説明

車両用灯具

【課題】従来の車両用灯具では、1つのランプユニットで2つのランプ機能しか得られず、また、すれ違い用配光パターンなどのカットオフラインを有する配光パターンが得られない。
【解決手段】この発明は、リフレクタ2と、光源3と、可動シェード29と、切替装置30と、投影レンズ5と、を備える。リフレクタ2は、楕円反射面8を有する。光源3は、第1発光部材11および第2発光部材12および遮光部材10を有する。可動シェード29は、切替装置30により第1位置と第2位置との間を移動する。この結果、この発明は、カットオフラインCL1、CL2、CL3を有するすれ違い用配光パターンLPが得られる第1ランプ機能と、走行用配光パターンHPが得られる第3ランプ機能と、デイタイムランプ用配光パターンDPが得られる第3ランプ機能とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、1つのランプユニットで複数のランプ機能を有する車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具は、従来からある(たとえば、特許文献1)。この従来の車両用灯具は、1つのランプユニットで、走行用配光パターンおよびワイド用配光パターン(複合の配光パターン)が得られるランプ機能と、デイタイムランプ用配光パターンが得られるランプ機能と、を有するものである。
【0003】
ところが、前記の従来の車両用灯具は、1つのランプユニットで2つのランプ機能しか得られず、また、すれ違い用配光パターンなどのカットオフラインを有する配光パターンが得られない。
【0004】
【特許文献1】特開2007−250383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする問題点は、従来の車両用灯具では、1つのランプユニットで2つのランプ機能しか得られず、また、すれ違い用配光パターンなどのカットオフラインを有する配光パターンが得られないという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、楕円反射面を有するリフレクタと、第1発光部材および第2発光部材および遮光部材を有し、第1発光部材および第2発光部材が光源軸方向に直列に配列されていて、かつ、遮光部材が第1発光部材に光源軸方向に対して並列に隣接し、光源軸が楕円反射面の光軸に対して直交するように配置されていて、かつ、第1発光部材が楕円反射面の第1焦点もしくはその近傍に位置する光源と、エッジを有し、かつ、第1位置と第2位置との間を移動可能であり、第1位置に位置するときには、エッジが楕円反射面の第2焦点もしくはその近傍に位置して、光源の第1発光部材からの光であって、楕円反射面で反射された反射光のうち、一部の反射光をカットオフし、残りの反射光を通過させてカットオフラインを有する第1配光パターンを形成する可動シェードと、可動シェードの位置を第1位置と第2位置とに切り替える切替装置と、楕円反射面の第2焦点および可動シェードよりも前側に配置されていて、楕円反射面からの反射光を外部前方に投影する投影レンズと、を備え、光源が、遮光部材が投影レンズ側に対向して第1発光部材から投影レンズに向かう直射光を遮蔽するように、通常の取付状態から光源軸回りに所定角度回転させた状態で、リフレクタに取り付けられていて、光源の第1発光部材が点灯発光状態にあり、かつ、可動シェードが第1位置に位置するときには、カットオフラインを有する第1配光パターンが得られ、光源の第1発光部材が点灯発光状態にあり、かつ、可動シェードが第2位置に位置するときには、第2配光パターンが得られ、光源の第2発光部材が点灯発光状態にあるときには、第3配光パターンが得られる、ことを特徴とする。
【0007】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、可動シェードと光源との間には、追加リフレクタが配置されていて、追加リフレクタには、光源の第2発光部材からの光を反射させて第3配光パターンとして第2位置に位置する可動シェードを通過させて投影レンズから外部前方に投影させる追加反射面が、設けられていて、光源の遮光部材が、投影レンズおよび追加リフレクタ側に対向する、ことを特徴とする。
【0008】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、リフレクタおよび可動シェードおよび切替装置および投影レンズの下側には、追加リフレクタが配置されていて、追加リフレクタには、光源の第2発光部材からの光を反射させて第3配光パターンとして可動シェードを通過させずにかつ投影レンズを透過させずに外部前方に照射する追加反射面が、設けられていて、光源の遮光部材が、投影レンズおよび追加リフレクタ側に対向する、ことを特徴とする。
【0009】
さらにまた、この発明(請求項4にかかる発明)は、リフレクタのうち楕円反射面からの反射光が光源で遮蔽される箇所には、第1追加リフレクタが設けられていて、第1追加リフレクタには、光源の第1発光部材および第2発光部材からの光を光源とリフレクタとの取付箇所側と反対側に反射させる第1追加反射面が設けられていて、第1追加反射面からの反射光の光路中には、第2追加リフレクタが設けられていて、第2追加リフレクタには、第1追加反射面からの反射光を反射させて補助配光パターンとして可動シェードを通過させて投影レンズから外部前方に投影させる第2追加反射面が、設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、プロジェクタタイプのランプユニットの光源の第1発光部材を点灯発光させ、かつ、可動シェードを第1位置に位置させると、第1発光部材から放射される光が楕円反射面で第1位置に位置する可動シェード側に反射され、その反射光の一部が第1位置に位置する可動シェードでカットオフされ、残りの反射光が第1位置に位置する可動シェードを通過してカットオフラインを有する第1配光パターンとして形成され、カットオフラインを有する第1配光パターンが投影レンズを透過して外部前方に投影される。また、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、プロジェクタタイプのランプユニットの光源の第1発光部材を点灯発光させ、かつ、可動シェードを第2位置に位置させると、第1発光部材から放射される光が楕円反射面で第2位置に位置する可動シェード側に反射され、その反射光が第2位置に位置する可動シェードを通過して第2配光パターンとして投影レンズを透過して外部前方に投影される。さらに、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、プロジェクタタイプのランプユニットの光源の第2発光部材を点灯発光させると、第2発光部材から放射される光が第3配光パターンとして外部前方に照射される。このように、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、1つのプロジェクタタイプのランプユニットで、カットオフラインを有する第1配光パターンが得られる第1ランプ機能と、第2配光パターンが得られる第2ランプ機能と、第3配光パターンが得られる第3ランプ機能と、を有するものである。特に、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、カットオフラインを有する第1配光パターンが得られるものである。
【0011】
しかも、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、プロジェクタタイプのランプユニットを使用し、光源の第1発光部材を楕円反射面の第1焦点もしくはその近傍に配置させ、かつ、第1位置に位置する可動シェードのエッジを楕円反射面の第2焦点もしくはその近傍に配置させるものである。このために、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、光源の第1発光部材を点灯発光させることにより、確実に、カットオフラインを有する第1配光パターンが得られるものである。
【0012】
その上、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、遮光部材が投影レンズ側に対向して光源の第1発光部材から投影レンズに向かう直射光を遮蔽するように、光源を通常の取付状態から光源軸回りに所定角度回転させた状態でリフレクタに取り付けている。このために、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、光源の第1発光部材を点灯発光させた際に、第1発光部材から投影レンズに向かう直射光を遮光部材により遮蔽することができるので、グレアを確実に排除することができ、その結果、カットオフラインを有する第1配光パターンが確実に得られるものである。
【0013】
さらに、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、光源を通常の取付状態から光源軸回りに所定角度回転させることにより、第1発光部材が遮光部材に遮蔽されずに楕円反射面側に対向するので、第1発光部材からの光であって、通常の取付状態の場合においては遮光部材で遮蔽される光を楕円反射面に入射させることができ、その結果、第1発光部からの大部分の光を有効に利用することができる。一方、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、光源を通常の取付状態から光源軸回りに所定角度回転させることにより、遮光部材が投影レンズの近傍側にも対向するので、第1発光部から投影レンズの近傍側に進む光が遮光部材で遮蔽されるが、第1発光部から投影レンズの近傍側に進む光は通常の取付状態の場合においては有効に利用されていない光であるから、第1発光部から投影レンズの近傍側に進む光を遮光部材で遮蔽してもカットオフラインを有する第1配光パターンおよび第2配光パターンの形成にはなんら支障が無い。
【0014】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、光源の第2発光部材を点灯発光させかつ可動シェードを第2位置に位置させると、光源の第2発光部材からの光が追加リフレクタの追加反射面で反射して第3配光パターンとして第2位置に位置する可動シェードを通過して投影レンズから外部前方に投影される。この結果、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、追加反射面および投影レンズで制御された第3配光パターンが確実に得られる。しかも、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、光源の第2発光部材を点灯発光させかつ可動シェードを第2位置に位置させると、光源の第2発光部材からの光がリフレクタの楕円反射面で反射して補助配光パターンとして第2位置に位置する可動シェードを通過して投影レンズから外部前方に投影されるので、第3配光パターンと補助配光パターンとが得られ、光源の第2発光部材からの光を有効に利用することができる。
【0015】
特に、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、追加リフレクタが可動シェードと光源との間、すなわち、可動シェードの裏側に配置されているので、投影レンズ側から見た場合(車両用灯具の正面視)において、追加リフレクタが可動シェードより外側に突出しないので、追加リフレクタを設けても、車両用灯具の正面視の大きさを大きくすることなく既存の車両用灯具と同一の大きさで、3つのランプ機能を有することができる。
【0016】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、光源の第2発光部材を点灯発光させると、光源の第2発光部材からの光が追加リフレクタの追加反射面で反射して第3配光パターンとして可動シェードを通過せずかつ投影レンズを透過せずに外部前方に照射されるので、第3配光パターンが確実に得られる。しかも、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、可動シェードを通過せずに第3配光パターンを得ることができるので、可動シェードが第1位置に位置してもまた第2位置に位置しても第3配光パターンを得ることができ、その結果、切替装置を駆動させずに第3配光パターンを得ることができる。その上、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、光源の第2発光部材を点灯発光させかつ可動シェードを第2位置に位置させると、光源の第2発光部材からの光がリフレクタの楕円反射面で反射して補助配光パターンとして第2位置に位置する可動シェードを通過して投影レンズから外部前方に投影されるので、第3配光パターンと補助配光パターンとが得られ、光源の第2発光部材からの光を有効に利用することができる。
【0017】
さらにまた、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用灯具は、第1追加リフレクタの第1追加反射面および第2追加リフレクタの第2追加反射面により、リフレクタの楕円反射面からの反射光であって、光源で遮蔽される反射光を補助配光パターンとして有効に利用することができる。しかも、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用灯具は、第1追加リフレクタの第1追加反射面および第2追加リフレクタの第2追加反射面により、光源の第1発光部材および第2発光部材からの光を補助配光パターンとして可動シェードを通過させて投影レンズから外部前方に投影させるので、第1追加反射面および第2追加反射面および投影レンズで制御された補助配光パターンが確実に得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明にかかる車両用灯具の実施例のうちの5例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。図面において、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。符号「V−V」は、上下の垂直線を示す。符号「H−H」は、左右の水平線を示す。また、この明細書あるいは特許請求の範囲において、「上、下、前、後、左、右」は、この発明にかかる車両用灯具を車両に装備した際の「上、下、前、後、左、右」である。
【実施例1】
【0019】
図1〜図10は、この発明にかかる車両用灯具の実施例1を示す。この実施例1における車両用灯具は、たとえば、カットオフラインを有するすれ違い用配光パターン(第1配光パターン)と、走行用配光パターン(第2配光パターン)と、デイタイムランプ用配光パターン(第3配光パターン)と、が得られる自動車のプロジェクタタイプのヘッドランプについて説明する。なお、この実施例1における車両用灯具は、自動車(車両)が左側通行の場合について説明する。自動車(車両)が右側通行の場合の車両用灯具は、この左側通行の車両用灯具と左右逆となる。
【0020】
以下、この実施例1における車両用灯具の構成について説明する。この実施例1における車両用灯具は、自動車(車両)の前部の右側に装備される右側の車両用灯具(以下、「右側ヘッドランプ」と称する)と、自動車(車両)の前部の左側に装備される左側の車両用灯具(以下、「左側ヘッドランプ」と称する)と、から構成されている。
【0021】
以下、前記右側ヘッドランプの構成について説明する。なお、前記左側ヘッドランプと前記右側ヘッドランプとは、ほぼ左右対称(左右逆)に構成されているので、前記左側ヘッドランプの構成の説明は、省略する。
【0022】
前記右側ヘッドランプは、1つのプロジェクタタイプのランプユニット1(以下、単に「ランプユニット1」と称する)と、ランプハウジング(図示せず)と、図示しないランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)と、を備えるものである。前記ランプユニット1は、前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画されている灯室(図示せず)内に、たとえば光軸調整機構(図示せず)を介して配置されている。なお、前記灯室内には、前記ランプユニット1以外の他のランプユニットを配置しても良い。
【0023】
前記ランプユニット1は、リフレクタ2と、光源3と、可動シェード29および固定シェード4と、切替装置30と、投影レンズ5と、フレーム部材6と、追加リフレクタ7と、を備えるものである。
【0024】
前記リフレクタ2は、前側(前記ランプユニット1の光の照射方向側、投影レンズ5側)が開口し、かつ、後側が閉塞した中空の凹形状をなす。前記リフレクタ2の内凹面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、楕円反射面8が形成されている。また、前記リフレクタ2の後側の閉塞部のうち、車両中央側(左側)の側部(側壁)には、前記光源3挿入用の透孔9が設けられている。
【0025】
前記楕円反射面8は、前記光源4から放射される光を前側すなわち前記固定シェード4および前記投影レンズ5側に反射させるものである。前記楕円反射面8は、楕円を基本(基準、基調)とする自由曲面(NURBS曲面)の反射面である。前記の楕円を基本とする自由曲面(NURBS曲面)の反射面とは、図3、図4、図5、図9の垂直断面が楕円をなし、かつ、図2の水平断面が放物線ないし変形放物線をなす反射面からなるものである。前記楕円反射面8は、第1焦点F1と、第2焦点F2と、光軸Z−Zと、を有する。前記第2焦点F2は、水平断面上の焦線、すなわち、上(平面)から見て両端が前側に位置し中央が後側に位置するような湾曲した焦線となる。前記楕円反射面8の自由曲面(NURBS曲面)は、「Mathematical Elements for Computer Graphics」(Devid F. Rogers、J Alan Adams)に記載されているNURBSの自由曲面(Non-Uniform Rational B-Spline Surface)である。なお、前記楕円反射面8は、第1焦点と第2焦点と光軸とを有する単なる回転楕円面からなる反射面であっても良い。この場合、第2焦点は、焦線ではなく焦点となる。前記リフレクタ2の内凹面の前記楕円反射面8は、光の放射範囲が半導体型光源と比較して広い前記光源3からの光を広い範囲に亘って反射させることができる。これにより、前記光源3からの光を広い範囲に亘って有効に利用することができる。
【0026】
前記光源3は、たとえば、H4タイプのハロゲン電球を使用する。前記光源3は、第1発光部材11(サブフィラメント)と、第2発光部材12(メインフィラメント)と、遮光部材10(シェード)と、ガラス管球13と、口金14と、遮光膜15(ブラックトップ、遮光塗装)を有するものである。前記ガラス管球13は、一端が開口しかつ他端が閉塞した中空状の円筒形状をなす。前記ガラス管球13中には、前記第1発光部材11および前記第2発光部材12および前記遮光部材10がそれぞれ収納されている。前記ガラス管球13の一端開口部には、前記口金14が取り付けられている。また、前記ガラス管球13の他端閉塞部には、前記遮光膜15が設けられている。前記光源3としては、このH4タイプのハロゲン電球以外に、たとえば、HB2バルブ、または、H15バルブを使用しても良い。
【0027】
前記第1発光部材11および前記第2発光部材12は、ほぼ小円柱形状をなす。一方、前記遮光部材10は、前記第1発光部材11の一部を覆う円筒形の一部の形状をなし、開口部27と閉塞部28とを有する。前記第1発光部材11および前記第2発光部材12は、前記第1発光部材11の軸および前記第2発光部材12の軸が光源軸(バルブ軸)ZB−ZBと一致するように、前記光源軸ZB−ZB方向に直列に配列されている。前記遮光部材10は、前記第1発光部材11に前記光源軸ZB−ZB方向に対して並列に隣接している。また、前記遮光部材10の軸と前記光源軸ZB−ZBとは、一致する。さらに、前記遮光部材10の開口部27は、軸の中心角が約195°の範囲において開口し、かつ、前記楕円反射面8側に対向する。一方、前記遮光部材10の閉塞部28は、軸の中心角が約165°の範囲において閉塞し、かつ、前記投影レンズ5および前記追加リフレクタ7側に対向する。
【0028】
前記光源3は、前記リフレクタ2の前記透孔9から前記リフレクタ2内に、車両中央側から車両外側(右側)に挿入された状態で、前記口金14を介して前記リフレクタ2の前記透孔9の縁に着脱可能に取り付けられている。前記光源3は、前記リフレクタ2に、前記光源軸ZB−ZBが前記楕円反射面8の前記光軸Z−Zに対して左右水平に直交(ほぼ直交も含む)するように、配置されている。
【0029】
前記光源3の前記第1発光部材11は、前記楕円反射面8の前記第1焦点F1もしくはその近傍に位置する。この結果、前記楕円反射面8は、前記光源3の前記第1発光部材11を主に考慮されて設計されている。また、前記光源3の前記第2発光部材12は、前記追加リフレクタ7の追加反射面16の第1焦点F3もしくはその近傍に位置する。この結果、前記追加反射面16は、前記光源3の前記第2発光部材12を主に考慮されて設計されている。
【0030】
前記光源3は、前記第1発光部材11からの光L1のうち少なくとも前記追加リフレクタ7の前記追加反射面16に入射する光L2(図3および図4中の破線矢印で示す)を前記遮光部材10により遮蔽するために、通常の取付状態(図10(A)に示す状態)から前記光源軸ZB−ZB回りに所定角度、この例では、時計方向に約90°回転させた状態(図10(B)に示す状態)で、前記リフレクタ2に取り付けられている。
【0031】
前記固定シェード4は、製造コストが安価である板部材からなり、前記リフレクタ2の前側の開口部全体を覆う板形状をなす。前記固定シェード4の中央部には、開口部17が設けられている。
【0032】
前記可動シェード29は、前記固定シェード4と同様に、製造コストが安価である板部材からなり、前記固定シェード4の前記解雇凹部17の下側の縁に第1位置(図3に示す位置であって、上の位置)と第2位置(図4に示す位置であって、下の位置)との間を移動可能に配置されている。前記可動シェード29の位置は、前記切替装置30により、前記第1位置と前記第2位置とに切り替えられる。
【0033】
前記可動シェード29は、前記第1位置に位置するときには、図3に示すように、前記光源3の前記第1発光部材11からの光L1であって、前記楕円反射面8から前記投影レンズ5に向かう反射光の一部L10をカットオフ(遮蔽)し、かつ、前記開口部17を通過して前記可動シェード29によりカットオフ(遮蔽)されなかった残りの反射光L3で、カットオフライン(下水平カットオフラインCL1、斜めカットオフラインCL2、上水平カットオフラインCL3)とエルボー点E(下水平カットオフラインCL1と斜めカットオフラインCL2との交点)を有する第1配光パターンとしてのすれ違い用配光パターンLP(図7(A)および図8(A)を参照)を形成するものである。前記エルボー点Eは、スクリーンの上下の垂直線VU−VD上であって、スクリーンの左右の水平線HL−HRよりも下に位置して、前記すれ違い用配光パターンLPの光度値を測定するポイントの基準となる。
【0034】
また、前記可動シェード29は、前記第2位置に位置するときには、図4に示すように、前記光源3の前記第1発光部材11からの光L1であって、前記可動シェード29によりカットオフされていた前記楕円反射面8から前記投影レンズ5に向かう反射光の一部L10を前記可動シェード29でカットオフせず、前記残りの反射光L3と共に前記可動シェード29を通過させて、第2配光パターンとしての走行用配光パターンHP(図7(B)および図8(B)を参照)を形成するものである。
【0035】
さらに、前記可動シェード29は、前記第2位置に位置するときには、図5に示すように、前記光源3の前記第2発光部材12からの光L4であって、前記楕円反射面8から前記投影レンズ5に向かう反射光L5を前記可動シェード29を通過させて、補助用配光パターンSP(図7(C)および図8(C)を参照)を形成するものである。
【0036】
さらにまた、前記可動シェード29は、前記第2位置に位置するときには、図5に示すように、前記光源3の前記第2発光部材12からの光L4であって、前記追加リフレクタ7の前記追加反射面16で反射された反射光L6を前記可動シェード29を通過させて、第3配光パターンとしてのデイタイムランプ用配光パターンDP(図7(C)および図8(C)を参照)を形成するものである。
【0037】
前記可動シェード29の上縁には、エッジ(上水平エッジ18、斜めエッジ19、下水平エッジ20)とエルボー点21(上水平エッジ18と斜めエッジ19との交点)とがそれぞれ設けられている。前記エッジ(上水平エッジ18、斜めエッジ19、下水平エッジ20)と前記エルボー点21は、前記すれ違い用配光パターンLPの前記カットオフライン(下水平カットオフラインCL1、CL11斜めカットオフラインCL2、CL21、上水平カットオフラインCL3、CL31)と前記エルボー点Eをそれぞれ形成するものである。前記エルボー点21は、前記投影レンズ5のレンズ焦点(図示せず)もしくはその近傍、あるいは、前記楕円反射面8の第2焦点F2もしくはその近傍に位置する。また、前記エルボー点21は、前記楕円反射面8の前記光軸Z−Z上もしくはその近傍に位置する。
【0038】
前記可動シェード29は、前記楕円反射面8からの反射光の一部であって、前記すれ違い用配光パターンLPのカットオフラインCL1、CL2、CL3よりも上側に照射される反射光をカットオフ(遮蔽)するものである。一方、前記固定シェード4の前記開口部17よりも上側の部分は、前記楕円反射面8からの反射光の一部であって、前記すれ違い用配光パターンLPの下側に照射される反射光をカットオフ(遮蔽)するものである。
【0039】
前記切替装置30は、前記可動シェード29の位置を前記第1位置と前記第2位置に切り替えるものである。前記切替装置30は、バネ部材31と、駆動ユニットとしてのソレノイド32と、から構成されている。
【0040】
前記バネ部材31は、この例では、SUS(バネ鋼板)などの弾性を有する薄板構造からなる。前記バネ部材31は、図6に示すように、左右両端部分のお互いに向き合った半円形部分が上下中央部分の水平部分を介して相互に連結されている構造をなす。前記バネ部材7の上側中央部と、前記ソレノイド32の進退ロッド(プランジャ)33の上端部と、前記可動シェード29の下端部とは、結合されている。
【0041】
前記ソレノイド32が非駆動時(非通電時)には、前記バネ部材31のバネ力により、前記可動シェード29が前記第1位置に位置する。このとき、前記固定シェード4が前記可動シェード29の第1位置を位置決めするストッパを構成する。また、前記ソレノイド32が駆動時(通電時)には、前記バネ部材31のバネ力に抗して前記進退ロッド33が後退しかつ前記バネ部材31が弾性変形して、前記可動シェード29が前記第1位置から第2位置に切り替わる。さらに、前記ソレノイド32への通電を遮断すると、弾性変形していた前記バネ部材31の弾性復帰力により、前記バネ部材31が元の状態に戻りかつ前記進退ロッド33が前進して、前記可動シェード29が前記第位2置から第1位置に切り替わる。
【0042】
前記投影レンズ5は、非球面レンズの凸レンズである。前記投影レンズ5の前方側は、凸非球面をなし、一方、前記投影レンズ5の後方側は、平非球面(平面)をなす。前記投影レンズ5は、図示しないレンズ焦点(物空間側の焦点面であるメリジオナル像面)と、レンズ光軸(図示せず)と、を有する。前記投影レンズ5のレンズ焦点と前記楕円反射面8の前記第2焦点F2とは、一致(ほぼ一致も含む)する。したがって、前記投影レンズ5のレンズ焦点は、前記楕円反射面8の前記第2焦点F2と同様に焦線である。また、前記投影レンズ5の光軸と、前記楕円反射面8の前記光軸Z−Zとは、一致(ほぼ一致も含む)する。なお、前記投影レンズ5の光軸と、前記楕円反射面8の前記光軸Z−Zとは、左右にずれていても良い。また、前記投影レンズ5のレンズ焦点は、前記楕円反射面8が単なる回転楕円面からなる反射面である場合、前記楕円反射面8の前記第2焦点F2と同様に焦線ではなく焦点となる。前記投影レンズ5は、前記可動シェード29により形成された前記すれ違い用配光パターンLP、および、前記走行用配光パターンHP、および、前記補助用配光パターンSP、および、前記デイタイムランプ用配光パターンDPを外部前方(車両前方)に投影(照射)するものである。
【0043】
前記フレーム部材6は、筒形状をなす。前記フレーム部材6の前端の内周面には、前記投影レンズ5の全周縁がリング状のリム22(もしくは、クリップ)を介して取り付けられている。この結果、前記投影レンズ5は、前記フレーム部材6に固定保持されている。また、前記リフレクタ2および前記固定シェード4および前記追加リフレクタ7および前記切替装置30も、前記フレーム部材6に固定保持されている。
【0044】
前記追加リフレクタ7は、前記可動シェード29と前記光源3との間、すなわち、前記可動シェード29の裏側に配置されている。前記追加リフレクタ7の前記光源3と対向する面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、追加反射面16が形成されている。前記追加反射面16は、楕円を基本(基準、基調)とする回転楕円面もしくは自由曲面(NURBS曲面)の反射面である。前記追加反射面16の第1焦点F3は、前記光源3の前記第2発光部材12もしくはその近傍に位置する。また、前記追加反射面16の第2焦点F4は、前記投影レンズ5の後側焦点もしくはその近傍、あるいは、前記楕円反射面8の前記第2焦点F2もしくはその近傍に位置する。なお、前記追加反射面16の第2焦点F4は、前記投影レンズ5の後側焦点あるいは前記楕円反射面8の前記第2焦点F2の下側に位置することが好ましい。すなわち、前記追加反射面16で形成される前記デイタイムランプ用配光パターンDPが前記すれ違い用配光パターンLPのカットオフラインCCL1、CL2、CL3よりも上方に確実に配光されるように、前記追加反射面16からの反射光L6が前記投影レンズ5の後側焦点あるいは前記楕円反射面8の前記第2焦点F2の下側を通るようにすることが好ましい。なお、前記追加反射面16の自由曲面(NURBS曲面)は、前記楕円反射面8と同様に、「Mathematical Elements for Computer Graphics」(Devid F. Rogers、J Alan Adams)に記載されているNURBSの自由曲面(Non-Uniform Rational B-Spline Surface)である。
【0045】
前記追加反射面16は、前記光源3の前記第2発光部材12からの光L4を反射させ、その反射光L6で第2配光パターンとしての前記デイタイムランプ用配光パターンDP(図7(C)および図8(C)を参照)を形成し、前記デイタイムランプ用配光パターンDPを前記第2位置に位置する前記可動シェード29を通過させてかつ前記投影レンズ5を透過させて外部前方(車両前方)に照射するものである。
【0046】
この実施例1における車両用灯具は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。なお、図7および図8中の符号「24」は、センターラインを示し、符号「25」は、左側の路肩を示し、符号「26」は、右側の路肩を示す。
【0047】
まず、ソレノイド32への通電を遮断して可動シェード29を第1位置に位置させ、かつ、ランプユニット1の光源3の第1発光部材11を点灯発光させる。すると、図3に示すように、この第1発光部材11から放射され、かつ、光源3の遮光部材10に遮蔽されなかった光L1は、リフレクタ2の楕円反射面8に入射してその楕円反射面8で反射する。この反射光の一部L10が第1位置に位置する可動シェード29でカットオフ(遮蔽)され、残りの反射光L3が可動シェード29を通過して、図7(A)および図8(A)に示すように、カットオフラインCL1、CL2、CL3を有する第1配光パターンとしてのすれ違い用配光パターンLPに形成される。このすれ違い用配光パターンLPは、投影レンズ5を透過して車両の前方に投影される。このとき、光源3の第1発光部材11から放射されて追加リフレクタ7の追加反射面16に入射しょうとする光L2、および、光源3の第1発光部材11から放射されて可動シェード29を通過して投影レンズ5に直接向かう直射光(図示せず)は、光源3の遮光部材10により遮蔽される。
【0048】
つぎに、光源3の第1発光部材11を点灯発光させた状態で、ソレノイド32に通電する。すると、図4に示すように、ソレノイド32の進退ロッド33がバネ部材31のバネ力に抗して後退する。これに伴って、バネ部材31が弾性変形し、かつ、第1位置に位置する可動シェード29が第2位置に切り替わる。これにより、第1位置に位置する可動シェード29でカットオフされていた楕円反射面8からの反射光の一部L10が可動シェード29によりカットオフされず残りの反射光L3と共に可動シェード29を通過して、図7(B)および図8(B)に示すように、走行用配光パターンHPを形成する。この走行用配光パターンHPは、投影レンズ5を透過して車両の前方に投影される。このとき、光源3の第1発光部材11から放射されて追加リフレクタ7の追加反射面16に入射しょうとする光L2、および、光源3の第1発光部材11から放射されて可動シェード29を通過して投影レンズ5に直接向かう直射光(図示せず)は、光源3の遮光部材10により遮蔽される。
【0049】
それから、光源3の第1発光部材11を点灯発光させた状態で、ソレノイド32への通電を遮断する。すると、図3に示すように、弾性変形していたバネ部材31が弾性復帰力により元の状態に戻り、それに伴って、ソレノイド32の進退ロッド33が前進して、可動シェード29が第2位置から第1位置に切り替わる。これにより、配光パターンが走行用配光パターンHPからすれ違い用配光パターンLPに切り替わる。
【0050】
つづいて、ソレノイド32に通電して可動シェード29を第2位置に位置させ、かつ、ランプユニット1の光源3の第2発光部材12を点灯発光させる。すると、図5に示すように、この第2発光部材12から放射された光L4の一部は、追加リフレクタ7の追加反射面16に入射してその追加反射面16で反射する。この反射光L6は、図7(C)および図8(C)に示すように、第3配光パターンとしてのデイタイムランプ用配光パターンDPに形成される。このデイタイムランプ用配光パターンDPは、可動シェード20を通過してかつ投影レンズ5を透過して車両の前方に照射される。
【0051】
また、図5に示すように、この第2発光部材12から放射された光L4の他の一部は、楕円反射面8に入射してその楕円反射面8で反射する。この反射光L5は、可動シェード29を通過して、図7(C)および図8(C)に示すように、補助用配光パターンSPに形成される。この補助用配光パターンSPは、投影レンズ5を透過して車両の前方に投影される。
【0052】
この補助用配光パターンSPと前記のデイタイムランプ用配光パターンDPとを重畳させた配光パターンにおいて、所定の複数のポイント上で所定の光度(たとえば、400〜1200cd(カンデラ)の光度)を有し、かつ、所定の色(たとえば、白色)の光であれば、デイタイムランプ用配光パターンとしての要件を満たす。
【0053】
ここで、図2に示すように、ランプユニット1の光源3の第1発光部材11と第2発光部材12とは、光源軸ZB−ZB方向に直列に配列されている。また、ランプユニット1の光源3の第1発光部材11は、楕円反射面8の光軸Z−Zおよび第1焦点F1上に位置する。さらに、ランプユニット1の光源3は、車両中央側から車両外側に挿入されている。このために、第2発光部材12は、第1発光部材11よりも車両中央側に位置する。すなわち、この実施例1の右側ヘッドランプのランプユニット1場合には、第2発光部材12は、第1発光部材11および楕円反射面8の第1焦点F1よりも左側に位置する。この結果、楕円反射面8の第1焦点F1に対して左側にずれている(焦点ずれしている)第2発光部材12の発光により得られる補助用配光パターンSPの右端および左端は、第1発光部材11の発光により得られる走行用配光パターンHPの右端および左端に対して、図7に示すように、それぞれ寸法T1およびT2分左側にずれている。この右側ヘッドランプのランプユニット1により、左側路肩25の視認性が向上される。
【0054】
一方、説明を省略した左側ヘッドランプのランプユニット場合には、第2発光部材12は、第1発光部材11および楕円反射面8の第1焦点F1よりも右側に位置する。この結果、楕円反射面8の第1焦点F1に対して右側にずれている(焦点ずれしている)第2発光部材12の発光により得られる補助用配光パターンSPの左端および右端は、第1発光部材11の発光により得られる走行用配光パターンHPの左端および右端に対して、図8に示すように、それぞれ寸法T3およびT4分右側にずれている。この左側ヘッドランプのランプユニット1により、右側路肩26の視認性が向上される。
【0055】
図7(A)に示す右側ヘッドランプのランプユニット1によるすれ違い用配光パターンLPと、図8(A)に示す左側ヘッドランプのランプユニットによるすれ違い用配光パターンLPとは、同一形状(ほぼ同一形状をも含む)をなす。図7(A)に示す右側ヘッドランプのランプユニット1によるすれ違い用配光パターンLPと、図8(A)に示す左側ヘッドランプのランプユニットによるすれ違い用配光パターンLPとを重畳させることにより、この実施例1における車両用灯具のすれ違い用の配光パターンが得られるものである。
【0056】
また、図7(B)に示す右側ヘッドランプのランプユニット1による走行用配光パターンHPと、図8(B)に示す左側ヘッドランプのランプユニットによる走行用配光パターンHPとは、同一形状(ほぼ同一形状をも含む)をなす。図7(B)に示す右側ヘッドランプのランプユニット1による走行用配光パターンHPと、図8(B)に示す左側ヘッドランプのランプユニットによる走行用配光パターンHPとを重畳させることにより、この実施例1における車両用灯具の走行用の配光パターンが得られるものである。
【0057】
さらに、図7(C)に示す右側ヘッドランプのランプユニット1によるデイタイムランプ用配光パターンDPと、図8(C)に示す左側ヘッドランプのランプユニットによるデイタイムランプ用配光パターンDPとは、同一形状(ほぼ同一形状をも含む)をなす。一方、図7(C)に示す右側ヘッドランプのランプユニット1による補助用配光パターンSPと、図8(C)に示す左側ヘッドランプのランプユニットによる補助用配光パターンSPとは、左右両端部の形状がそれぞれ異なる。図7(C)に示す右側ヘッドランプのランプユニット1による補助用配光パターンSPおよびデイタイムランプ用配光パターンDPと、図8(C)に示す左側ヘッドランプのランプユニットによる補助用配光パターンSPおよびデイタイムランプ用配光パターンDPとを重畳させることにより、この実施例1における車両用灯具のデイタイムランプ用の配光パターンが得られるものである。
【0058】
この実施例1における車両用灯具は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0059】
この実施例1における車両用灯具(右側ヘッドランプおよび左側ヘッドランプ)は、ランプユニット1の光源3の第1発光部材11を点灯発光させ、かつ、可動シェード29を第1位置に位置させる。すると、図3に示すように、第1発光部材11から放射される光L1が楕円反射面8で第1位置に位置する可動シェード29側に反射される。その反射光の一部L10が第1位置に位置する可動シェード29でカットオフされ、残りの反射光L3が第1位置に位置する可動シェード29を通過して、図7(A)および図8(A)に示すように、カットオフラインCL1、CL2、CL3を有する第1配光パターンとしてのすれ違い用配光パターンLPが形成される。カットオフラインCL1、CL2、CL3を有するすれ違い用配光パターンLPが投影レンズ5を透過して外部前方に投影される。
【0060】
また、この実施例1における車両用灯具は、ランプユニット1の光源3の第1発光部材11を点灯発光させ、かつ、可動シェード29を第2位置に位置させる。すると、図4に示すように、第1発光部材11から放射される光L1が楕円反射面8で第2位置に位置する可動シェード29側に反射され、その反射光L3、L10が第2位置に位置する可動シェード29を通過して、図7(B)および図8(B)に示すように、第2配光パターンとしての走行用配光パターンHPが投影レンズ5を透過して外部前方に投影される。すなわち、ランプユニット1の光源3の第1発光部材11を点灯発光させ、かつ、可動シェード29を第2位置に位置させると、第1位置に位置する可動シェード29でカットオフされていた楕円反射面8からの反射光の一部L10が可動シェード29によりカットオフされず残りの反射光L3と共に可動シェード29を通過して走行用配光パターンHPを形成する。
【0061】
さらに、この実施例1における車両用灯具は、ランプユニット1の光源3の第2発光部材12を点灯発光させ、かつ、可動シェード29を第2位置に位置させる。すると、図5に示すように、第2発光部材12から放射される光L4の一部が追加リフレクタ7の追加反射面16に入射してその追加反射面16で反射する。この反射光L6は、図7(C)および図8(C)に示すように、第3配光パターンとしてのデイタイムランプ用配光パターンDPに形成される。このデイタイムランプ用配光パターンDPは、可動シェード20を通過してかつ投影レンズ5を透過して車両の前方に照射される。
【0062】
また、図5に示すように、この第2発光部材12から放射された光L4の他の一部は、楕円反射面8に入射してその楕円反射面8で反射する。この反射光L5は、可動シェード29を通過して、図7(C)および図8(C)に示すように、補助用配光パターンSPに形成される。この補助用配光パターンSPは、デイタイムランプ用配光パターンDPと共に投影レンズ5を透過して車両の前方に投影される。
【0063】
このように、この実施例1における車両用灯具は、1つのプロジェクタタイプのランプユニット1で、カットオフラインCL1、CL2、CL3を有する第1配光パターンとしてのすれ違い用配光パターンLPが得られる第1ランプ機能と、第2配光パターンとしての走行用配光パターンHPが得られる第2ランプ機能と、第3配光パターンとしてのデイタイムランプ用配光パターンDP(補助用配光パターンSPを含む)が得られる第3ランプ機能と、を有するものである。特に、この実施例1における車両用灯具は、カットオフラインCL1、CL2、CL3を有する第1配光パターンとしてのすれ違い用配光パターンLPが得られるものである。
【0064】
しかも、この実施例1における車両用灯具は、プロジェクタタイプのランプユニット1を使用し、光源3の第1発光部材11を楕円反射面8の第1焦点F1もしくはその近傍に配置させ、かつ、第1位置に位置する可動シェード29のエッジ18、19、20を楕円反射面8の第2焦点F2もしくはその近傍に配置させるものである。このために、この実施例1における車両用灯具は、光源3の第1発光部材11を点灯発光させることにより、確実に、カットオフラインCL1、CL2、CL3を有する第1配光パターンとしてのすれ違い用配光パターンLPが得られるものである。
【0065】
その上、この実施例1における車両用灯具は、光源3の遮光部材10が投影レンズ5側に対向して光源3の第1発光部材11から投影レンズ5に直接向かう直射光(図示せず)を遮蔽するように、光源3を通常の取付状態(図10(A)に示す状態)から光源軸ZB−ZB回りに所定角度(この例では、時計方向に90°)回転させた状態(図10(B)に示す状態)でリフレクタ2に取り付けている。このために、この実施例1における車両用灯具は、光源3の第1発光部材11を点灯発光させた際に、第1発光部材11から投影レンズ5に向かう直射光を遮光部材10により遮蔽することができるので、グレアを確実に排除することができる。その結果、カットオフラインCL1、CL2、CL3を有する第1配光パターンとしてのすれ違い用配光パターンLPが確実に得られるものである。
【0066】
さらに、この実施例1における車両用灯具は、光源3を通常の取付状態(図10(A)に示す状態)から光源軸ZB−ZB回りに所定角度、この例では、時計方向に約90°回転させることにより、遮光部材10の開口部27が楕円反射面8側に対向し、すなわち、第1発光部材11が遮光部材10に遮蔽されずに楕円反射面8側に対向する。このために、第1発光部材11からの光L1(図3および図4中の下向きの矢印にて示す第1発光部材11から楕円反射面8に入射する光)であって、図9に示す通常の取付状態の場合においては遮光部材10で遮蔽される光L9(図9中の二点鎖線にて示す)を、図3および図4に示すように楕円反射面8に入射させることができ、その結果、第1発光部11からの大部分の光を有効に利用することができる。
【0067】
一方、この実施例1における車両用灯具は、光源3を通常の取付状態(図10(A)に示す状態)から光源軸ZB−ZB回りに所定角度、この例では、時計方向に約90°回転させることにより、遮光部材10の閉塞部28が、固定シェード4側に対向するので、第1発光部11から固定シェード4側に進む光が遮光部材10で遮蔽されるが、第1発光部11から固定シェード4側に進む光は図9に示す通常の取付状態の場合においては有効に利用されていない光L7、L8であるから、第1発光部11から固定シェード4側に進む光(たとえば、図9中の光L7、L8)を遮光部材10で遮蔽してもカットオフラインCL1、CL2、CL3(およびエルボー点E)を有する第1配光パターンとしてのすれ違い用配光パターンLPおよび第2配光パターンとしての走行用配光パターンHPの形成にはなんら支障が無い。
【0068】
また、この実施例1における車両用灯具は、光源3の第2発光部材12を点灯発光させかつ可動シェード29を第2位置に位置させると、光源3の第2発光部材12からの光L4が追加リフレクタ7の追加反射面16で反射してその反射光L6で第3配光パターンとしてのデイタイムランプ用配光パターンDPに形成され、このデイタイムランプ用配光パターンDPが第2位置に位置する可動シェード29を通過して投影レンズ5を透過して外部前方に投影される。この結果、この実施例1における車両用灯具は、追加反射面16および投影レンズ5で制御された第3配光パターンとしてのデイタイムランプ用配光パターンDPが確実に得られる。しかも、この実施例における車両用灯具は、光源3の第2発光部材12を点灯発光させかつ可動シェード29を第2位置に位置させると、光源3の第2発光部材12からの光L4がリフレクタ2の楕円反射面8で反射してその反射光L5で補助配光パターンSPが形成され、この補助配光パターンSPが第2位置に位置する可動シェード29を通過して投影レンズ5を透過して外部前方に投影されるので、第3配光パターンとしてのデイタイムランプ用配光パターンDPと補助配光パターンSPとが得られ、光源3の第2発光部材12からの光を有効に利用することができる。
【0069】
特に、この実施例1における車両用灯具は、追加リフレクタ7が可動シェード29と光源3との間、すなわち、可動シェード29の裏側に配置されているので、投影レンズ5側から見た場合(車両用灯具の正面視)において、追加リフレクタ7が可動シェード29より外側に突出しないので、追加リフレクタ7を設けても、車両用灯具の正面視の大きさを大きくすることなく既存の車両用灯具と同一の大きさで、3つのランプ機能を有することができる。
【0070】
この実施例1における車両用灯具は、光源3の光源軸ZB−ZBと楕円反射面8の光軸Z−Zもしくは投影レンズ5の光軸とがほぼ水平面上で交差するように光源3が配置されている、いわゆる、横差タイプであるから、奥行き寸法(楕円反射面8の光軸Z−Z方向の寸法もしくは投影レンズ5の光軸方向の寸法)を小さくコンパクトにまとめることができる。
【実施例2】
【0071】
図11〜図14は、この発明にかかる車両用灯具の実施例2を示す。図中、図1〜図10と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例2における車両用灯具について説明する。
【0072】
この実施例2における車両用灯具と前記の実施例1における車両用灯具とは、追加リフレクタおよび追加反射面において異なる。すなわち、この実施例2における車両用灯具は、追加リフレクタ34が、フレーム部材6(リフレクタ2および可動シェード29および切替装置30投影レンズ5)の下側に配置されている。前記追加リフレクタ34の光源3と対向する面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、追加反射面35が形成されている。前記追加反射面35は、放物線を基本(基準、基調)とする自由曲面(NURBS曲面)の反射面である。前記追加反射面35は、焦点F0を有する。前記焦点F0は、前記光源3の第2発光部材12もしくはその近傍に位置する。前記追加反射面35の自由曲面(NURBS曲面)は、前記リフレクタ2の楕円反射面8と同様に、「Mathematical Elements for Computer Graphics」(Devid F. Rogers、J Alan Adams)に記載されているNURBSの自由曲面(Non-Uniform Rational B-Spline Surface)である。なお、前記追加反射面35は、焦点を有する単なる回転放物面からなる反射面であっても良い。
【0073】
前記追加反射面35は、前記光源3の前記第2発光部材12からの光L4を反射させ、その反射光L6で第3配光パターンとしてのデイタイムランプ用配光パターンDP(図7(C)および図8(C)を参照)を形成し、前記デイタイムランプ用配光パターンDPを前記可動シェード29を通過させずにかつ前記投影レンズ5を透過させずに外部前方(車両前方)に照射するものである。なお、前記フレーム部材6や前記リフレクタ2の下部には、前記光源3の前記第2発光部材12からの光L4を前記追加反射面35に入射させるための窓部23が設けられている。
【0074】
この実施例2における車両用灯具は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施例1における車両用灯具とほぼ同様作用効果を達成することができる。すなわち、ソレノイド32への通電を遮断して可動シェード29を第1位置に位置させ、かつ、ランプユニット1の光源3の第1発光部材11を点灯発光させる。すると、図12に示すように、この第1発光部材11から放射され、かつ、光源3の遮光部材10に遮蔽されなかった光L1は、リフレクタ2の楕円反射面8に入射してその楕円反射面8で反射する。この反射光の一部L10が第1位置に位置する可動シェード29でカットオフ(遮蔽)され、残りの反射光L3が可動シェード29を通過して、図7(A)および図8(A)に示すように、カットオフラインCL1、CL2、CL3を有する第1配光パターンとしてのすれ違い用配光パターンLPに形成される。このすれ違い用配光パターンLPは、投影レンズ5を透過して車両の前方に投影される。このとき、光源3の第1発光部材11から放射されて追加リフレクタ34の追加反射面35に入射しょうとする光L2、および、光源3の第1発光部材11から放射されて可動シェード29を通過して投影レンズ5に直接向かう直射光(図示せず)は、光源3の遮光部材10により遮蔽される。
【0075】
つぎに、光源3の第1発光部材11を点灯発光させた状態で、ソレノイド32に通電する。すると、ソレノイド32の進退ロッド33がバネ部材31のバネ力に抗して後退する。これに伴って、バネ部材31が弾性変形し、かつ、第1位置に位置する可動シェード29が第2位置に切り替わる。これにより、第1位置に位置する可動シェード29でカットオフされていた楕円反射面8からの反射光の一部L10が可動シェード29によりカットオフされず残りの反射光L3と共に可動シェード29を通過して、図7(B)および図8(B)に示すように、走行用配光パターンHPを形成する。この走行用配光パターンHPは、投影レンズ5を透過して車両の前方に投影される。このとき、光源3の第1発光部材11から放射されて追加リフレクタ34の追加反射面35に入射しょうとする光L2、および、光源3の第1発光部材11から放射されて可動シェード29を通過して投影レンズ5に直接向かう直射光(図示せず)は、光源3の遮光部材10により遮蔽される。
【0076】
それから、光源3の第1発光部材11を点灯発光させた状態で、ソレノイド32への通電を遮断する。すると、図12に示すように、弾性変形していたバネ部材31が弾性復帰力により元の状態に戻り、それに伴って、ソレノイド32の進退ロッド33が前進して、可動シェード29が第2位置から第1位置に切り替わる。これにより、配光パターンが走行用配光パターンHPからすれ違い用配光パターンLPに切り替わる。
【0077】
つづいて、ソレノイド32に通電して可動シェード29を第2位置に位置させ、かつ、ランプユニット1の光源3の第2発光部材12を点灯発光させる。すると、図13に示すように、この第2発光部材12から放射された光L4の一部は、追加リフレクタ34の追加反射面35に入射してその追加反射面35で反射する。この反射光L6は、図7(C)および図8(C)に示すように、第3配光パターンとしてのデイタイムランプ用配光パターンDPに形成される。このデイタイムランプ用配光パターンDPは、可動シェード29を通過せずにかつ投影レンズ5を透過せずに車両の前方に照射される。
【0078】
また、図13に示すように、この第2発光部材12から放射された光L4の他の一部は、楕円反射面8に入射してその楕円反射面8で反射する。この反射光L5は、可動シェード29を通過して、図7(C)および図8(C)に示すように、補助用配光パターンSPに形成される。この補助用配光パターンSPは、投影レンズ5を透過して車両の前方に投影される。
【0079】
この補助用配光パターンSPと前記のデイタイムランプ用配光パターンDPとを重畳させた配光パターンにおいて、所定の複数のポイント上で所定の光度(たとえば、400〜1200cd(カンデラ)の光度)を有し、かつ、所定の色(たとえば、白色)の光であれば、デイタイムランプ用配光パターンとしての要件を満たす。
【0080】
ここで、ソレノイド32への通電を遮断して可動シェード29を第1位置に位置させ、かつ、ランプユニット1の光源3の第2発光部材12を点灯発光させる。すると、この第2発光部材12から放射された光L4(図13参照)の一部は、追加リフレクタ34の追加反射面35に入射してその追加反射面35で反射して、図14(B)に示すように、第3配光パターンとしてのデイタイムランプ用配光パターンDPに形成される。このデイタイムランプ用配光パターンDPは、可動シェード20を通過せずにかつ投影レンズ5を透過せずに車両の前方に照射される。
【0081】
また、この第2発光部材12から放射された光L4(図13参照)の他の一部は、楕円反射面8に入射してその楕円反射面8で反射する。この反射光の一部(図示せず)が第1位置に位置する可動シェード29でカットオフ(遮蔽)され、残りの反射光L5(図13参照)が可動シェード29を通過して、図14(B)に示すように、カットオフラインCL11、CL21、CL31およびエルボー点E1を有する補助用配光パターンSP2に形成される。この補助用配光パターンSP2は、投影レンズ5を透過して車両の前方に投影される。
【0082】
この補助用配光パターンSP2と前記のデイタイムランプ用配光パターンDPとを重畳させた配光パターンにおいて、所定の複数のポイント上で所定の光度(たとえば、400〜1200cd(カンデラ)の光度)を有し、かつ、所定の色(たとえば、白色)の光であれば、デイタイムランプ用配光パターンとしての要件を満たす。
【0083】
ここで、光源3の第1発光部材11と第2発光部材12とは、光源軸ZB−ZB方向に直列に配列されている。また、ランプユニット1の光源3の第1発光部材11は、楕円反射面8の光軸Z−Zおよび第1焦点F1上に位置する。さらに、ランプユニット1の光源3は、車両中央側から車両外側に挿入されている。このために、第2発光部材12は、第1発光部材11よりも車両中央側に位置する。すなわち、この実施例の右側ヘッドランプのランプユニット1場合には、第2発光部材12は、第1発光部材11および楕円反射面8の第1焦点F1よりも左側に位置する。この結果、楕円反射面8の第1焦点F1に対して左側にずれている(焦点ずれしている)第2発光部材12の発光により得られる補助用配光パターンSP2の右端および左端は、第1発光部材11の発光により得られるすれ違い用配光パターンLPの右端および左端に対して、図14に示すように、それぞれ寸法T1およびT2分左側にずれている。この右側ヘッドランプのランプユニット1により、左側路肩25の視認性が向上される。
【0084】
一方、説明を省略した左側ヘッドランプのランプユニット場合には、第2発光部材12は、第1発光部材11および楕円反射面8の第1焦点F1よりも右側に位置する。この結果、楕円反射面8の第1焦点F1に対して右側にずれている(焦点ずれしている)第2発光部材12の発光により得られる補助用配光パターンSPの左端および右端は、第1発光部材11の発光により得られるすれ違い用配光パターンLPの左端および右端に対して、図示されていないが、それぞれ各寸法分右側にずれている。この左側ヘッドランプのランプユニット1により、右側路肩26の視認性が向上される。
【0085】
ここで、第1位置に位置する可動シェード29のエルボー点21とリフレクタ2の楕円反射面8との相対位置関係は、変わらない。このために、図14に示すように、すれ違い用配光パターンLPのエルボー点Eの位置と、補助用配光パターンSP2のエルボー点E1の位置とは、スクリーンの上下の垂直線VU−VD上に位置して左右にずれていない。
【0086】
このように、この実施例2における車両用灯具は、前記の実施例1における車両用灯具とほぼ同様作用効果を達成することができる。特に、この実施例2における車両用灯具は、可動シェード29を通過せずに第3配光パターンとしてのデイタイムランプ用配光パターンDPを得ることができるので、可動シェード29が第1位置に位置してもまた第2位置に位置しても第3配光パターンとしてのデイタイムランプ用配光パターンDPを得ることができ、その結果、切替装置30のソレノイド32を駆動させずに第3配光パターンとしてのデイタイムランプ用配光パターンDPを得ることができる。
【0087】
その上、この実施例2における車両用灯具は、光源3の第2発光部材12を点灯発光させかつ可動シェード29を第2位置に位置させると、光源3の第2発光部材12からの光L4がリフレクタ2の楕円反射面8で反射して補助配光パターンSPとして第2位置に位置する可動シェード29を通過して投影レンズ5から外部前方に投影されるので、第3配光パターンとしてのデイタイムランプ用配光パターンDPと補助配光パターンSPとが得られ、光源3の第2発光部材12からの光L4を有効に利用することができる。
【0088】
また、この実施例2における車両用灯具は、光源3の第2発光部材12を点灯発光させかつ可動シェード29を第1位置に位置させた場合であっても、光源3の第2発光部材12からの光L4がリフレクタ2の楕円反射面8で反射してその反射光の一部が第1位置に位置する可動シェード29でカットオフされるが、残りの反射光L5が補助配光パターンSP2として第1位置に位置する可動シェード29を通過して投影レンズ5から外部前方に投影されるので、光源3の第2発光部材12からの光L4を有効に利用することができる。
【実施例3】
【0089】
図15および図16は、この発明にかかる車両用灯具の実施例3を示す。図中、図1〜図14と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例3における車両用灯具について説明する。
【0090】
この実施例3における車両用灯具と前記の実施例1、2における車両用灯具とは、追加リフレクタおよび追加反射面の有無において異なる。すなわち、この実施例3における車両用灯具は、追加リフレクタおよび追加反射面を備えないものである。
【0091】
以下、この実施例3における車両用灯具の作用について説明する(図1〜図14を参照)。すなわち、ソレノイド32への通電を遮断して可動シェード29を第1位置に位置させ、かつ、ランプユニット1の光源3の第1発光部材11を点灯発光させる。すると、この第1発光部材11から放射され、かつ、光源3の遮光部材10に遮蔽されなかった光L1は、リフレクタ2の楕円反射面8に入射してその楕円反射面8で反射する。この反射光の一部L10が第1位置に位置する可動シェード29でカットオフ(遮蔽)され、残りの反射光L3が可動シェード29を通過して、図15(A)および図16(A)に示すように、カットオフラインCL1、CL2、CL3を有する第1配光パターンとしてのすれ違い用配光パターンLPに形成される。このすれ違い用配光パターンLPは、投影レンズ5を透過して車両の前方に投影される。
【0092】
つぎに、光源3の第1発光部材11を点灯発光させた状態で、ソレノイド32に通電する。すると、ソレノイド32の進退ロッド33がバネ部材31のバネ力に抗して後退する。これに伴って、バネ部材31が弾性変形し、かつ、第1位置に位置する可動シェード29が第2位置に切り替わる。これにより、第1位置に位置する可動シェード29でカットオフされていた楕円反射面8からの反射光の一部L10が可動シェード29によりカットオフされず残りの反射光L3と共に可動シェード29を通過して、図15(B)および図16(B)に示すように、走行用配光パターンHPを形成する。この走行用配光パターンHPは、投影レンズ5を透過して車両の前方に投影される。
【0093】
それから、光源3の第1発光部材11を点灯発光させた状態で、ソレノイド32への通電を遮断する。すると、弾性変形していたバネ部材31が弾性復帰力により元の状態に戻り、それに伴って、ソレノイド32の進退ロッド33が前進して、可動シェード29が第2位置から第1位置に切り替わる。これにより、配光パターンが走行用配光パターンHPからすれ違い用配光パターンLPに切り替わる。
【0094】
つづいて、ソレノイド32に通電して可動シェード29を第2位置に位置させ、かつ、ランプユニット1の光源3の第2発光部材12を点灯発光させる。すると、この第2発光部材12から放射された光L4は、楕円反射面8に入射してその楕円反射面8で反射する。この反射光L5は、可動シェード29を通過して、図15(C)および図16(C)に示すように、第3配光パターンとしてのデイタイムランプ用配光パターンDP1に形成される。このデイタイムランプ用配光パターンDP1は、投影レンズ5を透過して車両の前方に照射される。
【0095】
図15(C)に示す右側ヘッドランプのランプユニット1によるデイタイムランプ用配光パターンDP1と、図16(C)に示す左側ヘッドランプのランプユニットによるデイタイムランプ用配光パターンDP1とを重畳させることにより、この実施例3における車両用灯具のデイタイムランプ用の配光パターンが得られるものである。この重畳させたデイタイムランプ用の配光パターンにおいて、所定の複数のポイント上で所定の光度(たとえば、400〜1200cd(カンデラ)の光度)を有し、かつ、所定の色(たとえば、白色)の光であれば、デイタイムランプ用配光パターンとしての要件を満たす。
【0096】
この実施例3における車両用灯具は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施例1、2における車両用灯具とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施例3における車両用灯具は、追加リフレクタが不要であるから、部品点数を軽減すことができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【実施例4】
【0097】
図17〜図21は、この発明にかかる車両用灯具の実施例4を示す。図中、図1〜図16と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例4における車両用灯具について説明する。
【0098】
この実施例4における車両用灯具と前記の実施例1、2における車両用灯具とは、追加リフレクタおよび追加反射面において異なる。すなわち、この実施例4における車両用灯具は、前記の実施例3における車両用灯具に、第1追加リフレクタ36および第1追加反射面37および第2追加リフレクタ38および第2追加反射面39を、設けるものである。なお、楕円反射面8を有するリフレクタ2と、前記第1追加反射面37を有する前記第1追加リフレクタ36と、前記第2追加反射面39を有する前記第2追加リフレクタ38とは、一体物であってもよいし、または、それぞれ別体のものであっても良い。
【0099】
前記第1追加リフレクタ36は、前記リフレクタ2のうち前記楕円反射面8からの反射光L3、L5が光源3で遮蔽される箇所に設けられている。すなわち、前記リフレクタ2のうち前記楕円反射面8からの反射光L3、L5が前記光源3で遮蔽される箇所には、通過孔40が設けられている。前記第1追加リフレクタ36は、前記通過孔40に対向して前記リフレクタ2よりも後側に設けられている。
【0100】
前記第1追加リフレクタ36の前記光源3に対向する面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、前記第1追加反射面37が設けられている。前記第1追加反射面37は、前記光源3の第1発光部材11および第2発光部材12からの光L1、L4のうち、前記通過孔40を通過した光L11を前記光源3と前記リフレクタ2との取付箇所(前記リフレクタ2の透孔9および前記光源3の口金14)側と反対側(車両の外側)に反射させるものである。前記第1追加反射面37は、回転楕円面もしくは楕円を基本(基準、基調)とする自由曲面(NURBS曲面)の反射面である。前記第1追加反射面37は、第1焦点F5と、第2焦点F6とを有する。前記第1焦点F5は、前記光源3の前記第1発光部材11もしくはその近傍に位置する。前記第2焦点F6は、前記光源3と前記リフレクタ2との取付箇所側と反対側の任意の位置に位置する。前記第1追加反射面37の自由曲面(NURBS曲面)は、前記リフレクタ2の楕円反射面8と同様に、「Mathematical Elements for Computer Graphics」(Devid F. Rogers、J Alan Adams)に記載されているNURBSの自由曲面(Non-Uniform Rational B-Spline Surface)である。
【0101】
前記第2追加リフレクタ38は、前記第1追加反射面37からの反射光L12の光路中であって、前記光源3と前記リフレクタ2との取付箇所側と反対側の任意の位置に設けられている。
【0102】
前記第2追加リフレクタ38の前記光源3に対向する面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、前記第2追加反射面39が設けられている。前記第2追加反射面39は、前記第1追加反射面37からの反射光L12を投影レンズ5側に反射させるものである。前記第2追加反射面39で反射された反射光L13が補助配光パターンSP1として可動シェード29を通過させて前記投影レンズ5から外部前方に投影される。前記第2追加反射面39は、回転楕円面もしくは楕円を基本(基準、基調)とする自由曲面(NURBS曲面)の反射面である。前記第2追加反射面39は、第1焦点F7と、第2焦点(図示せず)とを有する。前記第1焦点F7は、前記第1追加反射面37の前記第2焦点F6もしくはその近傍に位置する。前記第2焦点は、前記第2追加反射面39からの反射光L13が前記投影レンズ5の後側焦点近傍(前記可動シェード29のエルボー点21および斜めエッジ19および下水平エッジ20)を通る位置に位置する。前記第2追加反射面39の自由曲面(NURBS曲面)は、前記リフレクタ2の楕円反射面8と同様に、「Mathematical Elements for Computer Graphics」(Devid F. Rogers、J Alan Adams)に記載されているNURBSの自由曲面(Non-Uniform Rational B-Spline Surface)である。
【0103】
以下、この実施例4における車両用灯具の作用について説明する(図1〜図16を参照)。すなわち、図17(A)に示すように、ソレノイド32への通電を遮断して可動シェード29を第1位置に位置させ、かつ、ランプユニット1の光源3の第1発光部材11を点灯発光させる。すると、この第1発光部材11から放射され、かつ、光源3の遮光部材10に遮蔽されなかった光L1は、リフレクタ2の楕円反射面8に入射してその楕円反射面8で反射する。この反射光の一部L10が第1位置に位置する可動シェード29でカットオフ(遮蔽)され、残りの反射光L3が可動シェード29を通過して、図20(A)および図21(A)に示すように、カットオフラインCL1、CL2、CL3を有する第1配光パターンとしてのすれ違い用配光パターンLPに形成される。このすれ違い用配光パターンLPは、投影レンズ5を透過して車両の前方に投影される。
【0104】
また、図19に示すように、楕円反射面8からの反射光L3であって光源3で遮蔽される光の一部もしくは全部L11は、リフレクタ2の通過孔40を通過して第1追加リフレクタ36の第1追加反射面37に入射してその第1追加反射面37で反射する。この反射光L12は、光源3を迂回して第2追加リフレクタ38の第2追加反射面39に入射してその第2追加反射面39で反射する。この反射光L13は、光源3を迂回して、一部が第1位置に位置する可動シェード29でカットオフされ、残りが可動シェード29を通過して、図20(A)および図21(A)に示すように、補助用配光パターンSP1に形成される。この補助用配光パターンSP1は、投影レンズ5を透過して車両の前方に投影される。図20(A)および図21(A)に示す補助用配光パターンSP1は、一部が可動シェード29でカットオフされるので、図20(A)および図21(A)に示すすれ違い用配光パターンLPのカットオフラインCL1、CL2、CL3に沿って、左側および右側に位置する。
【0105】
つぎに、光源3の第1発光部材11を点灯発光させた状態で、ソレノイド32に通電する。すると、ソレノイド32の進退ロッド33がバネ部材31のバネ力に抗して後退する。これに伴って、バネ部材31が弾性変形し、かつ、第1位置に位置する可動シェード29が第2位置に切り替わる。これにより、第1位置に位置する可動シェード29でカットオフされていた楕円反射面8からの反射光の一部L10が可動シェード29によりカットオフされず残りの反射光L3と共に可動シェード29を通過して、図20(B)および図21(B)に示すように、走行用配光パターンHPを形成する。この走行用配光パターンHPは、投影レンズ5を透過して車両の前方に投影される。
【0106】
また、図19に示すように、楕円反射面8からの反射光L3であって光源3で遮蔽される光の一部もしくは全部L11は、リフレクタ2の通過孔40を通過して第1追加リフレクタ36の第1追加反射面37に入射してその第1追加反射面37で反射する。この反射光L12は、光源3を迂回して第2追加リフレクタ38の第2追加反射面39に入射してその第2追加反射面39で反射する。この反射光L13は、光源3を迂回して可動シェード29を通過して、図20(B)および図21(B)に示すように、補助用配光パターンSP1に形成される。この補助用配光パターンSP1は、投影レンズ5を透過して車両の前方に投影される。図20(B)および図21(B)に示す補助用配光パターンSP1は、可動シェード29でカットオフされていないので、図20(B)および図21(B)に示す走行用配光パターンHPの左側上方および右側上方に位置する。
【0107】
それから、光源3の第1発光部材11を点灯発光させた状態で、ソレノイド32への通電を遮断する。すると、弾性変形していたバネ部材31が弾性復帰力により元の状態に戻り、それに伴って、ソレノイド32の進退ロッド33が前進して、可動シェード29が第2位置から第1位置に切り替わる。これにより、配光パターンが図20(B)および図21(B)に示す走行用配光パターンHPおよび補助用配光パターンSP1から図20(A)および図21(A)に示すすれ違い用配光パターンLPおよび補助用配光パターンSP1に切り替わる。
【0108】
つづいて、図18に示すように、ソレノイド32に通電して可動シェード29を第2位置に位置させ、かつ、ランプユニット1の光源3の第2発光部材12を点灯発光させる。すると、この第2発光部材12から放射された光L4は、楕円反射面8に入射してその楕円反射面8で反射する。この反射光L5は、可動シェード29を通過して、図20(C)および図21(C)に示すように、第3配光パターンとしてのデイタイムランプ用配光パターンDP1に形成される。このデイタイムランプ用配光パターンDP1は、投影レンズ5を透過して車両の前方に照射される。
【0109】
また、楕円反射面8からの反射光L5であって光源3で遮蔽される光の一部もしくは全部L11は、リフレクタ2の通過孔40を通過して第1追加リフレクタ36の第1追加反射面37に入射してその第1追加反射面37で反射する。この反射光L12は、光源3を迂回して第2追加リフレクタ38の第2追加反射面39に入射してその第2追加反射面39で反射する。この反射光L13は、光源3を迂回して可動シェード29を通過して、図20(C)および図21(C)に示すように、補助用配光パターンSP1に形成される。この補助用配光パターンSP1は、投影レンズ5を透過して車両の前方に投影される。図20(C)および図21(C)に示す補助用配光パターンSP1は、可動シェード29でカットオフされていないので、図20(C)および図21(C)に示すデイタイムランプ用配光パターンDP1の左側上方および右側上方に位置する。
【0110】
図20(C)に示す右側ヘッドランプのランプユニット1によるデイタイムランプ用配光パターンDP1および補助用配光パターンSP1と、図21(C)に示す左側ヘッドランプのランプユニットによるデイタイムランプ用配光パターンDP1および補助用配光パターンSP1とを重畳させることにより、この実施例4における車両用灯具のデイタイムランプ用の配光パターンが得られるものである。この重畳させたデイタイムランプ用の配光パターンにおいて、所定の複数のポイント上で所定の光度(たとえば、400〜1200cd(カンデラ)の光度)を有し、かつ、所定の色(たとえば、白色)の光であれば、デイタイムランプ用配光パターンとしての要件を満たす。
【0111】
ここで、図19に示すように、ランプユニット1の光源3の第1発光部材11と第2発光部材12とは、光源軸ZB−ZB方向に直列に配列されている。また、ランプユニット1の光源3は、車両中央側から車両外側に挿入されている。このために、第2発光部材12は、第1発光部材11よりも車両中央側に位置する。すなわち、この実施例4の右側ヘッドランプのランプユニット1場合には、第2発光部材12は、第1発光部材11および楕円反射面8の第1焦点F1よりも左側に位置する。この結果、楕円反射面8の第1焦点F1に対して左側にずれている(焦点ずれしている)第2発光部材12の発光により得られる補助用配光パターンSP1(図20(C)参照)の右端および左端は、第1発光部材11の発光により得られる補助用配光パターンSP1(図20(B)参照)の右端および左端に対して、図20に示すように、それぞれ寸法T5およびT6分左側にずれている。この右側ヘッドランプのランプユニット1により、左側路肩25の視認性が向上される。
【0112】
一方、説明を省略した左側ヘッドランプのランプユニット場合には、第2発光部材12は、第1発光部材11および楕円反射面8の第1焦点F1よりも右側に位置する。この結果、楕円反射面8の第1焦点F1に対して右側にずれている(焦点ずれしている)第2発光部材12の発光により得られる補助用配光パターンSP1(図21(C)参照)の左端および右端は、第1発光部材11の発光により得られる補助用配光パターンSP1(図21(B)参照)の左端および右端に対して、図6に示すように、それぞれ寸法T7およびT8分右側にずれている。この左側ヘッドランプのランプユニット1により、右側路肩26の視認性が向上される。
【0113】
この実施例4における車両用灯具は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施例1、2、3における車両用灯具とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施例4における車両用灯具は、第1追加リフレクタ36の第1追加反射面37および第2追加リフレクタ38の第2追加反射面39により、リフレクタ2の楕円反射面8からの反射光L3、L5であって、光源3で遮蔽される反射光の一部もしくは全部L11を補助配光パターンSP1として有効に利用することができる。しかも、この実施例4における車両用灯具は、第1追加リフレクタ36の第1追加反射面37および第2追加リフレクタ38の第2追加反射面39により、光源3の第1発光部材11および第2発光部材12からの光L1、L4を補助配光パターンSP1として可動シェード29を通過させて投影レンズ5から外部前方に投影させるので、第1追加反射面37および第2追加反射面39および投影レンズ5で制御された補助配光パターンSP1が確実に得られる。
【実施例5】
【0114】
図22〜図24は、この発明にかかる車両用灯具の実施例5を示す。図中、図1〜図21と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例5における車両用灯具について説明する。
【0115】
この実施例5における車両用灯具は、前記の実施例1または2における車両用灯具に、前記の実施例4における車両用灯具の第1追加リフレクタ36および第1追加反射面37および第2追加リフレクタ38および第2追加反射面39を、設けるものである。
【0116】
以下、この実施例5における車両用灯具の作用について説明する(図1〜図21を参照)。すなわち、ソレノイド32への通電を遮断して可動シェード29を第1位置に位置させ、かつ、ランプユニット1の光源3の第1発光部材11を点灯発光させる。すると、図22(A)および図23(A)に示すように、カットオフラインCL1、CL2、CL3を有する第1配光パターンとしてのすれ違い用配光パターンLPと、補助用配光パターンSP1とが得られる。
【0117】
つぎに、光源3の第1発光部材11を点灯発光させた状態で、ソレノイド32に通電する。すると、ソレノイド32の進退ロッド33がバネ部材31のバネ力に抗して後退する。これに伴って、バネ部材31が弾性変形し、かつ、第1位置に位置する可動シェード29が第2位置に切り替わる。すると、図22(B)および図23(B)に示すように、走行用配光パターンHPと、補助用配光パターンSP1とが得られる。
【0118】
それから、光源3の第1発光部材11を点灯発光させた状態で、ソレノイド32への通電を遮断する。すると、弾性変形していたバネ部材31が弾性復帰力により元の状態に戻り、それに伴って、ソレノイド32の進退ロッド33が前進して、可動シェード29が第2位置から第1位置に切り替わる。これにより、配光パターンが図22(B)および図23(B)に示す走行用配光パターンHPおよび補助用配光パターンSP1から図22(A)および図23(A)に示すすれ違い用配光パターンLPおよび補助用配光パターンSP1に切り替わる。
【0119】
つづいて、ソレノイド32に通電して可動シェード29を第2位置に位置させ、かつ、ランプユニット1の光源3の第2発光部材12を点灯発光させる。すると、図22(C)および図23(C)に示すように、第3配光パターンとしてのデイタイムランプ用配光パターンDPと、補助用配光パターンSPと、補助用配光パターンSP1とが得られる。
【0120】
図22(C)に示す右側ヘッドランプのランプユニット1によるデイタイムランプ用配光パターンDPおよび補助用配光パターンSP、SP1と、図23(C)に示す左側ヘッドランプのランプユニットによるデイタイムランプ用配光パターンDPおよび補助用配光パターンSP、SP1とを重畳させることにより、この実施例5における車両用灯具のデイタイムランプ用の配光パターンが得られるものである。この重畳させたデイタイムランプ用の配光パターンにおいて、所定の複数のポイント上で所定の光度(たとえば、400〜1200cd(カンデラ)の光度)を有し、かつ、所定の色(たとえば、白色)の光であれば、デイタイムランプ用配光パターンとしての要件を満たす。
【0121】
この実施例5における車両用灯具は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施例1、2、3、4における車両用灯具とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【0122】
以下、前記の実施例以外の例について説明する。前記の実施例1、2、3、4、5においては、光源3が楕円反射面8の光軸Z−Zに対して左右水平に直交するように配置されているものである。ところが、この発明においては、光源が楕円反射面の光軸に対して直交するように配置されているものであれば、左右水平に配置されていなくても良い。たとえば、上下垂直にあるいは斜めに配置されていても良い。
【0123】
また、前記の実施例1〜5においては、第1ランプ機能の第1配光パターンが、カットオフラインCL1、CL2、CL3(およびエルボー点E)を有するすれ違い用配光パターンLPである。ところが、この発明においては、第1ランプ機能の第1配光パターンとしてはすれ違い用配光パターンLP以外に、カットオフラインを有する配光パターンであれば、高速用配光パターンやフォグランプ用配光パターンなどであっても良い。
【0124】
さらに、前記の実施例1〜5においては、ヘッドランプについて説明するものである。ところが、この発明においては、その他の車両用灯具、たとえば、フォグランプやスイブルランプなどでも良い。
【0125】
さらにまた、前記の実施例1〜5においては、切替装置30がバネ部材31とソレノイド32からなるものである。ところが、この発明においては、切替装置としてバネ部材とソレノイドからなるもの以外であっても良い。たとえば、ソレノイドとカム機構からなる切替装置、モータとカム機構からなる切替装置、シリンダと梃機構からなる切替装置などであっても良い。
【0126】
さらにまた、前記の実施例1〜5における各配光パターンLP、HP、DP、DP1、SP、SP1、SP2の配光形状や配光特性は、特に限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】この発明にかかる車両用灯具の実施例1を示す正面図である。
【図2】同じく、図1におけるII−II線断面図である。
【図3】同じく、図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】同じく、可動シェードが第2位置に位置している状態を示す縦断面図(図3に対応する断面図)である。
【図5】同じく、図1におけるV−V線断面図である。
【図6】同じく、可動シェードの可動状態を示す説明図である。
【図7】同じく、右側ヘッドランプにより得られるすれ違い用配光パターンと走行用配光パターンとデイタイムランプ用配光パターンおよび補助用配光パターンを示す説明図である。
【図8】同じく、左側ヘッドランプにより得られるすれ違い用配光パターンと走行用配光パターンとデイタイムランプ用配光パターンおよび補助用配光パターンを示す説明図である。
【図9】同じく、光源を通常の状態で取り付けた場合を示す縦断面図(図3に対応する断面図)である。
【図10】同じく、光源の通常の取付状態と本発明の取付状態を示す説明図である。
【図11】この発明にかかる車両用灯具の実施例2を示す正面図である。
【図12】同じく、図11におけるXII−XII線断面図である。
【図13】同じく、図11におけるXIII−XIII線断面図である。
【図14】同じく、可動シェードを第1位置に位置させていて光源の第2発光部材を点灯発光させたときの右側ヘッドランプにより得られるすれ違い用配光パターンとデイタイムランプ用配光パターンおよび補助用配光パターンを示す説明図である。
【図15】この発明にかかる車両用灯具の実施例3を示す右側ヘッドランプにより得られるすれ違い用配光パターンと走行用配光パターンとデイタイムランプ用配光パターンを示す説明図である。
【図16】同じく、左側ヘッドランプにより得られるすれ違い用配光パターンと走行用配光パターンとデイタイムランプ用配光パターンを示す説明図である。
【図17】この発明にかかる車両用灯具の実施例4を示す可動シェードを第1位置に位置させていて光源の第1発光部材を点灯発光させたときの縦断面図である。
【図18】同じく、可動シェードを第2位置に位置させていて光源の第2発光部材を点灯発光させたときの状態を示す縦断面図である。
【図19】同じく、光源の第1発光部材を点灯発光させたときの状態を示す横断面図である。
【図20】同じく、右側ヘッドランプにより得られるすれ違い用配光パターンと走行用配光パターンとデイタイムランプ用配光パターンおよび補助用配光パターンを示す説明図である。
【図21】同じく、左側ヘッドランプにより得られるすれ違い用配光パターンと走行用配光パターンとデイタイムランプ用配光パターンおよび補助用配光パターンを示す説明図である。
【図22】この発明にかかる車両用灯具の実施例4を示す右側ヘッドランプにより得られるすれ違い用配光パターンと走行用配光パターンとデイタイムランプ用配光パターンおよび補助用配光パターンを示す説明図である。
【図23】同じく、左側ヘッドランプにより得られるすれ違い用配光パターンと走行用配光パターンとデイタイムランプ用配光パターンおよび補助用配光パターンを示す説明図である。
【図24】同じく、可動シェードを第1位置に位置させていて光源の第2発光部材を点灯発光させたときの右側ヘッドランプにより得られるすれ違い用配光パターンとデイタイムランプ用配光パターンおよび補助用配光パターンを示す説明図である。
【符号の説明】
【0128】
1 ランプユニット(プロジェクタタイプのランプユニット、右側ヘッドランプ、車両用灯具)
2 リフレクタ
3 光源
4 固定シェード
5 投影レンズ
6 フレーム部材
7 追加リフレクタ
8 楕円反射面
9 透孔
10 遮光部材
11 第1発光部材
12 第2発光部材
13 ガラス管球
14 口金
15 遮光膜
16 追加反射面
17 開口部
18 上水平エッジ
19 斜めエッジ
20 下水平エッジ
21 エルボー点
22 リム
23 窓部
24 センターライン
25 左側路肩
26 右側路肩
27 開口部
28 閉塞部
29 可動シェード
30 切替装置
31 バネ部材
32 ソレノイド
33 進退ロッド
34 追加リフレクタ
35 追加反射面
36 第1追加リフレクタ
37 第1追加反射面
38 第2追加リフレクタ
39 第2追加反射面
40 通過孔
HL−HR 左右の水平線
VU−VD 上下の垂直線
H−H 水平線
V−V 垂直線
Z−Z 楕円反射面の光軸
ZB−ZB 光源軸
F1 楕円反射面の第1焦点
F2 楕円反射面の第2焦点
F3 追加反射面の第1焦点
F4 追加反射面の第2焦点
F0 追加反射面の焦点
F5 第1追加反射面の第1焦点
F6 第1追加反射面の第2焦点
F7 第2追加反射面の第1焦点
LP すれ違い用配光パターン(第1ランプ機能の第1配光パターン)
HP 走行用配光パターン(第2ランプ機能の第2配光パターン)
DP、DP1 デイタイムランプ用配光パターン(第3ランプ機能の第3配光パターン)
SP、SP1、SP2 補助用配光パターン
L1 第1発光部からの光
L2 第1発光部からの光であって遮光部材で遮蔽される光
L3 第1発光部からの光でかつ楕円反射面からの反射光でかつ固定シェードの開口部を通過した光であってすれ違い用配光パターンを形成する光
L4 第2発光部からの光
L5 第2発光部からの光でかつ楕円反射面からの反射光でかつ固定シェードの開口部を通過した光であって補助用配光パターンを形成する光
L6 第2発光部からの光でかつ追加反射面からの反射光であってデイタイムランプ用配光パターンを形成する光
L7 光源の通常の取付状態における第1発光部からの光であって有効に利用されていない光
L8 光源の通常の取付状態における第1発光部からの光でかつ楕円反射面からの反射光あって有効に利用されていない光
L9 光源の通常の取付状態における第1発光部からの光でかつ楕円反射面に入射する光であって遮光部材で遮蔽される光
L10 第1位置に位置する可動シェードによりカットオフされる光源の第1発光部材からの光であって楕円反射面からの反射光の一部
L11 通過孔を通過する光
L12 第1追加反射面からの反射光
L13 第2追加反射面からの反射光
CL1、CL11 下水平カットオフライン
CL2、CL21 斜めカットオフライン
CL3、CL31 上水平カットオフライン
E、E1 エルボー点
T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8 配光パターンの左右端の左右方向のずれ寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのプロジェクタタイプのランプユニットで、複数のランプ機能を有する車両用灯具において、
楕円反射面を有するリフレクタと、
第1発光部材および第2発光部材および遮光部材を有し、前記第1発光部材および前記第2発光部材が光源軸方向に直列に配列されていて、かつ、前記遮光部材が前記第1発光部材に前記光源軸方向に対して並列に隣接し、前記光源軸が前記楕円反射面の光軸に対して直交するように配置されていて、かつ、前記第1発光部材が前記楕円反射面の第1焦点もしくはその近傍に位置する光源と、
エッジを有し、かつ、第1位置と第2位置との間を移動可能であり、前記第1位置に位置するときには、前記エッジが前記楕円反射面の第2焦点もしくはその近傍に位置して、前記光源の前記第1発光部材からの光であって、前記楕円反射面で反射された反射光のうち、一部の反射光をカットオフし、残りの反射光を通過させてカットオフラインを有する第1配光パターンを形成する可動シェードと、
前記可動シェードの位置を前記第1位置と前記第2位置とに切り替える切替装置と、
前記楕円反射面の第2焦点および前記可動シェードよりも前側に配置されていて、前記楕円反射面からの反射光を外部前方に投影する投影レンズと、
を備え、
前記光源は、前記遮光部材が前記投影レンズ側に対向して前記第1発光部材から前記投影レンズに向かう直射光を遮蔽するように、通常の取付状態から前記光源軸回りに所定角度回転させた状態で、前記リフレクタに取り付けられていて、
前記光源の前記第1発光部材が点灯発光状態にあり、かつ、前記可動シェードが前記第1位置に位置するときには、前記カットオフラインを有する前記第1配光パターンが得られ、
前記光源の前記第1発光部材が点灯発光状態にあり、かつ、前記可動シェードが前記第2位置に位置するときには、第2配光パターンが得られ、
前記光源の前記第2発光部材が点灯発光状態にあるときには、第3配光パターンが得られる、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記可動シェードと前記光源との間には、追加リフレクタが配置されていて、
前記追加リフレクタには、前記光源の前記第2発光部材からの光を反射させて前記第3配光パターンとして前記第2位置に位置する前記可動シェードを通過させて前記投影レンズから外部前方に投影させる追加反射面が、設けられていて、
前記光源の前記遮光部材は、前記投影レンズおよび前記追加リフレクタ側に対向する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記リフレクタおよび前記可動シェードおよび前記切替装置および前記投影レンズの下側には、追加リフレクタが配置されていて、
前記追加リフレクタには、前記光源の前記第2発光部材からの光を反射させて前記第3配光パターンとして前記可動シェードを通過させずにかつ前記投影レンズを透過させずに外部前方に照射する追加反射面が、設けられていて、
前記光源の前記遮光部材は、前記投影レンズおよび前記追加リフレクタ側に対向する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記リフレクタのうち前記楕円反射面からの反射光が前記光源で遮蔽される箇所には、第1追加リフレクタが設けられていて、
前記第1追加リフレクタには、前記光源の前記第1発光部材および前記第2発光部材からの光を前記光源と前記リフレクタとの取付箇所側と反対側に反射させる第1追加反射面が設けられていて、
前記第1追加反射面からの反射光の光路中には、第2追加リフレクタが設けられていて、
前記第2追加リフレクタには、前記第1追加反射面からの反射光を反射させて補助配光パターンとして前記可動シェードを通過させて前記投影レンズから外部前方に投影させる第2追加反射面が、設けられている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−245662(P2009−245662A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88731(P2008−88731)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】