説明

車両用灯具

【課題】レンズの固定構造やハウジングの形状によらずハウジングの傷や塗膜の剥がれによる外観性の低下を防ぐことができる車両用灯具を提供すること。
【解決手段】ハウジング2とその開口部を覆うレンズ3によって画成される灯室内に光源を収容して成る車両用灯具1において、前記ハウジング2に、前記レンズ3の嵌め込みをガイドするためのガイド突起8を該レンズ3の嵌め込み方向に沿って形成する。ここで、前記ガイド突起8を三角リブで構成する。又、前記ガイド突起8を幅方向に複数形成する。更に、前記ハウジング2に、前記レンズ3を前記ガイド突起8に案内する案内部9を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テールランプ等の車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テールランプ等の車両用灯具は、ハウジングとその開口部を覆うレンズによって画成される灯室内に光源を収容して構成されるが、例えば図4の部分側断面図に示すように、フランジ102Aから一体に膨出する膨出部102Bを備えるハウジング102にレンズ103を嵌め込んで固定する方式を採用する車両用灯具にあっては、レンズ103をハウジング102に嵌め込む際に該レンズ103の周縁角部がハウジング102の膨出部102Bの外表面に接触するため、ハウジング102の膨出部102Bの外表面が削れて傷付いたり、塗膜が剥がれ、車両用灯具の見栄えが低下するという問題が発生する。このような問題を解決するため、特許文献1には図5に示すような構成が提案されている。
【0003】
即ち、図5は特許文献1において提案された車両用灯具要部の側断面図であり、図示の車両用灯具201においては、灯具ボディ202の前面開口の前端部P1から係合穴202aの前端部P2までの長さをL1、レンズ203を装着したときの灯具ボディ202の前面開口の前端部P3からレンズ203の周縁リブの先端部P4までの長さをL2としたとき、L1>L2の関係を満たすよう設定されている。この構成によれば、図6に示すようにレンズ203を灯具ボディ202に装着する際、該レンズ203に形成されたランス203aを灯具ボディ202の一側面の端部よりも内側に挿入位置させた状態からレンズ202の装着を開始することができ、ランス203aと灯具ボディ202の前端部P1との干渉が防がれ、灯具ボディ202の内面に形成された膜の傷や剥がれが防がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−231017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1において提案された図5及び図6に示す構造は、レンズ203の灯具ボディ202への固定構造として、レンズ203側に形成されたランス203aと灯具ボディ202側に形成された係合穴202aとを係合させ、レンズ203側に形成された係合穴203bと灯具ボディ202側に形成されたランス202bとを係合させる構成を採用するとともに、灯具ボディ202の下面部の下端前縁を上面部の上面前縁部よりも前方に突出させた車両用灯具201に適用が限定されるという問題がある。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、レンズの固定構造やハウジングの形状によらずハウジングの傷や塗膜の剥がれによる外観性の低下を防ぐことができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ハウジングとその開口部を覆うレンズによって画成される灯室内に光源を収容して成る車両用灯具において、前記ハウジングに、前記レンズの嵌め込みをガイドするためのガイド突起を該レンズの嵌め込み方向に沿って形成したことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ガイド突起を三角リブで構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記ガイド突起を幅方向に複数形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記ハウジングに、前記レンズを前記ガイド突起に案内する案内部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、レンズをハウジングに嵌め込む際、レンズがハウジングに形成されたガイド突起に接触しながらガイドされて嵌め込まれるため、該レンズのハウジングへの接触が防がれ、ハウジングの削れによる傷や塗膜の剥がれが防がれる。このように本発明によれば、ハウジングにガイド突起を形成するだけで、レンズの固定構造やハウジングの形状によらず前記効果を得ることができ、当該車両用灯具の外観性の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る車両用灯具の側断面図である。
【図2】本発明に係る車両用灯具の分解斜視図である。
【図3】本発明に係る車両用灯具のハウジングの側面図である。
【図4】従来の車両用灯具のレンズのハウジングへの嵌め込みを示す部分断面図である。
【図5】従来の車両用灯具要部の側断面図である。
【図6】従来の車両用灯具のレンズの嵌め込みを示す部分側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明に係る車両用灯具の側断面図、図2は同車両用灯具の分解斜視図、図3は同車両用灯具のハウジングの側面図である。
【0015】
本実施の形態に係る車両用灯具1は、自動二輪車の後部に設けられるテールランプであって、図1に示すように、ハウジング2とその開口部を覆うレンズ3によって画成される灯室4内に光源であるバルブ5を収容して構成されている。
【0016】
上記ハウジング2は、不透明な樹脂によって一体成形され、その開口部の周縁にはフランジ2Aが形成されている。そして、フランジ2Aからは膨出部2Bが車両後方(図3の左方)に向かって一体に突設されており、この膨出部2Bの中心部には凹状の反射面2aが形成されている。ここで、反射面2aは、前記バルブ5を焦点とする回転放物面で構成されており、該反射面2aと膨出部2Bの外周面にはアルミニウム等が蒸着又は塗布されている。ここで、ハウジング2のフランジ2Aの内側の膨出部2Bの外周との間には、前記レンズ3の開口部の形状に沿った凹状の嵌合溝2bが形成されている。
【0017】
又、図2に示すように、ハウジング2の膨出部2Bに形成された反射面2aの左右両端部からは円筒状のボス2Cが車両後方に向かって略水平に突設されており、各ボス部2Cの中心にはネジ孔2cが形成されている。更に、ハウジング2の膨出部2Bの背面からは円筒状のバルブ支持筒2Dが車両前方(図1の右方)に向かって略水平に突設されている。そして、このバルブ支持部2Dには、バルブ5を保持したソケット6が挿通支持されている。
【0018】
前記レンズ3は透明な樹脂によって矩形ボックス状に一体成形されており、その背面(車両後方の面)の左右両端部(ハウジング2に突設された前記ボス部2Cに対応する箇所)には円孔状のビス孔3aが形成されている。
【0019】
而して、本実施の形態に係る車両用灯具1においては、図1に示すように、レンズ3がハウジング2にその膨出部2Bを外側から覆うようにして被せられ、該レンズ3の開口端周縁がハウジング2のフランジ2Aの内側に形成された嵌合溝2bに嵌め込まれる。すると、レンズ3に形成された2つのビス挿通孔3aとハウジング2に突設された2本のボス2Cのネジ孔2cとが合致し、レンズ3のビス孔3aに挿通する不図示のビスをボス2Cのネジ孔2cにネジ込むとともに、ハウジング2の嵌合溝2bとこれに嵌め込まれたレンズ3の開口端周縁とをホットメルト等の接着剤7で接着することによってレンズ3がハウジング2に取り付けられ、灯室4内に高い気密性が確保される。
【0020】
ところで、本実施の形態に係る車両用灯具1においては、図2に示すように、ハウジング2の膨出部2Bの上面の左右2箇所には、三角リブから成る2本のガイド突起8がレンズ3の嵌め込み方向(車両前後方向)に沿って互いに平行に形成されている。そして、ハウジング2の膨出部2Bの端面の前記ガイド突起8が形成された左右2箇所には、図3に示すように、レンズ3の上面の開口端縁を受け止めてこれをガイド突起8へとスムーズに案内するための案内部9が形成されている。
【0021】
従って、本実施の形態に係る車両用灯具1においてレンズ3をハウジング2に嵌め込む際、レンズ3がハウジング2の膨出部2Bの上面に形成された左右2本のガイド突起8に接触しながらガイドされてハウジング2に嵌め込まれるため、該レンズ3のハウジング2への接触が防がれる。このため、ハウジング2の膨出部2Bの上面がレンズ3によって削られて傷付いたり、膨出部2Bの上面に形成された蒸着膜又は塗膜が剥がれることがない。このように実施の形態では、ハウジング2の膨出部2Bの上面にガイド突起8を形成するだけで、レンズ3の固定構造やハウジング2の形状によらず前記効果を得ることができ、当該車両用灯具1の外観性の低下を防ぐことができる。
【0022】
又、本実施の形態では、ハウジング2の膨出部2Bの上面に左右2本のガイド突起8を形成したため、レンズ3をハウジング2に嵌め込む際の傾きが2本のガイド突起8によって防がれ、レンズ3をハウジング2に適正な姿勢を保ってスムーズに嵌め込むことができる。尚、本実施の形態ではガイド突起8を2本としたが、ガイド突起8の本数は複数であれば任意である。
【0023】
更に、本実施の形態では、ガイド突起8を三角リブで構成したため、レンズ3を嵌め込む際にはレンズ3は三角リブに頂点の稜線に接触し、該三角リブの頂点の稜線のみが削られるため、この削れによる車両用灯具1の外観性の低下は殆ど無視し得る程度に過ぎない。尚、本実施の形態では、ガイド突起8を三角リブで構成したが、ガイド突起8としては任意の横断面形状を有するリブで構成することができる。
【0024】
又、本実施の形態では、ハウジング2の膨出部2Bの端面のガイド突起8が形成された左右2箇所に案内部9をそれぞれ形成したため、レンズ3の上面の開口端縁が各案内部9に受け止められて各ガイド突起8へとスムーズに案内され、レンズ3の嵌め込み作業が容易化するという効果が得られる。
【0025】
尚、以上は本発明を特にテールランプに適用した形態について説明したが、本発明は、テールランプ以外の他の任意の車両用灯具に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0026】
1 車両用灯具
2 ハウジング
2A ハウジングのフランジ
2B ハウジングの膨出部
2C ハウジングのボス
2D ハウジングのバルブ支持部
2a ハウジングの反射面
2b ハウジングの嵌合溝
2c ハウジングのネジ孔
3 レンズ
3a レンズのビス孔
4 灯室
5 バルブ(光源)
6 ソケット
7 接着剤
8 ガイド突起
9 案内部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングとその開口部を覆うレンズによって画成される灯室内に光源を収容して成る車両用灯具において、
前記ハウジングに、前記レンズの嵌め込みをガイドするためのガイド突起を該レンズの嵌め込み方向に沿って形成したことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記ガイド突起を三角リブで構成したことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記ガイド突起を幅方向に複数形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記ハウジングに、前記レンズを前記ガイド突起に案内する案内部を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車両用灯具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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