説明

車両用冷却装置

【課題】ラジエータの冷却性能を向上させる。
【解決手段】冷却風Lがガスクーラ110とエンジンラジエータ120とを通過することにより、冷媒・エンジン冷却液と冷却風Lとの間で熱交換が行われ、冷媒・エンジン冷却液が冷却される。その際、車両前側方向から見て、ガスクーラ110の上端110AからX幅分の高温領域Kには、エンジンラジエータ120が重なっていないので、ガスクーラ110の高温領域Kを通過し、高温の冷媒と熱交換されて高温となった冷却風Lの、エンジンラジエータ120への通風が抑制される。また、ガスクーラ110の高温領域Kからの輻射熱によるエンジンラジエータ120への影響も抑制される。よって、エンジンラジエータ120の不要な受熱が抑制され、エンジンラジエータ120の冷却性能が向上される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車両用冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、車両前部のエンジンルーム内には、エンジン冷却液を冷却させるエンジンラジエータと、このエンジンラジエータの車両前方側に隣接して配置された空調用の冷媒を冷却させるガスクーラと、が設置されている。そして、車両前部のフロントグリル等から導風された冷却風がガスクーラとエンジンラジエータとを通過することで冷却液と冷媒が冷却される。また、これらガスクーラとエンジンラジエータとが一体化された車両用冷却装置が知られている。
【0003】
さて、ガスクーラとエンジンラジエータとが一体化された車両用冷却装置において、ガスクーラを高温エリアとなる第1ガスクーラ部と中低温エリアとなる第2ガスクーラ部とに分割すると共に、エンジンラジエータを高温エリアとなる第1ラジエータ部と中低温エリアとなる第2ラジエータ部とに分割し、第1ガスクーラ部(高温エリア)と第1ラジエータ部(高温エリア)とを冷却風の流れ方向の下流側に配置すると共に、第2ガスクーラ部(中低温エリア)と第2ラジエータ部(中低温エリア)を冷却風の流れ方向の上流側に配置することで、ガスクーラ及びエンジンラジエータの高温エリアを、それぞれ中低温エリアを通過した冷却風によって冷却させ冷却性能を向上させた車両用冷却装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2005−274068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、空調用冷却装置の通風方向下流側にエンジンラジエータが配設された車両用冷却装置におけるエンジンラジエータの冷却性能の更なる向上が求められている。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、空調用冷却装置の通風方向下流側にエンジンラジエータが配設された車両用冷却装置において、エンジンラジエータの冷却性能を向上させることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の車両用冷却装置は、空調用の冷媒が流れる空調用熱交換器とエンジン冷却液が流れるエンジンラジエータとに冷却風が通風され、前記エンジンラジエータが前記空調用熱交換器の通風方向下流側に隣接して配設された車両用冷却装置であって、前記空調用熱交換器を冷媒が流入する流入口側の高温領域と冷媒が排出される排出口側の低温領域とに区分し、通風方向に見て、前記エンジンラジエータは前記空調用熱交換器の前記高温領域に重ならないことを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の車両用冷却装置では、冷却風の通風方向に見て、エンジンラジエータは空調用熱交換器の高温領域に重ならないので、空調用熱交換器の高温領域を通過し高温となった冷却風のエンジンラジエータへの通風が抑制される。また、空調用熱交換器の高温領域からの輻射熱によるエンジンラジエータへの影響も抑制される。よって、エンジンラジエータの受熱が抑制される。したがって、エンジンラジエータの冷却性能が向上される。
【0008】
請求項2に記載の車両用冷却装置は、請求項1に記載の構成において、通風方向に見て、前記エンジンラジエータは前記空調用熱交換器と重ならないで露出する露出領域を有することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の車両用冷却装置では、冷却風の通風方向に見て、エンジンラジエータは空調用熱交換器と重ならないで露出する露出領域には、空調用熱交換器を通過していない冷却風が通風される。したがって、エンジンラジエータの冷却性能が更に向上される。
【0010】
請求項3に記載の車両用冷却装置は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記空調用熱交換器の前記高温領域の通風方向下流側に、通風抵抗部材が備えられていることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の車両用冷却装置では、空調用熱交換器の高温領域の通風方向下流側に、通風抵抗部材が備えられているので、空調用熱交換器の高温領域を通過する冷却風の風量が抑えられ、その分空調用熱交換器の低温領域を通過し、エンジンラジエータに通風される冷却風が増加する。したがって、エンジンラジエータの冷却性能が更に向上される。
【0012】
請求項4に記載の車両用冷却装置は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の構成において、前記空調用熱交換器の前記高温領域と前記低温領域との境界部と前記エンジンラジエータの端部との間にシェラウドが掛け渡されていることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の車両用冷却装置では、空調用熱交換器の高温領域と低温領域との境界部とエンジンラジエータの端部との間にシェラウドが掛け渡され、空調用熱交換器の高温領域の通風方向下流側の空間と低温領域の通風方向下流側の空間とが仕切られている。よって、空調用熱交換器の高温領域を通過し高温となった冷却風のエンジンラジエータへの通風が更に抑制される(略通風されない)。また、空調用熱交換器の高温領域からの輻射熱によるエンジンラジエータへの影響が更に抑制される。したがって、エンジンラジエータの冷却性能が更に向上される。
【0014】
請求項5に記載の車両用冷却装置は、空調用の冷媒が流れる空調用熱交換器とエンジン冷却液が流れるエンジンラジエータとに冷却風が通風され、前記エンジンラジエータが前記空調用熱交換器の通風方向下流側に隣接して配設された車両用冷却装置であって、前記空調用熱交換器を冷媒が流入する流入口側の高温領域と冷媒が前排出される排出口側の低温領域とに区分し、前記空調用熱交換器の前記高温領域と前記低温領域との境界部と前記エンジンラジエータの端部と間にシェラウドが掛け渡されていることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の車両用冷却装置では、空調用熱交換器の高温領域と低温領域との境界部とエンジンラジエータの端部との間にシェラウドが掛け渡され、空調用熱交換器の高温領域の通風方向下流側の空間と低温領域の通風方向下流側の空間とが仕切られている。よって、空調用熱交換器の高温領域を通過し高温となった冷却風のエンジンラジエータへの通風が抑制される(略通風されない)。また、空調用熱交換器の高温領域からの輻射熱によるエンジンラジエータへの影響が抑制される。よって、エンジンラジエータの受熱が抑制される。したがって、エンジンラジエータの冷却性能が向上される。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように請求項1に記載の車両用冷却装置によれば、冷却風の通風方向の通風方向に見て、エンジンラジエータを空調用熱交換器の高温領域に重ねないことにより、エンジンラジエータの受熱を抑制するので、エンジンラジエータの冷却性能を向上させることができる、という優れた効果を有する。
【0017】
請求項2に記載の車両用冷却装置によれば、空調用熱交換器を通過しない冷却風をエンジンラジエータの露出領域に通風させるので、エンジンラジエータの冷却性能を更に向上させることができる、という優れた効果を有する。
【0018】
請求項3に記載の車両用冷却装置によれば、通風抵抗部材によって空調用熱交換器の高温領域を通過する冷却風の風量を抑え、低温領域を通過しエンジンラジエータに通風される冷却風を増加させるので、エンジンラジエータの冷却性能を更に向上させることができる、という優れた効果を有する。
【0019】
請求項4に記載の車両用冷却装置によれば、空調用熱交換器の高温領域の通風方向下流側の空間と低温領域の通風方向下流側の空間とをシェラウドで仕切きることで、エンジンラジエータの冷却性能を更に向上させることができる、という優れた効果を有する。
【0020】
請求項5に記載の車両用冷却装置によれば、空調用熱交換器の高温領域の通風方向下流側の空間と低温領域の通風方向下流側の空間とをシェラウドで仕切きり、エンジンラジエータの受熱を抑制するので、エンジンラジエータの冷却性能を向上させることができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図1を用いて、本発明の第一実施形態について説明する。なお、図中の矢印UPは車両上方向を示し、矢印FRは車両前側方向を示し、矢印OUTは車両幅方向外側方向を示す。
【0022】
図1(A)に示すように、車両10の前部のエンジンルーム12に、車両用冷却装置100が配設されている。車両用冷却装置100は、エンジンルーム12の車両前方側に配設された空調用の冷媒が流れるガスクーラ110と、このガスクーラ110の車両後方側に隣接して配設され、エンジン冷却液が流れるエンジンラジエータ120と、を有している。また、エンジンラジエータ120の車両後方側には冷却ファン102が配設されている。
【0023】
車両10には、車室内を空調する空調装置(図示略)が設けられている。空調装置は、コンプレッサ20、膨張弁22、エバポレータ(図示略)及び前述したガスクーラ110が冷媒循環路にて連通され、冷媒を循環させる冷凍サイクルが形成されている。なお、本実施形態では、空調用の冷媒として、CO(炭酸ガス)が用いられている。
【0024】
図1(B)に示すように、空調用の冷媒はコンプレッサ20によって圧縮された後、ガスクーラ110の車両幅方向外側の側壁110Cの上端部に設けられた流入口112から流入し、側壁110Cの下端部に設けられた排出口114から排出される。排出された冷媒は膨張弁22で減圧される。また、ガスクーラ110の内部での冷媒の流れは、矢印Nで示すように、車両幅方向に進み、折り返し蛇行しながら流れている。
【0025】
図1(A)に示すように、エンジンラジエータ120は、内部にエンジン冷却液が流れ、エンジン(図示略)との間で循環される。
【0026】
そして、車両10が前進走行することにより、フロントグリル14等から外気が冷却風Lとして導風され、導風された冷却風Lがガスクーラ110とエンジンラジエータ120とを通風することにより、冷媒・エンジン冷却液と冷却風Lとの間で熱交換が行われ、冷媒・エンジン冷却液が冷却される。
【0027】
なお、本実施形態においては、冷却風Lの導風方向、及び導風された冷却風Lが車両用冷却装置100を通過する通風方向は、車両前後方向と略一致する。
【0028】
また、エンジンラジエータ120の車両後方側(通風方向下流側)に配設された冷却ファン102が、車両停車時や低速走行時など、車両用冷却装置100の冷却性能が低下した際に自動的に作動される。
【0029】
図1に示すように、車両前方側から見て(通風方向に見て)、ガスクーラ110とエンジンラジエータ120は、車両幅方向に横長の略長方形状とされている。ガスクーラ110の内部の冷媒は上述したように冷却風Lとの熱交換によって冷却されるので、流入口112(図1(B)参照)付近が最も高く、排出口114(図1(B)参照)に近づくにつれて温度が低下する。よって、ガスクーラ110は、車両前方側から見て(通風方向に見て)、流入口112側、すなわち、上端110AからX幅部分が高温となる高温領域Kと、この下の排出口114側の低温領域Tと、に区分けされる(図中のドットは高温部分を表している)。
【0030】
ガスクーラ110とエンジンラジエータ120とは、車両幅方向の長さは略同じとされているが、車両上下方向の高さは、ガスクーラ110の方が、エンジンラジエータ120よりもXだけ高い。つまり、エンジンラジエータ120の上端120Aは、ガスクーラ110の高温領域Kと低温領域Tの境界部111と略同じ高さとされる。よって、車両前方側から見て、ガスクーラ110の上端からX幅分の高温領域Kには、エンジンラジエータ120は重ならない構成とされている(高温領域Kの通風方向下流側にはエンジンラジエータ120は配設されていない)。なお、ガスクーラ110とエンジンラジエータ120の側壁同士及び下端同士は、略同一の位置に配設される。
【0031】
エンジンラジエータ120の上端120Aと冷却ファン102の上端102Aとの間を掛け渡すようにシュラウド150がエンジンラジエータ120の上端120Aに設けられている。同様に、エンジンラジエータ120の下端120Bと冷却ファン102の下端102Bとの間を掛け渡すようにシュラウド152がエンジンラジエータ120の下端120Bに設けられている。
【0032】
更に、ガスクーラ110の高温領域Kと低温領域Tとの境界部111とエンジンラジエータ120の上端120Aとの間を掛け渡すようにシュラウド160がエンジンラジエータ120の上端120Aに設けられている。また、ガスクーラ110の下端110Bとエンジンラジエータ120の下端120Bとの間を掛け渡すようにシュラウド162がエンジンラジエータ120の下端120Bに設けられている。
【0033】
なお、本実施形態の車両用冷却装置100は、ガスクーラ110、エンジンラジエータ120、シュラウド150、152、160、162、冷却ファン102が一体的に構成されている。
【0034】
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
【0035】
前述したように、冷却風Lがガスクーラ110とエンジンラジエータ120とを通過することにより、冷媒・エンジン冷却液と冷却風Lとの間で熱交換が行われ、冷媒・エンジン冷却液が冷却される。
【0036】
その際、車両前側方向から見て、ガスクーラ110の上端110AからX幅分の高温領域Kには、エンジンラジエータ120が重なっていないので(高温領域Kの通風方向下流側にはエンジンラジエータ120は配設されていないので)、ガスクーラ110の高温領域Kを通過し、高温の冷媒と熱交換されて高温となった冷却風Lの、エンジンラジエータ120への通風が抑制される。また、ガスクーラ110の高温領域Kの近接領域にはエンジンラジエータ120は配設されていないので、高温領域Kからの輻射熱によるエンジンラジエータ120への影響も抑制される。よって、エンジンラジエータ120への不要な受熱が抑制される。したがって、エンジンラジエータ120の冷却性能が向上される。
【0037】
更に、本実施形態では、ガスクーラ110の高温領域Kと低温領域Tとの境界部111とエンジンラジエータ120の上端120Aとの間を掛け渡すようにシュラウド160が設けられ、高温領域Kの通風方向下流側の空間と低温領域Tの通風方向下流側の空間とが仕切られている。よって、ガスクーラ110の高温領域Kを通過した冷却風Lは、殆どエンジンラジエータ120に通風されない。また、ガスクーラ110の高温領域Kからの輻射熱による受熱の影響も更に抑制される。つまり、エンジンラジエータ120の不要な受熱がより確実に抑制される。したがって、エンジンラジエータ120の冷却性能がより一層向上される。
【0038】
なお、冷却ファン102が作動した場合でも、ガスクーラ110の高温領域Kを通過した冷却風Lが、エンジンラジエータ120に通風される(吸い込まれる)ことが、シュラウド160によって防止される。
【0039】
また、エンジンラジエータ120が局所的に高温となることが抑制されるので(エンジンラジエータ120の温度分布が均一化されるので)、エンジンラジエータ120の熱ひずみが抑制される。
【0040】
また、エンジンラジエータ120の車両前方側(通風方向上流側)の雰囲気温度が低温になるので、冷却ファン102の動作頻度や回転数が低下する。よって、冷却ファン102が長寿命化されると共に作動音が低下される(低騒音化する)。
【0041】
ここで、本実施形態では、空調用の冷媒としてCO(炭酸ガス)が用いられている。冷媒にCOを用いた場合のCOサイクルは凝縮を伴わないため理論効率が低いので、作動圧力を高める必要がある。このため、冷媒(CO)の温度は、約150℃まで高められる。約150℃に高められた冷媒は、ガス相のままガスクーラ110の流入口112から流入し冷却風Lと熱交換され冷却される。よって、ガスクーラ110の流入口112側の高温領域Kの温度も最大で約150℃となるので、エンジンラジエータ120の受熱も大きい。したがって、このように空調用の冷媒としてCO(炭酸ガス)が用いられている場合、エンジンラジエータ120の受熱を抑制させることは好適である。
【0042】
なお、冷媒(CO)の温度は、熱交換により急激に冷却されるので、ガスクーラ110の排出口114から排出されるときは、約40℃まで低下される。よって、エンジンラジエータ120の冷却性能に影響を与えるガスクーラ110の高温領域K(X幅)は局所的である。つまり、ガスクーラ110とエンジンラジエータ120との車両上下方向の高さの差Xは僅かである。したがって、ガスクーラの高温領域にエンジンラジエータが重ならないように、ガスクーラを大型化する影響は小さい。或いは、ガスクーラの高温領域にエンジンラジエータが重ならないように、エンジンラジエータの車両上下方向の高さをX低くしたとしても、冷却性能への影響は小さい。
【0043】
つぎに、図2を用いて、本発明の第二実施形態について説明する。なお、第一実施形態と同一の部材は同一の符号とし、重複する説明は省略する。
【0044】
第二実施形態の車両用冷却装置200では、ガスクーラ110とエンジンラジエータ220の車両上下方向の高さは略同じとされている。しかし、エンジンラジエータ220の方がXだけ車両下側にオフセットされて配設されている。よって、車両前側方向から見て、ガスクーラ110の上端110AからX幅分の高温領域Kには、エンジンラジエータ120は重ならない。また、ガスクーラ110の下端110AからX幅分エンジンラジエータ120が露出する。なお、この露出した部分を露出領域Rとする。
【0045】
また、エンジンラジエータ220の下端220Bに設けられたシュラウド262は、車両前方側に略水平に延びるように配設され、前端262Aが自由端となっている。
【0046】
なお、冷却ファン202は、ガスクーラ110の露出領域Rにかかるように設けられている。
【0047】
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
【0048】
エンジンラジエータ220の露出領域には、ガスクーラ110を通過していない低温の冷却風が通風される。よって、エンジンラジエータ220の冷却性能が向上される。特に、アイドル時や低速走行時など風量が低下した場合であっても、本構成とすることで、エンジンラジエータ220の冷却性能が確保されるので、好適である。
【0049】
なお、本実施形態では、ガスクーラ110の下端110Bからエンジンラジエータ120の露出領域Rが露出したが、これに限定されない。例えば、ガスクーラ110の側壁110Cから車両幅方向外側方向にエンジンラジエータの露出領域が露出する構成であってもよい。
【0050】
つぎに、図3を用いて、本発明の第三実施形態について説明する。なお、第一実施形態と同一の部材は同一の符号とし、重複する説明は省略する。
【0051】
第三実施形態の車両用冷却装置300のエンジンラジエータ320は、第一実施形態の車両上下方向の高さが車両冷却用装置100のエンジンラジエータ120(図1(A)参照)よりも低く、車両前後方向の幅はエンジンラジエータ120よりも厚い。
【0052】
また、冷却ファン302の上端302Aはエンジンラジエータ320の上端320Aを越える。そして、ガスクーラ110の上端110Aと冷却ファン302の上端302Aとの間を掛け渡すようにシュラウド350が設けられている。
【0053】
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
【0054】
エンジンラジエータ320は、車両上下方向の高さは低いが、車両前後方向の幅が厚くなっている分、冷却性能が維持(又は向上)される。また、冷却ファン302はガスクーラ110の高温領域Kに対しても、強制的に冷却風Lを通風させるので、ガスクーラ110の冷却性能が向上される。
【0055】
つぎに、図4を用いて、本発明の第四実施形態について説明する。なお、第三実施形態と同一の部材は同一の符号とし、重複する説明は省略する。
【0056】
第四実施形態の車両用冷却装置400は、第三実施形態の車両用冷却装置300(図3参照)と略同様の構成であるが、シュラウド350とエンジンラジエータ320の上端320Aとの間に、エンジンラジエータ320と略同等の通風抵抗を持つパネル部材450が配設されている点が異なっている。換言すると、ガスクーラ110の高温領域Kの通風方向下流側に、パネル部材450が備えられている。
【0057】
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
【0058】
パネル部材450によって、ガスクーラ110の車両後方側(通風方向下流側)の通風抵抗が均一化される。これにより、ガスクーラ110を通過する風量が均一化される。つまり、パネル部材450を有しない構成と比較し、高温領域Kを通過する風量が減少し、低温領域Tを通過する風量が増大する。よって、パネル部材450を有しない構成と比較し、エンジンラジエータ320を通風する風量が増加し、エンジンラジエータ320の冷却性能が向上される。
【0059】
つぎに、図5を用いて、本発明の第五実施形態について説明する。なお、第一実施形態と同一の部材は同一の符号とし、重複する説明は省略する。
【0060】
第五実施形態の車両用冷却装置500のエンジンラジエータ520の車両上下方向の高さは、ガスクーラ110よりも若干低い(エンジンラジエータ520は、第一実施形態のエンジンラジエータ120(図1(A)参照)よりも車両上方向側に大きい)。
【0061】
ガスクーラ110の高温領域Kと低温領域Tとの境界部111とエンジンラジエータ520の上端520Aとの間を掛け渡すようにシュラウド560が設けられている。なお、ガスクーラ110の高温領域Kと低温領域Tとの境界部111よりもエンジンラジエータ520の上端520Aの方が高いので、シュラウド560は、車両後方側に向かって上り勾配となる。
【0062】
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
【0063】
車両前側方向から見て、ガスクーラ110の上端110AからX幅分の高温領域Kに、エンジンラジエータ520の上端部分が重なる。しかし、ガスクーラ110の高温領域Kと低温領域Tとの境界部111とエンジンラジエータ520の上端520Aとの間を掛け渡すようにシュラウド560が設けられ、高温領域Kの通風方向下流側の空間と低温領域Tの通風方向下流側の空間とが仕切られているので、ガスクーラ110の高温領域Kを通過した冷却風L’は、シュラウド560に沿って流れ、エンジンラジエータ520に通風されない。よって、エンジンラジエータ520の冷却性能が向上される。
【0064】
なお、図6に示す第五実施形態の変形例の車両用冷却装置600のように冷却ファン502は、ガスクーラ110の車両前方側に配設されていてもよい。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0066】
例えば、上記実施形態においては、図1(B)に示すように、空調用の冷媒はガスクーラ110の車両幅方向外側の側壁110Cの上端部に設けられた流入口112から流入し、側壁110Cの下端部に設けられた排出口114から排出され、矢印Nで示すように、車両幅方向に進み、折り返し蛇行しながら流れている。よって、車両前方側から見て(通風方向に見て)、上端110AからX幅部分が高温となる高温領域Kとされ、その下側が低温領域Tとして、区分けされているが、これに限定されない。
【0067】
例えば、空調用の冷媒はガスクーラの上端の車両幅方向両外側部分に流入口と排出口が設けられ、冷媒は車両上下方向に進み、折り返し蛇行しながら流れる構成とし、ガスクーラの車両幅方向外側の側壁からX幅部分が高温となる高温領域Kとされ、その内側を低温領域Tとして、区分けされた構成としてもよい。そして、このような構成のガスクーラの場合は、車両幅方向外側の側壁からX幅部分の高温領域Kにエンジンラジエータが重ならないようにするか、或いは、高温領域と低温領域との境界部とエンジンラジエータの車両幅方向外側端部と間にシェラウドが掛け渡された構成とする(各図の矢印UPをOUTに読み替え、矢印OUTをUPに読み替えた構成)。
【0068】
また、例えば、上記実施形態においては、冷却風Lの導風方向、及び導風された冷却風Lが車両用冷却装置100〜600を通過する通風方向は、車両前後方向と略一致していが、これに限定されない。冷却風Lの導風方向、及び導風された冷却風Lが車両用冷却装置100〜600を通過する通風方向は、車両前後方向と角度を持っていてもよい。また、外気(冷却風)の導風口の配設場所も車両前部に限定されない。例えば、車両用冷却装置が車両後部に配設され、車両側部や車両後上部などに外気が導風される導風口(エアインテーク)が設けられていてもよい。
【0069】
また、例えば、上記実施形態においては、冷媒としてCO(炭酸ガス)が用いられているガスクーラを空調用熱交換器として用いているが、これに限定されない。CO(炭酸ガス)以外の冷媒が用いられた空調用熱交換器であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第一実施形態の車両用冷却装置を模式的に示す、(A)は側面図であり、(B)が車両前方側からみた正面図である。
【図2】本発明の第二実施形態の車両用冷却装置を模式的に示す、(A)は側面図であり、(B)が車両前方側からみた正面図である。
【図3】本発明の第三実施形態の車両用冷却装置を模式的に示す側面図である。
【図4】本発明の第四実施形態の車両用冷却装置を模式的に示す側面図である。
【図5】本発明の第五実施形態の車両用冷却装置を模式的に示す側面図である。
【図6】本発明の第五実施形態の変形例の車両用冷却装置を模式的に示す側面図である。
【符号の説明】
【0071】
10 車両
100 車両用冷却装置
112 流入口
114 排出口
110 ガスクーラ(空調用熱交換器)
111 境界部
120 エンジンラジエータ
160 シェラウド
200 車両用冷却装置
220 エンジンラジエータ
300 車両用冷却装置
400 車両用冷却装置
320 エンジンラジエータ
430 パネル部材(通風抵抗部材)
500 車両用冷却装置
520 エンジンラジエータ
560 シュラウド
600 車両用冷却装置
K 高温領域
T 低温領域
L 冷却風
R 露出領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調用の冷媒が流れる空調用熱交換器とエンジン冷却液が流れるエンジンラジエータとに冷却風が通風され、前記エンジンラジエータが前記空調用熱交換器の通風方向下流側に隣接して配設された車両用冷却装置であって、
前記空調用熱交換器を、冷媒が流入する流入口側の高温領域と冷媒が排出される排出口側の低温領域とに区分し、
通風方向に見て、前記エンジンラジエータは前記空調用熱交換器の前記高温領域に重ならないことを特徴とする車両用冷却装置。
【請求項2】
通風方向に見て、前記エンジンラジエータは前記空調用熱交換器と重ならないで露出する露出領域を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用冷却装置。
【請求項3】
前記空調用熱交換器の前記高温領域の通風方向下流側に、通風抵抗部材が備えられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用冷却装置。
【請求項4】
前記空調用熱交換器の前記高温領域と前記低温領域との境界部と前記エンジンラジエータの端部との間にシェラウドが掛け渡されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用冷却装置。
【請求項5】
空調用の冷媒が流れる空調用熱交換器とエンジン冷却液が流れるエンジンラジエータとに冷却風が通風され、前記エンジンラジエータが前記空調用熱交換器の通風方向下流側に隣接して配設された車両用冷却装置であって、
前記空調用熱交換器を冷媒が流入する流入口側の高温領域と冷媒が前排出される排出口側の低温領域とに区分し、前記空調用熱交換器の前記高温領域と前記低温領域との境界部と前記エンジンラジエータの端部と間にシェラウドが掛け渡されていることを特徴とする車両用冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−113775(P2009−113775A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292486(P2007−292486)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】