車両用灯具
【課題】LED光源も大型化しヘッドライトなど照明用に用いられるようになると、個別のケースに収納されて、それぞれに配光の一部を受け持つようにされるので、1個毎のLEDの断線の検出が煩雑化し困難となる。
【解決手段】本発明により、それぞれのLED2と保護抵抗(R1〜R3)との接続点の電位にPNPトランジスタのベースを接続することで、LEDの1個が断線した場合、PNPトランジスタのエミッタ電位が大きく低下する。この電位の低下により、例えばNPNトランジスタがカットオフするようにしておけば、複数のLEDの内の1個の断線も1組の回路で簡単に検出できるものとなり構成の簡素化が図れるものとなる。また、保護抵抗を複数とし、その中点で電位を検出すれば精度の向上が可能となる。
【解決手段】本発明により、それぞれのLED2と保護抵抗(R1〜R3)との接続点の電位にPNPトランジスタのベースを接続することで、LEDの1個が断線した場合、PNPトランジスタのエミッタ電位が大きく低下する。この電位の低下により、例えばNPNトランジスタがカットオフするようにしておけば、複数のLEDの内の1個の断線も1組の回路で簡単に検出できるものとなり構成の簡素化が図れるものとなる。また、保護抵抗を複数とし、その中点で電位を検出すれば精度の向上が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用灯具に係るものであり、詳細には、LEDヘッドランプ、LEDリアランプ、LEDストップランプなどのように1つの灯具中に複数のLEDが光源として採用されており、それら複数のLED光源からの光の総合で、配光特性と、規定の明るさの確保が行われているLEDを光源とする車両用灯具の構成に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のLEDを光源とする車両用灯具90の構成の例を示すものが図 であり、この車両用灯具90では、内部にLED光源92が収納された5個の略筒状のユニット91(91a〜91e)が、車体(図示せず)前方の左右に、各5ユニットずつが、例えば、水平方向として並べて取付けられている。
【0003】
図 は、1つのユニット、例えば、ユニット91aの断面であり、前記LED光源92は上向きに光を放出するようにヒートシンク93に取付けられ、前記ヒートシンク93の上方、即ち、光が放出される方向には、投影レンズ94に向けて光を反射する楕円系などとした反射面95が設けられている。また、必要に応じては、対向車の運転者に眩惑を感じさせないように、前記投影レンズ94から上向きに放射される光を遮蔽するシェード96が設けられている。
【0004】
このときに、前記ユニット91のそれぞれ、例えば、ユニット91aの中心線Hは上記したような5個のユニット(91a〜91e)からの光の合成で、ヘッドライト用などとして最適な配光が得られるように適宜に傾けられている場合もあり、例として、図 に示すよう、ユニット91aは図中に符号Aで正面遠方を照射し、ユニット91bは図中に符号Bで示すように車両直前を照射するようにされている。
【0005】
また、前記ユニット91a〜91eに取付けられるLED光源92は、原則的には白色発光のものが採用されるが、例えば、車体の左右両側に取付けられた、5個ずつのユニットの最も内側のものには黄色系のLED光源92を取付け、方向指示灯として使用するなどは自在であり、また、5個のユニットの一部を点灯し、すれ違い配光とし、全てを点灯して走行配光とするなども自由である。
【特許文献1】特開2006−351369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記した従来の構成の車両用灯具90においては、個々のユニット91a〜ユニット91eの何れかが断線し、点灯をしなくなった事態においては、車両用灯具90としての規定の明るさが得られなく成る恐れがあるので、その点を見込んで、予めに前記したユニット91a〜ユニット91eの数を、必要な明るさが得られる数+1などとして、万一のLED光源92の断線に備えるものとしていた。
【0007】
このことは、ユニット数の増加により、車両用灯具90にコストアップを生じる問題点を生じるのみばかりでなく、点灯中は、必要以上の電力を消費してこととなり、例えば、オルタネータ、バッテリーなど電気関連部品にも余分な負担がかかるものとなり、この点でもコストアップを生じる問題点を生じるものとなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記した従来の課題を解決するための具体的手段として、車両電源から電源供給を受ける複数個から成るLEDを有する光源とそのLEDを駆動する駆動回路から成る車両用灯具であり、前記車両電源側にLEDのアノードを接続し、同じLEDのカソード側に電流調整抵抗の一方を直列に接続し、前記電流調整抵抗の他方はGNDに接続し、前記LEDと前記電流調整抵抗の一方とが接続された交点にはPNPトランジスタのベースを接続し、前記トランジスタのコレクタはGNDに接続したLED検出回路を複数回路にて構成し、前記トランジスタのエミッタは電源に接続した抵抗によってプルアップしたことを特徴とする車両用灯具を提供することで、課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、電源に対し並列に接続されている複数列のLEDの内の1つにでも断線を生じれば、本発明により設けられた断線検出回路は、異常信号を発生し断線検出回路に送るのもとしたことで、この異常信号をもって、運転者に告知を行うことで、1つのLEDの断線も検出でき、早急に対応可能となるので、断線を生じたときにも規定の照度が得られるように余分なユニットを設ける必要が無く、コストダウンと信頼性とを共に向上可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
つぎに、本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1に示すものは本発明に係る車両用灯具1の第一実施形態ををブロック図で示すものであり、この車両用灯具1は、必要数、例えば3個のLED2(LED1〜LED3)が保護抵抗3(R1〜R3)が直列に接続された状態で、入力保護回路5を含む電源4に並列に接続されている。
【0011】
そして、それぞれの前記LED2と保護抵抗3とが接続された点からは、断線検出装置5に向かい信号が入力され、この断線検出装置6により、前記LED2の断線が検出できる構成とされているのである。
【0012】
図2は、図1に示したブロック図を更に詳細に示す回路図であり、先ず、正極端子4a側にアノードを接続し、正極配線4b側にカソードをを接続するダイオードD1の配置が行われて、誤って逆接続が行われたときにもLED2などの破損を防止する入力保護回路5が構成されている。
【0013】
また、前記入力保護回路5の正極配線4b、GND端子4cに接続されるGND配線4d間にはゼナーダイオードZD1およびコンデンサーC1も接続され、規定以上の高電圧が、正端子4aおよびGND端子4b間に印可されたり、あるいは、サージ電圧が印加されたときには吸収し、上記にも記載したようにLED2などの破損が防止できるようにされている。
【0014】
そして、前記正極配線4bには複数のLED2、例えば、3個のLED2がアノード側で接続され、それぞれのLED2のカソード側と、前記GND配線4dの間には保護抵抗R1〜保護抵抗R3が接続され、前記保護抵抗R1〜保護抵抗R3の他端は、前記GND配線4dに接続される。
【0015】
本発明においては断線検出回路6として、それぞれの、前記LED2と、保護抵抗R1〜保護抵抗R3との接続点にPNPトランジスタQ1〜Q3のベースを接続するものであり、このとき前記PNPトランジスタQ1〜Q3のコレクタは前記GND配線4dに接続されている。
【0016】
また、このとき、全ての前記PNPトランジスタQ1〜Q3のエミッタはプルアップ抵抗R4を経由して正極配線4bに接続されている。加えて、前記プルアップ抵抗R4からGND配線4dにかけては分割抵抗R5、R6が設けられ、この分割抵抗R5、R6との接続点にはNPNトランジスタQ4のベースが接続され、このNPNトランジスタQ4ののエミッタはGND配線4dに接続されている。
【0017】
この状態で、正端子4aに規定電圧の印加が行われると、各LED2を設定電流で点灯させた後の電流は、保護抵抗R1〜R3に流れ込み、前記CND配線4dに対して、所定の電圧を生じるものとなる。よって、(保護抵抗R1〜R3に生じる電圧>プルアップ抵抗で印加される電圧)としておけば、前記PNPトランジスタQ1〜Q3はOFF状態となっている。
【0018】
従って、前記プルアップ抵抗R4を介して、分割抵抗R5、R6により、ベースに給電が行われているPNPトランジスタQ4は導通し、検出信号端子7をコレクタ、エミッタを介して、GND配線4dに導通させることで、LED2に断線を生じていないことが検出できるものとなる。
【0019】
ここで、もしも、前記LED2の少なくとも1個に断線を生じたときには、検出素子である前記PNPトランジスタQ1〜Q3のベースはGND配線の電位となり、エミッタ・コレクタ間は導通する。よって、NPNトランジスタQ4のベース電位はGND電位となり、エミッタ・コレクタ間はOFFする。よって、前記検出信号端子7からGND電位に流れ込む電流はなくなり、LED2の断線が検出されるのである。
【0020】
図3は本発明に係る車両用灯具1の第二実施形態を示すブロック図であり、複数のLED2に対して、断線検出回路6が設けられている点は同様であるが、前記断線検出回路6からの出力を利用する消灯回路10が形成され、この消灯回路10は、断線制御回路8とSW回路9とから構成されている。
【0021】
図4は、図3に示した第二実施形態を実際の回路素子を用いて示すものであり、この第二実施形態の説明に当たっては、図2で既に説明したLED3、保護抵抗R1〜R3、入力保護回路5、断線検出回路6の部分の説明は省略するものとする。
【0022】
この第二実施形態においては、断線検出回路6のNPNトランジスタQ4のコレクタは、入力保護回路5のダイオードD1のカソード側である正極配線4bと、GND配線4d間に直列に接続された抵抗R8とコンデンサC1との接続点に接続されている。尚、このときにはコンデンサC1側がGND配線4d側に接続されていて、前記抵抗R8とで充電回路を構成している。
【0023】
この充電回路の役割は、LED2の内の何れか1つが断線した場合には、この断線を車両側に検出信号を出力し、運転者に、例えば電球、LEDなどの表示装置を介して異常を知らせる。この場合、前記運転者に異常を知らせるべき表示装置にも故障が生じる事態も考えられる。
【0024】
本発明は、そのような状態を生じたときにも、運転者に異常の発生を知らせられるべく考慮するものであり、以下、図5に示すコンデンサC1の充電カーブと図4に示す回路図との対比で動作の説明を行う。
【0025】
断線の検出信号を受けると、車両電源が入っている場合はLED2が全て消灯となる。次ぎに車両電源を投入したときに、NPNトランジスタQ4のコレクタがオープンであるので、断線制御回路8の前記抵抗R8を介して、コンデンサC1に図5に示すような充電電流が流れる。尚、図5においては、横軸は時間であり、縦軸は電圧である。
【0026】
ここで、車両電源が12V、ダイオードD1の順方向電圧が0.6V、抵抗R8が4.3KΩ、抵抗R9が2KΩ、抵抗R10が1KΩとした場合、コンデンサC1が1μFの場合には、前記コンデンサC1の電位(充電電圧)は約4.7Vとなる。また、次段であるSW回路のNPNトランジスタQ5のベースをONさせるレベルに達するまでの時間は約0.3msが必要となる。
【0027】
そして、本発明の第二実施形態の車両用灯具1においては、この間に断線していないLED2の全てに電流が流れるため、電源投入時の短時間のみ点灯して消える動作を繰り返すこととなって運転者へ灯体の異常を確実に知らせることになる。また、前記断線制御回路8のコンデンサC1の容量を10μFとしたときには、SW回路のNPNトランジスタQ5のベースをONさせるレベルに達するまでの時間は約5msが必要となる。
【0028】
何れにしてもLED2の立上がり時間は1μS以下であるので、コンデンサC1としてはどちらの容量のものを取付けても充分に点灯が確認できるものとなるので、運転者自身、あるいは、歩行者、対向車から車両用灯具1の一部のLED2に断線を生じていることが容易に確認できる点灯時間とすれば良いものである。
【0029】
続いて、SW回路9の動作につて説明を行う。断線を生じたときには、断線信号がハイレベル(NPNトランジスタQ4のコレクターがオープンのため、プルアップ抵抗R8により電源レベル)となって、そこから、抵抗R9と抵抗R10が直列に結線されてGNDに接続されている。
【0030】
そして、前記抵抗R9と抵抗R10とが接続された交点にNPNトランジスタQ5のベースが接続されてONする。NPNトランジスタQ5のエミッタはGNDへ接続され、コレクタは抵抗11と抵抗12とが電源−GND間で直列に接続された交点に接続される。
【0031】
前記コンデンサC1のチャージにより、前記NPNトランジスタQ5がONすると、このNPNトランジスタQ5のコレクタ、エミッタ間は導通し、前記抵抗11と抵抗12との交点にベースが接続されたNPNトランジスタQ6はOFFする。よって、NPNトランジスタQ6のコレクタにベースが接続されたPNPトランジスタQ7もOFFし、全LED2には電流が供給されない状態となって、全LED2が不点灯となる。このようにして、SW回路9はLED2の何れか1つでも断線したときには、全てのLED2を消灯する機能を有する。
【0032】
以上に説明したように、本発明においては、カソード側に保護抵抗(R1〜R3)が直列に接続された複数のLED2が電源に対し並列に接続された構成とされた車両用灯具1に対して、それぞれの前記LED2と保護抵抗(R1〜R3)との接続点に、それぞれにPNPトランジスタ(Q1〜Q3)のベースを接続することで、それらPNPトランジスタ(Q1〜Q3)のコレクタ電位を監視することで、何れのLED2が断線したときにも検出が容易に行えるようにする。
【0033】
また、上記LED2を複数個用いた車両用灯具1において、LED断線検出回路とその信号を用いて、自己の回路内で消灯回路を構成するLEDを光源とする車両用灯具1とし、電源投入時の断線信号を抵抗とコンデンサから成る充電回路を有するものとしたことで、車両に断線表示装置を設けることなく、運転者に車両用灯具1の異常を知らせることを可能とする。
【0034】
ここで、発明者による詳細な検討においては、LED1個と電流制限抵抗1本にて構成された直列回路で、その回路が複数ある場合において、他の正常なLEDを消灯する機能が正常に働かない場合があることを見いだした。
【0035】
例えば、図2の回路を図6として再録して説明を行えば、LED1が断線した場合、Q1のベース電位がGNDレベルとなりONすることで、Q4ベース電位もGNDレベルとなり、Q4がOFFする検出信号を車両側もしくは消灯回路へ出力して、残った正常に点灯している他のLED(LED2、LED3)を消灯させる。
【0036】
ここでLED1のVF(順方向電圧)値は、IF(順方向電流)により変化し、VF値が50〜300mAで約2.5〜3Vである。但し、LEDのVF値はLEDの材質、発光色、環境などにより変化するのが一般的である。
【0037】
車両用灯具に用いるために電源にはバッテリーを用いており、動作電圧範囲はDC9V〜16Vが一般的である。ここで、逆接防止用のダイオードD1の順方向電圧VD1を0.6Vと仮定し、Q7のON時のエミッタ−コレクタ間電圧を0.1Vとすると、Q7のコレクタとR4、LED1〜3のアノードを結ぶライン電位をVA、Q1のエミッタ電位をVE、Q1のベース電位をVBとすると、LED断線検出を行うQ1(Q2、Q3)のVEとVBは、以下のように計算される。
【0038】
VE={(R5+R6)×VA}/(R4+R5+R6)…(1)式
VB=VA-VL1 …(2)式
またVAは、 VA=VIN-VD1-VQ7 …(3)式
【0039】
ここで、R4=1kΩ、R5=3kΩ、R6=2kΩ、VD1=0.6V、VQ7=0.2V、VL1=2.5Vとしたとき、入力電圧VINが12Vでは、
VE(12V)={(3k+2k)×(16-0.7-0.2)}/(1k+3k+2k)≒9.4V …(4)式
VB(12V)=(12-0.6-0.1)-2.5=8.8V …(5)式
上記の(4)式と、(5)式を比較した場合、VE(12V)>VB(12V)となり、Q1は正常に断線検出が可能となる。
【0040】
つぎに、入力電圧VINが16Vのときの動作について検討してみると、
VE(16V)={(3k+2k)×(16-0.7-0.2)}/(1k+3k+2k)≒12.6V …(6)式
VB(16V)=(16-0.7-0.2)-2.7=12.4V …(7)式
但し電流が増加したために、VD1=0.7V、VQ7=0.2V、VLl=2.7Vとした。上記の(6)式と(7)式を比較したときVE(16V)<VB(16V)となり、Q1は正常に断線検出ができなくなっている。
【0041】
以上の状況から、発明者は、上記のように広い駆動電圧範囲が要求される自動車用の車両用灯具においても確実な検出可能とするべく、図2に示した第1実施形態の回路に対して図7に示すような対策をおこなった。
【0042】
すなわち、図7に示す対策回路においては、電流制限抵抗を複数本(図では2本の例で示してあるが、本発明は2本を限定するものではなく、2本以上であってもよい。)直列に接続し、さらにLED断線検出点を前記電流制限抵抗同士が接続された点から取り込むようにしたことで、上記した不具合を解消しようと図るものである。
【0043】
上記の説明に習って、LED断線検出を行うQ1(Q2,Q3)のVEとVBを計算してみると、入力電圧VINが12V時では、VE(12V)は、(4)式より約9.4Vとなる。またVB(12V)はR1とR31との抵抗値を同じとした場合、
VB(12V)=(VA-VL1)×R31/(R31+R1)=(12-0.6-0.1-2.5)×1/(1+1)=4.4V …(8)式
【0044】
次に入力電圧VINが16V時では、VE(16V)は、(6)式より12.6Vとなる。また、VB(16V)は、R1とR31の抵抗値が同じとした場合、
VB(16V)=(VA-VL1)×R31/(R31+R1)=(16-0.7-0.2-2.7)×1/(1+1)=6.2V …(9)式
【0045】
上記の(4)式と(8)式とを比較したとき、VE(12V)>VB(12V)となり、Q1は正常に断線検出が可能となる。また、上記の(6)式と(9)式とを比較したとき、VE(16V)>VB(16V)となり、同様に断線検出が可能となる。
【0046】
以上のように、複数が並列に接続されたLEDの1個の断線を検出使用とした場合には、LEDのVF変化が電流増加に対して小さいにもかかわらず、入力変動に伴って基準となる抵抗による電圧設定に無理があるため、電流制限抵抗の複数本を直列に接続し、さらにLED断線検出点を前記電流制限抵抗の中点から取り込むことにより、より検出精度を高めることを可能としたものである。
【0047】
上記に説明した検出精度の向上を、上記図2に示した第一実施形態の回路に採用し、第三実施例として示すものが図8であり、実施の一例として、3個が並列に接続されたLEDには、例えばLED1には電流制限抵抗R1とR31とが直列に接続され、そして、電流制限抵抗R1とR31との接続点からトランジスタQ4のベースに接続が行われでいる。
【0048】
このようにすることで、上記に説明したように電源電圧の変動に影響を受けることなく、規定範囲内の電源電圧の時には、何れのLED1〜3が断線したときにも、全てのLED1〜3を消灯させることが可能となり、運転者などへの告知が確実に行えるものとして、安全性の向上などを一層確実なものとするのである。
【0049】
同様に、上記図4に示した第二実施形態の回路に、上記に説明した検出精度の向上を行い第四実施形態としたものが図9であり、この第四実施形態においても、それぞれのLED1〜3、例えば、LED1には電流制限抵抗R1とR31とが直列に取り付けられ、そして、電流制限抵抗R1とR31との接続点でLED1の断線が検出される構成とされている。
【0050】
以上のように、本発明によれば、電流制限抵抗に生じる電位により複数のLEDの内の一個のLEDの断線を検出して全LEDを消灯させ、不十分な配光特性で走行することのないようにすると共に、前記電流制限抵抗を直列の複数に分割し、その接続点から検出に適切な電圧を選択できるものとして、一層の検出精度の向上を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る車両用灯具の第一実施形態を示すブロック図である。
【図2】同じく、本発明に係る車両用灯具の第一実施形態の全体回路を示す配線図である。
【図3】本発明に係る車両用灯具の第二実施形態を示すブロック図である。
【図4】同じく、本発明に係る車両用灯具の第二実施形態の全体回路を示す配線図である。
【図5】本発明に係る車両用灯具の運転者に異常を告知する部分の動作を示す説明図である。
【図6】図2に示す回路の電圧発生部位を示す説明図である。
【図7】第三実施形態における電圧発生部位を示す説明図である。
【図8】本発明に係る車両用灯具の第三実施形態を示す配線図である。
【図9】本発明に係る車両用灯具の第四実施形態の全体回路を示す配線図である。
【図10】従来例を示す斜視図である。
【図11】図10のA−A線に沿う断面図である。
【図12】従来例の配光特性の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1…車両用灯具
2…LED
R1〜R3、R31〜R33…保護抵抗
R4…プルアップ抵抗
4…電源
4a…正端子
4b…正極配線
4c…GND端子
4d…GND配線
5…入力保護回路
6…断線検出回路
7…検出信号端子
8…断線制御回路
9…SW回路
10…消灯回路
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用灯具に係るものであり、詳細には、LEDヘッドランプ、LEDリアランプ、LEDストップランプなどのように1つの灯具中に複数のLEDが光源として採用されており、それら複数のLED光源からの光の総合で、配光特性と、規定の明るさの確保が行われているLEDを光源とする車両用灯具の構成に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のLEDを光源とする車両用灯具90の構成の例を示すものが図 であり、この車両用灯具90では、内部にLED光源92が収納された5個の略筒状のユニット91(91a〜91e)が、車体(図示せず)前方の左右に、各5ユニットずつが、例えば、水平方向として並べて取付けられている。
【0003】
図 は、1つのユニット、例えば、ユニット91aの断面であり、前記LED光源92は上向きに光を放出するようにヒートシンク93に取付けられ、前記ヒートシンク93の上方、即ち、光が放出される方向には、投影レンズ94に向けて光を反射する楕円系などとした反射面95が設けられている。また、必要に応じては、対向車の運転者に眩惑を感じさせないように、前記投影レンズ94から上向きに放射される光を遮蔽するシェード96が設けられている。
【0004】
このときに、前記ユニット91のそれぞれ、例えば、ユニット91aの中心線Hは上記したような5個のユニット(91a〜91e)からの光の合成で、ヘッドライト用などとして最適な配光が得られるように適宜に傾けられている場合もあり、例として、図 に示すよう、ユニット91aは図中に符号Aで正面遠方を照射し、ユニット91bは図中に符号Bで示すように車両直前を照射するようにされている。
【0005】
また、前記ユニット91a〜91eに取付けられるLED光源92は、原則的には白色発光のものが採用されるが、例えば、車体の左右両側に取付けられた、5個ずつのユニットの最も内側のものには黄色系のLED光源92を取付け、方向指示灯として使用するなどは自在であり、また、5個のユニットの一部を点灯し、すれ違い配光とし、全てを点灯して走行配光とするなども自由である。
【特許文献1】特開2006−351369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記した従来の構成の車両用灯具90においては、個々のユニット91a〜ユニット91eの何れかが断線し、点灯をしなくなった事態においては、車両用灯具90としての規定の明るさが得られなく成る恐れがあるので、その点を見込んで、予めに前記したユニット91a〜ユニット91eの数を、必要な明るさが得られる数+1などとして、万一のLED光源92の断線に備えるものとしていた。
【0007】
このことは、ユニット数の増加により、車両用灯具90にコストアップを生じる問題点を生じるのみばかりでなく、点灯中は、必要以上の電力を消費してこととなり、例えば、オルタネータ、バッテリーなど電気関連部品にも余分な負担がかかるものとなり、この点でもコストアップを生じる問題点を生じるものとなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記した従来の課題を解決するための具体的手段として、車両電源から電源供給を受ける複数個から成るLEDを有する光源とそのLEDを駆動する駆動回路から成る車両用灯具であり、前記車両電源側にLEDのアノードを接続し、同じLEDのカソード側に電流調整抵抗の一方を直列に接続し、前記電流調整抵抗の他方はGNDに接続し、前記LEDと前記電流調整抵抗の一方とが接続された交点にはPNPトランジスタのベースを接続し、前記トランジスタのコレクタはGNDに接続したLED検出回路を複数回路にて構成し、前記トランジスタのエミッタは電源に接続した抵抗によってプルアップしたことを特徴とする車両用灯具を提供することで、課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、電源に対し並列に接続されている複数列のLEDの内の1つにでも断線を生じれば、本発明により設けられた断線検出回路は、異常信号を発生し断線検出回路に送るのもとしたことで、この異常信号をもって、運転者に告知を行うことで、1つのLEDの断線も検出でき、早急に対応可能となるので、断線を生じたときにも規定の照度が得られるように余分なユニットを設ける必要が無く、コストダウンと信頼性とを共に向上可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
つぎに、本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1に示すものは本発明に係る車両用灯具1の第一実施形態ををブロック図で示すものであり、この車両用灯具1は、必要数、例えば3個のLED2(LED1〜LED3)が保護抵抗3(R1〜R3)が直列に接続された状態で、入力保護回路5を含む電源4に並列に接続されている。
【0011】
そして、それぞれの前記LED2と保護抵抗3とが接続された点からは、断線検出装置5に向かい信号が入力され、この断線検出装置6により、前記LED2の断線が検出できる構成とされているのである。
【0012】
図2は、図1に示したブロック図を更に詳細に示す回路図であり、先ず、正極端子4a側にアノードを接続し、正極配線4b側にカソードをを接続するダイオードD1の配置が行われて、誤って逆接続が行われたときにもLED2などの破損を防止する入力保護回路5が構成されている。
【0013】
また、前記入力保護回路5の正極配線4b、GND端子4cに接続されるGND配線4d間にはゼナーダイオードZD1およびコンデンサーC1も接続され、規定以上の高電圧が、正端子4aおよびGND端子4b間に印可されたり、あるいは、サージ電圧が印加されたときには吸収し、上記にも記載したようにLED2などの破損が防止できるようにされている。
【0014】
そして、前記正極配線4bには複数のLED2、例えば、3個のLED2がアノード側で接続され、それぞれのLED2のカソード側と、前記GND配線4dの間には保護抵抗R1〜保護抵抗R3が接続され、前記保護抵抗R1〜保護抵抗R3の他端は、前記GND配線4dに接続される。
【0015】
本発明においては断線検出回路6として、それぞれの、前記LED2と、保護抵抗R1〜保護抵抗R3との接続点にPNPトランジスタQ1〜Q3のベースを接続するものであり、このとき前記PNPトランジスタQ1〜Q3のコレクタは前記GND配線4dに接続されている。
【0016】
また、このとき、全ての前記PNPトランジスタQ1〜Q3のエミッタはプルアップ抵抗R4を経由して正極配線4bに接続されている。加えて、前記プルアップ抵抗R4からGND配線4dにかけては分割抵抗R5、R6が設けられ、この分割抵抗R5、R6との接続点にはNPNトランジスタQ4のベースが接続され、このNPNトランジスタQ4ののエミッタはGND配線4dに接続されている。
【0017】
この状態で、正端子4aに規定電圧の印加が行われると、各LED2を設定電流で点灯させた後の電流は、保護抵抗R1〜R3に流れ込み、前記CND配線4dに対して、所定の電圧を生じるものとなる。よって、(保護抵抗R1〜R3に生じる電圧>プルアップ抵抗で印加される電圧)としておけば、前記PNPトランジスタQ1〜Q3はOFF状態となっている。
【0018】
従って、前記プルアップ抵抗R4を介して、分割抵抗R5、R6により、ベースに給電が行われているPNPトランジスタQ4は導通し、検出信号端子7をコレクタ、エミッタを介して、GND配線4dに導通させることで、LED2に断線を生じていないことが検出できるものとなる。
【0019】
ここで、もしも、前記LED2の少なくとも1個に断線を生じたときには、検出素子である前記PNPトランジスタQ1〜Q3のベースはGND配線の電位となり、エミッタ・コレクタ間は導通する。よって、NPNトランジスタQ4のベース電位はGND電位となり、エミッタ・コレクタ間はOFFする。よって、前記検出信号端子7からGND電位に流れ込む電流はなくなり、LED2の断線が検出されるのである。
【0020】
図3は本発明に係る車両用灯具1の第二実施形態を示すブロック図であり、複数のLED2に対して、断線検出回路6が設けられている点は同様であるが、前記断線検出回路6からの出力を利用する消灯回路10が形成され、この消灯回路10は、断線制御回路8とSW回路9とから構成されている。
【0021】
図4は、図3に示した第二実施形態を実際の回路素子を用いて示すものであり、この第二実施形態の説明に当たっては、図2で既に説明したLED3、保護抵抗R1〜R3、入力保護回路5、断線検出回路6の部分の説明は省略するものとする。
【0022】
この第二実施形態においては、断線検出回路6のNPNトランジスタQ4のコレクタは、入力保護回路5のダイオードD1のカソード側である正極配線4bと、GND配線4d間に直列に接続された抵抗R8とコンデンサC1との接続点に接続されている。尚、このときにはコンデンサC1側がGND配線4d側に接続されていて、前記抵抗R8とで充電回路を構成している。
【0023】
この充電回路の役割は、LED2の内の何れか1つが断線した場合には、この断線を車両側に検出信号を出力し、運転者に、例えば電球、LEDなどの表示装置を介して異常を知らせる。この場合、前記運転者に異常を知らせるべき表示装置にも故障が生じる事態も考えられる。
【0024】
本発明は、そのような状態を生じたときにも、運転者に異常の発生を知らせられるべく考慮するものであり、以下、図5に示すコンデンサC1の充電カーブと図4に示す回路図との対比で動作の説明を行う。
【0025】
断線の検出信号を受けると、車両電源が入っている場合はLED2が全て消灯となる。次ぎに車両電源を投入したときに、NPNトランジスタQ4のコレクタがオープンであるので、断線制御回路8の前記抵抗R8を介して、コンデンサC1に図5に示すような充電電流が流れる。尚、図5においては、横軸は時間であり、縦軸は電圧である。
【0026】
ここで、車両電源が12V、ダイオードD1の順方向電圧が0.6V、抵抗R8が4.3KΩ、抵抗R9が2KΩ、抵抗R10が1KΩとした場合、コンデンサC1が1μFの場合には、前記コンデンサC1の電位(充電電圧)は約4.7Vとなる。また、次段であるSW回路のNPNトランジスタQ5のベースをONさせるレベルに達するまでの時間は約0.3msが必要となる。
【0027】
そして、本発明の第二実施形態の車両用灯具1においては、この間に断線していないLED2の全てに電流が流れるため、電源投入時の短時間のみ点灯して消える動作を繰り返すこととなって運転者へ灯体の異常を確実に知らせることになる。また、前記断線制御回路8のコンデンサC1の容量を10μFとしたときには、SW回路のNPNトランジスタQ5のベースをONさせるレベルに達するまでの時間は約5msが必要となる。
【0028】
何れにしてもLED2の立上がり時間は1μS以下であるので、コンデンサC1としてはどちらの容量のものを取付けても充分に点灯が確認できるものとなるので、運転者自身、あるいは、歩行者、対向車から車両用灯具1の一部のLED2に断線を生じていることが容易に確認できる点灯時間とすれば良いものである。
【0029】
続いて、SW回路9の動作につて説明を行う。断線を生じたときには、断線信号がハイレベル(NPNトランジスタQ4のコレクターがオープンのため、プルアップ抵抗R8により電源レベル)となって、そこから、抵抗R9と抵抗R10が直列に結線されてGNDに接続されている。
【0030】
そして、前記抵抗R9と抵抗R10とが接続された交点にNPNトランジスタQ5のベースが接続されてONする。NPNトランジスタQ5のエミッタはGNDへ接続され、コレクタは抵抗11と抵抗12とが電源−GND間で直列に接続された交点に接続される。
【0031】
前記コンデンサC1のチャージにより、前記NPNトランジスタQ5がONすると、このNPNトランジスタQ5のコレクタ、エミッタ間は導通し、前記抵抗11と抵抗12との交点にベースが接続されたNPNトランジスタQ6はOFFする。よって、NPNトランジスタQ6のコレクタにベースが接続されたPNPトランジスタQ7もOFFし、全LED2には電流が供給されない状態となって、全LED2が不点灯となる。このようにして、SW回路9はLED2の何れか1つでも断線したときには、全てのLED2を消灯する機能を有する。
【0032】
以上に説明したように、本発明においては、カソード側に保護抵抗(R1〜R3)が直列に接続された複数のLED2が電源に対し並列に接続された構成とされた車両用灯具1に対して、それぞれの前記LED2と保護抵抗(R1〜R3)との接続点に、それぞれにPNPトランジスタ(Q1〜Q3)のベースを接続することで、それらPNPトランジスタ(Q1〜Q3)のコレクタ電位を監視することで、何れのLED2が断線したときにも検出が容易に行えるようにする。
【0033】
また、上記LED2を複数個用いた車両用灯具1において、LED断線検出回路とその信号を用いて、自己の回路内で消灯回路を構成するLEDを光源とする車両用灯具1とし、電源投入時の断線信号を抵抗とコンデンサから成る充電回路を有するものとしたことで、車両に断線表示装置を設けることなく、運転者に車両用灯具1の異常を知らせることを可能とする。
【0034】
ここで、発明者による詳細な検討においては、LED1個と電流制限抵抗1本にて構成された直列回路で、その回路が複数ある場合において、他の正常なLEDを消灯する機能が正常に働かない場合があることを見いだした。
【0035】
例えば、図2の回路を図6として再録して説明を行えば、LED1が断線した場合、Q1のベース電位がGNDレベルとなりONすることで、Q4ベース電位もGNDレベルとなり、Q4がOFFする検出信号を車両側もしくは消灯回路へ出力して、残った正常に点灯している他のLED(LED2、LED3)を消灯させる。
【0036】
ここでLED1のVF(順方向電圧)値は、IF(順方向電流)により変化し、VF値が50〜300mAで約2.5〜3Vである。但し、LEDのVF値はLEDの材質、発光色、環境などにより変化するのが一般的である。
【0037】
車両用灯具に用いるために電源にはバッテリーを用いており、動作電圧範囲はDC9V〜16Vが一般的である。ここで、逆接防止用のダイオードD1の順方向電圧VD1を0.6Vと仮定し、Q7のON時のエミッタ−コレクタ間電圧を0.1Vとすると、Q7のコレクタとR4、LED1〜3のアノードを結ぶライン電位をVA、Q1のエミッタ電位をVE、Q1のベース電位をVBとすると、LED断線検出を行うQ1(Q2、Q3)のVEとVBは、以下のように計算される。
【0038】
VE={(R5+R6)×VA}/(R4+R5+R6)…(1)式
VB=VA-VL1 …(2)式
またVAは、 VA=VIN-VD1-VQ7 …(3)式
【0039】
ここで、R4=1kΩ、R5=3kΩ、R6=2kΩ、VD1=0.6V、VQ7=0.2V、VL1=2.5Vとしたとき、入力電圧VINが12Vでは、
VE(12V)={(3k+2k)×(16-0.7-0.2)}/(1k+3k+2k)≒9.4V …(4)式
VB(12V)=(12-0.6-0.1)-2.5=8.8V …(5)式
上記の(4)式と、(5)式を比較した場合、VE(12V)>VB(12V)となり、Q1は正常に断線検出が可能となる。
【0040】
つぎに、入力電圧VINが16Vのときの動作について検討してみると、
VE(16V)={(3k+2k)×(16-0.7-0.2)}/(1k+3k+2k)≒12.6V …(6)式
VB(16V)=(16-0.7-0.2)-2.7=12.4V …(7)式
但し電流が増加したために、VD1=0.7V、VQ7=0.2V、VLl=2.7Vとした。上記の(6)式と(7)式を比較したときVE(16V)<VB(16V)となり、Q1は正常に断線検出ができなくなっている。
【0041】
以上の状況から、発明者は、上記のように広い駆動電圧範囲が要求される自動車用の車両用灯具においても確実な検出可能とするべく、図2に示した第1実施形態の回路に対して図7に示すような対策をおこなった。
【0042】
すなわち、図7に示す対策回路においては、電流制限抵抗を複数本(図では2本の例で示してあるが、本発明は2本を限定するものではなく、2本以上であってもよい。)直列に接続し、さらにLED断線検出点を前記電流制限抵抗同士が接続された点から取り込むようにしたことで、上記した不具合を解消しようと図るものである。
【0043】
上記の説明に習って、LED断線検出を行うQ1(Q2,Q3)のVEとVBを計算してみると、入力電圧VINが12V時では、VE(12V)は、(4)式より約9.4Vとなる。またVB(12V)はR1とR31との抵抗値を同じとした場合、
VB(12V)=(VA-VL1)×R31/(R31+R1)=(12-0.6-0.1-2.5)×1/(1+1)=4.4V …(8)式
【0044】
次に入力電圧VINが16V時では、VE(16V)は、(6)式より12.6Vとなる。また、VB(16V)は、R1とR31の抵抗値が同じとした場合、
VB(16V)=(VA-VL1)×R31/(R31+R1)=(16-0.7-0.2-2.7)×1/(1+1)=6.2V …(9)式
【0045】
上記の(4)式と(8)式とを比較したとき、VE(12V)>VB(12V)となり、Q1は正常に断線検出が可能となる。また、上記の(6)式と(9)式とを比較したとき、VE(16V)>VB(16V)となり、同様に断線検出が可能となる。
【0046】
以上のように、複数が並列に接続されたLEDの1個の断線を検出使用とした場合には、LEDのVF変化が電流増加に対して小さいにもかかわらず、入力変動に伴って基準となる抵抗による電圧設定に無理があるため、電流制限抵抗の複数本を直列に接続し、さらにLED断線検出点を前記電流制限抵抗の中点から取り込むことにより、より検出精度を高めることを可能としたものである。
【0047】
上記に説明した検出精度の向上を、上記図2に示した第一実施形態の回路に採用し、第三実施例として示すものが図8であり、実施の一例として、3個が並列に接続されたLEDには、例えばLED1には電流制限抵抗R1とR31とが直列に接続され、そして、電流制限抵抗R1とR31との接続点からトランジスタQ4のベースに接続が行われでいる。
【0048】
このようにすることで、上記に説明したように電源電圧の変動に影響を受けることなく、規定範囲内の電源電圧の時には、何れのLED1〜3が断線したときにも、全てのLED1〜3を消灯させることが可能となり、運転者などへの告知が確実に行えるものとして、安全性の向上などを一層確実なものとするのである。
【0049】
同様に、上記図4に示した第二実施形態の回路に、上記に説明した検出精度の向上を行い第四実施形態としたものが図9であり、この第四実施形態においても、それぞれのLED1〜3、例えば、LED1には電流制限抵抗R1とR31とが直列に取り付けられ、そして、電流制限抵抗R1とR31との接続点でLED1の断線が検出される構成とされている。
【0050】
以上のように、本発明によれば、電流制限抵抗に生じる電位により複数のLEDの内の一個のLEDの断線を検出して全LEDを消灯させ、不十分な配光特性で走行することのないようにすると共に、前記電流制限抵抗を直列の複数に分割し、その接続点から検出に適切な電圧を選択できるものとして、一層の検出精度の向上を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る車両用灯具の第一実施形態を示すブロック図である。
【図2】同じく、本発明に係る車両用灯具の第一実施形態の全体回路を示す配線図である。
【図3】本発明に係る車両用灯具の第二実施形態を示すブロック図である。
【図4】同じく、本発明に係る車両用灯具の第二実施形態の全体回路を示す配線図である。
【図5】本発明に係る車両用灯具の運転者に異常を告知する部分の動作を示す説明図である。
【図6】図2に示す回路の電圧発生部位を示す説明図である。
【図7】第三実施形態における電圧発生部位を示す説明図である。
【図8】本発明に係る車両用灯具の第三実施形態を示す配線図である。
【図9】本発明に係る車両用灯具の第四実施形態の全体回路を示す配線図である。
【図10】従来例を示す斜視図である。
【図11】図10のA−A線に沿う断面図である。
【図12】従来例の配光特性の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1…車両用灯具
2…LED
R1〜R3、R31〜R33…保護抵抗
R4…プルアップ抵抗
4…電源
4a…正端子
4b…正極配線
4c…GND端子
4d…GND配線
5…入力保護回路
6…断線検出回路
7…検出信号端子
8…断線制御回路
9…SW回路
10…消灯回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両電源から電源供給を受ける複数個から成るLEDを有する光源とそのLEDを駆動する駆動回路から成る車両用灯具であり、前記車両電源側にLEDアノードを接続し、同じLEDのカソード側に電流調整抵抗の一方を直列に接続し、前記電流調整抵抗の他方はGNDに接続し、前記LEDと前記電流調整抵抗の一方とが接続された交点にはPNPトランジスタのベースを接続し、前記トランジスタのコレクタはGNDに接続したLED検出回路を複数回路にて構成し、前記トランジスタのエミッタは電源に接続した抵抗によってプルアップしたことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
車両電源に接続した抵抗と、該抵抗と直列にGNDにコンデンサを接続した充電回路であり、前記抵抗と前記コンデンサとの交点には前記LED検出回路を接続したことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
電源側にLEDアノードを接続し、前記カソードに複数本の抵抗を直列に接続し、前記複数本の抵抗の交点にPNPトランジスタベースを接続したことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項1】
車両電源から電源供給を受ける複数個から成るLEDを有する光源とそのLEDを駆動する駆動回路から成る車両用灯具であり、前記車両電源側にLEDアノードを接続し、同じLEDのカソード側に電流調整抵抗の一方を直列に接続し、前記電流調整抵抗の他方はGNDに接続し、前記LEDと前記電流調整抵抗の一方とが接続された交点にはPNPトランジスタのベースを接続し、前記トランジスタのコレクタはGNDに接続したLED検出回路を複数回路にて構成し、前記トランジスタのエミッタは電源に接続した抵抗によってプルアップしたことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
車両電源に接続した抵抗と、該抵抗と直列にGNDにコンデンサを接続した充電回路であり、前記抵抗と前記コンデンサとの交点には前記LED検出回路を接続したことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
電源側にLEDアノードを接続し、前記カソードに複数本の抵抗を直列に接続し、前記複数本の抵抗の交点にPNPトランジスタベースを接続したことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−6981(P2009−6981A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−256886(P2007−256886)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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