車両用天井成形材及びその製造方法
【課題】車室内の騒音を効果的に低減して乗員の乗り心地感を向上させ、断熱性を高めて無駄な電力の消費を無くし、低コストで組付工数の低減を達成する。
【解決手段】車両VのルーフパネルR車室内側にパネル状の基材3が車室内に面するように配設されている。基材3の車室外側には、発泡成形体9がその車室内側の形状を基材3の車室外側の形状と略等しく、且つ、その車室外側の形状をルーフパネルRの車室内側の形状と略等しくするように成形され、配設されている。発泡成形体9の車室外側に配索部材20が配索されている。発泡成形体9は、ルーフパネルRに取り付けた状態で、車室外側がルーフパネルR車室内側に圧接するようになっている。
【解決手段】車両VのルーフパネルR車室内側にパネル状の基材3が車室内に面するように配設されている。基材3の車室外側には、発泡成形体9がその車室内側の形状を基材3の車室外側の形状と略等しく、且つ、その車室外側の形状をルーフパネルRの車室内側の形状と略等しくするように成形され、配設されている。発泡成形体9の車室外側に配索部材20が配索されている。発泡成形体9は、ルーフパネルRに取り付けた状態で、車室外側がルーフパネルR車室内側に圧接するようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルーフパネルの車室内に設けられる車両用天井成形材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等の車両には、ルーフパネルの車室内側に車両用天井成形材が配設されている。例えば、特許文献1の車両用天井成形材には、車室内に面する基材のルーフパネル側において、ハーネス線、アンテナ線及びウォッシャーパイプ等の配線や配管(以降配索部材と称す)が取り付け可能となっていて、該配索部材を取り付けモジュール化した車両用天井成形材が組立ラインへ搬送されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−67847公報(段落0012,0013欄、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の車両においては、車室内の騒音をできるだけ排除して乗員の不快感を低減することが要求されている。このことに対し、車両の走行中においてルーフパネルと基材との間に形成された隙間を流れる空気の風切音や、ルーフパネル上に落ちたときに発生する雨音、さらには、走行中にルーフパネルが振動することにより発生する振動音は、車室内にいる乗員の不快感を増加させる原因となっている。
【0005】
また、電気自動車やハイブリッド車等の増加に伴い、車両の動力源に多くの電力を供給できるように、特に面積の広いルーフパネル周辺の断熱性を高めることで空調装置に係る電力を必要最小限に留めることが求められている。
【0006】
これらの要求を達成するために、一定の厚みで形成された吸音性、遮音性及び断熱性の高い発泡成形体をルーフパネルと基材との間に配設する方法が考えられる。しかし、厚みの小さい発泡成形体を配設すると、該発泡成形体とルーフパネルとの間の所々に隙間が形成されてしまい、風切音や振動音に対応できないばかりか十分な断熱性を得ることができない。反対に、ルーフパネルと基材との間で最も間隔の広い箇所を基準に厚みの大きい発泡成形体を用意して、上記ルーフパネルと基材とで発泡成形体で挟み込むようにすると、ルーフパネルや基材の起伏の大きな箇所では、発泡成形体の圧縮変形が大きくなってしまい、当該圧縮変形により基材に大きな力が掛かり該基材を局部的に変形させてしまう。
【0007】
一方、基材のルーフパネル側にハーネス線等の配索部材を配索する際、所定の位置からずれることがないように、一般的に粘着テープを用いて複数箇所を基材に貼り付けるようにしていて、材料コスト並びに組付工数の増加を引き起こすこととなっている。
【0008】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車室内の騒音を効果的に低減して乗員の乗り心地感を向上させるとともに、断熱性を高めて無駄な電力の消費を無くすことができ、さらには、低コストで組付工数を低減できる車両用天井成形材及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、ルーフパネルの車室内側の形状と、基材の車室外側の形状とに沿う形状を有する発泡成形体をルーフパネルと基材との間に設け、この発泡成形体に配索部材を取り付けるようにしたことを特徴とする。
【0010】
具体的には、車両のルーフパネル車室内側においてパネル状の基材が車室内に面するように配設され、基材の車室外側とルーフパネルの車室内側との間に配索部材が配索された車両用天井成形材として、次のような解決手段を講じた。
【0011】
すなわち、第1の発明では、基材とルーフパネルとの間には、車室内側の形状を該基材の車室外側の形状と略等しくするように、且つ車室外側の形状を該ルーフパネルの車室内側の形状と略等しくするように形成された発泡成形体が配置されていることを特徴とする。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、上記発泡成形体には配索部材を配索して収容する収容溝が形成されていることを特徴とする。
【0013】
第3の発明では、第2の発明において、上記収容溝が上記発泡成形体の車室外側面に形成されていることを特徴とする。
【0014】
第4の発明では、第2又は第3の発明において、上記収容溝は、上記配索部材が設置されて収容される設置部と、上記発泡成形体の表面から該設置部に連通する挿入路とを備え、該挿入路の幅が、該設置部の幅に対して狭くなっていることを特徴とする。
【0015】
第5の発明では、第1ないし第4のいずれか1つの発明において、上記発泡成形体は、低反発弾性材からなることを特徴とする。
【0016】
第6の発明では、第1ないし第5のいずれか1つの発明において、上記ルーフパネルと上記基材との上下幅が、車両前後両端部及び車両左右両端部の少なくとも一箇所と中央部とで異なり、上記発泡成形体の厚さが、該ルーフパネルと該基材との上下幅に対応するように、上記車両前後両端部及び車両左右両端部の少なくとも一箇所と中央部とで異なることを特徴とする。
【0017】
第7の発明では、車両のルーフパネル車室内側においてパネル状の基材が車室内に面するように配設され、該基材の車室外側と該ルーフパネルの車室内側との間に配索部材が配索された車両用天井成形材の製造方法であって、上記基材の車室外側の形状に対応する成形面を有する第1型と、該第1型に対向配置され、上記ルーフパネルの車室内側の形状に対応する成形面を有する第2型とを備えた成形型を用意する。次いで、上記成形型を型閉じして、上記第1型の成形面と上記第2型の成形面との間に形成されたキャビティに発泡樹脂原料を注入して発泡させることにより、車室外側の形状が上記ルーフパネルの車室内側の形状に、また車室内側の形状が上記基材の車室外側の形状にそれぞれ略等しくなり、且つ上記基材と上記ルーフパネルとの間に配設した状態で、該基材車室外側に車室内側が圧接するとともに、該ルーフパネル車室内側に車室外側が圧接する発泡成形体を成形し、該発泡成形体に配索部材を取り付けた後、該基材及び該発泡成形体を重ねて車両用天井成形材を製造することを特徴とする。
【0018】
第8の発明では、車両のルーフパネル車室内側においてパネル状の基材が車室内に面するように配設され、該基材の車室外側と該ルーフパネルの車室内側との間に配索部材が配索された車両用天井成形材の製造方法であって、上記基材の車室外側の形状に対応する成形面を有する第1型と、該第1型に対向配置され、上記ルーフパネルの車室内側の形状に対応する成形面を有する第2型とを備えた成形型を用意する。次いで、上記成形型を型閉じして、上記第1型の成形面と上記第2型の成形面との間に形成されたキャビティに発泡樹脂原料を注入して発泡させることにより、車室外側の形状が上記ルーフパネルの車室内側の形状に、また車室内側の形状が上記基材の車室外側の形状にそれぞれ略等しくなり、且つ上記基材と上記ルーフパネルとの間に配設した状態で、該基材車室外側に車室内側が圧接するとともに、該ルーフパネル車室内側に車室外側が圧接する発泡成形体を成形し、該基材及び該発泡成形体を重ねた後、該発泡成形体に配索部材を取り付けて車両用天井成形材を製造することを特徴とする。
【0019】
第9の発明では、上記成形型内で上記発泡成形体を発泡成形させる際に、同時に発泡成形体に配索部材用の収容溝を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明では、発泡成形体と基材の間、及び発泡成形体とルーフパネルの間とにいずれも非接触箇所が形成され難くなるので、断熱性が高まるとともに、車両の走行中に基材とルーフパネルとの間を空気が流れなくなり、風切音の発生を防止できる。また、基材とルーフパネルとの間に設けられた発泡成形体が車室内側へ進む雨音を遮るようになるので、車室内で聞こえる雨音を小さくすることができる。これらにより、車室内の騒音を効果的に低減して乗員の乗り心地感を向上させるとともに、断熱性を高めて無駄な電力の消費を無くすことができ、さらには、低コストで組付工数を低減することができる。さらに、発泡成形体を基材及びルーフパネルに圧接するようにすれば、発泡成形体が車両の走行中のルーフパネルの振動を抑えるようになり、ルーフパネルの振動から発生する騒音を低減できる。
【0021】
第2の発明では、発泡成形体には配索部材を配索して収容する収容溝が形成されるため、収容溝に配索部材を収容することにより発泡成形体に配索部材を固定することができるので、従来のように配索部材の多くの箇所を基材に粘着テープ等で貼り付ける必要がなくなり、これら配索部材を基材に貼り付ける作業を簡略化して組付工数を低減することができる。
【0022】
第3の発明では、収容溝が、発泡成形体の車室外側面に形成されているため、発泡成形体の上側から配索部材を組み付けることができ、作業性に優れる。また、基材に発泡成形体を重ねた後でも配索部材を組み付けることができるので、組立ラインでの作業が迅速・簡単となり作業能率の向上を期待できる。さらには、配索部材の交換等のメンテナンス作業が容易に行える。
【0023】
第4の発明では、収容溝は、配索部材が設置される設置部と、発泡成形体の表面から設置部に連通する挿入路とを備え、挿入路の幅が設置部の幅に対して狭くなっているため、設置部に収容された配索部材は狭い挿入路を戻って抜け難くなり、配索部材を収容溝に収容することにより簡単に、且つ、しっかりと固定することができ、配索部材の抜脱やずれを防止することができる。
【0024】
第5の発明では、天井成形材をルーフパネルに取り付けたときに、低反発弾性材からなる発泡成形体が起伏の大きな箇所にうまく馴染むようになって、第1の発明に比べて発泡成形体と基材及びルーフパネルとの間の非接触箇所がさらに形成され難くなる。また、発泡成形体と基材及びルーフパネルとの接触部分の圧力が分散するようになるので、基材に局所的な力が加わって変形してしまうのを防ぐことができる。さらに、基材やルーフパネルが複数のバリエーションを有していて、基材やルーフパネルの形状が部分的に異なるような場合であっても、発泡成形体がそれぞれの形状に合わせてうまく馴染むようになるので、汎用性のある天井成形材とすることができる。それに加え、高い制振性を保有する低反発弾性材を発泡成形体に用いているので、第1の発明に比べてさらに車両の走行中のルーフパネルの振動を抑えることができ、ルーフパネルの振動により発生する騒音を防ぐことができる。
【0025】
第6の発明では、ルーフパネルと基材との間の上下幅に発泡成形体の厚さが対応するようになり、天井成形材をルーフパネルに取り付けたときに、発泡成形体の車室外側がルーフパネルの車室内側に略均一に接触するようになる。したがって、発泡成形体の車室外側が略均一に圧縮変形するようになり、基材に局所的な大きな力が掛かって変形してしまうのを防ぐことができる。
【0026】
第7及び第8の発明では、基材の車室外側に沿うとともにルーフパネルの車室内側に沿う発泡成形体を成形型で成形できるようになるので、第1の発明と同様に、車室内の騒音を効果的に低減して乗員の乗り心地感を向上させるとともに、断熱性を高めて無駄な電力の消費を無くすことができ、さらには、低コストで組付工数を低減することができる。さらに、基材、発泡成形体及び配索部材を別々に自動車の組立ラインに搬入し、組立ラインのそばでサブアッシーすれば良いので、既存の自動車の組立ラインにも容易に適用可能であり、取り入れやすい。
【0027】
第9の発明では、上記発泡成形体が上記成形型内で発泡成形されると同時に配索部材用の収容溝が形成されるため、第2の発明と同様に、配索部材を基材に貼り付ける等の作業を簡略化して組付工数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態にかかる車両を簡略化した斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る天井成形材の発泡成形体に配索部材を取付けた状態を車室外側から見た平面図である。
【図3】図1のA−A線拡大断面図である。
【図4】図1のB−B線拡大断面図である。
【図5】図1のC−C線拡大断面図である。
【図6】発泡成形体を成形する成形型を型開きした状態の断面図である。
【図7】発泡成形体を成形する成形型を型閉じし、発泡樹脂原料を注入した状態の断面図である。
【図8】発泡樹脂原料を発泡させ、発泡成形体を成形した状態の断面図である。
【図9】成形型から発泡成形体を脱型した状態の断面図である。
【図10】発泡成形体に配索部材を組付ける状態を示す断面斜視図である。
【図11】本発明の実施形態における車両用天井成形材の発泡成形体について、遮音性能を評価したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0030】
図1は、本発明の実施形態に係る車両V(車体)を示す。車両Vの上方にはルーフパネルRが位置している。図3及び図4に示すように、ルーフパネルRは、車両Vの外板部分となる略矩形状のルーフパネルアウターR1と、ルーフパネルアウターR1の左右両縁部において車両前後方向に延びる一対のルーフサイドレールR2と、ルーフパネルアウターR1の下面に沿って車幅方向に延びるルーフレインフォースメントR3とを備えている。ルーフレインフォースメントR3は、断面略ハット形状をなし、車両前後方向に複数並列に配置されている。
【0031】
上記ルーフパネルRの車室内側には車室内天井の意匠面となる車両用天井成形材1が配設されている。天井成形材1は、車両前後方向に延びる略矩形状をなしていて、車室内側に面するパネル状の基材3と、基材3とルーフパネルRとの間に配設される発泡成形体9と、発泡成形体9の車室外側に配索される配索部材20とを備え、中央部分が上方に位置する緩やかな湾曲形状をなしている。
【0032】
上記基材3は、図示しないが、例えば、硬質発泡ウレタンからなる基材本体層にガラス繊維等の補強層を介して表面材及び裏面材を積層した構造をなしていて、図示しない成形型を用いて従来周知の方法にて成形されたものである。
【0033】
上記発泡成形体9は、発泡ウレタンからなる低反発弾性材(図11に示す発泡ウレタンU1、例えば、SBU社製軟質ウレタンNo.5)であり、基材3とルーフパネルRとの間に配設されている。発泡成形体9の車室内側の形状は、基材3の車室外側の形状と略等しくなっていて、車室外側の形状はルーフパネルRの車室内側の形状と略等しくなっている。図3及び図4に示すように、発泡成形体9の車室外側には、上記配索部材20を収容する収容溝30が形成されている。また、図3及び図4に示すように、ルーフパネルRと基材3との上下幅は、車両前後両端部より中央部の方が幅広で、且つ、車両左右両端部より中央部の方が幅狭となっていて、発泡成形体9の厚さは、ルーフパネルR及び基材3の上下幅に対応するようになっている。そして、発泡成形体9は、基材3とルーフパネルRとの間に配設した状態で、車室内側が基材3の車室外側に圧接するとともに、車室外側がルーフパネルRの車室内側に圧接するようになっている。
【0034】
上記低反発弾性材は、一般的に弾性と粘性とを兼ね備えた性質を有していて、起伏の大きな箇所にあてがったときに、当該箇所に隙間無く沿わせることができるとともに接触部分の圧力を分散させることができるので、基材3とルーフパネルRとの間に発泡成形体9を取り付けたときに、起伏の大きなルーフレインフォースメントR3の部位に発泡成形体9を沿わせることができ、しかも、接触部分の圧力を分散させて基材3を局部的に変形させないようになっている。
【0035】
上記発泡成形体9は、その内部の気泡同士が壁で仕切られていて繋がっていない、いわゆる独立気泡構造であって断熱性が高く、その密度は0.07g/cm3となっている。尚、上記発泡成形体9の密度は、車両Vの重量を増加させないように0.02〜0.07g/cm3が好ましい。
【0036】
また、上記発泡成形体9の車両前方に位置する端部は、図5に示すように、ルーフパネルRに連なるフロントピラーFpの上部に位置するようになっていて、この発泡成形体9により、フロントピラーFpに対応する位置の基材3がフロントピラーFp側に撓まないようになっている。したがって、フロントピラーFpと基材3との間にチップウレタン等の部材を追加で配設しなくても基材3はフロントピラーFp側に撓まなくなり、フロントピラーFpの内方に位置するピラートリムPtと基材3との間に隙間が形成されず、コストを抑えて車室内の意匠性を高めることができる。尚、フロントピラーFpだけでなく、図示しないがセンターピラーやリアピラー部分においても上記と同様に発泡成形体9によってトリムと基材3との間に隙間が形成されないようになっており、このことで車室内の意匠性を高めることができる。
【0037】
上記配索部材20は、配線5及び配管7からなっている。配線5は、図2に示すように、ハーネス線5a及びアンテナ線5bを備えている。ハーネス線5aは、車幅方向右側の前方から発泡成形体9の外周縁に沿って後方に延び、発泡成形体9の車両前後方向中央部分及び後方部分から車幅方向左側に向かってそれぞれ延びていて、車両前後方向中央部の車幅方向両側及び車両後方の車幅方向左側にそれぞれ位置するルーフランプ5cに繋がっている。また、アンテナ線5bは、車幅方向左側の前方から発泡成形体9の外周縁に沿って後方に延びている。
【0038】
上記配管7は、図示しないがウォッシャー液を車両前方のエンジンルーム内からリアウインドガラスまで届けるウォッシャーパイプであり、図2に示すように、車幅方向左側の前方からアンテナ線5bに沿って後方に延びている。
【0039】
そして、上記配線5及び配管7は、図2に示すように、発泡成形体9の車室外側面に形成された収容溝30に収容されている。具体的には、図10に示すように、収容溝30は、発泡成形体9の車室外側面において配索部材20を配索する状態に一致して形成されており、配索部材20が設置されて収容される設置部31と、発泡成形体9の表面と設置部とを連通する挿入路32とを備える。設置部31は、配索部材20の形状・大きさにほぼ一致しており、挿入路32は配索部材20の形状・大きさよりも僅かに小さく形成されている。この挿入路32の幅が配索部材20の幅よりも僅かに小さいことによって、配索部材20を収容溝30に向けて強く奥に押し込むことで、設置部31に配索部材20を位置させることができ、且つ、設置部31に位置させた配索部材20が収容溝30から簡単に抜脱しないようになっている。
【0040】
次に、車両用天井成形材1の製造方法について説明する。製造に際し、図6乃至図9に示すような、上下に対向配置された固定型(第1型)11及び可動型(第2型)13を備えた成形型10を用意する。固定型11の上面には、基材3の車室外側の形状面3aの形状に対応した下側成形面11aが形成されている。また、可動型13の下面には、ルーフパネルRの車室内側の形状面Raに沿うような形状の上側成形面13aが形成されている。また、図6に示すように可動型13の上側成形面13aには、配線5及び配管7を収容する収容溝30を形成するための溝形成部13b、13cが備えられている。溝形成部13cは配線5及び配管7の幅と略同幅で形成され、溝形成部13bは、配線5と略同幅で形成されている。
【0041】
まず初めに、図示しない成形型を用いて従来周知の方法にて成形した基材3を用意する。また、図6に示すように、上記成形型10を型開きした状態から、図7に示すように型閉じする。
【0042】
図7に示すように、成形型10を型閉じした後、固定型11の下側成形面11aと可動型13の上側成形面13aとの間に形成されたキャビティ10a内に発泡成形体9の発泡樹脂原料90を射出機(図示せず)で射出注入した後、加熱装置(図示せず)にて発泡樹脂原料90を加熱して発泡させる。そして、図8に示すように、発泡した発泡成形体9がキャビティ10a内を埋めると同時に、配線5及び配管7を収容する収容溝30が形成される。
【0043】
この成形後、図9に示すように、可動型13を固定型11から後退させて成形型10を型開きする。この時に、発泡成形体9の収容溝30から溝形成部13b、13cも同時に外される。収容溝30の挿入路32の幅は設置部31の幅より狭いが、発泡成形体9が弾力性を有するので、溝形成部13b、13cは収容溝30から容易に引き抜かれる。その後、発泡成形体9を成形型10から脱型する。
【0044】
その後、発泡成形体9の収容溝30内に、配索部材20を挿入して組付ける。この発泡成形体9と基材3とを重ねて、車両用天井成形材1を製造する。
【0045】
次に、本発明の実施形態に係る車両用天井成形材1の遮音性能についての評価結果について説明する。
【0046】
図11は、横軸を周波数、縦軸を音響透過損失としたグラフであり、各周波数において音響透過損失が高いほど遮音性能が高いことを示している。D1は、ルーフパネルRと基材3との間に発泡成形体9が無い状態で取得したデータを示し、D2は、発泡成形体9に発泡ウレタンU1を用いて取得したデータを示し、D3は、発泡成形体9に発泡ウレタンU2(例えば、BS社製スラブウレタン:密度0.02g/cm3)を用いて取得したデータを示す。
【0047】
近年では、周波数の中でも可聴範囲とされる1.0kHz〜2.5kHzにおいて遮音性能を高めることは勿論のこと、自動車の高性能化に伴って3.0kHz〜5.0kHzの高周波領域においても遮音性能を高めたいという要求がある。このことに対し、図11に示すように、発泡ウレタンU1及びU2をルーフパネルRと基材3との間に配設した車両用天井成形材1(D2,D3)は、ルーフパネルRと基材3との間に発泡成形体9が無い車両用天井成形材1(D1)に比べて高い遮音性能を有している。特に、発泡ウレタンU1(D2)は、3.0kHz〜5.0kHzの高周波領域において発泡ウレタンU2(D3)より高い遮音性能を有している。したがって、発泡成形体9に発泡ウレタンU1及びU2を用いることによって高い遮音性能を有する車両用天井成形材1とすることができ、さらに、発泡成形体9に発泡ウレタンU1を用いることによって、高周波領域において高い遮音性能を有する車両用天井成形材1とすることができることが判る。
【0048】
以上より、本発明の実施形態によれば、基材3の車室外側に沿うとともにルーフパネルRの車室内側に沿う発泡成形体9を成形型10で成形でき、発泡成形体9と基材3との間、及び発泡成形体9とルーフパネルRとの間に非接触箇所が形成され難くなるので、断熱性が高まるとともに、車両Vの走行中に基材3とルーフパネルRとの間に空気が流れなくなり、風切音の発生を防止できる。また、基材3とルーフパネルRとの間に設けられた発泡成形体9が車室内側へ進む雨音を遮るようになるので、車室内で聞こえる雨音を小さくすることができる。さらには、発泡成形体9がルーフパネルRに圧接するので、発泡成形体9が車両Vの走行中のルーフパネルRの振動を抑えるようになり、ルーフパネルRの振動から発生する騒音を低減できる。
【0049】
それに加え、成形型10内で発泡成形体9を成形すると同時に、配線5や配管7を収容する収容溝30を形成するので、従来のように配線5や配管7の多くの箇所を粘着テープ等で貼り付ける必要が無くなりコストを低減できるとともに、これら配線5や配管7を基材3に貼り付ける作業を簡略化して組付工数を低減できる。
【0050】
また、収容溝30の挿入路32の幅を設置部31の幅より狭くすることにより、配線5及び配管7を簡単に、且つ、しっかりと固定することができ、抜脱を防止することができる。これらにより、車室内の騒音を効果的に低減して、乗員の乗り心地感を向上させるとともに断熱性を高めて無駄な電力の消費を無くすことができ、さらには、低コストで組付工数を低減することができる。
【0051】
また、天井成形材1をルーフパネルRに取り付けたときに、発泡成形体9が起伏の大きな箇所にうまく馴染むようになって、発泡成形体9と基材3との間、及び発泡成形体9とルーフパネルRとの間に非接触箇所がさらに形成され難くなる。また、発泡成形体9と、基材3やルーフパネルRとの接触部分の圧力が分散するようになるので、基材3に局所的な力が加わって変形してしまうのを防ぐことができる。さらに、基材3やルーフパネルRが複数のバリエーションを有していて、基材3やルーフパネルRの形状が部分的に異なるような場合であっても、発泡成形体9がそれぞれの形状に合わせてうまく馴染むようになるので、共通の天井成形材1を異なる基材3やルーフパネルRに適用することができ、汎用性のある天井成形材1とすることができる。それに加え、高い制振性を保有する低反発弾性材を発泡成形体9に用いているので、さらに車両Vの走行中のルーフパネルRの振動を抑えることができ、ルーフパネルRの振動により発生する騒音を防ぐことができる。
【0052】
さらに、基材3、発泡成形体9及び配索部材20を別々に製造して自動車の組立ラインに搬入し、組立ラインの近くで基材3、発泡成形体9及び配索部材20を組み立てることができるので、既存の自動車の組立ラインに適用しやすい。
【0053】
さらに、ルーフパネルRと基材3との間の上下幅に発泡成形体9の厚さが対応するようになり、天井成形材1をルーフパネルRに取り付けたときに、発泡成形体9の車室外側がルーフパネルRの車室内側に略均一に接触するようになる。したがって、発泡成形体9の車室外側が略均一に圧縮変形するようになり、基材3に局所的な大きな力が掛かって変形してしまうのを防ぐことができる。
【0054】
尚、本発明の実施形態では、発泡成形体9の収容溝30に配索部材20を組付けた後、基材3と重ねるようにしたが、これに限らず、基材3と発泡成形体9を重ねた後、配索部材20を収容溝30に組付けるようにしても良い。
【0055】
また、本発明の実施形態では、発泡成形体9の車室外側に配線5と配管7とを配索する収容溝30を形成しているが、発泡成形体9の車室内側に収容溝30を形成しても良い。なお、実施形態のように発泡成形体9の車室外側に収容溝30を形成した方が、作業性及びメンテナンス作業等においては有用である。
【0056】
また、配線5はハーネス線5aやアンテナ線5bに限らず、他の配線であってもよく、配管7においてもウォータパイプに限らず、他の配管であってもよい。発泡成形体9の収容溝30は、全ての配索部材20が組付けられるように設けることが好ましいが、一部は収容溝30を省略して簡略化するようにしても良い。
【0057】
また、本発明の実施形態では、発泡成形体9に形成する収容溝30として、設置部31及び設置部31より幅の狭い挿入路32を設けたが、必ずしもこの構成に限られるものではなく、設置部31と同幅の挿入路32を設けても良い。また、設置部31と挿入路32とを同幅として、配索部材20の幅より僅かに狭い幅に形成して、強引に配索部材20を収容溝30に押し込むようにしても良い。
【0058】
また、本発明の実施形態では、発泡成形体9は、ルーフパネルRと基材3との上下幅に対応するように、車両前後両端部より中央部の方が厚みが大きく、且つ、車両左右両端部より中央部の方が厚みが小さくなっているが、ルーフパネルRと基材3との上下幅に対応する形状であればよく、例えば、車両前後両端部より中央部の方が厚みが小さく、車両左右両端部より中央部の方が厚みが大きくなっていてもよい。すなわち、ルーフパネルRと基材3との上下幅が、車両前後両端部及び車両左右両端部の少なくとも一箇所と中央部とで異なっている場合に、上記ルーフパネルRと基材3との上下幅に対応するように、発泡成形体9の前後両端部及び左右両端部の少なくとも一箇所の幅が中央部の幅と異なっていればよい。
【0059】
また、本発明の発泡成形体9は、ルーフパネルRの車室内側と基材3の車室外側とに完全に隙間無く接触するのが好ましいが、仮に一部に非接触部が発生しても特に問題とならない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、例えば、車両の車室内に設けられる車両用天井成形材及びその製造方法に適している。
【符号の説明】
【0061】
1 車両用天井成形材
3 基材
5 配線
7 配管
9 発泡成形体
10 成形型
10a キャビティ
11 固定型(第1型)
11a 成形面
13 可動型(第2型)
13a 成形面
13b 溝形成部
13c 溝形成部
20 配索部材
30 収容溝
31 設置部
32 挿入路
90 発泡樹脂原料
C 車両
U1 発泡ウレタン
U2 発泡ウレタン
R ルーフパネル
R1 ルーフパネルアウター
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルーフパネルの車室内に設けられる車両用天井成形材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等の車両には、ルーフパネルの車室内側に車両用天井成形材が配設されている。例えば、特許文献1の車両用天井成形材には、車室内に面する基材のルーフパネル側において、ハーネス線、アンテナ線及びウォッシャーパイプ等の配線や配管(以降配索部材と称す)が取り付け可能となっていて、該配索部材を取り付けモジュール化した車両用天井成形材が組立ラインへ搬送されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−67847公報(段落0012,0013欄、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の車両においては、車室内の騒音をできるだけ排除して乗員の不快感を低減することが要求されている。このことに対し、車両の走行中においてルーフパネルと基材との間に形成された隙間を流れる空気の風切音や、ルーフパネル上に落ちたときに発生する雨音、さらには、走行中にルーフパネルが振動することにより発生する振動音は、車室内にいる乗員の不快感を増加させる原因となっている。
【0005】
また、電気自動車やハイブリッド車等の増加に伴い、車両の動力源に多くの電力を供給できるように、特に面積の広いルーフパネル周辺の断熱性を高めることで空調装置に係る電力を必要最小限に留めることが求められている。
【0006】
これらの要求を達成するために、一定の厚みで形成された吸音性、遮音性及び断熱性の高い発泡成形体をルーフパネルと基材との間に配設する方法が考えられる。しかし、厚みの小さい発泡成形体を配設すると、該発泡成形体とルーフパネルとの間の所々に隙間が形成されてしまい、風切音や振動音に対応できないばかりか十分な断熱性を得ることができない。反対に、ルーフパネルと基材との間で最も間隔の広い箇所を基準に厚みの大きい発泡成形体を用意して、上記ルーフパネルと基材とで発泡成形体で挟み込むようにすると、ルーフパネルや基材の起伏の大きな箇所では、発泡成形体の圧縮変形が大きくなってしまい、当該圧縮変形により基材に大きな力が掛かり該基材を局部的に変形させてしまう。
【0007】
一方、基材のルーフパネル側にハーネス線等の配索部材を配索する際、所定の位置からずれることがないように、一般的に粘着テープを用いて複数箇所を基材に貼り付けるようにしていて、材料コスト並びに組付工数の増加を引き起こすこととなっている。
【0008】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車室内の騒音を効果的に低減して乗員の乗り心地感を向上させるとともに、断熱性を高めて無駄な電力の消費を無くすことができ、さらには、低コストで組付工数を低減できる車両用天井成形材及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、ルーフパネルの車室内側の形状と、基材の車室外側の形状とに沿う形状を有する発泡成形体をルーフパネルと基材との間に設け、この発泡成形体に配索部材を取り付けるようにしたことを特徴とする。
【0010】
具体的には、車両のルーフパネル車室内側においてパネル状の基材が車室内に面するように配設され、基材の車室外側とルーフパネルの車室内側との間に配索部材が配索された車両用天井成形材として、次のような解決手段を講じた。
【0011】
すなわち、第1の発明では、基材とルーフパネルとの間には、車室内側の形状を該基材の車室外側の形状と略等しくするように、且つ車室外側の形状を該ルーフパネルの車室内側の形状と略等しくするように形成された発泡成形体が配置されていることを特徴とする。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、上記発泡成形体には配索部材を配索して収容する収容溝が形成されていることを特徴とする。
【0013】
第3の発明では、第2の発明において、上記収容溝が上記発泡成形体の車室外側面に形成されていることを特徴とする。
【0014】
第4の発明では、第2又は第3の発明において、上記収容溝は、上記配索部材が設置されて収容される設置部と、上記発泡成形体の表面から該設置部に連通する挿入路とを備え、該挿入路の幅が、該設置部の幅に対して狭くなっていることを特徴とする。
【0015】
第5の発明では、第1ないし第4のいずれか1つの発明において、上記発泡成形体は、低反発弾性材からなることを特徴とする。
【0016】
第6の発明では、第1ないし第5のいずれか1つの発明において、上記ルーフパネルと上記基材との上下幅が、車両前後両端部及び車両左右両端部の少なくとも一箇所と中央部とで異なり、上記発泡成形体の厚さが、該ルーフパネルと該基材との上下幅に対応するように、上記車両前後両端部及び車両左右両端部の少なくとも一箇所と中央部とで異なることを特徴とする。
【0017】
第7の発明では、車両のルーフパネル車室内側においてパネル状の基材が車室内に面するように配設され、該基材の車室外側と該ルーフパネルの車室内側との間に配索部材が配索された車両用天井成形材の製造方法であって、上記基材の車室外側の形状に対応する成形面を有する第1型と、該第1型に対向配置され、上記ルーフパネルの車室内側の形状に対応する成形面を有する第2型とを備えた成形型を用意する。次いで、上記成形型を型閉じして、上記第1型の成形面と上記第2型の成形面との間に形成されたキャビティに発泡樹脂原料を注入して発泡させることにより、車室外側の形状が上記ルーフパネルの車室内側の形状に、また車室内側の形状が上記基材の車室外側の形状にそれぞれ略等しくなり、且つ上記基材と上記ルーフパネルとの間に配設した状態で、該基材車室外側に車室内側が圧接するとともに、該ルーフパネル車室内側に車室外側が圧接する発泡成形体を成形し、該発泡成形体に配索部材を取り付けた後、該基材及び該発泡成形体を重ねて車両用天井成形材を製造することを特徴とする。
【0018】
第8の発明では、車両のルーフパネル車室内側においてパネル状の基材が車室内に面するように配設され、該基材の車室外側と該ルーフパネルの車室内側との間に配索部材が配索された車両用天井成形材の製造方法であって、上記基材の車室外側の形状に対応する成形面を有する第1型と、該第1型に対向配置され、上記ルーフパネルの車室内側の形状に対応する成形面を有する第2型とを備えた成形型を用意する。次いで、上記成形型を型閉じして、上記第1型の成形面と上記第2型の成形面との間に形成されたキャビティに発泡樹脂原料を注入して発泡させることにより、車室外側の形状が上記ルーフパネルの車室内側の形状に、また車室内側の形状が上記基材の車室外側の形状にそれぞれ略等しくなり、且つ上記基材と上記ルーフパネルとの間に配設した状態で、該基材車室外側に車室内側が圧接するとともに、該ルーフパネル車室内側に車室外側が圧接する発泡成形体を成形し、該基材及び該発泡成形体を重ねた後、該発泡成形体に配索部材を取り付けて車両用天井成形材を製造することを特徴とする。
【0019】
第9の発明では、上記成形型内で上記発泡成形体を発泡成形させる際に、同時に発泡成形体に配索部材用の収容溝を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明では、発泡成形体と基材の間、及び発泡成形体とルーフパネルの間とにいずれも非接触箇所が形成され難くなるので、断熱性が高まるとともに、車両の走行中に基材とルーフパネルとの間を空気が流れなくなり、風切音の発生を防止できる。また、基材とルーフパネルとの間に設けられた発泡成形体が車室内側へ進む雨音を遮るようになるので、車室内で聞こえる雨音を小さくすることができる。これらにより、車室内の騒音を効果的に低減して乗員の乗り心地感を向上させるとともに、断熱性を高めて無駄な電力の消費を無くすことができ、さらには、低コストで組付工数を低減することができる。さらに、発泡成形体を基材及びルーフパネルに圧接するようにすれば、発泡成形体が車両の走行中のルーフパネルの振動を抑えるようになり、ルーフパネルの振動から発生する騒音を低減できる。
【0021】
第2の発明では、発泡成形体には配索部材を配索して収容する収容溝が形成されるため、収容溝に配索部材を収容することにより発泡成形体に配索部材を固定することができるので、従来のように配索部材の多くの箇所を基材に粘着テープ等で貼り付ける必要がなくなり、これら配索部材を基材に貼り付ける作業を簡略化して組付工数を低減することができる。
【0022】
第3の発明では、収容溝が、発泡成形体の車室外側面に形成されているため、発泡成形体の上側から配索部材を組み付けることができ、作業性に優れる。また、基材に発泡成形体を重ねた後でも配索部材を組み付けることができるので、組立ラインでの作業が迅速・簡単となり作業能率の向上を期待できる。さらには、配索部材の交換等のメンテナンス作業が容易に行える。
【0023】
第4の発明では、収容溝は、配索部材が設置される設置部と、発泡成形体の表面から設置部に連通する挿入路とを備え、挿入路の幅が設置部の幅に対して狭くなっているため、設置部に収容された配索部材は狭い挿入路を戻って抜け難くなり、配索部材を収容溝に収容することにより簡単に、且つ、しっかりと固定することができ、配索部材の抜脱やずれを防止することができる。
【0024】
第5の発明では、天井成形材をルーフパネルに取り付けたときに、低反発弾性材からなる発泡成形体が起伏の大きな箇所にうまく馴染むようになって、第1の発明に比べて発泡成形体と基材及びルーフパネルとの間の非接触箇所がさらに形成され難くなる。また、発泡成形体と基材及びルーフパネルとの接触部分の圧力が分散するようになるので、基材に局所的な力が加わって変形してしまうのを防ぐことができる。さらに、基材やルーフパネルが複数のバリエーションを有していて、基材やルーフパネルの形状が部分的に異なるような場合であっても、発泡成形体がそれぞれの形状に合わせてうまく馴染むようになるので、汎用性のある天井成形材とすることができる。それに加え、高い制振性を保有する低反発弾性材を発泡成形体に用いているので、第1の発明に比べてさらに車両の走行中のルーフパネルの振動を抑えることができ、ルーフパネルの振動により発生する騒音を防ぐことができる。
【0025】
第6の発明では、ルーフパネルと基材との間の上下幅に発泡成形体の厚さが対応するようになり、天井成形材をルーフパネルに取り付けたときに、発泡成形体の車室外側がルーフパネルの車室内側に略均一に接触するようになる。したがって、発泡成形体の車室外側が略均一に圧縮変形するようになり、基材に局所的な大きな力が掛かって変形してしまうのを防ぐことができる。
【0026】
第7及び第8の発明では、基材の車室外側に沿うとともにルーフパネルの車室内側に沿う発泡成形体を成形型で成形できるようになるので、第1の発明と同様に、車室内の騒音を効果的に低減して乗員の乗り心地感を向上させるとともに、断熱性を高めて無駄な電力の消費を無くすことができ、さらには、低コストで組付工数を低減することができる。さらに、基材、発泡成形体及び配索部材を別々に自動車の組立ラインに搬入し、組立ラインのそばでサブアッシーすれば良いので、既存の自動車の組立ラインにも容易に適用可能であり、取り入れやすい。
【0027】
第9の発明では、上記発泡成形体が上記成形型内で発泡成形されると同時に配索部材用の収容溝が形成されるため、第2の発明と同様に、配索部材を基材に貼り付ける等の作業を簡略化して組付工数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態にかかる車両を簡略化した斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る天井成形材の発泡成形体に配索部材を取付けた状態を車室外側から見た平面図である。
【図3】図1のA−A線拡大断面図である。
【図4】図1のB−B線拡大断面図である。
【図5】図1のC−C線拡大断面図である。
【図6】発泡成形体を成形する成形型を型開きした状態の断面図である。
【図7】発泡成形体を成形する成形型を型閉じし、発泡樹脂原料を注入した状態の断面図である。
【図8】発泡樹脂原料を発泡させ、発泡成形体を成形した状態の断面図である。
【図9】成形型から発泡成形体を脱型した状態の断面図である。
【図10】発泡成形体に配索部材を組付ける状態を示す断面斜視図である。
【図11】本発明の実施形態における車両用天井成形材の発泡成形体について、遮音性能を評価したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0030】
図1は、本発明の実施形態に係る車両V(車体)を示す。車両Vの上方にはルーフパネルRが位置している。図3及び図4に示すように、ルーフパネルRは、車両Vの外板部分となる略矩形状のルーフパネルアウターR1と、ルーフパネルアウターR1の左右両縁部において車両前後方向に延びる一対のルーフサイドレールR2と、ルーフパネルアウターR1の下面に沿って車幅方向に延びるルーフレインフォースメントR3とを備えている。ルーフレインフォースメントR3は、断面略ハット形状をなし、車両前後方向に複数並列に配置されている。
【0031】
上記ルーフパネルRの車室内側には車室内天井の意匠面となる車両用天井成形材1が配設されている。天井成形材1は、車両前後方向に延びる略矩形状をなしていて、車室内側に面するパネル状の基材3と、基材3とルーフパネルRとの間に配設される発泡成形体9と、発泡成形体9の車室外側に配索される配索部材20とを備え、中央部分が上方に位置する緩やかな湾曲形状をなしている。
【0032】
上記基材3は、図示しないが、例えば、硬質発泡ウレタンからなる基材本体層にガラス繊維等の補強層を介して表面材及び裏面材を積層した構造をなしていて、図示しない成形型を用いて従来周知の方法にて成形されたものである。
【0033】
上記発泡成形体9は、発泡ウレタンからなる低反発弾性材(図11に示す発泡ウレタンU1、例えば、SBU社製軟質ウレタンNo.5)であり、基材3とルーフパネルRとの間に配設されている。発泡成形体9の車室内側の形状は、基材3の車室外側の形状と略等しくなっていて、車室外側の形状はルーフパネルRの車室内側の形状と略等しくなっている。図3及び図4に示すように、発泡成形体9の車室外側には、上記配索部材20を収容する収容溝30が形成されている。また、図3及び図4に示すように、ルーフパネルRと基材3との上下幅は、車両前後両端部より中央部の方が幅広で、且つ、車両左右両端部より中央部の方が幅狭となっていて、発泡成形体9の厚さは、ルーフパネルR及び基材3の上下幅に対応するようになっている。そして、発泡成形体9は、基材3とルーフパネルRとの間に配設した状態で、車室内側が基材3の車室外側に圧接するとともに、車室外側がルーフパネルRの車室内側に圧接するようになっている。
【0034】
上記低反発弾性材は、一般的に弾性と粘性とを兼ね備えた性質を有していて、起伏の大きな箇所にあてがったときに、当該箇所に隙間無く沿わせることができるとともに接触部分の圧力を分散させることができるので、基材3とルーフパネルRとの間に発泡成形体9を取り付けたときに、起伏の大きなルーフレインフォースメントR3の部位に発泡成形体9を沿わせることができ、しかも、接触部分の圧力を分散させて基材3を局部的に変形させないようになっている。
【0035】
上記発泡成形体9は、その内部の気泡同士が壁で仕切られていて繋がっていない、いわゆる独立気泡構造であって断熱性が高く、その密度は0.07g/cm3となっている。尚、上記発泡成形体9の密度は、車両Vの重量を増加させないように0.02〜0.07g/cm3が好ましい。
【0036】
また、上記発泡成形体9の車両前方に位置する端部は、図5に示すように、ルーフパネルRに連なるフロントピラーFpの上部に位置するようになっていて、この発泡成形体9により、フロントピラーFpに対応する位置の基材3がフロントピラーFp側に撓まないようになっている。したがって、フロントピラーFpと基材3との間にチップウレタン等の部材を追加で配設しなくても基材3はフロントピラーFp側に撓まなくなり、フロントピラーFpの内方に位置するピラートリムPtと基材3との間に隙間が形成されず、コストを抑えて車室内の意匠性を高めることができる。尚、フロントピラーFpだけでなく、図示しないがセンターピラーやリアピラー部分においても上記と同様に発泡成形体9によってトリムと基材3との間に隙間が形成されないようになっており、このことで車室内の意匠性を高めることができる。
【0037】
上記配索部材20は、配線5及び配管7からなっている。配線5は、図2に示すように、ハーネス線5a及びアンテナ線5bを備えている。ハーネス線5aは、車幅方向右側の前方から発泡成形体9の外周縁に沿って後方に延び、発泡成形体9の車両前後方向中央部分及び後方部分から車幅方向左側に向かってそれぞれ延びていて、車両前後方向中央部の車幅方向両側及び車両後方の車幅方向左側にそれぞれ位置するルーフランプ5cに繋がっている。また、アンテナ線5bは、車幅方向左側の前方から発泡成形体9の外周縁に沿って後方に延びている。
【0038】
上記配管7は、図示しないがウォッシャー液を車両前方のエンジンルーム内からリアウインドガラスまで届けるウォッシャーパイプであり、図2に示すように、車幅方向左側の前方からアンテナ線5bに沿って後方に延びている。
【0039】
そして、上記配線5及び配管7は、図2に示すように、発泡成形体9の車室外側面に形成された収容溝30に収容されている。具体的には、図10に示すように、収容溝30は、発泡成形体9の車室外側面において配索部材20を配索する状態に一致して形成されており、配索部材20が設置されて収容される設置部31と、発泡成形体9の表面と設置部とを連通する挿入路32とを備える。設置部31は、配索部材20の形状・大きさにほぼ一致しており、挿入路32は配索部材20の形状・大きさよりも僅かに小さく形成されている。この挿入路32の幅が配索部材20の幅よりも僅かに小さいことによって、配索部材20を収容溝30に向けて強く奥に押し込むことで、設置部31に配索部材20を位置させることができ、且つ、設置部31に位置させた配索部材20が収容溝30から簡単に抜脱しないようになっている。
【0040】
次に、車両用天井成形材1の製造方法について説明する。製造に際し、図6乃至図9に示すような、上下に対向配置された固定型(第1型)11及び可動型(第2型)13を備えた成形型10を用意する。固定型11の上面には、基材3の車室外側の形状面3aの形状に対応した下側成形面11aが形成されている。また、可動型13の下面には、ルーフパネルRの車室内側の形状面Raに沿うような形状の上側成形面13aが形成されている。また、図6に示すように可動型13の上側成形面13aには、配線5及び配管7を収容する収容溝30を形成するための溝形成部13b、13cが備えられている。溝形成部13cは配線5及び配管7の幅と略同幅で形成され、溝形成部13bは、配線5と略同幅で形成されている。
【0041】
まず初めに、図示しない成形型を用いて従来周知の方法にて成形した基材3を用意する。また、図6に示すように、上記成形型10を型開きした状態から、図7に示すように型閉じする。
【0042】
図7に示すように、成形型10を型閉じした後、固定型11の下側成形面11aと可動型13の上側成形面13aとの間に形成されたキャビティ10a内に発泡成形体9の発泡樹脂原料90を射出機(図示せず)で射出注入した後、加熱装置(図示せず)にて発泡樹脂原料90を加熱して発泡させる。そして、図8に示すように、発泡した発泡成形体9がキャビティ10a内を埋めると同時に、配線5及び配管7を収容する収容溝30が形成される。
【0043】
この成形後、図9に示すように、可動型13を固定型11から後退させて成形型10を型開きする。この時に、発泡成形体9の収容溝30から溝形成部13b、13cも同時に外される。収容溝30の挿入路32の幅は設置部31の幅より狭いが、発泡成形体9が弾力性を有するので、溝形成部13b、13cは収容溝30から容易に引き抜かれる。その後、発泡成形体9を成形型10から脱型する。
【0044】
その後、発泡成形体9の収容溝30内に、配索部材20を挿入して組付ける。この発泡成形体9と基材3とを重ねて、車両用天井成形材1を製造する。
【0045】
次に、本発明の実施形態に係る車両用天井成形材1の遮音性能についての評価結果について説明する。
【0046】
図11は、横軸を周波数、縦軸を音響透過損失としたグラフであり、各周波数において音響透過損失が高いほど遮音性能が高いことを示している。D1は、ルーフパネルRと基材3との間に発泡成形体9が無い状態で取得したデータを示し、D2は、発泡成形体9に発泡ウレタンU1を用いて取得したデータを示し、D3は、発泡成形体9に発泡ウレタンU2(例えば、BS社製スラブウレタン:密度0.02g/cm3)を用いて取得したデータを示す。
【0047】
近年では、周波数の中でも可聴範囲とされる1.0kHz〜2.5kHzにおいて遮音性能を高めることは勿論のこと、自動車の高性能化に伴って3.0kHz〜5.0kHzの高周波領域においても遮音性能を高めたいという要求がある。このことに対し、図11に示すように、発泡ウレタンU1及びU2をルーフパネルRと基材3との間に配設した車両用天井成形材1(D2,D3)は、ルーフパネルRと基材3との間に発泡成形体9が無い車両用天井成形材1(D1)に比べて高い遮音性能を有している。特に、発泡ウレタンU1(D2)は、3.0kHz〜5.0kHzの高周波領域において発泡ウレタンU2(D3)より高い遮音性能を有している。したがって、発泡成形体9に発泡ウレタンU1及びU2を用いることによって高い遮音性能を有する車両用天井成形材1とすることができ、さらに、発泡成形体9に発泡ウレタンU1を用いることによって、高周波領域において高い遮音性能を有する車両用天井成形材1とすることができることが判る。
【0048】
以上より、本発明の実施形態によれば、基材3の車室外側に沿うとともにルーフパネルRの車室内側に沿う発泡成形体9を成形型10で成形でき、発泡成形体9と基材3との間、及び発泡成形体9とルーフパネルRとの間に非接触箇所が形成され難くなるので、断熱性が高まるとともに、車両Vの走行中に基材3とルーフパネルRとの間に空気が流れなくなり、風切音の発生を防止できる。また、基材3とルーフパネルRとの間に設けられた発泡成形体9が車室内側へ進む雨音を遮るようになるので、車室内で聞こえる雨音を小さくすることができる。さらには、発泡成形体9がルーフパネルRに圧接するので、発泡成形体9が車両Vの走行中のルーフパネルRの振動を抑えるようになり、ルーフパネルRの振動から発生する騒音を低減できる。
【0049】
それに加え、成形型10内で発泡成形体9を成形すると同時に、配線5や配管7を収容する収容溝30を形成するので、従来のように配線5や配管7の多くの箇所を粘着テープ等で貼り付ける必要が無くなりコストを低減できるとともに、これら配線5や配管7を基材3に貼り付ける作業を簡略化して組付工数を低減できる。
【0050】
また、収容溝30の挿入路32の幅を設置部31の幅より狭くすることにより、配線5及び配管7を簡単に、且つ、しっかりと固定することができ、抜脱を防止することができる。これらにより、車室内の騒音を効果的に低減して、乗員の乗り心地感を向上させるとともに断熱性を高めて無駄な電力の消費を無くすことができ、さらには、低コストで組付工数を低減することができる。
【0051】
また、天井成形材1をルーフパネルRに取り付けたときに、発泡成形体9が起伏の大きな箇所にうまく馴染むようになって、発泡成形体9と基材3との間、及び発泡成形体9とルーフパネルRとの間に非接触箇所がさらに形成され難くなる。また、発泡成形体9と、基材3やルーフパネルRとの接触部分の圧力が分散するようになるので、基材3に局所的な力が加わって変形してしまうのを防ぐことができる。さらに、基材3やルーフパネルRが複数のバリエーションを有していて、基材3やルーフパネルRの形状が部分的に異なるような場合であっても、発泡成形体9がそれぞれの形状に合わせてうまく馴染むようになるので、共通の天井成形材1を異なる基材3やルーフパネルRに適用することができ、汎用性のある天井成形材1とすることができる。それに加え、高い制振性を保有する低反発弾性材を発泡成形体9に用いているので、さらに車両Vの走行中のルーフパネルRの振動を抑えることができ、ルーフパネルRの振動により発生する騒音を防ぐことができる。
【0052】
さらに、基材3、発泡成形体9及び配索部材20を別々に製造して自動車の組立ラインに搬入し、組立ラインの近くで基材3、発泡成形体9及び配索部材20を組み立てることができるので、既存の自動車の組立ラインに適用しやすい。
【0053】
さらに、ルーフパネルRと基材3との間の上下幅に発泡成形体9の厚さが対応するようになり、天井成形材1をルーフパネルRに取り付けたときに、発泡成形体9の車室外側がルーフパネルRの車室内側に略均一に接触するようになる。したがって、発泡成形体9の車室外側が略均一に圧縮変形するようになり、基材3に局所的な大きな力が掛かって変形してしまうのを防ぐことができる。
【0054】
尚、本発明の実施形態では、発泡成形体9の収容溝30に配索部材20を組付けた後、基材3と重ねるようにしたが、これに限らず、基材3と発泡成形体9を重ねた後、配索部材20を収容溝30に組付けるようにしても良い。
【0055】
また、本発明の実施形態では、発泡成形体9の車室外側に配線5と配管7とを配索する収容溝30を形成しているが、発泡成形体9の車室内側に収容溝30を形成しても良い。なお、実施形態のように発泡成形体9の車室外側に収容溝30を形成した方が、作業性及びメンテナンス作業等においては有用である。
【0056】
また、配線5はハーネス線5aやアンテナ線5bに限らず、他の配線であってもよく、配管7においてもウォータパイプに限らず、他の配管であってもよい。発泡成形体9の収容溝30は、全ての配索部材20が組付けられるように設けることが好ましいが、一部は収容溝30を省略して簡略化するようにしても良い。
【0057】
また、本発明の実施形態では、発泡成形体9に形成する収容溝30として、設置部31及び設置部31より幅の狭い挿入路32を設けたが、必ずしもこの構成に限られるものではなく、設置部31と同幅の挿入路32を設けても良い。また、設置部31と挿入路32とを同幅として、配索部材20の幅より僅かに狭い幅に形成して、強引に配索部材20を収容溝30に押し込むようにしても良い。
【0058】
また、本発明の実施形態では、発泡成形体9は、ルーフパネルRと基材3との上下幅に対応するように、車両前後両端部より中央部の方が厚みが大きく、且つ、車両左右両端部より中央部の方が厚みが小さくなっているが、ルーフパネルRと基材3との上下幅に対応する形状であればよく、例えば、車両前後両端部より中央部の方が厚みが小さく、車両左右両端部より中央部の方が厚みが大きくなっていてもよい。すなわち、ルーフパネルRと基材3との上下幅が、車両前後両端部及び車両左右両端部の少なくとも一箇所と中央部とで異なっている場合に、上記ルーフパネルRと基材3との上下幅に対応するように、発泡成形体9の前後両端部及び左右両端部の少なくとも一箇所の幅が中央部の幅と異なっていればよい。
【0059】
また、本発明の発泡成形体9は、ルーフパネルRの車室内側と基材3の車室外側とに完全に隙間無く接触するのが好ましいが、仮に一部に非接触部が発生しても特に問題とならない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、例えば、車両の車室内に設けられる車両用天井成形材及びその製造方法に適している。
【符号の説明】
【0061】
1 車両用天井成形材
3 基材
5 配線
7 配管
9 発泡成形体
10 成形型
10a キャビティ
11 固定型(第1型)
11a 成形面
13 可動型(第2型)
13a 成形面
13b 溝形成部
13c 溝形成部
20 配索部材
30 収容溝
31 設置部
32 挿入路
90 発泡樹脂原料
C 車両
U1 発泡ウレタン
U2 発泡ウレタン
R ルーフパネル
R1 ルーフパネルアウター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフパネル車室内側においてパネル状の基材が車室内に面するように配設され、該基材の車室外側と該ルーフパネルの車室内側との間に配索部材が配索された車両用天井成形材であって、
該基材と該ルーフパネルとの間には、車室内側の形状を該基材の車室外側の形状と略等しくするように、且つ車室外側の形状を該ルーフパネルの車室内側の形状と略等しくするように形成された発泡成形体が配置されていることを特徴とする車両用天井成形材。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用天井成形材において、
上記発泡成形体には、上記配索部材を配索して収容する収容溝が形成されていることを特徴とする車両用天井成形材。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用天井成形材において、
上記収容溝が、上記発泡成形体の車室外側面に形成されていることを特徴とする車両用天井成形材。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の車両用天井成形材において、
上記収容溝は、上記配索部材が設置されて収容される設置部と、上記発泡成形体の表面から該設置部に連通する挿入路とを備え、該挿入路の幅が、該設置部の幅に対して狭くなっていることを特徴とする車両用天井成形材。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用天井成形材において、
上記発泡成形体は、低反発弾性材からなることを特徴とする車両用天井成形材。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用天井成形材において、
上記ルーフパネルと上記基材との上下幅が、車両前後両端部及び車両左右両端部の少なくとも一箇所と中央部とで異なり、
上記発泡成形体の厚さが、該ルーフパネルと該基材との上下幅に対応するように、上記車両前後両端部及び車両左右両端部の少なくとも一箇所と中央部とで異なることを特徴とする車両用天井成形材。
【請求項7】
車両のルーフパネル車室内側においてパネル状の基材が車室内に面するように配設され、該基材と該ルーフパネルとの間に配索部材が配索された車両用天井成形材の製造方法であって、
上記基材の車室外側の形状に対応する成形面を有する第1型と、該第1型に対向配置され、上記ルーフパネルの車室内側の形状に対応する成形面を有する第2型とを備えた成形型を用意し、
上記成形型を型閉じして、上記第1型の成形面と上記第2型の成形面との間に形成されたキャビティに発泡樹脂原料を注入して発泡させることにより、車室外側の形状が上記ルーフパネルの車室内側の形状に、また車室内側の形状が上記基材の車室外側の形状にそれぞれ略等しくなり、且つ上記基材と上記ルーフパネルとの間に配設した状態で、該基材車室外側に車室内側が圧接するとともに、該ルーフパネル車室内側に車室外側が圧接する発泡成形体を成形し、
該発泡成形体に配索部材を取り付けた後、
該基材及び該発泡成形体を重ねて車両用天井成形材を製造することを特徴とする車両用天井成形材の製造方法。
【請求項8】
車両のルーフパネル車室内側においてパネル状の基材が車室内に面するように配設され、該基材と該ルーフパネルとの間に配索部材が配索された車両用天井成形材の製造方法であって、
上記基材の車室外側の形状に対応する成形面を有する第1型と、該第1型に対向配置され、上記ルーフパネルの車室内側の形状に対応する成形面を有する第2型とを備えた成形型を用意し、
上記成形型を型閉じして、上記第1型の成形面と上記第2型の成形面との間に形成されたキャビティに発泡樹脂原料を注入して発泡させることにより、車室外側の形状が上記ルーフパネルの車室内側の形状に、また車室内側の形状が上記基材の車室外側の形状にそれぞれ略等しくなり、且つ上記基材と上記ルーフパネルとの間に配設した状態で、該基材車室外側に車室内側が圧接するとともに、該ルーフパネル車室内側に車室外側が圧接する発泡成形体を成形し、
該基材及び該発泡成形体を重ねた後、
該発泡成形体に配索部材を取り付けて車両用天井成形材を製造することを特徴とする車両用天井成形材の製造方法。
【請求項9】
請求項7又は8記載の車両用天井成形材の製造方法において、
上記成形型内で上記発泡成形体を発泡成形させる際に、同時に発泡成形体に配索部材用の収容溝を形成することを特徴とする車両用天井成形材の製造方法。
【請求項1】
車両のルーフパネル車室内側においてパネル状の基材が車室内に面するように配設され、該基材の車室外側と該ルーフパネルの車室内側との間に配索部材が配索された車両用天井成形材であって、
該基材と該ルーフパネルとの間には、車室内側の形状を該基材の車室外側の形状と略等しくするように、且つ車室外側の形状を該ルーフパネルの車室内側の形状と略等しくするように形成された発泡成形体が配置されていることを特徴とする車両用天井成形材。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用天井成形材において、
上記発泡成形体には、上記配索部材を配索して収容する収容溝が形成されていることを特徴とする車両用天井成形材。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用天井成形材において、
上記収容溝が、上記発泡成形体の車室外側面に形成されていることを特徴とする車両用天井成形材。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の車両用天井成形材において、
上記収容溝は、上記配索部材が設置されて収容される設置部と、上記発泡成形体の表面から該設置部に連通する挿入路とを備え、該挿入路の幅が、該設置部の幅に対して狭くなっていることを特徴とする車両用天井成形材。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用天井成形材において、
上記発泡成形体は、低反発弾性材からなることを特徴とする車両用天井成形材。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用天井成形材において、
上記ルーフパネルと上記基材との上下幅が、車両前後両端部及び車両左右両端部の少なくとも一箇所と中央部とで異なり、
上記発泡成形体の厚さが、該ルーフパネルと該基材との上下幅に対応するように、上記車両前後両端部及び車両左右両端部の少なくとも一箇所と中央部とで異なることを特徴とする車両用天井成形材。
【請求項7】
車両のルーフパネル車室内側においてパネル状の基材が車室内に面するように配設され、該基材と該ルーフパネルとの間に配索部材が配索された車両用天井成形材の製造方法であって、
上記基材の車室外側の形状に対応する成形面を有する第1型と、該第1型に対向配置され、上記ルーフパネルの車室内側の形状に対応する成形面を有する第2型とを備えた成形型を用意し、
上記成形型を型閉じして、上記第1型の成形面と上記第2型の成形面との間に形成されたキャビティに発泡樹脂原料を注入して発泡させることにより、車室外側の形状が上記ルーフパネルの車室内側の形状に、また車室内側の形状が上記基材の車室外側の形状にそれぞれ略等しくなり、且つ上記基材と上記ルーフパネルとの間に配設した状態で、該基材車室外側に車室内側が圧接するとともに、該ルーフパネル車室内側に車室外側が圧接する発泡成形体を成形し、
該発泡成形体に配索部材を取り付けた後、
該基材及び該発泡成形体を重ねて車両用天井成形材を製造することを特徴とする車両用天井成形材の製造方法。
【請求項8】
車両のルーフパネル車室内側においてパネル状の基材が車室内に面するように配設され、該基材と該ルーフパネルとの間に配索部材が配索された車両用天井成形材の製造方法であって、
上記基材の車室外側の形状に対応する成形面を有する第1型と、該第1型に対向配置され、上記ルーフパネルの車室内側の形状に対応する成形面を有する第2型とを備えた成形型を用意し、
上記成形型を型閉じして、上記第1型の成形面と上記第2型の成形面との間に形成されたキャビティに発泡樹脂原料を注入して発泡させることにより、車室外側の形状が上記ルーフパネルの車室内側の形状に、また車室内側の形状が上記基材の車室外側の形状にそれぞれ略等しくなり、且つ上記基材と上記ルーフパネルとの間に配設した状態で、該基材車室外側に車室内側が圧接するとともに、該ルーフパネル車室内側に車室外側が圧接する発泡成形体を成形し、
該基材及び該発泡成形体を重ねた後、
該発泡成形体に配索部材を取り付けて車両用天井成形材を製造することを特徴とする車両用天井成形材の製造方法。
【請求項9】
請求項7又は8記載の車両用天井成形材の製造方法において、
上記成形型内で上記発泡成形体を発泡成形させる際に、同時に発泡成形体に配索部材用の収容溝を形成することを特徴とする車両用天井成形材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−78985(P2013−78985A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219445(P2011−219445)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000177461)三和工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000177461)三和工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
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