説明

車両用室内灯装置

【課題】 従来の車両用室内灯装置は、バッテリの電圧を抵抗で分圧して発光ダイオードを点灯させているので、すなわち、発光ダイオードへ印加する電圧以外の電圧を抵抗で熱エネルギーに変換しているので、電力を有効に活用していなといった問題があった。
【解決手段】 電源Bの正極とアースとの間に発光ダイオード3と小型電球4およびプッシュスイッチ5との直列回路を接続し、該発光ダイオードと小型電球との接続点と前記電源のアースとの間に抵抗器7を接続し、かつ、該抵抗器の抵抗値をプッシュスイッチを閉じた時に発光ダイオードと小型電球が高輝度で点灯し、また、プッシュスイッチを開放した時に発光ダイオードのみが微弱点灯する値としたことを特徴とする車両用室内灯装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、乗用車等の車両の運転席と助手席との間におけるルーフ部分に取付け、地図を見たりする際の照明灯として好適な車両用室内灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発光ダイオードを用いた車両用室内灯装置は、例えば、12ボルトのバッテリに発光ダイオードと、電流制限抵抗器と、ドアスイッチなどを直列に接続し、発光ダイオードに所定の電流を流すように電流制限用抵抗器の抵抗値を設定している。
【特許文献1】特許第3660267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の車両用室内灯装置は、バッテリから電流制限用抵抗器を介して電流を流し発光ダイオードを点灯させているので、電流制限用抵抗器における電圧降下分は全て電力損失となり照明としての効率は非常に悪かった。また、発光ダイオードは方向性が高く拡散しないので、スポット照明的な要素が強かった。
【0004】
本発明は、上記したような不都合を解消するためになされたもので、電源の電力を有効に利用して車内の広範囲を明るく照明すると共に、発光ダイオードにより方向性を持ったスポット照明としての利用を可能とした車両用室内灯装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の車両用室内灯装置は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、電源の正極とアースとの間に発光ダイオードと小型電球およびプッシュスイッチとの直列回路を接続し、該発光ダイオードと小型電球との接続点と前記電源のアースとの間に抵抗器を接続し、かつ、該抵抗器の抵抗値をプッシュスイッチを閉じた時に発光ダイオードと小型電球が高輝度で点灯し、また、プッシュスイッチを開放した時に発光ダイオードのみが微弱点灯する値としたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の手段は、前記した請求項1において、前記プッシュスイッチは2つの固定接点が設けられおり、該1つの固定接点がアースに、他の固定接点がドアの開閉によってオン・オフするドアスイッチを介してアースに接続されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3の手段は、前記した請求項1において、前記発光ダイオードの両端に発光ダイオード短絡用スイッチを接続したことを特徴とする。
【0008】
請求項4の手段は、前記した請求項1において、前記発光ダイオードと電源との間に非点灯用スイッチが接続されていることを特徴とする。
【0009】
請求項5の手段は、前記した請求項4において、前記スイッチが輝度検出器によって昼間時等の外光が明るい時にオフとなることを特徴とする。
【0010】
請求項6の手段は、前記した請求項1乃至4の何れかにおいて、前記発光ダイオードが白色発光ダイオードであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は前記したように、電源に対して発光ダイオードと小型電球およびプッシュスイッチとの直列回路を接続し、プッシュスイッチをオンすることで発光ダイオードと小型電球が高輝度で点灯するので、従来のような電流制限抵抗器による電力損失が発生せず、電源の電力を有効に利用して車内を明るく照明することができ、しかも、発光ダイオードの照明によってマップランプとしての応用も可能となり、かつ、発光ダイオードを白色発光ダイオードとすることにより、より効果的なマップランプとして使用することができる。
【0012】
また、プッシュスイッチをオフにすると小型電球に電流は流れなくなり、発光ダイオードから抵抗値の大きな抵抗器を介してのみ電流が流れるので、発光ダイオードは微弱点灯状態となり、車内の特定な方向を薄暗く照明する。例えば、主として操作スイッチを照らしていればスイッチの在り場所を探すのに好適な照明となる。
【0013】
また、プッシュスイッチの固定接点にドアの開閉によってオン・オフするドアスイッチを接続することで、ドアスイッチがオフでプッシュスイッチがドア側に切り換えられると発光ダイオードのみが微弱点灯され、また、プッシュスイッチがドア側でドアスイッチがオンの状態にすると、発光ダイオードと小型電球は高輝度点灯 されるので、従来のようなドアを開放した時のように車内を照明することができ、さらに、プッシュスイッチをアース側に接続することで発光ダイオードと小型電球は高輝度点灯されるのでマップランプや室内照明として利用することができる。
【0014】
さらに、発光ダイオードと並列に短絡用スイッチを接続することで、該スイッチをオンにすると小型電球のみが点灯されるので、小型電球は高輝度で点灯されて従来の小型電球の照明と同じ輝度で室内を照明することができる。
【0015】
また、電源の正極と発光ダイオードとの間に非点灯用スイッチを設けることで、車内を照明する必要がない場合、例えば、晴天の日中などのような場合は、非点灯用スイッチをオフ状態にすることにより、電源の消費を抑制することができ、かつ、該非点灯用スイッチの操作を所定値以上の輝度でスイッチをオフ状態にする輝度検出器によって行うことで、車内または車両の周囲の明るさに応じて車両用室内灯装置を機能させる状態にしたり、車両用室内灯装置を機能させない状態にすることができる等の効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、電源の正極とアースとの間に発光ダイオードと小型電球およびプッシュスイッチとの直列回路を接続し、該発光ダイオードと小型電球との接続点と前記電源のアースとの間に抵抗器を接続した。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明に係る車両用室内灯装置の第1の実施例を図1と共に説明する。なお、この第1実施例を含めた各実施例の車両用室内灯装置は、運転席用と助手席用との2つの回路が電源に対して並列に接続され、または、運転席用、助手席用および後部左右座席用の4つの回路が電源に対して並列に接続されている。
【0018】
図1において、車両用室内灯装置は、電源B、例えば12ボルトのバッテリの正極にアノードが接続される白色発光ダイオード3と、この白色発光ダイオード3のカソードに一方の端子が接続される小形電球4と、この小形電球4とアースとの間に接続されたプッシュスイッチと、白色発光ダイオード3と小形電球4との接続点に一端が接続され、他端がアースに接続される抵抗器7とで構成されている。
【0019】
前記抵抗7はプッシュスイッチ5がオフの時には白色発光ダイオード3を微弱点灯させ、プッシュスイッチ5がオンの時には白色発光ダイオード3と小形電球4を高輝度で点灯させることが可能な抵抗値に設定されている。具体的な一例としては小形電球4が約50オームで、抵抗器7が約5キロオームであり、小型電球4の抵抗値に対して抵抗器7の抵抗値は約100倍と抵抗差が大きい。すなわち、抵抗器7の抵抗値をプッシュスイッチ5を閉じた時に発光ダイオード3と小型電球4が高輝度で点灯し、また、プッシュスイッチ5を開放した時に発光ダイオード3のみが微弱点灯する値とした。
【0020】
従って、プッシュスイッチ5が閉じられると電源Bよりの電流は白色発光ダイオード3から小型電球4と、白色発光ダイオード3から抵抗器7とに流れるが、抵抗器7の抵抗値は前記したように小型電球4の抵抗値に対して非常に大きいので、電源Bよりの電流は白色発光ダイオード3から小型電球4を介してアースに流れて白色発光ダイオード3と小形電球4は高輝度で点灯されることになる。
【0021】
一方、プッシュスイッチ5が開放されると電源Bよりの電流は白色発光ダイオード3を介して抵抗器7を介してアースへと流れるが、抵抗器7の抵抗値が大きいので、白色発光ダイオード3には余り電流が流れず微弱点灯状態となる。従って、夜間等の車内が暗い場合には運転に邪魔にならない程度の輝度となって車内の特定な方向を薄暗く照明する。例えば、主として操作スイッチを照らしていればスイッチの在り場所を探すのに好適な照明となる。
【0022】
次に、他の実施例を図2と共に説明するに、この実施例では前記したプッシュスイッチ5を可動接点5cに対して2つの固定接点5oと5dを有するスイッチとし、該固定接点5oをアースに接続し、5dをドアが開放されるとオンとなり、閉じられるとオフとなる一端がアースに接続されたドアスイッチ6に接続した点で前記した第1の実施例と異なるものである。
【0023】
そして、プッシュスイッチ5の可動接点5cを固定接点5d側に切り換え、ドアスイッチ6がオン状態(ドアが開いている状態)であると、電源Bから白色発光ダイオード3、小形電球4、プッシュスイッチ5を介してドアスイッチ6へと殆どの電流が流れるので、白色発光ダイオード3および小形電球4は高輝度で点灯する。
【0024】
なお、ドアが閉じられドアスイッチ6がオフの場合には、前記した第1の実施例で説明したプッシュスイッチ5のオン・オフ動作と同じ動作であるので、動作説明は省略するが、この動作を表にして示すと、表1のようになる。従って、車内灯として車内全体が明るくなる。
【0025】
【表1】

【0026】
上述したように、本発明の第1、第2の実施例によれば、白色発光ダイオード3に、小形電球4と抵抗器7とを並列に接続したものを直列に接続し、白色発光ダイオード3を点灯させるときに小形電球4をも点灯させるので、電源Bの電力を有効に利用して車内の広範囲を明るく照明することができる。
【0027】
さらに、発光ダイオードを白色発光ダイオード3としたので、車内の所定位置を白色でスポット的に照明することができることにより、マップランプなどとして使用することができる。
【0028】
図3は第3の実施例を示し前記した第2の実施例の変形例である。
この実施例は第2の実施例における白色発光ダイオード3に並列に短絡用スイッチ8を接続した点で異なるものである。そして、短絡用スイッチ8をオンすることで白色発光ダイオード3の点灯が行われなくなる。すなわち、白色発光ダイオード3はプッシュスイッチ5およびドアスイッチ6が如何なる状態であっても点灯せず、小型電球4のみの点灯・消灯のみとなり、従来の小型電球4を採用した室内灯の照明と同じ照明が得られる。
【0029】
次に、図4は第3の実施例を示し第2の実施例の変形例である。
図において、1は車内の明るさを検出する輝度検出器にして、車内の暗さが一定値以上になると出力を送出し、電源Bと白色発光ダイオード3との間に接続されている非点灯用スイッチ2をオン状態とするものである。
【0030】
そして、昼間等の車内が明るい場合には、輝度検出器1よりの出力が送出されないので、非点灯用スイッチ2はオフ状態となっている。従って、この状態においてドアスイッチ6がオン状態であり、かつ、プッシュスイッチ5の可動接点5cがどの位置にあっても、白色発光ダイオード3も小型電球4も点灯することはないので不要な照明が行われず、電源Bの浪費を防止することができる。なお、前記した説明では、非点灯用スイッチ2を輝度検出器1の出力で制御したが、この非点灯用スイッチ2は手動によって行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の第1実施例である車両用室内灯装置の構成を示す回路図である。
【図2】この発明の第2実施例である車両用室内灯装置の構成を示す回路図である。
【図3】この発明の第3実施例である車両用室内灯装置の構成を示す回路図である。
【図4】この発明の第4実施例である車両用室内灯装置の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0032】
B 電源
1 輝度検出器
2 非点灯用スイッチ
3 白色発光ダイオード
4 小形電球
5 プッシュスイッチ
6 ドアスイッチ
7 抵抗器
8 短絡用スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源の正極とアースとの間に発光ダイオードと小型電球およびプッシュスイッチとの直列回路を接続し、該発光ダイオードと小型電球との接続点と前記電源のアースとの間に抵抗器を接続し、かつ、該抵抗器の抵抗値をプッシュスイッチを閉じた時に発光ダイオードと小型電球が高輝度で点灯し、また、プッシュスイッチを開放した時に発光ダイオードのみが微弱点灯する値としたことを特徴とする車両用室内灯装置。
【請求項2】
前記プッシュスイッチは2つの固定接点が設けられおり、該1つの固定接点がアースに、他の固定接点がドアの開閉によってオン・オフするドアスイッチを介してアースに接続されていることを特徴とする請求項1記載の車両用室内灯装置。
【請求項3】
前記発光ダイオードの両端に発光ダイオード短絡用スイッチを接続したことを特徴とする請求項1記載の車両用室内灯装置。
【請求項4】
前記発光ダイオードと電源との間に非点灯用スイッチが接続されていることを特徴とする請求項1記載の車両用室内灯装置。
【請求項5】
前記非点灯用スイッチが輝度検出器によって昼間時等の外光が明るい時にオフとなることを特徴とする請求項4記載の車両用室内灯装置。
【請求項6】
前記発光ダイオードが白色発光ダイオードであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車両用室内灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−230507(P2008−230507A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75307(P2007−75307)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(390026871)株式会社テーアンテー (8)
【Fターム(参考)】