車両用ワイパ装置
【課題】製造を容易にしつつも、洗浄液を効果的に供給することが可能な車両用ワイパ装置を提供する。
【解決手段】往復回動されるワイパアーム12a,12b及び該ワイパアーム12a,12bの先端部に連結されたワイパブレード13a,13bをそれぞれ有する助手席側ワイパ11aと運転席側ワイパ11bを備え、助手席側のワイパブレード13a及び運転席側のワイパブレード13bにて払拭面Gaの第1払拭エリアA1及び第2払拭エリアA2をそれぞれ払拭する。そして、助手席側ワイパ11aに設けられたウォッシャノズル41bからの洗浄液W5,W6の供給が、運転席側のワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubに移動するまでの間に該ワイパブレード13bの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わるように構成される。
【解決手段】往復回動されるワイパアーム12a,12b及び該ワイパアーム12a,12bの先端部に連結されたワイパブレード13a,13bをそれぞれ有する助手席側ワイパ11aと運転席側ワイパ11bを備え、助手席側のワイパブレード13a及び運転席側のワイパブレード13bにて払拭面Gaの第1払拭エリアA1及び第2払拭エリアA2をそれぞれ払拭する。そして、助手席側ワイパ11aに設けられたウォッシャノズル41bからの洗浄液W5,W6の供給が、運転席側のワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubに移動するまでの間に該ワイパブレード13bの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わるように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインドガラスの払拭面の払拭とともに、該払拭面へ洗浄液を供給する手段を備えた車両用ワイパ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ワイパ装置は、往復回動されるワイパアームと、そのワイパアームの先端部に連結され、ウインドガラスの払拭面を払拭するワイパブレードとを備える。この種の車両用ワイパ装置において、払拭面に洗浄液を噴射供給するウォッシャノズルをエンジンフード上またはエンジンフード後端下面に設けたものがある。しかしながら、このような構成では、高速走行時の場合、洗浄液の噴射奇跡や着水点が走行風の影響を受けやすく着水点が下方に移動してしまい、また、ウォッシャノズルからワイパアームやワイパブレード上方を超えて洗浄液が噴射供給されるため、ワイパアームに洗浄液が干渉して飛び散りが生じる等、適切な位置に洗浄液を供給することが困難になるといった問題があった。
【0003】
そこで、このような問題を解決するため、例えば特許文献1の車両用ワイパ装置では、ウォッシャノズルをワイパブレードに設けることで、払拭面に対してより至近距離から洗浄液を供給可能としている。これにより、ウォッシャノズルから噴射された洗浄液に対する走行風の影響を抑えることができ、その結果、洗浄液を払拭面により確実に供給させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−162328号公報
【特許文献2】実開昭50−104333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般に車両用ワイパ装置は、払拭面の運転席側のエリアと助手席側のエリアとをそれぞれ払拭すべくワイパ(ワイパアーム及びワイパブレード)が2つ設けられている。このため、複数のワイパブレードのそれぞれの払拭エリアに洗浄液を供給するために、各ワイパブレードにウォッシャノズルを設けている。しかしながら、このような構成では、各ワイパブレードにウォッシャノズルを取り付ける作業はもちろん、各ワイパアームにウォッシャノズルと連結するホースを配策固定する作業が増加してしまう。
【0006】
また、往復回動する各ワイパにウォッシャノズルが設けられるため、往動復動の何れか一方はワイパブレードの払拭に先立って洗浄液を供給して直ちに払拭することができるが、その半面、他方の動作では運転席側であっても払拭されずに比較的長時間拭き残しとなる。この問題を解決するために、例えば特許文献2のウインドウォッシャでは、制御回路により、ワイパの払拭位置と方向を検出して常に払拭方向前方に供給するように噴射制御していたため、装置が高価なものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、製造を容易にしつつも、安価な構成で洗浄液を効果的に供給することが可能な車両用ワイパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、往復回動されるワイパアーム及び該ワイパアームの先端部に連結されたワイパブレードをそれぞれ有する助手席側ワイパと運転席側ワイパを備え、前記助手席側ワイパの前記ワイパブレード及び前記運転席側ワイパの前記ワイパブレードにて払拭面の第1払拭エリア及び第2払拭エリアをそれぞれ払拭する車両用ワイパ装置において、前記助手席側ワイパには、前記第2払拭エリアに洗浄液を供給するためのウォッシャノズルが設けられ、前記ウォッシャノズルは、前記各ワイパの払拭動作状態において、運転席側の前記ワイパブレードが第1反転位置から第2反転位置に移動するまでの間に該ワイパブレードの進行方向前方側への前記洗浄液の供給が進行方向後方側への供給に切り替わるように前記洗浄液を噴射することを特徴とする。
【0009】
この発明では、助手席側ワイパに設けられたウォッシャノズルからの洗浄液の供給が、運転席側のワイパブレードが第1反転位置から第2反転位置に移動するまでの間に該ワイパブレードの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わる。つまり、第1反転位置から第2反転位置までの動作時とその反対の動作時のいずれの時にも、運転席側のワイパブレードの進行方向側に好適に洗浄液を供給することが可能となる。従って、本発明では、ウォッシャノズルを助手席側ワイパのみに設けることで運転席側ワイパへのウォッシャノズルやホースの組付け作業工数を削減して製造を容易にしつつも、複雑な噴射制御の回路が不要な安価な構成でワイパ動作時の払拭面に対して洗浄液を効果的に供給することが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用ワイパ装置において、運転席側の前記ワイパブレードの前記第1反転位置から前記第2反転位置までの間の1/2地点よりも前記第2反転位置側の位置で、前記ウォッシャノズルからの洗浄液の供給が、前記第2反転位置側に移動する運転席側の前記ワイパブレードの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わることを特徴とする。
【0011】
この発明では、運転席側のワイパブレードが第1反転位置から第2反転位置まで移動する間において、該ワイパブレードの進行方向前方側への洗浄液の供給が進行方向後方側への供給に切り替わってからワイパブレードが第2反転位置に到達するまでの時間を比較的短くすることが可能となる。このため、運転席側のワイパブレードの進行方向側の洗浄液不足を抑えることが可能となる。また、運転席側のワイパブレードの進行方向後方側に供給された洗浄液が第2反転位置で反転動作したワイパブレードによって払拭されるまでの時間を短くすることができるため、ワイパブレードの進行方向後方側に残った洗浄液の運転席前方の運転視界への影響を少なく抑えることが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用ワイパ装置において、前記第2払拭エリアのうち、運転席側の前記ワイパブレードの長手方向中央よりも先端側部分で払拭するエリアを先端側エリアとし、該ワイパブレードの長手方向中央よりも基端側部分で払拭するエリアを基端側エリアとして、運転席側の前記ワイパブレードが前記第1反転位置から前記第2反転位置まで移動する間に、前記ウォッシャノズルからの洗浄液の供給が前記先端側エリアへの供給から前記基端側エリアへの供給に切り替わることを特徴とする。
【0013】
この発明では、助手席側ワイパに設けられたウォッシャノズルからの洗浄液が第2払拭エリアの先端側エリアと基端側エリアの両方に供給されるため、該ウォッシャノズルから運転席側の第2払拭エリアの広範囲に亘って洗浄液を供給することが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ワイパ装置において、運転席側の前記ワイパブレードの前記第1反転位置から前記第2反転位置までの間の3/4地点よりも前記第2反転位置側の位置で、前記ウォッシャノズルからの洗浄液の供給が、前記第2反転位置側に移動する運転席側の前記ワイパブレードの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わることを特徴とする。
【0015】
この発明では、運転席側のワイパブレードが第1反転位置から第2反転位置まで移動する間において、該ワイパブレードの進行方向前方側への洗浄液の供給が進行方向後方側への供給に切り替わってからワイパブレードが第2反転位置に到達するまでの時間を極力短くすることが可能となる。このため、運転席側のワイパブレードが第1反転位置から第2反転位置まで移動する間の運転席側のワイパブレードの進行方向側の洗浄液不足を抑えることが可能となる。また、運転席側のワイパブレードの進行方向後方側に供給された洗浄液が、第2反転位置で反転動作したワイパブレードによって払拭されるまでの時間が短くなるため、ワイパブレードの進行方向後方側に残った洗浄液による運転席前方の運転視界の妨げを少なく抑えることが可能となる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ワイパ装置において、前記ウォッシャノズルは、前記助手席側ワイパの前記ワイパアームに設けられていることを特徴とする。
【0017】
この発明では、ウォッシャノズルが助手席側のワイパアームに設けられるため、運転席側のワイパブレードが第1反転位置から第2反転位置に移動するまでの間に、ウォッシャノズルからの洗浄液の供給をワイパブレードの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に好適に切り替えることが可能となる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用ワイパ装置において、前記ウォッシャノズルは、前記第1払拭エリアにも洗浄液を供給することを特徴とする。
【0019】
この発明では、助手席側ワイパに設けられたウォッシャノズルからの洗浄液が、運転席側の第2払拭エリアだけでなく助手席側の第1払拭エリアにも供給されるため、洗浄液をより効果的に供給することが可能となる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用ワイパ装置において、前記助手席側ワイパには、前記第1払拭エリアに洗浄液を供給するための助手席側供給用ウォッシャノズルが運転席側供給用の前記ウォッシャノズルとは別に設けられていることを特徴とする。
【0021】
この発明では、助手席側ワイパには、第2払拭エリアに洗浄液を供給するための運転席側供給用ウォッシャノズルだけでなく、助手席側の第1払拭エリアに洗浄液を供給するための助手席側供給用ウォッシャノズルが別個に設けられる。このため、払拭面に対してより効果的に洗浄液を供給することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
従って、上記記載の発明によれば、製造を容易にしつつも、安価な構成で洗浄液を効果的に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態の車両用ワイパ装置を示す模式図である。
【図2】助手席側ワイパを示す模式図である。
【図3】助手席側ワイパを示す斜視図である。
【図4】(a)はワイパブレードの平面図であり、(b)はワイパブレードの正面図であり、(c)はワイパブレードの背面図である。
【図5】ワイパブレードの分解斜視図である。
【図6】ウォッシャノズルを有する装着プレートの斜視図である。
【図7】ウォッシャノズルの断面斜視図である。
【図8】ワイパが停止位置にある状態での運転席側供給用ウォッシャノズルの噴射態様を模式的に示す断面図である。
【図9】車両用ワイパの洗浄液を用いた払拭態様を示す模式図である。
【図10】車両用ワイパの洗浄液を用いた払拭態様を示す模式図である。
【図11】車両用ワイパの洗浄液を用いた払拭態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の車両用ワイパ装置1は、車両のウインドガラスGの車室外側の面である払拭面Gaを払拭するためのものである。この車両用ワイパ装置1は、助手席側ワイパ11aと運転席側ワイパ11bの2つのワイパを有している。助手席側ワイパ11aは、自動車のウインドガラスGの払拭面Gaの助手席側のエリア(第1払拭エリアA1)を払拭するためのものであり、一方の運転席側ワイパ11bは、払拭面Gaの運転席側のエリア(第2払拭エリアA2)を払拭するためのものである。
【0025】
助手席側ワイパ11aはワイパアーム12aとワイパブレード13aとから、運転席側ワイパ11bはワイパアーム12bとワイパブレード13bとからそれぞれ構成されている。各ワイパ11a,11bのワイパアーム12a,12bは、基端部がワイパモータ(図示略)の駆動力にて所定角度で往復回動されるピボット軸P1,P2にそれぞれ固定されるとともに、ワイパアーム12a,12bの先端部にはそれぞれワイパブレード13a,13bが回動可能に連結される。
【0026】
各ピボット軸P1,P2は、ウインドガラスGの下部に配設されるカウルパネル(図示略)等に設けられた図示しないピボットホルダに回動自在に支持されている。助手席側ワイパ11aのピボット軸P1は、ウインドガラスGの幅方向中央よりもやや運転席側寄りの位置に設けられるとともに、運転席側ワイパ11bのピボット軸P2は、ウインドガラスGの幅方向運転席側の下端部付近に設けられている。また、各ワイパアーム12a,12bには、各ワイパブレード13a,13bを払拭面Gaに押圧するためのスプリング(図示略)が装着されている。そして、不図示のリンク機構等によりピボット軸P1,P2が同じ方向に同期連動して往復回動し、そのピボット軸P1,P2の往復回動に伴って各ワイパアーム12a,12bも互いに同じ方向に同期して往復回動運動を行うことにより、各ワイパブレード13a,13bが払拭面Gaの払拭動作を行うようになっている。
【0027】
本実施形態の車両用ワイパ装置1では、2つのワイパ11a,11bのうちの助手席側ワイパ11aのみに2つのウォッシャノズル41a,41bが設けられている。詳述すると、ワイパブレード13aに助手席側供給用ウォッシャノズル41aが設けられ、ワイパアーム12aに運転席側供給用ウォッシャノズル41bが設けられている。
【0028】
助手席側ワイパ11aのワイパアーム12aには、図2及び図3に示すように、ウォッシャノズル41aに洗浄液を供給するためのホース40が配策されている。運転席側ワイパ11bは、助手席側ワイパ11aから各ウォッシャノズル41a,41b及びホース40等のウォッシャノズル41a,41bに付帯する部品を除いた構成と略同様な構成である。従って、以下には助手席側ワイパ11aについての詳細な説明をし、運転席側ワイパ11bの詳細な説明は省略する。
【0029】
図2及び図8に示すように、ワイパアーム12aは金属板材からなり、回動方向(進行方向)に対向する一対の側壁部20aと、各側壁部20aの上端部(反払拭面側端部)を繋ぐ上壁部20bとから払拭面Ga側に開口する断面コ字状をなしている。このワイパアーム12aは、ピボット軸P1に固定される基端部から先端側へやや湾曲しながら延び、その先端部にはワイパブレード13aが回動可能に連結されている。
【0030】
ワイパアーム12aの長手方向中間部には、運転席側供給用ウォッシャノズル41bが設けられている。ウォッシャノズル41bは側壁部20aに固定されている。また、図1及び図8に示すように、ウォッシャノズル41bは、各ワイパ11a,11bが停止位置(下反転位置Da,Db)にある状態で、側壁部20aから進行方向側に突出している。そして、ウォッシャノズル41bの先端部41cは、運転席側ワイパ11bのワイパブレード13bの上方(反払拭面側)まで延び、ワイパブレード13bの長手方向中央よりも先端部側で該ワイパブレード13bと払拭面Gaに対する垂直方向に重なっている。
【0031】
このウォッシャノズル41bの先端部41cには、2つの噴射孔(図示略)が設けられており、その2つの噴射孔から洗浄液W5,W6をそれぞれ噴射可能に構成されている。尚、ウォッシャノズル41bには、洗浄液W5,W6を前記噴射孔から指向性のある噴射流として噴射可能なジェットノズルを用いている。また、ウォッシャノズル41aは、噴射する洗浄液W5,W6の噴射方向及び着水点までの距離が互いに異なるように設定されている。洗浄液W5は着水点までの距離が洗浄液W6に比べて遠く、その噴射方向は、ウォッシャノズル41bの突出方向から助手席側ワイパ11aのやや先端側寄りの方向に設定されている。一方、洗浄液W6は、着水点までの距離が洗浄液W5に比べて短く、ウォッシャノズル41bの突出方向から助手席側ワイパ11aのやや基端側寄りの方向に設定されている。
【0032】
図2にて示すように、ワイパアーム12aの内側には、車体側のウォッシャポンプ(図示略)から延びるホース40が配設されている。ホース40は、樹脂材料又はゴム、エラストマー等の弾性材料にて形成されている。ホース40の中間部分にはYジョイント40aが設けられており、車体側から送られてくる洗浄液がYジョイント40aによって運転席側供給用ウォッシャノズル41b側と助手席側供給用ウォッシャノズル41a側とに分流されてそれぞれのノズル41a,41bに供給されるようになっている。
【0033】
ワイパブレード13aは、図4(a)(b)(c)及び図5に示すように、レバーアッセンブリ14と、ブレードラバー15と、カバー部材16と、連結部材17と、装着プレート18とからなる。
【0034】
レバーアッセンブリ14は、3つのレバー、即ちプライマリレバー21と、そのプライマリレバー21の長手方向両端部にそれぞれ回動可能に連結される2つのセカンダリレバー22とによりトーナメント状(階層的)に構成されている。
【0035】
プライマリレバー21は、長手方向中央部にホルダ部21aと、該ホルダ部21aの両側から延びるアーム部21bとを有している。ホルダ部21aには、一対の平板状の側壁が平行をなし上部に長方形状の開口部21cが形成されるとともに、該開口部21cからワイパアーム12aの先端部が挿入される。また、ホルダ部21aには連結部材17が回動可能に装着され、該連結部材17にはワイパアーム12aの先端部が着脱可能に装着される。アーム部21bは、長手方向と直交する横断面視において山折り形状(払拭面Ga側が開口した断面略U字状)に形成されている。
【0036】
セカンダリレバー22は、プライマリレバー21のアーム部21bと同様、山折り形状(払拭面Ga側が開口した断面略U字状)に形成されている。セカンダリレバー22は、長手方向中央部がプライマリレバー21の両端部(各アーム部21bの先端)にそれぞれ回動可能に連結されている。各セカンダリレバー22の長手方向両端部には、ブレードラバー15を把持(保持)するための把持部22aがそれぞれ形成されている。把持部22aは、長手方向から見て払拭面Ga側が開口する略コ字状をなし、開口端においては互いに内側に延びて幅狭に形成されている。これら4つの把持部22aは、ゴム部材にて長尺に形成され払拭面Gaに接触して払拭するためのブレードラバー15を図4に示すように長手方向に所定間隔を有して把持する。
【0037】
因みに、ブレードラバー15には、把持部22aから受ける払拭面Ga側への押圧力を長手方向に分散すべく長尺に形成された一対のバッキング19が該ラバー15の長手方向に沿って装着されている。バッキング19は、長手方向に複数の異なる曲率で区分されて全体として湾曲状に形成されている。バッキング19の各区間における曲率は、該バッキング19が装着されたブレードラバー15が払拭面Gaの払拭範囲全体で良好に追従するように該払拭面Gaの曲面形状に対応させて設定されている。
【0038】
図3〜図5に示すように、レバーアッセンブリ14を覆うカバー部材16は、ブレードラバー15の両端部まで延びるように設けられる。また、カバー部材16は、それぞれ樹脂材料にて所定の剛性を有するように形成されるセンターカバー部31と、該センターカバー部31の両側に配置される2つのサイドカバー部32とから構成されている。
【0039】
センターカバー部31は、前記プライマリレバー21に装着され、該レバー21の略全体を覆う。センターカバー部31は、長手方向中央部にホルダ収容部31aと、該ホルダ収容部31aの両側から長手方向に延びるアーム収容部31bとを有している。また、センターカバー部31は、後述する装着プレート18に設けられたウォッシャノズル41aが収容されるノズル収容部31fを有している。ホルダ収容部31aは、プライマリレバー21のホルダ部21aを収容するとともに該ホルダ部21aに設けた開口部21cと対応した開口部31cを上部に有しており、該開口部31cからワイパアーム12aの先端部が挿入される。アーム収容部31bは、長手方向と直交する横断面視において山折り形状(払拭面Ga側が開口した断面略U字状)に形成されている。ノズル収容部31fは、ホルダ収容部31aに隣接して後述のフィン部31dと反対側(ワイパブレード13aの払拭開始進行方向側)に、その内部空間を幅方向に略流線形状で拡大するように膨出形成されている(図4(a)参照)。
【0040】
プライマリレバー21の両端部(アーム部21bの先端部)には、サイドカバー部32の基端が回動可能に装着される。この場合、サイドカバー部32の基端部内側には連結ピン32xが設けられるとともに、プライマリレバー21の両端部にはその連結ピン32xが嵌合する嵌合孔21xが設けられ、連結ピン32xと嵌合孔21xとの嵌合によりサイドカバー部32が回動可能となっている。サイドカバー部32は、センターカバー部31のアーム収容部31bと同様、山折り形状(払拭面Ga側が開口した断面略U字状)に形成され、基端部から先端部に向かうほど頂部の高さが次第に低く形成されている。サイドカバー部32は、プライマリレバー21の両端から突出するセカンダリレバー22を覆うとともに、該セカンダリレバー22よりも更に端部側においてはブレードラバー15の上部に配置される。サイドカバー部32の先端部には、ブレードラバー15の端部を把持(保持)すべく前記セカンダリレバー22の把持部22aと略同様な形状をなす把持部32aが形成されている。そして、サイドカバー部32は、各セカンダリレバー22の端部から長手方向に突出したブレードラバー15の撓みに追従するように、プライマリレバー21の両端部に装着される基端部(連結ピン32x)を中心に回動するようになっている。
【0041】
また、センターカバー部31のアーム収容部31b及び各サイドカバー部32における車両前方側の壁部には、車両走行時に生じる走行風を受けることによりブレードラバー15を払拭面Ga側に押圧する押圧力を生成するフィン部31d,32bがそれぞれ形成されている。また、フィン部31d,32bは、アーム収容部31b及びサイドカバー部32の長手方向全体に設けられている。
【0042】
また、図4(a)(c)に示すように、前記センターカバー部31においてホルダ収容部31aに隣接してフィン部31dが設けられる側とは反対側(車両後方側、つまりワイパブレード13aの停止位置における払拭開始進行方向側)に膨出形成されたノズル収容部31fにはウォッシャノズル41aが配置されている。ウォッシャノズル41aは、前記プライマリレバー21のホルダ部21aに下方から装着される図6に示すような樹脂製の装着プレート18に一体に構成されている。
【0043】
ここで、装着プレート18のプレート本体部18aには、長手方向中央部においてホルダ部21aの開口部21cに対応した長方形状の開口部18bが形成されている。開口部18bの幅方向両端にはホルダ部21aの各側壁の外側面に沿ってそれぞれ上方に延びる装着片18cが形成され、各装着片18cの内側にはホルダ部21aの上端に掛け止められる係止突起18dがそれぞれ2つずつ形成されている。これにより、装着プレート18は、ホルダ部21aに対して着脱可能に装着される。
【0044】
開口部18bの長手方向両側には、ホルダ部21aの下側開口を閉塞する閉塞部18eが設けられている。各閉塞部18eの上面には、ホルダ部21aの内側に挿入される区画壁18fがそれぞれ立設されている。区画壁18fは、ホルダ部21aにおいて開口部21c側の内部空間と該開口部21cから長手方向外側(アーム部21b側)の内部空間とを区画している。つまり、閉塞部18eを設けることにより、開口部21cの長手方向両側においてホルダ部21aの下側開口から走行時の空気流が入り込むことが防止され、区画壁18fを設けることにより、開口部21c内に侵入してきた空気流が長手方向外側(アーム部21b側)に入り込むのが防止される。これにより、ホルダ部21aを中心としたプライマリレバー21部分の空気流がスムーズになり、走行時の風切り音が低減されるようになっている。
【0045】
プレート本体部18aの一側(フィン部31dが設けられる側とは反対側)には、蓋部18gが延出形成されている。蓋部18gは、プライマリレバー21とセンターカバー部31との間に形成される隙間を閉塞する。この蓋部18gにおいても、プライマリレバー21とセンターカバー部31との間の隙間内に空気流が入り込むことが防止され、走行時の風切り音が低減されるようになっている。
【0046】
蓋部18gの上面には、ウォッシャノズル41aが一体に構成される。即ち、センターカバー部31におけるノズル収容部31fの開口(隙間)が蓋部18gにて閉塞され、その内部にウォッシャノズル41aが収容される。このウォッシャノズル41aは、ホース接続部42、逆止弁部43及びノズル部44を備えてなる。
【0047】
蓋部18gの上面には、図7に示すように、略有底円筒状の逆止弁部43のケース部43aが一体に形成されており、該ケース部43aの底部には蓋部18gの上面にて長手方向に沿うようにノズル部44が一体に形成されている。ケース部43aの内部には断面円形状の収容凹部43bを有し、該収容凹部43b内には弁体45及びコイルスプリング46が収容される。
【0048】
弁体45は、樹脂にて略円柱状に形成された基部45aと、ゴムやエラストマー等の弾性部材にて略円盤状に形成されたシール部45bと有し、該シール部45bが基部45aの軸方向一端に装着されて構成されている。また、基部45aの軸方向他端には円環状のバネ装着溝45cが形成されており、該装着溝45cにはコイルスプリング46の一端が装着される。コイルスプリング46は、その弁体45とケース部43aの底部との間に介在される。尚、弁体45(基部45a及びシール部45b)は、その外径が収容凹部43bの内径よりも小さくなるように設定されている。つまり、収容凹部43bにはその内壁面に対して隙間を有するように弁体45が収容され、弁体45の周囲が洗浄液の流路とされている。
【0049】
ケース部43aの開口部には、該開口部を閉塞する蓋体48が装着される。蓋体48には、長手方向に突出する略円筒状の前記ホース接続部42を有している。ホース接続部42内には、洗浄液をケース部43aの収容凹部43b内に導入する導入通路42aが形成され、導入通路42aは蓋体48の内側面中央にて開口している。
【0050】
ここで、図3に示すように、助手席側供給用ウォッシャノズル41a側に延びるホース40の先端部は、ワイパアーム12aの先端近傍のセンターカバー部31に設けた挿入孔31eから該カバー部31内に挿入され、該カバー部31内でウォッシャノズル41aのホース接続部42に嵌着される。
【0051】
図7において、蓋体48内側面における導入通路42aの開口の周囲には、弁体45の外径より小さい直径の環状凸部48aが形成されている。環状凸部48aには、弁体45のシール部45bがコイルスプリング46の付勢力にて密着する。つまり、弁体45により導入通路42aが閉塞(閉弁)され、洗浄液の収容凹部43b内への浸入が阻止される。これに対し、ウォッシャポンプの作動によりホース40を通じて洗浄液が供給されると、その洗浄液の供給圧に基づいて弁体45がコイルスプリング46の付勢力に抗して退避し、導入通路42aが開放(開弁)される。これにより、収容凹部43b内に洗浄液が供給される。
【0052】
前記ノズル部44は、長手方向に延びる連通孔44aを有しており、該連通孔44aはケース部43a内の収容凹部43bと連通している。また、ノズル部44(蓋部18g)の下面には、洗浄液を噴射する第1の噴射孔51a、第2の噴射孔51b、第3の噴射孔51c及び第4の噴射孔51dの4つの噴射孔がウォッシャノズル41aの長手方向において所定間隔を有して形成されている。尚、各噴射孔51a〜51dは、ワイパブレード13aの長手方向(ウォッシャノズル41aの長手方向と同一方向)に沿う直線状に配置されている。また、各噴射孔51a〜51dは、ワイパブレード13aの長手方向先端側から基端側にかけて第1の噴射孔51a、第2の噴射孔51b、第3の噴射孔51c及び第4の噴射孔51dの順に並んでいる。
【0053】
第1の噴射孔51aはノズル部44の先端付近に設けられ、第2の噴射孔51bはノズル部44の長手方向略中央に設けられている。また、第3の噴射孔51cはノズル部44の長手方向中央からやや基端側寄りの位置に設けられている。これら第1〜第3の噴射孔51a〜51cはそれぞれ連通孔44aと連通されている。第1の噴射孔51aは、ノズル部44の下面に向かうに連れてワイパブレード13aの基端側に向かって延びている。また、第2及び第3の噴射孔51b,51cは、ノズル部44の下面に向かうに連れてワイパブレード13aの先端側に向かって延びている。尚、第2の噴射孔51bは、連通孔44aから一対の区画壁18fの一方(図6において奥側の区画壁18f)の内部を通ってワイパブレード13aの幅方向に延びており、連通孔44aから幅方向にずれた位置に形成されている。
【0054】
第4の噴射孔51dは、収容凹部43bの下部に設けられ該収容凹部43bと連通するとともに、蓋部18gの下面に向かうに連れてワイパブレード13aの基端側に向かって延びている。各噴射孔51a〜51dは、洗浄液を拡散噴射すべくノズル部44の下面に向かうにしたがって(孔の開口ほど)徐々にウォッシャノズル41aの長手方向に広がっている。
【0055】
次に、上記実施形態の作用について説明する。
払拭面Gaに洗浄液の必要が生じ、各ワイパ11a,11bが図1に示す停止位置(下反転位置Da,Db)で停止している状態で前記ウォッシャポンプが作動されると、ホース40を通じて各ウォッシャノズル41a,41bに洗浄液が供給される。そして、運転席側供給用ウォッシャノズル41bにおいては、その先端部41cの噴射孔から洗浄液W5,W6が噴射される。助手席側供給用ウォッシャノズル41aにおいては、該ノズル41a内の収容凹部43b及び連通孔44aに洗浄液が供給され、各噴射孔51a〜51dから洗浄液W1,W2,W3,W4が噴射される。各ワイパ11a,11bの停止位置からの払拭動作は、ウォッシャポンプの作動から所定時間遅れて開始されるようになっている。そして、各ワイパブレード13a,13bは、各ワイパアーム12a,12bの往復回動動作によって上反転位置Ua,Ubと下反転位置Da,Dbとの間を往復回動するようになっている。尚、各ワイパブレード13a,13bの払拭面Gaに対する払拭は、ブレードラバー15の長手方向全体が払拭面Gaに追従した状態で、ワイパブレード13a,13bの長手方向と直交する幅方向に移動することで行われる。また、各ワイパ11a,11bは、互いに同期して同じ方向に往復回動する。
【0056】
[助手席側供給用ウォッシャノズルの洗浄液の噴射態様]
図7に示すように、助手席側供給用ウォッシャノズル41aの第1の噴射孔51aはその形状に倣ってワイパブレード13aの基端部13c(ピボット軸P1に近い側の長手方向端部)側に向けて洗浄液W1を噴射する。また、第2及び第3の噴射孔51b,51cはその形状に倣ってワイパブレード13aの先端部13d側に向けて洗浄液W2,W3をそれぞれ噴射する。尚、本実施形態では、第2の噴射孔51bの噴射方向は、ワイパブレード13aが下反転位置Daから上反転位置Uaに移動する際の進行方向後方側に設定され、第3の噴射孔51cの噴射方向は、進行方向前方側に設定されている。
【0057】
これら第1〜第3の噴射孔51a〜51cから噴射された洗浄液W1〜W3が払拭面Gaにそれぞれ着水する着水エリア52A,52B,52Cを図9に示す。この着水エリア52A〜52Cは、助手席側のワイパブレード13aの払拭エリアである第1払拭エリアA1内に設定されている。つまり、第1〜第3の噴射孔51a〜51cからの洗浄液W1〜W3は第1払拭エリアA1に供給されるようになっている。尚、第1の噴射孔51aから噴射された洗浄液W1の中心軸線L1と、第2及び第3の噴射孔51b,51cから噴射された洗浄液W2,W3の中心軸線L2,L3とは、ワイパブレード13aの幅方向(短手方向)から見て交差するようになっている。
【0058】
第4の噴射孔51dはその形状に倣ってワイパブレード13aの基端部13c側に向けて洗浄液W4を噴射する。ここで、第4の噴射孔51dからの洗浄液W4は、ワイパブレード13aの基端部13cよりも長手方向外側に洗浄液W4が噴射されるようになっており、その洗浄液W4の着水エリア52Dは、運転席側のワイパブレード13bの払拭エリアである第2払拭エリアA2内に設定されている。これにより、助手席側供給用ウォッシャノズル41aから運転席側のワイパブレード13bの払拭エリアである第2払拭エリアA2にも洗浄液W4が供給されるようになっている。尚、第4の噴射孔51dから噴射された洗浄液W4は、ワイパブレード13bが下反転位置Dbにある状態において、ワイパブレード13bに対して鋭角に当たるように構成されている。これにより、洗浄液W4がワイパブレード13bに沿って長手方向に案内されて該長手方向に拡がってワイパブレード13bの基端側に洗浄液W4が供給されるようになっている。
【0059】
[運転席側供給用ウォッシャノズルの洗浄液の噴射態様]
運転席側供給用ウォッシャノズル41bは、前記ウォッシャポンプからの洗浄液の供給に基づき洗浄液W5,W6を噴射する。噴射された洗浄液W5,W6は、図8に示すように、各ワイパ11a,11bが停止位置(下反転位置Da,Db)にある状態において運転席側のワイパブレード13bの上方を通って払拭面Gaに供給される。また、噴射された洗浄液W5,W6の払拭面Gaに対する入射角θは、5度以上に設定されるのが望ましい。
【0060】
このウォッシャノズル41bから噴射された洗浄液W5,W6が払拭面Gaにそれぞれ着水する着水エリア52E,52Fを図9〜図11に示す。図9には、各ワイパブレード13a,13bによって払拭される各払拭エリアA1、A2が示されている。この図9に示すように、各払拭エリアA1,A2は、助手席側の第1払拭エリアA1の上反転位置Ua側において運転席側の第2払拭エリアA2の先端側エリアAH1と重複するオーバーラップ領域OA(助手席側のワイパブレード13aと運転席側のワイパブレード13bの両方によって払拭される領域)を有する。そして、このオーバーラップ領域OAが助手席側の第1払拭エリアA1の上反転位置Ua側に向かうに従って次第に幅広となる(増加する)ように各払拭エリアA1、A2が設定されている。
【0061】
また、図9は、各ワイパブレード13a,13bが下反転位置Da,Db(停止位置)から上反転位置Ua,Ub側に1/4程度移動した状態を示している。このとき、ウォッシャノズル41bから噴射された洗浄液W5,W6は、運転席側の第2払拭エリアA2のうち、運転席側のワイパブレード13bの長手方向中央よりも先端側部分で払拭されるエリアである先端側エリアAH1に供給される。また、このとき、洗浄液W5は、運転席側のワイパブレード13bの進行方向前方側(上反転位置Ub側)に供給される。また、このとき、洗浄液W5は、助手席側の第1払拭エリアA1にも同時に供給されるようになっている。
【0062】
ウォッシャノズル41bから噴射されるもう一方の洗浄液W6は、各ワイパブレード13a,13bが下反転位置Da,Dbにある状態では、運転席側のワイパブレード13bの進行方向前方側に供給されるが、図9に示すような各ワイパブレード13a,13bが1/4地点にある状態では、運転席側のワイパブレード13bの進行方向後方側(下反転位置Db側)に供給される。即ち、洗浄液W6の供給は、各ワイパブレード13a,13bの1/4地点付近で、運転席側のワイパブレード13bの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わるようになっている。
【0063】
各ワイパブレード13a,13bが図9に示す状態から更に上反転位置Ua,Ubに移動して、下反転位置Da,Dbから上反転位置Ua,Ub側に3/4以上移動した状態を図10に示す。このとき、ウォッシャノズル41bから噴射された洗浄液W5は、運転席側のワイパブレード13bの進行方向後方側(下反転位置Db側)に供給される。即ち、運転席側のワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubまで移動する間において、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5の供給が、ワイパブレード13bの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わるようになっている。
【0064】
このように、本実施形態では、ウォッシャノズル41bから噴射される各洗浄液W5,W6の供給が、運転席側のワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubまで移動する間において、ワイパブレード13bの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わるようになっている。これにより、図9及び図10に示すようなワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubまで移動するオープン動作時と、図11に示すようなクローズ動作時(上反転位置Ubから下反転位置Dbまでの移動時)のいずれの時にも、ワイパブレード13bの進行方向側に好適に洗浄液W5,W6を供給することが可能となっている。
【0065】
また、本実施形態では、上記したような洗浄液W5の進行方向前方側から後方側への供給の切り替えが、上反転位置Ub側に移動しているワイパブレード13bが1/2地点よりも上反転位置Ub側に位置する状態で行われるようになっている。このため、ワイパブレード13bが上反転位置Ub側に移動する状態で洗浄液W5の進行方向前方側から後方側への供給の切り替えがなされてから、そのワイパブレード13bが上反転位置Ubに到達するまでの時間を比較的短くすることが可能となっている。
【0066】
ここで、本実施形態とは異なり、洗浄液W5の進行方向前方側から後方側への供給の切り替えが、上反転位置Ubに移動しているワイパブレード13bが1/2地点よりも下反転位置Db側に位置する状態で行われる場合を考える。このような場合では、ワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubに移動するまでの早い段階で、洗浄液W5の進行方向前方側から後方側への供給の切り替えがなされるため、ワイパブレード13bの進行方向前方側の洗浄液不足が起こりがちである。また、ワイパブレード13bの進行方向後方側に供給された洗浄液W5が、上反転位置Ubで反転動作したワイパブレード13bによって払拭されるまでの時間が比較的長くなるため、ワイパブレード13bの進行方向後方側に供給された洗浄液W5の付着による運転席前方の運転視界への影響が比較的大きくなってしまう虞もある。
【0067】
その点、本実施形態のように、洗浄液W5の進行方向前方側から後方側への供給の切り替え位置を1/2地点よりも上反転位置Ub側に設定すれば、ワイパブレード13bの進行方向側の洗浄液不足を抑えることが可能となる。また、ワイパブレード13bの進行方向後方側に供給された洗浄液W5が、上反転位置Ubで反転動作したワイパブレード13bによって払拭されるまでの時間が短くなるため、ワイパブレード13bの進行方向後方側に残った洗浄液W5の運転席前方の運転視界への影響を少なく抑えることが可能となる。
【0068】
更に、図10に示すように、上反転位置Ub側に移動しているワイパブレード13bが3/4地点よりも上反転位置Ub側に位置する状態で、洗浄液W5の進行方向前方側から後方側への供給の切り替えがなされるようにすれば、ワイパブレード13bの進行方向側の洗浄液不足をより抑えることが可能となる。また、ワイパブレード13bの進行方向後方側に供給された洗浄液W5が、上反転位置Ubで反転動作したワイパブレード13bによって払拭されるまでの時間がより短くなり、その結果、ワイパブレード13bの進行方向後方側に残った洗浄液W5の運転席前方の運転視界への影響をより少なく抑えることが可能となっている。つまり、上反転位置Ub側に移動しているワイパブレード13bが3/4地点よりも上反転位置Ub側に位置する状態で、洗浄液W5の進行方向前方側から後方側への供給の切り替えがなされるようにする構成がより好ましい。
【0069】
また、図10に示すワイパブレード13bの位置では、ウォッシャノズル41bから噴射された洗浄液W5,W6は、運転席側の第2払拭エリアA2のうち、ワイパブレード13bの長手方向中央よりも基端側部分で払拭するエリアである基端側エリアAH2に供給される。即ち、運転席側のワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubまで移動する間に、ウォッシャノズル41bも助手席側のワイパ11a(ワイパアーム12a)と共に移動するため、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5,W6の供給が先端側エリアAH1への供給から基端側エリアAH2への供給に切り替わるようになっている。これにより、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5,W6が、ワイパブレード13bの移動中に第2払拭エリアA2の先端側エリアAH1と基端側エリアAH2の両方に供給されるため、ウォッシャノズル41bから第2払拭エリアA2の広範囲に亘って洗浄液を供給することが可能となっている。しかも、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5,W6の供給が、下反転位置Db近傍では先端側エリアAH1であったものが、上反転位置Ub近傍では基端側エリアAH2へとなるため、洗浄液W5,W6による運転者のアイポイントへの着水が各ワイパ11a,11bの払拭動作に伴って回避される。
【0070】
また、図11に示すように、ワイパブレード13bが上反転位置Ubにある状態では、洗浄液W5はワイパブレード13bの下反転位置Db側(進行方向側)の端面に当たって遮られている。これにより、ワイパブレード13bを越えて第2払拭エリアA2外に飛散する、所謂スプレーアウトを抑えることが可能となっている。
【0071】
尚、本実施形態では、助手席側供給用ウォッシャノズル41aから噴射された洗浄液W4は運転席側の第2払拭エリアA2に供給される。そして、その洗浄液W4の供給も、運転席側のワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubまで移動する間に、そのワイパブレード13bの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わるようになっている。しかも、下反転位置Db近傍では先端側エリアAH1への供給であったものが、上反転位置Ub近傍では基端側エリアAH2へ供給されるため、洗浄液W4による運転者のアイポイントへの着水がワイパの払拭動作に伴って回避される。さらに、その着水形状も助手席側のワイパ11a(ワイパブレード13a)が下反転位置Dbから上反転位置Ubまで移動するにしたがい車両(ウインドウ)幅方向への広がりから車両前後方向(ウインドウ縦方向)への広がりへと変化する。これによっても、運転者の運転視界の妨げを更に抑えることができる。
【0072】
こうして、助手席側供給用ウォッシャノズル41aから噴射された洗浄液W4についても、上記の運転席側供給用ウォッシャノズル41bと同様に、ワイパブレード13bのオープン動作時とクローズ動作時のいずれの時にも、ワイパブレード13bの進行方向側に好適に洗浄液W4を供給することが可能となっている。
【0073】
また、本実施形態では、各ワイパブレード13a,13bによって払拭される各払拭エリアA1、A2は、助手席側の第1払拭エリアA1がその上反転位置Ua側において運転席側の第2払拭エリアA2(先端側エリアAH1)と重複するオーバーラップ領域OAを有する。より詳しくは、助手席側の第1払拭エリアA1の上反転位置Uaは、その少なくとも一部(本実施形態では全部)がオーバーラップ領域OAに含まれている。このため、上反転位置Ua側に移動する助手席側のワイパブレード13aによって払拭されて掻き集められた雨滴や洗浄液W1、W3が該ワイパブレード13aの反転動作時にその上反転位置Uaに一時的に残された場合でも、その残された雨滴や洗浄液W1、W3は運転席側のワイパブレード13bの反転動作によって直ちに払拭され、迅速に運転者の運転視界が確保されるようになっている。
【0074】
以上のように、本実施形態の車両用ワイパ装置1では、助手席側ワイパ11aに設けられた2つのウォッシャノズル41a,41bから払拭面Gaの第1及び第2払拭エリアA1,A2に対して無駄の少ない好適な洗浄液W1〜W6の供給が可能となっている。
【0075】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)助手席側ワイパ11aに設けられたウォッシャノズル41bからの洗浄液W5,W6の供給が、運転席側のワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubに移動するまでの間に該ワイパブレード13bの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わる。つまり、下反転位置Dbから上反転位置Ubまでのオープン動作時とその反対のクローズ動作時のいずれの時にも、運転席側のワイパブレード13bの進行方向側に好適に洗浄液W5,W6を供給することが可能となる。従って、ウォッシャノズル41a,41bを助手席側ワイパ11aのみに設けることで運転席側ワイパ11bへのウォッシャノズルやホースの組付け作業工数を削減して製造を容易にしつつも、複雑な噴射制御の回路が不要な安価な構成で各ワイパ11a,11bの動作時の払拭面Gaに対して洗浄液W5,W6を効果的に供給することが可能となる。
【0076】
(2)運転席側のワイパブレード13bの下反転位置Dbから上反転位置Ubまでの間の1/2地点よりも上反転位置Ub側の位置で、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5の供給が上反転位置Ub側に移動するワイパブレード13bの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わる。このため、洗浄液W5の供給が、上反転位置Ub側に移動するワイパブレード13bの進行方向前方側から進行方向後方側に切り替わってからワイパブレード13bが上反転位置Ubに到達するまでの時間を比較的短くすることが可能となる。このため、ワイパブレード13bの進行方向側の洗浄液不足を抑えることが可能となる。また、ワイパブレード13bの進行方向後方側に供給された洗浄液W5が上反転位置Ubで反転動作したワイパブレード13bによって払拭されるまでの時間を短くすることができるため、ワイパブレード13bの進行方向後方側に残った洗浄液W5の運転席前方の運転視界への影響を少なく抑えることが可能となる。
【0077】
また、本実施形態では、運転席側のワイパブレード13bの下反転位置Dbから上反転位置Ubまでの間の3/4地点よりも上反転位置Ub側の位置で、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5の供給が、上反転位置Ub側に移動する運転席側のワイパブレード13bの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わる。このため、ワイパブレード13bの進行方向側の洗浄液不足をより一層抑えることが可能となり、また、ワイパブレード13bの進行方向後方側に残った洗浄液W5による運転席前方の運転視界の妨げをより少なく抑えることが可能となっている。
【0078】
(3)運転席側のワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubまで移動する間に、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5,W6の供給が先端側エリアAH1への供給から基端側エリアAH2への供給に切り替わる。これにより、助手席側ワイパ11aに設けられたウォッシャノズル41bからの洗浄液W5,W6が第2払拭エリアA2の先端側エリアAH1と基端側エリアAH2の両方に供給されるため、該ウォッシャノズル41bから運転席側の第2払拭エリアA2の広範囲に亘って洗浄液W5,W6を供給することが可能となる。
【0079】
さらに、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5,W6の供給が、下反転位置Db近傍では先端側エリアAH1への供給であったものが、上反転位置Ub近傍では基端側エリアAH2へとなるため、洗浄液W5,W6による運転者のアイポイントへの着水がワイパの払拭動作に伴って回避される。
【0080】
(4)運転席側供給用ウォッシャノズル41bは助手席側ワイパ11aのワイパアーム12aに設けられる。このため、運転席側のワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubに移動するまでの間に、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5の供給をワイパブレード13bの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に好適に切り替えることが可能となる。
【0081】
(5)運転席側供給用ウォッシャノズル41bは、助手席側の第1払拭エリアA1にも洗浄液W5を供給する。これにより、助手席側ワイパ11aに設けられたウォッシャノズル41bからの洗浄液W5が、運転席側の第2払拭エリアA2だけでなく助手席側の第1払拭エリアA1にも供給されるため、洗浄液W5をより効果的に供給することが可能となる。
【0082】
(6)助手席側ワイパ11aには、助手席側の第1払拭エリアA1に洗浄液W1〜W3を供給するための助手席側供給用ウォッシャノズル41aが運転席側供給用のウォッシャノズル41bとは別に設けられる。このため、払拭面Gaに対してより効果的に洗浄液を供給することが可能となる。
【0083】
(7)運転席側供給用ウォッシャノズル41bが助手席側のワイパアーム12aの側壁部20aに設けられるため、ウォッシャノズル41bが運転席前方の運転視界の妨げになることを防ぐことができる。また、寒冷地において、ウィンドウガラスGの下端部に体積し凍結した雪などに、払拭動作中に衝突して損傷することが防止される。
【0084】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ウォッシャノズル41bはYジョイント40aとは別体で構成されたが、ウォッシャノズル41bをジョイント一体型のノズルとしてもよい。
【0085】
・上記実施形態の助手席側供給用ウォッシャノズル41aの第1〜第4の噴射孔51a〜51dの個数、及び運転席側供給用ウォッシャノズル41bの噴射孔の個数は、構成に応じて適宜増減してもよい。
【0086】
・上記実施形態では、運転席側供給用ウォッシャノズル41bを2つの噴射孔を有する1つのノズルユニットとして構成したが、複数のノズルを接続して構成してもよい。
・上記実施形態では、運転席側供給用ウォッシャノズル41bを、洗浄液W5,W6を指向性のある噴射流として噴射可能なジェットノズルとしたが、これ以外に例えば、洗浄液を自励発振させ所定方向に拡散する拡散流として噴射可能な拡散ノズルとしてもよい。
【0087】
・上記実施形態では、運転席側供給用ウォッシャノズル41bは、助手席側の第1払拭エリアA1にも洗浄液W5を供給する構成としたが、これに特に限定されるものではなく、例えば、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5が第1払拭エリアA1に供給されない構成としてもよい。
【0088】
・上記実施形態では、洗浄液W5のワイパブレード13bの進行方向前方側から後方側への供給の切り替えポイントが、下反転位置Dbから上反転位置Ubまでの3/4地点よりも上反転位置Ub側に設定されたが、これに特に限定されるものではなく、その切り替えポイントは構成に応じて適宜変更してもよい。また、洗浄液W6のワイパブレード13bの進行方向前方側から後方側への供給の切り替えポイントも適宜変更してもよい。
【0089】
・上記実施形態では、運転席側のワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubまで移動する間に、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5,W6の供給が先端側エリアAH1への供給から基端側エリアAH2への供給に切り替わるように構成されたが、これに特に限定されるものではなく、例えば、洗浄液W5,W6のうちの洗浄液W5の供給のみを先端側エリアAH1から基端側エリアAH2に切り替わるようにし、洗浄液W6は常に基端側エリアに供給されるように構成してもよい。
【0090】
・上記実施形態では、運転席側供給用ウォッシャノズル41bを助手席側ワイパ11aのワイパアーム12aの側壁部20aに設けたが、これに特に限定されるものではなく、ウォッシャノズル41bの取付位置は構成に応じて適宜変更してもよい。例えば、ウォッシャノズル41bを助手席側のワイパアーム12aの上壁部20bに設けてもよい。このような構成によれば、ウォッシャノズル41bを払拭面Gaからより離れた位置に設けることができるため、ウォッシャノズル41bの払拭面Gaに対する洗浄液の供給態様の設定自由度を向上させることができる。また、これ以外に例えば、ウォッシャノズル41bを助手席側のワイパブレード13aに設けてもよい。
【0091】
・上記実施形態では、各ワイパ11a,11bが停止位置にある状態において、運転席側供給用ウォッシャノズル41bの先端部41cが、運転席側のワイパブレード13bの長手方向中央よりも先端部側で該ワイパブレード13bと払拭面Gaに対する垂直方向に重なるように構成されたが、これに特に限定されるものではない。例えば、ウォッシャノズル41bの突出量を上記実施形態よりも小さくして、ウォッシャノズル41bの先端部41cがワイパブレード13bと払拭面Gaに対する垂直方向に重ならないように構成してもよい。また、例えば、ウォッシャノズル41bの取付位置を上記実施形態の取付位置よりもワイパアーム12b先端側に設定して、ウォッシャノズル41bの先端部41cがワイパブレード13bと払拭面Gaに対する垂直方向に重ならないように構成してもよい。
【0092】
・上記実施形態では、運転席側供給用ウォッシャノズル41bとは別に助手席側ワイパ11aを設けたが、これに特に限定されるものではなく、例えば、助手席側ワイパ11aに設けられるウォッシャノズルをウォッシャノズル41bのみとしてもよい。このような構成によれば、車両用ワイパ装置1に設けられるウォッシャノズルの個数をより少なく構成することが可能となるため、製造をより容易にするとともに、部品点数も少なく抑えることが可能となる。尚、このような構成の場合、上記実施形態のウォッシャノズル41bに、運転席側のワイパブレード13bの先端部よりも長手方向外側に洗浄液を噴射する噴射孔を追加すれば、助手席側の第1払拭エリアA1へもより好適に洗浄液を供給することが可能となる。
【0093】
・上記実施形態では、助手席側供給用ウォッシャノズル41aは、逆止弁部43及び第1〜第4の噴射孔51a〜51dを有する1つのノズルユニットとして構成されたが、複数のノズルを接続して構成してもよい。
【0094】
例えば、第1払拭エリアA1に洗浄液を供給する助手席側噴射ノズルと、第2払拭エリアA2に洗浄液を供給する運転席側噴射ノズルとを個別に設けてもよい。
また、その助手席側の第1払拭エリアA1に噴射するノズルを、洗浄液を自励発振させ所定方向に拡散する拡散流として噴射可能な拡散ノズルとしてもよい。この構成によれば、例えば、拡散ノズルの拡散方向をワイパブレード13aの長手方向に沿った方向とすることで、ワイパブレード13aの長手方向に沿った広範囲により効果的に洗浄液を供給することが可能となる。
【0095】
また、運転席側の第2払拭エリアA2に噴射するノズルを、洗浄液を第2払拭エリアA2に向けて集中した指向性のある噴射流として噴射可能なジェットノズルとしてもよい。この構成によれば、例えば、ワイパブレード13aに設けたウォッシャノズルと第2払拭エリアA2とが遠く離れている場合においても、安定して第2払拭エリアA2に洗浄液を供給することが可能となる。また、上記実施形態のように、第2払拭エリアA2に向けて噴射された洗浄液W4が停止位置にあるワイパブレード13bの長手軸線に対して鋭角に入射するように噴射方向が設定される場合には、第2払拭エリアA2に向けて噴射するノズルをジェットノズルとすることで、洗浄液W4をワイパブレード13bに沿って案内して該ワイパブレードの長手方向により確実に拡がらせることが可能となる。
【0096】
・上記実施形態では、助手席側供給用ウォッシャノズル41aには逆止弁部43が設けられたが、逆止弁部43を省いた構成としてもよい。
・上記実施形態では、カバー部材16内に助手席側供給用ウォッシャノズル41aが設けられたが、これ以外に例えば、カバー部材16の外部に設けてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…車両用ワイパ装置、11a…助手席側ワイパ、11b…運転席側ワイパ、12a…助手席側のワイパアーム、12b…運転席側のワイパアーム、13a…助手席側のワイパブレード、13b…運転席側のワイパブレード、41a…助手席側供給用ウォッシャノズル、41b…運転席側供給用ウォッシャノズル、A1…第1払拭エリア、A2…第2払拭エリア、AH1…先端側エリア、AH2…基端側エリア、Ga…払拭面、Db…運転席側ワイパの下反転位置(第1反転位置)、Ub…運転席側ワイパの上反転位置(第2反転位置)、W1〜W6…洗浄液。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインドガラスの払拭面の払拭とともに、該払拭面へ洗浄液を供給する手段を備えた車両用ワイパ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ワイパ装置は、往復回動されるワイパアームと、そのワイパアームの先端部に連結され、ウインドガラスの払拭面を払拭するワイパブレードとを備える。この種の車両用ワイパ装置において、払拭面に洗浄液を噴射供給するウォッシャノズルをエンジンフード上またはエンジンフード後端下面に設けたものがある。しかしながら、このような構成では、高速走行時の場合、洗浄液の噴射奇跡や着水点が走行風の影響を受けやすく着水点が下方に移動してしまい、また、ウォッシャノズルからワイパアームやワイパブレード上方を超えて洗浄液が噴射供給されるため、ワイパアームに洗浄液が干渉して飛び散りが生じる等、適切な位置に洗浄液を供給することが困難になるといった問題があった。
【0003】
そこで、このような問題を解決するため、例えば特許文献1の車両用ワイパ装置では、ウォッシャノズルをワイパブレードに設けることで、払拭面に対してより至近距離から洗浄液を供給可能としている。これにより、ウォッシャノズルから噴射された洗浄液に対する走行風の影響を抑えることができ、その結果、洗浄液を払拭面により確実に供給させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−162328号公報
【特許文献2】実開昭50−104333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般に車両用ワイパ装置は、払拭面の運転席側のエリアと助手席側のエリアとをそれぞれ払拭すべくワイパ(ワイパアーム及びワイパブレード)が2つ設けられている。このため、複数のワイパブレードのそれぞれの払拭エリアに洗浄液を供給するために、各ワイパブレードにウォッシャノズルを設けている。しかしながら、このような構成では、各ワイパブレードにウォッシャノズルを取り付ける作業はもちろん、各ワイパアームにウォッシャノズルと連結するホースを配策固定する作業が増加してしまう。
【0006】
また、往復回動する各ワイパにウォッシャノズルが設けられるため、往動復動の何れか一方はワイパブレードの払拭に先立って洗浄液を供給して直ちに払拭することができるが、その半面、他方の動作では運転席側であっても払拭されずに比較的長時間拭き残しとなる。この問題を解決するために、例えば特許文献2のウインドウォッシャでは、制御回路により、ワイパの払拭位置と方向を検出して常に払拭方向前方に供給するように噴射制御していたため、装置が高価なものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、製造を容易にしつつも、安価な構成で洗浄液を効果的に供給することが可能な車両用ワイパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、往復回動されるワイパアーム及び該ワイパアームの先端部に連結されたワイパブレードをそれぞれ有する助手席側ワイパと運転席側ワイパを備え、前記助手席側ワイパの前記ワイパブレード及び前記運転席側ワイパの前記ワイパブレードにて払拭面の第1払拭エリア及び第2払拭エリアをそれぞれ払拭する車両用ワイパ装置において、前記助手席側ワイパには、前記第2払拭エリアに洗浄液を供給するためのウォッシャノズルが設けられ、前記ウォッシャノズルは、前記各ワイパの払拭動作状態において、運転席側の前記ワイパブレードが第1反転位置から第2反転位置に移動するまでの間に該ワイパブレードの進行方向前方側への前記洗浄液の供給が進行方向後方側への供給に切り替わるように前記洗浄液を噴射することを特徴とする。
【0009】
この発明では、助手席側ワイパに設けられたウォッシャノズルからの洗浄液の供給が、運転席側のワイパブレードが第1反転位置から第2反転位置に移動するまでの間に該ワイパブレードの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わる。つまり、第1反転位置から第2反転位置までの動作時とその反対の動作時のいずれの時にも、運転席側のワイパブレードの進行方向側に好適に洗浄液を供給することが可能となる。従って、本発明では、ウォッシャノズルを助手席側ワイパのみに設けることで運転席側ワイパへのウォッシャノズルやホースの組付け作業工数を削減して製造を容易にしつつも、複雑な噴射制御の回路が不要な安価な構成でワイパ動作時の払拭面に対して洗浄液を効果的に供給することが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用ワイパ装置において、運転席側の前記ワイパブレードの前記第1反転位置から前記第2反転位置までの間の1/2地点よりも前記第2反転位置側の位置で、前記ウォッシャノズルからの洗浄液の供給が、前記第2反転位置側に移動する運転席側の前記ワイパブレードの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わることを特徴とする。
【0011】
この発明では、運転席側のワイパブレードが第1反転位置から第2反転位置まで移動する間において、該ワイパブレードの進行方向前方側への洗浄液の供給が進行方向後方側への供給に切り替わってからワイパブレードが第2反転位置に到達するまでの時間を比較的短くすることが可能となる。このため、運転席側のワイパブレードの進行方向側の洗浄液不足を抑えることが可能となる。また、運転席側のワイパブレードの進行方向後方側に供給された洗浄液が第2反転位置で反転動作したワイパブレードによって払拭されるまでの時間を短くすることができるため、ワイパブレードの進行方向後方側に残った洗浄液の運転席前方の運転視界への影響を少なく抑えることが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用ワイパ装置において、前記第2払拭エリアのうち、運転席側の前記ワイパブレードの長手方向中央よりも先端側部分で払拭するエリアを先端側エリアとし、該ワイパブレードの長手方向中央よりも基端側部分で払拭するエリアを基端側エリアとして、運転席側の前記ワイパブレードが前記第1反転位置から前記第2反転位置まで移動する間に、前記ウォッシャノズルからの洗浄液の供給が前記先端側エリアへの供給から前記基端側エリアへの供給に切り替わることを特徴とする。
【0013】
この発明では、助手席側ワイパに設けられたウォッシャノズルからの洗浄液が第2払拭エリアの先端側エリアと基端側エリアの両方に供給されるため、該ウォッシャノズルから運転席側の第2払拭エリアの広範囲に亘って洗浄液を供給することが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ワイパ装置において、運転席側の前記ワイパブレードの前記第1反転位置から前記第2反転位置までの間の3/4地点よりも前記第2反転位置側の位置で、前記ウォッシャノズルからの洗浄液の供給が、前記第2反転位置側に移動する運転席側の前記ワイパブレードの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わることを特徴とする。
【0015】
この発明では、運転席側のワイパブレードが第1反転位置から第2反転位置まで移動する間において、該ワイパブレードの進行方向前方側への洗浄液の供給が進行方向後方側への供給に切り替わってからワイパブレードが第2反転位置に到達するまでの時間を極力短くすることが可能となる。このため、運転席側のワイパブレードが第1反転位置から第2反転位置まで移動する間の運転席側のワイパブレードの進行方向側の洗浄液不足を抑えることが可能となる。また、運転席側のワイパブレードの進行方向後方側に供給された洗浄液が、第2反転位置で反転動作したワイパブレードによって払拭されるまでの時間が短くなるため、ワイパブレードの進行方向後方側に残った洗浄液による運転席前方の運転視界の妨げを少なく抑えることが可能となる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ワイパ装置において、前記ウォッシャノズルは、前記助手席側ワイパの前記ワイパアームに設けられていることを特徴とする。
【0017】
この発明では、ウォッシャノズルが助手席側のワイパアームに設けられるため、運転席側のワイパブレードが第1反転位置から第2反転位置に移動するまでの間に、ウォッシャノズルからの洗浄液の供給をワイパブレードの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に好適に切り替えることが可能となる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用ワイパ装置において、前記ウォッシャノズルは、前記第1払拭エリアにも洗浄液を供給することを特徴とする。
【0019】
この発明では、助手席側ワイパに設けられたウォッシャノズルからの洗浄液が、運転席側の第2払拭エリアだけでなく助手席側の第1払拭エリアにも供給されるため、洗浄液をより効果的に供給することが可能となる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用ワイパ装置において、前記助手席側ワイパには、前記第1払拭エリアに洗浄液を供給するための助手席側供給用ウォッシャノズルが運転席側供給用の前記ウォッシャノズルとは別に設けられていることを特徴とする。
【0021】
この発明では、助手席側ワイパには、第2払拭エリアに洗浄液を供給するための運転席側供給用ウォッシャノズルだけでなく、助手席側の第1払拭エリアに洗浄液を供給するための助手席側供給用ウォッシャノズルが別個に設けられる。このため、払拭面に対してより効果的に洗浄液を供給することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
従って、上記記載の発明によれば、製造を容易にしつつも、安価な構成で洗浄液を効果的に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態の車両用ワイパ装置を示す模式図である。
【図2】助手席側ワイパを示す模式図である。
【図3】助手席側ワイパを示す斜視図である。
【図4】(a)はワイパブレードの平面図であり、(b)はワイパブレードの正面図であり、(c)はワイパブレードの背面図である。
【図5】ワイパブレードの分解斜視図である。
【図6】ウォッシャノズルを有する装着プレートの斜視図である。
【図7】ウォッシャノズルの断面斜視図である。
【図8】ワイパが停止位置にある状態での運転席側供給用ウォッシャノズルの噴射態様を模式的に示す断面図である。
【図9】車両用ワイパの洗浄液を用いた払拭態様を示す模式図である。
【図10】車両用ワイパの洗浄液を用いた払拭態様を示す模式図である。
【図11】車両用ワイパの洗浄液を用いた払拭態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の車両用ワイパ装置1は、車両のウインドガラスGの車室外側の面である払拭面Gaを払拭するためのものである。この車両用ワイパ装置1は、助手席側ワイパ11aと運転席側ワイパ11bの2つのワイパを有している。助手席側ワイパ11aは、自動車のウインドガラスGの払拭面Gaの助手席側のエリア(第1払拭エリアA1)を払拭するためのものであり、一方の運転席側ワイパ11bは、払拭面Gaの運転席側のエリア(第2払拭エリアA2)を払拭するためのものである。
【0025】
助手席側ワイパ11aはワイパアーム12aとワイパブレード13aとから、運転席側ワイパ11bはワイパアーム12bとワイパブレード13bとからそれぞれ構成されている。各ワイパ11a,11bのワイパアーム12a,12bは、基端部がワイパモータ(図示略)の駆動力にて所定角度で往復回動されるピボット軸P1,P2にそれぞれ固定されるとともに、ワイパアーム12a,12bの先端部にはそれぞれワイパブレード13a,13bが回動可能に連結される。
【0026】
各ピボット軸P1,P2は、ウインドガラスGの下部に配設されるカウルパネル(図示略)等に設けられた図示しないピボットホルダに回動自在に支持されている。助手席側ワイパ11aのピボット軸P1は、ウインドガラスGの幅方向中央よりもやや運転席側寄りの位置に設けられるとともに、運転席側ワイパ11bのピボット軸P2は、ウインドガラスGの幅方向運転席側の下端部付近に設けられている。また、各ワイパアーム12a,12bには、各ワイパブレード13a,13bを払拭面Gaに押圧するためのスプリング(図示略)が装着されている。そして、不図示のリンク機構等によりピボット軸P1,P2が同じ方向に同期連動して往復回動し、そのピボット軸P1,P2の往復回動に伴って各ワイパアーム12a,12bも互いに同じ方向に同期して往復回動運動を行うことにより、各ワイパブレード13a,13bが払拭面Gaの払拭動作を行うようになっている。
【0027】
本実施形態の車両用ワイパ装置1では、2つのワイパ11a,11bのうちの助手席側ワイパ11aのみに2つのウォッシャノズル41a,41bが設けられている。詳述すると、ワイパブレード13aに助手席側供給用ウォッシャノズル41aが設けられ、ワイパアーム12aに運転席側供給用ウォッシャノズル41bが設けられている。
【0028】
助手席側ワイパ11aのワイパアーム12aには、図2及び図3に示すように、ウォッシャノズル41aに洗浄液を供給するためのホース40が配策されている。運転席側ワイパ11bは、助手席側ワイパ11aから各ウォッシャノズル41a,41b及びホース40等のウォッシャノズル41a,41bに付帯する部品を除いた構成と略同様な構成である。従って、以下には助手席側ワイパ11aについての詳細な説明をし、運転席側ワイパ11bの詳細な説明は省略する。
【0029】
図2及び図8に示すように、ワイパアーム12aは金属板材からなり、回動方向(進行方向)に対向する一対の側壁部20aと、各側壁部20aの上端部(反払拭面側端部)を繋ぐ上壁部20bとから払拭面Ga側に開口する断面コ字状をなしている。このワイパアーム12aは、ピボット軸P1に固定される基端部から先端側へやや湾曲しながら延び、その先端部にはワイパブレード13aが回動可能に連結されている。
【0030】
ワイパアーム12aの長手方向中間部には、運転席側供給用ウォッシャノズル41bが設けられている。ウォッシャノズル41bは側壁部20aに固定されている。また、図1及び図8に示すように、ウォッシャノズル41bは、各ワイパ11a,11bが停止位置(下反転位置Da,Db)にある状態で、側壁部20aから進行方向側に突出している。そして、ウォッシャノズル41bの先端部41cは、運転席側ワイパ11bのワイパブレード13bの上方(反払拭面側)まで延び、ワイパブレード13bの長手方向中央よりも先端部側で該ワイパブレード13bと払拭面Gaに対する垂直方向に重なっている。
【0031】
このウォッシャノズル41bの先端部41cには、2つの噴射孔(図示略)が設けられており、その2つの噴射孔から洗浄液W5,W6をそれぞれ噴射可能に構成されている。尚、ウォッシャノズル41bには、洗浄液W5,W6を前記噴射孔から指向性のある噴射流として噴射可能なジェットノズルを用いている。また、ウォッシャノズル41aは、噴射する洗浄液W5,W6の噴射方向及び着水点までの距離が互いに異なるように設定されている。洗浄液W5は着水点までの距離が洗浄液W6に比べて遠く、その噴射方向は、ウォッシャノズル41bの突出方向から助手席側ワイパ11aのやや先端側寄りの方向に設定されている。一方、洗浄液W6は、着水点までの距離が洗浄液W5に比べて短く、ウォッシャノズル41bの突出方向から助手席側ワイパ11aのやや基端側寄りの方向に設定されている。
【0032】
図2にて示すように、ワイパアーム12aの内側には、車体側のウォッシャポンプ(図示略)から延びるホース40が配設されている。ホース40は、樹脂材料又はゴム、エラストマー等の弾性材料にて形成されている。ホース40の中間部分にはYジョイント40aが設けられており、車体側から送られてくる洗浄液がYジョイント40aによって運転席側供給用ウォッシャノズル41b側と助手席側供給用ウォッシャノズル41a側とに分流されてそれぞれのノズル41a,41bに供給されるようになっている。
【0033】
ワイパブレード13aは、図4(a)(b)(c)及び図5に示すように、レバーアッセンブリ14と、ブレードラバー15と、カバー部材16と、連結部材17と、装着プレート18とからなる。
【0034】
レバーアッセンブリ14は、3つのレバー、即ちプライマリレバー21と、そのプライマリレバー21の長手方向両端部にそれぞれ回動可能に連結される2つのセカンダリレバー22とによりトーナメント状(階層的)に構成されている。
【0035】
プライマリレバー21は、長手方向中央部にホルダ部21aと、該ホルダ部21aの両側から延びるアーム部21bとを有している。ホルダ部21aには、一対の平板状の側壁が平行をなし上部に長方形状の開口部21cが形成されるとともに、該開口部21cからワイパアーム12aの先端部が挿入される。また、ホルダ部21aには連結部材17が回動可能に装着され、該連結部材17にはワイパアーム12aの先端部が着脱可能に装着される。アーム部21bは、長手方向と直交する横断面視において山折り形状(払拭面Ga側が開口した断面略U字状)に形成されている。
【0036】
セカンダリレバー22は、プライマリレバー21のアーム部21bと同様、山折り形状(払拭面Ga側が開口した断面略U字状)に形成されている。セカンダリレバー22は、長手方向中央部がプライマリレバー21の両端部(各アーム部21bの先端)にそれぞれ回動可能に連結されている。各セカンダリレバー22の長手方向両端部には、ブレードラバー15を把持(保持)するための把持部22aがそれぞれ形成されている。把持部22aは、長手方向から見て払拭面Ga側が開口する略コ字状をなし、開口端においては互いに内側に延びて幅狭に形成されている。これら4つの把持部22aは、ゴム部材にて長尺に形成され払拭面Gaに接触して払拭するためのブレードラバー15を図4に示すように長手方向に所定間隔を有して把持する。
【0037】
因みに、ブレードラバー15には、把持部22aから受ける払拭面Ga側への押圧力を長手方向に分散すべく長尺に形成された一対のバッキング19が該ラバー15の長手方向に沿って装着されている。バッキング19は、長手方向に複数の異なる曲率で区分されて全体として湾曲状に形成されている。バッキング19の各区間における曲率は、該バッキング19が装着されたブレードラバー15が払拭面Gaの払拭範囲全体で良好に追従するように該払拭面Gaの曲面形状に対応させて設定されている。
【0038】
図3〜図5に示すように、レバーアッセンブリ14を覆うカバー部材16は、ブレードラバー15の両端部まで延びるように設けられる。また、カバー部材16は、それぞれ樹脂材料にて所定の剛性を有するように形成されるセンターカバー部31と、該センターカバー部31の両側に配置される2つのサイドカバー部32とから構成されている。
【0039】
センターカバー部31は、前記プライマリレバー21に装着され、該レバー21の略全体を覆う。センターカバー部31は、長手方向中央部にホルダ収容部31aと、該ホルダ収容部31aの両側から長手方向に延びるアーム収容部31bとを有している。また、センターカバー部31は、後述する装着プレート18に設けられたウォッシャノズル41aが収容されるノズル収容部31fを有している。ホルダ収容部31aは、プライマリレバー21のホルダ部21aを収容するとともに該ホルダ部21aに設けた開口部21cと対応した開口部31cを上部に有しており、該開口部31cからワイパアーム12aの先端部が挿入される。アーム収容部31bは、長手方向と直交する横断面視において山折り形状(払拭面Ga側が開口した断面略U字状)に形成されている。ノズル収容部31fは、ホルダ収容部31aに隣接して後述のフィン部31dと反対側(ワイパブレード13aの払拭開始進行方向側)に、その内部空間を幅方向に略流線形状で拡大するように膨出形成されている(図4(a)参照)。
【0040】
プライマリレバー21の両端部(アーム部21bの先端部)には、サイドカバー部32の基端が回動可能に装着される。この場合、サイドカバー部32の基端部内側には連結ピン32xが設けられるとともに、プライマリレバー21の両端部にはその連結ピン32xが嵌合する嵌合孔21xが設けられ、連結ピン32xと嵌合孔21xとの嵌合によりサイドカバー部32が回動可能となっている。サイドカバー部32は、センターカバー部31のアーム収容部31bと同様、山折り形状(払拭面Ga側が開口した断面略U字状)に形成され、基端部から先端部に向かうほど頂部の高さが次第に低く形成されている。サイドカバー部32は、プライマリレバー21の両端から突出するセカンダリレバー22を覆うとともに、該セカンダリレバー22よりも更に端部側においてはブレードラバー15の上部に配置される。サイドカバー部32の先端部には、ブレードラバー15の端部を把持(保持)すべく前記セカンダリレバー22の把持部22aと略同様な形状をなす把持部32aが形成されている。そして、サイドカバー部32は、各セカンダリレバー22の端部から長手方向に突出したブレードラバー15の撓みに追従するように、プライマリレバー21の両端部に装着される基端部(連結ピン32x)を中心に回動するようになっている。
【0041】
また、センターカバー部31のアーム収容部31b及び各サイドカバー部32における車両前方側の壁部には、車両走行時に生じる走行風を受けることによりブレードラバー15を払拭面Ga側に押圧する押圧力を生成するフィン部31d,32bがそれぞれ形成されている。また、フィン部31d,32bは、アーム収容部31b及びサイドカバー部32の長手方向全体に設けられている。
【0042】
また、図4(a)(c)に示すように、前記センターカバー部31においてホルダ収容部31aに隣接してフィン部31dが設けられる側とは反対側(車両後方側、つまりワイパブレード13aの停止位置における払拭開始進行方向側)に膨出形成されたノズル収容部31fにはウォッシャノズル41aが配置されている。ウォッシャノズル41aは、前記プライマリレバー21のホルダ部21aに下方から装着される図6に示すような樹脂製の装着プレート18に一体に構成されている。
【0043】
ここで、装着プレート18のプレート本体部18aには、長手方向中央部においてホルダ部21aの開口部21cに対応した長方形状の開口部18bが形成されている。開口部18bの幅方向両端にはホルダ部21aの各側壁の外側面に沿ってそれぞれ上方に延びる装着片18cが形成され、各装着片18cの内側にはホルダ部21aの上端に掛け止められる係止突起18dがそれぞれ2つずつ形成されている。これにより、装着プレート18は、ホルダ部21aに対して着脱可能に装着される。
【0044】
開口部18bの長手方向両側には、ホルダ部21aの下側開口を閉塞する閉塞部18eが設けられている。各閉塞部18eの上面には、ホルダ部21aの内側に挿入される区画壁18fがそれぞれ立設されている。区画壁18fは、ホルダ部21aにおいて開口部21c側の内部空間と該開口部21cから長手方向外側(アーム部21b側)の内部空間とを区画している。つまり、閉塞部18eを設けることにより、開口部21cの長手方向両側においてホルダ部21aの下側開口から走行時の空気流が入り込むことが防止され、区画壁18fを設けることにより、開口部21c内に侵入してきた空気流が長手方向外側(アーム部21b側)に入り込むのが防止される。これにより、ホルダ部21aを中心としたプライマリレバー21部分の空気流がスムーズになり、走行時の風切り音が低減されるようになっている。
【0045】
プレート本体部18aの一側(フィン部31dが設けられる側とは反対側)には、蓋部18gが延出形成されている。蓋部18gは、プライマリレバー21とセンターカバー部31との間に形成される隙間を閉塞する。この蓋部18gにおいても、プライマリレバー21とセンターカバー部31との間の隙間内に空気流が入り込むことが防止され、走行時の風切り音が低減されるようになっている。
【0046】
蓋部18gの上面には、ウォッシャノズル41aが一体に構成される。即ち、センターカバー部31におけるノズル収容部31fの開口(隙間)が蓋部18gにて閉塞され、その内部にウォッシャノズル41aが収容される。このウォッシャノズル41aは、ホース接続部42、逆止弁部43及びノズル部44を備えてなる。
【0047】
蓋部18gの上面には、図7に示すように、略有底円筒状の逆止弁部43のケース部43aが一体に形成されており、該ケース部43aの底部には蓋部18gの上面にて長手方向に沿うようにノズル部44が一体に形成されている。ケース部43aの内部には断面円形状の収容凹部43bを有し、該収容凹部43b内には弁体45及びコイルスプリング46が収容される。
【0048】
弁体45は、樹脂にて略円柱状に形成された基部45aと、ゴムやエラストマー等の弾性部材にて略円盤状に形成されたシール部45bと有し、該シール部45bが基部45aの軸方向一端に装着されて構成されている。また、基部45aの軸方向他端には円環状のバネ装着溝45cが形成されており、該装着溝45cにはコイルスプリング46の一端が装着される。コイルスプリング46は、その弁体45とケース部43aの底部との間に介在される。尚、弁体45(基部45a及びシール部45b)は、その外径が収容凹部43bの内径よりも小さくなるように設定されている。つまり、収容凹部43bにはその内壁面に対して隙間を有するように弁体45が収容され、弁体45の周囲が洗浄液の流路とされている。
【0049】
ケース部43aの開口部には、該開口部を閉塞する蓋体48が装着される。蓋体48には、長手方向に突出する略円筒状の前記ホース接続部42を有している。ホース接続部42内には、洗浄液をケース部43aの収容凹部43b内に導入する導入通路42aが形成され、導入通路42aは蓋体48の内側面中央にて開口している。
【0050】
ここで、図3に示すように、助手席側供給用ウォッシャノズル41a側に延びるホース40の先端部は、ワイパアーム12aの先端近傍のセンターカバー部31に設けた挿入孔31eから該カバー部31内に挿入され、該カバー部31内でウォッシャノズル41aのホース接続部42に嵌着される。
【0051】
図7において、蓋体48内側面における導入通路42aの開口の周囲には、弁体45の外径より小さい直径の環状凸部48aが形成されている。環状凸部48aには、弁体45のシール部45bがコイルスプリング46の付勢力にて密着する。つまり、弁体45により導入通路42aが閉塞(閉弁)され、洗浄液の収容凹部43b内への浸入が阻止される。これに対し、ウォッシャポンプの作動によりホース40を通じて洗浄液が供給されると、その洗浄液の供給圧に基づいて弁体45がコイルスプリング46の付勢力に抗して退避し、導入通路42aが開放(開弁)される。これにより、収容凹部43b内に洗浄液が供給される。
【0052】
前記ノズル部44は、長手方向に延びる連通孔44aを有しており、該連通孔44aはケース部43a内の収容凹部43bと連通している。また、ノズル部44(蓋部18g)の下面には、洗浄液を噴射する第1の噴射孔51a、第2の噴射孔51b、第3の噴射孔51c及び第4の噴射孔51dの4つの噴射孔がウォッシャノズル41aの長手方向において所定間隔を有して形成されている。尚、各噴射孔51a〜51dは、ワイパブレード13aの長手方向(ウォッシャノズル41aの長手方向と同一方向)に沿う直線状に配置されている。また、各噴射孔51a〜51dは、ワイパブレード13aの長手方向先端側から基端側にかけて第1の噴射孔51a、第2の噴射孔51b、第3の噴射孔51c及び第4の噴射孔51dの順に並んでいる。
【0053】
第1の噴射孔51aはノズル部44の先端付近に設けられ、第2の噴射孔51bはノズル部44の長手方向略中央に設けられている。また、第3の噴射孔51cはノズル部44の長手方向中央からやや基端側寄りの位置に設けられている。これら第1〜第3の噴射孔51a〜51cはそれぞれ連通孔44aと連通されている。第1の噴射孔51aは、ノズル部44の下面に向かうに連れてワイパブレード13aの基端側に向かって延びている。また、第2及び第3の噴射孔51b,51cは、ノズル部44の下面に向かうに連れてワイパブレード13aの先端側に向かって延びている。尚、第2の噴射孔51bは、連通孔44aから一対の区画壁18fの一方(図6において奥側の区画壁18f)の内部を通ってワイパブレード13aの幅方向に延びており、連通孔44aから幅方向にずれた位置に形成されている。
【0054】
第4の噴射孔51dは、収容凹部43bの下部に設けられ該収容凹部43bと連通するとともに、蓋部18gの下面に向かうに連れてワイパブレード13aの基端側に向かって延びている。各噴射孔51a〜51dは、洗浄液を拡散噴射すべくノズル部44の下面に向かうにしたがって(孔の開口ほど)徐々にウォッシャノズル41aの長手方向に広がっている。
【0055】
次に、上記実施形態の作用について説明する。
払拭面Gaに洗浄液の必要が生じ、各ワイパ11a,11bが図1に示す停止位置(下反転位置Da,Db)で停止している状態で前記ウォッシャポンプが作動されると、ホース40を通じて各ウォッシャノズル41a,41bに洗浄液が供給される。そして、運転席側供給用ウォッシャノズル41bにおいては、その先端部41cの噴射孔から洗浄液W5,W6が噴射される。助手席側供給用ウォッシャノズル41aにおいては、該ノズル41a内の収容凹部43b及び連通孔44aに洗浄液が供給され、各噴射孔51a〜51dから洗浄液W1,W2,W3,W4が噴射される。各ワイパ11a,11bの停止位置からの払拭動作は、ウォッシャポンプの作動から所定時間遅れて開始されるようになっている。そして、各ワイパブレード13a,13bは、各ワイパアーム12a,12bの往復回動動作によって上反転位置Ua,Ubと下反転位置Da,Dbとの間を往復回動するようになっている。尚、各ワイパブレード13a,13bの払拭面Gaに対する払拭は、ブレードラバー15の長手方向全体が払拭面Gaに追従した状態で、ワイパブレード13a,13bの長手方向と直交する幅方向に移動することで行われる。また、各ワイパ11a,11bは、互いに同期して同じ方向に往復回動する。
【0056】
[助手席側供給用ウォッシャノズルの洗浄液の噴射態様]
図7に示すように、助手席側供給用ウォッシャノズル41aの第1の噴射孔51aはその形状に倣ってワイパブレード13aの基端部13c(ピボット軸P1に近い側の長手方向端部)側に向けて洗浄液W1を噴射する。また、第2及び第3の噴射孔51b,51cはその形状に倣ってワイパブレード13aの先端部13d側に向けて洗浄液W2,W3をそれぞれ噴射する。尚、本実施形態では、第2の噴射孔51bの噴射方向は、ワイパブレード13aが下反転位置Daから上反転位置Uaに移動する際の進行方向後方側に設定され、第3の噴射孔51cの噴射方向は、進行方向前方側に設定されている。
【0057】
これら第1〜第3の噴射孔51a〜51cから噴射された洗浄液W1〜W3が払拭面Gaにそれぞれ着水する着水エリア52A,52B,52Cを図9に示す。この着水エリア52A〜52Cは、助手席側のワイパブレード13aの払拭エリアである第1払拭エリアA1内に設定されている。つまり、第1〜第3の噴射孔51a〜51cからの洗浄液W1〜W3は第1払拭エリアA1に供給されるようになっている。尚、第1の噴射孔51aから噴射された洗浄液W1の中心軸線L1と、第2及び第3の噴射孔51b,51cから噴射された洗浄液W2,W3の中心軸線L2,L3とは、ワイパブレード13aの幅方向(短手方向)から見て交差するようになっている。
【0058】
第4の噴射孔51dはその形状に倣ってワイパブレード13aの基端部13c側に向けて洗浄液W4を噴射する。ここで、第4の噴射孔51dからの洗浄液W4は、ワイパブレード13aの基端部13cよりも長手方向外側に洗浄液W4が噴射されるようになっており、その洗浄液W4の着水エリア52Dは、運転席側のワイパブレード13bの払拭エリアである第2払拭エリアA2内に設定されている。これにより、助手席側供給用ウォッシャノズル41aから運転席側のワイパブレード13bの払拭エリアである第2払拭エリアA2にも洗浄液W4が供給されるようになっている。尚、第4の噴射孔51dから噴射された洗浄液W4は、ワイパブレード13bが下反転位置Dbにある状態において、ワイパブレード13bに対して鋭角に当たるように構成されている。これにより、洗浄液W4がワイパブレード13bに沿って長手方向に案内されて該長手方向に拡がってワイパブレード13bの基端側に洗浄液W4が供給されるようになっている。
【0059】
[運転席側供給用ウォッシャノズルの洗浄液の噴射態様]
運転席側供給用ウォッシャノズル41bは、前記ウォッシャポンプからの洗浄液の供給に基づき洗浄液W5,W6を噴射する。噴射された洗浄液W5,W6は、図8に示すように、各ワイパ11a,11bが停止位置(下反転位置Da,Db)にある状態において運転席側のワイパブレード13bの上方を通って払拭面Gaに供給される。また、噴射された洗浄液W5,W6の払拭面Gaに対する入射角θは、5度以上に設定されるのが望ましい。
【0060】
このウォッシャノズル41bから噴射された洗浄液W5,W6が払拭面Gaにそれぞれ着水する着水エリア52E,52Fを図9〜図11に示す。図9には、各ワイパブレード13a,13bによって払拭される各払拭エリアA1、A2が示されている。この図9に示すように、各払拭エリアA1,A2は、助手席側の第1払拭エリアA1の上反転位置Ua側において運転席側の第2払拭エリアA2の先端側エリアAH1と重複するオーバーラップ領域OA(助手席側のワイパブレード13aと運転席側のワイパブレード13bの両方によって払拭される領域)を有する。そして、このオーバーラップ領域OAが助手席側の第1払拭エリアA1の上反転位置Ua側に向かうに従って次第に幅広となる(増加する)ように各払拭エリアA1、A2が設定されている。
【0061】
また、図9は、各ワイパブレード13a,13bが下反転位置Da,Db(停止位置)から上反転位置Ua,Ub側に1/4程度移動した状態を示している。このとき、ウォッシャノズル41bから噴射された洗浄液W5,W6は、運転席側の第2払拭エリアA2のうち、運転席側のワイパブレード13bの長手方向中央よりも先端側部分で払拭されるエリアである先端側エリアAH1に供給される。また、このとき、洗浄液W5は、運転席側のワイパブレード13bの進行方向前方側(上反転位置Ub側)に供給される。また、このとき、洗浄液W5は、助手席側の第1払拭エリアA1にも同時に供給されるようになっている。
【0062】
ウォッシャノズル41bから噴射されるもう一方の洗浄液W6は、各ワイパブレード13a,13bが下反転位置Da,Dbにある状態では、運転席側のワイパブレード13bの進行方向前方側に供給されるが、図9に示すような各ワイパブレード13a,13bが1/4地点にある状態では、運転席側のワイパブレード13bの進行方向後方側(下反転位置Db側)に供給される。即ち、洗浄液W6の供給は、各ワイパブレード13a,13bの1/4地点付近で、運転席側のワイパブレード13bの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わるようになっている。
【0063】
各ワイパブレード13a,13bが図9に示す状態から更に上反転位置Ua,Ubに移動して、下反転位置Da,Dbから上反転位置Ua,Ub側に3/4以上移動した状態を図10に示す。このとき、ウォッシャノズル41bから噴射された洗浄液W5は、運転席側のワイパブレード13bの進行方向後方側(下反転位置Db側)に供給される。即ち、運転席側のワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubまで移動する間において、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5の供給が、ワイパブレード13bの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わるようになっている。
【0064】
このように、本実施形態では、ウォッシャノズル41bから噴射される各洗浄液W5,W6の供給が、運転席側のワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubまで移動する間において、ワイパブレード13bの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わるようになっている。これにより、図9及び図10に示すようなワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubまで移動するオープン動作時と、図11に示すようなクローズ動作時(上反転位置Ubから下反転位置Dbまでの移動時)のいずれの時にも、ワイパブレード13bの進行方向側に好適に洗浄液W5,W6を供給することが可能となっている。
【0065】
また、本実施形態では、上記したような洗浄液W5の進行方向前方側から後方側への供給の切り替えが、上反転位置Ub側に移動しているワイパブレード13bが1/2地点よりも上反転位置Ub側に位置する状態で行われるようになっている。このため、ワイパブレード13bが上反転位置Ub側に移動する状態で洗浄液W5の進行方向前方側から後方側への供給の切り替えがなされてから、そのワイパブレード13bが上反転位置Ubに到達するまでの時間を比較的短くすることが可能となっている。
【0066】
ここで、本実施形態とは異なり、洗浄液W5の進行方向前方側から後方側への供給の切り替えが、上反転位置Ubに移動しているワイパブレード13bが1/2地点よりも下反転位置Db側に位置する状態で行われる場合を考える。このような場合では、ワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubに移動するまでの早い段階で、洗浄液W5の進行方向前方側から後方側への供給の切り替えがなされるため、ワイパブレード13bの進行方向前方側の洗浄液不足が起こりがちである。また、ワイパブレード13bの進行方向後方側に供給された洗浄液W5が、上反転位置Ubで反転動作したワイパブレード13bによって払拭されるまでの時間が比較的長くなるため、ワイパブレード13bの進行方向後方側に供給された洗浄液W5の付着による運転席前方の運転視界への影響が比較的大きくなってしまう虞もある。
【0067】
その点、本実施形態のように、洗浄液W5の進行方向前方側から後方側への供給の切り替え位置を1/2地点よりも上反転位置Ub側に設定すれば、ワイパブレード13bの進行方向側の洗浄液不足を抑えることが可能となる。また、ワイパブレード13bの進行方向後方側に供給された洗浄液W5が、上反転位置Ubで反転動作したワイパブレード13bによって払拭されるまでの時間が短くなるため、ワイパブレード13bの進行方向後方側に残った洗浄液W5の運転席前方の運転視界への影響を少なく抑えることが可能となる。
【0068】
更に、図10に示すように、上反転位置Ub側に移動しているワイパブレード13bが3/4地点よりも上反転位置Ub側に位置する状態で、洗浄液W5の進行方向前方側から後方側への供給の切り替えがなされるようにすれば、ワイパブレード13bの進行方向側の洗浄液不足をより抑えることが可能となる。また、ワイパブレード13bの進行方向後方側に供給された洗浄液W5が、上反転位置Ubで反転動作したワイパブレード13bによって払拭されるまでの時間がより短くなり、その結果、ワイパブレード13bの進行方向後方側に残った洗浄液W5の運転席前方の運転視界への影響をより少なく抑えることが可能となっている。つまり、上反転位置Ub側に移動しているワイパブレード13bが3/4地点よりも上反転位置Ub側に位置する状態で、洗浄液W5の進行方向前方側から後方側への供給の切り替えがなされるようにする構成がより好ましい。
【0069】
また、図10に示すワイパブレード13bの位置では、ウォッシャノズル41bから噴射された洗浄液W5,W6は、運転席側の第2払拭エリアA2のうち、ワイパブレード13bの長手方向中央よりも基端側部分で払拭するエリアである基端側エリアAH2に供給される。即ち、運転席側のワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubまで移動する間に、ウォッシャノズル41bも助手席側のワイパ11a(ワイパアーム12a)と共に移動するため、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5,W6の供給が先端側エリアAH1への供給から基端側エリアAH2への供給に切り替わるようになっている。これにより、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5,W6が、ワイパブレード13bの移動中に第2払拭エリアA2の先端側エリアAH1と基端側エリアAH2の両方に供給されるため、ウォッシャノズル41bから第2払拭エリアA2の広範囲に亘って洗浄液を供給することが可能となっている。しかも、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5,W6の供給が、下反転位置Db近傍では先端側エリアAH1であったものが、上反転位置Ub近傍では基端側エリアAH2へとなるため、洗浄液W5,W6による運転者のアイポイントへの着水が各ワイパ11a,11bの払拭動作に伴って回避される。
【0070】
また、図11に示すように、ワイパブレード13bが上反転位置Ubにある状態では、洗浄液W5はワイパブレード13bの下反転位置Db側(進行方向側)の端面に当たって遮られている。これにより、ワイパブレード13bを越えて第2払拭エリアA2外に飛散する、所謂スプレーアウトを抑えることが可能となっている。
【0071】
尚、本実施形態では、助手席側供給用ウォッシャノズル41aから噴射された洗浄液W4は運転席側の第2払拭エリアA2に供給される。そして、その洗浄液W4の供給も、運転席側のワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubまで移動する間に、そのワイパブレード13bの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わるようになっている。しかも、下反転位置Db近傍では先端側エリアAH1への供給であったものが、上反転位置Ub近傍では基端側エリアAH2へ供給されるため、洗浄液W4による運転者のアイポイントへの着水がワイパの払拭動作に伴って回避される。さらに、その着水形状も助手席側のワイパ11a(ワイパブレード13a)が下反転位置Dbから上反転位置Ubまで移動するにしたがい車両(ウインドウ)幅方向への広がりから車両前後方向(ウインドウ縦方向)への広がりへと変化する。これによっても、運転者の運転視界の妨げを更に抑えることができる。
【0072】
こうして、助手席側供給用ウォッシャノズル41aから噴射された洗浄液W4についても、上記の運転席側供給用ウォッシャノズル41bと同様に、ワイパブレード13bのオープン動作時とクローズ動作時のいずれの時にも、ワイパブレード13bの進行方向側に好適に洗浄液W4を供給することが可能となっている。
【0073】
また、本実施形態では、各ワイパブレード13a,13bによって払拭される各払拭エリアA1、A2は、助手席側の第1払拭エリアA1がその上反転位置Ua側において運転席側の第2払拭エリアA2(先端側エリアAH1)と重複するオーバーラップ領域OAを有する。より詳しくは、助手席側の第1払拭エリアA1の上反転位置Uaは、その少なくとも一部(本実施形態では全部)がオーバーラップ領域OAに含まれている。このため、上反転位置Ua側に移動する助手席側のワイパブレード13aによって払拭されて掻き集められた雨滴や洗浄液W1、W3が該ワイパブレード13aの反転動作時にその上反転位置Uaに一時的に残された場合でも、その残された雨滴や洗浄液W1、W3は運転席側のワイパブレード13bの反転動作によって直ちに払拭され、迅速に運転者の運転視界が確保されるようになっている。
【0074】
以上のように、本実施形態の車両用ワイパ装置1では、助手席側ワイパ11aに設けられた2つのウォッシャノズル41a,41bから払拭面Gaの第1及び第2払拭エリアA1,A2に対して無駄の少ない好適な洗浄液W1〜W6の供給が可能となっている。
【0075】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)助手席側ワイパ11aに設けられたウォッシャノズル41bからの洗浄液W5,W6の供給が、運転席側のワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubに移動するまでの間に該ワイパブレード13bの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わる。つまり、下反転位置Dbから上反転位置Ubまでのオープン動作時とその反対のクローズ動作時のいずれの時にも、運転席側のワイパブレード13bの進行方向側に好適に洗浄液W5,W6を供給することが可能となる。従って、ウォッシャノズル41a,41bを助手席側ワイパ11aのみに設けることで運転席側ワイパ11bへのウォッシャノズルやホースの組付け作業工数を削減して製造を容易にしつつも、複雑な噴射制御の回路が不要な安価な構成で各ワイパ11a,11bの動作時の払拭面Gaに対して洗浄液W5,W6を効果的に供給することが可能となる。
【0076】
(2)運転席側のワイパブレード13bの下反転位置Dbから上反転位置Ubまでの間の1/2地点よりも上反転位置Ub側の位置で、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5の供給が上反転位置Ub側に移動するワイパブレード13bの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わる。このため、洗浄液W5の供給が、上反転位置Ub側に移動するワイパブレード13bの進行方向前方側から進行方向後方側に切り替わってからワイパブレード13bが上反転位置Ubに到達するまでの時間を比較的短くすることが可能となる。このため、ワイパブレード13bの進行方向側の洗浄液不足を抑えることが可能となる。また、ワイパブレード13bの進行方向後方側に供給された洗浄液W5が上反転位置Ubで反転動作したワイパブレード13bによって払拭されるまでの時間を短くすることができるため、ワイパブレード13bの進行方向後方側に残った洗浄液W5の運転席前方の運転視界への影響を少なく抑えることが可能となる。
【0077】
また、本実施形態では、運転席側のワイパブレード13bの下反転位置Dbから上反転位置Ubまでの間の3/4地点よりも上反転位置Ub側の位置で、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5の供給が、上反転位置Ub側に移動する運転席側のワイパブレード13bの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わる。このため、ワイパブレード13bの進行方向側の洗浄液不足をより一層抑えることが可能となり、また、ワイパブレード13bの進行方向後方側に残った洗浄液W5による運転席前方の運転視界の妨げをより少なく抑えることが可能となっている。
【0078】
(3)運転席側のワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubまで移動する間に、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5,W6の供給が先端側エリアAH1への供給から基端側エリアAH2への供給に切り替わる。これにより、助手席側ワイパ11aに設けられたウォッシャノズル41bからの洗浄液W5,W6が第2払拭エリアA2の先端側エリアAH1と基端側エリアAH2の両方に供給されるため、該ウォッシャノズル41bから運転席側の第2払拭エリアA2の広範囲に亘って洗浄液W5,W6を供給することが可能となる。
【0079】
さらに、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5,W6の供給が、下反転位置Db近傍では先端側エリアAH1への供給であったものが、上反転位置Ub近傍では基端側エリアAH2へとなるため、洗浄液W5,W6による運転者のアイポイントへの着水がワイパの払拭動作に伴って回避される。
【0080】
(4)運転席側供給用ウォッシャノズル41bは助手席側ワイパ11aのワイパアーム12aに設けられる。このため、運転席側のワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubに移動するまでの間に、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5の供給をワイパブレード13bの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に好適に切り替えることが可能となる。
【0081】
(5)運転席側供給用ウォッシャノズル41bは、助手席側の第1払拭エリアA1にも洗浄液W5を供給する。これにより、助手席側ワイパ11aに設けられたウォッシャノズル41bからの洗浄液W5が、運転席側の第2払拭エリアA2だけでなく助手席側の第1払拭エリアA1にも供給されるため、洗浄液W5をより効果的に供給することが可能となる。
【0082】
(6)助手席側ワイパ11aには、助手席側の第1払拭エリアA1に洗浄液W1〜W3を供給するための助手席側供給用ウォッシャノズル41aが運転席側供給用のウォッシャノズル41bとは別に設けられる。このため、払拭面Gaに対してより効果的に洗浄液を供給することが可能となる。
【0083】
(7)運転席側供給用ウォッシャノズル41bが助手席側のワイパアーム12aの側壁部20aに設けられるため、ウォッシャノズル41bが運転席前方の運転視界の妨げになることを防ぐことができる。また、寒冷地において、ウィンドウガラスGの下端部に体積し凍結した雪などに、払拭動作中に衝突して損傷することが防止される。
【0084】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ウォッシャノズル41bはYジョイント40aとは別体で構成されたが、ウォッシャノズル41bをジョイント一体型のノズルとしてもよい。
【0085】
・上記実施形態の助手席側供給用ウォッシャノズル41aの第1〜第4の噴射孔51a〜51dの個数、及び運転席側供給用ウォッシャノズル41bの噴射孔の個数は、構成に応じて適宜増減してもよい。
【0086】
・上記実施形態では、運転席側供給用ウォッシャノズル41bを2つの噴射孔を有する1つのノズルユニットとして構成したが、複数のノズルを接続して構成してもよい。
・上記実施形態では、運転席側供給用ウォッシャノズル41bを、洗浄液W5,W6を指向性のある噴射流として噴射可能なジェットノズルとしたが、これ以外に例えば、洗浄液を自励発振させ所定方向に拡散する拡散流として噴射可能な拡散ノズルとしてもよい。
【0087】
・上記実施形態では、運転席側供給用ウォッシャノズル41bは、助手席側の第1払拭エリアA1にも洗浄液W5を供給する構成としたが、これに特に限定されるものではなく、例えば、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5が第1払拭エリアA1に供給されない構成としてもよい。
【0088】
・上記実施形態では、洗浄液W5のワイパブレード13bの進行方向前方側から後方側への供給の切り替えポイントが、下反転位置Dbから上反転位置Ubまでの3/4地点よりも上反転位置Ub側に設定されたが、これに特に限定されるものではなく、その切り替えポイントは構成に応じて適宜変更してもよい。また、洗浄液W6のワイパブレード13bの進行方向前方側から後方側への供給の切り替えポイントも適宜変更してもよい。
【0089】
・上記実施形態では、運転席側のワイパブレード13bが下反転位置Dbから上反転位置Ubまで移動する間に、ウォッシャノズル41bからの洗浄液W5,W6の供給が先端側エリアAH1への供給から基端側エリアAH2への供給に切り替わるように構成されたが、これに特に限定されるものではなく、例えば、洗浄液W5,W6のうちの洗浄液W5の供給のみを先端側エリアAH1から基端側エリアAH2に切り替わるようにし、洗浄液W6は常に基端側エリアに供給されるように構成してもよい。
【0090】
・上記実施形態では、運転席側供給用ウォッシャノズル41bを助手席側ワイパ11aのワイパアーム12aの側壁部20aに設けたが、これに特に限定されるものではなく、ウォッシャノズル41bの取付位置は構成に応じて適宜変更してもよい。例えば、ウォッシャノズル41bを助手席側のワイパアーム12aの上壁部20bに設けてもよい。このような構成によれば、ウォッシャノズル41bを払拭面Gaからより離れた位置に設けることができるため、ウォッシャノズル41bの払拭面Gaに対する洗浄液の供給態様の設定自由度を向上させることができる。また、これ以外に例えば、ウォッシャノズル41bを助手席側のワイパブレード13aに設けてもよい。
【0091】
・上記実施形態では、各ワイパ11a,11bが停止位置にある状態において、運転席側供給用ウォッシャノズル41bの先端部41cが、運転席側のワイパブレード13bの長手方向中央よりも先端部側で該ワイパブレード13bと払拭面Gaに対する垂直方向に重なるように構成されたが、これに特に限定されるものではない。例えば、ウォッシャノズル41bの突出量を上記実施形態よりも小さくして、ウォッシャノズル41bの先端部41cがワイパブレード13bと払拭面Gaに対する垂直方向に重ならないように構成してもよい。また、例えば、ウォッシャノズル41bの取付位置を上記実施形態の取付位置よりもワイパアーム12b先端側に設定して、ウォッシャノズル41bの先端部41cがワイパブレード13bと払拭面Gaに対する垂直方向に重ならないように構成してもよい。
【0092】
・上記実施形態では、運転席側供給用ウォッシャノズル41bとは別に助手席側ワイパ11aを設けたが、これに特に限定されるものではなく、例えば、助手席側ワイパ11aに設けられるウォッシャノズルをウォッシャノズル41bのみとしてもよい。このような構成によれば、車両用ワイパ装置1に設けられるウォッシャノズルの個数をより少なく構成することが可能となるため、製造をより容易にするとともに、部品点数も少なく抑えることが可能となる。尚、このような構成の場合、上記実施形態のウォッシャノズル41bに、運転席側のワイパブレード13bの先端部よりも長手方向外側に洗浄液を噴射する噴射孔を追加すれば、助手席側の第1払拭エリアA1へもより好適に洗浄液を供給することが可能となる。
【0093】
・上記実施形態では、助手席側供給用ウォッシャノズル41aは、逆止弁部43及び第1〜第4の噴射孔51a〜51dを有する1つのノズルユニットとして構成されたが、複数のノズルを接続して構成してもよい。
【0094】
例えば、第1払拭エリアA1に洗浄液を供給する助手席側噴射ノズルと、第2払拭エリアA2に洗浄液を供給する運転席側噴射ノズルとを個別に設けてもよい。
また、その助手席側の第1払拭エリアA1に噴射するノズルを、洗浄液を自励発振させ所定方向に拡散する拡散流として噴射可能な拡散ノズルとしてもよい。この構成によれば、例えば、拡散ノズルの拡散方向をワイパブレード13aの長手方向に沿った方向とすることで、ワイパブレード13aの長手方向に沿った広範囲により効果的に洗浄液を供給することが可能となる。
【0095】
また、運転席側の第2払拭エリアA2に噴射するノズルを、洗浄液を第2払拭エリアA2に向けて集中した指向性のある噴射流として噴射可能なジェットノズルとしてもよい。この構成によれば、例えば、ワイパブレード13aに設けたウォッシャノズルと第2払拭エリアA2とが遠く離れている場合においても、安定して第2払拭エリアA2に洗浄液を供給することが可能となる。また、上記実施形態のように、第2払拭エリアA2に向けて噴射された洗浄液W4が停止位置にあるワイパブレード13bの長手軸線に対して鋭角に入射するように噴射方向が設定される場合には、第2払拭エリアA2に向けて噴射するノズルをジェットノズルとすることで、洗浄液W4をワイパブレード13bに沿って案内して該ワイパブレードの長手方向により確実に拡がらせることが可能となる。
【0096】
・上記実施形態では、助手席側供給用ウォッシャノズル41aには逆止弁部43が設けられたが、逆止弁部43を省いた構成としてもよい。
・上記実施形態では、カバー部材16内に助手席側供給用ウォッシャノズル41aが設けられたが、これ以外に例えば、カバー部材16の外部に設けてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…車両用ワイパ装置、11a…助手席側ワイパ、11b…運転席側ワイパ、12a…助手席側のワイパアーム、12b…運転席側のワイパアーム、13a…助手席側のワイパブレード、13b…運転席側のワイパブレード、41a…助手席側供給用ウォッシャノズル、41b…運転席側供給用ウォッシャノズル、A1…第1払拭エリア、A2…第2払拭エリア、AH1…先端側エリア、AH2…基端側エリア、Ga…払拭面、Db…運転席側ワイパの下反転位置(第1反転位置)、Ub…運転席側ワイパの上反転位置(第2反転位置)、W1〜W6…洗浄液。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復回動されるワイパアーム及び該ワイパアームの先端部に連結されたワイパブレードをそれぞれ有する助手席側ワイパと運転席側ワイパを備え、
前記助手席側ワイパの前記ワイパブレード及び前記運転席側ワイパの前記ワイパブレードにて払拭面の第1払拭エリア及び第2払拭エリアをそれぞれ払拭する車両用ワイパ装置において、
前記助手席側ワイパには、前記第2払拭エリアに洗浄液を供給するためのウォッシャノズルが設けられ、
前記ウォッシャノズルは、前記各ワイパの払拭動作状態において、運転席側の前記ワイパブレードが第1反転位置から第2反転位置に移動するまでの間に該ワイパブレードの進行方向前方側への前記洗浄液の供給が進行方向後方側への供給に切り替わるように前記洗浄液を噴射することを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ワイパ装置において、
運転席側の前記ワイパブレードの前記第1反転位置から前記第2反転位置までの間の1/2地点よりも前記第2反転位置側の位置で、前記ウォッシャノズルからの洗浄液の供給が、前記第2反転位置側に移動する運転席側の前記ワイパブレードの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わることを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用ワイパ装置において、
前記第2払拭エリアのうち、運転席側の前記ワイパブレードの長手方向中央よりも先端側部分で払拭するエリアを先端側エリアとし、該ワイパブレードの長手方向中央よりも基端側部分で払拭するエリアを基端側エリアとして、
運転席側の前記ワイパブレードが前記第1反転位置から前記第2反転位置まで移動する間に、前記ウォッシャノズルからの洗浄液の供給が前記先端側エリアへの供給から前記基端側エリアへの供給に切り替わることを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ワイパ装置において、
運転席側の前記ワイパブレードの前記第1反転位置から前記第2反転位置までの間の3/4地点よりも前記第2反転位置側の位置で、前記ウォッシャノズルからの洗浄液の供給が、前記第2反転位置側に移動する運転席側の前記ワイパブレードの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わることを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ワイパ装置において、
前記ウォッシャノズルは、前記助手席側ワイパの前記ワイパアームに設けられていることを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用ワイパ装置において、
前記ウォッシャノズルは、前記第1払拭エリアにも洗浄液を供給することを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用ワイパ装置において、
前記助手席側ワイパには、前記第1払拭エリアに洗浄液を供給するための助手席側供給用ウォッシャノズルが運転席側供給用の前記ウォッシャノズルとは別に設けられていることを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項1】
往復回動されるワイパアーム及び該ワイパアームの先端部に連結されたワイパブレードをそれぞれ有する助手席側ワイパと運転席側ワイパを備え、
前記助手席側ワイパの前記ワイパブレード及び前記運転席側ワイパの前記ワイパブレードにて払拭面の第1払拭エリア及び第2払拭エリアをそれぞれ払拭する車両用ワイパ装置において、
前記助手席側ワイパには、前記第2払拭エリアに洗浄液を供給するためのウォッシャノズルが設けられ、
前記ウォッシャノズルは、前記各ワイパの払拭動作状態において、運転席側の前記ワイパブレードが第1反転位置から第2反転位置に移動するまでの間に該ワイパブレードの進行方向前方側への前記洗浄液の供給が進行方向後方側への供給に切り替わるように前記洗浄液を噴射することを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ワイパ装置において、
運転席側の前記ワイパブレードの前記第1反転位置から前記第2反転位置までの間の1/2地点よりも前記第2反転位置側の位置で、前記ウォッシャノズルからの洗浄液の供給が、前記第2反転位置側に移動する運転席側の前記ワイパブレードの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わることを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用ワイパ装置において、
前記第2払拭エリアのうち、運転席側の前記ワイパブレードの長手方向中央よりも先端側部分で払拭するエリアを先端側エリアとし、該ワイパブレードの長手方向中央よりも基端側部分で払拭するエリアを基端側エリアとして、
運転席側の前記ワイパブレードが前記第1反転位置から前記第2反転位置まで移動する間に、前記ウォッシャノズルからの洗浄液の供給が前記先端側エリアへの供給から前記基端側エリアへの供給に切り替わることを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ワイパ装置において、
運転席側の前記ワイパブレードの前記第1反転位置から前記第2反転位置までの間の3/4地点よりも前記第2反転位置側の位置で、前記ウォッシャノズルからの洗浄液の供給が、前記第2反転位置側に移動する運転席側の前記ワイパブレードの進行方向前方側への供給から進行方向後方側への供給に切り替わることを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ワイパ装置において、
前記ウォッシャノズルは、前記助手席側ワイパの前記ワイパアームに設けられていることを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用ワイパ装置において、
前記ウォッシャノズルは、前記第1払拭エリアにも洗浄液を供給することを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用ワイパ装置において、
前記助手席側ワイパには、前記第1払拭エリアに洗浄液を供給するための助手席側供給用ウォッシャノズルが運転席側供給用の前記ウォッシャノズルとは別に設けられていることを特徴とする車両用ワイパ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−224231(P2012−224231A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94085(P2011−94085)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】
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