説明

車両用灯具

【課題】ハウジングの車体取付用フックの取付位置のバラツキに起因するカバー接合部のシール性の低下を確実に防止できる車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具10は、ハウジング12とレンズカバー14とによって全体が覆われており、ハウジング12の開口端縁の溝にシール材を装填した状態でレンズカバー14の脚が嵌入されるカバー接合部20と、ヘッドランプ10を車体フレームにボルトで取り付けれるための車体取付用フック24を有している。車体取付用フック24の前方にハウジング12とレンズカバー14とをネジ止めするネジ止め部22が設けられる。このネジ止め部22によって、ハウジング12とレンズカバー14とが強固に固定されると共に、車体取付用フック24の取付位置のバラツキによって車体取付用フック24に加えられた力がカバー接合部20に伝達した場合であってもカバー接合部20のシール性の低下が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用灯具に係り、特にレンズカバーの端縁をハウジングの端縁に形成されたシール溝に挿入した状態で組み合わせることで前記レンズカバーとハウジングとで区画された灯室が形成される車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ヘッドランプ等の車両用灯具は、ケース部材であるハウジングに光源等の灯具構成部品が装着保持され、照明光が照射されるハウジングの前面開口にレンズカバーが装着されて、ハウジングとレンズカバーとで全体が覆われている。ハウジングの端縁にレンズカバーの端縁が接合されるカバー接合部は、シール性を良くして内部(灯室)に水などが浸入しないようにするため、例えば、ハウジングの端縁の全体に渡ってシール溝が形成され、そのシール溝にシール材(ホットメルト等)が装填された状態でレンズカバーの端縁に形成された脚が嵌め込まれる構造としたものが知られている(例えば特許文献1参照)。また、このようなシール構造のカバー接合部と併せてハウジングとレンズカバーとをネジ止めして確実に装着するようにしたものも、例えば、特許文献2に開示されている。
【0003】
また、車両用灯具を車体の所定位置に固定するため、ハウジングに図7に示すような車体取付用フック320が形成されたものも知られている。同図には、車体取付用フック320の周辺部分の断面が示されており、車両取付用フック320の前方にハウジング300とレンズカバー302とを装着する上記シール構造のカバー接合部304も示されている。カバー接合部304は、上記のようにハウジング300の端縁にシール溝部306が形成され、シール溝部306の溝内にシール材308が装填された状態でレンズカバー302の端縁の脚310が嵌入される構造となっている。車体取付用フック320は、ハウジング300の外壁部300A外面にL字型に折曲した板状体として突設形成されており、この車体取付用フック320の横板部322に形成されたボルト挿通孔322Aと、車体の車体フレーム340に形成されたボルト挿通孔340Aにボルト350が挿通されるとともに、そのボルト350が車体フレーム340の下面側のナット352に締め込まれ、車体フレーム340の上面に車体取付用フック320の横板部322の下面が面接触した状態で車体取付用フック320が車体フレーム340に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−158312号公報
【特許文献2】特開平8−235910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図7のような車体取付構造において、車体取付用フック320が取り付けられる車体フレーム340の位置は、車体ごとにバラツキが大きく、また、温度による変動等が大きいため、車体取付用フック320の取付位置が設計位置と大きく異なる場合が生じる。特に、車体取付用フック320の横板部322の下面(車体取付用フック320の取付面)が面接触して取り付けられる車体フレーム340の上面(車体フレーム340の取付面)の位置が設計位置に対して上下方向(取付面に対して直交する方向)に異なると、車体取付用フック320を車体フレーム340にボルト350とナット352で取り付ける際に、車体取付用フック320の取付面が、車体フレーム340の取付面から離間した状態から接触した状態となるように車体取付用フック320に回転力が加えられる。そして、その回転力が車体取付用フック320の前方におけるハウジング300の端縁(カバー接合部304)を上方(外側)に引き上げる力として伝達する。このとき、シール溝部306の上側(外側)の外側側壁部306Aにレンズカバー302の脚310から離れる方向に力が加わり、シール材308がシール溝部306の外側側壁部306Aの内面、又は、レンズカバー302の脚310の上面から剥離してシール性が損なわれるというおそれがあった。
【0006】
このように車体取付用フックの車体フレームへの取付位置が設計位置と異なると、車体取付用フックと車体フレームとの間にスペースが生じ、車体取付用フックを車体フレームにボルトなどでネジ締めして取り付ける際の締付力が、車体取付用フックの前方におけるハウジングの端縁に伝達し、カバー接合部のシール性が損なわれるおそれがある。
【0007】
また、車体取付用フックを車体フレームに固定した状態においても、車体取付用フックの取付位置が設計位置に対して異なると、車体取付用フックが弾性変形した状態で固定されるため、その弾性力が車体取付用フックの前方におけるカバー接合部に伝達し、カバー接合部のシール性を低下させるおそれがある。
【0008】
更に、特許文献2に開示されているようなハウジングとレンズカバーをネジ止めする構造は、ハウジングとレンズカバーとの装着を強固にするが、単にハウジングとレンズカバーを所望の位置でネジ止めの構造を設けただけでは、上記のように車体取付用フックからカバー接合部に伝達する力によるカバー接合部のシール性の低下を確実に防止することはできない。従来、車体取付用フックと離れた位置においてハウジングとレンズカバーとをネジ止めするものがあるが、カバー接合部のシール性の低下を確実に防止することはできなかった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ハウジングの車体取付用フックの取付位置のバラツキに起因して車体取付用フックからカバー接合部に力が加えられた場合であってもカバー接合部のシール性の低下を確実に防止することができる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、請求項1に係る車両用灯具は、レンズカバーの端縁をハウジングの端縁に形成されたシール溝に挿入した状態で組み合わせることで構成される、前記レンズカバーとハウジングとで区画された灯室を含む車両用灯具において、車体フレームにネジ止め固定される車体フレーム取付部と、前記車体フレーム取付部を前記ハウジングに固定する支持部と、を含む車体取付用フックと、前記ハウジングに配置され、ネジ挿入穴が形成されたネジ挿入部と、前記ネジ挿入部が対向するレンズカバー部分に配置され、前記ネジ挿入穴に挿入された固定用ネジが螺合するネジ穴が形成されたネジ螺合部と、を含み、前記ネジ挿入穴に挿入された固定用ネジを前記ネジ穴に螺合することで、前記レンズカバーとハウジングとを、前記レンズカバーの端縁をハウジングの端縁に形成されたシール溝に挿入した状態でネジ止め固定する固定部と、を備えており、前記支持部は、前記ハウジングに固定された基端と、前記車体フレーム取付部が連続する先端とを備えており、前記車体フレーム取付部は、当該車体フレーム取付部を前記車体フレームにスペースを介してネジ止め固定した場合に、前記支持部を介して前記ハウジングの端縁に伝達される締付力により、前記ハウジングの端縁が前記レンズカバーの端縁に対して上方向又は下方向に変位するように、前記支持部に連続しており、前記ネジ挿入部は、前記支持部と前記ハウジングの端縁との間のハウジング部分に配置されており、前記支持部には、前記ネジ挿入穴に挿入される固定用ネジが通過する開口が形成されていることを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、車体取付用フックの支持部とハウジングの端縁との間のハウジング部分に、ハウジングとレンズカバーとをネジ止め固定する固定部のネジ挿入部が配置されるため、車体取付用フックからカバー接合部に力が伝達した場合であっても、カバー接合部の変形がネジ止め固定の固定部によって防止される。従って、シール溝が変形せずカバー接合部のシール性の低下が確実に防止される。また、ハウジングのネジ挿入部とレンズカバーのネジ螺合部とをネジ止め固定する固定部のネジ(固定用ネジ)は、車体取付用フックの支持部に形成された開口を通過させてネジ挿入部に挿入させることができ、その開口からドライバを挿入してネジを容易に固定することができる。
【0012】
請求項2に係る車両用灯具は、請求項1に記載の発明において、前記固定部の前記ネジ挿入部には係合穴が形成され、前記固定部の前記ネジ螺合部には前記係合穴に嵌入する係合突部が形成され、前記係合穴に前記係合突部が嵌入された係合状態で前記レンズカバーとハウジングとがネジ止め固定されることを特徴としている。本発明によれば、ハウジングとレンズカバーとをネジ止め固定する固定部のネジ挿入部とネジ螺合部とを係合穴と係合突部とを係合させる構造としたため、カバー接合部の変形がより強固に防止される。
【0013】
請求項3に係る車両用灯具は、請求項1、または、2に記載の発明において、前記ハウジングのシール溝に、シール材が装填された状態で前記レンズカバーの端縁に形成された脚が挿入されることにより前記ハウジングの端縁に前記レンズカバーの端縁が接合されていることを特徴としている。本発明は、シール溝にシール材を装填してカバー接合部でのシール性を高めた構造であり、このような構造において、車体取付用フックからのカバー接合部に力が加えられるとシール材がシール溝の内壁面やレンズカバーの脚から剥離し、シール性が損なわれる。一方、請求項1の構成を有することによってこのようなシール材の剥離を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ハウジングの車体取付用フックが取付位置が設計位置と大きく異なり、車体取付用フックからカバー接合部に大きな力が加えられた場合であってもカバー接合部のシール性の低下を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明が適用されたヘッドランプの概略構成を示した側断面図。
【図2】ヘッドランプのカバー接合部の一部、ネジ止め部、及び、車体取付用フックを拡大して示した斜視図。
【図3】ヘッドランプのカバー接合部の一部、ネジ止め部、及び、車体取付用フックを拡大して示した側断面図(図2のA−A線断面図)。
【図4】ヘッドランプのカバー接合部の一部、ネジ止め部、及び、車体取付用フックを拡大して示した平面図。
【図5】ヘッドランプのカバー接合部の一部、ネジ止め部、及び、車体取付用フックを拡大して示した正面図。
【図6】ハウジングの射出成形の説明に使用した説明図であって、図3と同様の側断面図。
【図7】従来の車体取付用フックの周辺部を示した側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に従って、本発明に係る車両用灯具を実施するための形態について詳説する。
【0017】
図1は、本発明が適用されたヘッドランプの概略構成を示した側断面図である。同図に示すヘッドランプ10は、開口を有するハウジング12と、ハウジング12の開口を覆うレンズカバー14とによって、ヘッドランプ10全体が覆われており、ハウジング12とレンズカバー14とで覆われた灯室内に光源15(バルブ)やリフレクタ等の詳細を省略した灯具構成部品がハウジング12に装着保持された状態で収容されている。尚、ハウジング12は、例えばポリプロピレンを材料として射出形成され、レンズカバー14は、ポリカーボネートを材料として射出形成される。
【0018】
このヘッドランプ10は、ハウジング12の開口端縁にレンズカバー14の端縁が全周に渡ってシール材を介して装着されるカバー接合部20と、ハウジング12の開口端縁とレンズカバー14の端縁の一部がネジ止めで固定されるネジ止め部22と、ヘッドランプ10を車体に固定するために車体フレーム200(例えば、アッパサイドフレーム)の所定位置にボルト202とナット204で固定される車体取付用フック24とを有しており、これらの構成について以下詳説する。
【0019】
図2乃至図5は、それぞれヘッドランプ10の上記カバー接合部20の一部、ネジ止め部22、及び、車体取付用フック24を拡大して示した斜視図、側断面図(図2のA−A線断面図)、平面図、正面図である。尚、図3の側面図においてヘッドランプ10のレンズカバー14が配置される紙面左側を前方、ハウジング12が配置される紙面右側を後方、紙面上側を上方、紙面下側を下方として方向の記載を行うものとする。
【0020】
カバー接合部20は、ハウジング12の開口端縁の全周に渡って形成されたシール溝部30と、レンズカバー14の端縁に全周に渡って形成されたシール脚部32と、シール材34とから構成されている。
【0021】
ハウジング12のシール溝部30は、図3に示すようにハウジング12の外壁部(ハウジング本体)12Aがそのまま前方に延長されて形成された内側側壁部40と、内側側壁部40に直交して外向きに立設された底壁部42と、底壁部42の端部から前方に突設された外側側壁部44とから構成され、これらの壁部40、42、44によって前方が開口したシール溝46が形成されている。
【0022】
レンズカバー14のシール脚部32は、図2、図3に示すようにレンズカバー14の本体(レンズ本体)14Aがそのまま後方に延長されて形成されたシール脚50と、シール脚50に直交して外向きに立設されたリブ52とを有している。
【0023】
ハウジング12のシール溝46には、シール材34が装填され、シール脚50がシール溝46との間にシール材34を挟み込んだ状態で嵌入される。シール材34は、ハウジング12とレンズカバー14とのカバー接合部20におけるシール性を高めるもので、例えばホットメルト接着剤、ゴム、又は、ウレタン発砲体等のシール材料が使用されている。
【0024】
ネジ止め部22は、上記のカバー接合部20の外側(図3において上側)の一部に設けられており、ハウジング12の係合穴部60と、レンズカバー14の係合突部62と、ネジ64とから構成されている。
【0025】
ハウジング12の係合穴部60は、上記シール溝部30の外側(図3において上側)に形成されており、シール溝部30の外側側壁部44から上方に半円筒状に隆起した枠70と、断面が略円形状(円柱状)に形成された係合穴72と、枠70の背面側に形成されたネジ64を挿通する挿通孔74とから構成されている。
【0026】
レンズカバー14の係合突部62は、レンズカバー14のシール脚部32の外側(図3において上側)に形成されており、シール脚部32のリブ52から上方に連設された支持板76と、支持板76から後方に突設された断面が略円形状の突起78と、突起78の後端面に形成されたネジ穴(雌ネジ)80とから構成されている。
【0027】
ハウジング12の係合穴部60の係合穴72には、レンズカバー14の係合突部62の突起78が挿入され、係合穴部60の枠70の後側から挿通孔74に挿入されたネジ64が、係合突部62の突起78のネジ穴80に締め込まれている。これによって、ハウジング12とレンズカバー14がネジ止め部22のねじ止めによって強固に固定されている。
【0028】
尚、係合突部62の突起78のネジ穴80は、成形時にはねじ山が形成されておらず、ネジ64としてタッピングネジを用い、そのネジ64をねじ込みながらネジ穴80にねじ山(雌ねじ)が形成される。
【0029】
また、ハウジング12の開口端縁とレンズカバー14の端縁には、図示しない係合突起と係合孔とからなるフック構造が数カ所に設けられており、それらのフック構造によってハウジング12とレンズカバー14との離脱防止が強化されている。
【0030】
車体取付用フック24は、ハウジング12の外壁部12Aと一体形成されたL字型の板状体であり、ハウジング12の外壁部12Aの外面(上面)から上方に向けて立設された縦板部(支持部)90と、縦板部90の上端から後方に向けて延設された横板部(車体フレーム取付部)92とを備えている。また、縦板部90と横板部92の周縁にはリブ94が形成され、横板部92には、図1のように車体フレーム200に固定するためのボルト202が挿通されるボルト挿通孔96が形成されている。
【0031】
また、詳細は後述するが、上記ネジ止め部22は、縦板部90の前方(中央正面)に設けられており、縦板部90には、ネジ止め部22のネジ64をドライバで回す際にドライバを挿通させるための開口98が形成されている。
【0032】
以上の構成を有するヘッドランプ10の作用、効果について説明する。「発明が解決しようとする課題」において図7を用いて説明したように、ハウジング12の車体取付用フック24が取り付けられる車体フレーム200(図1参照)の位置は、車体ごとにバラツキが大きく、また、温度による変動等が大きいため、車体取付用フック24の横板部92の下面(車体取付用フック24の取付面)が面接触して取り付けられる車体フレーム200の上面(車体フレーム200の取付面)の位置が設計位置に対して上下方向(取付面に対して直交する方向)に大きくずれる場合がある。このとき、車体取付用フック24を図1のように車体フレーム200にボルト202とナット204で取り付ける際、または、取り付けた後に、車体取付用フック24の取付面を車体フレーム200の取付面に合わせ込む力が加わり、その力が車体取付用フック24の前方におけるカバー接合部20に伝達する。このカバー接合部20に生じた力は、シール溝部30のシール材34を剥離してカバー接合部20のシール性を損なわせ、灯室内への水入りの原因を招くおそれがある。
【0033】
一方、上述の実施の形態の構成では、車体取付用フック24前方のカバー接合部20外側(上側)にネジ止め部22が設けられている。そのため、カバー接合部20に車体取付用フック24からの力が加えられた場合であっても、カバー接合部20におけるシール溝部30の変形が抑止されることで、シール溝部30のシール材34の剥離が防止され、カバー接合部20におけるシール性の低下が防止されるようになっている。
【0034】
また、本実施の形態の構成では、車体取付用フック24の縦板部90にはネジ止め部22の係合穴部60(枠70)の後面を臨む開口98が形成されている。そのため、車体取付用フック24の前方にネジ止め部22を設けた場合であっても、その開口98に後方側からネジ64を通過させてネジ止め部22(ハウジング12の係合穴部60)の挿通孔74に挿通させ、開口98からドライバを差し込んでそのネジ64を回すことができるようになっている。
【0035】
ここで、開口98は、例えば射出成形においてコアによって係合穴部60(枠70)の後面まで喰い切ることによって形成することが可能である。即ち、ハウジング12の各部(外壁部12A、シール溝部30、係合穴部60、車体取付用フック24等)は射出成形により一体形成されるが、そのハウジング12の射出形成は、射出成形機において図6に示すように、ハウジング12のシール溝部30の開口端縁の位置を基準に前後に分割する面をパーティングラインPLとして、そのパーティングラインPLに対して前側に配置されるキャビティプレート100と、パーティングラインPLに対して後側に配置されて後方に引き抜かれるコア102と、パーティングラインPLの後側のハウジング12上方に配置されて上方に引き抜かれるスライドコア104とによって形成される。そのコア102に車体取付用フック24(縦板部90)の開口98からネジ止め部22の係合穴部60(枠70)の後面まで達する喰い切り部102Aを設け、その先端面で枠70の後面とその下側のシール溝部30の底壁部42の背面とを形成する。これによって、車体取付用フック24の縦板部90の開口98を形成することができる。
【0036】
以上、上記実施の形態において、ハウジング12の開口端縁とレンズカバー14の端縁とを接合するカバー接合部20の構造、ハウジング12とレンズカバー14とをネジ止めするためのネジ止め部22の構造、車体取付用フック24を車体フレーム200に取り付ける構造(車体取付用フック24の構造)は、上記実施の形態に限らない。
【0037】
また、上記実施の形態では、ネジ止め部22は、車体取付用フック24の縦板部90の略中央正面に設けられているが、縦板部90の正面に対向する範囲であれば良く、縦板部90の開口98もネジ止め部22の位置に対向する位置に設けるようにすればよい。尚、ネジ止め部22が設けられる縦板部90の正面位置とは、車体取付用フック24の縦板部90に直交する面内の方向の位置であってカバー接合部20の外側の位置を示す。
【0038】
また、上記実施の形態において、車体のボンネットフード等に接触してしまうために車体取付用フック24の正面にネジ止め部22を設けることができない場合には、ハウジング12とレンズカバー14とから構成される外面形状を維持して、ハウジング12の開口端縁の位置とレンズカバー14の端縁の位置(即ち、カバー接合部20の位置)を後方にずらすことによってボンネットフード等に接触することなくネジ止め部22を設けることができる。
【0039】
また、このようにネジ止め部22を後方にずらした場合、車体取付用フック24の縦板部90にネジ止め部22が近接して設けられることになるが、縦板部90の開口98を大きくしてネジ止め部22(枠70)と縦板部90とが接触しない状態(車体取付用フック24に加わった力がネジ止め部22に直接伝達しない状態)とすれば、ネジ止め部22は縦板部90の正面側から背面側まで貫通するような状態であってもよい。
【0040】
また、上記実施の形態では、車体取付用フック24がハウジング12の上面に設けられた場合について説明したが、ハウジング12の上面以外の外面部分に車体取付用フック24が取り付けられている場合であっても同様に適用できる。
【0041】
また、上記実施の形態では、ヘッドライトに本発明を適用した場合について説明したが、ヘッドライトに限らず、他の種類の車両用灯具に上記実施の形態と同様に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10…ヘッドランプ、12…ハウジング、12A…外壁部(ハウジング本体)、14…レンズカバー、14A…本体(レンズカバー本体)、20…カバー接合部、22…ネジ止め部、24…車体取付用フック、30…シール溝部、32…シール脚部、34…シール材、40…内側側壁部、42…底壁部、44…外側側壁部、46…シール溝、50…シール脚、52…リブ、60…係合穴部、62…係合突部、64…ネジ、70…枠、72…係合穴、74…挿通孔、76…支持板、78…突起、80…ねじ穴、90…縦板部、92…横板部、94…リブ、96…ボルト挿通孔、98…開口、100…キャビティプレート、102…コア、102A…喰い切り部、104…スライドコア、200…車体フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズカバーの端縁をハウジングの端縁に形成されたシール溝に挿入した状態で組み合わせることで構成される、前記レンズカバーとハウジングとで区画された灯室を含む車両用灯具において、
車体フレームにネジ止め固定される車体フレーム取付部と、前記車体フレーム取付部を前記ハウジングに固定する支持部と、を含む車体取付用フックと、
前記ハウジングに配置され、ネジ挿入穴が形成されたネジ挿入部と、前記ネジ挿入部が対向するレンズカバー部分に配置され、前記ネジ挿入穴に挿入された固定用ネジが螺合するネジ穴が形成されたネジ螺合部と、を含み、前記ネジ挿入穴に挿入された固定用ネジを前記ネジ穴に螺合することで、前記レンズカバーとハウジングとを、前記レンズカバーの端縁をハウジングの端縁に形成されたシール溝に挿入した状態でネジ止め固定する固定部と、
を備えており、
前記支持部は、前記ハウジングに固定された基端と、前記車体フレーム取付部が連続する先端とを備えており、
前記車体フレーム取付部は、当該車体フレーム取付部を前記車体フレームにスペースを介してネジ止め固定した場合に、前記支持部を介して前記ハウジングの端縁に伝達される締付力により、前記ハウジングの端縁が前記レンズカバーの端縁に対して上方向又は下方向に変位するように、前記支持部に連続しており、
前記ネジ挿入部は、前記支持部と前記ハウジングの端縁との間のハウジング部分に配置されており、
前記支持部には、前記ネジ挿入穴に挿入される固定用ネジが通過する開口が形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記固定部の前記ネジ挿入部には係合穴が形成され、前記固定部の前記ネジ螺合部には前記係合穴に嵌入する係合突部が形成され、前記係合穴に前記係合突部が嵌入された係合状態で前記レンズカバーとハウジングとがネジ止め固定されることを特徴とする請求項1の車両用灯具。
【請求項3】
前記ハウジングのシール溝に、シール材が装填された状態で前記レンズカバーの端縁に形成された脚が挿入されることにより前記ハウジングの端縁に前記レンズカバーの端縁が接合されていることを特徴とする請求項1、または2の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−63053(P2011−63053A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213110(P2009−213110)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】