説明

車両用折り畳み式シート装置

【課題】シートの折り畳み状態では,シートクッションの少なくとも底部がフロアのシート取り付け面より下方に下がるようにした車両の折り畳み式シートを提供する。
【解決手段】フロアF上に取り付けられるシート支持台2と,シートクッション4を使用位置Aから格納位置Bへと移動させ得るクッション格納機構5と,シートバック6を起立位置C及び倒伏位置Dに選択的に保持し得るリクライニング機構7と,リクライニング機構7及びクッション格納機構5間を連結する連動機構8とよりなる車両の折り畳み式シートにおいて,フロアFには,高所面Faと,それよりより低い低所面Fbとが形成され,その高所面Faにシート支持台2が取り付けられ,クッション格納機構5は,シートクッション4を高所面Faより高い使用位置Aから低所面Fbに近接した格納位置Bへと移動させ得るように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,車体のフロア上に取り付けられるシート支持台と,このシート支持台に支持されるシートクッションと,前記シート支持台及びシートクッション間に設けられて,該シートクッションを使用位置から,その使用位置より低い格納位置へと移動させ得るクッション格納機構と,前記シートクッションの上方へ起立する起立位置及び,前記シートクッション上に重なる倒伏位置間を回動し得るように前記シート支持台に支持されるシートバックと,前記シート支持台及びシートバック間に設けられて,該シートバックを起立位置及び倒伏位置に選択的に保持し得るリクライニング機構と,前記シートバックの起立位置から倒伏位置への回動に連動して前記シートクッションを使用位置から格納位置へと移動させるように,前記リクライニング機構及び前記クッション格納機構間を連結する連動機構とよりなる,車両の折り畳み式シート装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝる車両の後部の折り畳み式シート,下記特許文献1に開示されるように,既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−223474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かゝる車両の折り畳み式シートでは,シートを折り畳み状態にすると,シートバックの背面が略水平な荷物置き場と利用し得る利便がある。ところで,従来の車両の折り畳み式シートでは,シートの折り畳み状態にしても,シートクッションは,常にフロアのシート取り付け面より上方に保持されるようになっている。
【0005】
そこで,本発明は,シートの折り畳み状態では,シートクッションの少なくとも底部がフロアのシート取り付け面より下方に下がるようにして,シートバックの背面に荷物を載置した場合でも,荷物を含むシート全体の重心を従来のものより下げ得て車両の低重心化に寄与し,また上記シートバック上への積載容量の増加にも寄与し得る車両の折り畳み式シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために,本発明は,車体のフロア上に取り付けられるシート支持台と,このシート支持台に支持されるシートクッションと,前記シート支持台及びシートクッション間に設けられて,該シートクッションを使用位置から,その使用位置より低い格納位置へと移動させ得るクッション格納機構と,前記シートクッションの上方へ起立する起立位置及び,前記シートクッション上に重なる倒伏位置間を回動し得るように前記シート支持台に支持されるシートバックと,前記シート支持台及びシートバック間に設けられて,該シートバックを起立位置及び倒伏位置に選択的に保持し得るリクライニング機構と,前記シートバックの起立位置から倒伏位置への回動に連動して前記シートクッションを使用位置から格納位置へと移動させるように,前記リクライニング機構及び前記クッション格納機構間を連結する連動機構とよりなる,車両の折り畳み式シート装置において,前記フロアに高所面と,この高所面より低い低所面とが形成され,その高所面に前記シート支持台が取り付けられる一方,前記低所面の上方に前記シートクッションが配設され,前記クッション格納機構は,前記シートクッションを前記高所面より高い使用位置から前記低所面に近接した格納位置へと移動させ得るように構成されることを第1の特徴とする。尚,前記シート支持台は,後述する本発明の実施形態中の外側シート支持台2に対応する。
【0007】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記高所面は,前記フロアの,車体の左右方向両側部に形成され,前記低所面は,それら左右の高所面間に形成される凹部の底面であり,前記クッション格納機構が前記シートクッションを格納位置へ移動したとき,そのシートクッションの底部が前記凹部内に収容されるようにしたことを第2の特徴とする。
【0008】
さらに本発明は,第1又は第2の特徴に加えて,前記シートクッションは,その格納位置では,そのクッションフレームの少なくとも一部が前記高所面より低い位置に来るように構成されることを第3の特徴とする。
【0009】
さらにまた本発明は,第1〜第3の特徴の何れかに加えて,前記シートバックの上部に取り付けられるヘッドレストは,該シートバックの上端面から前面に沿って屈曲しながら膨出するように構成されると共に,前記シートバックの倒伏位置では,前記シートクッションの前方に来るように配置されることを第4の特徴とする。
【0010】
さらにまた本発明は,第4の特徴に加えて,前記ヘッドレストは,前記シートバックに上下調節可能に取り付けられると共に,少なくともその上方調節位置にあるとき,前記シートバックが倒伏位置に倒されると,前記シートクッションの前方に来るように配置されることを第5の特徴とする。
【0011】
さらにまた本発明は,第4又は第5の特徴に加えて,前記ヘッドレストの,前記シートバック前面からの膨出量を,前記シートクッション前端部の厚みより小さく設定したことを第6の特徴とする。
【0012】
さらにまた本発明は,第4〜第6の特徴の何れかに加えて,前記シートクッションの前端に,前記シートバックの倒伏時,前記ヘッドレストを収容し得る凹部を設けたことを第7の特徴とする。
【0013】
さらにまた本発明は,第4〜第7の特徴の何れかに加えて,前記シートバックが倒伏位置にあるとき,前記シートクッション及びヘッドレストは,これらの前後方向で対向する面を相互に接触させるように配置されることを第8の特徴とする。
【0014】
さらにまた本発明は,第1〜第8の特徴の何れかに加えて,格納位置の前記シートクッション及び倒伏位置の前記シートバックは,前記フロアの左右両側端より立ち上がるように車体に形成されるリアホイールハウスの前後方向幅内に配置されることを第9の特徴とする。
【0015】
さらにまた本発明は,第9の特徴に加えて,前記シートバックにヘッドレストが着脱可能に取り付けられ,そのヘッドレストの取り外し状態で,前記格納位置のシートクッション及び前記倒伏位置のシートバックは,前記フロアの左右両側端より立ち上がるように車体に形成されるリアホイールハウスの前後方向幅内に配置されることを第10の特徴とする。
【0016】
さらにまた本発明は,第9又は第10の特徴に加えて,前記シートバックの,前記リアホイールハウスに対向する外側面に前記リクライニング機構が設けられることを第11の特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の特徴によれば,シートクッションを格納位置に移動させると共にシートバックを倒伏位置に回動させたシートの折り畳み状態では,シートクッションは,フロアの高所面より下げた位置に保持されると共に,そのシートクッション上に,倒伏したシートバックが重なるので,そのシートバックの背面に荷物を載置した場合でも,荷物を含むシート全体の重心を従来のものより下げ得て車両の低重心化に寄与し,また上記シートバック上への積載容量の増加にも寄与することができる。
【0018】
本発明の第2の特徴によれば,シートの折り畳み状態では,シートクッションの底部が左右の高所面間の凹部内に受容されることになり,車両の低重心化に寄与し得る。
【0019】
本発明の第3の特徴によれば,シートクッションの格納位置では,シートクッション中,最重量物のクッションフレームの少なくとも一部が高所面より低い位置に来ることにより,車両の低重心化を効果的に図ることができる。
【0020】
本発明の第4の特徴によれば,シートバックの倒伏位置では,ヘッドレストは,シートクッションの前方に来て,ヘッドレストの下面をシートクッションの上面より下方に位置させるので,ヘッドレストのシートクッションとの干渉を防ぐと共に,シート全体の低重心化を図ることができる。
【0021】
本発明の第5の特徴によれば,シートバックの高さがシートクッションの前後方向長さより短かい場合でも,ヘッドレストの位置を上方へ移動調節することにより,シートバックの倒伏時,ヘッドレストをシートクッションの前方位置に配置させて,シートクッションとの干渉を回避することができる。
【0022】
本発明の第6の特徴によれば,シートクッションを格納位置に収めたとき,そのシートクッションの前方に,高所面に連なるフロアの一般面が存在していても,その一般面にヘッドレストが干渉することを防ぐことができる。
【0023】
本発明の第7の特徴によれば,シートバックの高さが充分確保し得ない場合で,しかもヘッドレストを高位置に調節しても,シートバックの倒伏時には,ヘッドレストをシートクッションに干渉させることなく,上記凹部に収めることができると共に,ヘッドレストと前部シートとの干渉をも容易に回避することができる。
【0024】
本発明の第8の特徴によれば,シートバックの倒伏時には,ヘッドレストをシートクッションの前端に最接近させることになり,ヘッドレストと前部シートとの干渉を容易に回避することができる。
【0025】
本発明の第9の特徴によれば,格納位置の前記シートクッション及び倒伏位置の前記シートバックがリアホイールハウスの前後方向幅内に配置されることで,リアホイールハウスの前後のフロアのスペースを有効的に利用することができる。
【0026】
本発明の第10の特徴によれば,ヘッドレストの取り外したシートバックの倒伏状態では,シートをリアホイールハウスの前後方向幅内に容易に配置することができ,リアホイールハウス前方のフロアのスペースをより有効的に利用することができる。
【0027】
本発明の第11の特徴によれば,シートバックとリアホイールハウス間のデッドスペースを有効に利用してリクライニング機構を容易に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係る自動車の折り畳み式シートの斜視図。
【図2】上記折り畳み式シートの内部構造を示す斜視図。
【図3】上記折り畳み式シートにおける外側シート支持台及びその周辺部を外側から見た斜視図。
【図4】上記外側シート支持台及び前部揺動アームを内側から見た斜視図。
【図5】内側シート支持台及び前部揺動アームを内側から見た斜視図。
【図6】図2の6矢視図。
【図7】図6の7−7線断面図。
【図8】図6の8−8線拡大断面図。
【図9】図6の9−9線拡大断面図。
【図10】図6の9−9線拡大断面図。
【図11】図6のリクライニング機構部拡大図。
【図12】上記リクライニング機構のロック解除作用説明図。
【図13】上記シートの折り畳み状態を示す側面。
【図14】図13中のリクライニング機構部の拡大図。
【図15】チャイルドシート用取り付け環を示すバックフレームの下部斜視図。
【図16】本発明の別の実施形態をシートの折り畳み状態で示す側面図。
【図17】本発明の更に別の実施形態の折り畳み式シートを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態を添付図面に基づいて以下に説明する。以下の説明において,前後,左右とは,本発明の折り畳み式シートを設置する自動車を基準にしていうものとする。
【0030】
先ず,図1,図7及び図13において,自動車の車体は,左右のサイドシルS,Sと,これらサイドシルS,Sの各外側縁から立ち上がって,図示しない左右の後輪を覆う一対のリアホイールハウスH,Hとを有しており,左右のサイドシルS,S間には,それらの上面を含むフロアFが形成され,このフロアF上に,本発明に係る左右一対の折り畳み式シート1,1が配設される。
【0031】
上記フロアFは,リアホイールハウスH,Hの根元に連なっていて前後方向に延びる幅狭の高所面Fa,Faと,これら高所面Fa,Fa間に形成される幅広の低所面Fbとが形成され,その低所面Fbは,高所面Fa,Fa間に形成される凹部Frの底面Fbとなっている。高所面Faは,前端側が前下がりに傾斜していて全席側のフロアFの一般面Fcに連なっており,また上記凹部Frは前方に向かって浅くなっていて,その底面Fbも上記一般面Fcに連なっている。また高所面Fa及び低所面Fb間の段部の前部には膨出部Pが形成されており,この膨出部Pは,その外側の凹部によってリアサスペンション機構(図示せず)の支持部を収容,保持するようになっている。
【0032】
図1及び図2に示すように,左右一対の折り畳み式シート1,1は対称的に構成される。各シート1は,高所面Fa及び低所面Fbにそれぞれ取り付けられる外側及び内側シート支持台2,2′と,凹部Frの上方に配設されるシートクッション4と,外側及び内側シート支持台2,2′とシートクッション4との各間を連結するクッション格納機構5,5と,シートクッション4の後端部近傍で外側及び内側シート支持台2,2′に支持されるシートバック6と,外側及び内側シート支持台2,2′とシートバック6との各間を連結するリクライニング機構7と,このリクライニング機構7及び前記クッション格納機構5間を連結する連動機構8とよりなっている。
【0033】
図3〜図6に示すように,上記クッション格納機構5は,シートクッション4を使用位置A(図6,図7参照)と格納位置B(図7,図13参照)とに交互に保持し得るもので,その使用位置Aでは,シートクッション4の底部4aが高所面Faより上方に位置し,格納位置Bでは,少なくとも同底部4aが高所面Faより下方の低所面Fbに近接した位置を占めるようになっている。
【0034】
また上記リクライニング機構7は,シートバック6を起立位置(図1,図6参照)と倒伏位置D(図1,図13参照)とに交互に保持し得るもので,その起立位置Cでは,シートバック6は,シートクッション4の後端部近傍からやゝ後方上向きに起立し,倒伏位置Dでは,シートバック6は,シートクッション4の上面に重なるようになっている。また上記連動機構8は,シートバック6の起立位置C及び倒伏位置D間での回動に連動してシートクッション4を使用位置A及び格納位置B間で移動させるようになっている。これらの詳細については後述する。尚,シートバック6を倒伏位置Dに倒すと共に,シートクッション4を格納位置Bに下げた状態をシート1の折り畳み状態という。
【0035】
図2に明示するように,左右の内側シート支持台2,2′は,低所面Fbの左右方向中央部に相互に近接して配設される。図2〜図5に示すように,外側及び内側シート支持台2,2′は,前部支持部材10,10′と,その後方に配置される後部支持部材11,11′と,これら前部及び後部支持部材10,10′;11,11′間を連結する連結部材12,12′とでそれぞれ構成される。前部支持部材10,10′は,水平なベース壁10a,10a′と,このベース壁10a,10a′の内側端から上方へ屈曲して起立した支持壁10b,10b′よりなっており,そのベース壁10a,10a′は,対応する高所面Fa及び低所面Fbにそれぞれボルト結合される。後部支持部材11,11′は,上記ベース壁10a,10a′より広い水平なベース壁11a,11a′と,このベース壁11a,11a′の一側端から,支持壁10b,10b′より高く上方へ屈曲して起立した支持壁11b,11b′よりなっており,そのベース壁11a,11a′は,対応する高所面Fa及び低所面Fbにそれぞれボルト結合される。内側シート支持台2′の前部及び後部支持部材11,11′は,外側シート支持台2の前部及び後部支持部材11,11′より,低所面Fb及び高所面Fa間の段差分だけ上下方向に長く形成される。これにより,外側シート支持台2とシートクッション4との間を連結するシートクッション格納機構5と,内側シート支持台2′とシートクッション4との間を連結するシートクッション格納機構5とを同一寸法に且つ対称的に構成することを可能にする。
【0036】
シートクッション4は,金属パイプを四辺形に曲げてなるフレーム14(以下,クッションフレーム14という。)を有しており,その左右両側部の前部外側面には前部ブラケット15,15が溶接され,また後側の左右の角部には後部ブラケット16,16が溶接される。またシートバック6も,金属パイプを四辺形に曲げてなるフレーム17(以下,バックフレーム17という。)を有しており,その左右両側面の下部に側部ブラケット18,18が溶接される。
【0037】
図3〜図6,図8及び図9において,前記シートクッション格納機構5は,前部支持部材10,10′の支持壁10b,10b′及び前部ブラケット15,15間を連結する前部揺動アーム19,19と,後部支持部材11,11′の支持壁11b,11′b及び後部ブラケット16,16間を連結する後部揺動アーム20,20とで構成される。各前部揺動アーム19は,その一端部が固定ピボット21を介して前部支持部材10,10′に,また他端部が可動ピボット22を介して前部ブラケット15にそれぞれ前後且つ上下方向に回動可能に連結される。また後部揺動アーム20は,その一端部が主軸23を介して後部支持部材11,11′の支持壁11b,11b′に,また他端部が可動ピボット24を介して後部ブラケット16にそれぞれ前後且つ上下方向に回動可能に連結される。主軸23は上記支持壁11b,11b′に固着されている。
【0038】
前部揺動アーム19の下端部を支持する固定ピボット21は,支持部材10a,10a′に固着されるリベットで構成される。また前部揺動アーム19の上端を支持する可動ピボット22は,前部ブラケット15を貫通してその内側面に溶接又はかしめにより固着されるボルトで構成され,その先端部にナット26を螺着することで前部揺動アーム19の上端部は取り付けられる。その際,可動ピボット22は,その中心がクッションフレーム14を構成するパイプ材の中心軸線より上方に来るように配置される。
【0039】
また後部揺動アーム20の前端部を支持する可動ピボット24は,後部ブラケット16を貫通してその内側面に溶接又はかしめにより固着されるボルトで構成され,その先端部にナット27を螺着することで後部揺動アーム20の前端部は取り付けられる。その際,可動ピボット24は,その中心がクッションフレーム14を構成するパイプ材の中心軸線より下方に来るように配置される。



而して,図2〜図6に示すように,シートクッション4の使用位置Aは,前部揺動アーム19を固定ピボット21の上方へ略鉛直状態に起立(図示例では,固定ピボット21の後方へ僅かに傾斜している。)させると共に,後部揺動アーム20を主軸23の前方へ略水平に倒すことにより,シートクッション4の底部4aが高所面Faより高位置を占めるように制御される。このとき,前部揺動アーム19の前方への回動限界を規制するために,各前部支持部材10,10′の支持部材10a,10a′に切り起こされたストッパ片28に各前部揺動アーム19の前縁部が当接するようになっている。
【0040】
また図13に示すように,シートクッション4の格納位置Bでは,前部揺動アーム19を固定ピボット21の後方へ略水平状態に回動する(図示例では,可動ピボット22側を僅かに上向きにする。)と共に,後部揺動アーム20を主軸23の略直下へ(図示例では,主軸23の下方且つやゝ後方へ)回動することにより,シートクッション4の底部4aが低所面Fbに近接した低位置を占めるように,即ち凹部Fr内に受容されるように制御される。
【0041】
このとき,前部揺動アーム19の下方への回動限界を規制するために,外側シート支持台2と前部揺動アーム19との間では,前部揺動アーム19から屈曲させたストッパ片29(図4参照)が連結部材12の内向きストッパ30に当接するようになっており,内側シート支持台2′と前部揺動アーム19との間では,支持部材10a,10a′に切り起こされたストッパ31(図5参照)に前部揺動アーム19の下側縁部が当接するようになっている。このような前部揺動アーム19の下方回動限界の規制により,可動ピボット22の中心は,固定ピボット21及び可動ピボット24の中心間を結ぶ直線Lを下方へ超えないように設定される。
【0042】
こゝで,シートクッション4は,その格納位置Bでは,そのクッションフレーム14の少なくとも一部が高所面Faより低い位置に来るように構成される。
【0043】
図7に示すように,シートクッション4の底面には,これが格納位置Bに来たとき,前記膨出部Pとの干渉を避ける逃げ4bが設けられる。
【0044】
図6,図9,図11及び図12において,リクライニング機構7は,シートバック6の左右の側部ブラケット18,18の外側面に複数のボルト34により固着される左右一対のリクライニングベース35,35とを備える。これらリクライニングベース35は,内,外側の後部支持部材11,11′の11b,11b′の内側面に重ねられると共に,各支持壁11b,11b′に固設された前記主軸23に回動可能に支持される。外側の後部支持部材11の支持壁11bには,その内側面より突出するストッパピン36が固設される一方,外側のリクライニングベース35には,主軸23と同心の円弧状をなして上記ストッパピン36と係合する長孔37が設けられ,ストッパピン36が長孔37の一方の内端壁に当接することによりシートバック6の起立位置C(図11参照)が規制され,ストッパピン36が長孔37の他方の内端壁に当接することによりシートバック6の倒伏位置D(図14参照)が規制されるようになっている。
【0045】
また外側のリクライニングベース35の外側面には,それと協働して上記支持壁11bを挟むように配置される補助ベース38が固着されており,この補助ベース38も前記主軸23に回動可能に支持される。
【0046】
補助ベース38及び主軸23には,補助ベース38を介してシートバック6を前方への倒伏方向へ付勢する倒伏ばね39が縮設される。この倒伏ばね39は,主軸23周りに配設されるゼンマイばねで構成され,その内端は主軸23に係止され,外端は補助ベース38に形成される係止爪40に係止される。
【0047】
外側の後部支持部材11の支持壁11bの上部外周面は,主軸23を中心とする円弧面に形成されると共に,その外周面にはロック溝33が形成される。一方,補助ベース38は,主軸23と,この主軸23の上方に配置されてリクライニングベース35及び補助ベース38を貫通する支軸41との二軸によりリクライニングベース35に固着されており,リクライニングベース35及び補助ベース38間において,上記ロック溝33に係脱し得るロックレバー42が上記支軸41に揺動可能に支持される。このロックレバー42は,シートバック6が前記起立位置Cに起こされたとき,ロック溝33に係合することにより,シートバック6を起立位置Cにロックする。このロックレバー42は,その上面より突出するレリーズアーム43を一体に有する。
【0048】
さらにリクライニングベース35には,ロックレバー42側から上方に向かって順に配置されるロック制御レバー44及び駆動レバー45が支軸46及び支軸47をそれぞれ介して回動可能に支持される。
【0049】
ロック制御レバー44は,ロックレバー42側に突出する押えアーム44aと,レリーズアーム43に対向するレリーズカム44bと,駆動レバー45側に突出する従動アーム44cとよりなっており,押えアーム44aは,ロック溝33に係合したロックレバー42の背面を押圧して,その係合状態に保持することができ,またレリーズカム44bは,レリーズアーム43を押圧,回動してロックレバー42をロック溝33から離脱させることができる。従動アーム44cの側面には従動ピン48が突設されている。
【0050】
駆動レバー45は,支軸47の下方に突出するロアアーム45aと,支軸47の前方に突出するアッパアーム45bとよりなっており,ロアアーム45aには,前記従動ピン48が係合する屈曲長孔状の駆動溝49が設けられる。この駆動溝49は,アッパアーム45bが下向きに回動するとき(図11参照),従動ピン48を介してロック制御レバー44をロックレバー42のロック方向へ回動し,またアッパアーム45bが上向きに回動するとき(図12参照),従動ピン48を介してロック制御レバー44をロックレバー42のロック解除方向へ回動するようになっており,上記アッパアーム45bと前記補助ベース38との間に,アッパアーム45bを下向きに回動付勢するロックばね50が縮設される。このロックばね50はコイルばねで構成され,その一端は補助ベース38の接続片51に接続され,その他端は,アッパアーム45bの接続孔52に接続される。またアッパアーム45bには,ロックばね50の付勢力に抗してアッパアーム45bを上向きに回動させ得るレリーズ操作ワイヤ54が接続される。このレリーズ操作ワイヤ54は,リクライニングベース35の上端部にワイヤ支持片55を介して支持されるガイドチューブ56に案内されてシートバック6の背面側に引き出され,その外端には,これを牽引操作するためのストラップ57(図6)が付設される。
【0051】
而して,シートバック6を使用位置Aに起こした状態では,図11に示すように,ロックばね50の付勢力により,駆動レバー45のアッパアーム45bが下向きに回動し,駆動溝49により従動ピン48を介してロック制御レバー44をロックレバー42のロック方向に回動する。即ち,ロック制御レバー44の押えアーム44aがロックレバー42の背面を押圧して,ロックレバー42を,後部支持部材11のロック溝33との係合状態に保持し,これによりシートバック6は使用位置Aにロックされる。図12に示すように,前記ストラップ57によりレリーズ操作ワイヤ54を牽引すると,駆動レバー45のアッパアーム45bがロックばね50の付勢力に抗して上向きに回動し,駆動溝49により従動ピン48を介してロック制御レバー44をレリーズ方向へ回動する。即ちロックレバー42は,押えアーム44aをロックレバー42の背面から後方へ逃がすと共に,レリーズカム44bがロックレバー42のレリーズアーム43を押圧して,ロックレバー42をロック溝33から離脱させる。その結果,シートバック6は,倒伏ばね39の付勢力により前方へ回動して,シートクッション4の上面に重なる倒伏位置Dに到達する。この倒伏位置Dは,前述のように,後部支持部材11のストッパピン36がリクライニングベース35の長孔37の前方内端壁に当接することによりが規制され,シートバック6の背面は略水平状態となる。
【0052】
シートバック6を倒伏位置Dから起立位置Cへ戻す際には,シートバック6を倒伏ばね39の付勢力に抗して引き起す。この間にレリーズ操作ワイヤ54の牽引を解放しておけば,ロックばね50の付勢力の作用によりロックレバー42がロック溝33に係合してシートバック6を起立位置Cに自動的に保持することができる。この起立位置Cは,前述のように,後部支持部材11のストッパピン36がリクライニングベース35の長孔37の後方内端壁に当接することによりが規制される。
【0053】
図3及び図9において,シートクッション格納機構5及びリクライニング機構7間を連結する連動機構8は,シートクッション格納機構5の左右の後部揺動アーム20,20と,リクライニング機構7の左右のリクライニングベース35,35とを左右方向の間隔片58,58を介してそれぞれ一体に連結することで構成される。即ち,各後部揺動アーム20は,対応するリクライニングベース35の内側方へ一定距離eオフセットして配置されると共に,間隔片58を介して対応するリクライニングベース35に一体に連結される。図示例では,リクライニングベース35,間隔片58及び後部揺動アーム20は,同一素材により一体にプレス成形されるが,これらを分割して製作した後,溶接等により一体に結合することもできる。何れの場合においても,主軸23は,リクライニングベース35の後部揺動アーム20に共通する枢軸となる。
【0054】
而して,連動機構8は,リクライニングベース35がシートバック6と共に起立するとき,それに連動して後部揺動アーム20を主軸23前方へ張り出させ,またリクライニングベース35がシートバック6と共に前方へ倒伏するとき,それに連動して後部揺動アーム20を主軸23の下方へ回動するように作動する。
【0055】
以上において,クッションフレーム14に溶接されるブラケット15,16は,クッションフレーム14と一体化されることで,実質上,クッションフレーム14の一部となり,またバックフレーム17に溶接されるブラケット18,65もバックフレーム17と一体化されることで,実質上,クッションフレーム14の一部となる。
【0056】
この折り畳み式シート1の作用について説明する。
【0057】
図11に示すように,シートバック6がリクライニング機構7により起立位置Cにロックされると,シートクッション格納機構5においては,リクライニングベース35に連結した後部揺動アーム20が主軸23の前方へ張り出した位置を占めると共に,前部揺動アーム19が略鉛直方向に起立した位置を占めることによりシートクッション4を,図6に示すように,フロアFの高所面Faより上方の使用位置Aに保持することができる。したがって,このシート1には乗員が通常通り座ることができる。
【0058】
次に,リクライニング機構7のロック状態を解除して,シートバック6を倒伏ばね39の付勢力により前方へ倒伏させる(図14参照)と,同時にリクライニングベース35も前方へ倒伏し,それに連動してシートクッション格納機構5の後部揺動アーム20が主軸23の下方へ回動しながら,可動ピボット24を介してシートクッション4の後端部を下方且つ後方へ引き寄せるため,それに伴ない前部揺動アーム19が固定ピボット21周りに後方へ回動していき,これにより図13に示すように,シートクッション4は全体的に後方且つ下方へ,即ち格納位置Bに向かって移動していく。そして前部揺動アーム19が内側及び外側シート支持台2,2′のストッパ30,31に当接することにより,シートクッション4の格納位置Bが決まる。このとき,シートクッション4は,その底部4aがフロアFの凹部Fr内に収められる。換言すれば,シートクッション4は,その底部4aを,フロアFの高所面Faより下げた,低所面Fbへの近接位置に保持される。
【0059】
この間,シートバック6は前方への倒伏と同時に,シートクッション4と共に下方へ移動し,シートクッション4が上記格納位置Bに到達したとき,その上面にシートバック6が重なり,シートバック6の背面は,略水平な荷物載置面となる。以上によりシート1の折り畳み状態が完成する。
【0060】
このように,シート1の折り畳み状態では,シートクッション4は,その底部4aをフロアFの高所面Faより下げた位置に保持されると共に,そのシートクッション4上に,倒伏したシートバック6が重なるので,そのシートバック6の背面に荷物を載置した場合でも,荷物を含むシート1全体の重心を従来のものより下げ得て車両の低重心化に寄与し,また上記シートバック6上への積載容量の増加にも寄与することができる。
【0061】
その際,シートクッション4中,最重量物のクッションフレーム14の少なくとも一部が高所面Faより低い位置に来るようにシートクッション4が構成されることは,車両の低重心化を図る上により効果的である。
【0062】
またシートクッション4の格納位置Bでは,前述のように,可動ピボット22の中心は,固定ピボット21及び可動ピボット24の中心間を結ぶ直線Lを下方へ超えないように設定されているから,シートバック6を倒伏位置Dから起立位置Cに向かって回動するとき,クッション格納機構5の後部揺動アーム20が下向き位置から前方へ回動するのに応じて前方へ移動するシートクッション4が,可動ピボット22を介して前部揺動アーム19を確実に前方へ押し上げて,シートクッション4を使用位置Aに復帰させることができる。
【0063】
一方,シートバック6は,所定の起立位置Cに来ると,リクライニング機構7のロックばね50の作用により,ロックレバー42が後部支持部材11のロック溝33に係合して,シートバック6を起立位置Cに保持することになる。
【0064】
ところで,リクライニングベース35及び後部揺動アーム20間を連結する連動機構8は,後部揺動アーム20をリクライニングベース35の内方へ所定距離eオフセットさせているので,クッション格納機構5の後部揺動アーム20がシートクッション4を格納位置Bへ作動すべく,下方へ回動するとき,後部揺動アーム20は勿論,その外側面に突出した可動ピボット24や,それに螺合したナット27等が後部支持部材11,11′の支持壁11b,11′bに干渉することはなく,クッション格納機構5をスムーズに作動することができる。
【0065】
折り畳み状態のシート1は,クッション格納機構5の作用により,折り畳み前の位置より後方に移動することになり,この状態でリアホイールハウスHの前後方向幅内に配置される。したがって,シート1の折り畳み状態では,リアホイールハウスHの前後のフロアFのスペースを有効的に利用することができる。
【0066】
またシートクッション4の使用位置Aでは,クッション格納機構5の前部揺動アーム19は,前部支持部材10,10′のストッパ片28に当接することにより,前方への回動限界が規制されるので,シートクッション4に大なる荷重が作用した場合でも,その荷重に抗してシートクッション4を所定の使用位置Aに保持し続けることができる。
【0067】
またリクライニング機構7は,シートバック6の,リアホイールハウスHに対向する外側面に設けられるので,シートバック6とリアホイールハウスH間のデッドスペースを有効に利用してリクライニング機構7の設置を可能にする。
【0068】
再び図1,図2及び図13において,バックフレーム17の上部には,上下方向に延びる左右一対のヘッドレスト案内管60,60が固設され,このヘッドレスト案内管60,60に,ヘッドレスト61の左右一対の支持杆61a,61aが上下位置調節可能且つ着脱可能に嵌挿される。ヘッドレスト61は,シートバック6の上端面から前面に沿って屈曲しながら膨出し,且つ背面がシートバック6の背面より後退したティアドロップ型に構成されると共に,シート1の折り畳み時,即ちシートバック6の倒伏位置Dでは,シートクッション4の前方に来るように配置される。したがって,ヘッドレスト61の下面は,シートクッション4の上面より下方に位置し,ヘッドレスト61のシートクッション4との干渉を防ぐと共に,シート1全体の低重心化を図ることができる。特に,ヘッドレスト61は,シートバック6に対して上下位置が調節可能であるから,シートバック6の高さがシートクッション4の前後方向長さより短かい場合でも,ヘッドレスト61の位置を上方へ移動調節しておけば,シートバック6の倒伏時,ヘッドレスト61をシートクッション4の前方位置に配置させて,シートクッション4との干渉を回避することができる。
【0069】
またヘッドレスト61の,シートバック6前面からの膨出量S2は,シートクッション4前端部の厚みS1より小さく設定される。したがって,シート1の折り畳み時,シートクッション4の底部4aがフロアFの凹部Fr内に沈んでも,凹部Fr前方のフロアFの一般面Fcにヘッドレスト61が干渉することを防ぐことができる。
【0070】
一方,シートバック6の上端部には,最下降調節位置に調節したヘッドレスト61の上端部を受容する切欠き部62が形成される。したがって,ヘッドレスト61の最下降位置では,ヘッドレスト61の上面がシートバック6の上面と面一となるので,シートバック6の倒伏時,ヘッドレスト61と,その前方位置の他物との干渉を回避することができる。
【0071】
図2及び図15において,バックフレーム17の四角部には,チャイルドシート用の取り付け環64を溶接したブラケット65が,対応する角部を補強するように溶接される。こうすることで,チャイルドシート用の取り付け環64の支持剛性を高めることができる。
【0072】
本発明の別の実施形態として図16に示す。この実施形態では,シートバック6を倒伏時,上下位置調節可能のヘッドレスト61の位置を調節することにより,シートクッション4及びヘッドレスト61は,前後方向で対向する面を相互に接触させるようになっている。したがって,シート1の折り畳み時には,ヘッドレスト61をシートクッション4の前端に最接近させることになり,ヘッドレスト61と,図示しない前部シートとの干渉を容易に回避することができる。
【0073】
本発明の更に別の実施形態として,図17に示すように,シートクッション4の前端に,シートバック6の倒伏時,ヘッドレスト61を収容し得る切欠き状の凹部63が設けられる。このような構成によれば,シートバック6の高さが充分確保し得ない場合で,しかもヘッドレスト61を高位置に調節しても,シートバック6の倒伏時には,ヘッドレスト61をシートクッション4に干渉させることなく,上記凹部63に収めることができると共に,ヘッドレスト61と前部シートとの干渉をも容易に回避することができる。
【0074】
しかもヘッドレスト61は,シートバック6に対して着脱が可能であるから,これをシートバック6から外しておけば,シートクッション4と前部シート1間の間隔が狭いときでも,ヘッドレスト61を外すことにより,ヘッドレスト61のシートクッション4への干渉を回避することができる。またヘッドレスト61の取り外したシート1の折り畳み状態では,シート1をリアホイールハウスHの前後方向幅内に容易に配置することができるので,リアホイールハウスH前方のフロアFのスペースをより有効的に利用することができる。
【0075】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,左右のシート1,1のシートクッション4,4を一体化して,これを左右の高所面Fa,Faに取り付けられる一対のシート支持台2,2により支持するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
A・・・・・・シートクッションの使用位置
B・・・・・・シートクッションの格納位置
C・・・・・・シートバックの起立位置
D・・・・・・シートバックの倒伏位置
F・・・・・・フロア
Fa・・・・・高所面
Fb・・・・・低所面
Fr・・・・・凹部
S1・・・・・シートクッションの前端の厚み
S2・・・・・ヘッドレストの前方膨出量
1・・・・・・シート
2・・・・・・シート支持台(外側シート支持台)
4・・・・・・シートクッション
4a・・・・・シートクッションの底部
5・・・・・・クッション格納機構
6・・・・・・シートバック
7・・・・・・リクライニング機構
8・・・・・・連動機構
61・・・・・ヘッドレスト
63・・・・・凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のフロア(F)上に取り付けられるシート支持台(2)と,このシート支持台(2)に支持されるシートクッション(4)と,前記シート支持台(2)及びシートクッション(4)間に設けられて,該シートクッション(4)を使用位置(A)から,その使用位置(A)より低い格納位置(B)へと移動させ得るクッション格納機構(5)と,前記シートクッション(4)の上方へ起立する起立位置(C)及び,前記シートクッション(4)上に重なる倒伏位置(D)間を回動し得るように前記シート支持台(2)に支持されるシートバック(6)と,前記シート支持台(2)及びシートバック(6)間に設けられて,該シートバック(6)を起立位置(C)及び倒伏位置(D)に選択的に保持し得るリクライニング機構(7)と,前記シートバック(6)の起立位置(C)から倒伏位置(D)への回動に連動して前記シートクッション(4)を使用位置(A)から格納位置(B)へと移動させるように,前記リクライニング機構(7)及び前記クッション格納機構(5)間を連結する連動機構(8)とよりなる,車両の折り畳み式シート装置において,
前記フロア(F)に高所面(Fa)と,この高所面(Fa)より低い低所面(Fb)とが形成され,その高所面(Fa)に前記シート支持台(2)が取り付けられる一方,前記低所面(Fb)の上方に前記シートクッション(4)が配設され,前記クッション格納機構(5)は,前記シートクッション(4)を前記高所面(Fa)より高い使用位置(A)から前記低所面(Fb)に近接した格納位置(B)へと移動させ得るように構成されることを特徴とする,車両の折り畳み式シート装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両の折り畳み式シート装置において,
前記高所面(Fa)は,前記フロア(F)の,車体の左右方向両側部に形成され,前記低所面(Fb)は,それら左右の高所面(Fa,Fa)間に形成される凹部(Fr)の底面(Fb)であり,前記クッション格納機構(5)が前記シートクッション(4)を格納位置(B)へ移動したとき,そのシートクッション(4)の底部(4a)が前記凹部(Fr)内に収容されるようにしたことを特徴とする,車両の折り畳み式シート装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両の折り畳み式シート装置において,
前記シートクッション(4)は,その格納位置(B)では,そのクッションフレーム(14)の少なくとも一部が前記高所面(Fa)より低い位置に来るように構成されることを特徴とする,車両の折り畳み式シート装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の車両の折り畳み式シート装置において,
前記シートバック(6)の上部に取り付けられるヘッドレスト(61)は,該シートバック(6)の上端面から前面に沿って屈曲しながら膨出するように構成されると共に,前記シートバック(6)の倒伏位置(D)では,前記シートクッション(4)の前方に来るように配置されることを特徴とする,車両の折り畳み式シート装置。
【請求項5】
請求項4記載の車両の折り畳み式シート装置において,
前記ヘッドレスト(61)は,前記シートバック(6)に上下調節可能に取り付けられると共に,少なくともその上方調節位置にあるとき,前記シートバック(6)が倒伏位置(D)に倒されると,前記シートクッション(4)の前方に来るように配置されることを特徴とする,車両の折り畳み式シート装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の車両の折り畳み式シート装置において,
前記ヘッドレスト(61)の,前記シートバック(6)前面からの膨出量(S2)を,前記シートクッション(4)前端部の厚み(S1)より小さく設定したことを特徴とする,車両の折り畳み式シート装置。
【請求項7】
請求項4〜6の何れかに記載の車両の折り畳み式シート装置において,
前記シートクッション(4)の前端に,前記シートバック(6)の倒伏時,前記ヘッドレスト(61)を収容し得る凹部(63)を設けたことを特徴とする,車両の折り畳み式シート装置。
【請求項8】
請求項4〜7の何れかに記載の車両の折り畳み式シート装置において,
前記シートバック(6)が倒伏位置(D)にあるとき,前記シートクッション(4)及びヘッドレスト(61)は,これらの前後方向で対向する面を相互に接触させるように配置されることを特徴とする,車両の折り畳み式シート装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載の車両の折り畳み式シート装置において,
格納位置(B)の前記シートクッション(4)及び倒伏位置(D)の前記シートバック(6)は,前記フロア(F)の左右両側端より立ち上がるリアホイールハウス(H)の前後方向幅内に配置されることを特徴とする,車両の折り畳み式シート装置。
【請求項10】
請求項9記載の車両の折り畳み式シート装置において,
前記シートバック(6)にヘッドレスト(61)が着脱可能に取り付けられ,そのヘッドレスト(61)の取り外し状態で,前記格納位置(B)のシートクッション(4)及び前記倒伏位置(D)のシートバック(6)は,前記フロア(F)の左右両側端より立ち上がるように車体に形成されるリアホイールハウス(H)の前後方向幅内に配置されることを特徴とする,車両の折り畳み式シート装置。
【請求項11】
請求項9又は10記載の車両の折り畳み式シート装置において,
前記シートバック(6)の,前記リアホイールハウス(H)に対向する外側面に前記リクライニング機構(7)が設けられることを特徴とする,車両の折り畳み式シート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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