説明

車両用灯具ユニット

【課題】従来に比べ、より均一に面発光する車両用灯具ユニットを提供する。
【解決手段】車両用灯具ユニット1は、複数の光源5,…と、複数の光源5,…から出射された光を拡散反射する第1反射面21及び第2反射面22と、第2反射面22で拡散反射された光を前方へ透過するインナーレンズ4と、を備える。光源5間のピッチpは、第1反射面21及び第2反射面22を介した光源5からインナーレンズ4までの光路長Lよりも短くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用灯具ユニットとして、導光体の側面から入射させた光により当該導光体の前面を発光させるものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
この種の車両用灯具ユニット100は、図6(a),(b)に示すように、裏面(後面)に複数の反射ドットDを有する導光体101と、導光体101の側面(下面)に沿って配列されたLED等の複数の光源102,…と、複数の光源102,…からの光を効率良く導光体101へ入射させるための入光レンズ103とを備えている。そして、複数の光源102,…から入光レンズ103を介して導光体101へ入射した光が、導光体101後面の反射ドットDで反射されて導光体101前面から出射する結果、導光体101前面が発光するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−21001号公報
【特許文献2】特許2008−186786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の車両用灯具ユニット100では、導光体101の後面に設けた反射ドットDによって導光体101の前面へ光を反射させているため、導光体101を正面から見たときに、反射ドットDの近傍が他の部分よりも明るくなっていた。つまり、反射ドットDの近傍と他の部分とで輝度ムラを生じており、導光体101の前面が均一に面発光していなかった。
【0006】
本発明の課題は、従来に比べ、より均一に面発光する車両用灯具ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両用灯具ユニットにおいて、
複数の光源と、
前記複数の光源から出射された光を拡散反射する反射面と、
前記反射面で拡散反射された光を前方へ照射するレンズと、
を備え、
前記複数の光源は、一の光源と当該一の光源に隣り合う他の光源とのピッチが、前記反射面を介した当該一の光源から前記レンズまでの光路長よりも短くなるように、それぞれ配設されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用灯具ユニットにおいて、
前記光源から出射された光を前記反射面に向けて正反射する他の反射面を備え、
前記反射面は、前記他の反射面で正反射された光を前記レンズに向けて拡散反射することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車両用灯具ユニットにおいて、
前記反射面で拡散反射された光を前記レンズに向けて正反射する他の反射面を備え、
前記レンズは、前記他の反射面で正反射された光を前方へ照射することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の車両用灯具ユニットにおいて、
前記反射面は、少なくとも一部が曲面であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の車両用灯具ユニットにおいて、
前記反射面は、白色塗装された面であるか、或いは白色に原料着色された面であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の車両用灯具ユニットにおいて、
前記レンズは、光源から出射された光が透過する前面及び後面の少なくとも一方に、シボ加工が施されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の光源から出射された光が反射面で拡散反射された後にレンズを通じて前方へ照射されるので、導光体の後面に設けた反射ドットでの反射光によって導光体の前面を発光させていた従来の車両用灯具ユニットと異なり、反射ドット近傍と他の部分とで輝度ムラを生じるようなことがなく、レンズ前面をより均一に面発光させることができる。
更に、一の光源と当該一の光源に隣り合う他の光源とのピッチが、反射面を介した当該一の光源からレンズまでの光路長よりも短くなっているので、レンズ前面を正面から見たときに、各光源が光路長をもって発光させる発光部分よりも、隣り合う当該発光部分の中間部分の方が明らかに暗くなるようなことがなく、レンズ前面を一層均一に面発光させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態における車両用灯具ユニットの側断面図である。
【図2】実施形態における車両用灯具ユニットの要部の正面図である。
【図3】実施形態における車両用灯具ユニット内の光路を説明するための図である。
【図4】実施形態の第1の変形例における車両用灯具ユニットの側断面図である。
【図5】実施形態の第2の変形例における車両用灯具ユニットの平面視での断面図である。
【図6】従来の車両用灯具ユニットを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、発明の範囲は以下の実施形態及び図示例に限定されない。
【0016】
図1は、本実施形態における車両用灯具ユニット1の側断面図であり、図2は、車両用灯具ユニット1の要部の正面図である。
車両用灯具ユニット1は、左右方向に長尺に形成されており、図1に示すように、左右に亘って一様に前方へ開口したハウジング2を備えている。
【0017】
ハウジング2の後部は、前方へ直角に屈曲されており、内側の下半面が第1反射面21を構成し、上半面が第2反射面22を構成している。これら第1反射面21及び第2反射面22は、後方又は前方へ45度の角度で傾斜した平面であり、光を拡散反射させるための表面処理として白色塗装が施された面となっている。なお、これら第1反射面21及び第2反射面22は、白色塗装された面でなく、白色に原料着色された面としてもよい。
【0018】
ハウジング2の前方には、当該ハウジング2の開口を覆うように素通しのアウターレンズ3が配置されており、このアウターレンズ3とハウジング2とで形成される灯室内には、インナーレンズ4と、複数の光源5,…と、エクステンション6とが収容されている。
【0019】
このうち、インナーレンズ4は、左右方向に長尺な透明板であり、第2反射面22の前方に位置させてハウジング2の開口端のうちの上半部を覆うように立設されている。また、インナーレンズ4の前面には、当該インナーレンズ4を透過する光を拡散させるためのシボ加工が施されている。
【0020】
光源5は、例えば発光ダイオード等の発光体であり、光軸を後方へ向けて第1反射面21の前方に配置され、ハウジング2の底面に固定された基板51に実装されている。また、光源5は、図2に示すように、左右方向に沿って所定のピッチpで複数(本実施形態では4つ)配列されている。この光源5間のピッチpは、第1反射面21及び第2反射面22を介した光源5からインナーレンズ4までの光路長Lよりも短くなっている。ここで、光路長Lとは、光源5からの光軸に沿った光が第1反射面21及び第2反射面22で正反射されるものとしたときの光路長であり、図1に示すように、光源5から第1反射面21までの後方への光路長aと、第1反射面21から第2反射面22までの上方への光路長bと、第2反射面22からインナーレンズ4までの前方への光路長cとの総和で表される。
【0021】
エクステンション6は、側面視で略L字状に形成され、光源5の前方及び上方を囲いつつハウジング2の開口端のうちの下半部を覆うように配設されている。このエクステンション6は、車両用灯具ユニット1の前方から光源5を視認できないように覆い隠すとともに、光源5からの光が第2反射面22へ直接入射しないように遮光している。
【0022】
以上の構成を具備する車両用灯具ユニット1では、図3に示すように、光源5,…から出射した光が第1反射面21で拡散反射され、第2反射面22で再び拡散反射されてから、インナーレンズ4を透過する。そして、この光は、インナーレンズ4の前面のシボ加工によって更に拡散された後に、アウターレンズ3を通じて前方へ照射される。こうして、インナーレンズ4の前面、ひいてはアウターレンズ3の前面が均一に面発光する。
【0023】
以上のように、車両用灯具ユニット1によれば、光源5,…から出射された光が第1反射面21及び第2反射面22で拡散反射された後にインナーレンズ4及びアウターレンズ3を通じて前方へ照射されるので、導光体の後面に設けた反射ドットでの反射光によって導光体の前面を発光させていた従来の車両用灯具ユニットと異なり、反射ドット近傍と他の部分とで輝度ムラを生じるようなことがなく、インナーレンズ4の前面,ひいてはアウターレンズ3の前面をより均一に面発光させることができる。
【0024】
また、光源5間のピッチpが光源5からインナーレンズ4までの光路長Lよりも短くなっているので、アウターレンズ3(インナーレンズ4)の前面を正面から見たときに、各光源5が光路長Lをもって発光させる発光部分よりも、隣り合う当該発光部分の中間部分の方が明らかに暗くなるようなことがなく、インナーレンズ4の前面,ひいてはアウターレンズ3の前面を一層均一に面発光させることができる。
【0025】
また、光源の光を導光体の側面から入射させて当該導光体の前面を発光させていた従来の車両用灯具ユニットにおいては、光源に近い側の導光体前面がより強く発光してしまうために、均一な発光を得るには光源を導光体から離間させる必要があるところ、車両用灯具ユニット1によれば、光源5,…から後方へ出射させた光を再び前方へ反射させつつアウターレンズ3(インナーレンズ4)の前面を発光させているので、インナーレンズ4と光源5,…とを上下方向に離間させる必要がなく、上下方向にコンパクトに構成することができる。
【0026】
また、光源の光を導光体の側面から入射させて当該導光体の前面を発光させていた従来の車両用灯具ユニットと異なり、導光体へ効率的に光を入射させるための入光レンズが不要であるので、更にコンパクトに、且つ低コストに構成することができる。
【0027】
また、アウターレンズ3及びインナーレンズ4に反射用の加工を施す必要がないので、導光体の後面に設けた反射ドットによって光を反射させていた従来の車両用灯具ユニットと異なり、正面から見たときに当該反射ドットが視認されるようなことがなく、商品性に優れている。
【0028】
また、光源の光を導光体の側面から入射させて当該導光体の前面を発光させていた従来の車両用灯具ユニットにおいては、均一な発光を得るために導光体を厚肉に形成する必要があるところ、車両用灯具ユニット1によれば、第1反射面21及び第2反射面22での反射光をインナーレンズ4及びアウターレンズ3に透過させているので、これらインナーレンズ4及びアウターレンズ3を厚肉に形成する必要がなく、低コストに構成することができる。
【0029】
[変形例1]
続いて、上記実施形態の第1の変形例について説明する。
【0030】
図4は、本第1の変形例における車両用灯具ユニット1Aの側断面図である。
この図に示すように、車両用灯具ユニット1Aは、光源からの光が1回だけの拡散反射で前方へ照射されるように、上記実施形態における車両用灯具ユニット1を変形したものである。この車両用灯具ユニット1Aでは、ハウジング2が反射面として第2反射面22のみを有しており、光源5,…が光軸を上方へ向けて第2反射面22の下方に配置されている。但し、この場合における左右方向での光源5間のピッチp1(図示せず)は、光源5から第2反射面22までの上方への光路長dと、第2反射面22からインナーレンズ4までの前方への光路長eとの和で表される光路長L1よりも短くなっている。また、エクステンション6は光源5,…の前方に配置されている。その他の主な構成は、上記実施形態における車両用灯具ユニット1と同様である。
【0031】
この車両用灯具ユニット1Aでは、光源5,…から出射した光が第2反射面22で拡散反射され、インナーレンズ4前面のシボ加工で更に拡散されつつ当該インナーレンズ4を透過した後に、アウターレンズ3を通じて前方へ照射される。こうして、インナーレンズ4の前面、ひいてはアウターレンズ3の前面が均一に面発光する。
【0032】
このような車両用灯具ユニット1Aによっても、上記実施形態における車両用灯具ユニット1と同様の効果を得ることができる。つまり、インナーレンズ4までの拡散反射を1回だけとした場合であっても、光路長L1を適切に確保できていれば、均一な面発光を得ることができる。
【0033】
[変形例2]
続いて、上記実施形態の第2の変形例について説明する。
【0034】
図5は、本第2の変形例における車両用灯具ユニット1Bの平面視での断面図である。
この図に示すように、車両用灯具ユニット1Bでは、第1反射面21が前後方向に短くなっているとともに、第2反射面22が前方へ開口した曲面となっている。これに伴って第2反射面22には光源5からの直接光が入射するようになるため、当該第2反射面22は、第1反射面21で拡散反射された光に加えて、光源5からの直接光もインナーレンズ4へ向けて拡散反射できるように構成されている。
【0035】
また、車両用灯具ユニット1Bは、上記実施形態における車両用灯具ユニット1と異なり、第1反射面21と第2反射面22とが左右(第1反射面21が車両内側、第2反射面22が車両外側)に配設されるような構成となっている。但し、この点については、上記車両用灯具ユニット1と当該車両用灯具ユニット1Bとで主たる特徴を異ならせるものではない。例えば、車両用灯具ユニット1と同様に、第1反射面21を上方に向け、第2反射面22を下方に向けてもよい。その他の主な構成は、上記実施形態における車両用灯具ユニット1と同様である。
【0036】
なお、車両用灯具ユニット1Bにおける光路長Lは、上記実施形態と同様に各光路長a〜cの総和として表される。但し、光源5の光軸が第2反射面22へ向けられている場合には、光路長aは光源5から第2反射面22までの当該光軸に沿った光路長である。また、当該光軸に沿ったインナーレンズ4までの光路において第2反射面22で2回反射される場合には、光路長bは第2反射面22での各反射点の間の光路長である。
【0037】
このような車両用灯具ユニット1Bによっても、上記実施形態における車両用灯具ユニット1と同様の効果を得ることができる。更に、第1反射面21を前後方向に短くしつつ第2反射面22を曲面としているため、上記実施形態における車両用灯具ユニット1に比べて前後方向への奥行きをコンパクトに構成することができる。
【0038】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態及びその変形例に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0039】
例えば、上記実施形態では、第1反射面21及び第2反射面22に白色塗装を施すこととしたが、これら第1反射面21及び第2反射面22の何れか一方に、光を正反射させるためのアルミ蒸着等の表面処理を施すこととしてもよい。この場合には、第1反射面21及び第2反射面22の両方に白色塗装を施した場合に比べ、より強い光を得ることができる。但し、この場合においては、第1反射面21よりも発光面(アウターレンズ3)に近い第2反射面22で拡散反射させた方が、発光面においてより均一な面発光を得ることができる。
【0040】
また、光源5間のピッチpは、全ての光源5の間において一定でなくともよく、複数の光源5のうちの一の光源5と当該一の光源5に隣り合う他の光源5とのピッチが、第1反射面21及び第2反射面22を介した当該一の光源5からインナーレンズ4までの光路長Lよりも短くなっていればよい。
【0041】
また、インナーレンズ4のシボ加工は、当該インナーレンズ4の前面に施さなくともよく、後面に施してもよいし、前後両面に施してもよい。また、このシボ加工は、光を拡散可能な他の方法に代えてもよく、例えばインナーレンズ4を乳白色のものにしてもよいし、インナーレンズ4に拡散剤を入れてもよい。
【0042】
また、上記実施形態の第2の変形例では、第2反射面22を曲面としたが、光源5の光をインナーレンズ4へ拡散反射できるのであれば、更に第1反射面21を曲面としてもよい。また、第1反射面21及び第2反射面22の何れか一方を正反射面としてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1,1A,1B 車両用灯具ユニット
2 ハウジング
21 第1反射面
22 第2反射面
3 アウターレンズ
4 インナーレンズ(レンズ)
5 光源
6 エクステンション
L,L1 光路長
p,p1 ピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、
前記複数の光源から出射された光を拡散反射する反射面と、
前記反射面で拡散反射された光を前方へ照射するレンズと、
を備え、
前記複数の光源は、一の光源と当該一の光源に隣り合う他の光源とのピッチが、前記反射面を介した当該一の光源から前記レンズまでの光路長よりも短くなるように、それぞれ配設されていることを特徴とする車両用灯具ユニット。
【請求項2】
前記光源から出射された光を前記反射面に向けて正反射する他の反射面を備え、
前記反射面は、前記他の反射面で正反射された光を前記レンズに向けて拡散反射することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具ユニット。
【請求項3】
前記反射面で拡散反射された光を前記レンズに向けて正反射する他の反射面を備え、
前記レンズは、前記他の反射面で正反射された光を前方へ照射することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具ユニット。
【請求項4】
前記反射面は、少なくとも一部が曲面であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の車両用灯具ユニット。
【請求項5】
前記反射面は、白色塗装された面であるか、或いは白色に原料着色された面であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の車両用灯具ユニット。
【請求項6】
前記レンズは、光源から出射された光が透過する前面及び後面の少なくとも一方に、シボ加工が施されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の車両用灯具ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−9191(P2012−9191A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142334(P2010−142334)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】