説明

車両用収納装置

【課題】チェックアームの繰り返し使用によって樹脂が劣化して係合力の低下、熱による変形によって操作荷重の変化を抑制する車両用収納装置を提供すること。
【解決手段】車室内に設けられた収納部を有するボックス本体2と、該ボックス本体2に回動可能に設けられ、ボックス本体1を開閉するドア3と、前記ボックス本体2またはその周縁部に設けられた案内孔2bに嵌挿され、その一端が前記ドア3に取付保持されると共に、他端に前記案内孔2bの周辺部に係合してドア3の開放位置を規制するチェックアーム4を備えた車両用収納装置で、前記ボックス本体3とチェックアーム4の一方にはロックピン4が立設されており、前記ボックス本体2と前記チェックアーム4の他方には前記ロックピン11が辿る溝部13と、前記ドア2が開放された際に前記ロックピン11と係合し、ドアの開放位置を維持するハートカム23を備えた車両用収納装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される収納装置においては、ボックス本体に対して開閉可能に備えられるドアの開放位置を規制するチェックアームを備えたものが用いられている。
この種のチェックアームとしては、先端が先割れした形状をしており、ボックス本体またはその周辺に形成された開口またはその周辺に弾性的に係合して、ドアの開放位置を規制するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−02256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記した構造のチェックアームでは、繰り返しの使用による樹脂の劣化により、チェックアームの先端部と開口周縁との係合力が低下する、熱による先端部の変形により操作荷重が変化してしまう問題点が存在した。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、チェックアームの繰り返し使用によって樹脂が劣化することによる係合力の低下や、熱による変形によって操作荷重の変化を効果的に抑制する車両用収納装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのもので、以下のように構成されている。
車室内に設けられた収納部を有するボックス本体と、該ボックス本体に回動可能に設けられ、ボックス本体を開閉するドアと、前記ボックス本体またはその周縁部に設けられた案内孔に嵌挿され、その一端が前記ドアに取付保持されると共に、他端に前記案内孔の周辺部に係合してドアの開放位置を規制するチェックアームを備えた車両用収納装置において、前記ボックス本体とチェックアームの一方にはロックピンが立設されていると共に、前記ボックス本体と前記チェックアームの他方には前記ロックピンが辿る溝部と、前記ドアが開放された際に前記ロックピンと係合し、ドアの開放位置を維持するハートカムが備えられていること、を特徴とする車両用収納装置。
【発明の効果】
【0007】
このように、本発明は、ボックス本体とドアの開放位置を規制するチェックアームの一方にロックピンを設け、他方にロックピンが辿る溝部と、ドアが開放された際に前記ロックピンと係合し、ドアの開放位置を維持するハートカムによって構成されているため、チェックアームの繰り返し使用による樹脂の劣化による係合力の低下や、熱による変形によって操作荷重が変化することを効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の車両用収納装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の車両用収納装置のドア閉止状態を示す透視図である。
【図3】本発明の車両用収納装置のドア開放状態示す透視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態を図1乃至図3に基づいて説明する。図1は本発明の車両用収納装置を示す斜視図であり、図2は本発明の車両用収納装置のドア閉止状態を示す透視図、図3は本発明の車両用収納装置のドア開放状態示す透視図である。1は車両のインストルメントパネルに設けられるアッパボックスである。2は収納部を有するボックス本体であり、2aはボックス本体に形成されるフランジ部、2bは該フランジ部2aに形成され、後述するチェックアームが挿通される案内孔である。ボックス本体1の側面にはロックピン11が立設されている。
【0010】
3はボックス本体に対し開閉可能に設けられるドアである。ドア3にはチェックアーム4の一端が回動可能に取り付けられる取付部3aが設けられている。
【0011】
4は一端がドア3に回動可能に取り付けられると共に、他端が自由端であって且つボックス本体2に形成された案内孔2bに出没自在に設けられる、ドア3のボックス本体2に対する開放位置を規制するチェックアームである。チェックアーム4には、前記ロックピン11が辿る略Y字状に形成された溝13が形成されている共に、溝13内にハートカム23が形成されている。ハートカム23は、ドア3が開放された際、ハート形状部の窪み部23aがボックス本体2の底面方向を向くように設けられている。
【0012】
前記のように構成されたアッパボックス1の作用について説明する。図2はアッパボックス1において、ボックス本体2に対してドア3が閉止された状態を示す透視図である。この状態において、ロックピン11は溝13の一端13aに位置している。
【0013】
ドア3を上方に持ち上げると、ドア3の取付部3aにその一端が回動可能に取り付けられたチェックアーム4が、案内孔2bから引き出され、その際ロックピン11は溝13内を辿り、一時的に溝13の他端の一方の13bに入り込み、最大開放量が規制される。次いでドア3より手を離すと、ドア3は自重で下方に下がり、それに伴ってチェックアーム4も下方に移動することにより、ロックピン11と溝13の他端の一方13bとの係合が解除される。チェックアーム4が下方に移動することにより、チェックアーム4に一体に形成されたハートカム23も下方に移動するため、ハートカム23の窪み部23aはロックピン11に係合し、ドア3の開放状態が維持されることとなる。
【0014】
ドア3を閉止したい場合は、ドア3を軽く持ち上げると、ロックピン11とハートカム23の窪み部23aとの係合が解除され、ロックピン11は溝13の他端の一端13cに入り込み、最大開放量が規制され、その後、ドア3を下方に移動させると、それに伴ってチェックアーム4も案内孔2b内に収容され、ロックピンは再度溝13の一端13aに係合し、ドア3は閉止される。
【0015】
本発明は、前記のように構成されているため、繰り返し使用しても樹脂が劣化することはなく、チェックアームとボックス本体側の係合力が低下することなく、また熱による変形で操作荷重が変化することが効果的に抑制できる。
【0016】
以上、本発明について好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、前記実施形態においては、アッパボックスを例示したが、これに限定されず、コンソールボックス、グラブボックス、その他収納装置に適用できることは言うまでもないことである。
【0017】
また、前記実施形態においては、ボックス本体2にロックピン11を設け、チェックアーム4に溝13およびハートカム23を設けたものを例示したが、ボックス本体2に溝13とハートカム23を形成し、チェックアーム4にロックピン11を立設することも可能である。
【符号の説明】
【0018】
1 アッパボックス(車両用収納体)
2 ボックス本体
2a フランジ
2b 案内孔
3 ドア
4 チェックアーム
11 ロックピン
13 溝
23 ハートカム
23a 窪み部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に設けられた収納部を有するボックス本体と、
該ボックス本体に回動可能に設けられ、ボックス本体を開閉するドアと、
前記ボックス本体またはその周縁部に設けられた案内孔に嵌挿され、その一端が前記ドアに取付保持されると共に、他端に前記案内孔の周辺部に係合してドアの開放位置を規制するチェックアームを備えた車両用収納装置において、
前記ボックス本体とチェックアームの一方にはロックピンが立設されていると共に、
前記ボックス本体と前記チェックアームの他方には前記ロックピンが辿る溝部と、前記ドアが開放された際に前記ロックピンと係合し、ドアの開放位置を維持するハートカムが備えられていること、
を特徴とする車両用収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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