説明

車両用熱交換器の取付構造

【課題】 車両用熱交換器のメンテナンス時の作業効率の向上を図ることができる車両用熱交換器の取付構造の提供。
【解決手段】 車両用熱交換器(ラジエータ1及びコンデンサ3)の車幅方向両側に、該車両用熱交換器(ラジエータ1及びコンデンサ3)を上方へ着脱可能に保持するサイドサポート2,2をそれぞれ配置し、車両用熱交換器(ラジエータ1及びコンデンサ3)をサイドサポート2,2を介して車両に搭載した。
こととした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用熱交換器の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラジエータやコンデンサ等の車両用熱交換器はラジエータコアサポートに固定された状態で周辺部品と共にモジュール化されて車両組立工場へ搬送された後、車両のエンジンルーム内に搭載されるようになっている(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2005−349924号公報
【特許文献2】特開2003−279285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の発明にあっては、エンジンルーム内に搭載された車両熱交換器を単独で脱着することは考慮されていないため、車両用熱交換器の交換・修理等のメンテナンス時における作業効率が悪いという問題点があった。
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、車両用熱交換器のメンテナンス時の作業効率の向上を図ることができる車両用熱交換器の取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1記載の発明では、車両用熱交換器の車幅方向両側に、該車両用熱交換器を上下方向のいずれかに着脱可能に保持するサイドサポートをそれぞれ配置し、前記車両用熱交換器をサイドサポートを介して車両に搭載したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1記載の発明にあっては、車両用熱交換器の車幅方向両側に、該車両用熱交換器を上下方向のいずれかに着脱可能に保持するサイドサポートをそれぞれ配置し、前記車両用熱交換器をサイドサポートを介して車両に搭載したため、メンテナンス時の作業効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
以下、実施例1を説明する。
なお、車両前後方向及び車幅方向を前後方向及び左右方向と称して説明する。
図1は本発明の実施例1の車両用熱交換器の取付構造を説明する斜視図、図2は本実施例1のラジエータとサイドサポートの分解斜視図である。
【0009】
図3は本実施例1のラジエータとサイドサポートの固定を説明する図、図4は本実施例1のコンデンサの斜視図、図5は本実施例1のコンデンサとサイドサポートの固定を説明する図、図6は本実施例1のファンシュラウドの斜視図である。
【0010】
先ず、全体構成を説明する。
図1に示すように、本実施例1の車両用熱交換器の取付構造では、ラジエータ1(請求項の車両用熱交換器に相当)と、金属製のサイドサポート2,2と、アルミ製のコンデンサ3(請求項の他の車両用熱交換器に相当)と、樹脂製のファンシュラウド4(請求項のシュラウドに相当)が備えられている。
【0011】
図2に示すように、ラジエータ1は、上下一対の樹脂製のタンク1a,1bの間にアルミ製のコア部1cが配置された所謂ダウンフロー型のラジエータが採用されている。なお、ラジエータ1のタンク1a,1bをアルミ製としても良い。
【0012】
各タンク1a,1bは器状に形成される他、その開口縁部がコア部1cのそれぞれ対応するチューブプレート1d,1eに加締め固定されている。
また、タンク1aには後方へ向けて突設された入力ポート1fや上方へ向けて突設されたフィラーネック1gが一体的に設けられる一方、タンク1bには後方へ向けて突設された図外の出力ポートや下方へ向けて突設された左右一対の車両搭載ピン1i,1iが一体的に設けられている。
【0013】
コア部1cは、両端部がそれぞれ対応するチューブプレート1d,1eに挿通し固定された複数のチューブ(図示を省略)と、隣接するチューブ同士間に配置されるフィン(図示を省略)とから構成される他、その左右両側は両端部がそれぞれ対応するチューブプレート1d,1eに挿通し固定されたレインフォース1k,1kで連結補強されている。
また、レインフォース1k,1kは、その端部を除く部位が外側に開口した略コ字状断面に形成されている。
【0014】
サイドサポート2,2は左右対称形状部品であり、内側に開口した略コ字状断面を有して上下方向に延設される他、その上部には左右方向に開口したボルト挿通孔5が設けられる一方、その下部は内側に曲折された固定部6が設けられると共に、ここに上下方向に開口された固定孔6aが形成されている。
【0015】
また、サイドサポート2,2の中途部には、略L字状の固定ブラケット7〜10が適宜の位置に設けられると共に、固定ブラケット7,8には前後方向に開口された固定孔7a,8aが形成される一方、固定ブラケット9には下方へ向けて突設された車両搭載ピン9aが設けられている。
さらに、固定ブラケット10には上下方向に開口された固定孔10aが形成されている。
【0016】
そして、図2、3に示すように、ラジエータ1の左右両側にそれぞれ対応するサイドサポート2,2を配置すると共に、その左右下部において、ラジエータ1の車両搭載ピン1iを弾性素材からなるマウント部材(図示せず)を介してサイドサポート2の固定部6の固定孔6aに挿入する一方、その左右上部において、サイドサポート2のボルト挿通孔5にボルトB1を挿入してマウント部材1hを介してラジエータ1のタンク1aにそれぞれ加締めることにより、ラジエータ1とサイドサポート2,2を固定できるようになっている。
【0017】
図4に示すように、コンデンサ3は、左右一対のタンク3a,3bの間にコア部3cが配置されている。
【0018】
各タンク3a,3bの上端部にはボルト挿通孔3dを有する樹脂製の固定ブラケット3eがそれぞれ装着される一方、下端部には下方へ向けて突設された車両搭載ピン3fを有する樹脂製の固定ブラケット3gがそれぞれ設けられている。
また、タンク3aには出力コネクタ3hが設けられる一方、タンク3bには入力コネクタ3iとレシーバタンク3jが設けられている。
【0019】
コア部1cは、両端部がそれぞれ対応するタンク1a,1bに挿通し固定された複数のチューブ(図示を省略)と、隣接するチューブ同士間に配置されるフィン(図示を省略)とから構成される他、その上下両側は両端部がそれぞれ対応するタンク1a,1bに挿通し固定された板状のレインフォース3k,3kで連結補強されている。
【0020】
そして、図4、5に示すように、サイドサポート2,2が組まれたラジエータ1を起立した状態として、その前方斜め上方にコンデンサ3を配置し、その左右下部において、コンデンサ3の固定ブラケット3gの車両搭載ピン3fを弾性素材からなるマウント部材(図示を省略)を介してサイドサポート2の固定ブラケット10の固定孔10aに挿入する一方、その左右上部においてコンデンサ3のボルト挿通孔3dにボルトB2を挿入してサイドサポート2の固定ブラケット7の固定孔7aに図外のナットで締結することにより、コンデンサ3とサイドサポート2,2を固定できるようになっている。
【0021】
図6に示すように、ファンシュラウド4は、ファン開口部4aを有して前方へ開口した略箱状に樹脂で一体的に形成される他、該ファン開口部4aの上縁から後方へ向けて半円筒状に突出したファンリング部4bが形成されている。
【0022】
また、ファンシュラウド4は、前述したコンデンサ3とサイドサポート2,2が組まれたラジエータ1の後方に配置された状態で、図外の取り付け部でサイドサポート2,2に固定されるようになっている。
【0023】
なお、取り付け部はファンシュラウド4に一体でも別部材で構成することも可能である。
例えば、取り付け部の全部又は一部を別部材の取り付け具で構成し、ラジエータ1の取り外しにおいて作業性を改善するために一部の取り付け部を取り外し可能に構成しても良い。
【0024】
このように構成された車両用熱交換器の取付構造では、前述したラジエータ1、サイドサポート2,2、コンデンサ3、ファンシュラウド4が共に組まれた状態で車両組立工場に搬送される。
この際、サイドサポート2,2はラジエータ1、サイドサポート2,2、コンデンサ3、ファンシュラウド4を共に固定した状態で搬送するキャリアとして機能する。
【0025】
また、エンジンルーム内に搭載される際には、サイドサポート2,2の各固定部8の固定孔8aに図外のボルトが挿通されて図外の車体側の固定部にそれぞれ締結され、さらに、各固定部9の車両搭載ピン9aが図外のマウント部材を介して車体側の固定部に挿入固定され、これによって、ラジエータ1、コンデンサ3、ファンシュラウド4はサイドサポート2,2を介して車両に搭載される。
【0026】
また、ファンシュラウド4の開口部4aには後方から図外のエンジンファンのファン本体が臨んだ状態で配置されると共に、ファンリング部4bの下方にはファン本体を囲むように図外の半円筒状のファンリング部が接合される。
【0027】
そして、ラジエータ1を取り外す際には、サイドサポート2,2とラジエータ1を固定している左右両側のボルトB1を緩めてマウント部材1hの加締めを解除することにより、ラジエータ1を上方へ引き抜いて取り外すことができる。
【0028】
これにより、ラジエータ1を簡単に脱着して交換・修理等の整備を容易に行うことができ、メンテナンス時における作業性を大幅に向上できる。
【0029】
また、サイドサポート2,2が内側に開口したコ字状断面を成して上下方向に延設されるため、ラジエータ1を上方へガイドすることができ、ラジエータ1の移動軌跡を規制して周辺部材との接触を防止できる。
【0030】
さらに、コンデンサ3を取り外す際には、サイドサポート2,2とコンデンサ3を固定している左右両側のボルトB2を外すことにより、コンデンサ3を上方へ引き抜いて取り外すことができる。
【0031】
これにより、コンデンサ3を簡単に脱着して交換・修理等の整備を容易に行うことができ、メンテナンス時における作業性を大幅に向上できる。
【0032】
次に、効果を説明する。
以上、説明したように、本実施例1の車両用熱交換器の取付構造にあっては、ラジエータ1及びコンデンサ3の車幅方向両側に、該ラジエータ1及びコンデンサ3を上方へ着脱可能に保持するサイドサポート2,2をそれぞれ配置し、ラジエータ1及びコンデンサ3をサイドサポート2,2を介して車両に搭載したため、ラジエータ1及びコンデンサ3のメンテナンス時の作業効率の向上を図ることができる。
【0033】
また、サイドサポート2,2の車両前後方向後端側にファンシュラウド4を固定する一方、車両前後方向前端側にコンデンサ3を固定し、サイドサポート2,2におけるコンデンサ3とファンシュラウド4の間にラジエータ1を上向に脱着可能に保持させたため、コンデンサ3とファンシュラウド4に前後を挟まれた状態で配置されるラジエータ1を容易に脱着可能となり、好適となる。
【0034】
以上、本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、車両用熱交換器はラジエータ1及びコンデンサ3に限らず、インタークーラ等の一般的な全ての車両用熱交換器に適用できる。
【0035】
また、本実施例1では、車両用熱交換器をサイドサポートから上方へ脱着可能としたが、下方へ脱着可能するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施例1の車両用熱交換器の取付構造を説明する斜視図である。
【図2】本実施例1のラジエータとサイドサポートの分解斜視図である。
【図3】本実施例1のラジエータとサイドサポートの固定を説明する図である。
【図4】本実施例1のコンデンサの斜視図である。
【図5】本実施例1のコンデンサとサイドサポートの固定を説明する図である。
【図6】本実施例1のファンシュラウドの斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 ラジエータ
1a、1b (ラジエータの)タンク
1c (ラジエータの)コア部
1d、1e チューブプレート
1f 入力ポート
1g フィラーネック
1h マウント部材
1i 車両搭載ピン
1k レインフォース
2 サイドサポート
3 コンデンサ
3a、3b (コンデンサの)タンク
3c (コンデンサの)コア部
3d ボルト挿通孔
3e、3g 固定ブラケット
3f 車両搭載ピン
3h 出力コネクタ
3i 入力コネクタ
3j レシーバタンク
3k レインフォース
4 ファンシュラウド
4a ファン開口部
4b ファンリング部
5 ボルト挿通孔
6 固定部
6a 固定孔
7、8、9、10 固定部
7a、8a、10a 固定孔
9a 車両搭載ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用熱交換器の車幅方向両側に、該車両用熱交換器を上下方向のいずれかに着脱可能に保持するサイドサポートをそれぞれ配置し、
前記車両用熱交換器をサイドサポートを介して車両に搭載したことを特徴とする車両用熱交換器の取付構造。
【請求項2】
請求項1記載の車両用熱交換器の取付構造において、
前記サイドサポートの車両前後方向後端側にシュラウドを固定する一方、車両前後方向前端側に他の車両用熱交換器を固定し、
前記サイドサポートの他の車両用熱交換器とシュラウドの間に前記車両用熱交換器を上下方向のいずれかに脱着可能に保持させたことを特徴とする車両用熱交換器の取付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−279902(P2008−279902A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125995(P2007−125995)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】