説明

車両用制御装置および車両

【課題】 車両の製造コストを抑え、車両内に占有するスペースを低減できる車両用制御装置および車両を提供すること。
【解決手段】 車両のエンジンが作動している作動状態にあるかエンジンが停止している非作動状態にあるかを判定するエンジン作動状態判定手段120と、電子鍵によって無線送信されたドア錠情報を受信するドア錠情報受信手段110と、車両を作動させる作動機器を制御する作動機器制御部132及びドア錠の作動を制御するドア錠制御部131を有した制御手段130とを備え、制御手段130が、エンジンが作動状態にあると判定された場合には、作動機器制御部132を作動させると共にドア錠制御部131を停止させ、エンジンが非作動状態にあると判定された場合には、ドア錠制御部131を作動させると共に作動機器制御部132を停止させるようにした構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、遠隔からの操作によって車両に設けられた錠の施錠及び解錠を行うキーレスエントリ機能を制御する車両用制御装置および車両に関し、より詳しくは、盗難防止装置や盗難防止車両等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載され、遠隔からの操作によって車両に設けられたドア錠の施錠及び解錠を行うキーレスエントリ機能を制御する車両用制御装置としては、例えば、下記の特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
図5に示す特許文献1に開示された車両用制御装置500は、ドア錠の解錠を要求する解錠要求信号を生成する電子鍵90から無線送信された解錠要求信号を受信するスマートエントリチューナ510と受信された解錠要求信号に応じてドア錠を解錠するようドア錠作動機器80を制御する制御手段520とによって構成されている。
【0004】
前述のように構成された、車両用制御装置500において、車両に設けられたドア錠が遠隔からの操作によって解錠される。
【特許文献1】特開2001−115706号公報(段落番号0013乃至段落番号0015、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の車両用制御装置500では、車両に設けられたドア錠を解錠するために制御手段520が搭載されるため、車両の製造コストを増加させ、車両内のスペースを占有するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、車両の製造コストを抑え、車両内に占有するスペースを低減できる車両用制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用制御装置は、車両のエンジンが作動している作動状態にあるか前記エンジンが停止している非作動状態にあるかを判定するエンジン作動状態判定手段と、錠の作動を指示する錠情報を受信する錠情報受信手段と、前記車両の作動および前記錠の作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記エンジン作動状態判定手段によって前記エンジンが作動状態にあると判定されると、前記車両の作動を制御する一方で前記錠の作動を制御せず、前記エンジン作動状態判定手段によって前記エンジンが非作動状態にあると判定されると、前記錠情報受信手段によって受信された錠情報に基づいて前記錠の作動を制御する一方で前記車両の作動を制御しないことを特徴とする構成を有している。
【0008】
この構成によれば、車両の作動制御と錠の作動制御とが同一の制御部で行われるので、錠制御部を別途設ける必要がなく、車両の製造コストを抑え、車両内に占有するスペースを低減できる。また、車両の作動制御と錠の作動制御とが同じ時系列上で行われるので、エンジンが非作動状態にあるときにのみ錠が作動するので、安全を確保することができる。
【0009】
本発明に係る車両用制御装置において、前記制御手段は、前記エンジン作動状態判定手段によって前記エンジンが作動状態にあると判定されると、前記錠の作動を制御せず、前記エンジン作動状態判定手段によって前記エンジンが非作動状態にあると判定されると、前記車両の作動を制御しないことを特徴とする構成を有している。
【0010】
この構成によれば、車両の作動制御と錠の作動制御とが同じ時系列上で行われるので、エンジンが作動状態にあるときには錠が作動しないので、安全を確保することができる。
【0011】
本発明に係る車両用制御装置において、前記制御手段は、前記車両のエンジンの作動を制御することによって前記車両の作動を制御することを特徴とする構成を有している。
【0012】
この構成によれば、車両のエンジンの制御と錠の作動制御とが同一の制御部で行われるので、錠制御部を別途設ける必要がなく、車両の製造コストを抑え、車両内に占有するスペースを低減できる。
【0013】
本発明に係る車両用制御装置において、前記エンジン作動状態判定手段は、前記エンジンの回転数に基づいて前記エンジンが作動状態にあるか非作動状態にあるかを判定することを特徴とする構成を有している。
【0014】
この構成によれば、車両の作動制御と錠の作動制御とがエンジンの回転数に基づいて同一の制御部で行われるので、錠制御部を別途設ける必要がなく、車両の製造コストを抑え、車両内に占有するスペースを低減できる。
【0015】
本発明に係る車両用制御装置は、第1の照合情報を暗号化して予め格納する照合情報格納手段と、電子鍵に暗号化され格納された第2の照合情報を受信する照合情報受信手段と、前記第1の照合情報と前記第2の照合情報とを照合して前記第1の照合情報と前記第2の照合情報とが一致しているか否かを判定する照合情報判定手段とを備え、前記制御手段は、前記照合情報判定手段によって前記第1の照合情報と前記第2の照合情報とが一致したと判定されると、前記車両の作動開始を許容し、前記照合情報判定手段によって前記第1の照合情報と前記第2の照合情報とが一致しなかったと判定されると、前記車両の作動開始を禁止することを特徴とする構成を有している。
【0016】
この構成によれば、車両の作動制御と錠の作動制御とが同一の制御部で行われるので、制御手段によって電子鍵に格納された照合情報をさらに照合するようにしたため、錠制御部を別途設ける必要がなく、車両の製造コストを抑え、車両内に占有するスペースを低減できる。
【0017】
本発明に係る車両は、エンジンが作動している作動状態にあるか前記エンジンが停止している非作動状態にあるかを判定するエンジン作動状態判定手段と、錠の作動を指示する錠情報を受信する錠情報受信手段と、前記エンジン作動状態判定手段によって前記エンジンが作動状態にあると判定されると、作動機器を制御し、前記エンジン作動状態判定手段によって前記エンジンが非作動状態にあると判定されると、前記錠情報受信手段によって受信された錠情報に基づいて前記錠の作動を制御する制御手段とを備えることを特徴とする構成を有している。
【0018】
この構成によれば、車両の作動制御と錠の作動制御とが同一の制御部で行われるので、錠制御部を別途設ける必要がなく、車両の製造コストを抑え、車両内に占有するスペースを低減できる。また、車両の作動制御と錠の作動制御とが同じ時系列上で行われるので、エンジンが非作動状態にあるときにのみ錠が作動するので、安全を確保することができる。
【0019】
本発明に係る車両において、前記制御手段は、前記エンジン作動状態判定手段によって前記エンジンが作動状態にあると判定されると、前記錠の作動を制御せず、前記エンジン作動状態判定手段によって前記エンジンが非作動状態にあると判定されると、前記車両の作動を制御しないことを特徴とする構成を有している。
【0020】
この構成によれば、車両の作動制御と錠の作動制御とが同じ時系列上で行われるので、エンジンが作動状態にあるときには錠が作動しないので、安全を確保することができる。
【0021】
本発明に係る車両おいて、前記制御手段は、前記車両のエンジンの作動を制御することによって前記車両の作動を制御することを特徴とする構成を有している。
【0022】
この構成によれば、車両のエンジンの制御と錠の作動制御とが同一の制御部で行われるので、錠制御部を別途設ける必要がなく、車両の製造コストを抑え、車両内に占有するスペースを低減できる。
【0023】
本発明に係る車両において、前記エンジン作動状態判定手段は、前記エンジンの回転数に基づいて前記エンジンが作動状態にあるか非作動状態にあるかを判定することを特徴とする構成を有している。
【0024】
この構成によれば、車両の作動制御と錠の作動制御とがエンジンの回転数に基づいて同一の制御部で行われるので、錠制御部を別途設ける必要がなく、車両の製造コストを抑え、車両内に占有するスペースを低減できる。
【0025】
本発明に係る車両は、第1の照合情報を暗号化して予め格納する照合情報格納手段と、電子鍵に暗号化され格納された第2の照合情報を受信する照合情報受信手段と、前記第1の照合情報と前記第2の照合情報とを照合して前記第1の照合情報と前記第2の照合情報とが一致しているか否かを判定する照合情報判定手段とを備え、前記制御手段は、前記照合情報判定手段によって前記第1の照合情報と前記第2の照合情報とが一致したと判定されると、前記車両の作動開始を許容し、前記照合情報判定手段によって前記第1の照合情報と前記第2の照合情報とが一致しなかったと判定されると、前記車両の作動開始を禁止することを特徴とする構成を有している。
【0026】
この構成によれば、車両の作動制御と錠の作動制御とが同一の制御部で行われるので、制御手段によって電子鍵に格納された照合情報をさらに照合するようにしたため、錠制御部を別途設ける必要がなく、車両の製造コストを抑え、車両内に占有するスペースを低減できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、エンジン作動状態判定手段によってエンジンが作動状態にあると判定されると、車両の作動を制御する一方で錠の作動を制御せず、エンジン作動状態判定手段によってエンジンが非作動状態にあると判定されると、錠情報受信手段によって受信された錠情報に基づいて錠の作動を制御する一方で車両の作動を制御しない制御手段を設けることにより、車両の作動制御と錠の作動制御とが同一の制御部で行われるので、錠制御部を別途設ける必要がなく、車両の製造コストを抑え、車両内に占有するスペースを低減できるという効果を有する車両用制御装置および車両を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の車両用制御装置100の構成を示すブロック図である。
【0030】
車両用制御装置100は、電子鍵10から送信されたドア錠の解錠又は施錠を示すドア錠情報を受信するドア錠情報受信手段110と、エンジンが作動している作動状態にあるか、エンジンが停止している非作動状態にあるかを判定するエンジン作動状態判定手段120と、ドア錠の解錠又は施錠を行うドア錠作動機器30及びエンジンを作動させるエンジン作動機器40を制御する制御手段130とを備えている。
【0031】
なお、エンジン作動状態判定手段120と制御手段130とは、電子制御装置(Engine Control Unit、以下単にECUという。)を構成している。また、本発明において、エンジンは、電気自動車を駆動させるモーターも含む。
【0032】
ドア錠情報受信手段110は、電子鍵10によって無線送信されたドア錠情報を受信し、受信されたドア錠情報を制御手段130に出力するようになっている。
【0033】
ここで、ドア錠情報は、ドア錠の解錠又は施錠を表す情報であり、電子鍵10を操作することによって送信され、送信されたドア錠情報に応じてドア錠が解錠又は施錠される。
【0034】
エンジン作動状態判定手段120は、エンジンの回転数を検知する回転数検知部121を有し、回転数検知部121によって検知されたエンジンの回転数が0を示す場合には、エンジンが停止している非作動状態にあることを示すエンジン作動状態信号を生成し、回転数検知部121によって検知されたエンジンの回転数が0以外を示す場合には、エンジンが作動している作動状態にあることを示すエンジン作動状態信号を生成し、生成されたエンジン作動状態信号を制御手段130に出力するようになっている。
【0035】
制御手段130は、中央制御処理装置(Central Processing Unit、以下単にCPUという。)によって構成され、ドア錠を作動、すなわちドア錠を解錠又は施錠させるドア錠作動機器30を制御するドア錠制御部131と、エンジンを作動させるエンジン作動機器40を制御する作動機器制御部132とによって構成されている。
【0036】
制御手段130には、エンジン作動状態判定手段120によって出力されたエンジン作動状態信号と、エンジン作動機器40によって出力されたエンジン情報と、ドア錠情報受信手段110によって出力されたドア錠情報とが入力されるようになっている。ここで、エンジン情報とは、例えば、エンジンの回転数及びエンジン内の故障箇所を示す情報等のエンジンの状態を示す情報が含まれる。
【0037】
エンジン作動状態信号にエンジンが非作動状態にあると示されている場合には、制御手段130は、ドア錠制御部131を作動させ、作動機器制御部132を停止させるようになっている。
【0038】
制御手段130によってドア錠制御部131が作動された場合において、ドア錠制御部131は、入力されたドア錠情報に応じてドア錠を制御するためのドア錠制御信号を生成し、生成されたドア錠制御信号をドア錠作動機器30に出力することでドア錠の解錠または施錠を行うようになっている。
【0039】
一方、エンジン作動状態信号にエンジンが作動状態にあると示されている場合には、制御手段130は、作動機器制御部132を作動させ、ドア錠制御部131を停止させて、入力されたドア錠情報によらず、ドア錠を解錠または施錠されたままとするようになっている。
【0040】
制御手段130によって作動機器制御部132が作動された場合において、作動機器制御部132は、入力されたエンジン情報やアクセルの開閉等を検知する図示しない複数のセンサからの情報に基づいてエンジンを制御するためのエンジン制御信号を生成し、生成されたエンジン制御信号をエンジン作動機器40に出力するようになっている。
【0041】
ここで、エンジン制御信号には、例えば、エンジンの点火時期、エンジンに供給する燃料に混合する空気の比率、燃料噴射量及び燃料噴射時間等を示す値等のエンジンを作動させるための情報が含まれている。
【0042】
なお、作動機器制御部132は、前述したようにエンジン作動機器40を制御する他に、パワーステアリングを作動させるパワーステアリング作動機器やアンチロックブレーキシステムを作動させるアンチロックブレーキシステム作動機器等のようなエンジンが非作動状態であるときには動作させないことが望ましい機器を作動機器制御部132でエンジン作動機器40とともに作動するまたは作動しないように制御するようにしてもよい。
【0043】
以下、車両用制御装置100の動作を図面を参照して説明する。
【0044】
図2は、本発明の第1の実施の形態の車両用制御装置100の動作を
示すフローチャートである。
【0045】
まず、回転数検知部121によってエンジンの回転数が検知され(S210)、エンジン作動状態判定手段120によってエンジンが作動状態にあるか非作動状態にあるかが判定される(S220)。
【0046】
ここで、エンジンが非作動状態にあると判定された場合において、ドア錠情報受信手段110によってドア錠情報が入力されたとき(S230)には、制御手段130のドア錠制御部131によって、ドア錠作動機器30を制御するためのドア錠制御信号がドア錠情報に基づいて生成されてドア錠作動機器30に出力される(S240)。
【0047】
一方、エンジンが作動状態にあると判定された場合には、制御手段130の作動機器制御部132によって、エンジン作動機器40を制御するためのエンジン制御信号が生成されてエンジン作動機器40に出力される(S290)。
【0048】
なお、車両用制御装置100において、ステップS210及びS220と、ステップS230乃至S290とは、並列に動作するようにしてもよい。
【0049】
以上説明したように、エンジンを制御する作動機器制御部及びドア錠の作動を制御するドア錠制御部をCPUに一体に設けたため、ドア錠制御部を設けたCPUを別途設ける必要がなく、車両の製造コストを抑え、車両内に占有するスペースを低減できる。
【0050】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態の車両用制御装置300の構成を示すブロック図である。
【0051】
車両用制御装置300は、電子鍵10から送信されたドア錠の解錠又は施錠を示すドア錠情報を受信するドア錠情報受信手段110と、エンジンが作動している作動状態にあるか、エンジンが停止している非作動状態にあるかを判定するエンジン作動状態判定手段120と、ドア錠の解錠又は施錠を行うドア錠作動機器30及びエンジンを作動させるエンジン作動機器40を制御する制御手段330と、第1の照合情報を暗号化して予め格納する照合情報格納手段340と、電子鍵10に暗号化され格納された第2の照合情報を受信する照合情報受信手段350と、第1の照合情報と第2の照合情報とを照合して第1の照合情報と第2の照合情報とが一致しているか否かを判定する照合情報判定手段360とを備えている。
【0052】
なお、エンジン作動状態判定手段120と制御手段330と照合情報判定手段360とは、電子制御装置(Engine Control Unit、以下単にECUという。)を構成している。また、本発明において、エンジンは、電気自動車を駆動させるモーターも含む。
【0053】
本発明の第2の実施の形態の車両用制御装置300においては、本発明の第1の実施の形態の車両用制御装置100の構成要素と同一の構成要素に本発明の第1の実施の形態の車両用制御装置100の構成要素と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0054】
照合情報格納手段340は、書込みが禁止された不揮発性の記憶媒体によって構成され、第1の照合情報を暗号化して予め格納するようになっている。
【0055】
照合情報受信手段350は、電子鍵10によって無線送信された第2の照合情報を受信し、受信された第2の照合情報を照合情報判定手段360に出力するようになっている。
【0056】
照合情報判定手段360は、照合情報受信手段350によって受信された第2の照合情報と、照合情報格納手段340に格納された第1の照合情報とを照合し、第1の照合情報と第2の照合情報とが一致しているか否かを示す照合判定情報を制御手段330に出力するようになっている。
【0057】
制御手段330は、中央制御処理装置(Central Processing Unit、以下単にCPUという。)によって構成され、ドア錠を作動、すなわちドア錠を解錠又は施錠させるドア錠作動機器30を制御するドア錠制御部131と、エンジンを作動させるエンジン作動機器40を制御する作動機器制御部332とによって構成されている。
【0058】
制御手段330には、エンジン作動状態判定手段120によって出力されたエンジン作動状態信号と、エンジン作動機器40によって出力されたエンジン情報と、ドア錠情報受信手段110によって出力されたドア錠情報と、照合情報判定手段360によって出力された照合判定情報が入力されるようになっている。
【0059】
エンジン作動状態信号にエンジンが非作動状態にあると示されている場合には、制御手段330は、ドア錠制御部131を作動させ、作動機器制御部332を停止させるようになっている。
【0060】
制御手段330によってドア錠制御部131が作動された場合において、ドア錠制御部131は、入力されたドア錠情報に応じてドア錠を制御するためのドア錠制御信号を生成し、生成されたドア錠制御信号をドア錠作動機器30に出力するようになっている。
【0061】
一方、エンジン作動状態信号にエンジンが作動状態にあると示されている場合には、制御手段330は、作動機器制御部332を作動させ、ドア錠制御部131を停止させるようになっている。
【0062】
制御手段330によって作動機器制御部332が作動された場合において、作動機器制御部332は、入力されたエンジン情報やアクセルの開閉等を検知する図示しない複数のセンサからの情報等に基づいてエンジンを制御するためのエンジン制御信号を生成し、生成されたエンジン制御信号をエンジン作動機器40に出力するようになっている。
【0063】
また、制御手段330は、入力された照合判定情報に第1の照合情報と第2の照合情報とが一致している旨が示されているときには、作動機器制御部332の作動を許容し、入力された照合判定情報に第1の照合情報と第2の照合情報とが一致していない旨が示されているときには、作動機器制御部332の作動を禁止するようになっている。
【0064】
すなわち、電子鍵10に格納された照合情報が照合情報格納手段340に格納された照合情報と一致する場合には、エンジンの始動が許容され、電子鍵10に格納された照合情報が照合情報格納手段340に格納された照合情報と一致しない場合には、エンジンの始動が禁止されるようになっている。なお、このような車体と電子鍵にそれぞれ格納された照合情報を照合してエンジンの始動を許容又は禁止する制御は、イモビライザ制御と呼ばれている。
【0065】
以下、車両用制御装置300の動作を図面を参照して説明する。
【0066】
図4は、本発明の第2の実施の形態の車両用制御装置300の動作を示すフローチャートである。なお、車両用制御装置300の動作において、本発明の第1の実施の形態で説明した車両用制御装置100の動作におけるステップと同様のステップには、同一の符号が付してある。
【0067】
まず、回転数検知部121によってエンジンの回転数が検知され(S210)、エンジン作動状態判定手段120によってエンジンが作動状態にあるか非作動状態にあるかが判定される(S220)。
【0068】
ここで、エンジンが非作動状態にあると判定された場合において、ドア錠情報受信手段110によってドア錠情報が入力されたとき(S230)には、制御手段330のドア錠制御部131によって、ドア錠作動機器30を制御するためのドア錠制御信号がドア錠情報に基づいて生成されてドア錠作動機器30に出力される(S240)。
【0069】
一方、照合情報受信手段350によって第2の照合情報が入力されたとき(S450)には、照合情報判定手段360によって、第2の照合情報と照合情報格納手段340に格納された第1の照合情報とが照合される(S460)。
【0070】
ここで、第1の照合情報と第2の照合情報とが一致している場合には、制御手段330によって、作動機器制御部332の作動が許容され、すなわちエンジンの始動が許容される(S470)。
【0071】
一方、第1の照合情報と第2の照合情報とが一致してない場合には、制御手段330によって、作動機器制御部332の作動が禁止され、すなわちエンジンの始動が禁止される(S480)。
【0072】
エンジン作動状態判定手段120によってエンジンが作動状態にあると判定された場合には、制御手段330の作動機器制御部332によって、エンジン作動機器40を制御するためのエンジン制御信号が生成されてエンジン作動機器40に出力される(S290)。
【0073】
なお、車両用制御装置300において、ステップS210及びS220と、ステップS230乃至S290及びステップS450乃至S480とは、並列に動作するようにしてもよい。
【0074】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態の車両用制御装置は、エンジンを制御する作動機器制御部及びドア錠の作動を制御するドア錠制御部をCPUに一体に設けたため、ドア錠制御部を設けたCPUを別途設ける必要がなく、さらに作動機器制御部とドア錠制御部とを設けたCPUによってイモビライザ制御を行うため、車両の製造コストを抑え、車両内に占有するスペースを低減できる。
【0075】
以上では、ドア錠の制御を具体例にして説明したが、本発明は、ガソリンが供給されるガソリンタンク部の蓋を開閉制御する場合やボンネット部を開閉制御する場合を妨げない。
【0076】
ガソリンタンク部の蓋を開閉制御する構成によれば、エンジン作動時にはガソリンタンク部の蓋が開かないので、発火の危険を防止することができる。ボンネット部を開閉制御する構成によれば、エンジン作動時にはボンネット部の蓋が開かないので、ボンネット部に設けられた駆動部に手を巻き込まれるなどの危険を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本発明に係る車両用制御装置は、車両の作動制御と錠の作動制御とが同一の制御部で行われるので、錠制御部を別途設ける必要がなく、車両の製造コストを抑え、車両内に占有するスペースを低減できるという効果を有し、盗難防止装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1の実施の形態の車両用制御装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の第1の実施の車両用制御装置の動作を示すフローチャート
【図3】本発明の第2の実施の形態の車両用制御装置の構成を示すブロック図
【図4】本発明の第2の実施の車両用制御装置の動作を示すフローチャート
【図5】従来の車両用制御装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0079】
10、90 電子鍵
30、80 ドア錠作動機器
40 エンジン作動機器
100、300、500 車両用制御装置
110 ドア錠情報受信手段
120 エンジン作動状態判定手段
121 回転数検知部
130、330、520 制御手段
131 ドア錠制御部
132、332 作動機器制御部
340 照合情報格納手段
350 照合情報受信手段
360 照合情報判定手段
510 スマートエントリチューナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンが作動している作動状態にあるか前記エンジンが停止している非作動状態にあるかを判定するエンジン作動状態判定手段と、
錠の作動を指示する錠情報を受信する錠情報受信手段と、
前記エンジン作動状態判定手段によって前記エンジンが作動状態にあると判定されると、前記車両の作動を制御し、前記エンジン作動状態判定手段によって前記エンジンが非作動状態にあると判定されると、前記錠情報受信手段によって受信された錠情報に基づいて前記錠の作動を制御する制御手段とを備えることを特徴とする車両用制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記エンジン作動状態判定手段によって前記エンジンが作動状態にあると判定されると、前記錠の作動を制御せず、前記エンジン作動状態判定手段によって前記エンジンが非作動状態にあると判定されると、前記車両の作動を制御しないことを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記車両のエンジンの作動を制御することによって前記車両の作動を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記エンジン作動状態判定手段は、前記エンジンの回転数に基づいて前記エンジンが作動状態にあるか非作動状態にあるかを判定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車両用制御装置。
【請求項5】
第1の照合情報を暗号化して予め格納する照合情報格納手段と、電子鍵に暗号化され格納された第2の照合情報を受信する照合情報受信手段と、前記第1の照合情報と前記第2の照合情報とを照合して前記第1の照合情報と前記第2の照合情報とが一致しているか否かを判定する照合情報判定手段とを備え、
前記制御手段は、前記照合情報判定手段によって前記第1の照合情報と前記第2の照合情報とが一致したと判定されると、前記車両の作動開始を許容し、前記照合情報判定手段によって前記第1の照合情報と前記第2の照合情報とが一致しなかったと判定されると、前記車両の作動開始を禁止することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両用制御装置。
【請求項6】
エンジンが作動している作動状態にあるか前記エンジンが停止している非作動状態にあるかを判定するエンジン作動状態判定手段と、
錠の作動を指示する錠情報を受信する錠情報受信手段と、
前記エンジン作動状態判定手段によって前記エンジンが作動状態にあると判定されると、作動機器を制御し、前記エンジン作動状態判定手段によって前記エンジンが非作動状態にあると判定されると、前記錠情報受信手段によって受信された錠情報に基づいて前記錠の作動を制御する制御手段とを備えることを特徴とする車両。
【請求項7】
前記制御手段は、前記エンジン作動状態判定手段によって前記エンジンが作動状態にあると判定されると、前記錠の作動を制御せず、前記エンジン作動状態判定手段によって前記エンジンが非作動状態にあると判定されると、前記作動機器を制御しないことを特徴とする請求項6に記載の車両。
【請求項8】
前記制御手段は、前記車両のエンジンの作動を制御することによって前記車両の作動を制御することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の車両。
【請求項9】
前記エンジン作動状態判定手段は、前記エンジンの回転数に基づいて前記エンジンが作動状態にあるか非作動状態にあるかを判定することを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の車両。
【請求項10】
第1の照合情報を暗号化して予め格納する照合情報格納手段と、電子鍵に暗号化され格納された第2の照合情報を受信する照合情報受信手段と、前記第1の照合情報と前記第2の照合情報とを照合して前記第1の照合情報と前記第2の照合情報とが一致しているか否かを判定する照合情報判定手段とを備え、
前記制御手段は、前記照合情報判定手段によって前記第1の照合情報と前記第2の照合情報とが一致したと判定されると、前記車両の作動開始を許容し、前記照合情報判定手段によって前記第1の照合情報と前記第2の照合情報とが一致しなかったと判定されると、前記車両の作動開始を禁止することを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれかに記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2004−162522(P2004−162522A)
【公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−364165(P2003−364165)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】