説明

車両用収納装置

【課題】 ドア本体とアームを共にボックスに対して回動させるときの操作性を向上させることができる車両用収納装置の提供。
【解決手段】ボックス20と、第1、第2の軸芯P1、P2まわりに回動して開閉可能なドア本体30と、ドア本体30の両側に配置されるアーム40と、第1の軸芯P1上に配置されドア本体30とアーム40とを連結する第1のシャフト50と、第2の軸芯P2上に配置されアーム40とボックス20とを連結する第2のシャフト60と、ボックス20に設けられておりアーム側貫通孔41に出入り可能なラッチ70と、ドア本体30に可動に支持されておりアーム側貫通孔41に出入り可能なロッド80と、有する。ラッチ70がボックス20に設けられているため、ラッチがアームに設けられている場合に比べて、アーム40を軽量化でき、ドア本体30とアーム40を共にボックス20に対して回動させるときの操作性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の軸芯まわりに回動して開閉可能であるとともに第1の軸芯と平行な第2の軸芯まわりに回動して開閉可能なドア本体を有する車両用収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2007−245838号公報は、ドア本体(リッド本体)と、ドア本体の車両前後両側に配置されるアーム(リンク体)と、アームに回動可能に取付けられボックス(開口形成体)に引っ掛かり可能なラッチ(ラッチ体)と、ドア本体に前後方向に移動可能に設けられており操作部(ボタン部)を押圧操作した際にラッチを押して回動させラッチとボックスとの引っ掛かりを外すロッド(切り替え部材)と、を有する車両用収納装置を開示している。
【0003】
しかし、上記公報に開示された車両用収納装置には、つぎの問題点がある。
ラッチがアームに回動可能に取付けられているため、ラッチ分だけアームの重量が重くなり、ドア本体とアームを共にボックスに対して回動させるときの操作が困難になる。また、ラッチがアームに回動可能に取付けられているため、ラッチが見えることを防止するためにアームでラッチを覆わなければならず、その分アームが大型化しアーム自体の重量も重くなり、さらに操作が困難になる。
【特許文献1】特開2007−245838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来に比べて、ドア本体とアームを共にボックスに対して回動させるときの操作性を向上させることができる車両用収納装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 収納部を備えるボックスと、
前記ボックスに対して第1の軸芯まわりに回動して前記収納部の開口を開閉可能であるとともに前記第1の軸芯と平行な第2の軸芯まわりに回動して前記収納部の開口を開閉可能なドア本体と、
前記ドア本体の、前記第1、第2の軸芯の延び方向であるA方向の両側に配置されるアームと、
前記第1の軸芯上に配置されており、前記ドア本体の前記A方向と直交するB方向の一端部と前記アームの前記B方向の一端部とを連結する第1のシャフトと、
前記第2の軸芯上に配置されており、前記アームの前記B方向の他端部と前記ボックスとを連結する第2のシャフトと、
前記ボックスに設けられており、前記ボックスに設けられるボックス側貫通孔を挿通して前記アームの前記B方向中間部に設けられるアーム側貫通孔に出入り可能なラッチと、
前記ドア本体に前記A方向に可動に支持されており、前記アームのアーム側貫通孔に出入り可能なロッドと、
を有し、
(a)前記ラッチが前記ボックス側貫通孔を挿通して前記アーム側貫通孔に入り込んでいるとともに前記ロッドが前記アーム側貫通孔に入り込んでいるとき、前記ドア本体は閉位置にあり、前記ドア本体と前記アームは前記第1、第2の軸芯まわりに回動不能であり、
(b)前記ロッドが前記ドア本体に対して前記アーム側貫通孔から抜ける方向に移動し該アーム側貫通孔から抜けたとき、前記ドア本体が前記第1の軸芯まわりに回動可能となり、
(c)前記ロッドが前記ドア本体に対して前記アーム側貫通孔に入り込む量を大にする方向に移動し前記ラッチを前記アーム側貫通孔から押し出したとき、前記ドア本体と前記アームとが共に前記第2の軸芯まわりに回動可能となる、
車両用収納装置。
(2) 前記ロッドを前記ドア本体に対して前記A方向に移動させるロック解除機構を、さらに有しており、
前記ロック解除機構は、前記ドア本体の前記B方向一側に配置される第1の操作部と、前記ドア本体の前記B方向他側に配置される第2の操作部と、前記ドア本体に設けられており前記第1の操作部と前記第2の操作部との間にわたって配置されており前記ロッドの一部が入り込む傾斜溝を備えるスイッチベースと、を備えており、
前記第1の操作部または前記第2の操作部を押圧操作して前記スイッチベースを前記ドア本体に対して移動させたとき、前記ロッドの一部が前記傾斜溝内を移動することにより前記ロッドが前記ドア本体に対して前記A方向に移動する、(1)記載の車両用収納装置。
(3) 前記ドア本体が前記第1の軸芯または前記第2の軸芯まわりに回動して開いているときに前記ロック解除機構の第1、第2の操作部の押圧操作を防止する誤作動防止機構を、さらに有しており、
前記誤作動防止機構は、前記ロック解除機構のスイッチベースに設けられる凹部と、前記ドア本体に回動可能に取付けられるストッパと、を備えており、
前記ドア本体が閉位置にあるとき前記ストッパが前記ボックスに当たって前記凹部から出ており前記ロック解除機構の第1、第2の操作部の押圧操作が可能であり、前記ドア本体が前記第1の軸芯または前記第2の軸芯まわりに回動して開いたとき前記ストッパが前記ボックスから離れ前記ドア本体に対して回動して前記凹部に入り込み前記ロック解除機構の第1、第2の操作部の押圧操作を防止する、(2)記載の車両用収納装置。
【発明の効果】
【0006】
上記(1)の車両用収納装置によれば、ラッチがボックスに設けられているため、ラッチがアームに設けられている場合(従来)に比べて、アームを軽量化できる。そのため、ラッチがアームに設けられている場合(従来)に比べて、ドア本体とアームを共にボックスに対して回動させるときの操作性を向上させることができる。
上記(2)の車両用収納装置によれば、ロック解除機構が、第1の操作部と、第2の操作部と、ロッドの一部が入り込む傾斜溝を備えるスイッチベースと、を備えているため、簡易な構造でロッドをドア本体に対してA方向に移動させることができる。
上記(3)の車両用収納装置によれば、ドア本体が第1の軸芯または第2の軸芯まわりに回動して開いているときにロック解除機構の第1、第2の操作部の押圧操作を防止する誤作動防止機構を有しているため、ドア本体が回動して開いているときにロッドがドア本体に対してA方向に移動してしまうことを防止できる。そのため、開いているドア本体を閉じるときにロッドがアームまたはボックスにぶつかりドア本体を閉じることができなくなることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明実施例の車両用収納装置を、図1〜図12を参照して、説明する。
本発明実施例の車両用収納装置(以下、単に装置ともいう)10は、たとえば、車両のコンソールパネルに配設されるコンソールボックス装置である。ただし、装置10は、コンソールボックス装置に限定されるものではなく、左右等の2方向から開くことができるドア本体を有していれば、車両用アームレスト装置、車両用小物入れ装置、車両用灰皿、車両用カップホルダ、車両用グローブボックス装置等であってもよい。また、装置10の配設場所は、コンソールパネルに限定されるものでもなく、車両のインストルメントパネルであってもよく、車両のルーフであってもよく、車両のその他であってもよい。以下、本発明実施例では、装置10がコンソールボックス装置である場合を例にとって説明する。
【0008】
装置10は、図7に示すように、ボックス20と、ドア本体30と、アーム40と、図8に示すように、第1のシャフト50と、第2のシャフト60と、ラッチ70と、ロッド80と、ロック解除機構90と、図12に示すように、誤作動防止機構100と、を有する。
【0009】
ボックス20は、図2に示すように、前後左右の四側の側壁で囲まれ上方に開放する収納部21を備えている。
【0010】
ドア本体30は、ボックス20の上側に配置され、収納部21を上方から開閉する。ドア本体30は、図7に示すように、インナー部材31と、インナー部材31の上側でインナー部材31に固定されるアウター部材32と、ドア本体30の最上層部に設けられドア本体30の意匠部を構成する表皮33と、を備える。
ドア本体30は、図5に示すように、ボックス20に対して第1の軸芯P1まわりに回動して収納部21の開口を開閉可能であるとともに、図6に示すように、ボックス20に対して第1の軸芯P1と平行な第2の軸芯P2まわりに回動して収納部21の開口を開閉可能である。すなわち、ドア本体30は、ボックス20に対して2方向に回動開閉可能とされている。
なお、以下、第1、第2の軸芯P1、P2の延び方向(たとえば車両前後方向)をA方向とし、水平面内でA方向と直交する方向(たとえば車両左右方向)をB方向とする。
【0011】
アーム40は、図2に示すように、ボックス20の上側で、ドア本体30のA方向両側に1個ずつ配置されている。アーム40の形状はB方向を長手方向とする形状である。
【0012】
第1のシャフト50は、図8に示すように、第1の軸芯P1上に配置されており、A方向に延びている。第1のシャフト50は、ドア本体30のB方向の一端部とアーム40のB方向の一端部とを連結している。第1のシャフト50は、ドア本体30のB方向の一端部とアーム40のB方向の一端部とに回動可能に連結されている。
【0013】
第2のシャフト60は、第2の軸芯P2上に配置されており、A方向に延びている。第2のシャフト60は、アーム40のB方向の他端部とボックス20の上端部またはその近傍とを連結している。第2のシャフト60は、アーム40のB方向の他端部とボックス20の上端部またはその近傍とに回動可能に連結されている。
【0014】
ラッチ70は、図9に示すように、ボックス20の上端部またはその近傍に設けられている。ラッチ70は上下方向に延びており、上端部で折れ曲りA方向に所定量延びている。ラッチ70は、ラッチ70の上下方向中間部または下端部の回転軸まわりに、ボックス20に対してA方向に回動可能とされている。ラッチ70の、上端部でA方向に延びている部分(以下、ラッチ先端部という)71は、ドア本体30がボックス20に対して回動していない閉位置にあるときにアーム40とA方向に対向する位置に設けられるボックス側貫通孔22を挿通して、アーム40のB方向中間部(B方向中央部)に設けられるアーム側貫通孔41に出入り可能とされている。ラッチ70は、図示略のラッチ付勢バネによりボックス20に対して回動付勢されており、ロッド80により押されていないとき、ラッチ先端部71がボックス側貫通孔22を挿通してアーム側貫通孔41に入り込んでいる。
ボックス側貫通孔22は、該孔22が設けられるボックス20部分をA方向に貫通しており、アーム側貫通孔41は、アーム40をA方向に貫通している。
【0015】
ロッド80は、ドア本体30にA方向に可動に支持されている。ロッド80は、図8に示すように、A方向一側と他側に配置される計2つのロッド要素81と、ドア本体30に段付きビス等を用いてA方向に回動可能に支持されており2つのロッド要素81を互いに反対方向に同期させるリンク82と、を備える。2つのロッド要素81は、2つのロッド要素81の各ロッド要素に一体的に設けられるボス81aを、リンク82に設けられる長孔に嵌めることで、リンク82と連結される。ロッド80が2つのロッド要素81とリンク82とを備えているため、2つのロッド要素81の一方がA方向にドア本体30内側に移動したとき、2つのロッド要素81の他方がA方向にドア本体30内側に移動し、2つのロッド要素81の一方がA方向にドア本体30外側に移動したとき、2つのロッド要素81の他方がA方向にドア本体30外側に移動する。
ロッド80のA方向両端部は、図9に示すように、ドア本体30からA方向に突出し、アーム40のアーム側貫通孔41に出入り可能とされている。
【0016】
ロック解除機構90は、図8に示すように、ロッド80をドア本体30に対してA方向に移動させる機構である。ロック解除機構90は、ドア本体30のB方向一側に配置される第1の操作部91と、ドア本体30のB方向他側に配置される第2の操作部92と、ドア本体30に設けられており第1の操作部91と第2の操作部92との間にわたって配置されておりロッド80の一部83が入り込む傾斜溝93aを備えるスイッチベース93と、を備える。
【0017】
第1、第2の操作部91,92は、ドア本体30にB方向のみに往復直線動可能に支持されている。
スイッチベース93は、B方向に延びており、延び方向一端部で第1の操作部91に連結され延び方向他端部で第2の操作部92に連結される。
スイッチベース93の傾斜溝93aは、A方向一側かつB方向一側に直線状に延びて形成されている。
【0018】
第1の操作部91または第2の操作部92を押圧操作してスイッチベース93をドア本体30に対してB方向に移動させたとき、ロッド80の一部83が傾斜溝93a内を移動することにより、ロッド80がドア本体30に対してA方向に移動する。
【0019】
スイッチベース93の延び方向中間部には、ドア本体30が閉位置にあるときの平面視でA方向に開放するV字状のカム溝93bが設けられている。ドア本体30にA方向に可動に設けられカム溝93bに合致する先端V字状のクリップ110が、図示略のバネによりカム溝93bに押し付けられることで、第1、第2の操作部91,92の一方を操作してドア本体30に対して移動したロッド80及びロック解除機構90を移動前の位置(初期位置、所定位置)に戻すことができるようになっている。なお、カム溝93bは、スイッチベース93の延び方向中間部ではなく、ロッド80に設けられていてもよい。
【0020】
誤作動防止機構100は、ドア本体30が第1の軸芯P1または第2の軸芯P2まわりに回動して開いているときにロック解除機構90の第1、第2の操作部91,92の押圧操作を防止する機構である。誤作動防止機構100は、図12に示すように、ロック解除機構90のスイッチベース93の下面に設けられる凹部101と、ドア本体30に回動可能に取付けられるストッパ102と、を備える。
【0021】
凹部101は、スイッチベース93の延び方向の一部のみに設けられている。凹部101は、第1の操作部91を押圧操作したときにストッパ102が下方から進入可能な位置と、第2の操作部92を押圧操作したときにストッパ102が下方から進入可能な位置との、計2箇所のみに設けられている。
【0022】
ストッパ102は、A方向に延びており、A方向一端部で折れ曲り下方に所定量延びている。ストッパ102のA方向他端部が凹部101に下方から進入可能とされている。ストッパ102は、ストッパ102のA方向中間部の回転軸まわりに、ドア本体30に対して上下方向に回動可能とされている。ストッパ102の、A方向一端部で下方に延びている部分(以下、ストッパ先端部という)102aは、ドア本体30のインナー部材31に設けられる上下方向貫通孔31aを挿通して、ドア本体30から下方に突出可能とされている。ストッパ102は、図示略のストッパ付勢バネにより、ドア本体30に対して、ストッパ先端部102aがドア本体30から下方に突出する方向(ストッパ102のA方向他端部が凹部101に進入する方向)に回動付勢されている。
【0023】
ドア本体30が回動しておらず閉位置にあるとき、ストッパ102は、ストッパ先端部102aがボックス20上面に当たり押されることで、ドア本体30に対して回動し凹部101から出ている。そのため、ロック解除機構90のスイッチベース93はドア本体30に対しB方向に動くことができる。そのため、ロック解除機構90の第1、第2の操作部91、92の押圧操作が可能である。
ドア本体30が第1の軸芯P1または第2の軸芯P2まわりに回動して開いたとき、ストッパ102は、ストッパ先端部102aがボックス20から離れるため、図示略のストッパ付勢バネの付勢力によりドア本体30に対して回動し凹部101に入り込む。そのため、ロック解除機構90のスイッチベース93はドア本体30に対し移動不能となる。そのため、ロック解除機構90の第1、第2の操作部91、92の押圧操作が防止される。
【0024】
ここで、本発明実施例の作動を説明する。
(a)図9に示すように、ラッチ70のラッチ先端部71がボックス側貫通孔22を挿通してアーム側貫通孔41に入り込んでいるとともにロッド80がアーム側貫通孔41に入り込んでいるとき、ドア本体30はボックス20に対して閉位置にあり、ドア本体30とアーム40は第1、第2の軸芯P1,P2まわりに回動不能である。
【0025】
(b)図10に示すように、ロッド80がドア本体30に対してアーム側貫通孔41から抜ける方向に(ドア本体30の内側に)移動しアーム側貫通孔41から抜けたとき、ドア本体30が第1の軸芯P1まわりに(第1のシャフト50まわりに)回動可能となる。そのため、ドア本体30を第1の軸芯P1まわりにボックス20に対して回動させることにより、ドア本体30を開けることができる。なお、このとき、ラッチ70のラッチ先端部71がロッド80により押されないためボックス側貫通孔22を挿通してアーム側貫通孔41に入り込んだままであり、かつ、第2のシャフト60がボックス20とアーム40とに連結されているため、アーム40はボックス20に対し回動不能である。
【0026】
(c)図11に示すように、ロッド80がドア本体30に対してアーム側貫通孔41に入り込む量を大にする方向に(ドア本体30の外側に)移動しラッチ70のラッチ先端部71をアーム側貫通孔41から押し出したとき、ロッド80がアーム側貫通穴41に入り込んでおり、第1のシャフト50がドア本体30とアーム40とに連結されているため、ドア本体30とアーム40とが共に(一体的に、一緒に)第2の軸芯P2まわりに(第2のシャフト60まわりに)回動可能となる。そのため、ドア本体30とアーム40とを共に第2の軸芯P2まわりにボックス20に対して回動させることにより、ドア本体30を開けることができる。
【0027】
つぎに、本発明実施例の作用を説明する。
本発明実施例では、ラッチ70がボックス20に設けられているため、ラッチがアームに設けられている場合(従来)に比べて、アーム40を軽量化できる。そのため、ラッチがアームに設けられている場合(従来)に比べて、ドア本体30とアーム40を共にボックス20に対して回動させるときの操作性を向上させることができる。
【0028】
ロック解除機構90が、第1の操作部91と、第2の操作部92と、ロッド80の一部83が入り込む傾斜溝93aを備えるスイッチベース93と、を備えているため、簡易な構造でロッド80をドア本体30に対してA方向に移動させることができる。
【0029】
ドア本体30が第1の軸芯P1または第2の軸芯P2まわりに回動して開いているときにロック解除機構90の第1、第2の操作部91,92の押圧操作を防止する誤作動防止機構100を有しているため、ドア本体30が回動して開いているときにロッド80がドア本体30に対してA方向に移動してしまうことを防止できる。そのため、開いているドア本体30を閉じるときにロッド80がアーム40またはボックス20にぶつかりドア本体30を閉じることができなくなることを防止できる。
【0030】
ボックス側貫通孔22は、該孔22が設けられるボックス20部分をA方向に貫通しており、アーム側貫通孔41は、アーム40をA方向に貫通している。すなわち、ボックス側貫通孔22とアーム側貫通穴41は上下方向と直交する方向に延びる貫通孔である。そのため、ボックス側貫通孔22とアーム側貫通孔41とが上下方向に延びる貫通孔である場合に比べて、ドア本体30とアーム40がボックス20に対して回動して開位置にあるときにボックス側貫通孔22から異物(ゴミ、液体等)がボックス20内に侵入することを抑制できる。
【0031】
ラッチ先端部71とロッド80とがアーム側貫通穴41に入り込んでいるときドア本体30を回動不能とし、ロッド80がアーム側貫通穴41から抜けたときドア本体30を第1の軸芯P1まわりに回動可能とし、ロッド80がラッチ先端部71をアーム側貫通孔41から押し出したときドア本体30とアーム40が第2の軸芯P2まわりに回動可能となるため、ラッチ70が入る孔とロッド80が入る孔とが同じ(一つの)アーム側貫通孔41である。そのため、ドア本体30の開閉を確実に行なうためには、アーム側貫通孔41の位置、寸法のみを管理すればよく、ラッチ70が入る孔とロッド80が入る孔とが異なる場合に比べて、ドア本体30の開閉を確実に行なうために要する管理が容易になる。
【0032】
本発明実施例では、ロッド80でラッチ先端部71をアーム側貫通孔41から押し出してドア本体30とアーム40とを第2の軸芯P2まわりに回動させたとき、ロッド80がドア本体30とともに動くため、ロッド80がラッチ先端部71から離れる。そのため、ラッチ70が図示略のラッチ付勢バネによりボックス20に対して回動しロッド80によって押される前の状態に戻る。その結果、ラッチ先端部71がボックス20からアーム40の移動軌跡内に突出し、ボックス20の収納部21に物を出し入れするとき、またはドア本体30とアーム40とを閉じるときに、物やアーム40がラッチ先端部71に干渉してしまう。
しかし、ラッチ70は、ボックス20に対して回動可能とされているため、物やアーム40がラッチに干渉しても、ラッチ70が回転するだけであるため、問題が生じることはほとんどない。
【0033】
本発明実施例では、ドア本体30を手動にて閉位置から開位置に回動させる場合を示しているが、ボックス20とアーム40との間、アーム40とドア本体30との間に図示略のスプリングを取付けることで、ドア本体30を開位置側に跳ね上げることができるようにされていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明実施例の車両用収納装置の、ドア本体が閉位置にあるときの斜視図である。
【図2】本発明実施例の車両用収納装置の、ドア本体が第1の軸芯まわりに回動して開いたときの斜視図である。
【図3】本発明実施例の車両用収納装置の、ドア本体が第2の軸芯まわりに回動して開いたときの斜視図である。
【図4】図1の状態での、アーム部位での概略断面図である。
【図5】図2の状態での、アーム部位での概略断面図である。
【図6】図3の状態での、アーム部位での概略断面図である。
【図7】本発明実施例の車両用収納装置の、ラッチ部位での断面図である。
【図8】本発明実施例の車両用収納装置の、ドア本体のアウター部材を外した状態での、ドア本体が閉位置にあるときの平面図である。
【図9】本発明実施例の車両用収納装置の、ドア本体が閉位置にあるときの、ラッチ部位での部分拡大断面図である。
【図10】本発明実施例の車両用収納装置の、図9の状態からロッドがドア本体に対してアーム側貫通孔から抜ける方向に移動しアーム側貫通孔から抜けたときの、ラッチ部位での部分拡大断面図である。
【図11】本発明実施例の車両用収納装置の、図9の状態からロッドがドア本体に対してアーム側貫通孔に入り込む量を大にする方向に移動しラッチをアーム側貫通孔から押し出したときの、ラッチ部位での部分拡大断面図である。
【図12】本発明実施例の車両用収納装置の、誤作動防止機構部位での部分断面図である。
【符号の説明】
【0035】
10 車両用収納装置
20 ボックス
21 収納部
22 ボックス側貫通孔
30 ドア本体
31 インナー部材
31a 上下方向貫通孔
32 アウター部材
33 表皮
40 アーム
41 アーム側貫通孔
50 第1のシャフト
60 第2のシャフト
70 ラッチ
71 ラッチ先端部
80 ロッド
81 ロッド要素
81a ボス
82 リンク
90 ロック解除機構
91 第1の操作部
92 第2の操作部
93 スイッチベース
93a 傾斜溝
93b カム溝
100 誤作動防止機構
101 凹部
102 ストッパ
102a ストッパ先端部
110 クリップ
P1 第1の軸芯
P2 第2の軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部を備えるボックスと、
前記ボックスに対して第1の軸芯まわりに回動して前記収納部の開口を開閉可能であるとともに前記第1の軸芯と平行な第2の軸芯まわりに回動して前記収納部の開口を開閉可能なドア本体と、
前記ドア本体の、前記第1、第2の軸芯の延び方向であるA方向の両側に配置されるアームと、
前記第1の軸芯上に配置されており、前記ドア本体の前記A方向と直交するB方向の一端部と前記アームの前記B方向の一端部とを連結する第1のシャフトと、
前記第2の軸芯上に配置されており、前記アームの前記B方向の他端部と前記ボックスとを連結する第2のシャフトと、
前記ボックスに設けられており、前記ボックスに設けられるボックス側貫通孔を挿通して前記アームの前記B方向中間部に設けられるアーム側貫通孔に出入り可能なラッチと、
前記ドア本体に前記A方向に可動に支持されており、前記アームのアーム側貫通孔に出入り可能なロッドと、
を有し、
(a)前記ラッチが前記ボックス側貫通孔を挿通して前記アーム側貫通孔に入り込んでいるとともに前記ロッドが前記アーム側貫通孔に入り込んでいるとき、前記ドア本体は閉位置にあり、前記ドア本体と前記アームは前記第1、第2の軸芯まわりに回動不能であり、
(b)前記ロッドが前記ドア本体に対して前記アーム側貫通孔から抜ける方向に移動し該アーム側貫通孔から抜けたとき、前記ドア本体が前記第1の軸芯まわりに回動可能となり、
(c)前記ロッドが前記ドア本体に対して前記アーム側貫通孔に入り込む量を大にする方向に移動し前記ラッチを前記アーム側貫通孔から押し出したとき、前記ドア本体と前記アームとが共に前記第2の軸芯まわりに回動可能となる、
車両用収納装置。
【請求項2】
前記ロッドを前記ドア本体に対して前記A方向に移動させるロック解除機構を、さらに有しており、
前記ロック解除機構は、前記ドア本体の前記B方向一側に配置される第1の操作部と、前記ドア本体の前記B方向他側に配置される第2の操作部と、前記ドア本体に設けられており前記第1の操作部と前記第2の操作部との間にわたって配置されており前記ロッドの一部が入り込む傾斜溝を備えるスイッチベースと、を備えており、
前記第1の操作部または前記第2の操作部を押圧操作して前記スイッチベースを前記ドア本体に対して移動させたとき、前記ロッドの一部が前記傾斜溝内を移動することにより前記ロッドが前記ドア本体に対して前記A方向に移動する、請求項1記載の車両用収納装置。
【請求項3】
前記ドア本体が前記第1の軸芯または前記第2の軸芯まわりに回動して開いているときに前記ロック解除機構の第1、第2の操作部の押圧操作を防止する誤作動防止機構を、さらに有しており、
前記誤作動防止機構は、前記ロック解除機構のスイッチベースに設けられる凹部と、前記ドア本体に回動可能に取付けられるストッパと、を備えており、
前記ドア本体が閉位置にあるとき前記ストッパが前記ボックスに当たって前記凹部から出ており前記ロック解除機構の第1、第2の操作部の押圧操作が可能であり、前記ドア本体が前記第1の軸芯または前記第2の軸芯まわりに回動して開いたとき前記ストッパが前記ボックスから離れ前記ドア本体に対して回動して前記凹部に入り込み前記ロック解除機構の第1、第2の操作部の押圧操作を防止する、請求項2記載の車両用収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−116104(P2010−116104A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292175(P2008−292175)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】