説明

車両用導電路

【課題】製造が容易であり、かつ、機器へ接続が容易な車両用導電路を提供する。
【解決手段】複数の電源ケーブル2と、少なくとも1本の制御用ケーブル3とを、可とう性を有する樹脂製のチューブ4に収容した車両用導電路において、制御用ケーブル3を金属製のパイプ5に収容すると共に、制御用ケーブル3を収容した金属製のパイプ5を所望の形状に成形することで、制御用ケーブル3を所望の形状に保持し、かつ、複数の電源ケーブル2を編組シールド6で一括包囲し、編組シールド6で一括包囲した複数の電源ケーブル2を、成形した金属製のパイプ5に沿わせて配置し、その周囲を樹脂製のチューブ4で覆うようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車、電気自動車などに用いられる車両用導電路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車、電気自動車などに用いられる従来の車両用導電路として、特許文献1,2がある。
【0003】
特許文献1では、金属製のパイプに複数本の電線を一括して収容した車両用導電路が提案されている。車両用導電路においては、車載される機器や制御用ケーブル等(以下、車載される機器等とする。)へのノイズの影響を考え、シールド手段を有していることはもちろん、その他に、例えば車両のボディー下面などにおいて配線形状を所望の形状(レイアウト)に保持したいという要求がある。特許文献1によれば、複数本の電線をシールド手段としての金属製のパイプに収容することによって、車載される機器等へのノイズを抑制することができるとともに、金属製のパイプを所望の形状に成形することで、複数本の電線を所望の形状に保持することが可能である。
【0004】
また、特許文献2では、内側金属パイプに制御用ケーブルと補助電源ケーブルとを収容すると共に、その制御用ケーブルと補助電源ケーブルが収容された内側金属パイプと、主電源ケーブルとを外側金属パイプに収容した車両用導電路が提案されている。特許文献2によれば、特許文献1と同様に配線形状を所望の形状(レイアウト)に保持できると共に、内側金属パイプが制御用ケーブルのシールドの役目を果たすので、大電流が流れる主電源ケーブルにて発生するノイズが制御用ケーブルを伝搬する電気信号に影響を及ぼしてしまうことを抑制できる。また外側金属パイプもシールドの役目を果たすので、大電流が流れる主電源ケーブルにて発生するノイズによる車載される機器等への影響を抑制することができる。
【0005】
車両用導電路は、例えば、ハイブリッド車、電気自動車などにおいて、モータとインバータとの間、又はインバータとバッテリとの間を接続するものである。そのため、これらの間を接続する車両用導電路1の電源ケーブル内には高電圧の電流が流れることとなる。このように高電圧の電流が流れる導電路には所定の色(高電圧部であることを示す橙色)の着色をすることが国際規格により統一されている。
【0006】
特許文献1,2では、最外層に位置する部材が金属製のパイプであるため、この金属製のパイプを所定の色に塗装することになる。しかし、この塗装には、耐熱性、成形時に剥がれない機械的な強度(密着性)が要求され、また、これらの信頼性を考慮して塗装むらなどがない良好な塗装であることが必要であることから、作業に非常に手間がかかり、コストも高くなってしまうという問題が生じる。
【0007】
このような塗装の手間を省くため、本発明者らは、予め着色した樹脂製のコルゲートチューブに、電源ケーブルと制御用ケーブルを収容することを考えた。コルゲートチューブとは、蛇腹のついた中空のチューブであり、スリットチューブ、可とう電線管などとも呼ばれる。
【0008】
しかし、電源ケーブルや制御用ケーブルをコルゲートチューブに収容した場合、コルゲートチューブが可とう性を有するため、電源ケーブルと制御用ケーブルの配線形状を所望の形状に保持することができないという問題が発生する。
【0009】
このような問題を解決し、電源ケーブルと制御用ケーブルの配線形状を所望の形状に保持することが可能な技術として、例えば、コルゲートチューブ内に剛性を高くした制御用ケーブルを収容し、その制御用ケーブルを所望の形状に成形し、その制御用ケーブルに電源ケーブルを沿わせることで車両用導電路を所望の形状に保持することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−171952号公報
【特許文献2】特開2007−87628号公報
【特許文献3】特開2009−123635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、車両用導電路では、車載される機器(以下、機器とする。)に接続する部分がリジッドな構造であると、車両の振動により車両用導電路と機器との接続部分に応力がかかってしまい、断線などの原因となり好ましくない。そのため、車両用導電路の機器に接続する部分はフレキシブルな構造にする必要がある。
【0012】
しかしながら、上記のようにコルゲートチューブ内に剛性が高い制御用ケーブルを収容している場合、機器に接続する部分では、可とう性を有するケーブルに繋ぎなおし、その可とう性を有するケーブルを介して機器に接続しなければならず、非常に煩わしいという問題があった。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、製造が容易であり、かつ、機器への接続が容易な車両用導電路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、複数の電源ケーブルと、少なくとも1本の制御用ケーブルとを、可とう性を有する樹脂製のチューブに収容した車両用導電路において、前記制御用ケーブルを金属製のパイプに収容すると共に、該制御用ケーブルを収容した前記金属製のパイプを所望の形状に成形することで、前記制御用ケーブルを所望の形状に保持し、かつ、前記複数の電源ケーブルを編組シールドで一括包囲し、該編組シールドで一括包囲した複数の電源ケーブルを、成形した前記金属製のパイプに沿わせて配置し、その周囲を前記樹脂製のチューブで覆うようにした車両用導電路である。
【0015】
前記金属製のパイプの端部に、可とう性を有するシールド線の一端を電気的に接続すると共に、該シールド線で前記金属製のパイプの端部より延出された前記制御用ケーブルの周囲を覆うようにし、かつ、前記樹脂製のチューブの端部から延出した前記シールド線の他端部を、前記制御用ケーブルが接続される機器のシールドケースに電気的に接続するようにしてもよい。
【0016】
前記樹脂製のチューブの端部から延出した前記編組シールドを、前記複数の電源ケールが接続される機器のシールドケースに電気的に接続するようにしてもよい。
【0017】
前記樹脂製のチューブの端部にて、前記編組シールドで一括包囲した複数の電源ケーブルと前記制御用ケーブルとが分岐する分岐部には、該分岐部を保護するための保護部材が設けられてもよい。
【0018】
前記分岐部にて分岐し、前記保護部材から延出する前記制御用ケーブル、および前記編組シールドで一括包囲した複数の電源ケーブルは、可とう性を有する樹脂製の端末用チューブにそれぞれ収容されてもよい。
【0019】
前記樹脂製のチューブが、コルゲートチューブからなるとよい。
【0020】
また、本発明は、複数の電源ケーブルと、該複数の電源ケーブルを一括包囲し、シールドするための編組シールドと、少なくとも1本の制御用ケーブルと、該制御用ケーブルが収容される所望の形状に成形可能な金属製のパイプと、可とう性を有する樹脂製のチューブとからなり、前記編組シールドで一括包囲した前記複数の電源ケーブルを前記金属製のパイプに沿わせて配置し、その周囲を前記樹脂製のチューブで覆うようにした車両用導電路である。
【0021】
前記編組シールドで一括包囲した前記複数の電源ケーブルを前記金属製のパイプに沿わせて配置する前に、前記金属製パイプを所望の形状に成形してもよい。
【0022】
前記編組シールドで一括包囲した前記複数の電源ケーブルと、前記金属製のパイプとを、テープ材で巻いて一体化してもよい。
【0023】
前記編組シールドで一括包囲した前記複数の電源ケーブルを、前記金属製のパイプの外周に沿わせるように断面視で略C字状に配置し、その周囲を断面円形状の前記樹脂製のチューブで覆うようにしてもよい。
【0024】
前記複数の電源ケーブルを束ね、その束ねた前記複数の電源ケーブルを前記編組シールドで一括包囲するようにし、前記編組シールドで一括包囲した前記複数の電源ケーブルを、前記金属製のパイプの一側に沿わせるように配置し、その周囲を断面楕円形状の前記樹脂製のチューブで覆うようにしてもよい。
前記金属製のパイプと前記編組シールドとの間には、絶縁層が設けられていることが好ましい。
前記絶縁層は、前記金属製のパイプの外周と前記編組シールド層の外周のうち少なくとも一方に被覆されていてもよい。
前記絶縁層は、メッシュ状に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、製造が容易であり、かつ、機器への接続が容易な車両用導電路を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る車両用導電路1を示す図であり、(a)は外観を示す平面図、(b)はその1B−1B線断面図である。
【図2】図1の車両用導電路1の製造方法を説明する図であり、(a)は金属製のパイプに制御用ケーブルを収容したときの平面図、(b)はその2B−2B線断面図である。
【図3】図1の車両用導電路1の製造方法を説明する図であり、金属製のパイプを所望の形状に成形したときの平面図である。
【図4】図1の車両用導電路1の製造方法を説明する図であり、(a)は電源ケーブルバンドルを示す平面図、(b)はその4B−4B線断面図である。
【図5】図1の車両用導電路1の製造方法を説明する図であり、(a)は成形した金属製のパイプに電源ケーブルバンドルを沿わせ、テープ材で固定したときの平面図、(b)はその5B−5B線断面図である。
【図6】図1の車両用導電路1の製造方法を説明する図であり、金属製のパイプの端部にシールド線を設けたときの平面図である。
【図7】図1の車両用導電路1の製造方法を説明する図であり、金属製のパイプと電源ケーブルバンドル7をコルゲートチューブで覆ったときの平面図である。
【図8】図1の車両用導電路1の製造方法を説明する図であり、分岐部に保護部材を設けたときの平面図である。
【図9】本発明の第二の実施の形態に係る車両用導電路91の断面図である。
【図10】本発明の第二の実施の形態の変形例に係る車両用導電路101の断面図である。
【図11】本発明の第三の実施の形態に係る車両用導電路111の断面図である。
【図12】本発明の第三の実施の形態の変形例に係る車両用導電路121の断面図である。
【図13】本発明の第三の実施の形態の変形例に係る車両用導電路131を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0028】
図1(a)は、本実施の形態に係る車両用導電路の外観を示す平面図であり、図1(b)はその1B−1B線断面図である。
【0029】
本発明の好適な第一の実施の形態に係る車両用導電路1は、複数の電源ケーブル2と、複数の電源ケーブル2を一括包囲し、シールドするための編組シールド6と、少なくとも1本の制御用ケーブル3と、制御用ケーブル3が収容される所望の形状に成形可能な金属製のパイプ5と、可とう性を有する樹脂製のチューブとしてのコルゲートチューブ4とからなり、編組シールド6で一括包囲した複数の電源ケーブル2を金属製のパイプ5に沿わせて配置し、その周囲をコルゲートチューブ4で覆うようにしたことを特徴とする車両用導電路1である。
【0030】
図1(a)、(b)に示すように、車両用導電路1は、編組シールド6で一括包囲した複数の電源ケーブル2と、少なくとも1本の制御用ケーブル3とを、コルゲートチューブ4に収容してなる。
【0031】
本実施の形態では、三相交流を想定した3本の電源ケーブル2と、1本の制御用ケーブル3の合計4本のケーブルを用いる場合を説明する。電源ケーブル2は、中心導体2aの外周に絶縁体2bを被覆したものであり、本実施の形態においては、外径が7.0mmのものを用いた。制御用ケーブル3は、中心導体3aの外周に絶縁体3bを被覆したものであり、本実施の形態においては、外径が7.0mmのものを用いた。制御用ケーブル3は、例えば、CAN(Controller Area Network)などに用いられるものである。
【0032】
コルゲートチューブ4は、予め所定の色(高電圧部であることを示す橙色)に着色される。コルゲートチューブ4に用いる樹脂は、特に限定するものではないが、耐熱性、難燃性の良好な樹脂を用いることが望ましい。また、コルゲートチューブ4に用いる樹脂は、編組シールド6で一括包囲した複数の電源ケーブル2と金属製のパイプ5を外的な干渉物(例えば、飛び石等。)から保護できる程度の強度を有することが望ましい。なお、本実施の形態では、可とう性を有する樹脂製のチューブとして、コルゲートチューブ4を用いた。コルゲートチューブ4は、放熱性が良いという利点からも車両用導電路1に用いるのに望ましい。本実施の形態においては、コルゲートチューブ4は、内径が25.0mm、最大外径が30.0mmのものを用いた。なお、樹脂製のチューブとしては、コルゲートチューブに限らず、可とう性のある樹脂製またはゴム製のチューブであればどのようなものを用いてもよい。
【0033】
さて、車両用導電路1では、制御用ケーブル3を金属製のパイプ5に収容すると共に、制御用ケーブル3を収容した金属製のパイプ5を所望の形状に成形することで、制御用ケーブル3を所望の形状に保持し、かつ、複数の電源ケーブル2を編組シールド6で一括包囲し、編組シールド6で一括包囲した複数の電源ケーブル2を、成形した金属製のパイプ5に沿わせて配置し、その周囲をコルゲートチューブ4で覆うようにしている。
【0034】
金属製のパイプ5としては、軽量かつ低コストなアルミニウムを用いるとよい。金属製のパイプ5の厚さは、強度を保つため1mm以上とすることが望ましい。これ以下の厚さにすると強度が保てずに車両用導電路1自体の自重による撓みなどが生じる可能性があるためである。この金属製のパイプ5は、配線形状を所望の形状に保持する役割と、制御用ケーブル3のシールドの役割を兼ねている。本実施の形態において、金属製のパイプ5は、内径が9.0mm、外径が12.0mm、厚さが1.5mmのものを用いた。
【0035】
編組シールド6は、例えば、銅やアルミニウムからなる金属素線を編み込んで形成されたものである。軽量化の観点からは、編組シールド6として、アルミニウムからなる金属素線を編み込んで形成されたものを用いることが望ましい。編組シールド6は、電源ケーブル2で発生するノイズ(電磁波)が外部に放射され、車載される機器等へ影響を及ぼすことを抑制するシールドの役割を果たす。本実施の形態において、編組シールド6の厚さを1.0mmとした。以下、複数の電源ケーブル2を編組シールド6で一括包囲したものを、電源ケーブルバンドル7と呼称する。
【0036】
電源ケーブルバンドル7は、成形した金属製のパイプ5に沿わせて配置され、かつ、金属製のパイプ5と電源ケーブルバンドル7とは、その長手方向の所定間隔離れた位置にてテープ材8を用いて結束して固定される。テープ材8としては、粘着性を有するテープを用いたものであっても、そうでないテープを用いたものであってもよく、またプラスチックバンドのようなものであっても良い。本実施の形態において、テープ材8は厚さ0.5mmのものを用いた。金属製のパイプ5に沿わせた電源ケーブルバンドル7は、金属製のパイプ5の外周に沿って、断面視で略C字状(図1(b)参照)に配置される。
【0037】
コルゲートチューブ4は、金属製のパイプ5全体を覆う程度の長さ(金属製のパイプ5よりも若干短い長さ)に形成される。コルゲートチューブ4の端部では、コルゲートチューブ4から延出された制御用ケーブル3と電源ケーブルバンドル7とが分岐する。この分岐部には、当該分岐部を保護するためのゴムなどからなる保護部材10が設けられる。
【0038】
また、金属製のパイプ5の端部には、可とう性を有するシールド線9の一端が電気的に接続され、そのシールド線9で金属製のパイプ5の端部より延出された制御用ケーブル3の周囲を覆うようにされる(図6参照)。シールド線9は、例えば編組シールドからなり、その他端部は、制御用ケーブル3が接続される図示しない機器のシールドケースに電気的に接続される。つまり、シールド線9は、金属製のパイプ5を機器のシールドケースに電気的に接続する役割と、金属製のパイプ5から延出された制御用ケーブル3のシールドの役割を兼ねている。
【0039】
保護部材10から機器側に延出された制御用ケーブル3およびシールド線9は、端末用コルゲートチューブ11内に収容される。制御用ケーブル3の端部には、機器に接続するための接続端子16が設けられる。
【0040】
他方、コルゲートチューブ4の端部から延出された編組シールド6は、複数の電源ケーブル2が接続される図示しない機器のシールドケースに電気的に接続される。保護部材10から機器側に延出された電源ケーブルバンドル7は、端末用コルゲートチューブ12内に収容される。電源ケーブル2の端部には、機器に接続するためのコネクタ13や、接続端子14が設けられる。なお、図1(a)では、コネクタ13の一部を破断面で表している。
【0041】
次に、車両用導電路1の製造方法を説明する。
【0042】
車両用導電路1を製造する際は、まず、図2(a),(b)に示すように、金属製のパイプ5に制御用ケーブル3を通し、図3に示すように、制御用ケーブル3を通した金属製のパイプ5を機械曲げ加工(ベンダー曲げ加工)により所望の形状に成形する。
【0043】
その後、図4(a),(b)に示すように、複数の電源ケーブル2を編組シールド6で一括包囲して電源ケーブルバンドル7を形成し、図5(a),(b)に示すように、電源ケーブルバンドル7を、成形した金属製のパイプ5に沿わせ、金属製のパイプ5と電源ケーブルバンドル7とを、長手方向に所定間隔の位置にてテープ材8で結束して固定する。
【0044】
金属製のパイプ5と電源ケーブルバンドル7とを固定した後、図6に示すように、金属製のパイプ5の端部にシールド線9を電気的に接続し、そのシールド線9で金属製のパイプ5の端部より延出された制御用ケーブル3の周囲を覆う。シールド線9は、金属バンド15を用いて金属製のパイプ5に取り付けられる。
【0045】
金属製のパイプ5にシールド線9を取り付けた後、図7に示すように、制御用ケーブル3を収容した金属製のパイプ5、および電源ケーブルバンドル7を、コルゲートチューブ4で覆い、図8に示すように、電源ケーブルバンドル7と制御用ケーブル3とが分岐する分岐部に保護部材10を設ける。保護部材10は、コルゲートチューブ4との間に隙間が生じないように設けられる。
【0046】
その後、保護部材10から機器側に延出する制御用ケーブル3とシールド線9、および電源ケーブルバンドル7を端末用コルゲートチューブ11,12にそれぞれ収容し、制御用ケーブル3の端部に接続端子16、電源ケーブル2の端部にコネクタ13や接続端子14をそれぞれ設けると、図1の車両用導電路1が得られる。
【0047】
本実施の形態の作用を説明する。
【0048】
本実施の形態に係る車両用導電路1では、制御用ケーブル3を金属製のパイプ5に収容すると共に、制御用ケーブル3を収容した金属製のパイプ5を所望の形状に成形することで、制御用ケーブル3を所望の形状に保持し、かつ、複数の電源ケーブル2を編組シールド6で一括包囲した電源ケーブルバンドル7を、成形した金属製のパイプ5に沿わせて配置し、その周囲をコルゲートチューブ4で覆うようにしている。
【0049】
制御用ケーブル3を収容した金属製のパイプ5を所望の形状に成形することで、車両用導電路1全体の配線形状を所望の形状(レイアウト)に保持することが可能である。その上で、制御用ケーブル3を収容した金属製のパイプ5と電源ケーブルバンドル7とを予め着色したコルゲートチューブ4に収容することにより、従来のような塗装の工程を省略することが可能となる。これにより製造の容易な車両用導電路1を実現でき、結果的にコストも削減できる。また、本実施の形態では、金属製のパイプ5には塗装を施さないので、金属製のパイプに塗装を施す従来技術と比較してリサイクルし易い。
【0050】
さらに、車両用導電路1では、複数の電源ケーブル2を編組シールド6で一括包囲しているため、電源ケーブル2にて発生するノイズ(電磁波)の放射を編組シールド6にて抑制することができ、かつ、制御用ケーブル3を金属製のパイプ5に収容しているため、結果的に制御用ケーブル3を二重にシールドしていることになり、電源ケーブル2にて発生するノイズが制御用ケーブル3を伝搬する電気信号に影響を及ぼしてしまうことを更に抑制する。このため、電源ケーブル2や制御用ケーブル3として、シールド用の外部導体のない安価なケーブルを用いることが可能になり、コスト低減につながる。
【0051】
また、車両用導電路1では、複数の電源ケーブル2のみを編組シールド6で一括包囲し、編組シールド6で一括包囲した複数の電源ケーブル2を制御用ケーブル3を収容した金属製のパイプ5に沿わせているため、電源ケーブル2と制御用ケーブル3とを容易に分岐できる。さらに、例えば特許文献2では、電源ケーブルと制御用ケーブルとを分岐した後、分岐した電源ケーブルに、外部へのノイズ放射を抑制するためのシールドを別途設ける必要が生じるが、車両用導電路1では、分岐した電源ケーブル2は編組シールド6で覆われているため、分岐部分に別途シールドなどを設ける必要がなく、電源ケーブル2の機器への接続が容易となる。
【0052】
また、車両用導電路1では、金属製のパイプ5から延出した制御用ケーブル3をそのまま機器に接続することが可能であり、制御用ケーブル3の機器への接続が容易である。なお、本実施の形態では、金属製のパイプ5の端部にシールド線9を設ける場合を説明したが、金属製のパイプ5を接続対象の機器の近傍まで延長し、制御用ケーブル3の露出距離を短くすることで、シールド線9を省略することも可能である。なお、シールド線9を省略する場合、別途用意した電線などを用いて金属製のパイプ5をグランド接続すればよい。
【0053】
さらに、車両用導電路1では、制御用ケーブル3を収容した金属製のパイプ5に編組シールド6で一括包囲した電源ケーブル2を沿わせる(略C字状に沿わせる)という構成であるため、例えば特許文献2のように、電源ケーブル2の周囲をさらに金属製のパイプで覆う構成と比較して省サイズ化が可能である。
【0054】
なお、金属製のパイプ5と電源ケーブル2とを一括して編組シールド6で覆う構成も考えられるが、この場合、上述のように電源ケーブル2と制御用ケーブル3を分岐しにくくなる。さらに、電源ケーブル2と金属製のパイプ5との関係が比較的自由であるため、振動により電源ケーブル2と金属製のパイプ5とが互いに接触することによる電源ケーブル2の摩耗・断線などの不具合が発生するおそれがある。車両用導電路1では、電源ケーブル2が編組シールド6で一括包囲され、かつ、テープ材8により金属製のパイプ5にしっかりと固定されているので、振動による摩耗・断線などの不具合が発生するおそれはない。
【0055】
また、車両用導電路1では、金属製のパイプ5の径を小さくできるので、小さい曲げ半径で曲げても、従来の全体を太い金属製のパイプで包囲したものと比較して、金属製のパイプ5が座屈しにくい。よって、金属製のパイプ5の厚さを薄くすることも可能となり、金属製のパイプ5に用いる材料の無駄を少なくできる。
【0056】
さらにまた、車両用導電路1では、全体を金属製のパイプで包囲するという構成をとっていないため、軽量化が可能である。一例として、3本の電源ケーブルと1本の制御用ケーブル(シールド有)とを金属製のパイプで包囲した従来の車両用導電路(従来技術)と、本発明の車両用導電路1(本発明)の単位長さ当りの重量を比較した結果を表1〜3に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
【表3】

【0060】
表1は金属製のパイプ5として内径Φ9.0mm、厚さ1.2mmのアルミパイプを用いた場合、表2は金属製のパイプ5として内径Φ9.0mm、厚さ1.5mmのアルミパイプを用いた場合、表3は金属製のパイプ5として内径Φ9.0mm、厚さ1.8mmのアルミパイプを用いた場合を各々示す。
【0061】
表1〜3に示すように、従来技術では、車両用導電路1の単位長さ(1m)当りの重量は、935gであるのに対し、本発明の実施例では、865〜925gとなり、軽量化が可能である。軽量化の観点からは、金属製のパイプ5を薄くすることが望ましいが、金属製のパイプ5を薄くしすぎると機械的強度が低下して自重による撓みなどが生じる可能性もあり、長い車両用導電路1の場合はそれだけ自重を支えるための強度が必要となることから、金属製のパイプ5の厚さは車両用導電路1の長さを考慮して選定すべきである。選定例としては、形状固定される車両用導電路1の長さ(つまり金属製のパイプ5の長さ)が1.5m以下と短い場合は金属製のパイプ5の厚さを1.2mm以下、形状固定される車両用導電路1の長さが1.5〜2.5mである場合は金属製のパイプ5の厚さを1.5mm、形状固定される車両用導電路1の長さが2.5mを超える場合には金属製のパイプ5の厚さを1.8mm以上とする等の構成が考えられる。なお、表1〜3では、編組シールド6の重量を、外径0.18mmの銅素線を用いた場合を想定して135g/mと見積もったが、素線サイズを縮小(例えば0.12mm)するか、またはアルミ製の素線を用いる等の対策により、さらに軽量化できる可能性がある。
【0062】
次に、本発明の好適な第二の実施の形態を説明する。
【0063】
図9に示す車両用導電路91は、基本的に図1の車両用導電路1と同様の構成であるが、電源ケーブル2の配置形状(電源ケーブルバンドル7の形状)が異なる。
【0064】
図1の車両用導電路1では、3本の電源ケーブル2を金属製のパイプ5の外周に沿って断面視で略C字状に配置したが、図9の車両用導電路91では、3本の電源ケーブル2を断面視で略三角形状に束ねて電源ケーブルバンドル7を形成し、その電源ケーブルバンドル7を金属製のパイプ5の一側に沿わせて配置するようにしている。図9における左右方向を車両用導電路91の幅方向、上下方向を車両用導電路91の高さ方向とすると、車両用導電路91では、電源ケーブルバンドル7は、金属製のパイプ5の幅方向の側面に沿わせて配置されている。
【0065】
車両用導電路においては、その設置スペース上の制約から、高さ方向または幅方向のいずれかの長さ一方をより小さくしたい場合があるが、図9の車両用導電路91によれば、幅方向に対して高さ方向の長さをより小さくでき、断面が円形状の図1の車両用導電路1と比較して、高さをより小さくすることができる。例えば、図1の車両用導電路1では、最大高さが30mmとなるのに対して、図9の車両用導電路91では、最大高さが約25mmと小さくできる。以下に詳細を述べる。
【0066】
図1に示す車両用導電路1において、電源ケーブルバンドル7と金属製のパイプ5をテープ材8で結束したもの(結束ハーネス17)の外径は、上記のそれぞれのサイズにより22.0mmであった。結束ハーネス17は、上述したように、内径25.0mm、最大外径30.0mmのコルゲートチューブ4に収容されるため、車両用導電路1自体の最大外径(最大高さ)も30.0mmとなる。結束ハーネス17の外径が22.0mmであるのに対し、コルゲートチューブ4の内径は3.0mm程余裕が持たされている。これは、所望の形状に保持された結束ハーネス17がコルゲートチューブ4内に収容される際に、この程度の余裕がなければ、収容するのが容易でなくなり、更には収容することができなくなる可能性があるためである。
【0067】
図9の車両用導電路91においては、電源ケーブルバンドル7の図9における上下方向の高さは16.0mmであった。電源ケーブルバンドル7と金属製のパイプ5を厚さ0.5mmのテープ材8により結束した結束ハーネス17の図9における上下方向の高さは17.0mmであった。この結束ハーネス17を、上記した理由により、内径に3.0mm程の余裕を持たせたコルゲートチューブ94に収容した場合、車両用導電路91の最大高さは約25.0mmとなる。なお、コルゲートチューブ4、コルゲートチューブ94及び後述するコルゲートチューブ104の内径と最大外径の差は全て5.0mmとした。
【0068】
なお、電源ケーブルバンドル7を金属製のパイプ5の高さ方向の側面に沿わせて配置すれば、高さ方向に対して幅方向の長さをより小さくした車両用導電路を実現できる。
【0069】
図10に示す第二の実施の形態の変形例に係る車両用導電路101は、図9の車両用導電路91において、電源ケーブル2の断面形状を扇形に形成すると共に、その断面形状が扇形の電源ケーブル2を撚り合わせ、その撚り合わせた電源ケーブル2の外周に編組シールド6を設けて電源ケーブルバンドル7としたものである。
【0070】
車両用導電路101によれば、電源ケーブルバンドル7の外径を、図9の車両用導電路91と比較してさらに小さくできるため、より小型な車両用導電路を実現できる。断面形状が扇形の電源ケーブル2を用いたときの電源ケーブルバンドル7の図10における上下方向の高さは14.5mmであり、結束ハーネス17の図10における上下方向の高さは15.5mmであった。この結束ハーネス17を、内径に3.0mm程の余裕を持たせ、内径と最大外径の差が5.0mmであるコルゲートチューブ104に収容した場合、車両用導電路101の最大高さは約23.5mmとなる。
【0071】
このように、車両用導電路91,101によれば、車種に応じて様々なレイアウトに対応することが可能である。
【0072】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0073】
例えば、上記実施の形態では、1本の制御用ケーブル3を金属製のパイプ5内に収容する場合を説明したが、金属製のパイプ5内に収容する制御用ケーブル3は2本以上であってもよいし、制御用ケーブル3に加えて、金属製のパイプ5内に制御用ケーブル3以外のケーブル、例えば、補助電力線などを収容するようにしてもよい。
次に、本発明の好適な第三の実施の形態を説明する。
図11は、本発明の第三の実施の形態に係る車両用導電路111の断面図である。
図11に示す車両用導電路111は、基本的に図9の車両用導電路91と同様の構成であるが、金属製のパイプ5と編組シールド6との間に絶縁層30が設けられている点で異なる。
図11における絶縁層30は、編組シールド6の外周を被覆したものである。本実施の形態においては、絶縁層30は樹脂製のチューブからなり、この樹脂製のチューブに電源ケーブルバンドル7を挿入することで、編組シールド6の外周に絶縁層30を形成している。絶縁層30の厚さは、0.03〜0.1mmとした。絶縁層30は、耐熱性、難燃性を有していることが好ましく、例えば、ポレオレフィンやポリ塩化ビニル等の樹脂を用いることができる。
車両用導電路111によれば、金属製のパイプ5と編組シールド6との間に絶縁層30を設けることにより、金属製のパイプ5と編組シールド6とが接触しないようになるため、車両用導電路111の信頼性を向上させることが可能である。これに関し、以下に詳述する。
金属製のパイプ5と編組シールド6とが接触している場合、車両の振動によりその接触場所において編組シールド6の磨耗が生じる場合がある。この場合、編組シールド6のシールド機能が低下し、電源ケーブル2から発生するノイズにより、車載されるセンサ等に悪影響を及ぼしてしまう。しかし、本実施の形態に係る車両用導電路111は、金属製のパイプ5と編組シールド6との間に絶縁層30が設けられているため、金属製のパイプ5と編組シールド6とが接触しなくなり、車両の振動による編組シールド6の磨耗を低減することが可能である。これにより、編組シールド6のシールド機能の低下を抑制することが可能となり、車両用導電路111の信頼性を向上させることが可能である。
また、車両用導電路111が車体の下部に露出して設けられる場合、コルゲートチューブ94の一部が飛び石等との衝突によって破損し、その破損した箇所から水が車両用導電路111内に侵入し、金属製のパイプ5や編組シールド6が水に触れてしまう場合があり得る。この場合、金属製のパイプ5と編組シールド6とが互いに異種金属からなり、金属製のパイプ5と編組シールド6とが接触しているとき、その接触している場所において異種金属の接触に伴う異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)が顕著に発生し、編組シールド6が腐食する可能性がある。しかし、本実施の形態に係る車両用導電路111は、金属製のパイプ5と編組シールド6との間に絶縁層30が設けられ金属製のパイプ5と編組シールド6とが接触しないため、金属製のパイプ5と編組シールド6との間のガルバニック腐食を防止することができる。これにより編組シールド6の腐食を防止することができ、車両用導電路111の信頼性を向上させることが可能である。
また、本実施の形態では、絶縁層30が編組シールド6の外周に被覆されているため、飛び石等との衝突から編組シールド6を保護するという効果も奏する。
なお、本実施の形態においては、絶縁層30は、編組シールド6の外周を被覆したものであったが、金属製のパイプ5の外周を被覆するものであってもよい。電源ケーブルバンドル7の外径に対して金属製のパイプ5の外径が小さい場合、絶縁層30を金属製のパイプ5の外周に被覆することで、コルゲートチューブ94の高さ寸法が大きくなることを避けることができる。
ところで、上述の車両用導電路111では、樹脂製のチューブに電源ケーブルバンドル7を挿入することで、編組シールド6の外周に絶縁層30を形成するものとしたが、絶縁性のテープを電源ケーブルバンドル7に巻きつけて編組シールド6の外周に絶縁層30を形成することもできる。絶縁性のテープは、耐熱性、難燃性を有していることが好ましく、例えば、耐熱ポリ塩化ビニル等からなるものを用いることができる。絶縁性のテープの巻き方としては、電源ケーブルバンドル7断面における周方向にラップ巻きする巻き方や、電源ケーブルバンドル7の長手方向に縦添え巻きする巻き方がある。さらに、絶縁性のテープとしては、テープの重なり面の密着性を確保できるように、片側に粘着層を有するものが好ましい。
また、金属製のパイプ5と編組シールド6とが接触する部分と接触しない部分がある場合には、絶縁層30は、金属製のパイプ5と編組シールド6とが接触する部分のみに上述した方法等で形成してもよい。
次に本発明の好適な第三の実施の形態の変形例に係る車両用導電路121を説明する。
図12は、本発明の第三の実施の形態の変形例に係る車両用導電路121の断面図である。
図12に示す車両用導電路121は、基本的に図11の車両用導電路111と同様の構成であるが、絶縁層30(シース)が押出し成型によって編組シールド6に被覆されている点で異なる。この場合、編組シールド6に絶縁層30が均一に被覆されるように、電源ケーブル2の間に介在物28を介在させて電源ケーブルバンドル7の断面形状が略円形状に形成されることが好ましい。介在物28としては、例えば、ポリプロピレン製の紐等を用いることができる。
次に本発明の好適な第三の実施の形態の変形例に係る車両用導電路131を説明する。
図13、本発明の第三の実施の形態の変形例に係る車両用導電路131の断面図である。
図13に示す車両用導電路131は、基本的に図11の車両用導電路111と同様の構成であるが、絶縁層30がメッシュ状に形成されている点で異なる。
図13における絶縁層30は、メッシュ状の樹脂製のチューブからなり、このメッシュ状の樹脂製のチューブに電源ケーブルバンドル7を挿入することで、編組シールド6の外周に絶縁層30を形成するものとした。本変形例において、金属製のパイプ5と編組シールド6との間にメッシュ状の樹脂製のチューブを設けることで金属製パイプ5と編組シールド6とが直接接触することを避けている。メッシュ状の樹脂製のチューブの材料としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂等を用いることができる。また、本変形例において、メッシュ状の樹脂製のチューブに電源ケーブルバンドル7を挿入することで、編組シールド6の外周に絶縁層30を形成するものとしたが、例えば、ポリオレフィン系樹脂を紐状に形成し、それを電源ケーブルバンドル7に交叉させるように巻きつけて編組シールド6の外周にメッシュ状の絶縁層30を形成することもできる。
車両用導電路131によれば、金属製のパイプ5と編組シールド6との間にメッシュ状の絶縁層30が設けられていることにより第三の実施の形態に係る車両用導電路111と同じ効果を得ることができると共に、絶縁層30がメッシュ状に形成されていることにより絶縁層30の材料の量を削減することができる。したがって、車両用導電路131によれば、絶縁層30の材料費及び重量の低減に寄与することが可能である。なお、メッシュ状の樹脂製のチューブによる絶縁層30は、金属製のパイプ5の外周に設けることもできる。
以上、第三の実施の形態及びその変形例は、第二の実施の形態に係る車両用導電路91を用いて説明したが、第一の実施の形態や第二の実施の形態の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1、91、101、111、121、131 車両用導電路
2 電源ケーブル
3 制御用ケーブル
4、94、104 コルゲートチューブ(樹脂製のチューブ)
5 金属製のパイプ
6 編組シールド
7 電源ケーブルバンドル
8 テープ材
30 絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電源ケーブルと、少なくとも1本の制御用ケーブルとを、可とう性を有する樹脂製のチューブに収容した車両用導電路において、
前記制御用ケーブルを金属製のパイプに収容すると共に、該制御用ケーブルを収容した前記金属製のパイプを所望の形状に成形することで、前記制御用ケーブルを所望の形状に保持し、
かつ、前記複数の電源ケーブルを編組シールドで一括包囲し、
該編組シールドで一括包囲した複数の電源ケーブルを、成形した前記金属製のパイプに沿わせて配置し、その周囲を前記樹脂製のチューブで覆うようにしたことを特徴とする車両用導電路。
【請求項2】
前記金属製のパイプの端部に、可とう性を有するシールド線の一端を電気的に接続すると共に、該シールド線で前記金属製のパイプの端部より延出された前記制御用ケーブルの周囲を覆うようにし、かつ、前記樹脂製のチューブの端部から延出した前記シールド線の他端部を、前記制御用ケーブルが接続される機器のシールドケースに電気的に接続するようにした請求項1記載の車両用導電路。
【請求項3】
前記樹脂製のチューブの端部から延出した前記編組シールドを、前記複数の電源ケーブルが接続される機器のシールドケースに電気的に接続するようにした請求項1または2記載の車両用導電路。
【請求項4】
前記樹脂製のチューブの端部にて、前記編組シールドで一括包囲した複数の電源ケーブルと前記制御用ケーブルとが分岐する分岐部には、該分岐部を保護するための保護部材が設けられる請求項1〜3いずれかに記載の車両用導電路。
【請求項5】
前記分岐部にて分岐し、前記保護部材から延出する前記制御用ケーブル、および前記編組シールドで一括包囲した複数の電源ケーブルは、可とう性を有する樹脂製の端末用チューブにそれぞれ収容される請求項4記載の車両用導電路。
【請求項6】
前記樹脂製のチューブが、コルゲートチューブからなる請求項1〜5いずれかに記載の車両用導電路。
【請求項7】
複数の電源ケーブルと、
該複数の電源ケーブルを一括包囲し、シールドするための編組シールドと、
少なくとも1本の制御用ケーブルと、
該制御用ケーブルが収容される所望の形状に成形可能な金属製のパイプと、
可とう性を有する樹脂製のチューブと、
からなり、前記編組シールドで一括包囲した前記複数の電源ケーブルを前記金属製のパイプに沿わせて配置し、その周囲を前記樹脂製のチューブで覆うようにしたことを特徴とする車両用導電路。
【請求項8】
前記編組シールドで一括包囲した前記複数の電源ケーブルを前記金属製のパイプに沿わせて配置する前に、前記金属製パイプを所望の形状に成形したことを特徴とする請求項7記載の車両用導電路。
【請求項9】
前記編組シールドで一括包囲した前記複数の電源ケーブルと、前記金属製のパイプとを、テープ材で巻いて一体化した請求項1〜8いずれかに記載の車両用導電路。
【請求項10】
前記編組シールドで一括包囲した前記複数の電源ケーブルを、前記金属製のパイプの外周に沿わせるように断面視で略C字状に配置し、その周囲を断面円形状の前記樹脂製のチューブで覆うようにした請求項1〜9いずれかに記載の車両用導電路。
【請求項11】
前記複数の電源ケーブルを束ね、その束ねた前記複数の電源ケーブルを前記編組シールドで一括包囲するようにし、前記編組シールドで一括包囲した前記複数の電源ケーブルを、前記金属製のパイプの一側に沿わせるように配置し、その周囲を断面楕円形状の前記樹脂製のチューブで覆うようにした請求項1〜9いずれかに記載の車両用導電路。
【請求項12】
前記金属製のパイプと前記編組シールドとの間には、絶縁層が設けられていることを特徴とする請求項1〜11いずれかに記載の車両用導電路。
【請求項13】
前記絶縁層は、前記金属製のパイプの外周と前記編組シールド層の外周のうち少なくとも一方に被覆されていることを特徴とする請求項12記載の車両用導電路。
【請求項14】
前記絶縁層は、メッシュ状に形成されていることを特徴とする請求項12または13記載の車両用導電路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−150991(P2011−150991A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81884(P2010−81884)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】