説明

車両用入力装置、車両用入力方法、及び車両用入力プログラム

【課題】走行中における入力時の操作性を向上させることができる、車両用入力装置、車両用入力方法、及び車両用入力プログラムを提供すること。
【解決手段】車両用入力装置1は、利用者から手動入力を受け付ける手動入力部61と、利用者の音声を認識して音声入力を受け付ける音声入力部62と、利用者を特定する利用者特定部63と、手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされている場合、手動入力部61による手動入力の受け付けを制限する入力制御部64とを備え、入力制御部64は、利用者特定部63により特定された利用者が車両の運転者ではない場合には、制限条件が満たされている場合であっても、音声入力部62による音声入力の受け付けに加え手動入力部61による手動入力の受け付けも可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用入力装置、車両用入力方法、及び車両用入力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーションシステム等において、例えば経路案内における目的地設定等の入力を、利用者の音声を認識することで受け付けるための音声認識装置が用いられている。
【0003】
例えば、運転者以外の同乗者の存在を加味した音声認識を行う音声認識装置が提案されている。この音声認識装置は、音声認識処理の実行に先立ち、乗員数が1であるか否かを判断し、乗員数が2以上である場合は、音声認識における認識レベルの低下を招来する周囲雑音の原因として同乗者の発声が挙げられるため、音声認識に先立ち、音声認識に適切な環境を形成するための協力要請をするために注意喚起を行う(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−166794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のカーナビゲーションシステムにおいては、運転者が車両の運転操作に集中するため、走行中における手動入力の受け付けが制限されているが、運転操作とは無関係である同乗者にとっては、音声入力よりも手動入力の方が操作性に優れている場合がある。しかしながら、上述の如き従来の装置では、運転操作と無関係な同乗者が入力を行う場合であっても音声入力を行うほかなく、操作性に向上の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、走行中における入力時の操作性を向上させることができる、車両用入力装置、車両用入力方法、及び車両用入力プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の車両用入力装置は、利用者から手動入力を受け付ける手動入力手段と、前記利用者の音声を認識して音声入力を受け付ける音声入力手段と、前記利用者を特定する利用者特定手段と、手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされている場合、前記手動入力手段による手動入力の受け付けを制限する入力制御手段とを備え、前記入力制御手段は、前記利用者特定手段により特定された前記利用者が車両の運転者ではない場合には、前記制限条件が満たされている場合であっても、前記音声入力手段による音声入力の受け付けに加え前記手動入力手段による手動入力の受け付けも可能とする。
【0008】
また、請求項2に記載の車両用入力装置は、請求項1に記載の車両用入力装置において、前記利用者特定手段は、音声が発声された場所に基づき前記利用者を特定する。
【0009】
また、請求項3に記載の車両用入力装置は、請求項1又は2に記載の車両用入力装置において、情報を音声にて出力する音声出力手段と、情報を表示にて出力する表示出力手段と、を備え、前記入力制御手段は、前記音声出力手段を介して質問を出力させ、当該質問に対する回答の入力が前記音声入力手段を介して受け付けられた場合、当該受け付けられた回答に対応する情報を前記音声出力手段を介して出力させるものであって、前記利用者特定手段により特定された前記利用者が車両の運転者ではない場合において、出力させるべき前記質問の項目数が所定数以上である場合、当該質問を前記表示出力手段を介して出力させる。
【0010】
また、請求項4に記載の車両用入力方法は、利用者から手動入力を受け付ける手動入力ステップと、前記利用者の音声を認識して音声入力を受け付ける音声入力ステップと、前記利用者を特定する利用者特定ステップと、手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされている場合、前記手動入力ステップにおける手動入力の受け付けを制限する入力制御ステップと、を含み、前記入力制御ステップでは、前記利用者特定ステップで特定された前記利用者が車両の運転者ではない場合には、前記制限条件が満たされている場合であっても、前記音声入力ステップにおける音声入力の受け付けに加え前記手動入力ステップにおける手動入力の受け付けも可能とする。
【0011】
また、請求項5に記載の車両用入力プログラムは、請求項4に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の車両用入力装置、請求項4に記載の車両用入力方法、及び請求項5に記載の車両用入力プログラムによれば、入力制御手段は、利用者特定手段により特定された利用者が車両の運転者ではない場合には、手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされている場合であっても、音声入力手段による音声入力の受け付けに加え手動入力手段による手動入力の受け付けも可能とするので、例えば運転操作と無関係な同乗者による音声入力と手動入力の両方を受け付けることができ、入力時の操作性を向上させることができる。
【0013】
また、請求項2に記載の車両用入力装置によれば、利用者特定手段は、音声が発声された場所に基づき利用者を特定するので、車両用入力装置を用いて入力を行おうとする利用者の位置を確実に特定できる。
【0014】
また、請求項3に記載の車両用入力装置によれば、入力制御手段は、利用者特定手段により特定された利用者が車両の運転者ではない場合において、出力させるべき質問の項目数が所定数以上である場合、当該質問を表示出力手段を介して出力させるので、例えば運転操作と無関係な同乗者が利用者の場合には、所定数以上の質問を表示出力手段に表示させることで即座にその内容を利用者に把握させることができ、入力時の操作性を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態に係る車両用入力装置を例示するブロック図である。
【図2】入力処理のフローチャートである。
【図3】図2に続く入力処理のフローチャートである。
【図4】質問を表示出力したディスプレイを例示した図である。
【図5】質問を表示出力したディスプレイを例示した図である。
【図6】質問を表示出力したディスプレイを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る車両用入力装置、車両用入力方法、及び車両用入力プログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(構成)
最初に、実施の形態に係る車両用入力装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る車両用入力装置を例示するブロック図である。車両用入力装置1は車両に搭載されるものであり、図1に示すように、スピーカ10、ディスプレイ20、マイク30、ハードスイッチ40、タッチパネル50、制御部60、及びデータ記録部70を備えている。なお、以下の説明では、車両用入力装置1を利用して各種の入力を行う者を「利用者」と表記する。この利用者には、車両用入力装置1が搭載されている車両の運転者、及び当該運転者以外の同乗者が含まれる。
【0018】
(構成−スピーカ)
スピーカ10は、制御部60の制御に基づいて情報を音声にて出力する音声出力手段である。スピーカ10から出力される音声の具体的な態様は任意であり、必要に応じて生成された合成音声や、予め録音された音声を出力することができる。
【0019】
(構成−ディスプレイ)
ディスプレイ20は、制御部60の制御に基づいて情報を表示にて出力する表示出力手段である。なお、このディスプレイ20の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを使用することができる。
【0020】
(構成−マイク)
マイク30は、音声を電気信号に変換して制御部60に出力するものであり、後述する制御部60の音声入力部62と共に音声入力手段を構成する。このマイク30として、例えば異なる方向に指向性を有する複数の指向性マイクを用いることで、何れの方向から音声が入力されたのかを特定することができる。
【0021】
(構成−ハードスイッチ)
ハードスイッチ40は、利用者の指等で押圧されることにより、当該利用者から各種手動入力を受け付けるものであり、後述する制御部60の手動入力部61と共に手動入力手段を構成する。このハードスイッチ40は、例えば公知の押しボタンを用いて構成され、例えばディスプレイ20の周囲に配置される。
【0022】
(構成−タッチパネル)
タッチパネル50は、利用者の指等で押圧されることにより、当該利用者から各種手動入力を受け付けるものであり、後述する制御部60の手動入力部61と共に手動入力手段を構成する。このタッチパネル50は、透明又は半透明状に形成され、ディスプレイ20の前面において当該ディスプレイ20の表示面と重畳するように設けられている。このタッチパネル50としては、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等による操作位置検出手段を備えた公知のタッチパネルを使用することができる。
【0023】
(構成−制御部)
制御部60は、車両用入力装置1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態に係る車両用入力プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して車両用入力装置1にインストールされることで、制御部60の各部を実質的に構成する。
【0024】
この制御部60は、機能概念的に、手動入力部61、音声入力部62、利用者特定部63、及び入力制御部64を備えている。手動入力部61は、ハードスイッチ40やタッチパネル50を介して利用者から手動入力を受け付ける手動入力手段である。音声入力部62は、マイク30から入力された利用者の音声を認識して音声入力を受け付ける音声入力手段である。利用者特定部63は、利用者を特定する利用者特定手段である。入力制御部64は、利用者からの各種入力の受け付けを制御する入力制御手段である。また、入力制御部64は、利用者との間での対話形式による入力受け付けを制御する。具体的には、入力制御部64はスピーカ10を介して質問を出力させ、当該質問に対する回答の入力がマイク30及び音声入力部62を介して受け付けられた場合、当該受け付けられた回答に対応する情報をスピーカ10を介して出力させる。これらの制御部60の各部によって実行される処理の詳細については後述する。
【0025】
(構成−データ記録部)
データ記録部70は、車両用入力装置1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)の如き磁気的記録媒体を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、フラッシュメモリの如き半導体型記憶媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。このデータ記録部70には、音声入力部62が音声認識を行う際に利用する音響データ等が記録されている。
【0026】
(処理−入力処理)
次に、このように構成された車両用入力装置1によって実行される入力処理について説明する。図2及び3は入力処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この入力処理は、例えば、車両用入力装置1に電源が投入された後に実行される。
【0027】
入力処理が開始されると、入力制御部64は、車両用入力装置1が音声入力を受け付ける設定となっているか否かを判定する(SA1)。なお、車両用入力装置1が音声入力を受け付けるか否かは、例えば予めハードスイッチ40やタッチパネル50を介した手動入力により設定され、当該設定内容がRAM(図示省略)に記憶されているものとする。
【0028】
SA1の判定の結果、車両用入力装置1が音声入力を受け付ける設定となっていない場合(SA1、No)、入力制御部64は、ハードスイッチ40やタッチパネル50に対して利用者からの手動入力があるまで待機し(SA2、No)、利用者からの手動入力があった場合(SA2、Yes)、手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされているか否かを判定する(SA3)。例えば、車両が走行中であることが「手動入力の受け付けを制限する制限条件」である場合、入力制御部64は、車速センサ(図示省略)からの入力に基づき特定した車速が一定速度(例えば5km/h)以上である場合に、車両が走行中であり「手動入力の受け付けを制限する制限条件」が満たされていると判定する。
【0029】
その結果、手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされている場合(SA3、Yes)、入力制御部64は、手動入力部61による手動入力の受け付けを制限する必要があるものとし、手動入力部61によって手動入力を受け付けさせることなくSA2に戻る。
【0030】
一方、手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされていない場合(SA3、No)、入力制御部64は、手動入力部61による手動入力の受け付けを制限する必要はないものとし、手動入力部61によって手動入力を受け付けさせる(SA4)。その後、制御部60は入力処理を終了する。
【0031】
また、SA1の判定の結果、車両用入力装置1が音声入力を受け付ける設定となっている場合(SA1、Yes)、利用者特定部63は、マイク30からの入力に基づき利用者による発声を検出するまで待機し(SA5、No)、利用者による発声を検出した場合(SA5、Yes)、音声が発声された場所に基づき利用者を特定する(SA6)。例えば利用者特定部63は、異なる方向に指向性を有する複数の指向性マイク30に入力された音圧を比較し、最も音圧が高い指向性マイク30の指向方向にある場所から音声が発生されたものと特定する。そして、利用者特定部63は、例えば当該利用者特定部63が特定した音声の発声場所が運転席の場合には利用者が運転者であると特定し、音声の発声場所が運転席以外の場合には利用者が運転者以外の同乗者であると特定する。なお、SA5において検出対象とする発声の内容は任意で、例えば、車両用入力装置1に対話形式での入力受付を指示する旨の音声(例えば「音声入力」との音声)がマイク30を介して入力されたか否かを利用者特定部63は判定する。
【0032】
続いて、入力制御部64は、SA6で利用者特定部63により特定された利用者が車両の運転者か否かを判定する(SA7)。その結果、SA6で利用者特定部63により特定された利用者が車両の運転者ではない場合(SA7、No)、入力制御部64は、手動入力の受け付けを制限する制限条件に基づく手動入力の制限を解除する(SA8)。すなわち、入力を行う利用者は運転者以外の同乗者であると考えられることから、入力制御部64は、手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされている場合(例えば車両が走行中の場合)であっても、音声入力部62による音声入力の受け付けに加え手動入力部61による手動入力の受け付けも可能とする。この場合、入力制御部64は、例えば手動入力の受け付けを制限する制限条件に基づく手動入力の制限を解除した旨の設定内容をRAMに記憶させる。
【0033】
次に、入力制御部64は、対話形式での入力を受け付けるに当たり、スピーカ10を介して出力させるべき質問の項目数が所定数以上であるか否かを判定する(SA9)。ここで、「スピーカ10を介して出力させるべき質問」には、肯定又は否定の回答を要求するためにスピーカ10から出力させる質問(例えば、「経路案内を終了しますか?」等の質問)や、何らかの回答を要求するためにスピーカ10から出力させる質問(例えば、「目的地はどこですか?」等の質問)の他、入力制御部64がスピーカ10を介して複数の選択肢を出力させ、当該出力した選択肢の中から所望の選択肢を利用者に選択させるための複数の選択肢(例えば、利用者が選択可能な複数の機能「自宅に帰る」「目的地検索」等)も含まれるものとする。また、「スピーカ10を介して出力させるべき質問の項目数」とは、例えば、入力制御部64が利用者に回答を要求するためにスピーカ10から出力させる質問の数の他、入力制御部64がスピーカ10を介して複数の選択肢を出力させ、当該出力した選択肢の中から所望の選択肢を利用者に選択させるための当該選択肢の数を含む。また、「所定数」とは、例えばスピーカ10から出力される質問を利用者が連続して聞き取り可能な程度の項目数(例えば3項目)を意味する。
【0034】
SA9の判定の結果、スピーカ10を介して出力させるべき質問の項目数が所定数以上である場合(SA9、Yes)、入力制御部64は、当該質問をディスプレイ20を介して表示出力させる(SA10)。図4から図6は、質問を表示出力したディスプレイ20を例示した図である。図4から図6の例では、利用者が選択可能な複数の機能(例えば「自宅に帰る」や「目的地検索」等)をディスプレイ20に表示出力させた場合を示している。
【0035】
図2に戻り、入力制御部64は、スピーカ10を介して質問を音声出力させる(SA11)。例えば図4から図6の例では、入力制御部64は、利用者が選択可能な複数の機能(例えば「自宅に帰る」や「目的地検索」等)をスピーカ10を介して読み上げさせる。
【0036】
また、SA7において、SA6で利用者特定部63により特定された利用者が車両の運転者であった場合(SA7、Yes)、運転者がディスプレイ20を見る必要がないように、入力制御部64は、ディスプレイ20を介して質問を表示出力させることなく、スピーカ10を介して質問を音声出力させる(SA11)。
【0037】
また、SA9において、スピーカ10を介して出力させるべき質問の項目数が所定数以上ではない(所定数未満である)場合(SA9、No)、入力制御部64は、スピーカ10から出力される質問を利用者が聞き取り可能であるものとし、入力制御部64は、ディスプレイ20を介して質問を表示出力させることなく、スピーカ10を介して質問を音声出力させる(SA11)。
【0038】
SA11の処理の後、図3に進み、入力制御部64は、マイク30に音声が入力されたか否かを判定する(SA12)。
【0039】
その結果、マイク30に音声が入力されていない場合(SA12、No)、入力制御部64は、ハードスイッチ40やタッチパネル50に対して利用者からの手動入力があったか否かを判定する(SA13)。
【0040】
その結果、ハードスイッチ40やタッチパネル50に対して利用者からの手動入力がなかった場合(SA13、No)、SA12に戻り、入力制御部64はマイク30に音声が入力されたか否かを再度判定する(SA12)。
【0041】
一方、ハードスイッチ40やタッチパネル50に対して利用者からの手動入力があった場合(SA13、Yes)、入力制御部64は、手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされているか否かを判定する(SA14)。
【0042】
その結果、手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされていない場合(SA14、No)、入力制御部64は、手動入力部61による手動入力の受け付けを制限する必要はないものとし、手動入力部61によって手動入力を受け付けさせる(SA15)。図4には、手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされていない場合における手動入力の受付状況を例示している。すなわち、例えば車両が停止中の場合等、手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされていない場合には、図4に示すように、入力制御部64は、利用者が運転者か否かに関わらず任意の利用者からの手動入力を手動入力部61によって受け付けさせる。
【0043】
図3に戻り、手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされている場合(SA14、Yes)、入力制御部64は、SA8の処理で当該入力制御部64が手動入力の受け付けを制限する制限条件に基づく手動入力の制限を解除しているか否かを判定する(SA16)。例えば入力制御部64はRAMを参照し、手動入力の受け付けを制限する制限条件に基づく手動入力の制限を解除した旨の設定内容がRAMに記憶されている場合に、当該入力制御部64が手動入力の受け付けを制限する制限条件に基づく手動入力の制限を解除していると判定する。
【0044】
その結果、入力制御部64が手動入力の受け付けを制限する制限条件に基づく手動入力の制限を解除している場合(SA16、Yes)、制限条件が満たされている場合であっても、音声入力部62による音声入力の受け付けに加え手動入力部61による手動入力の受け付けも可能となっているので、入力制御部64は、手動入力部61によって手動入力を受け付けさせる(SA15)。図5には、手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされており、且つ手動入力の制限が解除されている場合における入力受付状況が例示されている。すなわち、図2のSA6で利用者特定部63により特定された利用者が車両の運転者以外の同乗者である場合には、SA8で入力制御部64により手動入力の制限が解除されているので、例えば車両が走行中の場合であっても、図5に示すように入力制御部64は当該利用者からの手動入力を手動入力部61によって受け付けさせる。
【0045】
図3に戻り、入力制御部64が手動入力の受け付けを制限する制限条件に基づく手動入力の制限を解除していない場合(SA16、No)、入力制御部64は、手動入力部61による手動入力の受け付けを制限する必要があるものとし、手動入力部61によって手動入力を受け付けさせることなくSA12に戻り、マイク30に音声が入力されたか否かを再度判定する(SA12)。図6には、手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされており、且つ手動入力の制限が解除されていない場合における入力受付状況が例示されている。すなわち、図2のSA6で利用者特定部63により特定された利用者が車両の運転者である場合には、SA8で入力制御部64により手動入力の制限が解除されないので、例えば車両が走行中の場合、図6に示すように入力制御部64は当該利用者からの手動入力を手動入力部61によって受け付けさせない。
【0046】
図3に戻り、SA12において、マイク30に音声が入力された場合(SA12、Yes)、入力制御部64は、音声入力部62によって利用者の音声を認識して音声入力を受け付けさせる(SA15)。すなわち、図4から図6に示すように、利用者が運転者か否か、あるいは手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされているか否か(例えば車両が走行中か否か)に関わらず、入力制御部64は音声入力部62によって利用者の音声を認識して音声入力を受け付けさせる。なお、音声入力部62は公知の音声認識技術を用いて利用者の音声を認識する。
【0047】
SA15の処理の後、制御部60は入力処理を終了する。なお、SA10でディスプレイ20を介して表示出力された質問、又はSA11でスピーカ10を介して音声出力された質問に対する回答の入力が、SA15で手動入力部61又は音声入力部62を介して受け付けられた場合、入力制御部64は、当該受け付けられた回答に対応する情報(例えば、選択された機能に関する情報)をスピーカ10やディスプレイ20を介して出力させる。
【0048】
(効果)
このように本実施の形態によれば、入力制御部64は、利用者特定部63により特定された利用者が車両の運転者ではない場合には、手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされている場合であっても、音声入力部62による音声入力の受け付けに加え手動入力部61による手動入力の受け付けも可能とするので、例えば運転操作と無関係な同乗者による音声入力と手動入力の両方を受け付けることができ、入力時の操作性を向上させることができる。
【0049】
特に、利用者特定部63は、音声が発声された場所に基づき利用者を特定するので、車両用入力装置1を用いて入力を行おうとする利用者の位置を確実に特定できる。
【0050】
また、入力制御部64は、利用者特定部63により特定された利用者が車両の運転者ではない場合において、出力させるべき質問の項目数が所定数以上である場合、当該質問をディスプレイ20を介して出力させるので、例えば運転操作と無関係な同乗者が利用者の場合には、所定数以上の質問をディスプレイ20に表示させることで即座にその内容を利用者に把握させることができ、入力時の操作性を一層向上させることができる。
【0051】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0052】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0053】
(利用者特定部について)
上述の実施の形態では、利用者特定部63は音声が発声された場所に基づき利用者を特定すると説明したが、他の方法により、あるいは他の方法を組み合わせて、利用者を特定するようにしてもよい。例えば、利用者特定部63が、音声が発声された方向と、車両の各座席に設置された着座センサ(図示省略)からの出力とを組み合わせて利用者を特定するようにしてもよい。この場合、例えば、運転席以外の方向からの発声があり、且つ着座センサからの出力に基づき助手席に同乗者がいると特定された場合は、利用者は助手席の同乗者であると特定する。一方、運転席以外の方向からの発声があり、且つ着座センサからの出力に基づき助手席に同乗者がいないと特定された場合は、利用者は後部座席の同乗者であると特定する。なお、利用者が後部座席の同乗者であると特定された場合には、入力制御部64は、当該利用者からの手動入力を手動入力部61によって受け付けさせないようにしてもよい。
【0054】
(入力処理について)
上述の実施の形態で説明した入力処理における各処理に加えて、入力制御部64が、タッチパネル50の近傍に設けたカメラや近接センサ(図示省略)に基づき、手動入力の入力方向を特定するようにしてもよい。この場合、例えば車両が走行中の場合等、手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされている場合には、入力制御部64が、助手席側からの手動入力のみを手動入力部61によって受け付けさせるようにしてもよい。
【0055】
また、上述の実施の形態では、スピーカ10を介して出力させるべき質問の項目数が所定数以上である場合(SA9、Yes)、入力制御部64は、当該質問をディスプレイ20を介して表示出力させると説明したが、更に、手動入力用の画面をディスプレイ20に表示させるようにしてもよい。例えば、タッチパネル50を介した入力に基づきディスプレイ20に表示されている画面を移動させるためのスクロールバーを、ディスプレイ20に表示させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 車両用入力装置
10 スピーカ
20 ディスプレイ
30 マイク
40 ハードスイッチ
50 タッチパネル
60 制御部
61 手動入力部
62 音声入力部
63 利用者特定部
64 入力制御部
70 データ記録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者から手動入力を受け付ける手動入力手段と、
前記利用者の音声を認識して音声入力を受け付ける音声入力手段と、
前記利用者を特定する利用者特定手段と、
手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされている場合、前記手動入力手段による手動入力の受け付けを制限する入力制御手段とを備え、
前記入力制御手段は、前記利用者特定手段により特定された前記利用者が車両の運転者ではない場合には、前記制限条件が満たされている場合であっても、前記音声入力手段による音声入力の受け付けに加え前記手動入力手段による手動入力の受け付けも可能とする、
車両用入力装置。
【請求項2】
前記利用者特定手段は、音声が発声された場所に基づき前記利用者を特定する、
請求項1に記載の車両用入力装置。
【請求項3】
情報を音声にて出力する音声出力手段と、
情報を表示にて出力する表示出力手段と、を備え、
前記入力制御手段は、前記音声出力手段を介して質問を出力させ、当該質問に対する回答の入力が前記音声入力手段を介して受け付けられた場合、当該受け付けられた回答に対応する情報を前記音声出力手段を介して出力させるものであって、前記利用者特定手段により特定された前記利用者が車両の運転者ではない場合において、出力させるべき前記質問の項目数が所定数以上である場合、当該質問を前記表示出力手段を介して出力させる、
請求項1又は2に記載の車両用入力装置。
【請求項4】
利用者から手動入力を受け付ける手動入力ステップと、
前記利用者の音声を認識して音声入力を受け付ける音声入力ステップと、
前記利用者を特定する利用者特定ステップと、
手動入力の受け付けを制限する制限条件が満たされている場合、前記手動入力ステップにおける手動入力の受け付けを制限する入力制御ステップと、を含み、
前記入力制御ステップでは、前記利用者特定ステップで特定された前記利用者が車両の運転者ではない場合には、前記制限条件が満たされている場合であっても、前記音声入力ステップにおける音声入力の受け付けに加え前記手動入力ステップにおける手動入力の受け付けも可能とする、
車両用入力方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法をコンピュータに実行させる車両用入力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−78497(P2012−78497A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222579(P2010−222579)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】