説明

車両用収納装置ロック部構造

【課題】主に、緊急時にロックが解除されて開閉部が開成されてしまうのを防止し得るようにする。
【解決手段】車室内に設置された収納装置2の固定部3と開閉部4との間にサイドロック装置21が備えられ、このサイドロック装置21が、開閉部4の側部に形成されたロッド突出用穴部22,23から側方へ向けて突出収納可能に設けられたサイドロック用ロッド部24と、固定部3の対応する位置に設けられたロック用穴部25とを備えて、サイドロック用ロッド部24が、先端の奥側部分に、ロック用穴部25への挿入を案内可能なテーパ状先細部29を有する車両用収納装置ロック部構造であって、緊急時にサイドロック用ロッド部24が開閉部4内へ引込められて開閉部4が開成されてしまうのを防止可能な緊急時ロッド引込防止構造部31が設けられるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用収納装置ロック部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室内の前部に、図3に示すような、樹脂製のインストルメントパネル1(車室前部内装パネル)が設けられている。
【0003】
このインストルメントパネル1の助手席側の部分には、通常、グローブボックスなどの収納装置2が設置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この収納装置2は、図4、図5に示すように、固定部3と、この固定部3に対して開閉可能に設けられた開閉部4とを有している。
【0005】
この場合、固定部3は、例えば、インストルメントパネル1の開口部5に取付けられたカバー部材6などとされている。また、開閉部4は、例えば、収納装置本体7などとされている。
【0006】
カバー部材6は、開閉部4を収容可能な開閉部収容凹部11と、この開閉部収容凹部11の手前側縁部の周囲に設けられた外側方へ拡がるフランジ状部12とを有している。このフランジ状部12は、インストルメントパネル1の開口部5に対してカバー部材6を取付け得る構成(大きさや形状など)を備えている。
【0007】
収納装置本体7は、本体インナパネル13と、本体アウタパネル14とで構成されている。本体インナパネル13は、開閉部収容凹部11内へ収容される本体収納部15と、この本体収納部15の手前側面を構成する蓋状部16とを備えている。本体収納部15は、上面側に開口部17を有すると共に、内部に収容空間18を有している。蓋状部16は、周囲がフランジ状に張出すと共に、上記したフランジ状部12とほぼ同じ形状で若干小さく形成されて、フランジ状部12に収容され得るように構成されている。本体アウタパネル14は、蓋状部16の表面に取付けられる表面意匠部材などとされている。
【0008】
そして、固定部3と開閉部4との間には、サイドロック装置21が備えられている。
【0009】
このサイドロック装置21は、開閉部4の側部に形成されたロッド突出用穴部22,23から側方へ向けて突出収納可能に設けられたサイドロック用ロッド部24と、固定部3の対応する位置に設けられたロック用穴部25とを備えている。そして、ロック用穴部25へサイドロック用ロッド部24が挿入係止されることにより開閉部4がロックされ得るように構成されている。ロッド突出用穴部22,23は、本体インナパネル13と、本体アウタパネル14とのそれぞれに対して設けられている。
【0010】
なお、ロッド突出用穴部22,23およびロック用穴部25は、それぞれ、サイドロック用ロッド部24よりも大き目に形成されると共に、ロッド突出用穴部23と、ロック用穴部25とには、サイドロック用ロッド部24との隙間を調整したり、サイドロック用ロッド部24の挿入係止を補助したり摩耗、損傷を低減、防止したり、インストルメントパネル1と収納装置本体7のアウタパネルとの面差(合わせ)を調整するための穴縁取付部材26,27がそれぞれ取付けられている。但し、本体インナパネル13のロッド突出用穴部22には、このような穴縁取付部材26,27は取付けられておらず、隙間を有した状態のまま残されている。
【0011】
そして、サイドロック用ロッド部24は、少なくとも先端側の部分がほぼ均一断面のものとして構成されているが、先端の奥側部分には、ロック用穴部25への挿入を案内可能なテーパ状先細部29を有している。
【0012】
なお、サイドロック装置21は、サイドロック用ロッド部24を、側方へ向けて突出収納させる図示しないサイドロック操作機構部を備えている。このサイドロック操作機構部は、少なくとも、操作レバーと、この操作レバーの操作によって、サイドロック用ロッド部24の上記した突出収納動を行わせるサイドロック機構部とを備えている。このサイドロック機構部は、サイドロック用ロッド部24を突出方向へ向けて常時付勢する弾性部材などを備えている。このサイドロック操作機構部については、良く知られた構造のものであって良い。
【0013】
このような構成によれば、固定部3に対して開閉部4を開くことにより、開閉部4に対して物の出し入れを行うことが可能となる。反対に、開閉部4を閉じることにより、開閉部4へ入れた物を収納、保管することができる。
【0014】
そして、固定部3に対する開閉部4の開閉には、サイドロック装置21を、以下のように用いる。
【0015】
即ち、サイドロック操作部を操作して、サイドロック用ロッド部24を、サイドロック操作部の付勢力に抗してロッド突出用穴部22,23の内側方向へ引込ませることにより、サイドロック用ロッド部24がロック用穴部25から引抜かれて、ロックが解除される。
【0016】
反対に、サイドロック操作部を非操作状態にして、サイドロック用ロッド部24をサイドロック操作部の付勢力によってロッド突出用穴部22,23から突出させることにより、サイドロック用ロッド部24がロック用穴部25へ挿入係止されて、ロックが掛かる。
【0017】
なお、ロック用穴部25へサイドロック用ロッド部24が挿入される際には、サイドロック用ロッド部24の先端の奥側部分に形成されたテーパ状先細部29によって、これを案内させることができる。
【特許文献1】特開2003−13655号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記車両用収納装置ロック部構造には、以下のような問題があった。
【0019】
即ち、緊急時に、乗員の体が開閉部4などに(車両後方から車両前方へ向けて)当接した場合に、サイドロック装置21のロックが解除されて、開閉部4が勝手に開いてしまうというような事態が生じないように対策しておくことが望まれている。
【0020】
なお、緊急時にロック解除が生じる原因については、例えば、組付時のバラ付きや製造誤差などによって、図6に示すように、サイドロック用ロッド部24が正規の位置(仮想線参照)まで突出されない状態となっている所に、図7に示すように、緊急時の荷重入力(矢印a)が加わることにより、テーパ状先細部29がロッド突出用穴部22の縁部に押付けられて、両者間に(テーパ状先細部29の斜面による)案内機能が発動し、サイドロック用ロッド部24が引込められて、ロックが解除されるのではないかと考えられている。この場合、上記した、サイドロック用ロッド部24が正規の位置まで突出されない状態は、突出量が極く僅かに不足する程度のものであり、人間の知覚能力では余りよく分からない程度のものである。
【0021】
なお、上記した以外にも、本発明に至る過程で新たな問題やその他の問題などが発生することも考えられるが、そのようなものについては、本発明の実施例の中で説明することによって、この欄での記載に代えることができるものとする。但し、必要な場合には、この欄に流用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、車室内に収納装置が設置され、該収納装置が、固定部と、該固定部に対して開閉可能に設けられた開閉部とを有すると共に、固定部と開閉部との間にサイドロック装置が備えられ、該サイドロック装置が、開閉部の側部に形成されたロッド突出用穴部から側方へ向けて突出収納可能に設けられたサイドロック用ロッド部と、固定部の対応する位置に設けられたロック用穴部とを備えて、ロック用穴部へサイドロック用ロッド部が挿入係止されることにより開閉部がロックされ得るように構成され、前記サイドロック用ロッド部が、先端の奥側部分に、ロック用穴部への挿入を案内可能なテーパ状先細部を有する車両用収納装置ロック部構造において、緊急時にサイドロック用ロッド部が開閉部内へ引込められて開閉部が開成されるのを防止可能な緊急時ロッド引込防止構造部が設けられたことを特徴としている。
【0023】
請求項2に記載された発明は、上記において、前記緊急時ロッド引込防止構造部が、前記テーパ状先細部の起点部分の近傍に形成されて、ロッド突出用穴部にテーパ状先細部が押付けられて案内機能が発動することによりサイドロック用ロッド部が引込められるのを阻止して、ロッド突出用穴部にサイドロック用ロッド部を引掛可能な穴引掛形状部であることを特徴としている。
【0024】
なお、上記は、それぞれ、所要の作用効果を発揮するための必要最小限の構成であり、上記構成の詳細や、上記されていない構成については、それぞれ自由度を有しているのは勿論である。そして、上記構成の記載から読取ることが可能な事項については、特に具体的に記載されていない場合であっても、その範囲内に含まれるのは勿論である。また、上記以外の構成を追加した場合には、追加した構成による作用効果が加わることになるのは勿論である。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、緊急時ロッド引込防止構造部によって、緊急時にサイドロック用ロッド部が開閉部内へ引込められて開閉部が開成されとしまうことが防止される。これにより、緊急時の安全性能を高めることができる。
【0026】
請求項2に記載された発明は、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、緊急時ロッド引込防止構造部として、テーパ状先細部の起点部分の近傍に形成された穴引掛形状部が、緊急時に、ロッド突出用穴部にサイドロック用ロッド部を引掛けてサイドロック用ロッド部の動きを拘束するように機能する。これによって、荷重入力で、ロッド突出用穴部にテーパ状先細部が押付けられて、案内機能が発動することにより、サイドロック用ロッド部が引込められるのを阻止する。よって、ロックが勝手に解除されて開閉部が開成されてしまうのを確実に防止することができる。また、穴引掛形状部は、構成が簡単であるため、コストを掛けずに容易に形成することができると共に、通常の機能を損うことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、主に、緊急時にロックが解除されて開閉部が開成されてしまうのを防止し得るようにすることを目的としている。
【0028】
以下、本発明を具体化した実施例について、図示例と共に説明する。
【0029】
なお、以下の実施例は、上記した背景技術や発明が解決しようとする課題などと密接な関係があるので、必要が生じた場合には、互いに、記載を流用したり、必要な修正を伴って流用したりすることができるものとする。
【実施例】
【0030】
図1、図2は、この発明の実施例を示すものである。
【0031】
なお、全体的な構成については、図3〜図5を用いて説明したものと基本的にほぼ同様なので、必要に応じてこれらの図面を参照すると共に、これらに対する記載を以てこの実施例の説明とすることができる。この際、同一ないし均等な部分については、同一の符号を付すようにしている。但し、構成の異なる部分については、図1、図2に拠るものとする。
【0032】
<構成>まず、構成について説明する。
【0033】
自動車などの車両には、車室内の前部に、図3に示すような、樹脂製のインストルメントパネル1(車室前部内装パネル)が設けられている。
【0034】
このインストルメントパネル1の助手席側の部分には、グローブボックスなどの収納装置2が設置されている。
【0035】
この収納装置2は、図4、図5に示すように、固定部3と、この固定部3に対して開閉可能に設けられた開閉部4とを有している。
【0036】
この場合、固定部3は、例えば、インストルメントパネル1の開口部5に取付けられたカバー部材6などとされている。また、開閉部4は、例えば、収納装置本体7などとされている。
【0037】
カバー部材6は、開閉部4を収容可能な開閉部収容凹部11と、この開閉部収容凹部11の手前側縁部の周囲に設けられた外側方へ拡がるフランジ状部12とを有している。このフランジ状部12は、インストルメントパネル1の開口部5に対してカバー部材6を取付け得る構成(大きさや形状など)を備えている。
【0038】
収納装置本体7は、本体インナパネル13と、本体アウタパネル14とで構成されている。本体インナパネル13は、開閉部収容凹部11内へ収容される本体収納部15と、この本体収納部15の手前側面を構成する蓋状部16とを備えている。本体収納部15は、上面側に開口部5を有すると共に、内部に収容空間18を有している。蓋状部16は、周囲がフランジ状に張出すと共に、上記したフランジ状部12とほぼ同じ形状で若干小さく形成されて、フランジ状部12に収容され得るように構成されている。本体アウタパネル14は、蓋状部16の表面に取付けられる表面意匠部材などとされている。
【0039】
なお、上記は、バケットタイプの収納装置2であり、収納装置2は、これ以外のものであっても良い。
【0040】
そして、固定部3と開閉部4との間には、サイドロック装置21が備えられている。
【0041】
このサイドロック装置21は、開閉部4の側部に形成されたロッド突出用穴部22,23から側方へ向けて突出収納可能に設けられたサイドロック用ロッド部24と、固定部3の(ロッド突出用穴部22,23と)対応する位置(側部)に設けられたロック用穴部25とを備えている。そして、ロック用穴部25へサイドロック用ロッド部24が挿入係止されることにより開閉部4がロックされ得るように構成されている。ロッド突出用穴部22,23は、本体インナパネル13と、本体アウタパネル14とのそれぞれに対して(ほぼ同心状に)設けられている。
【0042】
なお、ロッド突出用穴部22,23およびロック用穴部25は、それぞれ、サイドロック用ロッド部24よりも大き目に形成されると共に、ロッド突出用穴部23と、ロック用穴部25とには、サイドロック用ロッド部24との隙間を調整したり、サイドロック用ロッド部24の挿入係止を補助したり摩耗、損傷を低減、防止したり、インストルメントパネル1と収納装置本体7のアウタパネルとの面差(合わせ)を調整するための穴縁取付部材26,27がそれぞれ取付けられている。但し、本体インナパネル13のロッド突出用穴部22には、このような穴縁取付部材26,27は取付けられておらず、(サイドロック用ロッド部24に対する)隙間を有した状態のまま残されている。
【0043】
そして、サイドロック用ロッド部24は、少なくとも先端側の部分がほぼ均一断面のものとして構成されているが、先端の奥側部分には、ロック用穴部25への挿入を案内可能なテーパ状先細部29を有している。このテーパ状先細部29は先端側へ進むに従い、手前側へ向かう傾斜面などとされている。
【0044】
なお、サイドロック装置21は、サイドロック用ロッド部24を、側方へ向けて突出収納させる図示しないサイドロック操作機構部を備えている。このサイドロック操作機構部は、少なくとも、操作レバーと、この操作レバーの操作によって、サイドロック用ロッド部24の上記した突出収納動を行わせるサイドロック機構部とを備えている。このサイドロック機構部は、サイドロック用ロッド部24を突出方向へ向けて常時付勢する弾性部材などを備えている。このサイドロック操作機構部については、良く知られた構造のものであって良い。
【0045】
なお、以上の構成は、上記した従来例のものとほぼ同様である。
【0046】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えている(図1、図2参照のこと)。
【0047】
(1)緊急時にサイドロック用ロッド部24が開閉部4内へ引込められて開閉部4が開成されてしまうのを防止可能な緊急時ロッド引込防止構造部31が設けられる。
【0048】
(2)上記において、緊急時ロッド引込防止構造部31を、テーパ状先細部29の起点部分の近傍に形成されて、ロッド突出用穴部22にテーパ状先細部29が押付けられて(テーパ状先細部29の斜面による)案内機能が発動することによりサイドロック用ロッド部24が引込められるのを阻止して、ロッド突出用穴部22にサイドロック用ロッド部24を引掛可能な穴引掛形状部33としている。
【0049】
(3)上記のより具体的な構成などは、以下の通りである。
【0050】
緊急時ロッド引込防止構造部31は、平常時には機能しないようなものとする。
【0051】
この場合には、本体インナパネル13のロッド突出用穴部22は、サイドロック用ロッド部24に対して隙間を有していることにより、平常時には機能しないものとされている。
【0052】
一方、緊急時に、乗員の体が開閉部4などに当接した場合には(荷重入力a。図2参照)、サイドロック用ロッド部24がロッド突出用穴部22へ押付けられることにより、機能し得るものとすることができる。
【0053】
穴引掛形状部33は、本体インナパネル13の肉厚よりも若干幅の広い切欠部などとされている。この場合、穴引掛形状部33は、矩形状(またはコ字状)の切欠部とされている。
【0054】
この場合、穴引掛形状部33は、テーパ状先細部29の起点部分と隣接する、サイドロック用ロッド部24の均一断面部分の側に形成されている。この部分は、ロッド突出用穴部22の奥側の部分とほぼ対応している。
【0055】
<作用>次に、この実施例の作用について説明する。
【0056】
固定部3に対して開閉部4を開くことにより、開閉部4に対して物の出し入れを行うことが可能となる。反対に、開閉部4を閉じることにより、開閉部4へ入れた物を収納、保管することができる。
【0057】
そして、固定部3に対する開閉部4の開閉には、サイドロック装置21を、以下のように用いる。
【0058】
即ち、サイドロック操作機構部を操作して、サイドロック用ロッド部24を、サイドロック操作機構部の付勢力に抗してロッド突出用穴部22の内側方向へ引込ませることにより、サイドロック用ロッド部24がロック用穴部25から引抜かれて、ロックが解除される。
【0059】
反対に、図1に示すように、サイドロック操作機構部を非操作状態にして、サイドロック用ロッド部24をサイドロック操作機構部の付勢力によってロッド突出用穴部22,23から突出させることにより、サイドロック用ロッド部24がロック用穴部25へ挿入係止されて、ロックが掛かる。
【0060】
なお、ロック用穴部25へサイドロック用ロッド部24が挿入される際には、サイドロック用ロッド部24の先端の奥側部分に形成されたテーパ状先細部29によって、これを案内させることができる。
【0061】
この実施例によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0062】
(1)車室内に収納装置2が設置され、この収納装置2が、固定部3と、この固定部3に対して開閉可能に設けられた開閉部4とを有すると共に、固定部3と開閉部4との間にサイドロック装置21が備えられ、このサイドロック装置21が、開閉部4の側部に形成されたロッド突出用穴部22,23から側方へ向けて突出収納可能に設けられたサイドロック用ロッド部24と、固定部3の対応する位置に設けられたロック用穴部25とを備えて、ロック用穴部25へサイドロック用ロッド部24が挿入係止されることにより開閉部4がロックされ得るように構成され、サイドロック用ロッド部24が、先端の奥側部分に、ロック用穴部25への挿入を案内可能なテーパ状先細部29を有する車両用収納装置ロック部構造において、緊急時にサイドロック用ロッド部24が開閉部4内へ引込められて開閉部4が開成されるのを防止可能な緊急時ロッド引込防止構造部31が設けられたことによって、以下のような作用効果を得ることができる。
【0063】
即ち、図2に示すように、緊急時ロッド引込防止構造部31によって、緊急時にサイドロック用ロッド部24が開閉部4内へ引込められて開閉部4が(勝手に)開成されてしまうことが防止される。これにより、緊急時の安全性能を高めることができる。
【0064】
(2)上記において、緊急時ロッド引込防止構造部31が、テーパ状先細部29の起点部分の近傍に形成されて、ロッド突出用穴部22にテーパ状先細部29が押付けられて案内機能が発動することによりサイドロック用ロッド部24が引込められるのを阻止して、ロッド突出用穴部22にサイドロック用ロッド部24を引掛可能な穴引掛形状部33であることによって、以下のような作用効果を得ることができる。
【0065】
即ち、緊急時ロッド引込防止構造部31として、テーパ状先細部29の起点部分の近傍に形成された穴引掛形状部33が、緊急時に、ロッド突出用穴部22にサイドロック用ロッド部24を引掛けてサイドロック用ロッド部24の動きを拘束するように機能する。これによって、荷重入力で、ロッド突出用穴部22にテーパ状先細部29が押付けられて、案内機能が発動することにより、サイドロック用ロッド部24が引込められるのを阻止する。よって、ロックが勝手に解除されて開閉部4が開成されてしまうのを確実に防止することができる。また、穴引掛形状部33は、構成が簡単であるため、コストを掛けずに容易に形成することができると共に、通常の機能を損うことがない。尚、上記説明では緊急時ロッド引込防止構造部31が緊急時に本体インナパネル13に形成されたロッド突出用穴部22に引掛けてサイドロック用ロッド部24の動きを拘束するようにしたが、緊急時ロッド引込防止構造部31が本体アウタパネル側に形成されたロッド突出用穴部23に引掛けるようにしてもよい。
【0066】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施例にかかる車両用収納装置ロック部構造の部分拡大断面図である。
【図2】図1の作動図である。
【図3】従来例や本発明の説明に用いたインストルメントパネルの斜視図である。
【図4】図3の収納装置の開閉部の部分拡大斜視図である。
【図5】図4の断面図である。
【図6】図5の作動図である。
【図7】図6の不具合状態を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
2 収納装置
3 固定部
4 開閉部
21 サイドロック装置
22 ロッド突出用穴部
23 ロッド突出用穴部
24 サイドロック用ロッド部
25 ロック用穴部
29 テーパ状先細部
31 緊急時ロッド引込防止構造部
33 穴引掛形状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に収納装置が設置され、
該収納装置が、固定部と、該固定部に対して開閉可能に設けられた開閉部とを有すると共に、固定部と開閉部との間にサイドロック装置が備えられ、
該サイドロック装置が、開閉部の側部に形成されたロッド突出用穴部から側方へ向けて突出収納可能に設けられたサイドロック用ロッド部と、固定部の対応する位置に設けられたロック用穴部とを備えて、ロック用穴部へサイドロック用ロッド部が挿入係止されることにより開閉部がロックされ得るように構成され、
前記サイドロック用ロッド部が、先端の奥側部分に、ロック用穴部への挿入を案内可能なテーパ状先細部を有する車両用収納装置ロック部構造において、
緊急時にサイドロック用ロッド部が開閉部内へ引込められて開閉部が開成されてしまうのを防止可能な緊急時ロッド引込防止構造部が設けられたことを特徴とする車両用収納装置ロック部構造。
【請求項2】
前記緊急時ロッド引込防止構造部が、前記テーパ状先細部の起点部分の近傍に形成されて、ロッド突出用穴部にテーパ状先細部が押付けられて案内機能が発動することによりサイドロック用ロッド部が引込められるのを阻止して、ロッド突出用穴部にサイドロック用ロッド部を引掛可能な穴引掛形状部であることを特徴とする請求項1記載の車両用収納装置ロック部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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