車両用物入装置開口部シール部材構造
【課題】操作感を柔らかくして、フィーリングを向上させ得るようにする。
【解決手段】物入装置ケーシング24の開口部25に対し、蓋体26を受けるシール部材56が設けられ、シール部材56が、開口部25に取付けられる取付部57と、取付部57から延びる薄肉状の蓋受部58とを備え、蓋受部58が、蓋体26のほぼ厚み方向65へ延びる縦面部66と、縦面部66の先端から蓋体26のほぼ面方向67の内方へ向け延びて、蓋体26を直接受ける横面部68とを有すると共に、縦面部66と横面部68との間に蓋体26のロック用ストロークおよびロック解除用ストロークを確保可能なストローク確保用空間69を形成する車両用物入装置開口部シール部材構造であって、取付部57に、横面部68とストローク確保用空間69を隔てて対向し、蓋体26のロックおよびロック解除時に、変形された横面部68の開口部25への接触を防止可能な接触防止面部71を設けるようにしている。
【解決手段】物入装置ケーシング24の開口部25に対し、蓋体26を受けるシール部材56が設けられ、シール部材56が、開口部25に取付けられる取付部57と、取付部57から延びる薄肉状の蓋受部58とを備え、蓋受部58が、蓋体26のほぼ厚み方向65へ延びる縦面部66と、縦面部66の先端から蓋体26のほぼ面方向67の内方へ向け延びて、蓋体26を直接受ける横面部68とを有すると共に、縦面部66と横面部68との間に蓋体26のロック用ストロークおよびロック解除用ストロークを確保可能なストローク確保用空間69を形成する車両用物入装置開口部シール部材構造であって、取付部57に、横面部68とストローク確保用空間69を隔てて対向し、蓋体26のロックおよびロック解除時に、変形された横面部68の開口部25への接触を防止可能な接触防止面部71を設けるようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用物入装置開口部シール部材構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室内に各種の車両用物入装置が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、図4に示す車両用物入装置1では、樹脂製の物入装置ケーシング2に開口部3が設けられ、この開口部3に対して開閉可能な蓋体4が設けられると共に、上記開口部3に(閉状態の)蓋体4を受けるゴム製のシール部材5が設けられている。そして、物入装置ケーシング2と蓋体4との間には、図示しないロック装置が介装される。このような構造は、例えば、灰皿装置6などに多く採用されている。
【0004】
このシール部材5は、開口部3に取付けられる取付部7と、この取付部7から延びる薄肉状の蓋受部8とを備えている。
【0005】
この蓋受部8は、蓋体4のほぼ厚み方向9へ延びる縦面部10と、この縦面部10の先端から蓋体4のほぼ面方向11の内方へ向け延びて、蓋体4(の縁部)を直接受ける横面部12とを有すると共に、縦面部10と横面部12との間に蓋体4のロック用ストロークおよびロック解除用ストロークを確保可能なストローク確保用空間13を形成するものとされている。
【0006】
このような構成によれば、閉時には、物入装置ケーシング2の開口部3に設けられたシール部材5(における薄肉状の蓋受部8の横面部12)が、蓋体4に密接して開口部3のシールを行う。
【0007】
そして、開閉時に蓋体4を開口部3へ向けて僅かに押込むことにより、図示しないロック装置が作動され、ロック装置がロックまたはロック解除を行う。この際、図5に示すように、ゴム製のシール部材5における薄肉状の蓋受部8が蓋体4を受けた状態のまま変形することにより、蓋体4が、樹脂製の物入装置ケーシング2の開口部3に当るのを防止する。
【特許文献1】実公平7−51945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記車両用物入装置開口部シール部材構造では、ロック装置を操作することによって変形したゴム製のシール部材5の薄肉状の蓋受部8が、樹脂製の物入装置ケーシング2の開口部3に当るため、操作感が硬く、フィーリングが良くないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明では、物入装置ケーシングの開口部に対し、蓋体を受けるシール部材が設けられ、該シール部材が、開口部に取付けられる取付部と、該取付部から延びる薄肉状の蓋受部とを備え、該蓋受部が、蓋体のほぼ厚み方向へ延びる縦面部と、該縦面部の先端から蓋体のほぼ面方向の内方へ向け延びて、蓋体を直接受ける横面部とを有すると共に、縦面部と横面部との間に蓋体のロック用ストロークおよびロック解除用ストロークを確保可能なストローク確保用空間を形成する車両用物入装置開口部シール部材構造において、前記取付部に、前記横面部とストローク確保用空間を隔てて対向し、蓋体のロックおよびロック解除時に、変形された前記横面部の開口部への接触を防止可能な接触防止面部を設けた車両用物入装置開口部シール部材構造を特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、物入装置ケーシングの開口部に対し、蓋体を受けるシール部材が設けられ、該シール部材が、開口部に取付けられる取付部と、該取付部から延びる薄肉状の蓋受部とを備え、該蓋受部が、蓋体のほぼ厚み方向へ延びる縦面部と、該縦面部の先端から蓋体のほぼ面方向の内方へ向け延びて、蓋体を直接受ける横面部とを有すると共に、縦面部と横面部との間に蓋体のロック用ストロークおよびロック解除用ストロークを確保可能なストローク確保用空間を形成する車両用物入装置開口部シール部材構造において、前記取付部に、前記横面部とストローク確保用空間を隔てて対向し、蓋体のロックおよびロック解除時に、変形された前記横面部の開口部への接触を防止可能な接触防止面部を設けたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、蓋体のロックおよびロック解除時に変形したゴム製のシール部材における薄肉状の蓋受部の横面部が、接触防止面部に当るようになって開口部との接触がなくなるため、操作感が柔らかくなり、フィーリングを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施例について、図示例と共に説明する。
【実施例】
【0012】
図1〜図3は、この発明の実施例を示すものである。
【0013】
まず、構成について説明する。
【0014】
自動車などの車両における、車室内に、図1に示すような車両用物入装置21を設ける。この車両用物入装置21は、例えば、灰皿装置22などとする。この灰皿装置22は、例えば、車室内の前部に設けられた図示しないインストルメントパネルにおける、車幅方向23のほぼ中央に位置する、センター操作パネル部分などに設置される。
【0015】
この車両用物入装置21は、樹脂製の物入装置ケーシング24を備えている。この物入装置ケーシング24には、開口部25が設けられている。この開口部25は、物入装置ケーシング24の手前側(乗員側)の部分に設けられる。この開口部25は、手前側から見て(背面視)、横長のほぼ矩形状を呈するものなどとされている。
【0016】
そして、この開口部25に対して開閉可能な蓋体26が設けられる。蓋体26には、単体として開閉可能に取付けられるものも存在するが、この場合には、物入装置ケーシング24の内部に収容された容器状の物入装置本体27(図2参照。以下同様)の手前側の部分に取付けられるものとされている。
【0017】
より具体的には、物入装置ケーシング24は、その内部に、軸線をほぼ左右方向(この場合には、ほぼ車幅方向23。以下同様)へ向けた、ほぼ円筒状の本体収容空間28(図2参照。以下同様)を構成可能なものとされている。即ち、物入装置ケーシング24は、ほぼ円筒状の本体収容空間28を囲む周壁部29と、この周壁部29の両端面を塞ぐ左右の両側壁部31とを有するものとされており、上記開口部25は、この周壁部29の手前側の部分をほぼ上下にカットするように形成されている。そして、開口部25の周縁部には、蓋体26の外周をほぼ取り囲むようにフランジ部32が形成されている。
【0018】
そして、図2に示すように、容器状の物入装置本体27は、ほぼ円筒状の本体収容空間28内で、上記軸線を中心として、少なくとも所要の角度範囲で回動可能となるように、物入装置ケーシング24の内部に収容されている。そのために、物入装置ケーシング24と物入装置本体27との間には、上記軸線の位置に、回転中心軸部33が設定される。この回転中心軸部33は、例えば、物入装置ケーシング24の両側壁部31における上記軸線の位置に形成された軸孔と、物入装置本体27の側壁における対応する位置からほぼ車幅方向23の外方へ向けて突設された回転軸部35(図1参照・以下同様)などにより構成されている。
【0019】
また、容器状の物入装置本体27は、ほぼ上部が開口する物入空間37を備えており、この物入空間37に対して、ほぼ上部が開口する灰皿容器38が着脱可能に装着されている。そして、回転中心軸部33を中心とする回動によって、灰皿容器38上部の開口部が、物入装置ケーシング24の内外へ出没されるように構成されている。この場合、物入装置本体27は、図2の閉じた状態から、時計廻りに回動することにより、開いた状態となるように構成されている(図示せず)。そして、開いた状態の時に、蓋体26の下部が、開口部25から本体収容空間28の内側へ入り込み得るように構成されている。また、図2の閉じた状態では、蓋体26の上部が、開口部25の上部から、ロック装置によるロック用ストロークおよびロック解除用ストロークの分だけ離れるように設定されている。
【0020】
蓋体26は、物入装置本体27の手前側の側壁41(リッドインナ部)と、この側壁の手前側に被着されると共に、ネジ42などで物入装置本体27に固定された蓋部材43(リッドアウタ部材)とによって構成されている。蓋部材43の上部には、ほぼ車幅方向23へ延びる加飾部材44が埋設されている。この加飾部材44は、例えば、銀目メッキ塗装などが施されて、蓋部材43に対する操作部位を示すものとしても利用される。
【0021】
そして、開口部25(の周縁部)は、そのほぼ上半部が、閉じた状態の蓋体26の裏面の上縁部と所要の隙間を有して対向される対向部45とされる。また、開口部25(の周縁部)は、そのほぼ下半部が、蓋体26が開いてその下部が本体収容空間28の内側へ入り込む際に、蓋体26の下縁部と干渉しないように本体収容空間28の内側へとガイドしつつ退避される退避部46(図1参照。以下同様)とされている。上記したフランジ部32は、開口部25の縁部(対向部45および退避部46)の外側に設けられている。
【0022】
そして、図1に示すように、物入装置ケーシング24と物入装置本体27との間には、必要に応じて物入装置本体27を開閉付勢するための付勢手段47が介装される。この場合、例えば、付勢手段47は、物入装置本体27を開付勢可能なトーションスプリングなどとされている。このトーションスプリングは、そのコイル部が回転軸部35に外嵌されると共に、その両端部が物入装置ケーシング24と物入装置本体27とに対し、弾性力を蓄積した状態で、それぞれ係止される。
【0023】
また、付勢手段47を設けた場合には、物入装置ケーシング24と物入装置本体27との間に、付勢手段47による付勢力を減衰させるためのダンパ装置51を介装する。この場合、ダンパ装置51については、周知のものなどであっても良い。
【0024】
更に、物入装置ケーシング24と物入装置本体27(例えば、蓋体26部分など)との間には、ロック装置52が介装される。このロック装置52は、蓋体26を開口部25へ向けて僅かに押込むことにより、把持・開放動作を交互に繰返すラッチ装置53と、このラッチ装置53によって把持される爪部と備えている。例えば、爪部は蓋体26に設けられ、ラッチ装置53は物入装置ケーシング24に取付けられる。
【0025】
そして、図2に示すように、上記開口部25に(閉状態の)蓋体26を受けるゴム製のシール部材56が設けられる。このシール部材56は、開口部25の周縁部(のほぼ上半部)における対向部45に対して設けられる。シール部材56は、対向部45とほぼ対応させて、手前側から見て(背面視)、ほぼ下向きコ字状となるように形成されている。なお、このシール部材56は、閉時に灰皿容器38を密閉するためのものである。
【0026】
このシール部材56は、開口部25に取付けられる取付部57と、この取付部57から延びる薄肉状の蓋受部58とを備えている。
【0027】
取付部57は、開口部25の周縁部(のほぼ上半部)における対向部45に沿って形成された凹溝部59内にほぼ面一状態で嵌着される。凹溝部59は、手前側から見て(背面視)、ほぼ下向きコ字状を呈している。凹溝部59は、例えば、奥細形状などを呈している。フランジ部32(のほぼ上半部)の対応する部分には、凹溝部59に沿って、取付用のスリット部61が、所要の間隔で多数形成され、取付部57の対応する外縁部分からは、スリット部61へ挿入係止可能な取付片部62が突設されている。この取付片部62は、返し付きの抜け止め形状を呈している。
【0028】
蓋受部58は、厚肉にすると蓋体26の操作荷重が大きくなるため、薄肉状に構成されている。
【0029】
この蓋受部58は、蓋体26のほぼ厚み方向65へ延びる縦面部66と、この縦面部66の先端から蓋体26のほぼ面方向67の内方へ向け延びて、(閉時に)蓋体26(の縁部)を直接受ける横面部68とを有すると共に、縦面部66と横面部68との間に、ロック装置52による蓋体26のロック用ストロークおよびロック解除用ストロークを確保可能なストローク確保用空間69を形成するものとされている。
【0030】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、取付部57に、横面部68とストローク確保用空間69を隔てて対向し、蓋体26のロックおよびロック解除時に、変形された横面部68の開口部25への接触を防止可能な接触防止面部71を設ける。
【0031】
この接触防止面部71は、横面部68とほぼ平行で、且つ、横面部68とほぼ対応するようなものとする。即ち、接触防止面部71は、開口部25(のほぼ上半部)における対向部45に沿って、対向部45を覆うように形成される。更に、接触防止面部71は、対向部45から若干内側へはみだすように形成されている。接触防止面部71の先端は、変形したゴム製のシール部材56の薄肉状の蓋受部58(の横面部68)の先端と対応する長さなどとする。
【0032】
次に、この実施例の作用について説明する。
【0033】
閉時には、物入装置ケーシング24の開口部25に設けられたシール部材56(における薄肉状の蓋受部58の横面部68)が、蓋体26に密接して開口部25(灰皿容器38)のシールを行う。
【0034】
そして、図2に示すような、閉状態で、蓋体26を開口部25へ向けて僅かに押込むと、ロック装置52が作動してロック解除される。すると、付勢手段47の付勢力により、回転中心軸部33を中心として蓋体26および物入装置本体27が図中時計廻りに回動され、この時、ダンパ装置51が、付勢手段47による付勢力を減衰させる。これにより、蓋体26および物入装置本体27は、ゆっくりと開き、物入装置ケーシング24の中から灰皿容器38が現れる。
【0035】
反対に、開状態から、付勢手段47による付勢力およびダンパ装置51によるダンパ力に抗して、蓋体26を閉じると、回転中心軸部33を中心として蓋体26および物入装置本体27が図中反時計廻りに回動され、灰皿容器38が物入装置ケーシング24内へ隠される。閉状態となったら、更に、蓋体26を開口部25へ向けて僅かに押込むと、図示しないロック装置52が作動してロックがかかる。
【0036】
そして、ロック装置52を作動させるために、蓋体26を開口部25へ向けて僅かに押込むと、図3に示すように、ゴム製のシール部材56(における薄肉状の蓋受部58の横面部68)が変形し、蓋体26が、樹脂製の物入装置ケーシング24の開口部25に直接当るのを防止する。
【0037】
この際、薄肉状の蓋受部58の横面部68が、開口部25と接触すると、操作感が硬いものとなるが、この実施例では、横面部68は、接触防止面部71に当ることとなる。そのため、操作感が柔らかくなり、フィーリングが向上される。
【0038】
このように、この実施例によれば、物入装置ケーシング24の開口部25に対し、蓋体26を受けるシール部材56が設けられ、シール部材56が、開口部25に取付けられる取付部57と、取付部57から延びる薄肉状の蓋受部58とを備え、蓋受部58が、蓋体26のほぼ厚み方向65へ延びる縦面部66と、縦面部66の先端から蓋体26のほぼ面方向67の内方へ向け延びて、蓋体26を直接受ける横面部68とを有すると共に、縦面部66と横面部68との間に蓋体26のロック用ストロークおよびロック解除用ストロークを確保可能なストローク確保用空間69を形成する車両用物入装置開口部シール部材構造において、取付部57に、横面部68とストローク確保用空間69を隔てて対向し、蓋体26のロックおよびロック解除時に、変形された横面部68の開口部25への接触を防止可能な接触防止面部71を設けたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0039】
即ち、蓋体26のロックおよびロック解除時に変形したゴム製のシール部材56における薄肉状の蓋受部58の横面部68が、接触防止面部71に当るようになって開口部25との接触がなくなるため、操作感が柔らかくなり、フィーリングを向上させることができる。
【0040】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施例にかかる車両用物入装置の斜視図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】図2の作動図である。
【図4】従来例にかかる車両用物入装置の断面図である。
【図5】図4の作動図である。
【符号の説明】
【0042】
24 物入装置ケーシング
25 開口部
26 蓋体
56 シール部材
57 取付部
58 蓋受部
65 厚み方向
66 縦面部
67 面方向
68 横面部
69 ストローク確保用空間
71 接触防止面部
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用物入装置開口部シール部材構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室内に各種の車両用物入装置が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、図4に示す車両用物入装置1では、樹脂製の物入装置ケーシング2に開口部3が設けられ、この開口部3に対して開閉可能な蓋体4が設けられると共に、上記開口部3に(閉状態の)蓋体4を受けるゴム製のシール部材5が設けられている。そして、物入装置ケーシング2と蓋体4との間には、図示しないロック装置が介装される。このような構造は、例えば、灰皿装置6などに多く採用されている。
【0004】
このシール部材5は、開口部3に取付けられる取付部7と、この取付部7から延びる薄肉状の蓋受部8とを備えている。
【0005】
この蓋受部8は、蓋体4のほぼ厚み方向9へ延びる縦面部10と、この縦面部10の先端から蓋体4のほぼ面方向11の内方へ向け延びて、蓋体4(の縁部)を直接受ける横面部12とを有すると共に、縦面部10と横面部12との間に蓋体4のロック用ストロークおよびロック解除用ストロークを確保可能なストローク確保用空間13を形成するものとされている。
【0006】
このような構成によれば、閉時には、物入装置ケーシング2の開口部3に設けられたシール部材5(における薄肉状の蓋受部8の横面部12)が、蓋体4に密接して開口部3のシールを行う。
【0007】
そして、開閉時に蓋体4を開口部3へ向けて僅かに押込むことにより、図示しないロック装置が作動され、ロック装置がロックまたはロック解除を行う。この際、図5に示すように、ゴム製のシール部材5における薄肉状の蓋受部8が蓋体4を受けた状態のまま変形することにより、蓋体4が、樹脂製の物入装置ケーシング2の開口部3に当るのを防止する。
【特許文献1】実公平7−51945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記車両用物入装置開口部シール部材構造では、ロック装置を操作することによって変形したゴム製のシール部材5の薄肉状の蓋受部8が、樹脂製の物入装置ケーシング2の開口部3に当るため、操作感が硬く、フィーリングが良くないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明では、物入装置ケーシングの開口部に対し、蓋体を受けるシール部材が設けられ、該シール部材が、開口部に取付けられる取付部と、該取付部から延びる薄肉状の蓋受部とを備え、該蓋受部が、蓋体のほぼ厚み方向へ延びる縦面部と、該縦面部の先端から蓋体のほぼ面方向の内方へ向け延びて、蓋体を直接受ける横面部とを有すると共に、縦面部と横面部との間に蓋体のロック用ストロークおよびロック解除用ストロークを確保可能なストローク確保用空間を形成する車両用物入装置開口部シール部材構造において、前記取付部に、前記横面部とストローク確保用空間を隔てて対向し、蓋体のロックおよびロック解除時に、変形された前記横面部の開口部への接触を防止可能な接触防止面部を設けた車両用物入装置開口部シール部材構造を特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、物入装置ケーシングの開口部に対し、蓋体を受けるシール部材が設けられ、該シール部材が、開口部に取付けられる取付部と、該取付部から延びる薄肉状の蓋受部とを備え、該蓋受部が、蓋体のほぼ厚み方向へ延びる縦面部と、該縦面部の先端から蓋体のほぼ面方向の内方へ向け延びて、蓋体を直接受ける横面部とを有すると共に、縦面部と横面部との間に蓋体のロック用ストロークおよびロック解除用ストロークを確保可能なストローク確保用空間を形成する車両用物入装置開口部シール部材構造において、前記取付部に、前記横面部とストローク確保用空間を隔てて対向し、蓋体のロックおよびロック解除時に、変形された前記横面部の開口部への接触を防止可能な接触防止面部を設けたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、蓋体のロックおよびロック解除時に変形したゴム製のシール部材における薄肉状の蓋受部の横面部が、接触防止面部に当るようになって開口部との接触がなくなるため、操作感が柔らかくなり、フィーリングを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施例について、図示例と共に説明する。
【実施例】
【0012】
図1〜図3は、この発明の実施例を示すものである。
【0013】
まず、構成について説明する。
【0014】
自動車などの車両における、車室内に、図1に示すような車両用物入装置21を設ける。この車両用物入装置21は、例えば、灰皿装置22などとする。この灰皿装置22は、例えば、車室内の前部に設けられた図示しないインストルメントパネルにおける、車幅方向23のほぼ中央に位置する、センター操作パネル部分などに設置される。
【0015】
この車両用物入装置21は、樹脂製の物入装置ケーシング24を備えている。この物入装置ケーシング24には、開口部25が設けられている。この開口部25は、物入装置ケーシング24の手前側(乗員側)の部分に設けられる。この開口部25は、手前側から見て(背面視)、横長のほぼ矩形状を呈するものなどとされている。
【0016】
そして、この開口部25に対して開閉可能な蓋体26が設けられる。蓋体26には、単体として開閉可能に取付けられるものも存在するが、この場合には、物入装置ケーシング24の内部に収容された容器状の物入装置本体27(図2参照。以下同様)の手前側の部分に取付けられるものとされている。
【0017】
より具体的には、物入装置ケーシング24は、その内部に、軸線をほぼ左右方向(この場合には、ほぼ車幅方向23。以下同様)へ向けた、ほぼ円筒状の本体収容空間28(図2参照。以下同様)を構成可能なものとされている。即ち、物入装置ケーシング24は、ほぼ円筒状の本体収容空間28を囲む周壁部29と、この周壁部29の両端面を塞ぐ左右の両側壁部31とを有するものとされており、上記開口部25は、この周壁部29の手前側の部分をほぼ上下にカットするように形成されている。そして、開口部25の周縁部には、蓋体26の外周をほぼ取り囲むようにフランジ部32が形成されている。
【0018】
そして、図2に示すように、容器状の物入装置本体27は、ほぼ円筒状の本体収容空間28内で、上記軸線を中心として、少なくとも所要の角度範囲で回動可能となるように、物入装置ケーシング24の内部に収容されている。そのために、物入装置ケーシング24と物入装置本体27との間には、上記軸線の位置に、回転中心軸部33が設定される。この回転中心軸部33は、例えば、物入装置ケーシング24の両側壁部31における上記軸線の位置に形成された軸孔と、物入装置本体27の側壁における対応する位置からほぼ車幅方向23の外方へ向けて突設された回転軸部35(図1参照・以下同様)などにより構成されている。
【0019】
また、容器状の物入装置本体27は、ほぼ上部が開口する物入空間37を備えており、この物入空間37に対して、ほぼ上部が開口する灰皿容器38が着脱可能に装着されている。そして、回転中心軸部33を中心とする回動によって、灰皿容器38上部の開口部が、物入装置ケーシング24の内外へ出没されるように構成されている。この場合、物入装置本体27は、図2の閉じた状態から、時計廻りに回動することにより、開いた状態となるように構成されている(図示せず)。そして、開いた状態の時に、蓋体26の下部が、開口部25から本体収容空間28の内側へ入り込み得るように構成されている。また、図2の閉じた状態では、蓋体26の上部が、開口部25の上部から、ロック装置によるロック用ストロークおよびロック解除用ストロークの分だけ離れるように設定されている。
【0020】
蓋体26は、物入装置本体27の手前側の側壁41(リッドインナ部)と、この側壁の手前側に被着されると共に、ネジ42などで物入装置本体27に固定された蓋部材43(リッドアウタ部材)とによって構成されている。蓋部材43の上部には、ほぼ車幅方向23へ延びる加飾部材44が埋設されている。この加飾部材44は、例えば、銀目メッキ塗装などが施されて、蓋部材43に対する操作部位を示すものとしても利用される。
【0021】
そして、開口部25(の周縁部)は、そのほぼ上半部が、閉じた状態の蓋体26の裏面の上縁部と所要の隙間を有して対向される対向部45とされる。また、開口部25(の周縁部)は、そのほぼ下半部が、蓋体26が開いてその下部が本体収容空間28の内側へ入り込む際に、蓋体26の下縁部と干渉しないように本体収容空間28の内側へとガイドしつつ退避される退避部46(図1参照。以下同様)とされている。上記したフランジ部32は、開口部25の縁部(対向部45および退避部46)の外側に設けられている。
【0022】
そして、図1に示すように、物入装置ケーシング24と物入装置本体27との間には、必要に応じて物入装置本体27を開閉付勢するための付勢手段47が介装される。この場合、例えば、付勢手段47は、物入装置本体27を開付勢可能なトーションスプリングなどとされている。このトーションスプリングは、そのコイル部が回転軸部35に外嵌されると共に、その両端部が物入装置ケーシング24と物入装置本体27とに対し、弾性力を蓄積した状態で、それぞれ係止される。
【0023】
また、付勢手段47を設けた場合には、物入装置ケーシング24と物入装置本体27との間に、付勢手段47による付勢力を減衰させるためのダンパ装置51を介装する。この場合、ダンパ装置51については、周知のものなどであっても良い。
【0024】
更に、物入装置ケーシング24と物入装置本体27(例えば、蓋体26部分など)との間には、ロック装置52が介装される。このロック装置52は、蓋体26を開口部25へ向けて僅かに押込むことにより、把持・開放動作を交互に繰返すラッチ装置53と、このラッチ装置53によって把持される爪部と備えている。例えば、爪部は蓋体26に設けられ、ラッチ装置53は物入装置ケーシング24に取付けられる。
【0025】
そして、図2に示すように、上記開口部25に(閉状態の)蓋体26を受けるゴム製のシール部材56が設けられる。このシール部材56は、開口部25の周縁部(のほぼ上半部)における対向部45に対して設けられる。シール部材56は、対向部45とほぼ対応させて、手前側から見て(背面視)、ほぼ下向きコ字状となるように形成されている。なお、このシール部材56は、閉時に灰皿容器38を密閉するためのものである。
【0026】
このシール部材56は、開口部25に取付けられる取付部57と、この取付部57から延びる薄肉状の蓋受部58とを備えている。
【0027】
取付部57は、開口部25の周縁部(のほぼ上半部)における対向部45に沿って形成された凹溝部59内にほぼ面一状態で嵌着される。凹溝部59は、手前側から見て(背面視)、ほぼ下向きコ字状を呈している。凹溝部59は、例えば、奥細形状などを呈している。フランジ部32(のほぼ上半部)の対応する部分には、凹溝部59に沿って、取付用のスリット部61が、所要の間隔で多数形成され、取付部57の対応する外縁部分からは、スリット部61へ挿入係止可能な取付片部62が突設されている。この取付片部62は、返し付きの抜け止め形状を呈している。
【0028】
蓋受部58は、厚肉にすると蓋体26の操作荷重が大きくなるため、薄肉状に構成されている。
【0029】
この蓋受部58は、蓋体26のほぼ厚み方向65へ延びる縦面部66と、この縦面部66の先端から蓋体26のほぼ面方向67の内方へ向け延びて、(閉時に)蓋体26(の縁部)を直接受ける横面部68とを有すると共に、縦面部66と横面部68との間に、ロック装置52による蓋体26のロック用ストロークおよびロック解除用ストロークを確保可能なストローク確保用空間69を形成するものとされている。
【0030】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、取付部57に、横面部68とストローク確保用空間69を隔てて対向し、蓋体26のロックおよびロック解除時に、変形された横面部68の開口部25への接触を防止可能な接触防止面部71を設ける。
【0031】
この接触防止面部71は、横面部68とほぼ平行で、且つ、横面部68とほぼ対応するようなものとする。即ち、接触防止面部71は、開口部25(のほぼ上半部)における対向部45に沿って、対向部45を覆うように形成される。更に、接触防止面部71は、対向部45から若干内側へはみだすように形成されている。接触防止面部71の先端は、変形したゴム製のシール部材56の薄肉状の蓋受部58(の横面部68)の先端と対応する長さなどとする。
【0032】
次に、この実施例の作用について説明する。
【0033】
閉時には、物入装置ケーシング24の開口部25に設けられたシール部材56(における薄肉状の蓋受部58の横面部68)が、蓋体26に密接して開口部25(灰皿容器38)のシールを行う。
【0034】
そして、図2に示すような、閉状態で、蓋体26を開口部25へ向けて僅かに押込むと、ロック装置52が作動してロック解除される。すると、付勢手段47の付勢力により、回転中心軸部33を中心として蓋体26および物入装置本体27が図中時計廻りに回動され、この時、ダンパ装置51が、付勢手段47による付勢力を減衰させる。これにより、蓋体26および物入装置本体27は、ゆっくりと開き、物入装置ケーシング24の中から灰皿容器38が現れる。
【0035】
反対に、開状態から、付勢手段47による付勢力およびダンパ装置51によるダンパ力に抗して、蓋体26を閉じると、回転中心軸部33を中心として蓋体26および物入装置本体27が図中反時計廻りに回動され、灰皿容器38が物入装置ケーシング24内へ隠される。閉状態となったら、更に、蓋体26を開口部25へ向けて僅かに押込むと、図示しないロック装置52が作動してロックがかかる。
【0036】
そして、ロック装置52を作動させるために、蓋体26を開口部25へ向けて僅かに押込むと、図3に示すように、ゴム製のシール部材56(における薄肉状の蓋受部58の横面部68)が変形し、蓋体26が、樹脂製の物入装置ケーシング24の開口部25に直接当るのを防止する。
【0037】
この際、薄肉状の蓋受部58の横面部68が、開口部25と接触すると、操作感が硬いものとなるが、この実施例では、横面部68は、接触防止面部71に当ることとなる。そのため、操作感が柔らかくなり、フィーリングが向上される。
【0038】
このように、この実施例によれば、物入装置ケーシング24の開口部25に対し、蓋体26を受けるシール部材56が設けられ、シール部材56が、開口部25に取付けられる取付部57と、取付部57から延びる薄肉状の蓋受部58とを備え、蓋受部58が、蓋体26のほぼ厚み方向65へ延びる縦面部66と、縦面部66の先端から蓋体26のほぼ面方向67の内方へ向け延びて、蓋体26を直接受ける横面部68とを有すると共に、縦面部66と横面部68との間に蓋体26のロック用ストロークおよびロック解除用ストロークを確保可能なストローク確保用空間69を形成する車両用物入装置開口部シール部材構造において、取付部57に、横面部68とストローク確保用空間69を隔てて対向し、蓋体26のロックおよびロック解除時に、変形された横面部68の開口部25への接触を防止可能な接触防止面部71を設けたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0039】
即ち、蓋体26のロックおよびロック解除時に変形したゴム製のシール部材56における薄肉状の蓋受部58の横面部68が、接触防止面部71に当るようになって開口部25との接触がなくなるため、操作感が柔らかくなり、フィーリングを向上させることができる。
【0040】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施例にかかる車両用物入装置の斜視図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】図2の作動図である。
【図4】従来例にかかる車両用物入装置の断面図である。
【図5】図4の作動図である。
【符号の説明】
【0042】
24 物入装置ケーシング
25 開口部
26 蓋体
56 シール部材
57 取付部
58 蓋受部
65 厚み方向
66 縦面部
67 面方向
68 横面部
69 ストローク確保用空間
71 接触防止面部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物入装置ケーシングの開口部に対し、蓋体を受けるシール部材が設けられ、
該シール部材が、開口部に取付けられる取付部と、該取付部から延びる薄肉状の蓋受部とを備え、
該蓋受部が、蓋体のほぼ厚み方向へ延びる縦面部と、該縦面部の先端から蓋体のほぼ面方向の内方へ向け延びて、蓋体を直接受ける横面部とを有すると共に、縦面部と横面部との間に蓋体のロック用ストロークおよびロック解除用ストロークを確保可能なストローク確保用空間を形成する車両用物入装置開口部シール部材構造において、
前記取付部に、前記横面部とストローク確保用空間を隔てて対向し、蓋体のロックおよびロック解除時に、変形された前記横面部の開口部への接触を防止可能な接触防止面部を設けたことを特徴とする車両用物入装置開口部シール部材構造。
【請求項1】
物入装置ケーシングの開口部に対し、蓋体を受けるシール部材が設けられ、
該シール部材が、開口部に取付けられる取付部と、該取付部から延びる薄肉状の蓋受部とを備え、
該蓋受部が、蓋体のほぼ厚み方向へ延びる縦面部と、該縦面部の先端から蓋体のほぼ面方向の内方へ向け延びて、蓋体を直接受ける横面部とを有すると共に、縦面部と横面部との間に蓋体のロック用ストロークおよびロック解除用ストロークを確保可能なストローク確保用空間を形成する車両用物入装置開口部シール部材構造において、
前記取付部に、前記横面部とストローク確保用空間を隔てて対向し、蓋体のロックおよびロック解除時に、変形された前記横面部の開口部への接触を防止可能な接触防止面部を設けたことを特徴とする車両用物入装置開口部シール部材構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2008−221931(P2008−221931A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60257(P2007−60257)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]