説明

車両用室内灯具

【課題】レンズをハウジングにガタ無く回転可能に取り付けることが重要である。
【解決手段】この発明は、ランプハウジング2と、ランプレンズ3と、を備える。ランプレンズ3には、ランプレンズ3の回転軸O−O方向に弾性を有する弾性片12が設けられている。弾性片12には、軸部15が設けられている。ランプハウジング2には、軸孔23が設けられている。軸部15が軸孔23にランプレンズ3の回転軸O−O回りに回転可能に挿入されている。この結果、この発明は、ランプレンズ3をランプハウジング2にガタ無く回転可能に取り付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ランプレンズを回転操作してプッシュスイッチを押し操作することにより光源が点灯消灯する車両用室内灯具(車両用ルームランプ)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用室内灯具は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用室内灯具について説明する。従来の車両用室内灯具は、ハウジングと、ハウジングの周囲に配設したリムと、ハウジングの前面開口部に傾動可能に配設したレンズと、レンズおよびハウジングによって画成した室内に配設したバルブおよびバルブ点消灯用の押釦スイッチと、を備え、レンズのピン部がハウジングとリムとによって形成した凹部に回転可能に嵌合されているものである。レンズを押すと、レンズがピン部を中心として回転し、回転したレンズが押釦スイッチをオンオフ(開閉)してバルブが点灯消灯する。
【0003】
この種の車両用室内灯具は、レンズの回転操作で押釦スイッチのオンオフ操作を行ってバルブを点灯消灯させるものであるから、レンズの回転操作が正確である必要がある。このために、この種の車両用室内灯具においては、レンズをハウジングにガタ無く回転可能に取り付けることが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭58−181634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、この種の車両用室内灯具においては、レンズをハウジングにガタ無く回転可能に取り付けることが重要である、という点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、ランプレンズにはランプレンズの回転軸方向に弾性を有する弾性片が設けられていて、弾性片には軸部が設けられていて、ランプハウジングには軸孔が設けられていて、軸部が軸孔にランプレンズの回転軸回りに回転可能に挿入されている、ことを特徴とする。
【0007】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、弾性片には第1肉抜き孔が設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、ランプハウジングが、一方が開口しかつ他方が閉塞した断面凹形状をなし、軸孔が、ランプハウジングの開口部の相対向する縁のうち少なくともいずれか一方に設けられていて、ランプレンズが、一方が閉塞しかつ他方が開口した断面凹形状をなし、ランプレンズの閉塞部が、ランプハウジングの開口部を閉塞して灯室が区画されていて、弾性片が、ランプレンズの開口部の相対向する縁のうち少なくともいずれか一方に一体に設けられていて、軸部が、弾性片にランプレンズの回転軸方向に外側に突出して一体に設けられていて、軸部には軸部をランプハウジングの開口部から軸孔に位置させる際にランプハウジングの開口部の縁に弾性当接する当接面が設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
さらにまた、この発明(請求項4にかかる発明)は、ランプハウジングのうち開口部から軸孔までの箇所には軸部をランプハウジングの開口部から軸孔に位置させる際のガイドするためのガイド凸部がランプレンズの回転軸方向に内側に突出して一体に設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
さらにまた、この発明(請求項5にかかる発明)は、軸部の中央部には第2肉抜き孔が設けられている、ことを特徴とする。
【0011】
さらにまた、この発明(請求項6にかかる発明)は、軸部が、断面円形形状をなし、軸孔が、断面半円形形状の第1部分と断面半円形形状の第2部分とを合わせて断面円形形状をなす、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用室内灯具は、弾性片のランプレンズの回転軸方向の弾性により、ランプハウジングの軸孔の内径寸法とランプレンズの軸部の外形寸法との差をできる限り小さくしても、ランプレンズの軸部をランプハウジングの軸孔に回転可能に挿入することができるので、ランプレンズをランプハウジングにガタ無く回転可能に取り付けることができる。
【0013】
しかも、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用室内灯具は、ランプハウジングに軸孔を設け、ランプレンズに弾性片を設け、弾性片に軸部を設けたものであるから、部品がランプハウジングとランプレンズとからなるので、部品点数を軽減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0014】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用室内灯具は、弾性片に設けた第1肉抜き孔により、弾性片の剛性が低下し、その分、弾性が上がるので、ランプレンズをランプハウジングにさらにガタ無く回転可能に取り付けることができる。
【0015】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用室内灯具は、ランプレンズの軸部をランプハウジングの開口部から軸孔に位置させる際に、軸部の当接面がランプハウジングの開口部の縁に弾性当接するので、特に、硬い材質の部材から構成されているランプレンズに対して軟らかい材質の部材から構成されているランプハウジングに、もしくは、ランプハウジングおよびランプレンズの双方に、傷付けることがない。この結果、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用室内灯具は、傷による見栄えの低下を防ぐことができ、かつ、傷によるランプハウジングの軸孔とランプレンズの軸部との間のガタを抑えることができ、ランプレンズをランプハウジングにガタ無く回転可能に取り付けることができる。
【0016】
さらにまた、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用室内灯具は、ガイド凸部により、ランプハウジングの軸孔の内径寸法とランプレンズの軸部の外形寸法との差をできる限り小さくしても、ランプレンズの軸部をランプハウジングの開口部から軸孔に簡単にかつ確実にかつ正確に位置させることができるので、ランプレンズの軸部をランプハウジングの軸孔にガタ無く回転可能に挿入することができ、ランプレンズをランプハウジングにガタ無く回転可能に取り付けることができる。
【0017】
しかも、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用室内灯具は、ランプハウジングのガイド凸部がランプレンズの回転軸方向に突出して設けられているので、ランプハウジングのガイド凸部がランプレンズにランプレンズの回転軸方向に当接し、ランプレンズをランプハウジングにガタ無く回転可能に取り付けることができる。
【0018】
さらにまた、この発明(請求項5にかかる発明)の車両用室内灯具は、軸部の中央部に設けた第2肉抜き孔により、ランプレンズの弾性片の肉厚と軸部の肉厚とをほぼ均等にすることができるので、ランプレンズの射出成形時において、ランプレンズの弾性片と軸部とに樹脂をほぼ均等に流すことができる。この結果、この発明(請求項5にかかる発明)の車両用室内灯具は、軸部の表面に変形やひけが発生するのを極力防ぐことができるので、ランプレンズをランプハウジングにガタ無く回転可能に取り付けることができる。
【0019】
さらにまた、この発明(請求項6にかかる発明)の車両用室内灯具は、前記の課題を解決するための手段により、ランプハウジングの軸孔をスライド金型ではなく食切り金型で成形することができるので、深さの長い軸孔を成形することができる。この結果、この発明(請求項6にかかる発明)の車両用室内灯具は、軸孔の深さを長くした分、ランプレンズをランプハウジングにガタ無く回転可能に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用室内灯具の実施例を示し、ランプハウジングとランプレンズとの分解斜視図である。
【図2】図2は、同じく、取付状態を示した底面図である。
【図3】図3は、同じく、図2におけるIII−III線断面図である。
【図4】図4は、同じく、図2におけるIV−IV線断面図である。
【図5】図5は、同じく、プッシュスイッチを押し操作している状態を示す図2におけるIV−IV線断面図である。
【図6】図6は、同じく、ランプレンズの弾性片および軸部を示す一部側面図である。
【図7】図7は、同じく、ランプハウジングの軸孔およびガイド凸部を示す一部側面図である。
【図8】図8は、同じく、図6におけるVIII−VIII線断面図と図7におけるVIII−VIII線断面図とを合成した断面図である。
【図9】図9は、同じく、ランプレンズの軸部の当接面がランプハウジングの縁部に弾性当接している状態を示す図8に対応する断面図である。
【図10】図10は、同じく、ランプレンズの軸部がランプハウジングのガイド凸部にガイドされかつランプレンズの弾性片が弾性変形している状態を示す図8に対応する断面図である。
【図11】図11は、同じく、ランプレンズの軸部がランプハウジングの軸孔に挿入している状態を示す図8に対応する断面図である。
【図12】図12は、同じく、ランプハウジングの軸孔の部分を成形する食切り金型の一部を示す断面図である。
【図13】図13は、同じく、ランプハウジングの軸孔の部分を成形している状態を示す食切り金型の一部断面図である。
【図14】図14は、同じく、ランプハウジングの軸孔の部分を成形した後の型開き状態を示す食切り金型の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明にかかる車両用室内灯具の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0022】
(構成の説明)
以下、この実施例における車両用室内灯具の構成について説明する。図1〜図5において、符号1は、この実施例における車両用室内灯具である。この実施例における車両用室内灯具1は、ランプハウジング2と、ランプレンズ3と、光源4と、プッシュスイッチ5と、を備える。
【0023】
前記ランプハウジング2には、前記ランプレンズ3が回転軸O−O回りに回転可能に取り付けられている。前記ランプハウジング2と前記ランプレンズ3とにより、灯室6が区画されている。前記灯室6内には、前記光源4および前記プッシュスイッチ5がそれぞれ配置されている。
【0024】
前記ランプレンズ3は、この例では、光透過性の部材であって、比較的硬い材質の部材、たとえばポリカーボネート(PC)から構成されている。前記ランプレンズ3は、図1〜図5に示すように、一方が閉塞しかつ他方が開口した断面凹形状をなす。すなわち、前記ランプレンズ3は、開口部の縁の側壁部7と、閉塞部の天壁部8と、から構成されている。
【0025】
前記ランプレンズ3の前記側壁部7のうち、前記回転軸O−Oと直交する方向側の側壁部7には、係合突起9が外側に突出して一体に設けられている。また、前記ランプレンズ3の前記天壁部8のうち、前記回転軸O−Oと直交する方向の端部であって、前記係合突起9が設けられている側の端部の内面には、押圧突起10が一体に設けられている。前記ランプレンズ3の前記天壁部8の外面のうち前記押圧突起10と対応する箇所には、楕円形状の浅い凹部の押圧部11が設けられている。
【0026】
前記ランプレンズ3の前記側壁部7のうち、前記回転軸O−O方向側の側壁部7であって、前記係合突起9および前記押圧突起10および前記押圧部11が位置する側と反対側の相対向する側壁部7には、前記回転軸O−O方向に弾性を有する2枚の弾性片12が一体に設けられている。
【0027】
前記弾性片12は、図6、図8〜図11に示すように、前記ランプレンズ3の前記側壁部7に設けられている2本の溝13の間に設けられている。前記弾性片12は、小長方形状をなしている。前記弾性片12の中央部には、小長方形の第1肉抜き孔14が設けられている。
【0028】
前記弾性片12の下辺の中央であって前記弾性片12の外面には、軸部15が前記回転軸O−O方向に外側に突出して一体に設けられている。前記軸部15は、断面円形形状すなわち前記回転軸O−O方向から見ると円形形状をなす。前記軸部15の中央部には、小半円形の第2肉抜き孔16が設けられている。前記軸部15の前記第2肉抜き孔16より上側の部分は、前記弾性片12と一体に連なっている。前記軸部15の外端面から前記軸部15の前記第2肉抜き孔16より下側の部分には、傾斜面の当接面17が設けられている。前記軸部15の外面と前記当接面17と境は、図6中の二点鎖線に示すように、前記ランプレンズ3の前記側壁部7および前記天壁部8に対して傾斜している。
【0029】
前記ランプレンズ3の前記側壁部7の下面(前記天壁部8と反対側の面)と前記第1肉抜き孔14の上面(前記天壁部8側の面)とには、図6中の点線で示すように、ローレット18が設けられている。
【0030】
前記ランプハウジング2は、この例では、光不透過性の部材であって、比較的軟らかい材質の部材、たとえばポリプロピレン(PP)から構成されている。前記ランプハウジング2は、図1〜図5に示すように、一方が開口しかつ他方が閉塞した断面凹形状をなす。すなわち、前記ランプハウジング2は、開口部の周縁部のフランジ部19と、開口部の縁部の側壁部20と、底壁部21と、から構成されている。
【0031】
前記ランプハウジング2の前記底壁20の前記回転軸O−Oと直交する方向の両端部には、前記光源4と前記プッシュスイッチ5とが取り付けられている。前記ランプハウジング2の前記側壁部20のうち、前記回転軸O−Oと直交する方向側の側壁部20であって、前記プッシュスイッチ5が位置する側の側壁部20には、係合孔22が設けられている。
【0032】
前記ランプハウジング2の前記側壁部20のうち、前記回転軸O−O方向側の側壁部20であって、前記光源4が位置する側の相対向する側壁部20には、軸孔23とガイド凸部24とがそれぞれ設けられている。
【0033】
前記軸孔23は、図6〜図11に示すように、断面円形形状すなわち前記回転軸O−O方向から見ると円形形状をなす。前記軸孔23は、断面半円形形状すなわち上半円形の第1部分25と、断面半円形形状すなわち下半円形の第2部分26とを合わせて断面円形形状をなす。前記軸孔23は、前記軸部15が前記回転軸O−O回りに回転可能に挿入されるものである。
【0034】
前記ガイド凸部24は、前記ランプハウジング2のうち開口部から前記軸孔23までの箇所、すなわち、前記フランジ部19から前記軸孔23の前記第1部分25までの箇所に、前記回転軸O−O方向に内側に突出して一体に設けられている。前記ガイド凸部24は、前記軸孔23の両側に2本設けられている。2本の前記ガイド凸部24の間の幅は、前記フランジ部19において最大幅で、前記フランジ部19から前記軸孔23にかけて徐々に狭まれて、前記軸孔23の前記第1部分25と前記第2部分26との境(円形状の前記軸孔11の直径に相当する)において最小幅となる。前記ガイド凸部24は、前記軸部15を前記ランプハウジング2の開口部すなわち前記フランジ部19から前記軸孔23に位置させる際のガイドするためのものである。
【0035】
前記ランプハウジング2は、図12〜図14に示すように、食切り金型27、28により成形されている。すなわち、図12に示すように、前記食切り金型27、28を閉じることによりキャビティ29が形成されている。図13に示すように、前記食切り金型27、28の前記キャビティ29中に樹脂30が流し込まれる。図14に示すように、前記食切り金型27、28を開くことにより前記ランプハウジング2、すなわち、前記フランジ部19、前記側壁部20、前記底壁部21、前記係合孔22、前記軸孔23の前記第1部分25および前記第2部分26、前記ガイド凸部24が、成形される。
【0036】
前記光源4は、この例ではウエッジバルブなどの白熱バルブ(LEDなどの半導体型光源、ハロゲンバルブなどの光源であっても良い)である。前記光源4は、ソケット31に着脱可能に取り付けられている。前記ソケット31は、前記ランプハウジング2の前記底壁部21に着脱可能に取り付けられているあるいは固定されている。前記ソケット31は、ハーネス(図示せず)やコネクタ(図示せず)を介して図示しない電源(バッテリー)に電気的に接続されている。この結果、前記光源4は、前記ソケット31を介して電源に電気的に接続されている。
【0037】
前記プッシュスイッチ5は、操作部32と本体部33とから構成されている。前記操作部32は、前記本体部33にスライド可能に取り付けられていて、前記本体部33内に内蔵されているスプリング(図示せず)により常時図1、図4に示す状態、すなわち、外側に突出する方向に付勢されている。
【0038】
前記本体部33は、前記操作部32が前記ランプレンズ3の前記押圧突起10と対向するように、前記ランプハウジング2の前記底壁部21に着脱可能に取り付けられているあるいは固定されている。前記本体部33内には、前記操作部32の押し操作によりオンオフ(開閉)するスイッチ機構(図示せず)が前記スプリングと共に内蔵されている。前記スイッチ機構は、ハーネス(図示せず)やコネクタ(図示せず)を介して、前記光源4の前記ソケット32および電源に電気的に接続されている。
【0039】
(ランプレンズのランプハウジングへの取り付け方の説明)
以下、前記ランプハウジング2に前記ランプレンズ3を取り付ける取り付け方について説明する。
【0040】
まず、前記ランプレンズ3の前記係合突起9を前記ランプハウジング2の前記係合孔22に係合させる。つぎに、図8に示すように、前記ランプレンズ3の前記軸部15を実線矢印34方向に移動させて前記ランプハウジング2の2本の前記ガイド凸部24の間に位置させる。すると、図9に示すように、前記ランプレンズ3の前記軸部15の前記当接面17が前記ランプハウジング2の前記フランジ部19と前記側壁部20との角部に弾性当接する。このとき、前記ランプレンズ3の前記軸部15の外面と前記当接面17と境は、図6中の二点鎖線にて示すように、前記ランプレンズ3の前記側壁部7および前記天壁部8に対して傾斜しているので、前記ランプハウジング2の前記フランジ部19と前記側壁部20との角部に線接触の状態すなわち安定した状態で位置していて、前記ランプレンズ3が前記ランプハウジング2に仮止めされている状態にある。
【0041】
前記の仮止めの状態においては、前記ランプレンズ3の前記係合突起9を前記ランプハウジング2の前記係合孔22に係合させて、前記ランプレンズ3の2個の前記軸部15を前記ランプハウジング2に仮止めさせる場合と、前記ランプレンズ3の前記係合突起9を前記ランプハウジング2の前記係合孔22に係合させて、かつ、前記ランプレンズ3の1個の前記軸部15を前記ランプハウジング2の前記軸孔23に挿入させて、前記ランプレンズ3の残りの1個の前記軸部15を前記ランプハウジング2に仮止めさせる場合と、がある。
【0042】
前記の仮止めの状態において、図9に示すように、前記ランプレンズ3の前記軸部15を実線矢印34方向に前記ランプハウジング2の前記軸孔23側に押し込む。すると、図10に示すように、前記ランプレンズ3の前記弾性片12が実線矢印35方向に弾性変形して、かつ、前記ランプレンズ3の前記軸部15の外面が前記ランプハウジング2の2本の前記ガイド凸部24の間の前記側壁部20の内面に弾性当接している状態にある。この状態において、前記ランプレンズ3の前記軸部15が実線矢印34方向に前記ランプハウジング2の前記軸孔23側に前記ランプハウジング2の2本の前記ガイド凸部24によりガイドされながら移動する。
【0043】
前記ランプレンズ3の前記軸部15が前記ランプハウジング2の前記軸孔23に位置した時点で、弾性変形している前記ランプレンズ3の前記弾性片12が実線矢印36方向に弾性復帰する。すると、前記ランプレンズ3の前記軸部15が前記ランプハウジング2の前記軸孔23中に嵌合する。この結果、前記ランプレンズ3は、前記ランプハウジング2に、回転軸O−O回りに回転可能に、かつ、着脱可能に取り付けられることとなる。
【0044】
前記のように、前記ランプハウジング2に前記ランプレンズ3が取り付けられる。そして、この実施例にかかる車両用室内灯具1は、図2〜図5に示すように、車両の室内の天井もしくは壁(図2〜図5中の二点鎖線で示す)37に取り付けられる。
【0045】
(作用の説明)
この実施例にかかる車両用室内灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0046】
まず、図5中の実線矢印に示すように、ランプレンズ3の押圧部11を押す。すると、ランプレンズ3がランプハウジング2に対して回転軸O−O回りに回転する。このランプレンズ3が回転することにより、ランプレンズ3の押圧突起10がプッシュスイッチ5の操作部32をプッシュスイッチ5のスプリングのスプリング力に抗して押す。この操作部32の一度の押し操作により光源4が点灯する。光源4からの光は、ランプレンズ3を透過して車両の室内(図示せず)を照明する。
【0047】
ランプレンズ3の押圧部11の押し操作を解除すると、プッシュスイッチ5の操作部32がスプリングのスプリング力により図5に示す状態から図4に示す元の状態に戻る。このとき、ランプレンズ3も元の状態に戻る。
【0048】
そして、ランプレンズ3の押圧部11を再度押すと、ランプレンズ3がランプハウジング2に対して回転軸O−O回りに回転し、ランプレンズ3の押圧突起10がプッシュスイッチ5の操作部32を再度押す。この操作部32の再度の押し操作により光源4が消灯する。押圧部11の押し操作を解除すると、プッシュスイッチ5の操作部32およびランプレンズ3が元の状態に戻る。
【0049】
(効果の説明)
この実施例にかかる車両用室内灯具1は、以上のごとき構成作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0050】
この実施例における車両用室内灯具1は、弾性片12のランプレンズ3の回転軸O−O方向の弾性により、ランプハウジング2の軸孔23(第1部分25および第2部分26)の内径寸法とランプレンズ3の軸部15の外形寸法との差をできる限り小さくしても、ランプレンズ3の軸部15をランプハウジング2の軸孔23に回転可能に挿入することができるので、ランプレンズ3をランプハウジング2にガタ無く回転可能に取り付けることができる。特に、ランプハウジング2の軸孔23の内径寸法とランプレンズ3の軸部15の外形寸法との差をできる限り小さくすることができるので、ランプレンズ3の回転軸O−Oに対して直交する方向のガタを極力抑制することができる。
【0051】
しかも、この実施例における車両用室内灯具1は、ランプハウジング2に軸孔23を設け、ランプレンズ3に弾性片12を設け、弾性片12に軸部15を設けたものであるから、部品が光源4およびプッシュスイッチ5を含めてランプハウジング2とランプレンズ3とからなるので、部品点数を軽減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0052】
また、この実施例における車両用室内灯具1は、第1肉抜き孔14により、弾性片12の剛性が低下し、その分、弾性が上がるので、ランプレンズ3をランプハウジング2にさらにガタ無く回転可能に取り付けることができる。
【0053】
さらに、この実施例における車両用室内灯具1は、ランプレンズ3の軸部15をランプハウジング2の開口部から軸孔23に位置させる際に、軸部15の当接面17がランプハウジング2の開口部の縁すなわちフランジ部19と側壁部20との角部に弾性当接するので、特に、硬い材質の部材から構成されているランプレンズ3に対して軟らかい材質の部材から構成されているランプハウジング2に、もしくは、ランプハウジング2およびランプレンズ3の双方に、傷付けることがない。この結果、この実施例における車両用室内灯具1は、傷による見栄えの低下を防ぐことができ、かつ、傷によるランプハウジング2の軸孔23とランプレンズ3の軸部15との間のガタを抑えることができ、ランプレンズ3をランプハウジング2にガタ無く回転可能に取り付けることができる。
【0054】
さらにまた、この実施例における車両用室内灯具1は、2本のガイド凸部24により、ランプハウジング2の軸孔23の内径寸法とランプレンズの軸部の外形寸法との差をできる限り小さくしても、ランプレンズ3の軸部15をランプハウジング2の開口部から軸孔23に簡単にかつ確実にかつ正確に位置させることができるので、ランプレンズ3の軸部15をランプハウジング2の軸孔23にガタ無く回転可能に挿入することができ、ランプレンズ3をランプハウジング2にガタ無く回転可能に取り付けることができる。特に、2本のガイド凸部24の間の幅が、フランジ部19において最大幅で、フランジ部19から軸孔23にかけて徐々に狭まれて、軸孔23の第1部分25と第2部分26との境において最小幅となるので、軸部15をランプハウジング2の開口部すなわちフランジ部19から軸孔23に確実にガイドさせて位置させることができる。
【0055】
しかも、この実施例における車両用室内灯具1は、ランプハウジング2のガイド凸部24がランプレンズ3の回転軸O−O方向に突出して設けられているので、ランプハウジング2のガイド凸部24がランプレンズ3にランプレンズ3の回転軸O−O方向に当接し、ランプレンズ3をランプハウジング2にガタ無く回転可能に取り付けることができる。
【0056】
さらにまた、この実施例における車両用室内灯具1は、軸部15の中央部に設けた第2肉抜き孔16により、ランプレンズ3の弾性片12の肉厚と軸部15の肉厚とをほぼ均等にすることができるので、ランプレンズ3の射出成形時において、ランプレンズ3の弾性片12と軸部15とに樹脂をほぼ均等に流すことができる。この結果、この実施例における車両用室内灯具1は、軸部15の表面に変形やひけが発生するのを極力防ぐことができるので、軸部15を断面真円形形状に形成することができ、ランプレンズ3をランプハウジング2にガタ無く回転可能に取り付けることができる。
【0057】
さらにまた、この実施例における車両用室内灯具1は、ランプハウジング2の軸孔23をスライド金型ではなく食切り金型27、28で成形することができるので、深さの長い軸孔23を成形することができる。この結果、この実施例における車両用室内灯具1は、軸孔23の深さを長くした分、ランプレンズ3をランプハウジング2にガタ無く回転可能に取り付けることができる。
【0058】
さらにまた、この実施例における車両用室内灯具1は、ランプレンズ3の側壁部7の下面と第1肉抜き孔14の上面とにローレット18を設けたものであるから、このローレット18により、ランプレンズ3の周縁部の見栄えの統一感が得られる。すなわち、弾性片12に第1肉抜き孔14を設けなかった場合には、弾性片12にはローレット18を設けることができない。ところが、この実施例における車両用室内灯具1は、弾性片12に第1肉抜き孔14を設けたので、弾性片12の第1肉抜き孔14にローレット18を設けることができるものである。なお、弾性片12の両側の溝13にはローレット18を設けることができないが、この溝13の幅は小さいので、見栄えの統一感を損なうことはない。
【0059】
以下、上記の実施例以外の例について説明する。上記の実施例においては、ランプハウジング2の軸孔23とランプレンズ3の弾性片12および軸部15とを2個設けたものである。ところが、この発明においては、ランプハウジング2の軸孔23とランプレンズ3の弾性片12および軸部15とを1個設けたものであっても良い。
【符号の説明】
【0060】
1 車両用ルームランプ
2 ランプハウジング
3 ランプレンズ
4 光源
5 プッシュスイッチ
6 灯室
7 側壁部
8 天壁部
9 係合突起
10 押圧突起
11 押圧部
12 弾性片
13 溝
14 第1肉抜き孔
15 軸部
16 第2肉抜き孔
17 当接面
18 ローレット
19 フランジ部
20 側壁部
21 底壁部
22 係合孔
23 軸孔
24 ガイド凸部
25 第1部分
26 第2部分
27 食切り金型
28 食切り金型
29 キャビティ
30 樹脂
31 ソケット
32 操作部
33 本体部
34 押し込み方向
35 弾性変形方向
36 弾性復帰方向
37 天井もしくは壁
O−O 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプレンズを回転操作してプッシュスイッチを押し操作することにより光源が点灯消灯する車両用室内灯具において、
灯室を区画するランプハウジングおよび前記ランプレンズと、前記灯室内に配置されている前記光源および前記プッシュスイッチと、を備え、
前記ランプレンズには、前記ランプレンズの回転軸方向に弾性を有する弾性片が設けられていて、
前記弾性片には、軸部が設けられていて、
前記ランプハウジングには、前記軸部が前記ランプレンズの回転軸回りに回転可能に挿入されている軸孔が設けられている、
ことを特徴とする車両用室内灯具。
【請求項2】
前記弾性片には、第1肉抜き孔が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用室内灯具。
【請求項3】
前記ランプハウジングは、一方が開口しかつ他方が閉塞した断面凹形状をなし、
前記軸孔は、前記ランプハウジングの開口部の相対向する縁のうち少なくともいずれか一方に設けられていて、
前記ランプレンズは、一方が閉塞しかつ他方が開口した断面凹形状をなし、
前記ランプレンズの閉塞部は、前記ランプハウジングの開口部を閉塞して前記灯室が区画されていて、
前記弾性片は、前記ランプレンズの開口部の相対向する縁のうち少なくともいずれか一方に一体に設けられていて、
前記軸部は、前記弾性片に前記ランプレンズの回転軸方向に外側に突出して一体に設けられていて、
前記軸部には、前記軸部を前記ランプハウジングの開口部から前記軸孔に位置させる際に、前記ランプハウジングの開口部の縁に弾性当接する当接面が設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用室内灯具。
【請求項4】
前記ランプハウジングのうち前記開口部から前記軸孔までの箇所には、前記軸部を前記ランプハウジングの開口部から前記軸孔に位置させる際のガイドするためのガイド凸部が前記ランプレンズの回転軸方向に内側に突出して一体に設けられている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用室内灯具。
【請求項5】
前記軸部の中央部には、第2肉抜き孔が設けられている、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用室内灯具。
【請求項6】
前記軸部は、断面円形形状をなし、
前記軸孔は、断面半円形形状の第1部分と断面半円形形状の第2部分とを合わせて断面円形形状をなす、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用室内灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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