説明

車両用充電装置

【課題】充電器からの放熱を効果的に排出する放熱経路を構築することにより、充電器の冷却能力向上を図ることができる車両用充電装置を提供する。
【解決手段】車両用充電装置20の充電器5は、エンジン2の外装ケースと熱移動可能に一体に構成されている。制御装置8は、エンジン2の温度または充電器5の温度が予め定めた冷却必要温度条件を満たすときは冷却装置を動作させてエンジン2を冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電力の蓄電池への充電を制御する充電器を冷却する機能を有する車両用充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチング素子等の電子部品を冷却する発明として、例えば特許文献1に示されるものが知られている。特許文献1に記載の装置では、電動圧縮機のハウジング本体の装着面にインバータ装置が装着されている。インバータ装置は、インバータカバー、駆動回路、冷却プレートから構成され、インバータカバーは、駆動回路及び冷却プレートを覆っている。冷却プレートは、その表面がハウジング本体の装着面に対向するように配置されている。駆動回路を構成するスイッチング素子は、冷却プレートに接触している。ハウジング本体の溝部と冷却プレートとの間には冷媒流路が形成されている。
【0003】
蒸発器側からの冷媒は、ハウジング内部に流入すると、冷媒流路の入口に達し、S字状の冷媒流路を流れる。そして、冷媒は、冷媒流路の出口からロータとステータコアとの隙間を経て圧縮機構側に流れ、圧縮機構で圧縮された後、吐出される。駆動回路のスイッチング素子は、熱を発生するものの、上記の冷媒流路を流れる冷媒によって、冷却プレートを通じて冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−222009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外部電力の蓄電池への充電を制御する充電器の場合、この充電器に搭載される複数のスイッチング素子等の電子部品は、その作動において相当の発熱を伴うため、効果的な冷却が必要となる。しかしながら、このような充電器に特許文献1に記載の冷却構造を適用した場合、複数のスイッチング素子の効率的な冷却として十分なものではない。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、充電器からの放熱を効果的に排出する放熱経路を構築することにより、充電器の冷却能力向上を図ることができる車両用充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。請求項1に記載の車両用充電装置に係る発明は、車両の走行のための駆動力を提供する走行用モータ(6)と、車両の走行のための駆動力を提供するエンジン(2)と、外部電力が充電され、走行用モータに供給するための電力を蓄える蓄電池(7)と、蓄電池への外部電力の充電を制御する充電器(5)と、エンジンを冷却する冷却装置(1,3,4,4a)と、冷却装置の作動を制御する制御装置(8)と、を備える。
【0008】
さらに充電器は、エンジンの外装ケースと熱移動可能に一体に構成されている。制御装置は、エンジンの温度または充電器の温度が予め定めた冷却必要温度条件を満たすときは冷却装置を動作させてエンジンを冷却することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、充電器を冷却する熱経路として、充電器からエンジン、さら冷却装置によるエンジンの冷却へとつながる放熱経路を構築することができる。このように充電器の熱をエンジンに移動させて冷却する構造を有することで、充電器の効率的な冷却が図れ、充電器の冷却能力を向上することができる。さらにエンジンは、充電器に比べて体格が大きいため放熱面積が大きく、また自身を冷却する装置を持っていることから、上記放熱経路によれば、充電器からエンジンへの大きな熱移動量を獲得することができる。したがって、充電器からの放熱を効果的に排出する放熱経路の構築によって、充電器の冷却能力向上が図れる車両用充電装置を提供できる。
【0010】
請求項2に記載の車両用充電装置に係る発明は、車両の走行のための駆動力を提供する走行用モータ(6)と、外部電力が充電され、走行用モータに供給するための電力を蓄える蓄電池(7)と、蓄電池への外部電力の充電を制御する充電器(5)と、走行用モータを冷却する冷却装置(1A,3,4,4a)と、冷却装置の作動を制御する制御装置(8)と、を備える。
【0011】
さらに充電器は、走行用モータの外装ケースと熱移動可能に一体に構成されている。制御装置は、走行用モータの温度または充電器の温度が予め定めた冷却必要温度条件を満たすときは冷却装置を動作させて走行用モータを冷却することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、充電器を冷却する熱経路として、充電器から走行用モータ、さら冷却装置による走行用モータの冷却へとつながる放熱経路を構築することができる。このように充電器の熱を走行用モータに移動させて冷却する構造を有することで、充電器の効率的な冷却が図れ、充電器の冷却能力を向上することができる。さらに走行用モータは、充電器に比べて体格が大きいため放熱面積が大きく、また自身を冷却する装置を持っている場合があることから、上記放熱経路によれば、充電器から走行用モータへの大きな熱移動量を獲得することができる。したがって、充電器からの放熱を効果的に排出する放熱経路の構築によって、充電器の冷却能力向上が図れる車両用充電装置を提供できる。
【0013】
請求項3の発明によると、請求項1または請求項2に記載の発明において、冷却装置は、冷却対象であるエンジンまたは走行用モータを冷却する冷却水が循環する冷却水回路(1,1A)と、冷却水を冷却水回路に強制的に循環させるウォーターポンプ(3)と、冷却水回路の一部に設けられ、冷却水と空気とを熱交換させるラジエータ(4)と、ラジエータに対して冷却水と熱交換する空気流を提供する送風機(4a)と、を有して構成されることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、充電器の冷却装置としてエンジンの冷却のために搭載されている装置を使用するため、充電器冷却のための専用の装置を搭載する必要がなく、冷却の制御を工夫することで充電器の冷却能力の向上を図ることができる。また、エンジン冷却の制御が行われるときに同時に充電器の冷却を行うこともできるので、充電器冷却のための冷却装置の駆動機会を減らすことも可能であり、車両におけるエネルギーの有効利用が図れる。
【0015】
請求項4の発明によると、請求項1または請求項2に記載の発明において、冷却装置は、冷却対象であるエンジンまたは走行用モータに対して空気流を提供する送風機(4a)で構成されることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、エンジンまたは走行用モータに対して空気流を提供することにより、冷却するため、冷却装置に要する部品点数を減らし、装置の搭載スペースの低減を図ることができる。また、エンジンの冷却のために搭載される装置に含まれる送風機を充電器の冷却装置として使用することが可能であるため、充電器冷却のための専用の装置を搭載する必要がなく、冷却の制御を工夫することで充電器の冷却能力の向上を図ることができる。
【0017】
請求項5の発明によると、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明において、少なくとも圧縮機(12)、凝縮器(13)、減圧器(16)及び蒸発器(17)が配管によって接続されて構成され、冷媒が循環する空調用冷媒サイクル(11A)を備え、
充電器と一体に構成される走行用モータまたはエンジンの外装ケースは、冷媒が減圧されて低圧になる当該空調用冷媒サイクルの低圧力部(110)と熱移動可能に一体に構成されており、
制御装置は、冷却必要温度条件を満たすときは、さらに空調用冷媒サイクルを動作させることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、冷却必要温度条件が成立するときには、冷却装置によるエンジンまたは走行用モータの冷却に加え、空調用冷媒サイクルの駆動による走行用モータまたはエンジンの冷却を実施する。これにより、充電器の熱を放熱する経路が多く確保でき、吸熱量も増大させることができるため、充電器の温度上昇を速やかに抑制することができる。
【0019】
請求項6の発明によると、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明において、少なくとも圧縮機(12)、凝縮器(13)、減圧器(16)及び蒸発器(17)が配管によって接続されて構成され、冷媒が循環する空調用冷媒サイクル(11A)を備え、
充電器と一体に構成される走行用モータまたはエンジンの外装ケースは、冷媒が減圧されて低圧になる当該空調用冷媒サイクルの低圧力部(110)と熱移動可能に一体に構成されており、
制御装置は、冷却必要温度条件を満たすときに冷却装置を動作させても、さらに走行用モータまたはエンジンの冷却が必要であると判断すると空調用冷媒サイクルを動作させることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、冷却装置によるエンジンまたは走行用モータの冷却だけでは、走行用モータまたはエンジンの冷却が不十分である場合、空調用冷媒サイクルの低圧冷媒によって、さらにエンジンまたは走行用モータを冷却して、充電器の熱を吸熱する。これにより、冷却装置による冷却と低圧冷媒による冷却との二段構えの冷却処理を実施できるので、充電器の冷却を確実に実現できるとともに、広範囲にわたる充電器の温度調節を実施することができる。
【0021】
請求項7の発明によると、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明において、少なくとも圧縮機(12)、凝縮器(13)、減圧器(16)及び蒸発器(17)が配管によって接続されて構成され、冷媒が循環する空調用冷媒サイクル(11A)を備え、
充電器は、冷媒が減圧されて低圧になる当該空調用冷媒サイクルの低圧力部(110)と熱移動可能に一体に構成されており、
制御装置は、冷却必要温度条件を満たすときは、さらに空調用冷媒サイクルを動作させることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、冷却必要温度条件が成立するときには、冷却装置によるエンジンまたは走行用モータの冷却に加え、空調用冷媒サイクルの駆動による充電器の直接的な冷却を実施する。このような充電器の直接的な冷却が加わることで、充電器の熱を放熱する経路が多く確保でき、吸熱量も増大させることができるため、充電器の温度上昇を速やかに抑制することができる。
【0023】
請求項8の発明によると、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明において、少なくとも圧縮機(12)、凝縮器(13)、減圧器(16)及び蒸発器(17)が配管によって接続されて構成され、冷媒が循環する空調用冷媒サイクル(11A)を備え、
充電器は、冷媒が減圧されて低圧になる当該空調用冷媒サイクルの低圧力部(110)と熱移動可能に一体に構成されており、
制御装置は、冷却必要温度条件を満たすときに冷却装置を動作させても、さらに充電器の冷却が必要であると判断すると空調用冷媒サイクルを動作させることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、冷却装置によるエンジンまたは走行用モータの冷却だけでは、走行用モータまたはエンジンの冷却が不十分である場合、空調用冷媒サイクルの低圧冷媒によって、さらに充電器を直接的に冷却して、充電器の熱を吸熱する。これにより、冷却装置による冷却と低圧冷媒による充電器の直接的冷却との二段構えの冷却処理を実施できるので、充電器の冷却を確実に実現できるとともに、広範囲にわたる充電器の温度調節を実施することができる。
【0025】
請求項9の発明によると、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明において、少なくとも電動圧縮機(12)、凝縮器(13)、減圧器(16)及び蒸発器(17)が配管によって接続されて構成され、冷媒が循環する空調用冷媒サイクル(11A)を備え、
電動圧縮機は、走行用モータまたはエンジンの外装ケースと熱移動可能に一体に構成され、
充電器(5A)は、さらに電動圧縮機の作動を制御するインバータ(50A)を内蔵して、電動圧縮機に一体に構成され、
充電器の充電動作と空調用冷媒サイクルの動作は同時でなく別々に行われ、
充電器の充電時には、充電器の温度またはこれに関連する温度に応じて制御される電力によって充電動作が行われることを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、電動圧縮機に一体に設けられた充電器の温度状態に基づいて、充電可能な電力を決定して充電を行うため、適正な充電が行われることと、充電器を冷却する能力の確保との両方を満たす装置を提供できる。
【0027】
請求項10の発明によると、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、冷却装置として、冷却必要温度条件を満たすときに、走行用モータまたはエンジンに対して空気流を提供する送風機(4a)を含み、
充電器(5B)は外部に向けて突出する放熱用フィン(61)を有し、当該放熱用フィンは、送風機が提供する空気流が当たる部位に設けられていることを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、充電器は、その外装ケースに熱移動可能に一体である放熱用フィンを備えることにより、放熱面積を拡大することができ、充電器筐体と周囲空気との間の熱抵抗を低減することができる。さらに、送風機の提供する空気流が放熱用フィンに当たるため、充電器筐体と周囲空気との熱伝達が促進され、当該熱抵抗の低減にさらに貢献することとなる。したがって、当該熱抵抗の低減が大きいことにより、充電器筐体と周囲空気との温度差が低減するため、充電器の温度低下について効果が期待できる。
【0029】
請求項11の発明によると、請求項2に記載の発明において、冷却装置は、冷却対象であるエンジンを冷却する冷却水が循環する冷却水回路(1)と、冷却水を冷却水回路に強制的に循環させるウォーターポンプ(3)と、冷却水回路の一部に設けられ、冷却水と空気とを熱交換させるラジエータ(4)と、ラジエータに対して冷却水と熱交換する空気流を提供する送風機(4a)と、を有して構成され、
充電器は、エンジン内部に形成されている冷却水の通路(2a)の外側部位において、エンジンの外装ケースと熱移動可能に一体に構成されることを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、エンジン内部の冷却水の通路を充電器に接近させる構成を採用する。これにより、充電器の外装ケースからエンジン内部の冷却水への熱移動の道筋が構築されるため、エンジンを介した充電器からの放熱経路のうち、充電器の外装ケース、エンジンの外装ケース、冷却水、ラジエータにおける周囲空気へと順に伝わる経路における熱抵抗を低減することができる。したがって、放熱経路が多様化するので、充電器の冷却効果を向上することができる。
【0031】
請求項12の発明によると、請求項1に記載の発明において、制御装置は、蓄電池へ外部電力を受電する充電要求があったときに、次に車両の走行を開始する走行予定時刻または充電終了予定時刻を用いて充電に要する充電実施時間を算出するとともに、充電器の温度またはこれに関連する温度を用いて充電器が所定温度に温度上昇するまでの温度上昇時間を算出し、当該充電実施時間が当該温度上昇時間よりも長い場合には、冷却装置を動作させて冷却することを特徴とする。
【0032】
車両において、例えば、エンジンを冷却し、充電を開始してまもなく充電を停止して走行を開始する場合に、換言すれば、次回の走行予定時刻まで時間が短い場合に、エンジンの暖機を不要する必要がある。この課題を解決するために、この発明によれば、充電器の温度が所定温度に達するまではエンジンの冷却制御を実施しないようにすることで、エンジンの不要な冷却を抑制することができる。したがって、車両のエネルギー消費を抑制することができる。
【0033】
請求項13の発明によると、請求項1に記載の発明において、制御装置は、エンジンの温度が冷却必要温度条件を満たすときは、燃料噴射、点火を行わずエンジンを空転させ、吸気バルブ及び排気バルブを閉じた状態でピストンを下げることによりシリンダー内を断熱膨張させることを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、エンジン自体の挙動を制御して、シリンダー内を断熱膨張状態にすることにより、シリンダー内の空気温度が低下し、エンジンの外装ケースの温度を低下させることができる。このため、充電器の外装ケースとエンジンの外装ケースの温度差を大きくすることができ、充電器の熱をエンジン側に多く移動させることができる。したがって、エンジンへの放熱量が増大するので、充電器の冷却効果を向上することができる。
【0035】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、一例に過ぎず、特許発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用充電装置を示した構成図である。
【図2】第1実施形態において、充電器の冷却制御を説明するフローチャートである。
【図3】本発明に係る充電器の冷却実施と各部の温度との関係を示したチャート図である。
【図4】充電器の冷却を実施しない場合の各部の温度を示したチャート図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る車両用充電装置を示した構成図である。
【図6】第2実施形態において、充電器の冷却制御を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第3実施形態において、充電器の冷却制御を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第4実施形態において、充電器の冷却制御を説明するフローチャートである。
【図9】図8のステップ8で使用する充電電力算出マップである。
【図10】本発明の第5実施形態に係る車両用充電装置を示した構成図である。
【図11】第5実施形態において、充電器の冷却制御を説明するフローチャートである。
【図12】本発明の第6実施形態に係る車両用充電装置を示した構成図である。
【図13】第6実施形態の車両用充電装置における充電器の構成を示す回路図である。
【図14】第6実施形態において、充電器の冷却制御を説明するフローチャートである。
【図15】図14のステップ8B2で使用する充電電力算出マップである。
【図16】本発明の第7実施形態に係る車両用充電装置を示した構成図である。
【図17】本発明の第8実施形態に係る車両用充電装置を示した構成図である。
【図18】本発明の第9実施形態において、充電器の冷却制御を説明するフローチャートである。
【図19】本発明の第10実施形態において、充電器の冷却制御を説明するフローチャートである。
【図20】本発明の第11実施形態において、充電器の冷却制御を説明するフローチャートである。
【図21】図20のステップ6C3で使用する充電電力算出マップである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0038】
(第1実施形態)
以下、本発明を適用した第1実施形態の車両用充電装置20について図1〜図4を参照して説明する。図1は、車両用充電装置20を示した構成図である。
【0039】
車両用充電装置20は、走行用駆動源としての走行用モータ6、外部電力等から充電し走行用モータ6等の電気部品に電力を供給する蓄電池7、及び充電器5を備え、プラグインハイブリッド自動車や電気自動車に搭載される充電装置である。車両用充電装置20は、図1に示すように、走行用駆動源または走行用電力発電源としてのエンジン2、走行用モータ6、蓄電池7、充電器5、エンジンを冷却する冷却装置、冷却装置の作動を制御する制御装置8、空調用冷媒サイクル11等を備えている。車両用充電装置20は、充電器5によって、蓄電池7の充放電制御、及び冷却装置の作動制御を行う。なお、エンジン2は、走行用駆動源として機能する場合は車両の駆動輪を回転させ、走行用電力発電源としての機能する場合は走行用モータが使用する電力を供給する。
【0040】
蓄電池7は、商用電源60によって供給される外部電力等を蓄えるとともに、蓄えた電力を走行用モータ6及び蓄電池7の他、各種電気部品に供給する蓄電装置である。蓄電池7は、例えば、エンジンルームを除く車室内に配置されている。蓄電池7は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池、有機ラジカル電池等で構成され、複数個の電池セルの集合体で構成されている。複数個の電池セルは、充電、放電、及び温度調節が制御されるようになっている。
【0041】
蓄電池7が電力を供給する電気部品の一つには、空調用冷媒サイクル11における電動圧縮機12を駆動するインバータ装置10がある。蓄電池7が各種電気部品に電力を供給するときには、例えば、蓄電池7の高電圧をコンバータ等により降圧して低電圧バッテリに供給し、低電圧バッテリの電力を、車両に搭載されるファン、ヘッドライト、ワイパー等の各種電気部品に供給するようにする。受電部21は、商用電源60からの電力を受ける受電手段であり、例えば、一端側に商用電源60のコンセントに接続可能なプラグや、商用電源60に接続可能なコネクタ等を備える電力線として形成されている。電力線の他端側は、充電器5に接続されている。
【0042】
充電器5は、走行用モータ6の作動と蓄電池7への充電とを制御する。ハイブリッド自動車の場合には、充電器5は、発進時、加速時等に走行用モータ6に電力を供給し、減速時には回生発電した電力を蓄電する。
【0043】
充電器5は、エンジン2の外装ケースと熱移動可能に一体に構成されている。両者が熱移動可能に一体に構成されるとは、例えば、エンジン2の外装ケースに別部品である充電器の外装ケース52が接触して固定されて一体となること、エンジン2の外装ケースと充電器の外装ケース52とが一つの部品で構成されて一体になること等であって、エンジン2の外装ケース及び充電器の外装ケース52の両方が伝熱性を有する素材(例えば、アルミニウム、銅、鉄等の金属材料)で形成されていることである。このため、充電器5とエンジン2との接触部の熱抵抗が低下するように構成されている。このような構成により、充電器5からの発熱は、充電器の外装ケース52とエンジン2の外装ケースを介して、エンジン2に伝達される。
【0044】
また、エンジン2の外装ケースと別部品である充電器の外装ケース52との間には、熱伝導グリス等の熱伝導性を高める部材を設けるようにしてもよい。
【0045】
冷却装置は、エンジン2を冷却する冷却水が循環する冷却水回路1と、冷却水を冷却水回路1に強制的に循環させるウォーターポンプ3と、冷却水回路1の一部に設けられ、冷却水と空気とを熱交換させるラジエータ4と、ラジエータ4に対して冷却水と熱交換する空気流を提供する送風機4aと、を有して構成される。制御装置8は、ウォーターポンプ3を動作させて冷却水回路1に冷却水を循環させ、さらに送風機4aを動作させてラジエータ4で冷却水と空気の熱交換を行う。これにより、エンジン2は、ラジエータ4で放熱する冷却水が内部(ウォータージャケット等)を流通することによって冷却される。
【0046】
また、制御装置8は、冷却水の循環を実施せず、送風機4aを動作させてエンジン2に直接風を当てることによって、エンジン2を冷却し、エンジン2に伝達している充電器5の熱を外部に放出するようにしてもよい。この場合、冷却装置は、冷却対象であるエンジン2に対して空気流を提供する送風機4aで構成されることになる。
【0047】
このように制御装置8は、エンジン2の温度または充電器5の温度が予め定めた冷却必要温度条件を満たすときは冷却装置を動作させてエンジン2を冷却する。このような冷却装置によれば、充電器5の熱は、充電器の外装ケース52、エンジン2の外装ケース、冷却水、ラジエータ4での熱交換による空気へと伝達する放熱経路を流れ、外部に放出される。また、送風機4aに提供される空気流れをエンジン2に直接当てる場合には、充電器5の熱は、充電器の外装ケース52、エンジン2の外装ケース、空気へと伝達する放熱経路を流れ、外部に放出される。
【0048】
制御装置8は、エンジン2、冷却装置、充電器5等の作動を制御する電子制御装置である。制御装置8は、例えば、各種ECUと通信可能に構成される車両制御ECUであってもよい。制御装置8は、充電器の冷却制御に関わる、予め設定され、または更新可能な制御プログラムやマップを有し、これらを記憶手段としてのROM、RAM等に記憶している。
【0049】
充電器5は、商用電源60からの交流電力を直流電力に変換して蓄電池7に充電する。充電器5は、例えば車両のイグニッションスイッチやスタートスイッチ等がオフにされて車両が走行機能を停止しているときに、乗員等の充電要求に基づき、制御装置8によって制御されて蓄電池7への充電を行う。走行用モータ6は、例えば車両のイグニッションスイッチやスタートスイッチ等がオンにされて車両が走行可能であるときに、インバータ装置62によって制御され、走行用モータ6への電力供給が行われ、駆動される。インバータ装置62の駆動は、制御装置8によって制御される。充電器5は、その外装ケース52内に収容されるスイッチング素子50と制御回路51とを備えており、エンジン2の外装ケースにおいて、送風機4aからの送風が直接当たる部位に設置されている。
【0050】
スイッチング素子50は、半導体素子の1種であるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)で構成されている。スイッチング素子50は、複数のスイッチ部を有しており、そのオン、オフが切り替わる作動によって、商用電源からの交流電力を直流電力に変換してバッテリに電力を供給する。スイッチング素子50は、電力ロスによって発熱するため、冷却を必要とする冷却必要部品であり、その発熱は、充電器の外装ケース52に伝達し、さらにエンジン2の外装ケースに熱移動する。制御回路51は、スイッチング素子50の切替え作動に関係する各種の電子部品を備え、制御装置8によってその作動が制御される。
【0051】
温度センサ30は、充電器の外装ケース52の温度を検出する温度検出手段であり、温度センサ30によって検出された温度信号は制御装置8に出力される。温度センサ31は、エンジン2の外装ケースの温度を検出する温度検出手段であり、温度センサ31によって検出された温度信号は制御装置8に出力される。エンジン2と充電器5の伝熱性は良好に保たれているため、温度センサ30,31のいずれかの検出温度を監視することで、充電器5が冷却必要な状態であるか否かを判断することができる。
【0052】
空調用冷媒サイクル11は、電動圧縮機12、凝縮器13、レシーバ15、電磁式膨張弁である減圧器16、蒸発器17等を備え、これらが環状に配管接続された車室内の空調用の冷凍サイクルである。制御装置9は、インバータ装置10の作動制御、送風機14及び送風機18の作動制御、減圧器16の作動制御により、冷凍サイクルによる空調制御を行う。
【0053】
電動圧縮機12は、蒸発器17から流出される気相冷媒を吸入口から吸入して、内部の圧縮機構12aで高温高圧に圧縮した後に、凝縮器13に向けて吐出する流体機械である。圧縮機構12aは、例えば、固定スクロールと旋回スクロールとを有するスクロール型の圧縮機構を採用する。スクロール型の圧縮機構では、旋回スクロールにモータ121の回転軸が接続され、モータ121の作動によって旋回スクロールが固定スクロールに対して旋回することで、2つのスクロール間に形成される空間(圧縮室)の拡大、収縮が繰り返されて、冷媒の吸入、圧縮、吐出が行われる。
【0054】
モータ121は、円筒状のハウジング120内に、回転軸に固定されたロータと、ロータの外周側に配設されてハウジング120の内周面に固定されたステータ122とを有している。モータ121では、ステータ122に通電されることで、ロータが回転軸とともに回転して旋回スクロールを駆動する。金属製のハウジング120には、金属製のインバータ装置の外装ケース102が固定されており、ハウジング120とインバータ装置の外装ケース102は、熱移動可能に一体に構成されている。この構成により、電動圧縮機12は、インバータ装置10と圧縮機本体とが一体であるインバータ装置一体型の圧縮機である。
【0055】
インバータ装置10は、その外装ケース102内に収容されるスイッチング素子100と制御回路101とを備えている。スイッチング素子100は、半導体素子の1種であるIGBT(Insulated Gate BipolarTransistor)で構成されている。スイッチング素子100は、複数(例えば6個)のスイッチ部を有しており、そのオン、オフが切り替わる作動によって、低電圧バッテリから印加される直流電力を3相の交流電力に変換してモータ121へ駆動電力として供給する。制御回路101は、スイッチング素子100の切替え作動に関係する各種の電子部品を備え、制御装置9によってその作動が制御される。
【0056】
凝縮器13は、例えば複数積層されて内部を冷媒が流通するチューブと、各チューブ間に介在される波形のフィンとを備える熱交換部において、電動圧縮機12から吐出される冷媒を冷却して液相冷媒にする熱交換器である。凝縮器13では、送風機14によって送風される冷却用空気により冷媒の冷却が促進される。送風機14は、低電圧バッテリから供給される電力によって駆動される。
【0057】
レシーバ15は、凝縮器13から流出される冷媒の気液を分離する気液分離装置である。レシーバ15は、例えば上下方向に細長の容器体から形成されており、凝縮器13から流出される冷媒が内部空間に流入されるようになっている。気液分離器125の内部空間では、密度の小さい気相冷媒が上方に溜まり、密度の大きな液相冷媒が下方に溜まることで、気液分離されるようになっている。
【0058】
減圧器16は、凝縮器13から流出される液相冷媒を低温低圧に減圧膨張させる減圧装置である。減圧器16は、電磁式の開閉弁であり、制御装置9によって弁の開度が調節される。空調用冷媒サイクル11の作動時において、減圧器16の弁開度が絞られることにより、電動圧縮機12から減圧器16に至る間の高圧側と、減圧器16から蒸発器17に至る間の低圧側との圧力差が大きくとられ、低圧側の冷媒は低温となる。逆に減圧器16の弁開度が大きくされることにより、高圧側と低圧側との圧力差が小さくなる。
【0059】
蒸発器17は、凝縮器13と同様に例えば複数積層されて内部を冷媒が流通するチューブと、各チューブ間に介在される波形のフィンとを備える熱交換部において、減圧器16から流出される液相冷媒と送風機18によって送風される空調用空気との間で熱交換する熱交換器である。蒸発器17においては、内部を流通する低温の液相冷媒によって空調用空気が冷却されるようになっている。送風機18は、モータが低電圧バッテリから供給される電力によって作動される。
【0060】
蒸発器17の冷媒の吐出側には、冷媒の圧力を検出する圧力センサ19aと、冷媒の温度を検出する温度センサ19bとが設けられている。各センサ19a、19bによって検出された圧力信号および温度信号は、制御装置9に出力される。
【0061】
制御装置9は、乗員等による空調要求に基づき、インバータ装置10の作動を制御することによってモータ121を作動させて電動圧縮機12を駆動する。また、制御装置9は、送風機18及び送風機14を作動させるとともに、蒸発器17出口側における圧力センサ19aからの圧力信号、及び温度センサ19bからの温度信号に応じて、減圧器16の弁開度を調節する。
【0062】
空調用冷媒サイクル11が作動されると、電動圧縮機12から吐出される冷媒は、凝縮器13で冷却され、減圧器16で低温低圧に減圧され、蒸発器17では、低温低圧の冷媒によって送風機18によって車室内へ送風される空調用空気が冷却される。このとき、空調用空気の温度が乗員の要求する要求温度となるように、電動圧縮機12の回転数、あるいは蒸発器17の出口側における冷媒圧力及び冷媒温度に基づく減圧器16の弁開度が制御される。そして、蒸発器17から流出される冷媒は、電動圧縮機12に吸入される。
【0063】
ここで、ハイブリッド自動車において2つのモータジェネレータを備える車両である場合に、駆動に関する概要を説明する。車両は、例えば、遊星歯車機構からなる動力分配機構を備えている。この動力分配機構によって第1モータジェネレータ、第2モータジェネレータ、及びエンジン2の動力が分割されるようになっている。ここで、第1モータジェネレータ、エンジン2、及び第2モータジェネレータは、それぞれ、動力分配機構のサンギア、キャリア、リングギアに機械的に連結されている。第2モータジェネレータには、車軸を介して駆動輪が機械的に連結されている。車軸は、エンジン及び第2モータジェネレータから出力された動力を駆動輪に伝達するための軸である。また、第1モータジェネレータ及び第2モータジェネレータのそれぞれには、第1インバータ、第2インバータが接続されている。
【0064】
上記構成において、車両の各部の作動状態について説明する。車両は蓄電池7が所定のSOC(state of charge)以下となるまでは蓄電池7からの電力供給で動作する第2モータジェネレータのみで走行する。車両はその後、発進時、ごく低速時、ゆるやかな下り坂走行時等、エンジン効率のよくない場合には、エンジン2を停止させたまま、蓄電池7からの電力供給で動作する第2モータジェネレータのみで走行する。通常走行時には、エンジン2の動力は2経路に分配し、一方は車軸を介して駆動輪を駆動し、もう一方は第1モータジェネレータを駆動して発電する。この発電した電力で第2モータジェネレータを駆動することにより、エンジン2の駆動力をアシストする。車両制御ECUは、最大効率が得られるようにエンジン2、第1モータジェネレータ、第2モータジェネレータを制御する。さらに加速時には、蓄電池7から電力が供給されて、さらに第2モータジェネレータによる駆動力が追加される。
【0065】
減速時、制動時には、駆動輪が第2モータジェネレータを発電機として作動させて回生発電を実施する。この回生した電力は、蓄電池7に蓄電される。停車時には、冷房時、エンジン暖機中、充電時を除き、エンジン2及び各モータジェネレータは停止している。蓄電池7への充電が必要な場合の走行時には、エンジン2の出力を増加し、第1モータジェネレータで発電した余剰電力を蓄電池7に充電する。
【0066】
次に、充電器の冷却制御について、図2〜図4を参照して説明する。図2は、充電器の冷却制御を説明するフローチャートである。図2に示すように、制御装置8は、ステップ1で、ユーザーからの指示に基づいて、充電要求があるか否かを判定する。充電要求がある場合には、ステップ2で充電器5の温度が予め定めた所定値以下であるか否かを判定する。
【0067】
充電器5の温度は、温度センサ30によって検出される充電器の外装ケース52の温度であり、所定値は、例えば90℃とする。充電器の外装ケース52の温度(以下、単に、「充電器温度」ともいう)が90℃であるときはIGBT(スイッチング素子50)の温度は90℃よりも高い温度、例えば110℃〜120℃程度と想定される。ここではIGBTの許容上限温度は125℃以下であるから、充電器温度が90℃以下であれば、充電運転を実施する上で、IGBTの発熱状態に問題はないと判断できる。
【0068】
そこで、ステップ2で充電器温度が90℃以下であると判定すると、ステップ3で充電運転を実施する。このとき制御装置8は、充電器5を充電装置として機能するように制御することで、商用電源60の交流電力を直流電力に変換して蓄電池7への充電を実施する。この充電器5の作動によって、IGBTが発熱していくことになる。一方、ステップ2で90℃を超えていると判定すると、IGBTの発熱状態に懸念があり、充電運転の前に冷却する必要が想定され、ステップ4で充電運転を停止する処理を実行する。
【0069】
次にステップ5では、充電器5の発熱が伝達しているエンジン2の外装ケースの温度(以下、単に、「エンジン温度」ともいう)が所定値以上であるか否かを判定する。エンジン2の温度は、温度センサ31によって検出されるエンジン2の外装ケースの温度であり、所定値は、例えば60℃とする。
【0070】
エンジン2の外装ケースの温度が60℃未満であるときは、充電器温度は例えば90℃未満であると想定され、これに伴いIGBTの温度も例えば120℃未満と想定される。ここでは、エンジン温度が60℃未満であれば、IGBTの発熱状態に問題はないと判断できる。一方、エンジン2の外装ケースの温度が60℃以上であるときは、充電器温度は例えば90℃以上であると想定され、これに伴いIGBTの温度も例えば125℃近く、あるいはそれ以上に達していると想定される。ここでは、エンジン温度が60℃以上であれば、IGBTは冷却が必要な状態であると判断できる。
【0071】
ステップ5でエンジン温度が60℃以上であると判定すると、エンジン2を冷却する必要があるため、ステップ6でウォーターポンプ3及び送風機4aを駆動してステップ1に進み、エンジン2を冷却する。これによって、充電器の外装ケース52を介してエンジン2の外装ケースに伝達したIGBTの熱は、エンジン2の冷却によって冷却水に移動し、ラジエータ4で外部の空気に放出される。また、ステップ5でエンジン温度が60℃未満であると判定すると、エンジン2を冷却する必要はないため、ステップ7でウォーターポンプ3及び送風機4aの運転を停止し、ステップ1に進む。また、ステップ6では、送風機4aのみを駆動してエンジン2や充電器5に直接風を当てることにより、冷却風によって冷却を実施してもよい。なお、送風機4aの運転により、エンジン2を設置している空間の空気を動かし、また、当該空間に外気を取り入れることも可能になるため、雰囲気温度を低下させる効果も奏する。
【0072】
ステップ1で、充電要求がないと判定すると、ステップ10で充電停止の処理を実行し、本フローチャートを終了する。このように充電器の冷却制御では、充電運転中、または充電運転開始前にエンジン温度が高い場合にエンジン2を冷却するのである。また、充電器の冷却制御では、ステップ1で、充電要求なしと判定するまで、充電器温度及びエンジン温度を監視し、冷却必要条件が成立するか否かによってエンジン2の冷却要否を判定し続け、IGBTの温度管理を行うのである。
【0073】
以上のIGBTの温度管理(充電器の冷却制御)により、IGBTの温度、充電器筐体の温度、エンジン温度は、図3に示すように推移する。図3は、走行直後に充電を開始したときの充電器の冷却実施と各部の温度との関係を示したチャート図である。このように、IGBTの温度、充電器筐体の温度、エンジン温度は、冷却の実施によって急激に温度低下し、冷却必要条件を満たさない状態になって冷却を停止すると、徐々に温度上昇するものの、しばらくは冷却必要条件を満たす状態まで上昇せず、安定するようになる。また、車両用充電装置20においては、図4に示す温度推移と比較して、充電器筐体温度と雰囲気温度との温度差が小さくなっていることがわかる。
【0074】
図4は、エンジン2と充電器5が熱移動可能に一体に構成されていない装置、すなわち、エンジン2と充電器5が熱的につながっていない装置における、温度推移を示している。つまり、充電器の冷却制御は、図4に示すような充電器の冷却を実施しない場合の各部の温度推移となることを回避して、充電器5が長く適正な機能を発揮し続けることに寄与している。
【0075】
本実施形態の車両用充電装置20がもたらす作用効果を以下に述べる。充電器5は、エンジン2の外装ケースと熱移動可能に一体に構成されている。制御装置8は、エンジン2の温度または充電器5の温度が予め定めた冷却必要温度条件を満たすときは冷却装置を動作させてエンジン2を冷却する制御を実施する(ステップ5、ステップ6)。
【0076】
これによれば、充電器5を冷却する熱経路として、充電器5からエンジン2、さら冷却装置によるエンジン2の冷却へとつながる放熱経路を構築することができる。このように充電器5の熱をエンジン2に移動させて冷却する構造を備えることで、充電器5の熱移動経路が増加するため、充電器5の効率的な冷却が図れ、充電器5の冷却能力を向上することができる。さらにエンジン2は、充電器5に比べて体格が大きいため放熱面積が大きく、また自身を冷却する冷却水回路1等の装置を持っていることから、上記放熱経路を構築することにより、充電器5からエンジン2への大きな熱移動量を獲得することができる。したがって、充電器5からの放熱を効果的に排出する放熱経路の構築によって、充電器5の冷却能力向上を図ることができる。
【0077】
また、上記の冷却装置は、エンジン2を冷却する冷却水が循環する冷却水回路1と、冷却水を冷却水回路1に強制的に循環させるウォーターポンプ3と、冷却水回路1の一部に設けられ、冷却水と空気とを熱交換させるラジエータ4と、ラジエータ4に対して冷却水と熱交換する空気流を提供する送風機4aと、を有して構成される。
【0078】
この構成によれば、エンジン2の冷却のために搭載されている装置を充電器5の冷却装置として使用するため、充電器冷却のための専用の装置を搭載する必要がなく、冷却の制御を工夫することにより充電器5の冷却能力の向上を図ることができる。また、エンジン冷却の制御が行われるときに同時に充電器5の冷却を行うこともできるので、充電器冷却のための冷却装置の駆動機会を減らすことも可能であり、車両においてエネルギーの有効利用が実施できる。
【0079】
また、上記の冷却装置は、エンジン2に対して空気流を提供する送風機4aで構成される。この構成によれば、エンジン2に対して空気流を提供することにより、冷却するため、充電器5の冷却装置として要する部品点数を減らし、当該冷却装置の搭載スペースの低減を図ることができる。また、エンジン2の冷却のために搭載される装置に含まれる送風機4aを冷却装置として使用することが可能であるため、充電器冷却のための専用の装置を搭載する必要がなく、冷却の制御を工夫することにより充電器5の冷却能力の向上を図ることができる。
【0080】
(第2実施形態)
第2実施形態は、車両用充電装置の構成及び充電器の冷却制御について、第1実施形態を変更する実施形態である。図5は、第2実施形態に係る車両用充電装置20Aを示した構成図である。図6は、第2実施形態において充電器の冷却制御を説明するフローチャートである。図5に示す車両用充電装置20Aは、充電器5と一体に構成される走行用モータ40を冷却対象とすることが異なっている。図6に示すフローチャートでは、図2に対してステップ2A及びステップ5Aが異なっている。以下、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
【0081】
図5に示すように、充電器5は、走行用モータ40の外装ケースと熱移動可能に一体に構成されている。両者が熱移動可能に一体に構成されるとは、例えば、走行用モータ40の外装ケースに別部品である充電器の外装ケース52が接触して固定されて一体となること、走行用モータ40の外装ケースと充電器の外装ケース52とが一つの部品で構成されて一体になること等であって、走行用モータ40の外装ケース及び充電器の外装ケース52の両方が伝熱性を有する素材(例えば、アルミニウム、銅、鉄等の金属材料)で形成されていることである。このため、充電器5と走行用モータ40との接触部の熱抵抗が低下するように構成されている。このような構成により、充電器5からの発熱は、充電器の外装ケース52と走行用モータ40の外装ケースを介して、走行用モータ40に伝達される。
【0082】
また、走行用モータ40の外装ケースと別部品である充電器の外装ケース52との間には、熱伝導グリス等の熱伝導性を高める部材を設けるようにしてもよい。
【0083】
冷却装置は、走行用モータ40を冷却する冷却水が循環する冷却水回路1Aと、冷却水を冷却水回路1Aに強制的に循環させるウォーターポンプ3と、冷却水回路1Aの一部に設けられ、冷却水と空気とを熱交換させるラジエータ4と、ラジエータ4に対して冷却水と熱交換する空気流を提供する送風機4aと、を有して構成される。制御装置8は、ウォーターポンプ3を動作させて冷却水回路1Aに冷却水を循環させ、さらに送風機4aを動作させてラジエータ4で冷却水と空気の熱交換を行う。これにより、走行用モータ40は、ラジエータ4で放熱する冷却水が走行用モータ40の内部を流通することによって冷却される。
【0084】
また、制御装置8は、冷却水の循環を実施せず、送風機4aを動作させて走行用モータ40に直接風を当てることによって、走行用モータ40を冷却し、走行用モータ40に伝達している充電器5の熱を外部に放出するようにしてもよい。この場合、冷却装置は、冷却対象である走行用モータ40に対して空気流を提供する送風機4aで構成されることになる。
【0085】
このように制御装置8は、走行用モータ40の温度または充電器5の温度が予め定めた冷却必要温度条件を満たすときは冷却装置を動作させて走行用モータ40を冷却する。このような冷却装置によれば、充電器5の熱は、充電器の外装ケース52、走行用モータ40の外装ケース、冷却水、ラジエータ4での熱交換による空気へと伝達する放熱経路を流れ、外部に放出される。また、送風機4aに提供される空気流れを走行用モータ40に直接当てる場合には、充電器5の熱は、充電器の外装ケース52、走行用モータ40の外装ケース、空気へと伝達する放熱経路を流れ、外部に放出される。
【0086】
次に、充電器の冷却制御について、図6を参照して説明する。なお、第1実施形態の図2に示すフローチャートに対して、異なる処理のみ説明する。
【0087】
ステップ1で充電要求があると判定した場合には、次にステップ2Aで、IGBT(スイッチング素子50)の温度が予め定めた所定値以下であるか否かを判定する。この所定値は、例えば125℃とする。ここではIGBTの許容温度は125℃以下であるから、充電運転を実施する上で、ステップ2AでYESと判定されれば、IGBTの発熱状態に問題はないと判断できる。
【0088】
そこで、ステップ2AでIGBTの温度が125℃以下であると判定すると、ステップ3で充電運転を実施する。一方、ステップ2Aで125℃を超えていると判定すると、IGBTの発熱状態に懸念があり、充電運転の前に冷却する必要が想定され、ステップ4で充電運転を停止する処理を実行する。
【0089】
次にステップ5Aでは、IGBTの発熱が伝達している充電器の外装ケース52の温度(以下、単に、「充電器筐体温度」ともいう)が所定値以上であるか否かを判定する。充電器筐体温度は、温度センサ30によって検出される充電器の外装ケース52の温度であり、所定値は、例えば90℃とする。
【0090】
充電器筐体温度が90℃未満であるときは、IGBTの温度は例えば125℃未満であると想定され、IGBTの発熱状態に問題はないと判断できる。一方、充電器筐体温度が90℃以上であるときは、IGBTの温度も例えば125℃近く、あるいはそれ以上に達していると想定される。ここでは、充電器筐体温度が90℃以上であれば、IGBTは冷却が必要な状態であると判断できる。
【0091】
ステップ5Aで充電器筐体温度が90℃以上であると判定すると、走行用モータ40を冷却する必要があるため、ステップ6でウォーターポンプ3及び送風機4aを駆動してステップ1に進み、走行用モータ40を冷却する。これによって、充電器の外装ケース52を介して走行用モータ40の外装ケースに伝達したIGBTの熱は、走行用モータ40の冷却によって冷却水に移動し、ラジエータ4で外部の空気に放出される。また、ステップ5Aで充電器筐体温度が90℃未満であると判定すると、走行用モータ40を冷却する必要はないため、ステップ7でウォーターポンプ3及び送風機4aの運転を停止し、ステップ1に進む。また、ステップ6では、送風機4aのみを駆動して走行用モータ40や充電器5に直接風を当てることにより、冷却風によって冷却を実施してもよい。
【0092】
なお、ステップ5Aで、充電器筐体温度を、走行用モータ40の外装ケースの温度と置き換えてもよい。この場合には、所定値は、例えば60℃とする。走行用モータ40の外装ケースの温度が60℃未満であるときは、充電器筐体温度は例えば90℃未満であると想定され、これに伴いIGBTの温度も例えば120℃未満と想定される。ここでは、走行用モータ40の外装ケースの温度が60℃未満であれば、IGBTの発熱状態に問題はないと判断できる。一方、走行用モータ40の外装ケースの温度が60℃以上であるときは、充電器筐体温度は例えば90℃以上であると想定され、これに伴いIGBTの温度も例えば125℃近く、あるいはそれ以上に達していると想定される。ここでは、走行用モータ40の外装ケースの温度が60℃以上であれば、IGBTは冷却が必要な状態であると判断できる。
【0093】
本実施形態の車両用充電装置20Aがもたらす作用効果を以下に述べる。車両用充電装置20Aにおいて、充電器5は、走行用モータ40の外装ケースと熱移動可能に一体に構成されている。制御装置8は、走行用モータ40の温度または充電器5の温度が予め定めた冷却必要温度条件を満たすときは冷却装置を動作させて走行用モータを冷却する。
【0094】
これによれば、充電器5を冷却する熱経路として、充電器5から走行用モータ40、さら冷却装置による走行用モータ40の冷却へとつながる放熱経路を構築することができる。このように充電器5の熱を走行用モータ40に移動させて冷却する構造を有することで、充電器5の熱移動経路が増加するため、充電器5の効率的な冷却が図れ、充電器5の冷却能力を向上することができる。さらに走行用モータ40は、充電器5に比べて体格が大きいため放熱面積が大きく、また自身を冷却する冷却水回路1A等の装置を持っていることから、上記放熱経路することにより、充電器5から走行用モータ40への熱移動量を大きく獲得することができる。したがって、充電器5からの放熱を効果的に排出する放熱経路の構築によって、充電器5の冷却能力向上を図ることができる。
【0095】
また、上記の冷却装置は、走行用モータ40を冷却する冷却水が循環する冷却水回路1Aと、冷却水を強制的に循環させるウォーターポンプ3と、冷却水回路1Aの一部に設けられ冷却水と空気とを熱交換させるラジエータ4と、ラジエータ4に対して冷却水と熱交換する空気流を提供する送風機4aと、を有して構成される。
【0096】
この構成によれば、エンジン2の冷却のために搭載されている装置を充電器5の冷却装置として使用するため、充電器冷却のための専用の装置を搭載する必要がなく、冷却の制御を工夫することで充電器5の冷却能力の向上を図ることができる。また、エンジン冷却の制御が行われるときに同時に充電器5の冷却を行うこともできるので、充電器冷却のための冷却装置の駆動機会を減らすことも可能であり、車両においてエネルギーの有効利用が実施できる。
【0097】
また、上記の冷却装置は、走行用モータ40に対して空気流を提供する送風機4aで構成される。この構成によれば、エンジン2に対して空気流を提供することにより、充電器5を冷却するため、充電器5の冷却装置に要する部品点数を減らし、当該装置の搭載スペースの低減を図ることができる。また、エンジンの冷却のために搭載される装置に含まれる送風機を充電器5の冷却装置として使用することが可能であるため、充電器冷却のための専用の装置を搭載する必要がなく、冷却の制御を工夫することで充電器5の冷却能力の向上を図ることができる。
【0098】
(第3実施形態)
第3実施形態は、上記第1実施形態に対して、充電器の冷却制御を変更した実施形態である。図7は、第3実施形態において充電器の冷却制御を説明するフローチャートである。図7に示すフローチャートでは、図2に対してステップ2A及びステップ5Bが異なっている。以下、本実施形態の充電器の冷却制御について、図7を参照して説明する。なお、第1実施形態の図2に示すフローチャートに対して、異なる処理のみ説明する。
【0099】
ステップ1で充電要求があると判定した場合には、次にステップ2Aで、IGBT(スイッチング素子50)の温度が予め定めた所定値以下であるか否かを判定する。この所定値は、例えば125℃とする。ここではIGBTの許容温度は125℃以下であるから、充電運転を実施する上で、ステップ2AでYESと判定されれば、IGBTの発熱状態に問題はないと判断できる。
【0100】
そこで、ステップ2AでIGBTの温度が125℃以下であると判定すると、ステップ3で充電運転を実施する。一方、ステップ2Aで125℃を超えていると判定すると、IGBTの発熱状態に懸念があり、充電運転の前に冷却する必要が想定され、ステップ4で充電運転を停止する処理を実行する。
【0101】
次にステップ5Bでは、IGBTの温度が所定値以上であるか否かを判定する。この所定値は、ステップ2Aの所定値よりも低温であり、例えば110℃とする。
【0102】
IGBTの温度が110℃未満であるときは、IGBTの発熱状態に問題はないと判断できる。一方、IGBTの温度が110℃以上であるときは、IGBTは冷却が必要な状態であると判断できる。
【0103】
ステップ5BでIGBTの温度が110℃以上であると判定すると、エンジン2や走行用モータ40を冷却する必要があるため、ステップ6でウォーターポンプ3及び送風機4aを駆動してステップ1に進み、エンジン2や走行用モータ40を冷却する。これによって、充電器の外装ケース52を介してエンジン2や走行用モータ40の外装ケースに伝達したIGBTの熱は、エンジン2や走行用モータ40の冷却によって冷却水に移動し、ラジエータ4で外部の空気に放出される。また、ステップ5BでIGBTの温度が110℃未満であると判定すると、エンジン2や走行用モータ40を冷却する必要はないため、ステップ7でウォーターポンプ3及び送風機4aの運転を停止し、ステップ1に進む。また、ステップ6では、送風機4aのみを駆動してエンジン2、走行用モータ40または充電器5に直接風を当てることにより、冷却風によって冷却を実施してもよい。
【0104】
(第4実施形態)
第4実施形態は、上記第1実施形態に対して、充電器の冷却制御を変更した実施形態である。図8は、第4実施形態において充電器の冷却制御を説明するフローチャートである。図9は、図8のステップ8で使用する充電電力算出マップである。図8に示すフローチャートでは、図2に対してステップ2A及びステップ8が異なっている。以下、本実施形態の充電器の冷却制御について、図8及び図9を参照して説明する。なお、第1実施形態の図2に示すフローチャートに対して、異なる処理のみ説明する。
【0105】
制御装置8は、充電器の冷却制御に関わる予め設定され、または更新可能な制御プログラムやマップを有し、これらを記憶手段としてのROM、RAM等に記憶している。記憶しているマップの中には、充電運転時の充電電力を算出するために用いられる充電電力算出マップが含まれている。
【0106】
ステップ1で充電要求があると判定した場合には、次にステップ2Aで、IGBT(スイッチング素子50)の温度が予め定めた所定値以下であるか否かを判定する。この所定値は、例えば125℃とする。ここではIGBTの許容温度は125℃以下であるから、充電運転を実施する上で、ステップ2AでYESと判定されれば、IGBTの発熱状態に問題はないと判断できる。
【0107】
そこで、ステップ2AでIGBTの温度が125℃以下であると判定すると、ステップ3で充電運転を実施する。一方、ステップ2Aで125℃を超えていると判定すると、IGBTの発熱状態に懸念があり、充電運転の前に冷却する必要が想定され、ステップ4で充電運転を停止する処理を実行する。
【0108】
ステップ5でエンジン温度が60℃以上であると判定して、ステップ6でウォーターポンプ3及び送風機4aを駆動した場合には、次にステップ8に進み、図9に示す充電電力算出マップにしたがって充電運転時の充電電力を算出する。また、ステップ5でエンジン温度が60℃未満であると判定して、ステップ7でウォーターポンプ3及び送風機4aの運転を停止した場合にも、ステップ8に進み、図9に示す充電電力算出マップにしたがって充電運転時の充電電力を算出する。
【0109】
ステップ8では、図9に示す充電電力算出マップにしたがって、温度センサ30によって検出される充電器筐体温度から充電運転時の充電電力を算出する。図9に示す充電電力算出マップは、一例であるが、充電器筐体温度が90℃以下のときは3.3kWの充電電力に算出され、90℃を超えるときは温度上昇に伴い線形的に低下させる値に充電電力を算出する。
【0110】
第4実施形態の充電器の冷却制御では、充電運転時の充電電力を充電器筐体温度、IGBT温度、エンジン温度等に応じて決定し、特にこれらの温度が高いと判断した場合には充電電力を低減するように決定する。このように充電電力を決定することにより、充電器5の温度が好ましくない温度に上昇しないように適切な温度制御を実施できるのである。
【0111】
(第5実施形態)
第5実施形態は、車両用充電装置の構成及び充電器の冷却制御について、第1実施形態を変更する実施形態である。図10は、第5実施形態に係る車両用充電装置20Bを示した構成図である。図11は、第5実施形態において、充電器の冷却制御を説明するフローチャートである。図10に示す車両用充電装置20Bは、空調用冷媒サイクル11Aと充電器5に関わる構成が異なっている。図11に示すフローチャートでは、図2に対してステップ8A及びステップ8A1が異なっている。以下、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
【0112】
図10に示すように、充電器5は、冷媒が減圧されて低圧になる空調用冷媒サイクルの低圧力部110と熱移動可能に一体に構成されている。空調用冷媒サイクルの低圧力部110とは、冷媒が減圧器16で減圧されてから電動圧縮機12に吸入されるまでの間に係る通路のことである。すなわち、当該通路は、冷媒が流れる配管や筐体であり、空調用冷媒サイクル11において、減圧器16の出口から電動圧縮機12の吸入口に至る領域の通路である。
【0113】
充電器5と空調用冷媒サイクルの低圧力部110とが熱移動可能に一体に構成されるとは、例えば、充電器の外装ケース52に別部品である空調用冷媒サイクルの低圧力部110をなす配管や筐体が接触して固定されて一体となること、当該配管や筐体と充電器の外装ケース52とが一つの部品で構成されて一体になること等であって、当該配管や筐体及び充電器の外装ケース52の両方が伝熱性を有する素材(例えば、アルミニウム、銅、鉄等の金属材料)で形成されていることである。このため、充電器の外装ケース52と空調用冷媒サイクルの低圧力部110との接触部の熱抵抗が低下するように構成されている。
【0114】
このような構成によれば、充電器5からの発熱は、充電器の外装ケース52と空調用冷媒サイクルの低圧力部110の配管等を介して、低圧冷媒(例えば、0℃程度の冷媒)によって吸熱される。また、制御装置8は、充電器5の温度が予め定めた冷却必要温度条件を満たすときは冷却装置を動作させること、空調用冷媒サイクル11Aを動作させて低圧冷媒等によって、充電器5を冷却する。
【0115】
車両用充電装置20Bによれば、充電器5の熱は、充電器の外装ケース52、エンジン2の外装ケース、冷却水、ラジエータ4での熱交換による空気へと伝達する放熱経路を流れ、外部に放出される。さらに空調用冷媒サイクル11Aが動作すると、充電器5の熱は、充電器の外装ケース52、空調用冷媒サイクルの低圧力部110の配管等、冷媒へと伝達する放熱経路を流れて放出される。
【0116】
また、充電器の外装ケース52と空調用冷媒サイクルの低圧力部110をなす別部品の配管等との間には、熱伝導グリス等の熱伝導性を高める部材を設けるようにしてもよい。
【0117】
次に、充電器の冷却制御について、図11を参照して説明する。なお、第1実施形態の図2に示すフローチャートに対して、異なる処理のみ説明する。
【0118】
ステップ5で、エンジン温度が60℃(所定値の一例)以上であると判定すると、エンジン2を冷却する必要があるため、ステップ6でウォーターポンプ3及び送風機4aを駆動してエンジン2を冷却し、ステップ8Aに進む。また、ステップ5でエンジン温度が60℃未満であると判定すると、ステップ8Aに進む。
【0119】
ステップ8Aでは、充電器の外装ケース52の温度(以下、単に、「充電器筐体温度」ともいう)が所定値以上であるか否かを判定する。充電器筐体温度は、温度センサ30によって検出される充電器の外装ケース52の温度であり、所定値は、例えば90℃とする。
【0120】
充電器筐体温度が90℃未満であるときは、IGBTの温度は例えば125℃未満であると想定され、IGBTの発熱状態に問題はないと判断できる。一方、充電器筐体温度が90℃以上であるときは、IGBTの温度も例えば125℃近く、あるいはそれ以上に達していると想定される。ここでは、充電器筐体温度が90℃以上であれば、IGBTは冷却が必要な状態であると判断できる。
【0121】
ステップ8Aで充電器筐体温度が90℃以上であると判定すると、さらに充電器5を冷却する必要があるため、制御装置8は、さらにステップ8A1で空調用冷媒サイクル11Aを駆動して、低圧冷媒によって充電器5を冷却し、ステップ1に進む。これによって、充電器の外装ケース52に伝達したIGBTの熱は、充電器の外装ケース52の冷却によって冷媒に移動し、外部に放出される。ステップ8Aで充電器筐体温度が90℃未満であると判定すると、空調用冷媒サイクル11Aを駆動することなく、ステップ1に進む。
【0122】
本実施形態の車両用充電装置20Bがもたらす作用効果を以下に述べる。車両用充電装置20Bにおいて、充電器の外装ケース52は、冷媒が減圧されて低圧になる空調用冷媒サイクルの低圧力部110と熱移動可能に一体に構成されている。そして、制御装置8は、冷却必要温度条件を満たすときは、ステップ6により冷却装置を動作させ、さらに空調用冷媒サイクル11Aを動作させる制御を実施する(ステップ8A1)。
【0123】
これによれば、ステップ5によって冷却必要温度条件が成立するときには、冷却装置による冷却と空調用冷媒サイクル11Aの駆動による充電器5の直接的な冷却とを両方実施し(ステップ6、ステップ8A1)、充電器5の温度上昇を速やかに抑制することができる。この制御により、充電器5の温調が確実に実現でき、様々な状況において、充電動作及び走行用モータの駆動を適正な状態で実施することができる。
【0124】
また、車両用充電装置20Bにおいて、制御装置8は、冷却必要温度条件を満たすときに冷却装置を動作させても(ステップ5、ステップ6)、さらに充電器5の冷却が必要であると判断すると空調用冷媒サイクル11Aを動作させて充電器5を直接的に冷却する(ステップ8A、ステップ8A1)。
【0125】
これによれば、ステップ6による冷却処理だけでは、走行用モータ40またはエンジン2の冷却が不十分である場合、空調用冷媒サイクルの低圧冷媒によって、さらに充電器5を直接的に冷却して、充電器5の熱を吸熱することができる。したがって、ステップ6による冷却とステップ8A1による充電器5の直接的冷却との二段構えの冷却処理によって、充電器5の冷却を確実に行えるとともに、広範囲にわたる充電器5の温度調節を実施することができる。
【0126】
また、第5実施形態の空調用冷媒サイクルの低圧力部110は、充電器の外装ケース52と熱移動可能に一体に構成されている形態に限らず、充電器5と一体に構成される走行用モータ40またはエンジン2の外装ケースと熱移動可能に一体に構成されるようにしてもよい。そして、制御装置8は、冷却必要温度条件を満たすときは、ステップ6により冷却装置を動作させ、さらに空調用冷媒サイクル11Aを動作させる制御を実施する(ステップ8A1)。
【0127】
これによれば、ステップ5によって冷却必要温度条件が成立するときには、冷却装置による冷却と空調用冷媒サイクル11Aの駆動による走行用モータ40またはエンジン2の冷却とを両方実施し(ステップ6、ステップ8A1)、充電器5の温度上昇を速やかに抑制することができる。この制御により、充電器5の温調が確実に実現でき、様々な状況において、充電動作及び走行用モータの駆動を適正な状態で実施することができる。
【0128】
また、制御装置8は、冷却必要温度条件を満たすときに冷却装置を動作させても(ステップ5、ステップ6)、さらに充電器5の冷却が必要であると判断すると空調用冷媒サイクル11Aを動作させて走行用モータ40またはエンジン2を冷却する(ステップ8A、ステップ8A1)。
【0129】
これによれば、ステップ6による冷却処理だけでは、走行用モータ40またはエンジン2の冷却が不十分である場合、空調用冷媒サイクルの低圧冷媒によって走行用モータ40またはエンジン2をさらに冷却して、充電器5の熱を吸熱することができる。したがって、ステップ6による冷却処理とステップ8A1による走行用モータ40またはエンジン2の冷却処理との二段構えの冷却処理によって、充電器5の冷却を確実に行えるとともに、広範囲にわたる充電器5の温度調節を実施することができる。
【0130】
(第6実施形態)
第6実施形態は、車両用充電装置の構成及び充電器の冷却制御について、第1実施形態を変更する実施形態である。図12は、第6実施形態に係る車両用充電装置20Cを示した構成図である。図13は、車両用充電装置20Cにおける充電器5Aの構成を示す回路図である。図14は、第6実施形態において充電器5Aの冷却制御を説明するフローチャートである。図15は、図14のステップ8B2で使用する充電電力算出マップである。以下、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
【0131】
図12及び図13に示すように、車両用充電装置20Cにおいて、充電器5Aは、さらに電動圧縮機12Aの作動を制御するインバータ50Aを内蔵し、電動圧縮機12Aに一体に構成されている。充電器5Aは、電動圧縮機12A内に吸入された冷媒が圧縮機構12aによって圧縮される前に流れる通路に面した部位において、ハウジング120に一体になっている。つまり、充電器5Aの熱は、電動圧縮機12A内で圧縮される前の冷媒によって吸熱されることになる。
【0132】
電動圧縮機12Aは、エンジン2の外装ケースと熱移動可能に一体に構成されている。電動圧縮機12Aは、金属製の取り付け脚部123によってエンジン2の外装ケースに熱移動可能に固定されている。
【0133】
両者が熱移動可能に一体に構成されるとは、例えば、電動圧縮機12Aのハウジング120に別部品である充電器の外装ケース52Aが接触して固定されて一体となること、ハウジング120と充電器の外装ケース52Aとが一つの部品で構成されて一体になること等であって、ハウジング120及び充電器の外装ケース52Aの両方が伝熱性を有する素材(例えば、アルミニウム、銅、鉄等の金属材料)で形成されていることである。このため、充電器5Aと電動圧縮機12Aとの接触部の熱抵抗が低下するように構成されている。このような構成により、充電器5Aからの発熱は、充電器の外装ケース52Aとハウジング120を介して、エンジン2に伝達される。また、ハウジング120と別部品である充電器の外装ケース52Aとの間には、熱伝導グリス等の熱伝導性を高める部材を設けるようにしてもよい。
【0134】
温度センサ32は、ハウジング120の温度を検出する温度検出手段であり、温度センサ32によって検出された温度信号は制御装置9に出力される。電動圧縮機12A及び充電器5Aの間の伝熱性は良好に保たれているため、温度センサ30,32のいずれかの検出温度を監視することで、充電器5Aが冷却必要な状態であるか否かを判断することができる。また、温度センサ31によって検出される温度を監視して、充電器5Aが冷却必要な状態であるか否かを判断することもできる。
【0135】
制御装置9Aは、インバータ50Aの作動制御及び充電器5Aの制御を行い、送風機14及び送風機18の作動制御、減圧器16の作動制御により、冷凍サイクルによる空調制御を行う。制御装置9Aは、電動圧縮機12Aの制御、充電器5Aの制御に関わる、予め設定され、または更新可能な制御プログラムやマップを有し、これらを記憶手段としてのROM、RAM等に記憶している。制御装置8Aは、エンジン2、冷却装置等の作動を制御する電子制御装置である。制御装置8Aは、例えば、各種ECUと通信可能に構成される車両制御ECUであってもよい。
【0136】
充電器5Aは、商用電源60からの交流電力を直流電力に変換して蓄電池7に充電する。走行用モータ6は、例えば車両のイグニッションスイッチやスタートスイッチ等がオンにされて車両が走行可能であるときに、制御装置9Aによって制御され、走行用モータ6への電力供給が行われ、駆動される。さらに充電器5Aは、この充電器としての機能に加え、電動圧縮機12Aの作動を制御することにより、空調用冷媒サイクル11の作動を制御する機能を有する。つまり、充電器5Aは、蓄電池7への充電装置としての機能と、電動圧縮機12Aを駆動するインバータとしての機能と、を併せ持つ複数機能一体型の装置である。
【0137】
図13に示すように、充電器5Aは、インバータ50Aと、各種リレー53、56、57、昇圧コンバータ50Bと、を含む。昇圧コンバータ50Bは、リアクトルLと、IGBT(Insulated Gate BipolarTransistor)50B1,50B2とを含む。リアクトルLは、リレー53に一端が接続され、IGBT50B1,50B2の接続点に他端が接続される。リレー53は、昇圧コンバータ50Bに対してインバータ50A側を接続する。電流センサ54は、リアクトルLからIGBT50B1,50B2の接続点に流れる電流を検出する。昇圧コンバータ50Bと蓄電池7は、システムメインリレーSMR1,SMR2によって接続される。蓄電池7から供給される直流電圧は、昇圧コンバータ50Bへ出力される。また、昇圧コンバータ50Bから出力される直流電圧によって蓄電池7が充電される。
【0138】
電圧センサ58は、商用電源60の電圧を検出する。商用電源60からの電力は、ノイズフィルタ59を通って供給されるようになっている。リレー56は、インバータ50Aに対して商用電源60を接続する。リレー57は、インバータ50Aに対して電動圧縮機12Aのモータ121を接続する。電圧センサ55は、蓄電池7の電圧を検出する。
【0139】
インバータ50Aは、IGBT50A1,50A2,50A3,50A4,50A5,50A6で構成されている。インバータ50Aは、この6個のスイッチ部のオン、オフが切り替わる作動によって、蓄電池7から印加される直流電力を3相の交流電力に変換して圧縮機用のモータ121へ駆動電力として供給する。インバータ50Aは、電力ロスによって発熱するため、冷却を必要とする冷却必要部品であり、その発熱は、充電器の外装ケース52Aに伝達し、さらに電動圧縮機12Aを介してエンジン2の外装ケースに熱移動する。制御回路51Aは、IGBT50A1〜50A6、及びIGBT50B1,50B2の切替え作動に関係する各種の電子部品を備え、制御装置9Aによってその作動が制御される。
【0140】
充電器5Aは、上記のように、充電動作と、電動圧縮機12Aの動作を併せ持つ複数機能一体型の装置であるため、充電器5Aの充電動作と空調用冷媒サイクル11の動作は時分割で行われ、すなわち同時でなく別々に行われる。
【0141】
また、電動圧縮機12Aは、上記第2実施形態で示す走行用モータ40の外装ケースと熱移動可能に一体に構成されるものであってもよい。すなわち、本実施形態の車両用充電装置は、図12のエンジン2を図5の走行用モータ40に置き換える構成であってもよい。
【0142】
次に、充電器の冷却制御について、図14及び図15を参照して説明する。図14に示すフローチャートでは、図2に対してステップ8B、ステップ8B1、ステップ8B2、ステップ8B3、及びステップ8B4が異なっている。以下、第1実施形態の図2に示すフローチャートに対して、異なる処理のみ説明する。
【0143】
ステップ5でエンジン温度が60℃以上であると判定すると、ステップ6でウォーターポンプ3及び送風機4aを駆動してステップ8Bに進む。また、ステップ5でエンジン温度が60℃未満であると判定すると、ステップ8Bに進む。
【0144】
次にステップ8Bでは、IGBTの発熱が伝達している電動圧縮機のハウジング120の温度(以下、単に、「圧縮機筐体温度」ともいう)が所定値以上であるか否かを判定する。圧縮機筐体温度は、温度センサ32によって検出される電動圧縮機のハウジング120の温度であり、所定値は、例えば95℃とする。
【0145】
圧縮機筐体温度が95℃未満であるときは、IGBTの温度は例えば125℃未満であると想定され、IGBTの発熱状態に問題はないと判断できる。一方、圧縮機筐体温度が95℃以上であるときは、IGBTの温度も例えば125℃近く、あるいはそれ以上に達していると想定される。ここでは、圧縮機筐体温度が95℃以上であれば、IGBTは冷却が必要な状態であると判断できる。
【0146】
ステップ8Bで圧縮機筐体温度が95℃以上であると判定すると、充電器5Aを冷却する必要があるため、ステップ8B3で充電停止の処理を実行し、さらにステップ8B4で空調用冷媒サイクル11を駆動してステップ1に進む。この処理により、電動圧縮機12Aの内部を流れる低圧冷媒によって充電器5Aを冷却し、ステップ1に進む。そして、充電器の外装ケース52Aに伝達したIGBTの熱は、ハウジング120を介した外装ケース52Aの冷却によって冷媒に移動し、外部に放出される。
【0147】
ステップ8Bで圧縮機筐体温度が95℃未満であると判定すると、さらにステップ8B1で、圧縮機筐体温度が90℃以上であるか否かを判定する。圧縮機筐体温度が90℃未満であるときは、IGBTの発熱状態に問題はなく冷却は不要であると判断できる。したがって、充電器5Aの冷却を実施することなくステップ1に進む。
【0148】
一方、圧縮機筐体温度が90℃以上であるときは、IGBTは冷却が必要な状態であると判断でき、ステップ8B2では、図15に示す充電電力算出マップにしたがって、温度センサ32によって検出される圧縮機筐体温度から充電運転時の充電電力を算出する。図15に示す充電電力算出マップは、一例であるが、圧縮機筐体温度が90℃以下のときは3.3kWの充電電力に算出され、90℃を超えるときは温度上昇に伴い線形的に低下させる値に充電電力を算出する。
【0149】
本実施形態の車両用充電装置20Cがもたらす作用効果を以下に述べる。本実施形態の充電器の冷却制御では、充電運転時の充電電力を充電器筐体温度、圧縮機筐体温度に応じて決定し、特にこれらの温度が高いと判断した場合には充電電力を低減するように決定する。このように充電電力を決定することにより、充電器5Aの温度が好ましくない温度に上昇しないように適切な温度制御を実施できるのである。つまり、充電器5Aの充電時には、充電器5Aの温度またはこれに関連する温度に応じて制御される電力によって充電動作が行われるのである。
【0150】
したがって、本実施形態によれば、電動圧縮機12Aに一体に設けられた充電器5Aの温度状態に基づいて、充電可能な電力を決定して充電を行うため、適正な充電が行われることと、充電器5Aを冷却する能力の確保との両方を満たす装置を提供できる。
【0151】
また、圧縮機筐体温度が所定温度(例えば95℃)以上であり、充電器5Aの冷却を必要とする場合には、充電実施状態であっても強制的に充電を停止し、空調用冷媒サイクル11の駆動により低圧冷媒を用いて、速やかに充電器5Aを冷却することができる。
【0152】
また、圧縮機筐体温度が、空調用冷媒サイクル11を駆動させて冷却する温度(95℃)以上)よりも低いが、90℃以上である場合は、充電時の充電電力を圧縮機筐体温度に応じて決定した電力値に低減して充電を継続する。これにより、充電を中断しないでユーザーの充電要求を満たしつつ、充電器5Aを適正な温度に制御することができる。
【0153】
(第7実施形態)
第7実施形態は、車両用充電装置の構成について、第1実施形態を変更する実施形態である。図16は、第7実施形態に係る車両用充電装置20Dを示した構成図である。図16に示す車両用充電装置20Dは、充電器5Bが外部に向けて突出する放熱用フィン61を有することが異なっている。以下、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
【0154】
図16に示すように、充電器5Bは、その外装ケース52と熱移動可能に一体に構成される放熱用フィン61を備えている。放熱用フィン61は、送風機4aが提供する空気流が当たる部位に設けられている。また、両者が熱移動可能に一体に構成されるとは、例えば、充電器の外装ケース52に別部品である放熱用フィン61が接触して固定されて一体となること、充電器の外装ケース52と放熱用フィン61とが一つの部品で構成されて一体になること等である。また、充電器の外装ケース52及び放熱用フィン61の両方が伝熱性を有する素材(例えば、アルミニウム、銅、鉄等の金属材料)で形成されていることである。このため、充電器の外装ケース52と放熱用フィン61との接触部の熱抵抗が低下するように構成されている。このような構成により、充電器5Bからの発熱は、充電器の外装ケース52を介して、放熱用フィン61に伝達される。
【0155】
また、充電器の外装ケース52と別部品である放熱用フィン61との間には、熱伝導グリス等の熱伝導性を高める部材を設けるようにしてもよい。
【0156】
また、制御装置8は、冷却必要温度条件を満たすときには、冷却装置である送風機4aによって走行用モータ40またはエンジン2に対して空気流を提供する。これにより、放熱用フィン61の表面が冷却風により冷却されるため、放熱用フィン61からの放熱が促進し、充電器5Bの熱が放熱用フィン61を介して外部空気に放出される。
【0157】
また、制御装置8は、送風機4aによる冷却風の提供に加え、ウォーターポンプ3を駆動して冷却水の循環を実施してもよい。この場合、放熱用フィン61を介した放熱に加え、ラジエータ4での熱交換による空気へと伝達する放熱経路を活用することができる。
【0158】
本実施形態の車両用充電装置20Dがもたらす作用効果を以下に述べる。車両用充電装置20Dは、冷却装置として、冷却必要温度条件を満たすときに、走行用モータ40またはエンジン2に対して空気流を提供する送風機4aを備える。充電器5Bは外部に向けて突出する放熱用フィン61を有する。放熱用フィン61は、送風機4aの提供する空気流が当たる部位に設けられている。
【0159】
これによれば、充電器5Bは、外装ケース52に熱移動可能に一体である放熱用フィン61を備えることにより、放熱面積を拡大することができ、充電器筐体と雰囲気(充電器5Bの周囲空気)との間の熱抵抗を低減することができる。さらに、送風機4aの提供する空気流が放熱用フィン61に当たるため、充電器筐体と雰囲気との熱伝達が促進され、当該熱抵抗の低減にさらに貢献する。このように当該熱抵抗の低減が大きいことにより、充電器筐体と雰囲気との温度差が低減するため、IGBTの温度低下効果が大きくなる。
【0160】
(第8実施形態)
第8実施形態は、車両用充電装置の構成について、第1実施形態を変更する実施形態である。図17は、第8実施形態に係る車両用充電装置20Eを示した構成図である。図17に示す車両用充電装置20Eは、充電器5がエンジン2に対して一体に構成される位置に特徴がある。以下、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
【0161】
図17に示すように、充電器5は、エンジン2の内部に形成されている冷却水の通路2aの外側部位において、エンジン2の外装ケースと熱移動可能に一体に構成されている。つまり、エンジン2内部に形成される冷却水の通路2aの少なくとも一部は、エンジン2の外装ケースを介して充電器の外装ケース52と対向する位置にある。このような構成により、充電器5からの発熱は、充電器の外装ケース52及びエンジン2の外装ケースを介して、冷却水の通路2aに伝達され、冷却水によって吸熱される。
【0162】
本実施形態の車両用充電装置20Eによれば、充電器5は、エンジン2の内部に形成されている冷却水の通路2aの外側部位において、エンジン2の外装ケースと熱移動可能に一体に構成される。
【0163】
これによれば、エンジン2内部の冷却水の通路2aを充電器5に接近させる構成により、エンジン2を介した充電器5からの放熱経路において、充電器の外装ケース52、エンジン2の外装ケース、冷却水、ラジエータ4における周囲空気と伝わる経路での熱抵抗を低減することができる。したがって、放熱経路が多様化し、IGBTの冷却効果を向上することができる。
【0164】
(第9実施形態)
第9実施形態は、上記第1実施形態に対して、充電器の冷却制御を変更した実施形態である。図18は、第9実施形態において充電器の冷却制御を説明するフローチャートである。図18に示すフローチャートでは、図2に対してステップ6A及びステップ6A1が異なっている。以下、本実施形態の充電器の冷却制御について、図18を参照して説明する。なお、第1実施形態の図2に示すフローチャートに対して、異なる処理のみ説明する。
【0165】
ステップ5で、エンジン温度が60℃(所定値の一例)以上であると判定すると、次に、ステップ6Aで、充電に要する充電実施時間が、充電器5が所定温度に温度上昇するまでの温度上昇時間よりも長いか否かを判定する。充電実施時間は、次に車両の走行を開始する走行予定時刻を用いて算出したり、充電終了予定時刻を用いて算出したりする。走行予定時刻または充電終了予定時刻は、ユーザーからの時刻入力による指令、充電運転を行う際の自動充電制御に伴う制御装置8からの指令等によって決定されるものとする。
【0166】
充電器5の温度上昇時間は、IGBTが所定温度の一例である許容上限温度(例えば125℃)まで温度上昇する時間であり、時間と充電器筐体の温度との関係を実験等により規定した温度上昇算出マップを用いて求められる。この温度上昇算出マップは、記憶手段としてのROM、RAM等に予め記憶されている。
【0167】
ステップ6Aで、充電実施時間が温度上昇時間よりも長いと判定すると、制御装置8は、ステップ6A1でウォーターポンプ3及び送風機4aを駆動して走行用モータ40またはエンジン2を冷却し、ステップ1に進む。これによって、充電器の外装ケース52に伝達したIGBTの熱は、走行用モータ40またはエンジン2の冷却によって、外部に放出される。ステップ6A1で充電実施時間が温度上昇時間以下であると判定すると、冷却装置を駆動することなく、ステップ1に進む。また、ステップ6A1では、送風機4aのみを駆動してエンジン2、走行用モータ40または充電器5に直接風を当てることにより、冷却風によって冷却を実施してもよい。
【0168】
本実施形態によれば、制御装置8は、蓄電池7へ外部電力を受電する充電要求があったときに、次に車両の走行を開始する走行予定時刻または充電終了予定時刻を用いて充電に要する充電実施時間を算出するとともに、充電器5の温度またはこれに関連する温度を用いて充電器5が所定温度に温度上昇するまでの温度上昇時間を算出する。そして、当該充電実施時間が当該温度上昇時間よりも長い場合には、冷却装置を動作させて冷却する制御を実施する。
【0169】
例えば、エンジン2を冷却し、充電を開始してまもなく充電を停止して走行を開始する場合に、つまり、次回の走行予定時刻まで時間が短い場合に、エンジン2の暖機を不要する必要がある。この課題を解決するために、上記制御によれば、充電器筐体の温度が所定温度に達するまではエンジン2の冷却制御を実施しないようにすることにより、エンジン2の不要な冷却を抑制することができる。したがって、車両のエネルギーを有効に活用することができる。
【0170】
(第10実施形態)
第10実施形態は、上記第1実施形態に対して、充電器の冷却制御を変更した実施形態である。図19は、第10実施形態において充電器の冷却制御を説明するフローチャートである。図19に示すフローチャートでは、図2に対してステップ2A、ステップ6B及びステップ7Bが異なっている。以下、本実施形態の充電器の冷却制御について、図19を参照して説明する。なお、第1実施形態の図2に示すフローチャートに対して、異なる処理のみ説明する。本実施形態の制御は、ハイブリッド自動車に適用され、エンジン2の作動を下記のように制御することにより、エンジン2の温度を低下させて、充電器の冷却を実施するものである。
【0171】
ステップ1で充電要求があると判定した場合には、次にステップ2Aで、IGBT(スイッチング素子50)の温度が予め定めた所定値以下であるか否かを判定する。この所定値は、例えば125℃とする。ここではIGBTの許容温度は125℃以下であるから、充電運転を実施する上で、ステップ2AでYESと判定されれば、IGBTの発熱状態に問題はないと判断できる。
【0172】
そこで、ステップ2AでIGBTの温度が125℃以下であると判定すると、ステップ3で充電運転を実施する。一方、ステップ2Aで125℃を超えていると判定すると、IGBTの発熱状態に懸念があり、充電運転の前に冷却する必要が想定され、ステップ4で充電運転を停止する処理を実行する。
【0173】
そして、ステップ5で、エンジン温度が60℃(所定値の一例)以上であると判定すると、制御装置8は、ステップ6Bで、エンジン2の運転を「断熱膨張駆動」させるように制御する。またステップ5で、エンジン温度が60℃未満であると判定すると、制御装置8は、ステップ7Bで、エンジン2の運転を「断熱膨張停止」をするように制御する。
【0174】
制御装置8は、燃料噴射、点火等を行わない状態で、エンジン2に連結された走行用モータ40によってエンジン2を空転させる。特にステップ6Bでは、シリンダーに対する吸気及び排気を制御する吸気バルブ及び排気バルブを閉じ、この状態でピストンを下げるように制御する。この処理により、シリンダー内で断熱膨張が起こり、シリンダー内の空気温度が下がるようになる。この制御が「断熱膨張駆動」である。一方、ステップ7Bでは、ピストンの駆動を停止して「断熱膨張停止」を行う。ステップ6Bまたはステップ7Bの処理を実行後、ステップ1に進む。
【0175】
本実施形態によれば、制御装置8は、エンジン2の温度が冷却必要温度条件を満たすときは、燃料噴射、点火を行わずエンジン2を空転させ、吸気バルブ及び排気バルブを閉じた状態でピストンを下げることによりシリンダー内を断熱膨張させる制御を実施する。
【0176】
この制御によれば、エンジン2自体の挙動を制御して、シリンダー内を断熱膨張状態にすることにより、シリンダー内の空気温度が低下し、エンジン2の外装ケースの温度を低下させることができる。このため、充電器の外装ケース52とエンジン2の外装ケースの温度差を大きくすることができ、充電器5からの発熱をエンジン2側に多く移動させることができる。したがって、エンジン2への放熱量が増大し、IGBTの冷却効果を向上することができる。
【0177】
(第11実施形態)
第11実施形態は、上記第1実施形態に対して、充電器の冷却制御を変更した実施形態である。図20は、第11実施形態において充電器の冷却制御を説明するフローチャートである。図21は、図20のステップ6C3で使用する充電電力算出マップである。図20に示すフローチャートは、図2と異なり、蓄電池7の放電要求(逆潮流要求)があった場合にも充電器の冷却制御を実施する処理を示している。
【0178】
本実施形態の制御は、ハイブリッド自動車に適用され、エンジン2の発電要求の有無と絡めて冷却装置の作動を制御することを特徴の一つとする。以下、本実施形態の充電器の冷却制御について、図20及び図21を参照して説明する。ここでは、第1実施形態に対して、異なる処理のみ説明する。
【0179】
図20に示すように、制御装置8は、ステップ1Aで、蓄電池7に蓄えられた電力を放電する「逆潮流」の要求があるか否かを判定する。逆潮流要求がある場合には、ステップ2Aで、IGBT(スイッチング素子50)の温度が予め定めた所定値以下であるか否かを判定する。この所定値は、例えば125℃とする。ここではIGBTの許容温度は125℃以下であるから、逆潮流運転を実施する上で、ステップ2AでYESと判定されれば、IGBTの発熱状態に問題はないと判断できる。
【0180】
そこで、ステップ2AでIGBTの温度が125℃以下であると判定すると、ステップ3Aで逆潮流動作を実行して放電運転を実施する。一方、ステップ2Aで125℃を超えていると判定すると、IGBTの発熱状態に懸念があり、放電運転の前に冷却する必要が想定され、ステップ4Aで逆潮流運転を停止する処理を実行する。
【0181】
次にステップ5Aでは、IGBTの発熱が伝達している充電器の外装ケース52の温度(以下、単に、「充電器筐体温度」ともいう)が所定値以上であるか否かを判定する。充電器筐体温度は、温度センサ30によって検出される充電器の外装ケース52の温度であり、所定値は、例えば80℃とする。
【0182】
充電器筐体温度が80℃未満であるときは、IGBTの温度は例えば125℃未満であると想定され、IGBTの発熱状態に問題はないと判断できる。一方、充電器筐体温度が80℃以上であるときは、IGBTの温度も例えば125℃近くに達していると想定される。ここでは、充電器筐体温度が80℃以上であれば、IGBTは冷却が必要な状態であると判断できる。
【0183】
ステップ5Aで充電器筐体温度が80℃以上であると判定すると、さらにステップ6Cでエンジン発電の要求があるか否かを判定する。ステップ6Cでエンジン発電の要求があると判定した場合は、エンジン2の冷却は発電運転を損なうため、ウォーターポンプ3は駆動せずに、ステップ6C2で送風機4aを駆動させる。これにより、充電器の外装ケース52やエンジン2の外装ケースに伝達したIGBTの熱は、送風機4aによって提供される空気流によって冷却されて周囲空気に放出される。
【0184】
また、ステップ6Cでエンジン発電の要求がないと判定すると、エンジン2を冷却しても問題はないため、ステップ6C1でウォーターポンプ3及び送風機4aを駆動し、エンジン2及び充電器5を冷却する。これによって、充電器の外装ケース52を介してエンジン2の外装ケースに伝達したIGBTの熱は、エンジン2の冷却によって冷却水に移動し、ラジエータ4で外部の空気に放出される。
【0185】
一方、ステップ5Aで充電器筐体温度が80℃未満であると判定すると、エンジン2や充電器5を冷却する必要はないため、ステップ5A1でウォーターポンプ3及び送風機4aの運転を停止する。
【0186】
ステップ5A1、ステップ6C1、またはステップ6C2の処理の後は、ステップ6C3に進み、図21に示す放電電力算出マップにしたがって放電運転時の放電電力を算出する。ステップ6C3では、図21に示す充電電力算出マップにしたがって、温度センサ30によって検出される充電器筐体温度から充電運転時の充電電力を算出する。図21に示す充電電力算出マップは、一例であるが、充電器筐体温度が90℃以下のときは1.5kWの放電電力に算出され、90℃を超えるときは温度上昇に伴い線形的に低下させる値に放電電力を算出する。
【0187】
ステップ6C3の処理の後は、ステップ1Aに進み、ステップ1Aで、逆潮流要求がないと判定すると、ステップ10Aで逆潮流停止の処理を実行し、本フローチャートを終了する。このように充電器の冷却制御では、放電運転中、または放電運転開始前に充電器温度等が高い場合にエンジン2を冷却するのである。また、充電器の冷却制御では、ステップ1Aで、逆潮流要求なしと判定するまで、充電器温度等を監視し、冷却必要条件が成立するか否かによってエンジン2や充電器5の冷却要否を判定し続け、IGBTの温度管理を行うのである。
【0188】
また、冷却必要条件が成立する場合には、さらにエンジン発電の要求の有無に応じて、エンジン2の冷却実施の要否を決定する。これにより、エンジン2の運転効率を損なわない充電器5の実施でき、エネルギーを有効に活用する車両を提供できる。
【0189】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0190】
上記各実施形態において、ラジエータ4に冷却水が流れることを許可するサーモバルブは所定の設定温度で作動するが、この場合、冷却水温が当該設定温度未満に下がるとラジエータ4に冷却水が流れず、エンジン2の冷却に支障が出ることがある。このような懸念がある場合には、サーモバルブの代わりに、電磁式のバルブを使用し、ラジエータ4に冷却水が流れる温度を広範囲に設定可能な構成を採用してもよい。
【0191】
上記各実施形態では、充電器5,5Aにおける冷却の必要な部品として、複数のスイッチング素子50を代表例として説明したが、冷却の対象部品としては、制御回路51に搭載される他の電子部品等も含むものである。
【0192】
また、上記各実施形態では、電動圧縮機12を駆動させるときに、送風機14も同時に作動させるようにした。しかしながら、凝縮器13においては、冷却用空気がなくても冷媒の熱をチューブ外表面およびフィン表面から外気に自然放出することも可能である。冷媒の冷却能力は低下するものの、外気温度によっては、送風機14は停止させたままでもよい。
【0193】
また、電動圧縮機12としてスクロール型の圧縮機構を使用するものとして説明したが、これの形態は一例にすぎず、他のピストン型やロータリー型等の圧縮機構を使用するものとしてもよい。
【0194】
また、空調用冷媒サイクル11,11Aは、レシーバ15を備えているが、レシーバを備えないサイクルであってもよい。また、レシーバ15は凝縮器13と一体の部品として設けてもよい。
【0195】
また、制御装置8は、様々な機器を制御する統合的な制御装置として説明したが、これに限らず、互いに通信手段によって通信可能とする複数の制御装置としてもよい。
【0196】
また、上記各実施形態において、フローチャートの温度条件式にヒステリシスを設けるようにしてもよい。
【0197】
また、上記各実施形態において、送風機14に電力を絞る機構を設け、充電器動作において電力を絞った状態で動作させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0198】
1,1A…冷却水回路(冷却装置)
2…エンジン
2a…冷却水の通路
3…ウォーターポンプ(冷却装置)
4…ラジエータ(冷却装置)
4a…送風機(冷却装置)
5,5A,5B…充電器
6…走行用モータ
7…蓄電池
8…制御装置
11A…空調用冷媒サイクル
12…電動圧縮機(圧縮機)
13…凝縮器
16…減圧器
17…蒸発器
50A…インバータ
61…放熱用フィン
110…空調用冷媒サイクルの低圧力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行のための駆動力を提供する走行用モータ(6)と、
車両の走行のための駆動力を提供するエンジン(2)と、
外部電力が充電され、前記走行用モータに供給するための電力を蓄える蓄電池(7)と、
前記蓄電池への前記外部電力の充電を制御する充電器(5)と、
前記エンジンを冷却する冷却装置(1,3,4,4a)と、
前記冷却装置の作動を制御する制御装置(8)と、
を備え、
前記充電器は、前記エンジンの外装ケースと熱移動可能に一体に構成され、
前記制御装置は、前記エンジンの温度または前記充電器の温度が予め定めた冷却必要温度条件を満たすときは前記冷却装置を動作させて前記エンジンを冷却することを特徴とする車両用充電装置。
【請求項2】
車両の走行のための駆動力を提供する走行用モータ(6)と、
外部電力が充電され、前記走行用モータに供給するための電力を蓄える蓄電池(7)と、
前記蓄電池への前記外部電力の充電を制御する充電器(5)と、
前記走行用モータを冷却する冷却装置(1A,3,4,4a)と、
前記冷却装置の作動を制御する制御装置(8)と、
を備え、
前記充電器は、前記走行用モータの外装ケースと熱移動可能に一体に構成され、
前記制御装置は、前記走行用モータの温度または前記充電器の温度が予め定めた冷却必要温度条件を満たすときは前記冷却装置を動作させて前記走行用モータを冷却することを特徴とする車両用充電装置。
【請求項3】
前記冷却装置は、冷却対象である前記エンジンまたは前記走行用モータを冷却する冷却水が循環する冷却水回路(1,1A)と、前記冷却水を前記冷却水回路に強制的に循環させるウォーターポンプ(3)と、前記冷却水回路の一部に設けられ、前記冷却水と空気とを熱交換させるラジエータ(4)と、前記ラジエータに対して前記冷却水と熱交換する空気流を提供する送風機(4a)と、を有して構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用充電装置。
【請求項4】
前記冷却装置は、冷却対象である前記エンジンまたは前記走行用モータに対して空気流を提供する送風機(4a)で構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用充電装置。
【請求項5】
少なくとも圧縮機(12)、凝縮器(13)、減圧器(16)及び蒸発器(17)が配管によって接続されて構成され、冷媒が循環する空調用冷媒サイクル(11A)を備え、
前記充電器と一体に構成される前記走行用モータまたは前記エンジンの外装ケースは、冷媒が減圧されて低圧になる当該空調用冷媒サイクルの低圧力部(110)と熱移動可能に一体に構成されており、
前記制御装置は、前記冷却必要温度条件を満たすときは、さらに前記空調用冷媒サイクルを動作させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用充電装置。
【請求項6】
少なくとも圧縮機(12)、凝縮器(13)、減圧器(16)及び蒸発器(17)が配管によって接続されて構成され、冷媒が循環する空調用冷媒サイクル(11A)を備え、
前記充電器と一体に構成される前記走行用モータまたは前記エンジンの外装ケースは、冷媒が減圧されて低圧になる当該空調用冷媒サイクルの低圧力部(110)と熱移動可能に一体に構成されており、
前記制御装置は、前記冷却必要温度条件を満たすときに前記冷却装置を動作させても、さらに前記走行用モータまたは前記エンジンの冷却が必要であると判断すると前記空調用冷媒サイクルを動作させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用充電装置。
【請求項7】
少なくとも圧縮機(12)、凝縮器(13)、減圧器(16)及び蒸発器(17)が配管によって接続されて構成され、冷媒が循環する空調用冷媒サイクル(11A)を備え、
前記充電器は、冷媒が減圧されて低圧になる当該空調用冷媒サイクルの低圧力部(110)と熱移動可能に一体に構成されており、
前記制御装置は、前記冷却必要温度条件を満たすときは、さらに前記空調用冷媒サイクルを動作させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用充電装置。
【請求項8】
少なくとも圧縮機(12)、凝縮器(13)、減圧器(16)及び蒸発器(17)が配管によって接続されて構成され、冷媒が循環する空調用冷媒サイクル(11A)を備え、
前記充電器は、冷媒が減圧されて低圧になる当該空調用冷媒サイクルの低圧力部(110)と熱移動可能に一体に構成されており、
前記制御装置は、前記冷却必要温度条件を満たすときに前記冷却装置を動作させても、さらに前記充電器の冷却が必要であると判断すると前記空調用冷媒サイクルを動作させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用充電装置。
【請求項9】
少なくとも電動圧縮機(12)、凝縮器(13)、減圧器(16)及び蒸発器(17)が配管によって接続されて構成され、冷媒が循環する空調用冷媒サイクル(11A)を備え、
前記電動圧縮機は、前記走行用モータまたは前記エンジンの外装ケースと熱移動可能に一体に構成され、
前記充電器(5A)は、さらに前記電動圧縮機の作動を制御するインバータ(50A)を内蔵して、前記電動圧縮機に一体に構成され、
前記充電器の充電動作と前記空調用冷媒サイクルの動作は同時でなく別々に行われ、
前記充電器の充電時には、前記充電器の温度またはこれに関連する温度に応じて制御される電力によって充電動作が行われることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用充電装置。
【請求項10】
前記冷却装置として、前記冷却必要温度条件を満たすときに、前記走行用モータまたは前記エンジンに対して空気流を提供する送風機(4a)を含み、
前記充電器(5B)は外部に向けて突出する放熱用フィン(61)を有し、当該放熱用フィンは、前記送風機が提供する前記空気流が当たる部位に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用充電装置。
【請求項11】
前記冷却装置は、冷却対象である前記エンジンを冷却する冷却水が循環する冷却水回路(1)と、前記冷却水を前記冷却水回路に強制的に循環させるウォーターポンプ(3)と、前記冷却水回路の一部に設けられ、前記冷却水と空気とを熱交換させるラジエータ(4)と、前記ラジエータに対して前記冷却水と熱交換する空気流を提供する送風機(4a)と、を有して構成され、
前記充電器は、前記エンジン内部に形成されている前記冷却水の通路(2a)の外側部位において、前記エンジンの外装ケースと熱移動可能に一体に構成されることを特徴とする請求項2に記載の車両用充電装置。
【請求項12】
前記制御装置は、
前記蓄電池へ前記外部電力を受電する充電要求があったときに、次に車両の走行を開始する走行予定時刻または充電終了予定時刻を用いて充電に要する充電実施時間を算出するとともに、前記充電器の温度またはこれに関連する温度を用いて前記充電器が所定温度に温度上昇するまでの温度上昇時間を算出し、
当該充電実施時間が当該温度上昇時間よりも長い場合には、前記冷却装置を動作させて冷却することを特徴とする請求項1に記載の車両用充電装置。
【請求項13】
前記制御装置は、前記エンジンの温度が前記冷却必要温度条件を満たすときは、燃料噴射、点火を行わず前記エンジンを空転させ、吸気バルブ及び排気バルブを閉じた状態でピストンを下げることによりシリンダー内を断熱膨張させることを特徴とする請求項1に記載の車両用充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−67247(P2013−67247A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206327(P2011−206327)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】