説明

車両用内装部品及びその製造方法

【課題】容易に製造できるとともに、折り曲げ処理を施された端部の端末精度を向上させつつ、外観の見栄えが良好な車両用内装部品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本車両用内装部品1は、第1スキン層2A、樹脂発泡層2B及び第2スキン層2Cを順に備える基材2からなる車両用内装部品であって、第2スキン層側の面が意匠面とされ、本車両用内装部品の端部には、基材を第1スキン層側から第2スキン層側へ押しつぶした偏平状の舌片部3が形成され、本車両用内装部品のうち舌片部の基端に位置する部分には、第1スキン層側が傾斜面とされた傾斜部4が形成され、傾斜部は、舌片部の基端に近づくにつれて第1スキン層が第2スキン層に接近するような形態とされており、舌片部は、第1スキン層側に折り曲げられていることを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用内装部品及びその製造方法に関する。更に詳しくは、容易に製造できるとともに、折り曲げ処理を施された端部の端末精度を向上させつつ、外観の見栄えが良好な車両用内装部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドアトリム等の車両用内装部品の製造方法として、金型間に形成した空間内に溶融樹脂を射出、充填する射出成形法が広く利用されている。この射出成形法によると、複雑な形状の成形品を大量に生産することができるとともに、その製品外観も優れたものである。
【0003】
一方、車両の燃費向上のための部品の軽量化が進められており、車両用内装部品に対しての軽量化の要求も高まっている。しかしながら、上述の射出成形法では、所定肉厚以下の成形品の製造が困難であるため、軽量化にも限界があった。このため、車両用内装品の新たな製造方法として、樹脂発泡層を備える基材をプレス成形する方法が採用されるようになっている。
【0004】
プレス成形による車両用内装部品の製造方法では、加熱軟化処理された基材の外周縁を固定しておき、プレス成形用金型によりプレス成形し、端部の不要部分をトリミングするようにしている。また、このプレス成形による製造方法において、外周縁等の端部の外観を向上させるために、その端部に偏平状の巻き込みシロを形成するようにし、この巻き込みシロを裏面側に巻き込むようにすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−346945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のようにして製造された車両用内装部品の場合、巻き込みシロを折り曲げる角度が大きいため、その折り曲げられた部分の外側が白化したり、内側にしわが発生したりなど、外観不良が発生してしまう、といった問題があった。
また、図10に示すように、従来の内装部品101の端末では、巻き込みシロ103が浮いてしまう、具体的には、端末で浮きが発生してしまうことによって距離Lのふくらみが生じ、端末の外観(端末精度)があまりよくない、といった問題があった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、容易に製造できるとともに、折り曲げ処理を施された端部の端末精度を向上させつつ、外観の見栄えが良好な車両用内装部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える基材からなる車両用内装部品であって、前記第2スキン層側の面が意匠面とされ、本車両用内装部品の端部には、前記基材を前記第1スキン層側から前記第2スキン層側へ押しつぶした偏平状の舌片部が形成され、本車両用内装部品のうち前記舌片部の基端に位置する部分には、前記第1スキン層側が傾斜面とされた傾斜部が形成され、前記傾斜部は、前記舌片部の基端に近づくにつれて前記第1スキン層が前記第2スキン層に接近するような形態とされており、前記舌片部は、前記第1スキン層側に折り曲げられていることを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、更に、前記舌片部が前記傾斜部の前記傾斜面に沿って折り曲げられていることを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記舌片部は、前記傾斜面に当接する第1当接部と、本車両用内装部品の前記第1スキン層側の平坦面に当接する第2当接部と、を備えることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える基材からなり、前記第2スキン層側の面が意匠面とされた車両用内装部品の製造方法であって、前記基材を前記第1スキン層側から前記第2スキン層側へプレス成形で押しつぶすことにより、前記車両用内装部品の端部に、前記基材が前記第1スキン層側から前記第2スキン層側へ押しつぶされた偏平状の舌片部を形成するとともに、前記車両用内装部品のうち前記舌片部の基端に位置する部分に、前記第1スキン層側が傾斜面とされた傾斜部を形成するプレス成形工程と、前記舌片部が前記傾斜部の前記傾斜面に沿うように、前記舌片部を前記第1スキン層側に折り曲げる折曲工程と、を備えることを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4において、前記プレス成形工程では、前記傾斜面と、前記舌片部とのなす形態が、前記車両用内装部品の側方からみたときに略V字状となるように、プレス成形することを要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5において、前記プレス成形工程の後に、真空成形して前記樹脂発泡層を拡厚させることにより、前記傾斜面を延設する真空成形工程を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車両用内装部品によると、その端部には、基材を第1スキン層側から第2スキン層側へ押しつぶした偏平状の舌片部が形成される。また、本車両用内装部品のうち舌片部の基端に位置する部分には、第1スキン層側が傾斜面とされた傾斜部が形成される。この傾斜部は、舌片部の基端に近づくにつれて第1スキン層が第2スキン層に接近するような形態とされている。更に、舌片部は、第1スキン層側に折り曲げられている。このような構成により、例えば図11に示すように、内装部品201の舌片部203が第1スキン層側に折り曲げられた際に浮きが発生したとしても、端末のふくらみが抑制され、端末の外観が良好となる(端末精度が向上する)。
【0015】
また、更に、前記舌片部が前記傾斜部の前記傾斜面に沿って折り曲げられている場合は、更に、端末のふくらみが抑制され、端末の外観が良好となる(端末精度が向上する)
【0016】
更に、前記舌片部は、前記傾斜面に当接する第1当接部と、本車両用内装部品の前記第1スキン層側の平坦面に当接する第2当接部と、を備える場合は、傾斜面及び平坦面に接する舌片部の面積を大きくすることができる。これにより、舌片部と、傾斜面及び平坦面と、を接着する場合に、より確実に固定することができる。
【0017】
本発明の車両用内装部品の製造方法によると、基材を第1スキン層側から第2スキン層側へプレス成形で押しつぶすことにより、車両用内装部品の端部に、基材が第1スキン層側から第2スキン層側へ押しつぶされた偏平状の舌片部を形成するとともに、車両用内装部品のうち舌片部の基端に位置する部分に、第1スキン層側が傾斜面とされた傾斜部を形成するプレス成形工程と、舌片部が傾斜部の傾斜面に沿うように、舌片部を第1スキン層側に折り曲げる折曲工程と、を備えている。これにより、例えば図11に示すように、内装部品201の舌片部203が第1スキン層側に折り曲げられた際に浮きが発生したとしても、端末のふくらみが抑制され、端末の外観が良好となる(端末精度が向上する)。また、舌片部及び傾斜部を容易に形成することができる。
【0018】
また、更に、前記プレス成形工程では、前記傾斜面と、前記舌片部とのなす形態が、前記車両用内装部品の側方からみたときに略V字状となるように、プレス成形する場合は、舌片部を折り曲げる際の折り曲げ角度を小さくすることができるので、舌片部の折り曲げ部に白化やひび割れ、しわ等が発生していない良好な外観の車両用内装部品を製造することができる。
【0019】
更に、前記プレス成形工程の後に、真空成形して前記樹脂発泡層を拡厚させることにより、前記傾斜面を延設する真空成形工程を備える場合は、傾斜面を効率よく成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】本実施例に係る車両用内装部品の概略を示す図である。
【図2】図1のI−I部分断面図である。
【図3】本実施例に係る車両用内装部品の部分縦断面図である。
【図4】本実施例に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図5】本実施例に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図6】本実施例に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図7】本実施例に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図8】本実施例に係る車両用内装部品の製造方法を説明するための説明図である。
【図9】他の実施形態に係る車両用内装部品の部分縦断面図である。
【図10】従来の車両用内装部品の例を示す図であって、端末の浮き状態を説明するための部分縦断面図である。
【図11】傾斜部が形成されている車両用内装部品の端末の浮き状態を説明するための部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0022】
1.車両用内装部品
本実施形態1.に係る車両用内装部品は、第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える基材からなる車両用内装部品であって、
第2スキン層側の面が意匠面とされ、本車両用内装部品の端部には、基材を第1スキン層側から第2スキン層側へ押しつぶした偏平状の舌片部が形成され、本車両用内装部品のうち舌片部の基端に位置する部分には、第1スキン層側が傾斜面とされた傾斜部が形成され、この傾斜部は、舌片部の基端に近づくにつれて第1スキン層が第2スキン層に接近するような形態とされており、舌片部は、第1スキン層側に折り曲げられていることを特徴とする(例えば、図3等参照)。
尚、上記車両用内装部品としては、例えば、ドアトリム(例えば、図1等参照)、インストルメントパネル、ルーフトリム、デッキボード、パッケージトレイ等の車両用内装部品を挙げることができる。
【0023】
上記「基材」は、第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える限り、その構造、大きさ、形状、材質等は特に限定されない。この基材としては、例えば、上記各層を積層して形成されるシート状であることができる。また、この基材からなる車両用内装部品は、第2スキン層側の面が意匠面とされている。尚、この基材は、第1スキン層と樹脂発泡層との間及び樹脂発泡層と第2スキン層との間、の一方又は両方に、他の層が介在していてもよい。
【0024】
上記第1スキン層及び第2スキン層の材質としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性の合成樹脂を挙げることができる。また、第1スキン層及び第2スキン層は、通常、これら熱可塑性樹脂からなるシート状である。
上記樹脂発泡層の材質としては、例えば、上記第1スキン層及び第2スキン層と同様の熱可塑性樹脂を採用することができる。この樹脂発泡層は、通常、それら熱可塑性樹脂に発泡剤を添加して発泡させたシート状である。
【0025】
上記「舌片部」は、本車両用内装部品の端部に形成され、上記基材を第1スキン層側から第2スキン層側へ押しつぶした偏平状である限り、その大きさ、個数等は特に限定されない。また、この舌片部は第1スキン層側に折り曲げられており、その折れ角度θ1は、例えば、30〜85°であることができ、好ましくは、45〜60°であることができる(例えば、図3等参照)。また、この折り曲げは、プレス成形等により舌片部を偏平状に形成する際に同時に折り曲げられることが好ましい。
【0026】
上記「傾斜部」は、本車両用内装部品のうち上記舌片部の基端に位置する部分に形成され、第1スキン層側が傾斜面とされ、上記舌片部の基端に近づくにつれて第1スキン層が第2スキン層に接近するような形態とされている限り、その大きさ、個数等は特に限定されない。この傾斜部の傾斜面の傾斜角度θ2は、例えば、30〜85°であることができ、好ましくは、45〜60°であることができる(例えば、図3等参照)。
ここで、上記舌片部の第1スキン層側の面と上記傾斜部の第1スキン層側の面とがなす角度θ3としては、例えば、10〜90°であることができ、好ましくは、45〜90°、更に好ましくは、45〜60°であることができる(例えば、図3等参照)。
【0027】
ここで、本実施形態1.における車両用内装部品は、例えば、上記舌片部が上記傾斜部の傾斜面に沿って折り曲げられていることができる(例えば、図2等参照)。この折り曲げられた舌片部は、例えば、接着剤や熱溶着等により傾斜部の傾斜面に接着されていてもよいし、接着されず、傾斜面に沿うように折り曲げられているのみでもよい。
【0028】
ここで、上記舌片部は、例えば、前記傾斜面に当接する第1当接部と、本車両用内装部品の前記第1スキン層側の平坦面に当接する第2当接部と、を備えることができる(例えば、図8等参照)。この舌片部の先端側の部分は、例えば、接着剤や熱溶着等により平坦面に接着されていてもよいし、接着されず、平坦面に沿うように折り曲げられているのみでもよい。
【0029】
2.車両用内装部品の製造方法
本実施形態2.にかかる車両用内装部品の製造方法は、第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える基材からなり、第2スキン層側の面が意匠面とされた車両用内装部品の製造方法であって、
基材を第1スキン層側から第2スキン層側へプレス成形で押しつぶすことにより、車両用内装部品の端部に、基材が第1スキン層側から第2スキン層側へ押しつぶされた偏平状の舌片部を形成するとともに、車両用内装部品のうち舌片部の基端に位置する部分に、第1スキン層側が傾斜面とされた傾斜部を形成するプレス成形工程(例えば、図4,5等参照)と、舌片部が傾斜部の傾斜面に沿うように、舌片部を第1スキン層側に折り曲げる折曲工程(例えば、図2等参照)と、を備えることを特徴とする。
【0030】
上記プレス成形工程では、例えば、傾斜面と、舌片部とのなす形態が、前記車両用内装部品の側方からみたときに略V字状となるように、プレス成形することができる(例えば、図3等参照)。
【0031】
ここで、本実施形態2.における車両用内装部品の製造方法は、例えば、上記プレス成形工程の後に、真空成形して樹脂発泡層を拡厚させることにより、傾斜面を延設する真空成形工程を備えることができる(例えば、図5,6等参照)。
【実施例】
【0032】
以下、図面を用いて、実施例により本発明を更に具体的に説明する。尚、本実施例では、本発明に係る車両用内装部品として、図1に示すように、ドアの車室内側の面に取り付けられるドアトリム1を例示する。
【0033】
(1)車両用内装部品の構成
本実施例に係る車両用内装部品であるドアトリム1は、図2に示すように、第1スキン層2A、樹脂発泡層2B及び第2スキン層2Cを順に備える基材2からなる。ドアトリム1の端部には、基材2を第1スキン層2A側から第2スキン層2C側へ押しつぶした偏平状の舌片部3が形成されている。また、ドアトリム1のうち、舌片部3の基端に位置する部分には、第1スキン層2A側が傾斜面とされた傾斜部4が形成されている。この傾斜部4は、舌片部3の基端に近づくにつれて第1スキン層2Aが第2スキン層2Cに接近するような形態とされている。これにより、舌片部3と傾斜部4の傾斜面とは、断面形状が略V字の溝状となっている。また、このドアトリム1は、第2スキン層2C側の面が意匠面とされている。即ち、ドアトリム1の第2スキン層2C側の面は車両の室内側の面であり、第1スキン層2A側の面は車両のドアパネルに取り付けられる面である。
【0034】
図2に示すように、舌片部3は第1スキン層2A側に折り曲げられており、傾斜部4の傾斜面に接している。折曲げられる前の舌片部3は、図3に示すように、予め所定の曲げ角度θ1(例えば、約60°)折り曲げられた状態とされている。また、傾斜部4の傾斜面は所定の傾斜角θ2(例えば、約60°)とされている。そして、舌片部3の第1スキン層2A側の面と傾斜部4の傾斜面とがなす角度はθ3(例えば、約60°)とされている。即ち、図2に示すドアトリム1は、図3に示すように、予めθ1折り曲げられた状態の舌片部3を更に角度θ3折り曲げることにより、θ2の傾斜角の傾斜部4の傾斜面に沿って折り曲げられた状態となっている。
【0035】
(2)車両用内装部品の製造方法
次に、上記構成の車両用内装部品であるドアトリム1の製造方法について説明する。
まず、図4に示すように、加熱軟化処理したシート状の基材2を、プレス成形用金型5,6の間に配置する。このとき、基材2のプレス成形用金型5,6からはみ出した外周縁の部分は、図示しない固定手段により固定されている。次いで、図5に示すように、基材2をプレス成形用金型5,6によりプレス成形する(プレス成形工程)。これにより、舌片部3及び傾斜部4に相当する部分が形成される。また、このプレス成形工程により、舌片部3と、傾斜部4の傾斜面とのなす形態が、ドアトリム1の側方からみたときに略V字状となる。そして、図6に示すように、プレス成形用金型5,6の間の空間Sを真空引きすることにより、樹脂発泡層2Bを拡厚させる(真空成形工程)。これにより、基材2の板厚が成形前よりも厚くなり、傾斜面が延設されるとともに、所要形状に成形される。その後、図7に示すように、プレス成形用金型5,6から成形された基材2を脱型し、図8に示すように、不要部分をトリミング刃7によりトリミングする。これにより、図3に示すドアトリム1となる。更に、舌片部3を傾斜部4の傾斜面に沿うように折り曲げる折曲工程を経て、図2に示すドアトリム1となる。尚、本実施例においては、舌片部3と傾斜部4の傾斜面とは接着されている。
【0036】
(3)実施例の効果
【0037】
以上より、本実施例のドアトリム1では、その端部に基材2を第1スキン層2A側から第2スキン層2C側へ押しつぶした偏平状の舌片部3が形成される。また、ドアトリム1のうち舌片部3の基端に位置する部分には、第1スキン層2A側が傾斜面とされた傾斜部4が形成される。この傾斜部4は、舌片部3の基端に近づくにつれて第1スキン層2Aが第2スキン層2Cに接近するような形態とされている。更に、舌片部3は、第1スキン層2A側に折り曲げられている。このような構成により、第1スキン層2A側に折り曲げられた舌片部3に浮きが発生したとしても、端末のふくらみが抑制され、端末の外観が良好となる(端末精度が向上する)。
【0038】
また、更に、舌片部3が傾斜部4の傾斜面に沿って折り曲げられているので、端末のふくらみが抑制され、端末の外観が良好となる(端末精度が向上する)。
【0039】
更に、舌片部3と傾斜部4の傾斜面とは断面形状が略V字の溝状としたので、舌片部3を傾斜部4の傾斜面と接するまで折り曲げる際にV字状部の頂点部を折り曲げ起点として折り曲げることができ、端縁に波打ち等の不具合が発生することなく、良好な外観のドアトリム1を実現できる。
【0040】
また、本実施例の車両用内装部品の製造方法では、基材2を第1スキン層2A側から第2スキン層2C側へプレス成形で押しつぶすことにより、ドアトリム1の端部に、基材2が第1スキン層2A側から第2スキン層2C側へ押しつぶされた偏平状の舌片部3を形成するとともに、ドアトリム1のうち舌片部3の基端に位置する部分に、第1スキン層2A側が傾斜面とされた傾斜部4を形成するプレス成形工程と、舌片部3が傾斜部4の傾斜面に沿うように、舌片部3を第1スキン層2A側に折り曲げる折曲工程と、を備えている。これにより、舌片部3が第1スキン層2A側に折り曲げられた際に浮きが発生したとしても、端末のふくらみが抑制され、端末の外観が良好となる(端末精度が向上する)。また、舌片部3及び傾斜部4を容易に形成することができる。
【0041】
また、更に、プレス成形工程では、傾斜面と、舌片部3とのなす形態が、ドアトリム1の側方からみたときに鋭角の略V字状となるようにプレス成形し、そのV字状部の頂点部を折り曲げ起点として舌片部3を傾斜部4の傾斜面と沿うように折り曲げることにより、舌片部3を折り曲げる際の折り曲げ角度θ3を小さくできるため、折り曲げ部Aに白化やひび割れ、しわ等が発生していない良好な外観のドアトリム1を製造することができる。
【0042】
更に、プレス成形工程の後に、真空成形して樹脂発泡層2Bを拡厚させることにより、傾斜面を延設する真空成形工程を備えるので、傾斜面を効率よく成形することができる。
【0043】
尚、本発明においては、上記の具体的な実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、舌片部3が傾斜部4の傾斜面と接するまで折り曲げられている例を示したが、これに限定されず、例えば、図9に示すように、傾斜部4の傾斜面に当接する第1当接部23Aと、車両用内装部品21の第1スキン層2A側の平坦面に当接する第2当接部23Bと、を備える舌片部23としてもよい。このようにすることで傾斜面及び車両用内装部品の第1スキン層側の平坦面に接する舌片部の面積を大きくすることができる。この結果、舌片部と、傾斜面及び平坦面と、を接着する場合に、より確実に固定することができる。
【0044】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0045】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1;車両用内装部品(ドアトリム)、21;車両用内装部品、2;基材、2A;第1スキン層、2B;樹脂発泡層、2C;第2スキン層、3,23;舌片部、4;傾斜部、5,6;プレス成形用金型、7;トリミング刃、23A;第1当接部、23B;第2当接部、L;距離、S;空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える基材からなる車両用内装部品であって、
前記第2スキン層側の面が意匠面とされ、
本車両用内装部品の端部には、前記基材を前記第1スキン層側から前記第2スキン層側へ押しつぶした偏平状の舌片部が形成され、
本車両用内装部品のうち前記舌片部の基端に位置する部分には、前記第1スキン層側が傾斜面とされた傾斜部が形成され、
前記傾斜部は、前記舌片部の基端に近づくにつれて前記第1スキン層が前記第2スキン層に接近するような形態とされており、
前記舌片部は、前記第1スキン層側に折り曲げられていることを特徴とする車両用内装部品。
【請求項2】
更に、前記舌片部が前記傾斜部の前記傾斜面に沿って折り曲げられている請求項1に記載の車両用内装部品。
【請求項3】
前記舌片部は、前記傾斜面に当接する第1当接部と、本車両用内装部品の前記第1スキン層側の平坦面に当接する第2当接部と、を備える請求項2に記載の車両用内装部品。
【請求項4】
第1スキン層、樹脂発泡層及び第2スキン層を順に備える基材からなり、
前記第2スキン層側の面が意匠面とされた車両用内装部品の製造方法であって、
前記基材を前記第1スキン層側から前記第2スキン層側へプレス成形で押しつぶすことにより、前記車両用内装部品の端部に、前記基材が前記第1スキン層側から前記第2スキン層側へ押しつぶされた偏平状の舌片部を形成するとともに、前記車両用内装部品のうち前記舌片部の基端に位置する部分に、前記第1スキン層側が傾斜面とされた傾斜部を形成するプレス成形工程と、
前記舌片部が前記傾斜部の前記傾斜面に沿うように、前記舌片部を前記第1スキン層側に折り曲げる折曲工程と、
を備えることを特徴とする車両用内装部品の製造方法。
【請求項5】
前記プレス成形工程では、前記傾斜面と、前記舌片部とのなす形態が、前記車両用内装部品の側方からみたときに略V字状となるように、プレス成形する請求項4記載の車両用内装部品の製造方法。
【請求項6】
前記プレス成形工程の後に、真空成形して前記樹脂発泡層を拡厚させることにより、前記傾斜面を延設する真空成形工程を備える請求項4又は5記載の車両用内装部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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