説明

車両用照明装置

【課題】 LED基板のコネクタ実装面積を確保しやすくできる車両用照明装置を提供すること。
【解決手段】 LEDユニット1a〜1fは、他の複数と同様に受信するPWM制御信号によりLEDの駆動制御を行い、別に個別のLEDに向けたものとして受信するデータ信号によりさらにLEDの駆動制御を行い、データ信号の受信処理を、PWM制御信号をトリガとして行うシフトレジスタ付ドライバ4を備え、コントロールユニット11は、複数のLEDユニット1a〜1fのLEDを一律にPWM信号によりデューティ制御出力を行い、複数のLEDユニット1a〜1fの個別のLEDへのデータ信号により複数のLEDへの制御出力を行い、データ信号をPWM制御信号に同期させて送信出力した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PWM方式により照明を駆動する車両用照明装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来では、発光光度値を記憶するEEPROMと、このEEPROMに記憶された発光光度値に応じてデューティ比が調整されたPWM信号を発生するPWM信号発生回路と、このPWM信号発生回路が発生するPWM信号によって点灯データのパルスをマスクする点灯パルス幅制御回路とを備え、発光光度値をEEPROMに記憶させることにより、リモート操作等によって容易にLEDパネルの発光光度の調整作業を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平7−199861号公報(第2−7頁、全図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の車両用照明装置にあっては、LEDユニットを
コントローラから離れた狭いスペースに分散させて配置させ、コントローラとの接続のためにコネクタを使用する場合、基板サイズ及び形状の制約からコネクタの実装面積を確保するのが困難であった。
【0004】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、LED基板のコネクタ実装面積を確保しやすくできる車両用照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、複数のLEDを基板に実装したLEDユニットと、複数の前記LEDユニットを制御するコントローラを有する車両用照明装置において、前記LEDユニットは、他の複数と同様に受信するPWM制御信号によりLEDの駆動制御を行う手段と、別に個別の前記LEDに向けたものとして受信するデータ信号によりさらにLEDの駆動制御を行う手段と、前記データ信号の受信処理を、前記PWM制御信号をトリガとして行う受信処理手段と、を備え、前記コントローラは、複数の前記LEDユニットの前記LEDを一律にPWM信号によりデューティ制御出力を行うPWM制御出力手段と、複数の前記LEDユニットの個別の前記LEDへのデータ信号により複数の前記LEDへの制御出力を行うデータ制御出力手段と、前記データ信号を前記PWM制御信号に同期させて送信出力する送信手段と、を備えた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明にあっては、LED基板のコネクタ実装面積を確保しやすくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の車両用照明装置を実現する実施の形態を、請求項1,2,3に係る発明に対応する実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の車両用照明装置の車内レイアウトを示す説明図である。
実施例1の車両用照明装置では、LEDを複数列状にしたLEDユニット1a〜1fを、ドアウィンドウの上方に沿ったボディ車室内部分に配置し、車室内の照明を行うものである。
【0009】
次に実施例1の車両用照明装置のシステムブロック構成について説明する。
図2は実施例1の車両用照明装置のシステムブロック図である。
実施例1の車両用照明装置では、コントロールユニット11、LEDユニット1a〜1fを主要な構成としている。
コントロールユニット11は、各LEDユニット11の点灯制御を行うコントローラであり、より高度な点灯制御のためのシリアル送信をデータ信号DATとして出力する。送られたデータ信号DATは、受信したLEDユニットにより次のLEDユニットへ送る方式で、順に送信される。
【0010】
つまり、コントロールユニット11から出力されるデータ信号DATは、LEDユニット1aへ送信され、LEDユニット1aからLEDユニット1bへデータ信号DATが送信される通信構造である。
【0011】
また、コントロールユニット11は、LEDの駆動信号となるPWM信号PWM、各LEDユニット1a〜1fがデータを取り込むためのラッチ信号LAT、各LEDユニット1a〜1fのデータをリセットするためのリセット信号RSTを、各LEDユニット1a〜1fへ並列状に送信する。
【0012】
つまり、LEDユニット1a〜LEDユニット1fのそれぞれは、個別に同じPWM信号PWM、ラッチ信号LAT、リセット信号RSTを受信する通信構造である。
このように、図2に示すシステムブロック図において、クロック信号を設けないことが実施例1の特徴である。
【0013】
次に実施例1の車両用照明装置のLED照明構成について説明する。
図3は実施例1の車両用照明装置のLED照明構成の説明図である。
LEDユニット1a〜1fは、図3に示すように、一列に配置されたLED2a〜LED2hを備える構成である。
【0014】
次に実施例1におけるLEDユニット1a〜1fの内部構成について説明する。
図4は実施例1の車両用照明装置のLEDユニットの内部構成を示すブロック図である。
LEDユニット1a〜1fは、シフトレジスタ付ドライバ4、LED2a〜2h、抵抗3a〜3hで構成される。
シフトレジスタ付ドライバ4は、クロック信号のクロック入力部41、データ信号の入力部42、PWM信号の入力部43、ラッチ信号の入力部44、リセット信号の入力部45を備え、クロック信号の入力部41には、PWM信号PWMを入力していることを特徴とする。
【0015】
また、シフトレジスタ付ドライバ4は、D0〜D7までの出力部を備え、各出力部D0〜D7と電圧供給ラインであるVCCとの間に抵抗とLEDを図4に示すように、複数並列に設ける構成である。
【0016】
次に作用を説明する。
[LED基板のコネクタ実装面積を確保しやすくする作用]
図5は実施例1の車両用照明装置におけるタイミングチャートである。
実施例1の車両用照明装置では、シリアル通信によりコントロールユニット11から各LEDユニット1a〜1fへデータを送ることにより、PWM制御による明暗のLED駆動のみでなく、点滅や明るい部分が移動する演出、明暗が変化する演出などを行う。
そのデータがデータ信号DATとして送信される。
このデータ信号DATは、6つのLEDユニット1a〜1fのそれぞれ8個のLED2a〜2hのそれぞれに対する制御指令を含むため、図5に示すように、DAT0〜DAT48までのデータが送信されることになる(図5ではDAT0〜DAT48は
D0〜D48と省略した記載にしている、以下DAT0〜DAT48として説明する)。
【0017】
実施例1では、シフトレジスタ付ドライバ4のクロック入力部にPWM信号を入力している。そして、本来、データ信号DATをシフトしていくためのクロック信号の周波数に該当する周波数として、PWM信号PWMの周波数を同期させる設定にする(図5(b)〜(f)参照)。
これにより、シフトレジスタ付ドライバ4では、入力されるデータ信号DATをPWM信号をクロック信号として、シフトしていくように入力し、あふれたデータを次のLEDユニットへ出力していく。
そしてラッチ信号LATにより、シフトしているデータをラッチする。
【0018】
PWM信号PWMのデューティ比の変更を例えば、図5に示すように、デューティ20%〜80%で変更しても、PWM信号PWMの立ち上がり側は一定周期であり、これをトリガとすれば、データシフトは、クロック信号を用いているのと変わりなく行うことができる。
【0019】
但し、実施例1の車両用照明装置では、図5(b),(f)に示すようなPWMのデューティ比が0%や100%の状態では、クロック周波数を兼ねることができない。しかしながら、実施例1の車両用照明装置における演出的な制御は、PWM駆動後に行えば充分であり、また、現実的に100%で駆動されることは、ほとんどなく100%での演出的制御ができなくなる点に支障はない。そのため、問題なくPWM信号にシフトレジスタ機能のクロック信号を兼ねさせることができる。
【0020】
これにより、コントロールユニット11、各LEDユニット1a〜1fにおいて、クロック信号ラインを省略することができる。またシフトレジスタ付ドライバ4のクロック信号が不要となるため、コントローラ接続用コネクタのピン数を削減できる。そのため、LED基板のコネクタ実装面積を確保しやすくする。また、ハーネスの引き回しが容易になり、放射ノイズの低減のために有効である。
【0021】
このように、実施例1の車両用照明装置では、LED基板のコネクタ実装面積を確保しやすくする効果を得つつ、おもてなし照明を演出効果高く行うことができる。おもてなし照明とは乗員の乗車時に乗員を迎えるための光の演出である。また、走行状態や車室環境の変化等に応じて光の演出を行うものである。光の演出としては、光の明暗の変化、点滅、移動などである。
【0022】
このような線状の照明装置において光の演出を行う際、多数のLEDを一定間隔で配置した細長い照明基板を使用することになる。実施例1では、図1に示す車両の窓枠部のような狭いスペースに収納可能なLED基板にすることが容易になる。
【0023】
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用照明装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0024】
(1)複数のLEDを基板に実装したLEDユニット1a〜1fと、複数のLEDユニット1a〜1fを制御するコントロールユニット11を有する車両用照明装置において、LEDユニット1a〜1fは、他の複数と同様に受信するPWM制御信号によりLEDの駆動制御を行い、別に個別のLEDに向けたものとして受信するデータ信号によりさらにLEDの駆動制御を行い、データ信号の受信処理を、PWM制御信号をトリガとして行うシフトレジスタ付ドライバ4を備え、コントロールユニット11は、複数のLEDユニット1a〜1fのLEDを一律にPWM信号によりデューティ制御出力を行い、複数のLEDユニット1a〜1fの個別のLEDへのデータ信号により複数のLEDへの制御出力を行い、データ信号をPWM制御信号に同期させて送信出力するため、LED基板のコネクタ実装面積を確保しやすくできる。
【0025】
(2)LEDユニット1a〜1fは、シフトレジスタ機能を備え、複数のLEDへの駆動出力を行うシフトレジスタ付ドライバ4を備え、シフトレジスタ付ドライバ4が、シフトレジスタ機能のトリガとして入力するクロック入力部41にPWM制御信号を入力するようにしたため、シフトレジスタ機能において、データ信号を取り込むためのクロック信号が不要となり、コントローラ接続用コネクタのピン数を削減できる。そのため、LED基板のコネクタ実装面積を確保しやすくする。
【0026】
(3)LEDユニット1a〜1fは、車両側部の窓枠上部に沿って複数列状に配置し、PWM制御とデータ制御の組み合わせにより照明演出を行うため、窓枠部のような狭いスペースに収容可能な省スペースのLED基板となり、デザイン性及び車種対応性に優れた車両用照明装置にすることができる。
【0027】
以上、本発明の車両用照明装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1のLEDユニットの数や、LEDの数は、さらに多くても、少なくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例1の車両用照明装置の車内レイアウトを示す説明図である。
【図2】実施例1の車両用照明装置のシステムブロック図である。
【図3】実施例1の車両用照明装置のLED照明構成の説明図である。
【図4】実施例1の車両用照明装置のLEDユニットの内部構成を示すブロック図である。
【図5】実施例1の車両用照明装置におけるタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0029】
1a〜1f LEDユニット
2a〜2h LED
3a〜3h 抵抗
4 シフトレジスタ付ドライバ
41 クロック入力部
42 (データ信号の)入力部
43 (PWM信号の)入力部
44 (ラッチ信号の)入力部
45 (リセット信号の)入力部
D0〜D7出力部
11 コントロールユニット
DAT データ信号
LAT ラッチ信号
PWM PWM信号
RST リセット信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDを基板に実装したLEDユニットと、複数の前記LEDユニットを制御するコントローラを有する車両用照明装置において、
前記LEDユニットは、
他の複数と同様に受信するPWM制御信号によりLEDの駆動制御を行う手段と、 別に個別の前記LEDに向けたものとして受信するデータ信号によりさらにLEDの駆動制御を行う手段と、
前記データ信号の受信処理を、前記PWM制御信号をトリガとして行う受信処理手段と、
を備え、
前記コントローラは、
複数の前記LEDユニットの前記LEDを一律にPWM信号によりデューティ制御出力を行うPWM制御出力手段と、
複数の前記LEDユニットの個別の前記LEDへのデータ信号により複数の前記LEDへの制御出力を行うデータ制御出力手段と、
前記データ信号を前記PWM制御信号に同期させて送信出力する送信手段と、
を備えた、
ことを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用照明装置において、
前記LEDユニットは、
シフトレジスタ機能を備え、複数のLEDへの駆動出力を行うシフトレジスタ付ドライバを備え、
前記シフトレジスタ付ドライバが、シフトレジスタ機能のトリガとして入力するクロック入力部に前記PWM制御信号を入力するようにした、
ことを特徴とする車両用照明装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用照明装置において、
前記LEDユニットは、車両側部の窓枠上部に沿って複数列状に配置し、
PWM制御とデータ制御の組み合わせにより照明演出を行うことを特徴とする車両用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−1111(P2009−1111A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162968(P2007−162968)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】