説明

車両用周辺確認装置

【課題】 少ない部品点数で車両の周辺を確認することができる車両用周辺確認装置を提供すること。
【解決手段】 車両用周辺確認装置は、カメラ2、制御装置3、表示装置4、スイッチ5、アンテナ駆動装置6、ロッドアンテナ7などを備える。カメラ2は、テレビ電波やラジオ電波などを受信するためのロッドアンテナ7の上端部に地面に垂直な軸を中心に回転可能な状態で搭載される。制御装置3は、スイッチ5からカメラ2による撮像を開始することを示す操作信号が出力されると、アンテナ駆動装置6に駆動信号を出力し、ロッドアンテナ7を伸ばす。そして、制御回路3は、カメラ2が撮像した撮像信号を表示装置8へ入力する。表示装置8は、制御装置3から撮像信号を取得すると、その撮像信号を表示画面に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用周辺確認装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の周辺を確認する車両周辺確認装置として特許文献1に示されるものがある。特許文献1に記載される車両周辺確認装置は、ポール体、撮像部、表示部、ポール体駆動機構、撮像部駆動機構、操作入力受付部、制御部などを備える。制御部は、操作入力受付部を通じて入力された操作入力に基づいて、ポール体駆動機構及び撮像部駆動機構を駆動し、撮像部の高さ及び撮像方向を制御すると共に、撮像部にて撮像された車両の遠方、左右方向を表示部に表示する。
【0003】
また、特許文献2に示されるように、車両の前方ドアミラーの後方視認鏡とは反対側に回動自在に設けられた撮像部、この撮像部にて撮像された撮像画像を表示する表示部を備える車両周辺確認装置がある。特許文献2に記載される車両周辺確認装置は、撮像部にて撮像された車両の前方方向、及び車輪周辺などを表示部に表示する。
【特許文献1】特開2000−165854号公報
【特許文献2】特開2000−62531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1における車両周辺確認装置は、ポール体、ポール体駆動機構などの一般的な車両には設けられていない部品が必要となり、その分、部品点数が多くなってしまうという問題があった。
【0005】
また、特許文献2における車両周辺確認装置は、撮像部をドアミラーに設けているため、ドアの開け閉めによる振動が撮像部に伝播し、撮像部に悪影響を与える可能性があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、少ない部品点数で車両の周辺を確認することができる車両用周辺確認装置を提供することを第1の目的とする。また、撮像部への悪影響を低減しつつ車両の周辺を確認することができる車両用周辺確認装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の車両用周辺確認装置は、車両に設けられた高さ方向に伸縮可能なアンテナに搭載される撮像手段と、画像信号を表示する表示手段と、撮像手段にて撮像された画像信号を表示手段に出力する制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
このように、電波を受信するための伸縮可能なアンテナに撮像手段を搭載することによって、特別な部材を設けることなく撮像手段を高さ方向へ移動でき、少ない部品点数で車両の周辺を確認することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の車両用周辺確認装置では、アンテナを伸縮駆動する駆動手段と、アンテナの伸縮駆動を指示するアンテナ操作信号を出力するアンテナ操作手段とを備え、制御手段はアンテナ操作信号に応じて駆動手段を動作させることを特徴とするものである。
【0010】
このように、アンテナを伸縮駆動する駆動手段を設けることによって、手動でアンテナを伸び縮みさせるような手間を省くことができる。
【0011】
また、請求項3に記載の車両用周辺確認装置では、車両に設けられたフェンダーミラーに搭載される撮像手段と、撮像手段からの画像信号を表示する表示装置とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
このように、フェンダーミラーに撮像手段を搭載することによって、撮像部へのドアの開け閉めによる振動の伝播を低減しつつ車両の周辺を確認することができる。
【0013】
また、請求項4に記載の車両用周辺確認装置では、撮像手段の撮像方向を変える方向変換手段と、撮像手段の撮像方向を指示する撮像操作信号を出力する撮像操作手段とを備え、制御手段は撮像操作信号に応じて方向変換手段を動作させることを特徴とするものである。
【0014】
このように、撮像手段の撮像方向を変える方向変換手段を備えることによって、車両の周辺における確認できる範囲を広範囲にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態における車両用周辺確認装置の概略構成を示すブロック図である。本発明の車両用周辺確認装置は、カメラ2、制御装置3、表示装置4、スイッチ5、アンテナ駆動装置6、ロッドアンテナ7、コントローラ8、方向変換機構9などを備える。
【0016】
カメラ2は、CCDなどの固体撮像素子であり、車両1に設けられるロッドアンテナ7の上端部に地面に垂直な軸を中心に回転可能な状態で搭載される。このロッドアンテナ7は、テレビ電波やラジオ電波などを受信するためのアンテナであり、テレビ電波やラジオ電波などを受信する際にアンテナ駆動装置6によって駆動され伸縮するものである。
【0017】
アンテナ駆動装置6は、ロッドアンテナ7を伸縮させるためのワイヤ、そのワイヤが巻回される回転ドラム、その回転ドラムを回転駆動するモータ、カメラ2及び方向変換機構9と接続された信号線が巻回されるリール、そのリールを回転駆動するモータなどを備える。ロッドアンテナ7は、モータによって回転ドラムが回転駆動され、回転ドラムからワイヤが送り出されると伸び、逆に回転ドラムによってワイヤが回転ドラムに巻き戻されると縮む。
【0018】
制御装置3は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインが備えられている。ROMには、車両用周辺確認装置が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。
【0019】
表示装置4は、カラー表示装置であり、車室内のセンターパネルやインストルメントパネル付近に配置される。この表示装置8としては、例えばCRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等が用いられる。
【0020】
スイッチ5は、メカニカルなキースイッチからなり、押圧操作されることによって、カメラ2による撮像を開始することを示す操作信号を出力する。この撮像を開始することを示す操作信号が出力されると、ロッドアンテナ7はアンテナ駆動装置6によって伸ばされる。また、スイッチ5は、長押し操作されることによって、カメラ2による撮像を終了することを示す操作信号を出力する。そして、この撮像を終了することを示す操作信号が出力されると、ロッドアンテナ7はアンテナ駆動装置6によって縮められる。
【0021】
コントローラ8は、ジョイスティックのようなものからなり、カメラ2による撮像方向及び撮像位置を指示するものである。コントローラ8は、前後左右に操作されると、その操作された方向を示す操作信号を出力する。方向変換機構9は、モータなどを備え、カメラ2を地面に垂直な軸を中心に回動させるものである。
【0022】
ここで、本実施の形態における車両用周辺確認装置の動作について説明する。図2は、本発明の実施の形態における車両用周辺確認装置の動作を示すフロー図である。図3は、本発明の実施の形態における車両用周辺確認装置の動作を説明するイメージ図である。図2に示すフローは、車両用周辺確認装置が電源供給されるとスタートする。
【0023】
まず、ステップS1では、制御装置3は、カメラ2による撮像を開始するか否かを判定する。制御装置3は、スイッチ5から撮像を開始することを示す操作信号が出力されたか否かによって撮像を開始するか否かを判定し、この操作信号が出力された場合はステップS2へ進み、操作信号が出力されない場合はステップS1の判定を繰り返す。
【0024】
ステップS2では、制御装置3は、撮像を開始するためにカメラ2を起動する。そして、ステップS3では、制御回路3は、アンテナ駆動装置6にロッドアンテナ7を伸ばすことを示す駆動信号を出力することによって、図3に示すaの位置からbの位置へカメラ2を移動させる。ロッドアンテナ7を伸ばすことを示す駆動信号を受信したアンテナ駆動装置6は、モータによって回転ドラムを回転駆動し、回転ドラムからワイヤを送り出すことによってロッドアンテナ7を伸ばし、カメラ2を上方へ移動させる。
【0025】
ステップS4では、制御装置3は、カメラ2が撮像した撮像信号を表示装置8へ入力する。表示装置8は、制御装置3から撮像信号を取得すると、その撮像信号を表示画面に表示する。
【0026】
例えば、車両1の前方にトラックなどの大型車が存在するような場合は、車両1のドライバーは大型車によって視界が狭められ、前方を確認しづらいものである。しかしながら、図3に示すように、カメラ2をbの位置へ移動させ、その位置でのカメラ2が撮像した撮像信号を表示装置4にて確認することによって、車両1の前方にトラックなどの大型車が存在するような場合であっても、車両の前方を確認することができる。
【0027】
ステップS5では、制御装置3は、カメラ2による撮像を終了するか否かを判定する。制御装置3は、スイッチ5から撮像を終了することを示す操作信号が出力されたか否かによって撮像を開始するか否かを判定し、この操作信号が出力された場合はステップS6へ進み、操作信号が出力されない場合はステップS4へ戻る。
【0028】
ステップS6では、制御回路3は、アンテナ駆動装置6にロッドアンテナ7を縮めることを示す駆動信号を出力することによって、図3に示すbの位置からaの位置へカメラ2を移動させる。ロッドアンテナ7を縮めることを示す駆動信号を受信したアンテナ駆動装置6は、モータによって回転ドラムを回転駆動し、回転ドラムにワイヤを巻き戻すことによってロッドアンテナ7を縮ませ、カメラ2を下方へ移動させる。
【0029】
また、車両用周辺確認装置が電源供給されている際に、コントローラ8から前後左右の方向を示す操作信号が出力されると、制御回路3は、その操作信号に応じてカメラ2を地面に垂直な軸を中心に回動させることを示す駆動信号を出力する。そして、方向変換機構9は、その駆動信号に応じてモータを駆動させてカメラ2を地面に垂直な軸を中心に回動させる。
【0030】
(変形例)
ここで、本発明の実施の形態の変形例を図に基づいて説明する。図4は、本発明の実施の形態の変形例における車両用周辺確認装置の動作を説明するイメージ図である。なお、上述の実施の形態との共通部分についての詳しい説明は省略する。
【0031】
変形例として、カメラ2をフェンダーミラー10に搭載するようにしてもよい。制御装置3は、スイッチ5から撮像を開始することを示す操作信号が出力されると、図4に示すようにフェンダーミラー10に搭載されたカメラ2による撮像を開始する。更に、車両用周辺確認装置が電源供給されている際に、コントローラ8から前後左右の方向を示す操作信号が出力されると、制御回路3は、その操作信号に応じてカメラ2を地面に垂直な軸を中心に回動させることを示す駆動信号を出力する。そして、方向変換機構9は、その駆動信号に応じてモータを駆動させてカメラ2を地面に垂直な軸を中心に回動させる。
【0032】
そして、制御装置3は、カメラ2が撮像した撮像信号を表示装置8へ入力する。表示装置8は、制御装置3から撮像信号を取得すると、その撮像信号を表示画面に表示する。なお、変形例においては、制御回路3は、左右のカメラ2が撮像した画像信号を別々に表示装置8へ入力するようにしてもよい。表示装置8は、表示画面を左右に分割し、制御回路3から左側のカメラ2で撮像した撮像信号を取得すると、その撮像信号を左側の表示画面に表示し、制御回路3から右側のカメラ2で撮像した撮像信号を取得すると、その撮像信号を右側の表示画面に表示する。
【0033】
このように、カメラ2をフェンダーミラー10に搭載することによって、ドアの開閉によるカメラ2への振動の伝播を低減できると共に、カメラ2による撮像範囲を広くすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態における車両用周辺確認装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における車両用周辺確認装置の動作を示すフロー図である。
【図3】本発明の実施の形態における車両用周辺確認装置の動作を説明するイメージ図である。
【図4】本発明の実施の形態の変形例における車両用周辺確認装置の動作を説明するイメージ図である。
【符号の説明】
【0035】
1 車両、2 カメラ、3 制御装置、4 表示装置、5 スイッチ、6 アンテナ駆動装置、7 ロッドアンテナ、8 コントローラ、9 方向変換機構、10 フェンダーミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた高さ方向に伸縮可能なアンテナに搭載される撮像手段と、
画像信号を表示する表示手段と、
前記撮像手段にて撮像された画像信号を前記表示手段に出力する制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用周辺確認装置。
【請求項2】
前記アンテナを伸縮駆動する駆動手段と、前記アンテナの伸縮駆動を指示するアンテナ操作信号を出力するアンテナ操作手段とを備え、前記制御手段は、当該アンテナ操作信号に応じて前記駆動手段を動作させることを特徴とする請求項1に記載の車両用周辺確認装置。
【請求項3】
車両に設けられたフェンダーミラーに搭載される撮像手段と、
前記撮像手段からの画像信号を表示する表示装置と、
を備えることを特徴とする車両用周辺確認装置。
【請求項4】
前記撮像手段の撮像方向を変える方向変換手段と、前記撮像手段の撮像方向を指示する撮像操作信号を出力する撮像操作手段とを備え、前記制御手段は、当該撮像操作信号に応じて前記方向変換手段を動作させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車両用周辺確認装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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