車両用前照灯
【課題】大型化や消費電力の増加を招くことなく、放熱性を向上させた車両用前照灯を得る。
【解決手段】ハウジング1と、ハウジング1の前方開口部2に配置されたレンズカバー4とにより形成される灯室6内に、投影レンズ8、光源12を前方から順に光軸に沿って配置する。光源12からの熱を灯室6内に放熱する放熱部材16を備え、放熱部材16は上下方向に沿って設けられた複数の板状の放熱フィン24を有する。放熱フィン24の上方のハウジング1に下方が開口した停留室30を設けた。停留室30は、ハウジング1の天井壁1cを上方に凸状に突き出して形成した。
【解決手段】ハウジング1と、ハウジング1の前方開口部2に配置されたレンズカバー4とにより形成される灯室6内に、投影レンズ8、光源12を前方から順に光軸に沿って配置する。光源12からの熱を灯室6内に放熱する放熱部材16を備え、放熱部材16は上下方向に沿って設けられた複数の板状の放熱フィン24を有する。放熱フィン24の上方のハウジング1に下方が開口した停留室30を設けた。停留室30は、ハウジング1の天井壁1cを上方に凸状に突き出して形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの熱を放熱する放熱部材を備えた車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光源に発光ダイオードを用いた車両用前照灯として、特許文献1にあるように、投影レンズ、シェード、光源を前方からこの順に沿って配置すると共に、光源の光を前方へ反射するリフレクタを光源に対向させて配置し、光源からの熱を放熱する放熱部材に光源を取り付けたものが知られている。
【0003】
この装置では、更に、光源が、光軸に対して上方向に略垂直配置される第1発光部を有する第1光源と、光軸よりも下方位置で下方向に略垂直配置される第2発光部を有する第2光源とで構成され、2つのビームパターンで照射できるように構成されている。
【0004】
発光ダイオードは発熱密度が高く、しかも、高温となると、発光効率が低下したり、寿命が短くなるという性質がある。発光ダイオードを近接して配置したり、装置全体の小型化のために放熱部材を小型化すると、発熱密度が高くなると共に放熱性能が低下する。
【0005】
そこで、特許文献2にあるように、灯室内の上方に電動ファンを配置し、灯室の後部で暖められた空気を電動ファンで灯室の前部に送り込み、灯室内を循環する対流を強制的に生じさせて冷却するようにしたり、特許文献3にあるように、発光素子を取り付けた実装基板内に冷媒を流して発光素子を冷却し、配管を介して放熱板にポンプにより冷媒を送り、放熱板から放熱させて、放熱性を向上させたものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4289268号公報
【特許文献2】特開2005−190825号公報(段落0050〜0054等)
【特許文献3】特開2009−147175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、こうした従来のものでは、強制的に冷却しようとすると、灯室内に電動ファンを設け、あるいは、冷媒を循環させるポンプ等を設けなければならず、装置が大型化すると共に、電動ファンやポンプを駆動するための発光以外の電力を必要とするため装置全体の消費電力が増加するという問題があった。
【0008】
本発明の課題は、大型化や消費電力の増加を招くことなく、放熱性を向上させた車両用前照灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を達成すべく、本発明は課題を解決するため次の手段を取った。即ち、ハウジングと、前記ハウジングの前方開口部に配置されたレンズカバーとにより形成される灯室内に、投影レンズ、光源を前方から順に光軸に沿って配置した車両用前照灯において、前記光源からの熱を前記灯室内に放熱する放熱部材を備え、前記放熱部材は上下方向に沿って設けられた複数の板状の放熱フィンを有し、前記放熱フィンの上方の前記ハウジングに下方が開口した停留室を設けたことを特徴とする車両用前照灯がそれである。
【0010】
前記停留室は、前記ハウジングの天井壁を上方に凸状に突き出して形成した構成としてもよい。あるいは、前記停留室は、前記ハウジングの天井壁から下方に突出したリブにより形成した構成としてもよい。また、前記停留室は、前記ハウジングの天井壁に形成した天穴を塞ぐ上方に凸形状の蓋部材により形成した構成としてもよい。その際、前記蓋部材の熱伝導率は前記ハウジングの熱伝導率よりも高い構成としてもよい。
【0011】
前記天穴の周囲に下方に突出したリブを設けた構成としてもよい。また、前記蓋部材と前記ハウジングとの間にシール部材を介装すると共に、前記蓋部材は前記リブの内周に形成した雌ねじに螺入した構成としてもよい。前記停留室を複数設けると共に、複数の前記停留室は、中央の前記停留室と、中央の前記停留室を囲む回廊状の副停留室とを備えた構成としてもよい。前方に開口した流通孔を前記リブに形成した構成としてもよい。あるいは、前記リブの下端を斜めに形成した構成としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両用前照灯は、放熱フィンの上方に停留室を設けたことにより、外気との間で熱交換ができる経路が長くなり、また、乱流の発生により、熱交換が促進され、大型化や消費電力を増加することなく、放熱性を向上させることができるという効果を奏する。また、リブや副停留室を設けることにより、更に、放熱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態としての車両用前照灯の概略縦断面図である。
【図2】図1のAA断面図である。
【図3】第2実施形態としての図1のA矢視に相当する断面図である。
【図4】第3実施形態としての図1のA矢視に相当する断面図である。
【図5】第4実施形態としての図1のA矢視に相当する断面図である。
【図6】第5実施形態としての図1のA矢視に相当する断面図である。
【図7】第6実施形態としての図1のA矢視に相当する断面図である。
【図8】図7のB矢視図である。
【図9】第7実施形態の車両用前照灯の概略縦断面図である。
【図10】図9のCC断面図である。
【図11】第8実施形態の車両用前照灯の概略縦断面図である。
【図12】図11のDD断面図である。
【図13】従来の車両用前照灯の図1のA矢視に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明を実施するための形態を図面に基づいて詳細に説明する。
まず第1実施形態(請求項1、請求項2に対応)について、図1,図2によって説明する。図1に示すように、1はハウジングで、ハウジング1には前方開口部2が形成され、開口部2を除いて周囲が壁で塞がれている。開口部2には、レンズカバー4が配置されて、ハウジング1内がほぼ閉塞され、ハウジング1とレンズカバー4とにより灯室6が形成されている。
【0015】
灯室6内には、前方から後方に向かって順に投影レンズ8、シェード10、光源12が光軸Zに沿って配置されている。光源12からの光を反射させるリフレクタ14が光源12に対向して配置されている。
【0016】
投影レンズ8には本実施形態では平凸レンズが用いられており、投影レンズ8の焦点と、内側反射面が回転放物面等の曲面状に形成されたリフレクタ14の焦点とがほぼ同じ位置になるように配置されている。リフレクタ14で反射された光の一部がシェード10により遮られ、シェード10により遮られなかった光が投影レンズ8によって前方に照射さ
れる。本実施形態では、シェード10は投影レンズ8の支持部材を兼ねている。
【0017】
光源12には、発光ダイオードが用いられており、光源12は放熱部材16の水平板部18に取り付けられている。水平板部18は水平方向に平坦な板状に形成されており、水平板部18の後端には垂直板部20が一体的に設けられている。
【0018】
垂直板部20は光軸Zにほぼ垂直で、上下方向に立設して配置され、垂直板部20の上下方向のほぼ中央に水平板部18が設けられている。水平板部18の前端側がハウジング1の底壁1aに立設された支持部材22に取り付けられ、支持部材22にはシェード10の後端側が取り付けられている。
【0019】
垂直板部20の下端とハウジング1の底壁1aとの間には、空気が流通できる十分な間隔が確保されると共に、垂直板部20の上端とハウジング1の天井壁1cとの間にも、空気が流通できる十分な間隔が確保されている。水平板部18と垂直板部20とは、熱伝導性のよい材料、例えば、アルミニウム等で形成されている。
【0020】
垂直板部20の背面には、複数の放熱フィン24が配置されている。放熱フィン24は板状に形成されており、垂直板部20の背面にほぼ垂直に後方に向かって延出されると共に、上下方向に沿って設けられている。複数の放熱フィン24は、間を空気が流通できるように所定の間隔を空けて配置されている。放熱フィン24は、上下方向に垂直板部20と同じ長さに形成されると共に、ハウジング1の後壁1bとの間には所定の間隔が空けられるように配置されている。
【0021】
放熱フィン24は熱伝導性のよい材料、例えば、アルミニウム等で形成されており、水平板部18、垂直板部20と共にアルミ鋳造により一体に形成、あるいは、アルミ板により形成した放熱フィン24を垂直板部20の背面にろう付け等により固定して形成されている。
【0022】
放熱フィン24の上方のハウジング1の天井壁1cには、天穴26が開口されており、ハウジング1にはこの天穴26を塞ぐ蓋部28が一体に形成されている。蓋部28は上方に凸状に突き出して形成され、蓋部28内に停留室30が形成されている。
【0023】
本実施形態では、天穴26は放熱フィン24の真上に形成しているが、真上に限らず、放熱フィン24の上方のハウジング1に形成されていればよい。また、天穴26は円形に形成されており、天穴26は、放熱フィン24への外接円程度の大きさに形成されている。円形に限らず、形状は四角形や六角形でもよく、大きさは外接円より大きくてもよい。
【0024】
蓋部28の外形は上方に凸の円錐台状に形成されると共に、内部は中空に形成され、天穴26の外周の少し外側から上方に突き出すように形成されている。蓋部28は天穴26を塞ぐと共に、蓋部28は蓋部28の内部に停留室30が形成できる大きさに形成されて、停留室30は天穴26により下方に開口されている。
【0025】
灯室6内に、投影レンズ8、シェード10、光源12、放熱部材16からなるユニットが1セット設けられている場合には、1つの天穴26と蓋部28と停留室30とを設ければよいが、これらを複数設けてもよい。また、灯室6内に、投影レンズ8、シェード10、光源12、放熱部材16からなるユニットが複数セット設けられている場合には、それぞれの放熱フィン24の上方にそれぞれ天穴26と蓋部28と停留室30とを設けてもよく、あるいは、複数の放熱フィン24の上方に、1つの大きな直径の天穴26とそれを塞ぐ大きな蓋部28と大きな停留室30とを設けてもよい。
【0026】
一方、図1に示すように、光源12に一端が接続されたリード線34はハウジング1の後壁1bから外部に導出され、コネクタ36を介して駆動回路38に接続されている。駆動回路38は、光源12への電力供給を制御する周知の回路である。
【0027】
次に、前述した本第1実施形態の車両用前照灯の作動について説明する。
車両の運転に伴って光源12が点灯されると、光源12で発せられた光は、リフレクタ14で反射されて、リフレクタ14で反射された光の一部はシェード10により遮られ、シェード10により遮られなかった光は投影レンズ8によって前方に照射される。
【0028】
光源12からの熱は、水平板部18から垂直板部20に伝わり、垂直板部20から複数の放熱フィン24に伝わる。放熱フィン24からの放熱により、放熱フィン24の周囲の空気が暖められて膨張する。
【0029】
膨張して軽くなった空気は複数の放熱フィン24の間をハウジング1の天井壁1cに向かって上昇する。複数の放熱フィン24からの放熱により、複数の放熱フィン24の間の空気が暖められて空気が連続的に上昇する。
【0030】
図2に示すように、放熱フィン24から上昇した空気は、灯室6内を上昇して天穴26から停留室30内に入る。停留室30内に入った暖かな空気は、蓋部28を介して外気との間で熱交換を行い、停留室30内の空気は冷却される。そして、蓋部28に突き当たって、蓋部28に沿って、前後方向や左右方向に流れ、蓋部28の外周壁に達した空気は、天穴26から再び灯室6内に戻ろうとする。蓋部28の壁面に沿って流れる際にも、外気との間で熱交換が行われて、冷却される。
【0031】
灯室6内から停留室30内に入り、再び灯室6内に戻る空気は、図13に示すように、天穴26や蓋部28を設けていない平坦な天井壁1cに沿って流れる空気よりも、蓋部28や天井壁1cを介して外気との間で熱交換ができる経路が長くなる。
【0032】
また、例えば、放熱フィン24から上昇した空気に巻き込まれるようにして、再度、停留室30に流入する空気流や、流入する空気により停留室30から押し出されるようにして、灯室6内に流れ出る空気流が生じる。放熱フィン24からの上昇空気流と、天穴26から再び灯室6内に戻ろうとする空気流とが衝突等することにより、停留室30内や天穴26の近傍では、乱流が発生する。乱流の発生により、蓋部28の内壁に、温度の高い空気が接触し、外気との温度差が大きくなるので、熱交換が促進され、放熱性が向上する。
【0033】
外気との熱交換が促進されて放熱性が向上し、灯室6内の空気の温度上昇を抑制できるため光源12や放熱部材16の温度上昇が抑制できる。この結果、大型化や消費電力を増加することなく、放熱性を向上できる。
【0034】
例えば、乱流等の空気流がない状態では、蓋部28の内壁から離れるほど温度が高くなる温度境界層ができるが、乱流の発生により、蓋部28の内壁の温度境界層が乱される。これにより、温度の高い空気が蓋部28の内壁に接触し、空気と表面温度との差が大きいので、熱交換が促進されて、放熱性が向上する。
【0035】
よって、停留室30内から灯室6内に流れ出た空気の一部は、図1に矢印で示すように、ハウジング1の天井壁1cに沿って前方のレンズカバー4に向かって流れる。そして、この空気は、ハウジング1の天井壁1cやレンズカバー4を介して外部の空気との間で熱交換が行われて、灯室6内の空気は冷却される。
【0036】
更に、空気は、レンズカバー4に沿って下降し、レンズカバー4の下側からハウジング
1の底壁1aに沿って流れ、ハウジング1の底壁1aとシェード10の下側との間を通る。その間にも、底壁1aを介して外気との間で熱交換が行われ、そして、空気は各放熱フィン24の間を通って上昇し、その間に各放熱フィン24からの放熱により空気が再度暖められて、ハウジング1の天穴26に向かって上昇する。
【0037】
また、停留室30内から灯室6内に流れ出た空気の他の一部は、ハウジング1の図示しない側壁や後壁1bに沿って、下降する。その間に、側壁や後壁1bを介して外気との間で熱交換が行われ、更に、ハウジング1の底壁1aに沿って流れ、各放熱フィン24の間に流れ込む。
【0038】
このように、複数の放熱フィン24の間を通って暖められた空気は、ハウジング1の天井壁1cからレンズカバー4の内側に沿って流れ、また、側壁や後壁1bに沿って流れ、冷却されてハウジング1の底壁1aに沿って、再び複数の放熱フィン24の間に流れ込む対流の経路が生じる。
【0039】
次に、前述した実施形態と異なる第2実施形態(請求項3に対応)について、図3によって説明する。尚、前述した実施形態と同じ部材については同一番号を付して詳細な説明を省略する。以下同様。
【0040】
本第2実施形態では、ハウジング1の天井壁1cから下方の放熱フィン24に向かって垂直に所定の高さで突出したリブ40を天井壁1cに一体的に形成している。リブ40は円形や四角形、六角形等に一周するように形成されており、その大きさは前述した第1実施形態の天穴26とほぼ同じ大きさで、放熱フィン24の真上に形成されている。このリブ40と天井壁1cとにより区画されて停留室42が形成されており、停留室42はリブ40の下端で形成される開口44により下方に向かって開口されている。
【0041】
この第2実施形態の場合でも、前述した第1実施形態の場合と同様、灯室6内から停留室42内に入り、再び灯室6内に戻る空気は、天井壁1cやリブ40を介して外気との間で熱交換ができる経路が長くなる。
【0042】
また、例えば、放熱フィン24から上昇した空気に巻き込まれるようにして、再度、停留室42に流入する空気流や、流入する空気により停留室42から押し出されるようにして、灯室6内に流れ出る空気流が生じる。放熱フィン24からの上昇空気流と、開口44から再び灯室6内に戻ろうとする空気流とが衝突等することにより、停留室42内や開口44の近傍では、乱流が発生する。乱流の発生により、天井壁1cに、温度の高い空気が接触し、外気との温度差が大きくなるので、熱交換が促進され、放熱性が向上する。
【0043】
続いて、第3実施形態(請求項4、請求項5に対応)について、図4によって説明する。
本第3実施形態では、ハウジング1の天井壁1cに天穴26が形成されており、天穴26を塞ぐ蓋部材46がハウジング1と別体で形成されている。蓋部材46は天井壁1cと平行なリング状のフランジ部48を備え、フランジ部48が天井壁1cの外側にろう付けや溶接等により固定されている。
【0044】
蓋部材46の外形は、第1実施形態の蓋部28と同様に、上方に凸の円錐台状に形成されると共に、内部は中空に形成されている。蓋部材46は天穴26を塞ぐと共に、蓋部材46は蓋部材46の内部に停留室50が形成できる大きさで、停留室50は天穴26により下方に開口されている。
【0045】
この第3実施形態の場合でも、前述した第1実施形態の場合と同様、灯室6内から停留
室50内に入り、再び灯室6内に戻る空気は、蓋部材46や天井壁1cを介して外気との間で熱交換ができる経路が長くなる。
【0046】
また、例えば、放熱フィン24から上昇した空気に巻き込まれるようにして、再度、停留室50に流入する空気流や、流入する空気により停留室50から押し出されるようにして、灯室6内に流れ出る空気流が生じる。放熱フィン24からの上昇空気流と、天穴26から再び灯室6内に戻ろうとする空気流とが衝突等することにより、停留室50内や天穴26の近傍では、乱流が発生する。乱流の発生により、蓋部材46に温度の高い空気が接触し、外気との温度差が大きくなるので、熱交換が促進され、放熱性が向上する。
【0047】
また、蓋部材46をハウジング1と別体で形成することにより、蓋部材46の材質をハウジング1と異なる材質で形成でき、蓋部材46の熱伝導率をハウジング1の熱伝導率より高い材料で形成できる。これにより、より放熱性が向上する。
【0048】
続いて、第4実施形態(請求項6に対応)について、図5によって説明する。
本第4実施形態では、第3実施形態に対して、天穴26の周囲に、放熱フィン24に向かって垂直に所定の高さで下方に突出したリブ52を天井壁1cに一体的に形成している。第4実施形態では、リブ52を形成することにより、第3実施形態に対して、更に、外気との間で熱交換ができる経路を長くすることができ、乱流の発生を促進して、放熱性を向上できる。
【0049】
次に、第5実施形態(請求項7に対応)について、図6によって説明する。
本第5実施形態では、第4実施形態と同様、天穴26の周囲に、放熱フィン24に向かって垂直に所定の高さで下方に突出したリブ54を天井壁1cに一体的に形成している。リブ54の内周に雌ねじ56が形成されている。
【0050】
ハウジング1と別体の蓋部材58には、雌ねじ56に螺入される筒状の外周に雄ねじが形成された筒状リブ60が設けられている。また、蓋部材58は天井壁1cと平行なリング状のフランジ部62を備え、フランジ部62と天井壁1cとの間には、シール部材64が介装されている。
【0051】
蓋部材58の外形は、第1実施形態の蓋部28と同様に、上方に凸の円錐台状に形成されると共に、内部は中空に形成されている。蓋部材58は天穴26を塞ぐと共に、蓋部材58は蓋部材58の内部に停留室66が形成できる大きさで、停留室66は天穴26により下方に開口されている。
【0052】
この第5実施形態の場合でも、前述した第1実施形態の場合と同様、灯室6内から停留室66内に入り、再び灯室6内に戻る空気は、蓋部材58や天井壁1cを介して外気との間で熱交換ができる経路が長くなる。リブ54や筒状リブ60により更に経路が長くなる。
【0053】
また、例えば、放熱フィン24から上昇した空気に巻き込まれるようにして、再度、停留室66に流入する空気流や、流入する空気により停留室66から押し出されるようにして、灯室6内に流れ出る空気流が生じる。放熱フィン24からの上昇空気流と、天穴26から再び灯室6内に戻ろうとする空気流とが衝突等することにより、停留室66内や天穴26の近傍では、乱流が発生する。リブ54や筒状リブ60を設けたことにより、更に乱流の発生が促進される。乱流の発生により、蓋部材58や天井壁1cに、温度の高い空気が接触し、外気との温度差が大きくなるので、熱交換が促進され、放熱性が向上する。
【0054】
また、第4実施形態の場合と同様、蓋部材58をハウジング1と別体で形成することに
より、蓋部材58の熱伝導率をハウジング1の熱伝導率より高い材料で形成でき、より放熱性が向上する。
【0055】
続いて、第6実施形態(請求項8に対応)について、図7、図8によって説明する。
第6実施形態の蓋部材70は、第5実施形態の蓋部材58に対して、更に、蓋部材70から下方に放熱フィン24に向かって垂直に突出した第2リブ72が筒状リブ60の内側に隙間を空けて形成されている。第2リブ72の下端は、ハウジング1のリブ54の下端と同じ高さになるように形成されている。
【0056】
これにより、蓋部材70の中央に、第2リブ72により外周が囲まれた停留室74が形成されると共に、停留室74の外側に、停留室72を囲む回廊状の副停留室76が形成されている。副停留室76は第2リブ72と筒状リブ60との間に形成され、停留室72と副停留室76とは天穴26により下方に開口されている。
【0057】
本実施形態の図8(イ)に示すように、第2リブ72は円筒状に形成してもよく、あるいは、図8(ロ)に示すように、第2リブ72を四角筒状に形成してもよく、また、図8(ハ)に示すように、第2リブ72を六角筒状に形成してもよい。
【0058】
この第6実施形態の場合でも、前述した第1実施形態の場合と同様、灯室6内から停留室74及び副停留室76内に入り、再び灯室6内に戻る空気は、蓋部材70や天井壁1cを介して外気との間で熱交換ができる経路が長くなる。リブ54、筒状リブ60や第2リブ72により更に経路が長くなる。
【0059】
また、例えば、放熱フィン24から上昇した空気に巻き込まれるようにして、再度、停留室74及び副停留室76に流入する空気流や、流入する空気により停留室74及び副停留室76から押し出されるようにして、灯室6内に流れ出る空気流が生じる。放熱フィン24からの上昇空気流と、天穴26から再び灯室6内に戻ろうとする空気流とが衝突等することにより、停留室74及び副停留室76内や天穴26の近傍では、乱流が発生する。リブ54、筒状リブ60や第2リブ72を設けたことにより、更に乱流の発生が促進される。乱流の発生により、蓋部材70や天井壁1cに、温度の高い空気が接触し、外気との温度差が大きくなるので、熱交換が促進され、放熱性が向上する。
【0060】
また、第4実施形態の場合と同様、蓋部材70をハウジング1と別体で形成することにより、蓋部材70の熱伝導率をハウジング1の熱伝導率より高い材料で形成でき、より放熱性が向上する。
【0061】
次に、第7実施形態(請求項9に対応)について、図9、図10によって説明する。
第7実施形態の蓋部材80は、第6実施形態の蓋部材70に対して、雄ねじが形成された筒状リブ82が放熱フィン24の近傍にまで、蓋部材80から下方に放熱フィン24に向かって垂直に突出されている。また、筒状リブ82の内側に隙間を空けて第2リブ84が形成されており、第2リブ84は蓋部材80から下方に放熱フィン24に向かって垂直に突出されている。第2リブ84の下端は、筒状リブ82の下端よりも高い位置に設けられている。
【0062】
蓋部材80の中央に、第2リブ84により外周が囲まれた停留室86が形成されると共に、停留室86の外側に、停留室86を囲む回廊状の副停留室88が形成されている。副停留室88は筒状リブ82と第2リブ84との間に形成され、停留室86と副停留室88とは天穴26により下方に開口されている。
【0063】
そして、外側の筒状リブ82には、前方のレンズカバー4に向かって開口された流通孔
90が形成されると共に、内側の第2リブ84にも、前方のレンズカバー4に向かって開口した流通孔92が形成されており、両流通孔90,92は前後方向で重なり合う位置に形成されている。
【0064】
この第7実施形態の場合でも、灯室6内から停留室86及び副停留室88内に入り、再び灯室6内に戻る空気は、筒状リブ82や第2リブ84を含む蓋部材80や天井壁1cを介して外気との間で熱交換ができる経路が長くなる。筒状リブ82や第2リブ84により更に経路が長くなる。
【0065】
また、例えば、放熱フィン24から上昇した空気に巻き込まれるようにして、再度、停留室86及び副停留室88に流入する空気流や、流入する空気により停留室86及び副停留室88から押し出されるようにして、灯室6内に流れ出る空気流が生じる。これらの空気流の衝突等により、停留室86及び副停留室88内や天穴26の近傍では、乱流が発生する。筒状リブ82や第2リブ84を設けたことにより、更に乱流の発生が促進される。乱流の発生により、筒状リブ82や第2リブ84を含む蓋部材80に、温度の高い空気が接触し、外気との温度差が大きくなるので、熱交換が促進され、放熱性が向上する。
【0066】
更に、本第7実施形態では、停留室86と副停留室88から流通孔90,92を介して、暖かな空気がレンズカバー4に向かって流出する。この空気はレンズカバー4の内側に沿って流れ、冷却されてハウジング1の底壁1aに沿って、再び複数の放熱フィン24の間に流れ込む対流の経路が生じる。
【0067】
特に、車両の走行中には、レンズカバー4には外気が当たるので、レンズカバー4の外側の外気と、内側の空気との間での熱交換が促進され、対流の経路がレンズカバー4の内側に形成されることにより、空気の冷却が促進される。
【0068】
車両が寒冷地を走行する場合に、レンズカバー4の外側に雪や氷が付着する場合があるが、レンズカバー4の内側が暖められることにより、レンズカバー4の外側の雪や氷が溶かされて、前方への光の照射が良好に行われる。
【0069】
また、第4実施形態の場合と同様、蓋部材80をハウジング1と別体で形成することにより、蓋部材80の熱伝導率をハウジング1の熱伝導率より高い材料で形成でき、より放熱性が向上する。尚、前述した第2、第4、第5実施形態のリブ40,52,54、筒状リブ60を第7実施形態のように長く形成して、前方のレンズカバー4に向かって開口した流通孔を形成してもよい。
【0070】
次に、第8実施形態(請求項10に対応)について、図11、図12によって説明する。
第8実施形態の蓋部材94は、第5実施形態の蓋部材58に対して、雄ねじが形成された筒状リブ96が、蓋部材94から下方に放熱フィン24に向かって垂直に突出されている。また、筒状リブ96の下端はレンズカバー4側に向かって斜め下方に向かって開口するように形成されており、前方のレンズカバー4側が放熱フィン24から離れて、ハウジング1の後壁1b側が放熱フィン24の近傍に突出されている。筒状リブ96に囲まれて停留室98が蓋部材94内に形成されており、筒状リブ96により、停留室98は前方の下方に向かって斜めに灯室6内に開口されている。
【0071】
この第8実施形態の場合でも、前述した第1実施形態の場合と同様、灯室6内から停留室98内に入り、再び灯室6内に戻る空気は、筒状リブ96を含む蓋部材94や天井壁1cを介して外気との間で熱交換ができる経路が長くなる。筒状リブ96により更に経路が長くなる。
【0072】
また、例えば、放熱フィン24から上昇した空気に巻き込まれるようにして、再度、停留室98に流入する空気流や、流入する空気により停留室98から押し出されるようにして、灯室6内に流れ出る空気流が生じる。放熱フィン24からの上昇空気流と、再び灯室6内に戻ろうとする空気流とが衝突等することにより、停留室98の近傍では、乱流が発生する。筒状リブ96を設けたことにより、更に乱流の発生が促進される。乱流の発生により、筒状リブ96を含む蓋部材94に温度の高い空気が接触し、外気との温度差が大きくなるので、熱交換が促進され、放熱性が向上する。
【0073】
更に、本第8実施形態では、筒状リブ96を斜めに形成したことにより、停留室98から暖かな空気が前方下方のレンズカバー4に向かって流出する。この空気はレンズカバー4の内側に沿って流れ、冷却されてハウジング1の底壁1aに沿って、再び複数の放熱フィン24の間に流れ込む対流の経路が生じる。
【0074】
特に、車両の走行中には、レンズカバー4には外気が当たるので、レンズカバー4の外側の外気と、内側の空気との間での熱交換が促進され、対流の経路がレンズカバー4の内側に形成されることにより、空気の冷却が促進される。車両が寒冷地を走行する場合に、レンズカバー4の外側の雪や氷が溶かされて、前方への光の照射が良好に行われる。
【0075】
また、第4実施形態の場合と同様、蓋部材94をハウジング1と別体で形成することにより、蓋部材94の熱伝導率をハウジング1の熱伝導率より高い材料で形成でき、より放熱性が向上する。尚、前述した第2、第4、第5実施形態のリブ40,52,54、筒状リブ60を第8実施形態のように長く形成すると共に、下端を斜めに形成し、前方のレンズカバー4に向かって開口するように形成してもよい。
【0076】
以上本発明はこの様な実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【符号の説明】
【0077】
1…ハウジング 1c…天井壁
2…開口部 4…レンズカバー
6…灯室 10…シェード
12…光源 14…リフレクタ
16…放熱部材 24…放熱フィン
26…天穴 28…蓋部
30,42,50,66,72,74,86,98…停留室
40,52,54,72,84…リブ
46,58,70,80,94…蓋部材
48,62…フランジ部 60,96…筒状リブ
64…シール部材 76,88…副停留室
82…筒状リブ 90,92…流通孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの熱を放熱する放熱部材を備えた車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光源に発光ダイオードを用いた車両用前照灯として、特許文献1にあるように、投影レンズ、シェード、光源を前方からこの順に沿って配置すると共に、光源の光を前方へ反射するリフレクタを光源に対向させて配置し、光源からの熱を放熱する放熱部材に光源を取り付けたものが知られている。
【0003】
この装置では、更に、光源が、光軸に対して上方向に略垂直配置される第1発光部を有する第1光源と、光軸よりも下方位置で下方向に略垂直配置される第2発光部を有する第2光源とで構成され、2つのビームパターンで照射できるように構成されている。
【0004】
発光ダイオードは発熱密度が高く、しかも、高温となると、発光効率が低下したり、寿命が短くなるという性質がある。発光ダイオードを近接して配置したり、装置全体の小型化のために放熱部材を小型化すると、発熱密度が高くなると共に放熱性能が低下する。
【0005】
そこで、特許文献2にあるように、灯室内の上方に電動ファンを配置し、灯室の後部で暖められた空気を電動ファンで灯室の前部に送り込み、灯室内を循環する対流を強制的に生じさせて冷却するようにしたり、特許文献3にあるように、発光素子を取り付けた実装基板内に冷媒を流して発光素子を冷却し、配管を介して放熱板にポンプにより冷媒を送り、放熱板から放熱させて、放熱性を向上させたものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4289268号公報
【特許文献2】特開2005−190825号公報(段落0050〜0054等)
【特許文献3】特開2009−147175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、こうした従来のものでは、強制的に冷却しようとすると、灯室内に電動ファンを設け、あるいは、冷媒を循環させるポンプ等を設けなければならず、装置が大型化すると共に、電動ファンやポンプを駆動するための発光以外の電力を必要とするため装置全体の消費電力が増加するという問題があった。
【0008】
本発明の課題は、大型化や消費電力の増加を招くことなく、放熱性を向上させた車両用前照灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を達成すべく、本発明は課題を解決するため次の手段を取った。即ち、ハウジングと、前記ハウジングの前方開口部に配置されたレンズカバーとにより形成される灯室内に、投影レンズ、光源を前方から順に光軸に沿って配置した車両用前照灯において、前記光源からの熱を前記灯室内に放熱する放熱部材を備え、前記放熱部材は上下方向に沿って設けられた複数の板状の放熱フィンを有し、前記放熱フィンの上方の前記ハウジングに下方が開口した停留室を設けたことを特徴とする車両用前照灯がそれである。
【0010】
前記停留室は、前記ハウジングの天井壁を上方に凸状に突き出して形成した構成としてもよい。あるいは、前記停留室は、前記ハウジングの天井壁から下方に突出したリブにより形成した構成としてもよい。また、前記停留室は、前記ハウジングの天井壁に形成した天穴を塞ぐ上方に凸形状の蓋部材により形成した構成としてもよい。その際、前記蓋部材の熱伝導率は前記ハウジングの熱伝導率よりも高い構成としてもよい。
【0011】
前記天穴の周囲に下方に突出したリブを設けた構成としてもよい。また、前記蓋部材と前記ハウジングとの間にシール部材を介装すると共に、前記蓋部材は前記リブの内周に形成した雌ねじに螺入した構成としてもよい。前記停留室を複数設けると共に、複数の前記停留室は、中央の前記停留室と、中央の前記停留室を囲む回廊状の副停留室とを備えた構成としてもよい。前方に開口した流通孔を前記リブに形成した構成としてもよい。あるいは、前記リブの下端を斜めに形成した構成としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両用前照灯は、放熱フィンの上方に停留室を設けたことにより、外気との間で熱交換ができる経路が長くなり、また、乱流の発生により、熱交換が促進され、大型化や消費電力を増加することなく、放熱性を向上させることができるという効果を奏する。また、リブや副停留室を設けることにより、更に、放熱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態としての車両用前照灯の概略縦断面図である。
【図2】図1のAA断面図である。
【図3】第2実施形態としての図1のA矢視に相当する断面図である。
【図4】第3実施形態としての図1のA矢視に相当する断面図である。
【図5】第4実施形態としての図1のA矢視に相当する断面図である。
【図6】第5実施形態としての図1のA矢視に相当する断面図である。
【図7】第6実施形態としての図1のA矢視に相当する断面図である。
【図8】図7のB矢視図である。
【図9】第7実施形態の車両用前照灯の概略縦断面図である。
【図10】図9のCC断面図である。
【図11】第8実施形態の車両用前照灯の概略縦断面図である。
【図12】図11のDD断面図である。
【図13】従来の車両用前照灯の図1のA矢視に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明を実施するための形態を図面に基づいて詳細に説明する。
まず第1実施形態(請求項1、請求項2に対応)について、図1,図2によって説明する。図1に示すように、1はハウジングで、ハウジング1には前方開口部2が形成され、開口部2を除いて周囲が壁で塞がれている。開口部2には、レンズカバー4が配置されて、ハウジング1内がほぼ閉塞され、ハウジング1とレンズカバー4とにより灯室6が形成されている。
【0015】
灯室6内には、前方から後方に向かって順に投影レンズ8、シェード10、光源12が光軸Zに沿って配置されている。光源12からの光を反射させるリフレクタ14が光源12に対向して配置されている。
【0016】
投影レンズ8には本実施形態では平凸レンズが用いられており、投影レンズ8の焦点と、内側反射面が回転放物面等の曲面状に形成されたリフレクタ14の焦点とがほぼ同じ位置になるように配置されている。リフレクタ14で反射された光の一部がシェード10により遮られ、シェード10により遮られなかった光が投影レンズ8によって前方に照射さ
れる。本実施形態では、シェード10は投影レンズ8の支持部材を兼ねている。
【0017】
光源12には、発光ダイオードが用いられており、光源12は放熱部材16の水平板部18に取り付けられている。水平板部18は水平方向に平坦な板状に形成されており、水平板部18の後端には垂直板部20が一体的に設けられている。
【0018】
垂直板部20は光軸Zにほぼ垂直で、上下方向に立設して配置され、垂直板部20の上下方向のほぼ中央に水平板部18が設けられている。水平板部18の前端側がハウジング1の底壁1aに立設された支持部材22に取り付けられ、支持部材22にはシェード10の後端側が取り付けられている。
【0019】
垂直板部20の下端とハウジング1の底壁1aとの間には、空気が流通できる十分な間隔が確保されると共に、垂直板部20の上端とハウジング1の天井壁1cとの間にも、空気が流通できる十分な間隔が確保されている。水平板部18と垂直板部20とは、熱伝導性のよい材料、例えば、アルミニウム等で形成されている。
【0020】
垂直板部20の背面には、複数の放熱フィン24が配置されている。放熱フィン24は板状に形成されており、垂直板部20の背面にほぼ垂直に後方に向かって延出されると共に、上下方向に沿って設けられている。複数の放熱フィン24は、間を空気が流通できるように所定の間隔を空けて配置されている。放熱フィン24は、上下方向に垂直板部20と同じ長さに形成されると共に、ハウジング1の後壁1bとの間には所定の間隔が空けられるように配置されている。
【0021】
放熱フィン24は熱伝導性のよい材料、例えば、アルミニウム等で形成されており、水平板部18、垂直板部20と共にアルミ鋳造により一体に形成、あるいは、アルミ板により形成した放熱フィン24を垂直板部20の背面にろう付け等により固定して形成されている。
【0022】
放熱フィン24の上方のハウジング1の天井壁1cには、天穴26が開口されており、ハウジング1にはこの天穴26を塞ぐ蓋部28が一体に形成されている。蓋部28は上方に凸状に突き出して形成され、蓋部28内に停留室30が形成されている。
【0023】
本実施形態では、天穴26は放熱フィン24の真上に形成しているが、真上に限らず、放熱フィン24の上方のハウジング1に形成されていればよい。また、天穴26は円形に形成されており、天穴26は、放熱フィン24への外接円程度の大きさに形成されている。円形に限らず、形状は四角形や六角形でもよく、大きさは外接円より大きくてもよい。
【0024】
蓋部28の外形は上方に凸の円錐台状に形成されると共に、内部は中空に形成され、天穴26の外周の少し外側から上方に突き出すように形成されている。蓋部28は天穴26を塞ぐと共に、蓋部28は蓋部28の内部に停留室30が形成できる大きさに形成されて、停留室30は天穴26により下方に開口されている。
【0025】
灯室6内に、投影レンズ8、シェード10、光源12、放熱部材16からなるユニットが1セット設けられている場合には、1つの天穴26と蓋部28と停留室30とを設ければよいが、これらを複数設けてもよい。また、灯室6内に、投影レンズ8、シェード10、光源12、放熱部材16からなるユニットが複数セット設けられている場合には、それぞれの放熱フィン24の上方にそれぞれ天穴26と蓋部28と停留室30とを設けてもよく、あるいは、複数の放熱フィン24の上方に、1つの大きな直径の天穴26とそれを塞ぐ大きな蓋部28と大きな停留室30とを設けてもよい。
【0026】
一方、図1に示すように、光源12に一端が接続されたリード線34はハウジング1の後壁1bから外部に導出され、コネクタ36を介して駆動回路38に接続されている。駆動回路38は、光源12への電力供給を制御する周知の回路である。
【0027】
次に、前述した本第1実施形態の車両用前照灯の作動について説明する。
車両の運転に伴って光源12が点灯されると、光源12で発せられた光は、リフレクタ14で反射されて、リフレクタ14で反射された光の一部はシェード10により遮られ、シェード10により遮られなかった光は投影レンズ8によって前方に照射される。
【0028】
光源12からの熱は、水平板部18から垂直板部20に伝わり、垂直板部20から複数の放熱フィン24に伝わる。放熱フィン24からの放熱により、放熱フィン24の周囲の空気が暖められて膨張する。
【0029】
膨張して軽くなった空気は複数の放熱フィン24の間をハウジング1の天井壁1cに向かって上昇する。複数の放熱フィン24からの放熱により、複数の放熱フィン24の間の空気が暖められて空気が連続的に上昇する。
【0030】
図2に示すように、放熱フィン24から上昇した空気は、灯室6内を上昇して天穴26から停留室30内に入る。停留室30内に入った暖かな空気は、蓋部28を介して外気との間で熱交換を行い、停留室30内の空気は冷却される。そして、蓋部28に突き当たって、蓋部28に沿って、前後方向や左右方向に流れ、蓋部28の外周壁に達した空気は、天穴26から再び灯室6内に戻ろうとする。蓋部28の壁面に沿って流れる際にも、外気との間で熱交換が行われて、冷却される。
【0031】
灯室6内から停留室30内に入り、再び灯室6内に戻る空気は、図13に示すように、天穴26や蓋部28を設けていない平坦な天井壁1cに沿って流れる空気よりも、蓋部28や天井壁1cを介して外気との間で熱交換ができる経路が長くなる。
【0032】
また、例えば、放熱フィン24から上昇した空気に巻き込まれるようにして、再度、停留室30に流入する空気流や、流入する空気により停留室30から押し出されるようにして、灯室6内に流れ出る空気流が生じる。放熱フィン24からの上昇空気流と、天穴26から再び灯室6内に戻ろうとする空気流とが衝突等することにより、停留室30内や天穴26の近傍では、乱流が発生する。乱流の発生により、蓋部28の内壁に、温度の高い空気が接触し、外気との温度差が大きくなるので、熱交換が促進され、放熱性が向上する。
【0033】
外気との熱交換が促進されて放熱性が向上し、灯室6内の空気の温度上昇を抑制できるため光源12や放熱部材16の温度上昇が抑制できる。この結果、大型化や消費電力を増加することなく、放熱性を向上できる。
【0034】
例えば、乱流等の空気流がない状態では、蓋部28の内壁から離れるほど温度が高くなる温度境界層ができるが、乱流の発生により、蓋部28の内壁の温度境界層が乱される。これにより、温度の高い空気が蓋部28の内壁に接触し、空気と表面温度との差が大きいので、熱交換が促進されて、放熱性が向上する。
【0035】
よって、停留室30内から灯室6内に流れ出た空気の一部は、図1に矢印で示すように、ハウジング1の天井壁1cに沿って前方のレンズカバー4に向かって流れる。そして、この空気は、ハウジング1の天井壁1cやレンズカバー4を介して外部の空気との間で熱交換が行われて、灯室6内の空気は冷却される。
【0036】
更に、空気は、レンズカバー4に沿って下降し、レンズカバー4の下側からハウジング
1の底壁1aに沿って流れ、ハウジング1の底壁1aとシェード10の下側との間を通る。その間にも、底壁1aを介して外気との間で熱交換が行われ、そして、空気は各放熱フィン24の間を通って上昇し、その間に各放熱フィン24からの放熱により空気が再度暖められて、ハウジング1の天穴26に向かって上昇する。
【0037】
また、停留室30内から灯室6内に流れ出た空気の他の一部は、ハウジング1の図示しない側壁や後壁1bに沿って、下降する。その間に、側壁や後壁1bを介して外気との間で熱交換が行われ、更に、ハウジング1の底壁1aに沿って流れ、各放熱フィン24の間に流れ込む。
【0038】
このように、複数の放熱フィン24の間を通って暖められた空気は、ハウジング1の天井壁1cからレンズカバー4の内側に沿って流れ、また、側壁や後壁1bに沿って流れ、冷却されてハウジング1の底壁1aに沿って、再び複数の放熱フィン24の間に流れ込む対流の経路が生じる。
【0039】
次に、前述した実施形態と異なる第2実施形態(請求項3に対応)について、図3によって説明する。尚、前述した実施形態と同じ部材については同一番号を付して詳細な説明を省略する。以下同様。
【0040】
本第2実施形態では、ハウジング1の天井壁1cから下方の放熱フィン24に向かって垂直に所定の高さで突出したリブ40を天井壁1cに一体的に形成している。リブ40は円形や四角形、六角形等に一周するように形成されており、その大きさは前述した第1実施形態の天穴26とほぼ同じ大きさで、放熱フィン24の真上に形成されている。このリブ40と天井壁1cとにより区画されて停留室42が形成されており、停留室42はリブ40の下端で形成される開口44により下方に向かって開口されている。
【0041】
この第2実施形態の場合でも、前述した第1実施形態の場合と同様、灯室6内から停留室42内に入り、再び灯室6内に戻る空気は、天井壁1cやリブ40を介して外気との間で熱交換ができる経路が長くなる。
【0042】
また、例えば、放熱フィン24から上昇した空気に巻き込まれるようにして、再度、停留室42に流入する空気流や、流入する空気により停留室42から押し出されるようにして、灯室6内に流れ出る空気流が生じる。放熱フィン24からの上昇空気流と、開口44から再び灯室6内に戻ろうとする空気流とが衝突等することにより、停留室42内や開口44の近傍では、乱流が発生する。乱流の発生により、天井壁1cに、温度の高い空気が接触し、外気との温度差が大きくなるので、熱交換が促進され、放熱性が向上する。
【0043】
続いて、第3実施形態(請求項4、請求項5に対応)について、図4によって説明する。
本第3実施形態では、ハウジング1の天井壁1cに天穴26が形成されており、天穴26を塞ぐ蓋部材46がハウジング1と別体で形成されている。蓋部材46は天井壁1cと平行なリング状のフランジ部48を備え、フランジ部48が天井壁1cの外側にろう付けや溶接等により固定されている。
【0044】
蓋部材46の外形は、第1実施形態の蓋部28と同様に、上方に凸の円錐台状に形成されると共に、内部は中空に形成されている。蓋部材46は天穴26を塞ぐと共に、蓋部材46は蓋部材46の内部に停留室50が形成できる大きさで、停留室50は天穴26により下方に開口されている。
【0045】
この第3実施形態の場合でも、前述した第1実施形態の場合と同様、灯室6内から停留
室50内に入り、再び灯室6内に戻る空気は、蓋部材46や天井壁1cを介して外気との間で熱交換ができる経路が長くなる。
【0046】
また、例えば、放熱フィン24から上昇した空気に巻き込まれるようにして、再度、停留室50に流入する空気流や、流入する空気により停留室50から押し出されるようにして、灯室6内に流れ出る空気流が生じる。放熱フィン24からの上昇空気流と、天穴26から再び灯室6内に戻ろうとする空気流とが衝突等することにより、停留室50内や天穴26の近傍では、乱流が発生する。乱流の発生により、蓋部材46に温度の高い空気が接触し、外気との温度差が大きくなるので、熱交換が促進され、放熱性が向上する。
【0047】
また、蓋部材46をハウジング1と別体で形成することにより、蓋部材46の材質をハウジング1と異なる材質で形成でき、蓋部材46の熱伝導率をハウジング1の熱伝導率より高い材料で形成できる。これにより、より放熱性が向上する。
【0048】
続いて、第4実施形態(請求項6に対応)について、図5によって説明する。
本第4実施形態では、第3実施形態に対して、天穴26の周囲に、放熱フィン24に向かって垂直に所定の高さで下方に突出したリブ52を天井壁1cに一体的に形成している。第4実施形態では、リブ52を形成することにより、第3実施形態に対して、更に、外気との間で熱交換ができる経路を長くすることができ、乱流の発生を促進して、放熱性を向上できる。
【0049】
次に、第5実施形態(請求項7に対応)について、図6によって説明する。
本第5実施形態では、第4実施形態と同様、天穴26の周囲に、放熱フィン24に向かって垂直に所定の高さで下方に突出したリブ54を天井壁1cに一体的に形成している。リブ54の内周に雌ねじ56が形成されている。
【0050】
ハウジング1と別体の蓋部材58には、雌ねじ56に螺入される筒状の外周に雄ねじが形成された筒状リブ60が設けられている。また、蓋部材58は天井壁1cと平行なリング状のフランジ部62を備え、フランジ部62と天井壁1cとの間には、シール部材64が介装されている。
【0051】
蓋部材58の外形は、第1実施形態の蓋部28と同様に、上方に凸の円錐台状に形成されると共に、内部は中空に形成されている。蓋部材58は天穴26を塞ぐと共に、蓋部材58は蓋部材58の内部に停留室66が形成できる大きさで、停留室66は天穴26により下方に開口されている。
【0052】
この第5実施形態の場合でも、前述した第1実施形態の場合と同様、灯室6内から停留室66内に入り、再び灯室6内に戻る空気は、蓋部材58や天井壁1cを介して外気との間で熱交換ができる経路が長くなる。リブ54や筒状リブ60により更に経路が長くなる。
【0053】
また、例えば、放熱フィン24から上昇した空気に巻き込まれるようにして、再度、停留室66に流入する空気流や、流入する空気により停留室66から押し出されるようにして、灯室6内に流れ出る空気流が生じる。放熱フィン24からの上昇空気流と、天穴26から再び灯室6内に戻ろうとする空気流とが衝突等することにより、停留室66内や天穴26の近傍では、乱流が発生する。リブ54や筒状リブ60を設けたことにより、更に乱流の発生が促進される。乱流の発生により、蓋部材58や天井壁1cに、温度の高い空気が接触し、外気との温度差が大きくなるので、熱交換が促進され、放熱性が向上する。
【0054】
また、第4実施形態の場合と同様、蓋部材58をハウジング1と別体で形成することに
より、蓋部材58の熱伝導率をハウジング1の熱伝導率より高い材料で形成でき、より放熱性が向上する。
【0055】
続いて、第6実施形態(請求項8に対応)について、図7、図8によって説明する。
第6実施形態の蓋部材70は、第5実施形態の蓋部材58に対して、更に、蓋部材70から下方に放熱フィン24に向かって垂直に突出した第2リブ72が筒状リブ60の内側に隙間を空けて形成されている。第2リブ72の下端は、ハウジング1のリブ54の下端と同じ高さになるように形成されている。
【0056】
これにより、蓋部材70の中央に、第2リブ72により外周が囲まれた停留室74が形成されると共に、停留室74の外側に、停留室72を囲む回廊状の副停留室76が形成されている。副停留室76は第2リブ72と筒状リブ60との間に形成され、停留室72と副停留室76とは天穴26により下方に開口されている。
【0057】
本実施形態の図8(イ)に示すように、第2リブ72は円筒状に形成してもよく、あるいは、図8(ロ)に示すように、第2リブ72を四角筒状に形成してもよく、また、図8(ハ)に示すように、第2リブ72を六角筒状に形成してもよい。
【0058】
この第6実施形態の場合でも、前述した第1実施形態の場合と同様、灯室6内から停留室74及び副停留室76内に入り、再び灯室6内に戻る空気は、蓋部材70や天井壁1cを介して外気との間で熱交換ができる経路が長くなる。リブ54、筒状リブ60や第2リブ72により更に経路が長くなる。
【0059】
また、例えば、放熱フィン24から上昇した空気に巻き込まれるようにして、再度、停留室74及び副停留室76に流入する空気流や、流入する空気により停留室74及び副停留室76から押し出されるようにして、灯室6内に流れ出る空気流が生じる。放熱フィン24からの上昇空気流と、天穴26から再び灯室6内に戻ろうとする空気流とが衝突等することにより、停留室74及び副停留室76内や天穴26の近傍では、乱流が発生する。リブ54、筒状リブ60や第2リブ72を設けたことにより、更に乱流の発生が促進される。乱流の発生により、蓋部材70や天井壁1cに、温度の高い空気が接触し、外気との温度差が大きくなるので、熱交換が促進され、放熱性が向上する。
【0060】
また、第4実施形態の場合と同様、蓋部材70をハウジング1と別体で形成することにより、蓋部材70の熱伝導率をハウジング1の熱伝導率より高い材料で形成でき、より放熱性が向上する。
【0061】
次に、第7実施形態(請求項9に対応)について、図9、図10によって説明する。
第7実施形態の蓋部材80は、第6実施形態の蓋部材70に対して、雄ねじが形成された筒状リブ82が放熱フィン24の近傍にまで、蓋部材80から下方に放熱フィン24に向かって垂直に突出されている。また、筒状リブ82の内側に隙間を空けて第2リブ84が形成されており、第2リブ84は蓋部材80から下方に放熱フィン24に向かって垂直に突出されている。第2リブ84の下端は、筒状リブ82の下端よりも高い位置に設けられている。
【0062】
蓋部材80の中央に、第2リブ84により外周が囲まれた停留室86が形成されると共に、停留室86の外側に、停留室86を囲む回廊状の副停留室88が形成されている。副停留室88は筒状リブ82と第2リブ84との間に形成され、停留室86と副停留室88とは天穴26により下方に開口されている。
【0063】
そして、外側の筒状リブ82には、前方のレンズカバー4に向かって開口された流通孔
90が形成されると共に、内側の第2リブ84にも、前方のレンズカバー4に向かって開口した流通孔92が形成されており、両流通孔90,92は前後方向で重なり合う位置に形成されている。
【0064】
この第7実施形態の場合でも、灯室6内から停留室86及び副停留室88内に入り、再び灯室6内に戻る空気は、筒状リブ82や第2リブ84を含む蓋部材80や天井壁1cを介して外気との間で熱交換ができる経路が長くなる。筒状リブ82や第2リブ84により更に経路が長くなる。
【0065】
また、例えば、放熱フィン24から上昇した空気に巻き込まれるようにして、再度、停留室86及び副停留室88に流入する空気流や、流入する空気により停留室86及び副停留室88から押し出されるようにして、灯室6内に流れ出る空気流が生じる。これらの空気流の衝突等により、停留室86及び副停留室88内や天穴26の近傍では、乱流が発生する。筒状リブ82や第2リブ84を設けたことにより、更に乱流の発生が促進される。乱流の発生により、筒状リブ82や第2リブ84を含む蓋部材80に、温度の高い空気が接触し、外気との温度差が大きくなるので、熱交換が促進され、放熱性が向上する。
【0066】
更に、本第7実施形態では、停留室86と副停留室88から流通孔90,92を介して、暖かな空気がレンズカバー4に向かって流出する。この空気はレンズカバー4の内側に沿って流れ、冷却されてハウジング1の底壁1aに沿って、再び複数の放熱フィン24の間に流れ込む対流の経路が生じる。
【0067】
特に、車両の走行中には、レンズカバー4には外気が当たるので、レンズカバー4の外側の外気と、内側の空気との間での熱交換が促進され、対流の経路がレンズカバー4の内側に形成されることにより、空気の冷却が促進される。
【0068】
車両が寒冷地を走行する場合に、レンズカバー4の外側に雪や氷が付着する場合があるが、レンズカバー4の内側が暖められることにより、レンズカバー4の外側の雪や氷が溶かされて、前方への光の照射が良好に行われる。
【0069】
また、第4実施形態の場合と同様、蓋部材80をハウジング1と別体で形成することにより、蓋部材80の熱伝導率をハウジング1の熱伝導率より高い材料で形成でき、より放熱性が向上する。尚、前述した第2、第4、第5実施形態のリブ40,52,54、筒状リブ60を第7実施形態のように長く形成して、前方のレンズカバー4に向かって開口した流通孔を形成してもよい。
【0070】
次に、第8実施形態(請求項10に対応)について、図11、図12によって説明する。
第8実施形態の蓋部材94は、第5実施形態の蓋部材58に対して、雄ねじが形成された筒状リブ96が、蓋部材94から下方に放熱フィン24に向かって垂直に突出されている。また、筒状リブ96の下端はレンズカバー4側に向かって斜め下方に向かって開口するように形成されており、前方のレンズカバー4側が放熱フィン24から離れて、ハウジング1の後壁1b側が放熱フィン24の近傍に突出されている。筒状リブ96に囲まれて停留室98が蓋部材94内に形成されており、筒状リブ96により、停留室98は前方の下方に向かって斜めに灯室6内に開口されている。
【0071】
この第8実施形態の場合でも、前述した第1実施形態の場合と同様、灯室6内から停留室98内に入り、再び灯室6内に戻る空気は、筒状リブ96を含む蓋部材94や天井壁1cを介して外気との間で熱交換ができる経路が長くなる。筒状リブ96により更に経路が長くなる。
【0072】
また、例えば、放熱フィン24から上昇した空気に巻き込まれるようにして、再度、停留室98に流入する空気流や、流入する空気により停留室98から押し出されるようにして、灯室6内に流れ出る空気流が生じる。放熱フィン24からの上昇空気流と、再び灯室6内に戻ろうとする空気流とが衝突等することにより、停留室98の近傍では、乱流が発生する。筒状リブ96を設けたことにより、更に乱流の発生が促進される。乱流の発生により、筒状リブ96を含む蓋部材94に温度の高い空気が接触し、外気との温度差が大きくなるので、熱交換が促進され、放熱性が向上する。
【0073】
更に、本第8実施形態では、筒状リブ96を斜めに形成したことにより、停留室98から暖かな空気が前方下方のレンズカバー4に向かって流出する。この空気はレンズカバー4の内側に沿って流れ、冷却されてハウジング1の底壁1aに沿って、再び複数の放熱フィン24の間に流れ込む対流の経路が生じる。
【0074】
特に、車両の走行中には、レンズカバー4には外気が当たるので、レンズカバー4の外側の外気と、内側の空気との間での熱交換が促進され、対流の経路がレンズカバー4の内側に形成されることにより、空気の冷却が促進される。車両が寒冷地を走行する場合に、レンズカバー4の外側の雪や氷が溶かされて、前方への光の照射が良好に行われる。
【0075】
また、第4実施形態の場合と同様、蓋部材94をハウジング1と別体で形成することにより、蓋部材94の熱伝導率をハウジング1の熱伝導率より高い材料で形成でき、より放熱性が向上する。尚、前述した第2、第4、第5実施形態のリブ40,52,54、筒状リブ60を第8実施形態のように長く形成すると共に、下端を斜めに形成し、前方のレンズカバー4に向かって開口するように形成してもよい。
【0076】
以上本発明はこの様な実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【符号の説明】
【0077】
1…ハウジング 1c…天井壁
2…開口部 4…レンズカバー
6…灯室 10…シェード
12…光源 14…リフレクタ
16…放熱部材 24…放熱フィン
26…天穴 28…蓋部
30,42,50,66,72,74,86,98…停留室
40,52,54,72,84…リブ
46,58,70,80,94…蓋部材
48,62…フランジ部 60,96…筒状リブ
64…シール部材 76,88…副停留室
82…筒状リブ 90,92…流通孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジングの前方開口部に配置されたレンズカバーとにより形成される灯室内に、投影レンズ、光源を前方から順に光軸に沿って配置した車両用前照灯において、
前記光源からの熱を前記灯室内に放熱する放熱部材を備え、
前記放熱部材は上下方向に沿って設けられた複数の板状の放熱フィンを有し、
前記放熱フィンの上方の前記ハウジングに下方が開口した停留室を設けたことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記停留室は、前記ハウジングの天井壁を上方に凸状に突き出して形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記停留室は、前記ハウジングの天井壁から下方に突出したリブにより形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記停留室は、前記ハウジングの天井壁に形成した天穴を塞ぐ上方に凸形状の蓋部材により形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項5】
前記蓋部材の熱伝導率は前記ハウジングの熱伝導率よりも高いことを特徴とする請求項4に記載の車両用前照灯。
【請求項6】
前記天穴の周囲に下方に突出したリブを設けたことを特徴とする請求項4または請求項5のいずれかに記載の車両用前照灯。
【請求項7】
前記蓋部材と前記ハウジングとの間にシール部材を介装すると共に、前記蓋部材は前記リブの内周に形成した雌ねじに螺入したことを特徴とする請求項6に記載の車両用前照灯。
【請求項8】
前記停留室を複数設けると共に、複数の前記停留室は、中央の前記停留室と、中央の前記停留室を囲む回廊状の副停留室とを備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の車両用前照灯。
【請求項9】
前方に開口した流通孔を前記リブに形成したことを特徴とする請求項3、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の車両用前照灯。
【請求項10】
前記リブの下端を斜めに形成したことを特徴とする請求項3、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の車両用前照灯。
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジングの前方開口部に配置されたレンズカバーとにより形成される灯室内に、投影レンズ、光源を前方から順に光軸に沿って配置した車両用前照灯において、
前記光源からの熱を前記灯室内に放熱する放熱部材を備え、
前記放熱部材は上下方向に沿って設けられた複数の板状の放熱フィンを有し、
前記放熱フィンの上方の前記ハウジングに下方が開口した停留室を設けたことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記停留室は、前記ハウジングの天井壁を上方に凸状に突き出して形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記停留室は、前記ハウジングの天井壁から下方に突出したリブにより形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記停留室は、前記ハウジングの天井壁に形成した天穴を塞ぐ上方に凸形状の蓋部材により形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項5】
前記蓋部材の熱伝導率は前記ハウジングの熱伝導率よりも高いことを特徴とする請求項4に記載の車両用前照灯。
【請求項6】
前記天穴の周囲に下方に突出したリブを設けたことを特徴とする請求項4または請求項5のいずれかに記載の車両用前照灯。
【請求項7】
前記蓋部材と前記ハウジングとの間にシール部材を介装すると共に、前記蓋部材は前記リブの内周に形成した雌ねじに螺入したことを特徴とする請求項6に記載の車両用前照灯。
【請求項8】
前記停留室を複数設けると共に、複数の前記停留室は、中央の前記停留室と、中央の前記停留室を囲む回廊状の副停留室とを備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の車両用前照灯。
【請求項9】
前方に開口した流通孔を前記リブに形成したことを特徴とする請求項3、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の車両用前照灯。
【請求項10】
前記リブの下端を斜めに形成したことを特徴とする請求項3、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の車両用前照灯。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−216266(P2011−216266A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82210(P2010−82210)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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