説明

車両用照明装置

【課題】従来の車両用照明装置では、人間の眼ではスムーズに輝度が変化しているようには見えない。
【解決手段】制御装置1と、ランプ2と、を備える。制御装置1は、車両の周囲の光環境に対応する光束値を設定して光束値設定信号として出力する光束値設定部3と、光束値設定信号に基づいたパルス幅の駆動PWM信号を発生出力し、かつ、光束値設定部3で設定された光束値の変化に伴ってデューティー比を指数関数的に変化させた駆動PWM信号を発生出力する駆動信号発生部4と、駆動PWM信号に基づいて光源11に電力を供給する駆動部5と、から構成されている。ランプ2は、駆動部5からの電力に基づいて光束値設定部3で設定された値の光束を放射し、かつ、光束値設定部3で設定された光束値の変化に伴って指数関数的に変化された値の光束を放射する光源11から構成されている。この結果、人間の眼でスムーズに光束が変化しているように見える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光源から放射される光束を車両の周囲の光環境(外部照度や外部視界などの光環境)に対応して調節制御する車両用照明装置(車両用照明システム)に関するものである。なお、この明細書および特許請求の範囲に記載の「光束」は、光量、光度、照度、光束発散度、輝度などと同様に、測光量の1つである。測光量は、光の明るさを定量的に測定する測光によって得られる規格した明るさをいう。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用照明装置は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用照明装置について説明する。従来の車両用照明装置は、車外照度に応じた信号を出力する検出部と、発振信号を出力する発振部と、検出部からの出力信号に応じたデューティー比のパルス信号をたとえば発光ダイオードからなる補助ストップランプに出力する出力部と、から構成されているものである。従来の車両用照明装置は、車外照度に応じた輝度で車両の補助ストップランプを点灯することにより、他車両に幻惑を与えないものである。
【0003】
ところが、従来の車両用照明装置は、車外照度に応じた輝度で車両の補助ストップランプをただ単に点灯するものだけであり、人間の眼の特性に合わせて輝度を変化させるものではない。このために、従来の車両用照明装置は、人間の眼ではスムーズに輝度が変化しているようには見えないという課題がある。
【0004】
以下、図2および図3を参照して、従来の車両用照明装置では、人間の眼で補助ストップランプの明るさがスムーズに変化しているように見えないことについて説明する。
【0005】
図2は、照度と人間の瞳孔面積との相対関係を示す説明図(人間工学ハンドブック 人間工学ハンドブック編集委員会編)である。縦軸は、人間の瞳孔の面積を示し、単位は、(mm2 )である。横軸は、視標の照度を示し、単位は、(lx)である。
【0006】
図3は、従来の車両用照明装置での補助ストップランプの発光ダイオードから放射される光束と人間が感じる明るさの変化との相対関係を示す説明図である。すなわち、図3(a)は、発光ダイオードから放射される光束の設定値を示す説明図であって、縦軸は、発光ダイオードの光束設定値を示し、単位は、(lm)であり、横軸は、時間を示し、単位は、秒(sec)である。図3(b)は、発光ダイオードの駆動PWM信号のデューティー比すなわち発光ダイオードから放射される光束の変化を示す説明図であって、縦軸は、発光ダイオードの駆動PWM信号のデューティー比すなわち発光ダイオードの光束を示し、単位は、(%)であり、横軸は、時間を示し、単位は、秒(sec)である。図3(c)は、人間が感じる明るさの変化を示す説明図であって、縦軸は、人間が感じる明るさを示し、発光ダイオードの最大光束値を「1」とした場合の相対比(相対値)であり、横軸は、時間を示し、単位は、秒(sec)である。図3(d)は、図3(c)の立上り部分を示す拡大図であって、縦軸は、人間が感じる明るさを示し、発光ダイオードの最大光束値を「1」とした場合の相対比(相対値)であり、横軸は、時間を示し、単位は、秒(sec)である。なお、図3(d)中の定数Aは、1であり、定数Bは、3分の10(10/3)である。
【0007】
前記の図2の説明図から明らかなように、人間の瞳孔は、指数関数的に変化する外部照度に従って、ほぼ直線的に瞳孔の面積を調整することが、一般的に知られている。これは、指数関数的に変化する外部照度に従って、人間は、ほぼ直線的に「明るさ」を感じていると考えることができる。
【0008】
ここで、従来の車両用照明装置のように、発光ダイオードの駆動PWM信号のデューティー比(パルス幅)すなわち補助ストップランプの発光ダイオードから放射される光束値を、図3(b)に示すように、3秒間の間で、0%(図3(a)の0(lm))から100%(図3(a)の1000(lm))まで直線的に変化させた場合、人間は、図3(c)および(d)に示すように、補助ストップランプの明るさが対数的な変化に見える。たとえば、図3(c)中の(1)点(立上り開始点および立下り終了点)においては、人間は、発光ダイオードの光束が急激に変化したように見えて感じられ、逆に、図3(c)中の(2)点(立上り終了点および立下り開始点)においては、人間は、発光ダイオードの光束があまり変化していないように見えて感じられる。この結果、人間は、発光ダイオードから放射される光束の変化の始まりと終わりとでは変化の割合が違って見える。すなわち、従来の車両用照明装置は、人間の眼ではスムーズに輝度が変化しているようには見えないので、周囲の人間からの視認性に影響するという課題がある。
【0009】
なお、LEDの輝度変化特性を電球の輝度変化特性に近似させる技術は、従来からある(たとえば、特許文献2)。しかしながら、前記の技術は、パルス信号のデューティー比および周期を変化させてLEDの輝度変化を非線形にして電球の輝度変化特性に近似させたものであるから、従来の車両用照明装置と同様に、人間の眼ではスムーズに輝度が変化しているようには見えないので、周囲の人間からの視認性に影響するという課題がある。
【0010】
【特許文献1】実開平4−110638号公報
【特許文献2】特開2004−235498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この発明が解決しようとする問題点は、従来の車両用照明装置では、人間の眼ではスムーズに輝度が変化しているようには見えないという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明(請求項1にかかる発明)は、制御装置と、ランプと、を備え、制御装置が、車両の周囲の光環境に対応する光束値を設定し、かつ、設定した光束値を光束値設定信号として出力する光束値設定部と、光束値設定部からの光束値設定信号に基づいたパルス幅の駆動PWM信号を発生させて出力し、かつ、光束値設定部で設定された光束値の変化に伴ってデューティー比を指数関数的に変化させた駆動PWM信号を発生させて出力する駆動信号発生部と、駆動信号発生部からの駆動PWM信号に基づいて光源に電力を供給する駆動部と、から構成されており、ランプが、駆動部からの電力に基づいて光束値設定部で設定された値の光束を放射し、かつ、光束値設定部で設定された光束値の変化に伴って指数関数的に変化された値の光束を放射する光源から構成されている、ことを特徴とする。
【0013】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、ランプが、テール・ストップランプであり、テールランプの最大光束値とストップランプの最小光束値とがほぼ近似しており、制御装置が、テール・ストップランプの光源から放射される光束の値を、最小光束値からこの最小光束値の約10倍程度の最大光束値までの間で指数関数的に調整制御する制御装置である、ことを特徴とする。
【0014】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、ランプが、テールランプとストップランプとから構成されており、テールランプの最大光束値とストップランプの最小光束値とがほぼ近似しており、制御装置が、テールランプの光源から放射される光束の値を、最小光束値からこの最小光束値の約10倍程度の最大光束値までの間で指数関数的に調整制御するテールランプ用の制御装置と、ストップランプの光源から放射される光束の値を、最小光束値からこの最小光束値の約10倍程度の最大光束値までの間で指数関数的に調整制御するストップランプ用の制御装置と、から構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用照明装置は、前記の課題を解決するための手段により、人間の眼にスムーズに光源の光束が変化しているように見える。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用照明装置は、周囲の人間からの視認性が向上されて、交通安全に貢献することができる。
【0016】
以下、図4を参照して、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用照明装置により、人間の眼にスムーズに光源の光束が変化しているように見えることについて説明する。
【0017】
図4は、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用照明装置の光源(たとえば、LED)から放射される光束と人間が感じる明るさの変化との相対関係を示す説明図である。すなわち、図4(a)は、発光ダイオードから放射される光束の設定値を示す説明図であって、縦軸は、LEDの光束設定値を示し、単位は、(lm)であり、横軸は、時間を示し、単位は、秒(sec)である。図4(b)は、LEDの駆動PWM信号のデューティー比すなわち発光ダイオードから放射される光束の変化を示す説明図であって、縦軸は、LEDの駆動PWM信号のデューティー比すなわち発光ダイオードの光束を示し、単位は、(%)であり、横軸は、時間を示し、単位は、秒(sec)である。図4(c)は、図4(b)の立上り部分を示す拡大図であって、縦軸は、LEDの駆動PWM信号のデューティー比すなわち発光ダイオードの光束を示し、単位は、(%)であり、横軸は、時間を示し、単位は、秒(sec)である。なお、図4(c)中の定数Cは、1であり、定数Dは、3分の4.1(4.1/3)であり、定数expは、2.718281828459である。図4(d)は、人間が感じる明るさの変化を示す説明図であって、縦軸は、人間が感じる明るさを示し、LEDの最大光束値を「1」とした場合の相対比(相対値)であり、横軸は、時間を示し、単位は、秒(sec)である。
【0018】
このように、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用照明装置は、光源(たとえば、LED)の駆動PWM信号のデューティー比(パルス幅)すなわち光源のLEDから放射される光束値を、図4(b)および(c)に示すように、3秒間の間で、0%(図4(a)の0(lm))から100%(図4(a)の1000(lm))まで指数関数的に変化させると、前記の図2に示すように、指数関数的に変化する外部照度に従って、人間がほぼ直線的に「明るさ」を感じている。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用照明装置は、図4(d)に示すように、人間が光源の明るさを直線的な変化に見えるので、人間の眼にスムーズに光源の光束が変化しているように見え、周囲の人間からの視認性が向上されて、交通安全に貢献することができる。
【0019】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用照明装置は、テールランプを点灯する場合において、制御装置により、テールランプの光源から放射される光束の値を、最小光束値からこの最小光束値の約10倍程度の最大光束値までの間で指数関数的に調整制御する。このために、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用照明装置は、図4(d)に示すように、人間がテールランプの光源の明るさを直線的な変化に見えるので、人間の眼にスムーズにテールランプの光源の光束が変化しているように見える。この結果、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用照明装置は、テールランプの最大光束値とストップランプの最小光束値とがほぼ近似しているテール・ストップランプの場合において、ストップランプが点灯したという誤解を後続車のドライバーなどに与えたりするようなことはない。また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用照明装置は、制御装置により、テール・ストップランプの光源から放射される光束の値を、最小光束値からこの最小光束値の約10倍程度の最大光束値までの間で指数関数的に調整制御するので、テール・ストップランプの光源の光束の変化を短時間(たとえば、約3秒)で完了させることができる。これにより、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用照明装置は、テール・ストップランプの視認性が向上されて、交通安全に貢献することができる。
【0020】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用照明装置は、前記の発明(請求項2にかかる発明)の車両用照明装置とほぼ同様に、テールランプを点灯する場合において、テールランプ用の制御装置により、テールランプの光源から放射される光束の値を、最小光束値からこの最小光束値の約10倍程度の最大光束値までの間で指数関数的に調整制御する。このために、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用照明装置は、図4(d)に示すように、人間がテールランプの光源の明るさを直線的な変化に見えるので、人間の眼にスムーズにテールランプの光源の光束が変化しているように見える。この結果、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用照明装置は、テールランプの最大光束値とストップランプの最小光束値とがほぼ近似しているテールランプとストップランプとを備える場合において、ストップランプが点灯したという誤解を後続車のドライバーなどに与えたりするようなことはない。また、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用照明装置は、テールランプ用の制御装置およびストップランプ用の制御装置により、テールランプの光源およびストップランプの光源から放射される光束の値を、最小光束値からこの最小光束値の約10倍程度の最大光束値までの間で指数関数的に調整制御するので、テールランプの光源およびストップランプの光源の光束の変化を短時間(たとえば、約3秒)で完了させることができる。これにより、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用照明装置は、テールランプおよびストップランプの視認性が向上されて、交通安全に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、この発明にかかる車両用照明装置の実施例のうちの2例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
図1、図5、図6は、この発明にかかる車両用照明装置の実施例1を示す。図1は、この発明にかかる車両用照明装置の実施例1を示す構成ブロック図である。図5は、この実施例1にかかる車両用照明装置の光源(たとえば、LED)から放射される光束と人間が感じる明るさの変化との相対関係を示す説明図である。すなわち、図5(a)は、テール・ストップランプ(LED)から放射される光束の設定値を示す説明図であって、縦軸は、テール・ストップランプ(LED)の光束設定値を示し、単位は、(lm)であり、横軸は、時間を示し、単位は、秒(sec)である。図5(b)は、LEDの駆動PWM信号のデューティー比すなわちLEDから放射される光束の変化を示す説明図であって、縦軸は、LEDの駆動PWM信号のデューティー比すなわち発光ダイオードの光束を示し、単位は、(%)であり、横軸は、時間を示し、単位は、秒(sec)である。図5(c)は、人間が感じる明るさの変化を示す説明図であって、縦軸は、人間が感じる明るさを示し、LEDの最大光束値を「1」とした場合の相対比(相対値)であり、横軸は、時間を示し、単位は、秒(sec)である。図6は、テールランプの最小光度および最大光度と、ストップランプの最小光度および最大光度と、を示す説明図である。
【0023】
以下、この実施例1における車両用照明装置の構成について説明する。この実施例1における車両用照明装置は、図1に示すように、制御装置1と、テール・ストップランプ2と、を備える。
【0024】
前記制御装置1は、図1に示すように、光束値設定部3と、駆動信号発生部4と、駆動部5と、から構成されている。前記制御装置1は、車両に搭載されているコンピュータ、たとえば、カーナビゲーション(ナビゲーションシステム)のコンピュータや制御回路部や専用のECU(電子制御ユニット)を使用する。
【0025】
前記光束値設定部3は、自動車などの車両(図示せず)の周囲の光環境に対応する光束値を設定し、かつ、設定した光束値を光束値設定信号として前記駆動信号発生部4に出力するものである。前記光束値設定部3が車両の周囲の光環境に対応する光束値を設定する要因としては、たとえば、時間6、外部センサ7、通信データ8などがある。
【0026】
前記時間6は、1日の時間であって、前記光束値設定部3が1日の前記時間6によって光束値を自動的に設定する。すなわち、前記時間6は、定期的な時間であって、1日の朝、昼、夕方、夜などのシーンでランプの光束値を変えるための時間(時計)である。また、前記外部センサ7は、たとえば、外部照度センサや外部視界センサなどであって、前記光束値設定部3が外部センサインターフェースを介して前記外部センサ7からの検出信号に基づいて光束値を自動的に設定する。なお、前記外部視界センサとしては、たとえば、レーザーセンサや赤外レーザーセンサなどであって、霧などの視界性を判断するセンサである。さらに、前記通信データ8は、通信によって得られるデータであって、前記光束値設定部3が通信インターフェースを介して前記通信データ8に基づいて光束値を自動的に設定する。
【0027】
前記駆動信号発生部4は、前記光束値設定部3から出力される光束値設定信号に基づいたパルス幅の駆動PWM信号を発生させて前記駆動部5に出力するものである。また、前記駆動信号発生部4は、前記光束値設定部3で設定された光束値の変化に伴って、図4(b)および(c)および図5(b)に示すように、デューティー比を指数関数的に変化させた駆動PWM信号を発生させて前記駆動部5に出力するものである。
【0028】
前記駆動信号発生部4には、ライトスイッチ9およびブレーキスイッチ10がそれぞれ接続されている。前記ライトスイッチ9がONすると、前記テール・ストップランプ2のテールランプ側の光源11が点灯し、かつ、前記ライトスイッチ9がOFFすると、前記テール・ストップランプ2のテールランプ側の光源11が消灯する。たとえば、ブレーキペダル(図示せず)を踏み込んで前記ブレーキスイッチ10がONすると、前記テール・ストップランプ2のブレーキランプ側の光源11が点灯し、かつ、ブレーキペダルを放して前記ブレーキスイッチ10がOFFすると、前記テール・ストップランプ2のストップランプ側の光源11が消灯する。
【0029】
前記駆動部5は、前記駆動信号発生部4から出力される駆動PWM信号に基づいて前記テール・ストップランプ2の光源11に電力を供給するものである。
【0030】
前記テール・ストップランプ2の光源11は、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源(この実施例ではLED)を使用する。また、前記光源11は、1個のLEDでも良いし、また、複数個のLEDであるLEDアレイでも良い。さらに、前記光源11からは、赤色光が放射(出射、照射)される。さらにまた、前記テール・ストップランプ2の光源11は、テールランプ側の光源とストップランプ側の光源とが兼用でも良いし、または、テールランプ側の光源とストップランプ側の光源とが別個の専用でも良い。
【0031】
前記テール・ストップランプ2の光源11は、前記駆動部5からの電力に基づいて前記光束値設定部3で設定された値の光束を放射し、かつ、前記光束値設定部3で設定された光束値の変化に伴って指数関数的に変化された値の光束を放射するものである。図6に示すように、前記テールランプ側の光源11の最小光束値すなわち最小光度は、4(cd)であり、前記テールランプ側の光源11の最大光束値すなわち最大光度は、42(cd)である。一方、前記ブレーキランプ側の光源11の最小光束値すなわち最小光度は、60(cd)であり、前記ブレーキランプ側の光源11の最大光束値すなわち最大光度は、730(cd)である。このように、前記テール・ブレーキランプの光源11の最大光度は、最小光度の約10倍程度である。また、前記テールランプ側の光源11の最大光度と、前記ストップランプの最小光度とは、ほぼ近似している。
【0032】
前記制御装置1は、前記テール・ストップランプ2の前記光源11から放射される光束の値を、最小光束値から前記最小光束値の約10倍程度の最大光束値までの間で指数関数的に調整制御するものである。
【0033】
この実施例1における車両用照明装置は、以上のごとき構成からなり、以下、この実施例1における車両用照明装置の作用について説明する。
【0034】
まず、ライトスイッチ9がONすると、テール・ストップランプ2のテールランプ側の光源11が点灯し、かつ、そのライトスイッチ9がOFFすると、テール・ストップランプ2のテールランプ側の光源11が消灯する。また、ブレーキスイッチ10がONすると、テール・ストップランプ2のブレーキランプ側の光源11が点灯し、かつ、そのブレーキスイッチ10がOFFすると、テール・ストップランプ2のストップランプ側の光源11が消灯する。
【0035】
テール・ストップランプ2の光源11が点灯中において、光束値設定部3は、1日の時間6によって光束値を自動的に設定し、または、外部センサインターフェースを介して外部センサ7からの検出信号に基づいて光束値を自動的に設定し、または、通信インターフェースを介して通信データ8に基づいて光束値を自動的に設定する。すなわち、光束値設定部3は、自動車などの車両の周囲の光環境に対応する光束値を設定し、かつ、設定した光束値を光束値設定信号として駆動信号発生部4に出力する。
【0036】
駆動信号発生部4は、光束値設定部3から出力される光束値設定信号に基づいたパルス幅の駆動PWM信号を発生させて駆動部5に出力する。駆動部5は、駆動信号発生部4から出力される駆動PWM信号に基づいてテール・ストップランプ2の光源11に電力を供給する。テール・ストップランプ2の光源11は、駆動部5からの電力に基づいて光束値設定部3で設定された値の光束を放射する。
【0037】
自動車などの車両の周囲の光環境が変化すると、光束値設定部3は、1日の時間6によって、または、外部センサインターフェースを介して外部センサ7からの検出信号に基づいて、または、通信インターフェースを介して通信データ8に基づいて、光束値を、たとえば、図5(a)に示すように、1(lm)から10(lm)に、または、10(lm)から1(lm)に、自動的に変更設定する。
【0038】
光束値設定部3は、自動車などの車両の周囲の光環境の変化に対応して光束値を変更設定し、かつ、その変更設定した光束値を光束値設定信号として駆動信号発生部4に出力する。駆動信号発生部4は、光束値設定部3で変更設定された光束値の変化に伴って、デューティー比を、たとえば、図5(b)に示すように、3秒間の間において、7%から70%に、または、70%から7%に、指数関数的に変化させた駆動PWM信号を発生させて駆動部5に出力する。駆動部5は、駆動信号発生部4から出力される駆動PWM信号に基づいてテール・ストップランプ2の光源11に電力を供給する。
【0039】
テール・ストップランプ2の光源11は、駆動部5からの電力に基づいて、光束値設定部3で変更設定された光束値の変化に伴って指数関数的に変化された値の光束を放射する。この結果、テール・ストップランプ2の光源11から放射される光束値は、たとえば、図5(b)に示すように、3秒間の間において、7%から70%に、または、70%から7%に、指数関数的に変化する。これにより、図5(c)に示すように、人間がテール・ストップランプ2の光源11の明るさを直線的な変化に見えるので、人間の眼にスムーズにテール・ストップランプ2の光源11の光束が変化しているように見える。
【0040】
この実施例1における車両用照明装置は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、この実施例1における車両用照明装置の効果について説明する。
【0041】
この実施例1にかかる車両用照明装置は、テール・ストップランプ2の光源11から放射される光束値を、たとえば、図5(b)に示すように、3秒間の間において、7%から70%に、または、70%から7%に、指数関数的に変化させるものである。これにより、前記の図2に示すように、指数関数的に変化する外部照度に従って、人間がほぼ直線的に「明るさ」を感じている。この結果、この実施例1にかかる車両用照明装置は、図5(c)に示すように、人間が光源の明るさを直線的な変化に見えるので、人間の眼にスムーズに光源の光束が変化しているように見え、周囲の人間からの視認性が向上されて、交通安全に貢献することができる。
【0042】
また、この実施例1にかかる車両用照明装置は、テール・ストップランプ2のテールランプ側の光源11を点灯する場合において、制御装置1により、テールランプ側の光源11から放射される光束の値を、最小光束値すなわちたとえば図6に示す最小光度4(cd)からこの最小光束値の約10倍程度の最大光束値すなわちたとえば図6に示す最大光度42(cd)までの間で指数関数的に調整制御する。このために、この実施例1にかかる車両用照明装置は、図4(d)に示すように、人間がテールランプ側の光源11の明るさを直線的な変化に見えるので、人間の眼にスムーズにテールランプ側の光源11の光束が変化しているように見える。この結果、この実施例1にかかる車両用照明装置は、テールランプ側の光源11の最大光束値すなわちたとえば図6に示す最大光度は42(cd)と、ストップランプ側の光源11の最小光束値すなわちたとえば図6に示す最小光度60(cd)と、がほぼ近似しているテール・ストップランプ2の場合において、ストップランプ側の光源11が点灯したという誤解を後続車のドライバーなどに与えたりするようなことはない。
【0043】
また、この実施例1にかかる車両用照明装置は、制御装置1により、テール・ストップランプ2の光源11から放射される光束の値を、最小光束値(テールランプ側の光源11の場合の最小光束値すなわちたとえば図6に示す最小光度4(cd)、また、ストップランプ側の光源11の場合の最小光束値すなわちたとえば図6に示す最小光度60(cd))からこの最小光束値の約10倍程度の最大光束値(テールランプ側の光源11の場合の最大光束値すなわちたとえば図6に示す最大光度42(cd)、また、ストップランプ側の光源11の場合の最大光束値すなわちたとえば図6に示す最大光度730(cd))までの間で指数関数的に調整制御するので、テール・ストップランプ2の光源11の光束の変化を短時間(たとえば、約3秒)で完了させることができる。これにより、この実施例1にかかる車両用照明装置は、テール・ストップランプ2の視認性が向上されて、交通安全に貢献することができる。
【実施例2】
【0044】
図7は、この発明にかかる車両用照明装置の実施例2を示す。図7は、この発明にかかる車両用照明装置の実施例2を示す構成ブロック図である。図7中、図1と同符号は、同一のものを示す。
【0045】
この実施例2にかかる車両用照明装置は、前記の実施例1にかかる車両用照明装置の制御装置1に対して、テールランプ用の制御装置1Tとストップランプ用の制御装置1Sとを備え、また、前記の実施例1にかかる車両用照明装置のテール・ストップランプ2に対して、専用のテールランプ2Tと専用のストップランプ2Sとを備えるものである。
【0046】
前記テールランプ用の制御装置1Tは、光束値設定部3Tと、駆動信号発生部4Tと、駆動部5Tと、から構成されている。また、前記ストップランプ用の制御装置1Sは、光束値設定部3Sと、駆動信号発生部4Sと、駆動部5Sと、から構成されている。一方、前記テールランプ2Tは、専用の光源11Tから構成されている。また、前記ストップランプ2Sは、専用の光源11Sから構成されている。
【0047】
前記テールランプ用の制御装置1Tの前記光束値設定部3Tおよび前記ストップランプ用の制御装置1Sの前記光束値設定部3Sは、前記の実施例1にかかる車両用照明装置の制御装置1の光束値設定部3とほぼ同様の構成作用をなす。前記テールランプ用の制御装置1Tの前記駆動信号発生部4Tおよび前記ストップランプ用の制御装置1Sの前記駆動信号発生部4Sは、前記の実施例1にかかる車両用照明装置の制御装置1の駆動信号発生部4とほぼ同様の構成作用をなす。前記テールランプ用の制御装置1Tの前記駆動部5Tおよび前記ストップランプ用の制御装置1Sの前記駆動部5Sは、前記の実施例1にかかる車両用照明装置の制御装置1の駆動部5とほぼ同様の構成作用をなす。前記テールランプ2Tの前記光源11Tは、前記の実施例1にかかる車両用照明装置のテール・ストップランプ2のテールランプ側の光源11とほぼ同様の構成作用をなす。前記ストップランプ2Sの前記光源11Sは、前記の実施例1にかかる車両用照明装置のテール・ストップランプ2のストップランプ側の光源11とほぼ同様の構成作用をなす。
【0048】
この実施例2にかかる車両用照明装置は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施例1にかかる車両用照明装置とほぼ同様の作用効果を達成することができる。すなわち、この実施例2にかかる車両用照明装置は、テールランプ2Tの光源11Tおよびストップランプ2Sの光源11Sから放射される光束値を指数関数的に変化させるものである。これにより、前記の図2に示すように、指数関数的に変化する外部照度に従って、人間がほぼ直線的に「明るさ」を感じている。この結果、この実施例2にかかる車両用照明装置は、人間が光源の明るさを直線的な変化に見えるので、人間の眼にスムーズに光源の光束が変化しているように見え、周囲の人間からの視認性が向上されて、交通安全に貢献することができる。
【0049】
また、この実施例2にかかる車両用照明装置は、テールランプ2Tの光源11Tを点灯する場合において、テールランプ用の制御装置1Tにより、テールランプ2Tの光源11Tから放射される光束の値を、最小光束値からこの最小光束値の約10倍程度の最大光束値までの間で指数関数的に調整制御する。このために、この実施例2にかかる車両用照明装置は、人間がテールランプ2Tの光源11Tの明るさを直線的な変化に見えるので、人間の眼にスムーズにテールランプ2Tの光源11Tの光束が変化しているように見える。この結果、この実施例2にかかる車両用照明装置は、テールランプ2Tの光源11Tの最大光束値とストップランプ2Sの光源11Sの最小光束値とがほぼ近似しているテールランプ2Tとストップランプ2Sとを備える場合において、ストップランプ2Sの光源11Sが点灯したという誤解を後続車のドライバーなどに与えたりするようなことはない。
【0050】
また、この実施例2にかかる車両用照明装置は、テールランプ用の制御装置1Tおよびストップランプ用の制御装置1Sにより、テールランプ2Tの光源11Tおよびストップランプ2Sの光源11Sから放射される光束の値を、最小光束値からこの最小光束値の約10倍程度の最大光束値までの間で指数関数的に調整制御するので、テールランプ2Tの光源11Tおよびストップランプ2Sの光源11Sの光束の変化を短時間(たとえば、約3秒)で完了させることができる。これにより、この実施例2にかかる車両用照明装置は、テールランプ2Tおよびストップランプ2Sの視認性が向上されて、交通安全に貢献することができる。
【0051】
なお、前記の実施例1においては、光源から構成されているランプとして、テール・ストップランプ2について説明し、また、前記の実施例2においては、光源から構成されているランプとして、テールランプ2Tとストップランプ2Sとについて説明するものである。ところが、この発明においては、光源から構成されているランプとして、テール・ストップランプ2およびテールランプ2Tとストップランプ2S以外のランプでも良い。
【0052】
また、テール・ストップランプ2の光源11、テールランプ2Tの光源11Tおよびストップランプ2Sの光源11S、その他のランプの光源から放射される光束の値を指数関数的に調整制御する時間は、特に限定されない。すなわち、人間の眼にスムーズに光源の光束が変化しているように見え、他のランプの点灯誤解を防止でき、光束の変化を短時間で完了できるものであれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明にかかる車両用照明装置の実施例1を示す構成ブロック図である。
【図2】照度と人間の瞳孔面積との相対関係を示す説明図である。
【図3】従来の車両用照明装置での補助ストップランプの発光ダイオードから放射される光束と人間が感じる明るさの変化との相対関係を示す説明図である。
【図4】この発明にかかる車両用照明装置の光源(たとえば、LED)から放射される光束と人間が感じる明るさの変化との相対関係を示す説明図である。
【図5】この実施例1にかかる車両用照明装置のテール・ストップランプの光源(たとえば、LED)から放射される光束と人間が感じる明るさの変化との相対関係を示す説明図である。
【図6】この実施例1にかかる車両用照明装置のテール・ストップランプにおいて、テールランプの最小光度および最大光度と、ストップランプの最小光度および最大光度と、を示す説明図である。
【図7】この発明にかかる車両用照明装置の実施例2を示す構成ブロック図である。
【符号の説明】
【0054】
1 制御装置
1T テールランプ用の制御装置
1S ストップランプ用の制御装置
2 テール・ストップランプ
2T テールランプ
2S ストップランプ
3、3T、3S 光束値設定部
4、4T、4S 駆動信号発生部
5、5T、5S 駆動部
6 時間
7 外部センサ
8 通信データ
9 ライトスイッチ
10 ブレーキスイッチ
11、11T、11S 光源(LED)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から放射される光束を車両の周囲の光環境に対応して調節制御する車両用照明装置において、
制御装置と、ランプと、を備え、
前記制御装置は、
車両の周囲の光環境に対応する光束値を設定し、かつ、設定した光束値を光束値設定信号として出力する光束値設定部と、
前記光束値設定部からの光束値設定信号に基づいたパルス幅の駆動PWM信号を発生させて出力し、かつ、前記光束値設定部で設定された光束値の変化に伴ってデューティー比を指数関数的に変化させた駆動PWM信号を発生させて出力する駆動信号発生部と、
前記駆動信号発生部からの駆動PWM信号に基づいて前記光源に電力を供給する駆動部と、
から構成されており、
前記ランプは、
前記駆動部からの電力に基づいて前記光束値設定部で設定された値の光束を放射し、かつ、前記光束値設定部で設定された光束値の変化に伴って指数関数的に変化された値の光束を放射する前記光源
から構成されている、
ことを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
前記ランプは、テール・ストップランプであり、前記テールランプの最大光束値と、前記ストップランプの最小光束値とは、ほぼ近似しており、
前記制御装置は、前記テール・ストップランプの前記光源から放射される光束の値を、最小光束値から前記最小光束値の約10倍程度の最大光束値までの間で指数関数的に調整制御する制御装置である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記ランプは、テールランプと、ストップランプと、から構成されており、前記テールランプの最大光束値と、前記ストップランプの最小光束値とは、ほぼ近似しており、
前記制御装置は、前記テールランプの前記光源から放射される光束の値を、最小光束値から前記最小光束値の約10倍程度の最大光束値までの間で指数関数的に調整制御するテールランプ用の制御装置と、前記ストップランプの前記光源から放射される光束の値を、最小光束値から前記最小光束値の約10倍程度の最大光束値までの間で指数関数的に調整制御するストップランプ用の制御装置と、から構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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