30が回転可能に配設されている。
【0020】
ラッチ20は、図7に示すように、ラッチ軸12を挿通する挿通孔20aが形成された板状部材であり、外周面に開口する噛合溝21と、噛合溝21の右側に位置するフック部22と、噛合溝21の左側に位置するストライカ当接部23と、ストライカ当接部23の左側に位置する外周爪部24とを有している。ラッチ20には、挿通孔20aを挟みカバープレート10と反対側の上面に挿通孔20aを中心として周方向に延びる凸条25が形成されている。ラッチ20は、噛合溝21がストライカ進入溝11と交差するようにラッチ軸12の軸心回りに回転する。ラッチ20は、図8に示す本体ボディ40と凸条25との間に配置したラッチばね26によってラッチ軸12を中心として図5の反時計回り方向へ付勢されている。
【0021】
図5(a)に示すように、ラッチ20をラッチ軸周りに反時計回り(以下、「開放方向」という)に回転させた場合、フック部22がストライカ進入溝11から退避した状態となる(以下、図5(a)に示す位置を「アンラッチ位置」という)。一方、ラッチ20をラッチ軸周りに時計回り(以下、「噛合方向」という)に回転させた場合、図5(b)に示すように、フック部22が漸次ストライカ進入溝11の前端側から奥部側に移動しながらこれを横切る状態となる(以下、図5(b)に示す位置を「ハーフラッチ位置」という)。ラッチ20がハーフラッチ位置から更に時計回り方向へ回転すると、フック部22がストライカ進入溝11の奥部を横切ることによりストライカ進入溝11の開口が閉塞される状態となる(以下、図5(c)に示す位置を「フルラッチ位置」という)。
【0022】
ラチェット30は、図9に示すように、ラチェット軸13を挿通する挿通孔30aが形成された板状部材であり、ラッチ噛合部31、第1解除操作部32及び第2解除操作部33を有している。ラチェット30は、ラチェット軸13の軸心回りに回転し、図8に示す本体ボディ40と第1解除操作部32との間に配置したラチェットばね35によってラチェット軸13を中心として図5の時計回り方向へ付勢されている。
【0023】
ラッチ噛合部31は、挿通孔30aから半径方向外方に延在する部分である。ラッチ噛合部31は、図5(b)に示すように、ラチェット30をラチェット軸13周りに反時計回りに回転させた場合にハーフラッチ位置に回転したラッチ20のストライカ当接部23に係止する。更に図5(c)に示すように、ラチェット30をラチェット軸13の周りに反時計回りに回転させた場合にフルラッチ位置に回転したラッチ20の外周爪部24に噛合する。
【0024】
第1解除操作部32は、図5及び図9に示すように、ラッチ噛合部31に隣接して位置して挿通孔30aの外周から半径方向外方に延在する部分である。第2解除操作部33は、第1解除操作部32から略180°ずれた位置で挿通孔30aの外周に半径方向外方へ延在した後、ラチェット軸13の延在方向に沿って直角に屈曲させて形成されている。
【0025】
本体ボディ40は、比較的硬質の合成樹脂材によって厚肉のブロック状に成形したもので、図6に示すように、ラッチ20及びラチェット30を配置したカバープレート10の前端部内表面を覆っている。本体ボディ40は、板状の平面である底面部410と、底面部410から垂直方向に立設された壁部42と、ストライカ進入溝11に対応する位置に形成される緩衝溝43と、緩衝溝43を挟む両側に形成されてプレート基部10aの前端部内表面を覆う突面部44a,44bと、を有している。
【0026】
底面部410は、図10〜図12に示すように、ラッチ軸挿通孔411、ラチェット軸挿通孔412、凸条用切欠413、突状底面414、センサ係止部415,416、排出部を成す排出孔417、及び当接用リブ418を有している。ラッチ軸挿通孔411、凸条用切欠413、突状底面414、センサ係止部415,416、排出孔417及び当接用リブ418を有する底面部410aは、図10〜図12に示すように、プレート壁部10bと平行に配設される第一壁部421と、第一壁部421から垂直にストライカ進入側へ延設する第二壁部422と、緩衝溝43の一部を形成している第三壁部423と、第三壁部423と連設して緩衝溝43の奥部から第一壁部421に向けて屈曲して延設している第四壁部424と、突面部44aの底面部410側の側面441と、によって囲まれており、第一壁部421と第四壁部424との間にはケーブル挿入溝419が形成されている。
【0027】
ラッチ軸挿通孔411及びラチェット軸挿通孔412は、それぞれラッチ軸12及びラチェット軸13に対応する位置に形成されている。ラッチ軸挿通孔411及びラチェット軸挿通孔412は、それぞれラッチ軸12及びラチェット軸13に嵌合する内径を有した貫通孔であり、軸方向に沿った長さがラッチ軸12及びラチェット軸13よりも短く設定されている。
【0028】
凸条用切欠413は、図8に示すように、ラッチ20の凸条25に対応する位置に形成され、ラッチ軸挿通孔411を中心として周方向に切欠いた貫通孔である。凸条用切欠413は、ラッチ20の凸条25が移動可能に貫通しており、ラッチ軸12を中心とするラッチ20の回転を許容している。
【0029】
突状底面414は、図10〜図12に示すように、凸条用切欠413近傍の第一壁部421側の底面部410に形成されている。突状底面414は底面部410から突設した状態で矩形状に形成されており、内部に貫通孔である底孔414a,414bが形成されている。センサ係止部415,416は、突状底面414を挟んで底面部410から図10の表面に向けて垂直に立設される板状部材である。図11に示すように、対向するセンサ係止部415,416の先端部の内側面には係止爪4151,4161がそれぞれ設けられている。突状底面414には後述するラッチ検知センサ200が配設される。
【0030】
排出孔417は、図10〜図12に示すように底面部410を切欠いた貫通孔であり、突状底面414から第一壁部421に向かって延在して形成されている。排出孔417は略四角形に形成されている。
【0031】
当接用リブ418は、図10〜図12に示すように底面部410から図10の表面に向けて垂直に立設される板状部材である。図11に示すように第一壁部421から離間した位置から排出孔417上を突状底面414に向かって分離するように形成されている。当接用リブ418の第一壁部421側の端部4181は太く形成されている。
【0032】
緩衝溝43は、図10及び図11に示すように本体ボディ40の前端中央部から基端に向けて設けた切欠であり、ストライカ進入溝11よりもわずかに狭い幅を有するように形成されている。緩衝溝43は、開口端部がストライカSを挿通させることができる大きさを有している一方、奥部に向けて漸次幅が狭くなるように形成されている。また、緩衝溝43の最奥部にクッション用の弾性部材45が装着されている。
【0033】
突面部44a,44bは、図10及び図11に示すようにそれぞれ緩衝溝43の両側に設けられ、底面部410より隆起して形成された面である。ラチェット側の突面部44bには、本体ボディ40によって覆われたラチェット30の第2解除操作部33を外部から操作するための貫通孔442と、貫通孔442を開閉可能に塞ぐ蓋部443と、が形成されている。
【0034】
本体ボディ40には、ラッチ検知センサ200が配設される。ラッチ検知センサ200は、マイクロスイッチと称されるもので、図13に示すように、略直方体に形成されたセンサ本体201と、センサ本体201から露呈するプラス端子202a及びマイナス端子202bと、プランジャ203と、係止突部204a,204bと、を有する。センサ本体201は、本体ボディ40の突状底面414上にセンサ係止部415,416によって挟装保持される。図8及び図12に示すように、プラス端子202a及びマイナス端子202bは排出孔417上に位置するように配設されている。プランジャ203は凸条用切欠413側に位置するように配設されている。係止突部204a,204bは、それぞれ本体ボディ40の底孔414a,414bに挿入され、ラッチ検知センサ200のプラス端子202a及びマイナス端子202b側の側面は、当接用リブ418と当接して本体ボディ40に固定される。ラッチ20の凸条25が凸条用切欠413内を移動してプランジャ203と当接することにより、プランジャ203はラッチ20の回転位置を検知する。ラッチ検知センサ200のプラス端子202a及びマイナス端子202bには、それぞれ検知信号を伝達する信号ケーブル210a,210bが接続されている。信号ケーブル210a,210bは、プラス端子202a及びマイナス端子202bから後述するカプラ160へ延在している。
【0035】
バックプレート50は、図2及び図6に示すように、本体ボディ40の奥部側表面を覆うラッチカバー部50Aと、ラッチカバー部50Aと一体的に形成されてラッチカバー部50Aの奥部から本体ボディ40に対して離隔する方向に屈曲させたユニット保持部50Bとを有する板状の部材である。
【0036】
ラッチカバー部50Aは、図6に示すように本体ボディ40のラッチ軸挿通孔411及びラチェット軸挿通孔412に対応する位置にそれぞれラッチ軸取付孔51及びラチェット軸取付孔52が形成されるとともに、カバープレート10のストライカ進入溝11に対応する位置に切欠溝53が形成されている。ラッチカバー部50Aは、ラッチ軸取付孔51にラッチ軸12の先端部をラチェット軸取付孔52にラチェット軸13の先端部をそれぞれかしめることによってカバープレート10に取り付けられている。ラッチカバー部50Aは、ラチェット30の第1解除操作部32に対応する位置にレバー挿入用開口54が設けられている。レバー挿入用開口54は、第1解除操作部32を外部から操作する開口であり、ラッチカバー部50Aの左右方向に沿って矩形状に形成され、後述するオープンレバー130の回転によって解除操作出力部131の端部が左右方向に移動する。
【0037】
ユニット保持部50Bは、図2に示すアクチュエータユニット100を保持する部分である。ユニット保持部50Bは、図6に示すように、バックプレート50のラッチカバー部50Aを向く側の面にオープンレバー軸101とロックレバー軸102をそれぞれ支持する支持孔55,56が形成されている。
【0038】
アクチュエータユニット100は、車両用ラッチ装置LAを後述するロック状態とアンロック状態に切り換える電動アクチュエータであり、図2に示すように、ケーブルレバー120、オープンレバー130、ロックレバー140及び電動モータ110を備えている。ケーブルレバー120及びオープンレバー130は、図14及び図15に示すように、ユニット保持部50Bのレバー挿入用開口54(図6参照)に近接した側縁部に設けたオープンレバー軸101に回転自在に支持されている。
【0039】
ケーブルレバー120は板状部材であり、図14及び図15に示すように、ユニット保持部50Bとオープンレバー130との間に配置され、図16に示すように、操作出力部121、ケーブル係合部122及びオープンレバー軸101を挿通する軸孔123を有している。操作出力部121は、軸孔123を中心として半径方向外方に向けて設けられている。ケーブル係合部122は、軸孔123を中心として操作出力部121と対向する位置に半径方向外方に向けて設けられ、端部がユニット保持部50Bの一側縁から外部に突出している。ケーブル係合部122の端部には、図3に示すように、バックドアDに設けた操作ハンドルとの間を連結する操作ケーブルCの一端が係合されている。
【0040】
オープンレバー130は、図14及び図15に示すように、ケーブルレバー120と重なる位置に配置され、図17に示すように、解除操作出力部131、係合入力部132及びオープンレバー軸101を挿通する軸孔134を有している。
【0041】
解除操作出力部131は、軸孔134を中心として半径方向外方に向けて設けられ、端部がレバー挿入用開口54からラッチカバー部50Aの内部へ挿通されている。解除操作出力部131の端部は、図5に二点鎖線で示すように第1解除操作部32の右側に位置しており、オープンレバー130がオープンレバー軸101の軸心回りに図15において時計回り方向へ回転すると、ラチェット30の第1解除操作部32を図中左方へ押圧し、ラッチ20を図5(a)に示すアンラッチ位置へ切り換える。
【0042】
係合入力部132は、図17に示すように、軸孔134を中心として解除操作出力部131から略90°ずれた位置に半径方向外方に向けて設けられている。係合入力部132には、スライダ133が設けられている。スライダ133は、係合入力部132の延在方向に沿って移動可能に配設したスライド基部133aと、スライド基部133aにおいてユニット保持部50Bに対向する面に突設した係合ピン133bと、スライド基部133aにおいてユニット保持部50Bから離隔した面に突設したカムピン133cとを有している。スライダ133は、係合入力部132の軸孔134側に配置すると、オープンレバー軸101の軸心回りに図14及び図15において反時計回り方向へ回転した場合に、係合ピン133bがケーブルレバー120の操作出力部121に係合する一方、係合入力部132の先端側に移動すると、ケーブルレバー120の操作出力部121に対して非係合となる。尚、オープンレバー130とユニット保持部50Bとの間には、図14及び図15に示すように、オープンレバー130を常時反時計回りに回転させるオープンレバーばね135が介在させてある。
【0043】
ロックレバー140は、図14及び図15に示すように、オープンレバー軸101よりもユニット保持部50Bの中心側、かつラッチカバー部50Aから屈曲させた屈曲部から離隔した位置に設けたロックレバー軸102に回転自在に支持されている。ロックレバー140は、図18に示すように、カムレバー部141と、セクタギヤ部142と、ロックレバー軸102を挿通する軸孔145とを有しており、カムレバー部141をオープンレバー130の係合入力部132に重ねてロックレバー軸102に支持されている。カムレバー部141は、軸孔145を中心として半径方向外方に向けて設けられ、長孔からなるカム溝143が形成されている。カム溝143は、アクチュエータユニット100としてユニット保持部50Bに取り付けた際に、オープンレバー軸101を中心とする円弧に沿って湾曲するように形成されており、スライダ133のカムピン133cが摺動可能に係合されている。セクタギヤ部142は、軸孔145を中心としてカムレバー部141と対向する位置に扇形状に形成され、円弧状の外周面にギヤ144が形成されている。
【0044】
電動モータ110は、図2、図14及び図15に示すように、ユニット保持部50Bのオープンレバー軸101から最も離隔した位置に配置されており、出力軸111にウォームギヤ112が設けられている。ウォームギヤ112は、ロックレバー140のセクタギヤ部142に形成したギヤ144と噛合する。電動モータ110を駆動した場合、ロックレバー140をロックレバー軸102の軸心回りに回転させることが可能である。
【0045】
上述したアクチュエータユニット100には、図1〜図3に示すように、ユニットカバー150が設けられている。ユニットカバー150は、合成樹脂材によって形成されており、ケーブルレバー120のケーブル係合部122を除くアクチュエータユニット100の全体を覆う大きさを有しており、ネジ等の締結手段によってユニット保持部50Bに取り付けられる。ユニットカバー150には、図1及び図2に示すように、電動モータ110を収容するモータ収容部に一対のターミナル部材151,152が設けてある。ターミナル部材151,152は、電動モータ110に対して給電端子となるもので、ターミナル部材151,152の一方の端部は、ユニットカバー150の外表面に開口するターミナル装着孔153に向けて突出してコネクタ接続端子を構成している。
【0046】
図2に示すユニット保持部50Bの上方にはカプラ160が配設してある。カプラ160からはバックプレート50のユニット保持部50Bを沿ってラッチカバー部50Aの基端に向けて信号ケーブル210a,210bが延設している。カプラ160から延設した信号ケーブル210a,210bは、ケーブルチューブ211で被覆されて1本に纏められてユニット保持部50Bの下端部からカバープレート10に装着される本体ボディ40内へ挿入される。信号ケーブル210a,210bの端部は、ケーブルチューブ211の被覆を逸脱した後、それぞれラッチ検知センサ200のプラス端子202a及びマイナス端子202bに接続している。
【0047】
信号ケーブル210a,210bは、図2に示すように、バックプレート50とカバープレート10との間に形成された間隙から本体ボディ40内へ挿入している。信号ケーブル210a,210bは、図8及び図10〜図12に示すケーブル挿入溝419から底面部410の表面内部に配設される。その後、信号ケーブル210a,210bは、当接用リブ418によって分離されて、それぞれラッチ検知センサ200のプラス端子202a及びマイナス端子202bへと接続される。
【0048】
以下、上述した車両用ラッチ装置LAの動作を説明する。バックドアDのロックが解除されたアンロック状態では、アクチュエータユニット100は図14(a)に示す位置に配置される。このとき、カム溝143に係合したカムピン133cを介してオープンレバー130のスライダ133が係合入力部132の軸孔134側に移動している。このアンロック状態の車両用ラッチ装置LAでは、バックドアDに設けた操作ハンドルを開操作し、操作ケーブルCを介してケーブル係合部122を図中において矢印で示す方向へ引っ張ると、図14(b)に示すように、ケーブルレバー120が時計回り方向に回転する。アンロック状態の場合、オープンレバー130は、スライダ133が係合入力部132の軸孔134側に位置する。そのため、ケーブルレバー120の操作出力部121は、スライダ133の係合ピン133bと係合する。従って、操作ハンドルを開操作すると、図14(b)に示すように、スライダ133を介してオープンレバー130が時計回り方向に回転して解除操作出力部131がラチェット30の第1解除操作部32を押圧し、ラチェット30を図5中において反時計回り方向に回転させる。そのため、ラチェット30のラッチ20への噛合が解除され、ラッチ20は、図5(c)のフルラッチ位置から図5(b)のハーフラッチ位置を経て図5(a)のアンラッチ位置へと回転し、ストライカSとの係合が解除される。この結果、車両用ラッチ装置LAは、アンロック状態においては、操作ハンドルを開操作することによってバックドアDを開くことができる。図5(b)のハーフラッチ位置及び図5(a)のアンラッチ位置では、ラッチ検知センサ200のプランジャ203がラッチ20の凸条25と当接し、ラッチ検知センサ200がON状態となる。このON状態に伴って例えば室内灯を点灯させることにより、乗員にバックドアDが半開き状態または開いた状態であることを知らせることができる。
【0049】
バックドアDを閉じた状態で電動モータ110を駆動し、図14に示すアンロック状態からロックレバー140を反時計回り方向に回転させると、図15(a)に示す位置にロックレバー140が配置され、カム溝143に係合したカムピン133cを介してオープンレバー130のスライダ133が係合入力部132の先端側に移動する。このとき、バックドアDに設けた操作ハンドルを開操作し、操作ケーブルCを介して図15(b)に示すようにケーブル係合部122を図中において矢印で示す方向へ引っ張ると、ケーブルレバー120が時計回り方向に回転する。しかし、オープンレバー130は、スライダ133が係合入力部132の先端側に位置するため、ケーブルレバー120の操作出力部121は、スライダ133の係合ピン133bと係合しない。従って、操作ハンドルを開操作しても、オープンレバー130は回転せず、オープンレバー130の解除操作出力部131がラチェット30の第1解除操作部32を押圧することはなく、ラチェット30のラッチ20への係合は解除されない。そのため、車両用ラッチ装置LAは操作ハンドルを開操作してもバックドアDを開くことができず、ロック状態となる。バックドアDを閉じた状態ではラッチ20が図5(c)のフルラッチ位置となり、ラッチ検知センサ200はラッチ20の凸条25と当接することなくOFF状態となる。このとき、例えば室内灯を消灯させることにより、乗員にバックドアDが閉じた状態であることを知らせることができる。
【0050】
雨天時等においてバックドアDに雨水等の水が付着すると、付着した水はバックドアDの内部に浸入した後、図1に示すカバープレート10のプレート壁部10bとバックプレート50との間の間隙Zから、直接または信号ケーブル210a,210bを伝って、車両用ラッチ装置LA内に浸入することがある。浸入した水はラッチ20やラチェット30を伝って車両外部へ排出することができるが、浸入した水により検知センサ200のプラス端子202aとマイナス端子202bが不意に通電すると、誤信号が送られてラッチ20の回動状態を正確に検知できないことがある。そのため、車両用ラッチ装置LA内に浸入した水を適切に排出することが必要となる。
【0051】
バックドアDを閉じた状態では、間隙Zから直接浸入する水は、図1に示す第一壁部421によって本体ボディ40とラッチカバー部50Aとの間への浸入を阻止される。第一壁部421に付着した水はカバープレート10内へ落下し、ラッチ20またはラチェット30を伝って車両外部へ排出される。
【0052】
第一壁部421を越えて、または信号ケーブル210a,210bを伝って、本体ボディ40とラッチカバー部50Aとの間へ浸入した水は、図10〜図12に示す当接用リブ418(上流側)を介して左右に分離される。分離した水はラッチ検知センサ200に到達する前に底面部410に形成されている排出孔417から車両下方(下流側)に位置するカバープレート10へ排出される。カバープレート10へ排出された水はラッチ20やラチェット30を伝って車両外部へ排出される。ラッチ検知センサ200を越えてラッチ軸12側へ浸入した水は、本体ボディ40の凸条用切欠413から車両下方(下流側)に位置するラッチ20側へ排出され、車両外部へ排出される。
【0053】
尚、バックドアDを開いた状態では、ラッチカバー部50Aがカバープレート10に対して車両下方(下流側)に位置する。そのため、ラッチカバー部50Aと本体ボディ40との間に浸入した水は、ラッチカバー部50Aの本体ボディ40側の面に落下し、溜まった水はラッチカバー部50Aと、突面部44a,44bとの間隙から車両用ラッチ装置LAの外部へ流れて排出される。
【0054】
このような構成の車両用ラッチ装置LAでは、水が上流側に位置するラッチ検知センサ200のプラス端子202a、マイナス端子202bを経てセンサ本体201に到達する前に下流側に位置する排出孔417から本体ボディ40外へ排出されるので、プラス端子202aとマイナス端子202bとの間に水が滞留することがなく、センサ本体201へ水が付着することを防止することができる。また、仮に水がプラス端子202a及びマイナス端子202bへ到達した場合であっても、当接用リブ418によって水がプラス端子202a側とマイナス端子202b側で分離された状態となるため、プラス端子202aとマイナス端子202bが不意に通電することを防止することができる。その結果、ラッチ検知センサ200にセンサケース等の防水処理を施すことなく、低コストでラッチ検知センサ200の検知精度を維持することができる。また、センサケースを設けることなく、ラッチ検知センサ200を被検知体であるラッチ20の近傍に配設することできるため、車両用ラッチ装置LAを小型化することができる。
【0055】
また、ラッチ検知センサ200は、当接用リブ418に当接してセンサ係止部415,416に挟装させることで所定の位置に容易に取付けることができ、作業性を向上することができる。更に、本体ボディ40に形成した凸条用切欠413を介して凸条25を図8に示す本体ボディ40の表面側に配設し、ラッチ20及びラチェット30は底面部410を介して本体ボディ40の裏面側に配設されているため、ラッチ20やラチェット30にグリースを十分に塗布した場合にもこれがラッチ検知センサ200に付着して検知不良を招く恐れはない。
【0056】
尚、ラッチ検知センサ200のプラス端子202aとマイナス端子202bの配置は逆であってもよい。また、ラッチ検知センサ200に変えてラチェットの回転を検知するラチェット検知センサ(図示せず)としてもよい。ラチェット検知センサとする場合、上述した排出孔417、当接用リブ418をそれぞれラチェット検知センサに対応して設ける構成とすることができる。また、本実施の形態ではバックドアDに装着する車両用ラッチ装置について説明しているが、装着するドアはバックドアに限られるものではなく、ドアを閉じた状態において、車両上方(上流側)に設けられるラッチ検知センサまたはラチェット検知センサの端子に対して車両下方(下流側)に設けられた本体ボディの排出部から水が排出されるものであればよく、ラッチ検知センサまたはラチェット検知センサの端子の位置が、排出部に対して傾斜(車両上下方向がほぼ同じ位置)して配置されるものであってもよい。また、検知センサの端子(上流側)が、排出部(下流側)よりも水の流れに対する上流側に配設されれば、ドア開閉によって配置関係が変化しないサイドドア等であってもよい。
【0057】
(実施の形態2)
次に、本発明に係る車両用ラッチ装置の別の実施の形態について説明する。実施の形態2の車両用ラッチ装置は、図19及び図20に示すように、実施の形態1のラッチ20、本体ボディ40、ラッチ検知センサ200及び信号ケーブル210a,210bに替えて、ラッチ60、本体ボディ70、ラッチ検知センサ300及び信号ケーブル310a,310bとを有している。実施の形態2において、実施の形態1と同一の符号は同一の構成を示し、ここではその詳細を省略する。
【0058】
ラッチ60は、図21に示すように、ラッチ軸12を挿通する挿通孔60aが形成された板状部材であり、外周面に開口する噛合溝61と、噛合溝61の右側に位置するフック部62と、噛合溝61の左側に位置するストライカ当接部63と、ストライカ当接部63の左側に位置する外周爪部64とを有している。ラッチ60は、噛合溝61がストライカ進入溝11と交差するようにラッチ軸12の軸心回りに回転する。ラッチ60は、ラッチばね(図示せず)によってラッチ軸12を中心として図19の反時計回り方向へ付勢されている。
【0059】
本体ボディ70は、比較的硬質の合成樹脂材によって厚肉のブロック状に成形したもので、図19に示すように、ラッチ60及びラチェット30を配置したカバープレート10の前端部内表面を覆っている。本体ボディ70は、板状の平面である底面部710と、底面部710から垂直方向に立設された壁部72と、ストライカ進入溝11に対応する位置に形成される緩衝溝73と、緩衝溝73を挟む両側に形成されてプレート基部10aの前端部内表面を覆う突面部74a,74bと、を有している。
【0060】
底面部710は、図22に示すように、ラッチ軸挿通孔711、ラチェット軸挿通孔712、センサ係止部715,716、ケーブル孔717a,717b及び当接用リブ718を有している。
【0061】
ラッチ軸挿通孔711及びラチェット軸挿通孔712は、それぞれラッチ軸12及びラチェット軸13に対応する位置に形成されている。ラッチ軸挿通孔711及びラチェット軸挿通孔712は、それぞれラッチ軸12及びラチェット軸13に嵌合する内径を有した貫通孔であり、軸方向に沿った長さがラッチ軸12及びラチェット軸13よりも短く設定されている。
【0062】
センサ係止部715,716は、底面部710から図22の裏面に向けて垂直に立設される板状部材である。対向するセンサ係止部715,716の先端部の内側面にはそれぞれ係止爪(図示せず)が設けられている。
【0063】
ケーブル孔717a,717bは、図19、図20及び図22に示すように底面部710を切欠いた貫通孔である。ケーブル孔717a,717bは、それぞれ信号ケーブル310a,310bを挿通可能な大きさに底面部710を略円形に切り欠いて形成されている。
【0064】
当接用リブ718は、図19、図20及び図22に示すように底面部710から図22の裏面に向けて垂直に立設される板状部材である。当接用リブ718はケーブル孔717a,717bの間に位置するように形成されている。図20に示すように、底面部710から最遠端となる当接用リブ718の端部718aは、カバープレート10のプレート基部10a及びプレート壁部10bの内面と当接するように配設している。
【0065】
緩衝溝73は、図19及び図22に示すように本体ボディ70の前端中央部から基端に向けて設けた切欠であり、ストライカ進入溝11よりもわずかに狭い幅を有するように形成されている。緩衝溝73は、開口端部がストライカSを挿通させることができる大きさを有している一方、奥部に向けて漸次幅が狭くなるように形成されている。また、緩衝溝73の最奥部にクッション用の弾性部材45が装着されている。
【0066】
突面部74a,74bは、図19及び図22に示すようにそれぞれ緩衝溝73の両側に設けられ、底面部710より隆起して形成された面である。ラチェット側の突面部74bには、本体ボディ70によって覆われたラチェット30の第2解除操作部33を外部から操作するための貫通孔742と、貫通孔742を開閉可能に塞ぐ蓋部743と、が形成されている。
【0067】
本体ボディ70には、ラッチ検知センサ300が配設される。ラッチ検知センサ300は、マイクロスイッチと称されるもので、略直方体に形成されたセンサ本体301と、センサ本体301から露呈するプラス端子302a及びマイナス端子302bと、プランジャ303と、を有する。センサ本体301は、図22に示す本体ボディ70の裏面に形成されたセンサ係止部715,716によって挟装保持される。図20に示すように、センサ本体301はラッチ60よりも薄厚に形成してあり、カバープレート10のプレート基部10aと離間した状態で隙間A(排出部)を形成するように配設してある。図19に示すようにプラス端子302a及びマイナス端子302bは、センサ本体301に対してプレート壁部10b側に位置するように配設している。ラッチ検知センサ300のプラス端子302a及びマイナス端子302b側の側面は、当接用リブ718と当接して本体ボディ70に固定される。プランジャ303はラッチ60側に位置するように配設している。ラッチ60の外周爪部64が回動してプランジャ303と当接することにより、プランジャ303はラッチ60の回転位置を検知する。ラッチ検知センサ300のプラス端子302a及びマイナス端子302bには、それぞれ検知信号を伝達する信号ケーブル310a,310bが接続されている。信号ケーブル310a,310bは、カプラ160から延在しており、図19に示す本体ボディ70の表面からケーブル孔717a,717bを挿通して本体ボディ70の裏面に配設されたラッチ検知センサ300のプラス端子302a及びマイナス端子302bと接続している。
【0068】
次に、実施の形態2における車両用ラッチ装置内に浸入した水の排出経路について説明する。雨天時等にバックドアDに付着した雨水等の水は、バックドアDの内部に浸入した後、カバープレート10のプレート壁部10bとバックプレート50との間の間隙から、直接または信号ケーブル310a,310bを伝って、車両用ラッチ装置内に浸入することがある。
【0069】
バックドアDを閉じた状態では、プレート壁部10bとバックプレート50との間の間隙から直接浸入した水は、図20に示す本体ボディ70とカバープレート10との間の間隙Wからカバープレート10の内部へ浸入することがある。浸入した水は、当接用リブ718(上流側)によって信号ケーブル310a側と、信号ケーブル310b側に分離された状態でプラス端子302a(上流側)と、マイナス端子302b(上流側)を通過した後、プレート基部10aの内面に到達し、隙間A(下流側)を通ってラッチ60側へ排出され、車両外部へ排出される。
【0070】
信号ケーブル310a,310bを伝って、ケーブル孔717a,717bから本体ボディ70とカバープレート10との間へ浸入した水は、当接用リブ718によって信号ケーブル310a側と、信号ケーブル310b側に分離される。分離された水は、それぞれプラス端子302a(上流側)と、マイナス端子302b(上流側)を経て、センサ本体301またはプレート基部10aの内面へ到達し、その後、隙間A(下流側)を通ってラッチ60側へ排出され、車両外部へ排出される。
【0071】
バックドアDを開いた状態では、ラッチカバー部50Aがカバープレート10に対して車両下方(下流側)に位置する。このとき、カバープレート10と本体ボディ70との間に浸入した水は、当接用リブ718によって分離された状態で、図20に示す底面部710の下面を伝ってラッチ60側へ流れて車両外部へ排出される。
【0072】
このような構成の車両用ラッチ装置では、水がラッチ検知センサ300のプラス端子302a、マイナス端子302b及びセンサ本体301に到達した場合に、当接用リブ718によって水がプラス端子302a側とマイナス端子302b側に分離した状態となるため、プラス端子302aとマイナス端子302bとが不意に通電することを防止することができる。また、プラス端子302a及びマイナス端子302bに対して車両下方(下流側)に隙間A(排出部)を形成することにより、水をプラス端子302aとマイナス端子302bとの間に滞留させることなく車両用ラッチ装置の外部へ排出することができる。その結果、ラッチ検知センサ300にセンサケース等の防水処理を施すことなく、低コストでラッチ検知センサ300の検知精度を維持することができる。
【0073】
また、ラッチ検知センサ300は、当接用リブ718に当接してセンサ係止部715,716に挟装保持させることで所定の位置に容易に取付けることができ、作業性を向上することができる。更に、ラッチ検知センサ300にセンサケースを設けることなく、ラッチ検知センサ300とラッチ60を本体ボディ70の同一面上に配設できるので、車両用ラッチ装置の厚さを抑えて小型化を図ることができる。
【0074】
尚、ラッチ検知センサ300のプラス端子302aとマイナス端子302bの配置は逆であってもよい。また、ラッチ検知センサ300に変えてラチェットの回転を検知するラチェット検知センサ(図示せず)としてもよい。ラチェット検知センサとする場合、上述した隙間A(排出部)、当接用リブ718をそれぞれラチェット検知センサに対応して設ける構成とすることができる。また、本実施の形態ではバックドアDに装着する車両用ラッチ装置について説明しているが、装着するドアはバックドアに限られるものではなく、車両上方(上流側)に設けられるラッチ検知センサまたはラチェット検知センサの端子に対して車両下方(下流側)に設けられた本体ボディの排出部から水が排出されるものであればよく、ラッチ検知センサまたはラチェット検知センサの端子の位置が、排出部に対して傾斜(車両上下方向がほぼ同じ位置)して配置されるものであってもよい。また、検知センサの端子(上流側)が、排出部(下流側)よりも水の流れに対する上流側に配設されればドア開閉によって配置関係が変化しないサイドドア等であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 カバープレート
11 ストライカ進入溝
20、60 ラッチ
30 ラチェット
40、70 本体ボディ
410、710 底面部
415,416、715,716 センサ係止部
417 排出孔(排出部)
418、718 当接用リブ
421 第一壁部
200、300 ラッチ検知センサ
201、301 センサ本体
202a、302a プラス端子
202b、302b マイナス端子
210a,210b、310a,310b 信号ケーブル
A 隙間(排出部)
B 車両本体
D バックドア
LA 車両用ラッチ装置
S ストライカ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライカと噛合するラッチと、
該ラッチの回動を規制するラチェットと、
本体と該本体から露呈する端子とを有し、前記ラッチまたは前記ラチェットの動作を検知する検知センサと、
該検知センサを配設する本体ボディと、
を備え、車両のドアに設けられる車両用ラッチ装置において、
前記本体ボディは、前記検知センサの端子に対応する位置に排出部を有し、
前記検知センサの端子は、前記ドアを閉じた状態で前記排出部に対して車両上方に配設したこと
を特徴とする車両用ラッチ装置。
【請求項2】
ストライカと噛合するラッチと、
該ラッチの回動を規制するラチェットと、
本体と該本体から露呈する端子とを有し、前記ラッチまたは前記ラチェットの動作を検知する検知センサと、
該検知センサを配設する本体ボディと、
を備え、車両のドアに設けられる車両用ラッチ装置において、
前記検知センサの端子に対応する位置に水を排出する排出部を有し、
前記検知センサの端子は、前記排出部よりも、水の流れに対する上流側に配設したこと
を特徴とする車両用ラッチ装置。
【請求項3】
前記排出部は、前記検知センサの本体から端子側に延在して形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用ラッチ装置。
【請求項4】
前記検知センサは、少なくとも二つの端子を有し、
前記本体ボディは、前記排出部上に配設した前記二つの端子を分離するリブを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の車両用ラッチ装置。
【請求項5】
前記検知センサは、前記リブに当接して配設したことを特徴とする請求項4に記載の車両用ラッチ装置。
【請求項6】
前記本体ボディは、前記検知センサを配設する面を有し、
前記ラッチおよび前記ラチェットは、前記本体ボディの面を介して前記検知センサと反対側の面に配設したことを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の車両用ラッチ装置。
【請求項7】
前記本体ボディは、前記検知センサを配設する面を有し、
前記検知センサと前記ラッチおよび前記ラチェットを前記本体ボディの同一面上に配設したことを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の車両用ラッチ装置。
【請求項1】
ストライカと噛合するラッチと、
該ラッチの回動を規制するラチェットと、
本体と該本体から露呈する端子とを有し、前記ラッチまたは前記ラチェットの動作を検知する検知センサと、
該検知センサを配設する本体ボディと、
を備え、車両のドアに設けられる車両用ラッチ装置において、
前記本体ボディは、前記検知センサの端子に対応する位置に排出部を有し、
前記検知センサの端子は、前記ドアを閉じた状態で前記排出部に対して車両上方に配設したこと
を特徴とする車両用ラッチ装置。
【請求項2】
ストライカと噛合するラッチと、
該ラッチの回動を規制するラチェットと、
本体と該本体から露呈する端子とを有し、前記ラッチまたは前記ラチェットの動作を検知する検知センサと、
該検知センサを配設する本体ボディと、
を備え、車両のドアに設けられる車両用ラッチ装置において、
前記検知センサの端子に対応する位置に水を排出する排出部を有し、
前記検知センサの端子は、前記排出部よりも、水の流れに対する上流側に配設したこと
を特徴とする車両用ラッチ装置。
【請求項3】
前記排出部は、前記検知センサの本体から端子側に延在して形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用ラッチ装置。
【請求項4】
前記検知センサは、少なくとも二つの端子を有し、
前記本体ボディは、前記排出部上に配設した前記二つの端子を分離するリブを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の車両用ラッチ装置。
【請求項5】
前記検知センサは、前記リブに当接して配設したことを特徴とする請求項4に記載の車両用ラッチ装置。
【請求項6】
前記本体ボディは、前記検知センサを配設する面を有し、
前記ラッチおよび前記ラチェットは、前記本体ボディの面を介して前記検知センサと反対側の面に配設したことを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の車両用ラッチ装置。
【請求項7】
前記本体ボディは、前記検知センサを配設する面を有し、
前記検知センサと前記ラッチおよび前記ラチェットを前記本体ボディの同一面上に配設したことを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の車両用ラッチ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−158866(P2012−158866A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17261(P2011−17261)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000148896)三井金属アクト株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000148896)三井金属アクト株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
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