説明

車両用外気温度算出装置

【課題】 車両を起動する際において、迅速に車両外気温度を表示できる車両用外気温度表示装置を提供する。
【解決手段】 車両に設けられた外気温度検出手段1の検出値に基づいて車両外気温度を算出し、この算出結果に基づいて表示手段5に表示させる制御手段4を備えてなる車両用外気温度表示装置であって、制御手段4は、前記車両の電源操作手段の操作がなされてからエンジンが作動するまでの間に外気温度検出手段1が検出した検出値に基づいて、前記車両外気温度を算出してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両外気温度を表示する車両用外気温度表示装置に関し、例えば、エンジン等の内燃機関を備えた車両に搭載される車両用外気温度表示装置として好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、外気温度センサ(外気温度検出手段)を用いて、車両外気温度を算出し、これに基づいて、車両の空気調和器を自動制御したり、インストルメントパネルに設けられた空気調和器の表示パネル等に表示するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、これらの車両外気温度は、エンジンの熱が外気温度センサに影響していない状態(例えば、外気温度センサに良好に外気を受ける車両走行中)の検出値に基づいて算出されるように工夫されている。
【特許文献1】特開平62−155111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような車両外気温度の算出にあっては、通常車両が走行していない状態でエンジンを始動するが、エンジン作動後にはエンジンルーム内の温度が上昇してしまうため、外気温度センサにおいてもこの熱の影響を受けた状態となってしまう。この状態にあっては、車両外気温度の正確な値を算出できないため、再び車両が走行し外気温度センサがエンジンからの熱影響を受けない状態になるまで正確な車両外気温度を得ることができないという問題があった。
【0005】
そこで本発明の目的とするところは、上述した問題に着目してなされたものであり、車両を起動する際において、迅速に車両外気温度を表示できる車両用外気温度表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用外気温度表示装置は、請求項1に記載したように、車両に設けられた外気温度検出手段の検出値に基づいて車両外気温度を算出し、この算出結果に基づいて表示手段に表示させる制御手段を備えてなる車両用外気温度表示装置であって、前記制御手段は、前記車両の電源操作手段の操作がなされてからエンジンが作動するまでの間に前記外気温度検出手段が検出した検出値に基づいて、前記車両外気温度を算出してなることを特徴とする。
【0007】
また、アクセサリへの電源が供給状態にてエンジンの始動が可能となる車両に搭載され、前記車両に設けられた外気温度検出手段の検出値に基づいて車両外気温度を算出し、この算出結果に基づいて表示手段に表示させる制御手段を備えてなる車両用外気温度表示装置であって、前記車両の電源状態を検出する電源状態検出手段を備え、前記制御手段は、前記電源状態検出手段に基づいて前記アクセサリ電源が投入されたか否かを判定し、前記アクセサリへの電源投入直後に前記外気温度検出手段が検出した検出値に基づいて、前記車両外気温度を算出してなることを特徴とする。
【0008】
また、前記制御手段は、アクセサリ電源停止あるいはイグニションスイッチ停止から、前記アクセサリ電源投入時までの経過時間を計時し、この経過時間が所定時間未満である場合には、前記アクセサリ電源停止直前あるいは前記イグニションスイッチ停止直前における車両外気温度の表示値に基づいて表示させてなることを特徴とする。
【0009】
また、前記制御手段は、アクセサリ電源投入後に前記表示手段に前記車両外気温度を表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、車両に設けられた外気温度検出手段の検出値に基づいて車両外気温度を算出し、この算出結果に基づいて表示手段に表示させる制御手段を備えてなる車両用外気温度表示装置に関し、車両を起動する際において、迅速に車両外気温度を表示できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明が適用された実施の形態について添付図面を用いて説明する。
【0012】
本発明の車両用外気温度表示装置をエンジン駆動の車両に搭載される車両用計器に適用したものを例に挙げて説明する。車両は、図1に示すように、外気温度検出手段1と、電源操作手段2と、電源状態検出手段3と、制御手段4と、表示手段5と、を備えている。
【0013】
外気温度検出手段1は、車両の外気温度を検出するためのセンサであり、車両の廃熱や直射日光の影響を受けにくい場所に設置される。この場合、フロントバンパーの裏側などエンジンルームの前方側(車両前進側)に設けられる。外気温度検出手段1は、検出した温度値に応じた信号を検出信号として制御手段4に出力している。なお、外気温度検出手段1は、別途車両に搭載されるECUや、CAN(Controller Area Network)通信ケーブルを経由して制御手段4と接続する構成であってもよい。
【0014】
電源操作手段2は、例えば、車両の搭乗者が扱うキースイッチを適用できる。前記搭乗者は、キーをキーシリンダに挿入した状態で、キーを回転操作し、その回転位置によって、アクセサリ、イグニション、スタータへの電源供給を順次切換えることができる。なお、電源操作手段2は、アクセサリへの電源が供給状態でないと、イグニションあるいはスタータをオンすることができない構造となっている。
【0015】
電源状態検出手段3は、電源操作手段2による操作状態を検出するものであり、アクセサリへの電源供給がオンであるかオフであるか、また、イグニションスイッチがオンであるかオフであるかをそれぞれ検出し、この電源状態に応じた信号を制御手段4へ出力する。
【0016】
制御手段4は、例えば、マイクロコンピュータを適用でき、外気温度検出手段1や電源状態検出手段3などと配線によって接続され、外気温度検出手段1からの検出値や他のセンサなどから走行速度に応じた走行信号等の各種情報を入力し、この信号に応じて表示させるための制御信号を生成し出力する。また、制御手段4は、各種情報に基づいて演算処理するためのCPUと、このCPUにおける演算処理結果等を一時的に格納する読出し及び書換え可能なRAMや、制御プログラムや制御データを格納したROMから構成される記憶部と、前記各種情報や制御信号、クロック信号やラッチ信号などをやり取りするためにバス接続された入出力インターフェイスと、を備えている。
【0017】
また、制御手段4は、前記記憶部の他に、EEPROMあるいはフラッシュメモリなる外部記憶部を備えてなり、制御手段4への電源供給がない場合であっても、データの一部を格納することができる。この場合、外部記憶部は、イグニッションスイッチあるいはアクセサリ電源がオンからオフに操作された際の車両外気温度表示のための表示値や時刻などの情報を格納している。
【0018】
表示手段5は、インストルメントパネルに設けられる車両用計器内において、制御手段4からの制御信号に基づいて表示するものであり、例えば、液晶表示パネルやこの液晶表示パネルを駆動するドライバを適用できる。この場合、表示手段5は、車両外気温度、燃費や車両速度、エンジン回転数、積算走行距離などをゲージや数値などで表示するものである。なお、表示手段5として、制御信号に応じて回動する指針と、この指針の指示対象となる目盛りや数値等の指標とによって表示する、所謂アナログ式表示器を用いることもできる。
【0019】
次に、車両起動時における制御手段4による外気温度の算出処理手順について図2を用いて説明する。
【0020】
制御手段4は、車両の搭乗者による電源操作手段2のキー操作に応じた電源状態を電源状態検出手段3から入力し、アクセサリへの電源(アクセサリ電源)がオフからオンへ投入されたか否かを判定する(ステップS1)。
【0021】
制御手段4は、ステップS1の判定において、アクセサリへの電源が投入された場合、即ちキースイッチがアクセサリ電源オフの位置からオンの位置へ回動された場合)には、外気温度検出手段1からの検出信号を複数回サンプリングし(ステップS2)、このサンプリングの平均値あるいは所定の演算処理によって、目標値を算出する(ステップS3)。この場合、制御手段4は、検出信号を24回サンプリングし、ノイズ等を考慮した値を目標値として決定している。
【0022】
次に制御手段4は、別処理によってカウントされていた前回アクセサリへの電源供給をオンからオフに移行されてから今回アクセサリへの電源供給がオフからオンへ投入されるまでの経過時間が、所定時間(例えば、90分)未満であるか否かを判定する(ステップS4)。なお、本実施の形態では、前回アクセサリ電源がオフされてからの経過時間をカウントするものであるが、イグニションスイッチがオフされてからカウントを開始するものであってもよい。
【0023】
制御手段4は、このステップS4の判定において、今回アクセサリ電源が投入されるまでの経過時間が、所定時間未満である場合には、前回アクセサリへの電源供給がオンからオフへの移行直前に表示手段5で表示していた表示値(制御手段4の外部記憶部に格納された表示値)を新たな表示値として代入する(ステップS5)。制御手段4は、この処理によって、エンジンがまだ冷めておらず、外気温度検出手段1への熱の影響が緩和されていないと判定し、信頼性のより高い過去の計測値(過去の表示値)を表示値として用いることができる。なお、本実施の形態では、前回アクセサリ電源がオフ直前の表示値を用いたが、イグニションスイッチがオフ直前の表示値を用いてもよい。
【0024】
また、制御手段4は、ステップS4の判定において、今回アクセサリ電源がオンするまでの経過時間が、所定時間以上である場合には、ステップS3の処理によって得た目標値を表示値として代入する(ステップS6)。制御手段4は、この処理によって、エンジンが冷めるために十分な時間が経過し、外気温度検出手段1への熱の影響が緩和され実際の外気温度に近い値が検出できるものと判断し、この目標値を表示値として用いる。
【0025】
制御手段4は、ステップS5あるいはステップS6にて得た表示値を表示するように促す制御信号を表示手段5に出力する(ステップS7)。
【0026】
以上の処理を繰り返すことによって、制御手段4は、アクセサリ電源が投入されてからすぐに外気温度検出手段1が検出した値に基づいて表示することが可能となる。したがって、エンジンが作動する前に検出した値(目標値)を用いることができるため、信頼性の高い外気温度を検出できるとともに、迅速に車両の搭乗者へ車両外気温度を報知することができる。また、前記経過時間が短いためエンジンからの熱の影響があると思われる場合についても、代用の値(過去の表示値)を用いることでより信頼性の高い表示値を表示できる。
【0027】
斯かる車両用外気温度表示装置は、車両に設けられた外気温度検出手段1の検出値に基づいて車両外気温度を算出し、この算出結果に基づいて表示手段5に表示させる制御手段4を備えてなる車両用外気温度表示装置であって、制御手段4は、前記車両の電源操作手段の操作がなされてからエンジンが作動するまでの間に外気温度検出手段1が検出した検出値に基づいて、前記車両外気温度を算出してなる。
【0028】
したがって、車両を起動する際において、迅速に車両外気温度を表示できる車両用外気温度表示装置となる。
【0029】
また、アクセサリへの電源が供給状態にてエンジンの始動が可能となる車両に搭載され、前記車両に設けられた外気温度検出手段1の検出値に基づいて車両外気温度を算出し、この算出結果に基づいて表示手段5に表示させる制御手段4を備えてなる車両用外気温度表示装置であって、前記車両の電源状態を検出する電源状態検出手段3を備え、制御手段4は、電源状態検出手段3に基づいて前記アクセサリ電源が投入されたか否かを判定し、前記アクセサリへの電源投入直後に外気温度検出手段1が検出した検出値に基づいて、前記車両外気温度を算出してなる。
【0030】
したがって、車両を起動する際において、エンジンが作動する前に検出した値を用いることができるため、信頼性の高い外気温度を検出できるとともに、迅速に車両外気温度を表示できる車両用外気温度表示装置となる。
【0031】
また、制御手段4は、アクセサリ電源停止あるいはイグニションスイッチ停止から、前記アクセサリ電源投入時までの経過時間を計時し、この経過時間が所定時間未満である場合には、前記アクセサリ電源停止直前あるいは前記イグニションスイッチ停止直前における車両外気温度の表示値に基づいて表示させてなることによって、エンジンのオフ状態の経過時間が短いためエンジンからの熱の影響があると思われる場合についても、所定時間内に用いた代用の値(過去の表示値)を用いることでより信頼性の高い表示値を迅速に表示できる。
【0032】
また、制御手段4は、アクセサリ電源投入後に表示手段5に前記車両外気温度を表示させることによって、車両が走行する前に迅速に表示でき、搭乗者にとって空気調和器等の操作の参考情報となる。
【0033】
なお、本発明の車両用外気温度表示装置を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに設計の変更が可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態の構成を示すブロック図。
【図2】同上実施の形態の制御手段の制御処理手順を示す図。
【符号の説明】
【0035】
1 外気温度検出手段
3 電源状態検出手段
4 制御手段
5 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた外気温度検出手段の検出値に基づいて車両外気温度を算出し、この算出結果に基づいて表示手段に表示させる制御手段を備えてなる車両用外気温度表示装置であって、
前記制御手段は、前記車両の電源操作手段の操作がなされてからエンジンが作動するまでの間に前記外気温度検出手段が検出した検出値に基づいて、前記車両外気温度を算出してなることを特徴とする車両用外気温度表示装置。
【請求項2】
アクセサリへの電源が供給状態にてエンジンの始動が可能となる車両に搭載され、前記車両に設けられた外気温度検出手段の検出値に基づいて車両外気温度を算出し、この算出結果に基づいて表示手段に表示させる制御手段を備えてなる車両用外気温度表示装置であって、
前記車両の電源状態を検出する電源状態検出手段を備え、
前記制御手段は、前記電源状態検出手段に基づいて前記アクセサリ電源が投入されたか否かを判定し、前記アクセサリへの電源投入直後に前記外気温度検出手段が検出した検出値に基づいて、前記車両外気温度を算出してなることを特徴とする車両用外気温度表示装置。
【請求項3】
前記制御手段は、アクセサリ電源停止あるいはイグニションスイッチ停止から、前記アクセサリ電源投入時までの経過時間を計時し、この経過時間が所定時間未満である場合には、前記アクセサリ電源停止直前あるいは前記イグニションスイッチ停止直前における車両外気温度の表示値に基づいて表示させてなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用外気温度表示装置。
【請求項4】
前記制御手段は、アクセサリ電源投入後に前記表示手段に前記車両外気温度を表示させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用外気温度表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−1033(P2009−1033A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160807(P2007−160807)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】