説明

車両用空気調和装置

【課題】外気と内気をそれぞれ蒸発器に流通させる構成においても、蒸発器の下側を開閉するダンパの数を少なくすることのできる車両用空気調和装置を提供する。
【解決手段】第1及び第2の外気通風路8,9を外気が蒸発器11の幅方向一端側及び他端側をそれぞれ流通するように形成し、内気通風路10を内気が蒸発器11の幅方向中央側を流通するように形成したので、第1のダンパ18が何れの開度であっても、各外気通風路8,9からの外気と内気通風路10からの内気をそれぞれ第1のダンパ18の開度に応じた流量で吹出側通風路12側またはヒータ側通風路14側に流通させることができる。即ち、外気と内気をそれぞれ蒸発器11に流通させる構成においても、蒸発器11の下流側を開閉する第1のダンパ18を外気及び内気の流通部分ごとにそれぞれ設ける必要がなく、ダンパの数を少なくして構造の簡素化及び低コスト化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車内の冷房及び暖房を行う車両用空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用空気調和装置としては、外気(車外の空気)及び内気(車内の空気)を吸入する送風ユニットと、送風ユニットから送られる空気を冷却または加熱して車内に吹き出す空調ユニットとを備え、送風ユニットを空調ユニットの一側方に配置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
送風ユニットは、外気を吸入する送風ファンと、内気を吸入する送風ファンとを備え、それぞれダクトを介して空調ユニットに外気及び内気を送風するようになっている。この場合、送風ユニットのダクトには外気通風路と内気通風路が上下に一つずつ設けられ、送風ユニットの外気及び内気がダクトにより車両の幅方向一方から他方に向かって空調ユニットに流通するようになっている。
【0004】
空調ユニットは、車外から吸入された外気を流通する外気通風路と、車内から吸入された内気を流通する内気通風路と、外気通風路及び内気通風路の下流側に配置された蒸発器と、蒸発器から流出した空気を流通する吹出側通風路と、蒸発器の下流側に配置されたヒータと、蒸発器から流出した空気をヒータを介して吹出側通風路に流通させるヒータ側通風路と、蒸発器から吹出側通風路に直接流通する空気の流路と蒸発器からヒータ側通風路を介して吹出側通風路に流通する空気の流路をそれぞれ開閉するダンパとを備えている。
【0005】
前記ダンパは、蒸発器の下流側に蒸発器の幅方向に亘るように形成され、蒸発器の幅方向に延びる軸を中心に回動することにより、蒸発器の下流側の流路を開閉するようになっている。この場合、外気通風路の外気が蒸発器の上部から流出し、内気通風路の内気が蒸発器の下部から流出するため、蒸発器の下流側には、蒸発器の上側を開閉するダンパと、蒸発器の下側を開閉するダンパがそれぞれ設けられ、各ダンパは互いに等しい開度になるように同期して開閉するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3309779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記車両用空気調和装置では、蒸発器の下流側を開閉するダンパを外気及び内気の流通部分ごとにそれぞれ設けているため、ダンパの数が多くなり、構造の複雑化及び製造コストの増加を来すという問題点があった。
【0008】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外気と内気をそれぞれ蒸発器に流通させる構成においても、蒸発器の下側を開閉するダンパの数を少なくすることのできる車両用空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前記目的を達成するために、車外から吸入された外気を流通する外気通風路と、車内から吸入された内気を流通する内気通風路と、外気通風路及び内気通風路の下流側に配置された蒸発器と、蒸発器から流出した空気を流通する吹出側通風路と、蒸発器の下流側に配置されたヒータと、蒸発器から流出した空気をヒータを介して吹出側通風路に流通させるヒータ側通風路と、蒸発器の下流側に蒸発器の幅方向に亘るように形成され、蒸発器の幅方向に延びる軸を中心に回動することにより、蒸発器から吹出側通風路に直接流通する空気の流路と、蒸発器からヒータ側通風路を介して吹出側通風路に流通する空気の流路をそれぞれ開閉するダンパとを備えた車両用空気調和装置において、前記外気通風路を蒸発器の幅方向の所定位置に外気が流通するように形成し、内気通風路を蒸発器の幅方向の他の所定位置に内気が流通するように形成している。
【0010】
これにより、蒸発器の下流側を開閉するダンパが蒸発器の幅方向に亘るように形成され、蒸発器の幅方向に延びる軸を中心に回動する構成において、蒸発器の幅方向の所定位置に外気が流通し、蒸発器の幅方向の他の所定位置に内気が流通することから、ダンパが何れの開度であっても、外気通風路からの外気と内気通風路からの内気がそれぞれダンパの開度に応じた流量で蒸発器の下流側に流通する。これにより、外気と内気をそれぞれ蒸発器に流通させる構成においても、蒸発器の下流側を開閉するダンパを外気及び内気の流通部分ごとにそれぞれ設ける必要がない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外気と内気をそれぞれ蒸発器に流通させる構成においても、蒸発器の下流側を開閉するダンパを外気及び内気の流通部分ごとにそれぞれ設ける必要がないので、ダンパの数を少なくすることができ、構造の簡素化及び低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を示す車両用空気調和装置の概略平面図
【図2】車両用空気調和装置の要部斜視図
【図3】空調ユニットの概略平面断面図
【図4】空調ユニットの概略正面図
【図5】図3のA−A線矢視方向における空調ユニットの側面断面図
【図6】図3のB−B線矢視方向における空調ユニットの側面断面図
【図7】図3のC−C線矢視方向における空調ユニットの側面断面図
【図8】外気通風路及び内気通風路の概略斜視図
【図9】外気及び内気の流通状態を示す外気通風路及び内気通風路の概略斜視図
【図10】フェイスモードを示す空調ユニットの側面断面図
【図11】上下差温モードを示す空調ユニットの側面断面図
【図12】フットモードを示す空調ユニットの側面断面図
【図13】デフロスタモードを示す空調ユニットの側面断面図
【図14】フット/デフロスタモードを示す空調ユニットの側面断面図
【図15】本発明の他の実施形態を示す空調ユニットの概略平面断面図
【図16】空調ユニットの概略正面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至図14は本発明の一実施形態を示すものである。
【0014】
本実施形態の車両用空気調和装置は、外気(車外の空気)及び内気(車内の空気)を吸入する送風ユニット1と、送風ユニット1から送られる空気を冷却または加熱して車内に吹き出す空調ユニット2とからなり、送風ユニット1は空調ユニット2の一側方に配置されている。
【0015】
送風ユニット1は、図示していないが、外気を吸入する送風ファンと、内気を吸入する送風ファンとを備え、それぞれダクト1aを介して空調ユニット2に外気及び内気を送風するようになっている。この場合、送風ユニット1のダクト1aには外気を流通する上部通風路1bと内気を流通する下部通風路1cが上下に一つずつ設けられており、送風ユニット1の外気及び内気がダクト1aにより車両の幅方向一方から他方に向かって空調ユニット2に流通するようになっている。
【0016】
空調ユニット2は、内部に空気を流通可能に形成された中空状のユニット本体3を備え、ユニット本体3は、車内に開口する第1のフェイス吹出口4、第2のフェイス吹出口5、フット吹出口6及びデフロスタ吹出口7にそれぞれダクト4a,5a,6a,7aを介して接続されている。この場合、第1のフェイス吹出口4は、第1の吹出口として車内の幅方向中央側に設けられ、主に運転席と助手席の間に空気を吹き出すようになっている。第2のフェイス吹出口5は、第2の吹出口として車内の幅方向両側にそれぞれ設けられ、主に運転席と助手席のドアガラス側に空気を吹き出すようになっている。フット吹出口6は車内の幅方向二箇所にそれぞれ配置され、主に運転席と助手席の足下に空気を吹き出すようになっている。デフロスタ吹出口7は車内の幅方向中央側に配置され、フロントガラスの内側に空気を吹き出すようになっている。
【0017】
ユニット本体3内には、送風ユニット1から送風された外気を流通する第1及び第2の外気通風路8,9と、送風ユニット1から送風された内気を流通する内気通風路10と、各外気通風路8,9及び内気通風路10の下流側に配置された蒸発器11と、蒸発器11から流出した空気を流通する吹出側通風路12と、蒸発器11の下流側に配置されたヒータ13と、蒸発器11から流出した空気をヒータ13を介して吹出側通風路12に流通させるヒータ側通風路14と、吹出側通風路12の空気を各フェイス吹出口4,5側に流出するフェイス側通風路15と、吹出側通風路12の空気を各フット吹出口6側に流出するフット側通風路16と、吹出側通風路12の空気をデフロスタ吹出口7側に流出するデフロスタ側通風路17と、蒸発器11から吹出側通風路12に直接流通する空気の流路と蒸発器11からヒータ側通風路14を介して吹出側通風路12に流通する空気の流路をそれぞれ開閉する第1のダンパ18と、吹出側通風路12から流出する空気のフェイス側通風路15への流通量を調整する第2のダンパ19と、吹出側通風路12から流出する空気のフット側通風路16への流通量を調整する第3のダンパ20と、吹出側通風路12から流出する空気のデフロスタ側通風路17への流通量を調整する第4のダンパ21とが設けられている。
【0018】
第1の外気通風路8は、図8に示すように空気流入側通風路8aがユニット本体3の幅方向(車両の幅方向)に延びるように形成され、その空気流出側通風路8bはユニット本体3の幅方向一端側からユニット本体3の内側(車両の後方)に向かって上下に亘り開口している。
【0019】
第2の外気通風路9は、図8に示すように空気流入口9aが第1の外気通風路8に対してユニット本体3の内側に配置され、その空気流出側通風路9bはユニット本体3の幅方向他端側からユニット本体3の内側に向かって上下に亘り開口している。
【0020】
内気通風路10は、図8に示すように空気流入側通風路10aがユニット本体3の幅方向(車両の幅方向)に延びるとともに、第1の外気通風路8の下方に配置され、その空気流出側通風路10bはユニット本体3の幅方向中央端側(空気流出側通風路8b,9bの間)からユニット本体3の内側に向かって上下に亘り開口している。
【0021】
また、各外気通風路8,9及び内気通風路10はそれぞれ車両の前後方向の幅が上下方向の寸法よりも小さくなるように扁平状に形成され、第1の外気通風路8と第2の外気通風路9は互いに車両の前後方向に隣接するように設けられている。これにより、ダクト1aの上部通風路1bにユニット本体3の第1及び第2の外気通風路8,9が連通し、ダクト1aの下部通風路1cにユニット本体3の内気通風路10が連通するようになっている。
【0022】
即ち、送風ユニット1から送風された外気は、第1及び第2の外気通風路8,9から蒸発器11の幅方向一端側及び他端側にそれぞれ流出し、送風ユニット1から送風された内気は、内気通風路10から蒸発器11の幅方向中央側に流出するようになっている。
【0023】
また、吹出側通風路12、ヒータ側通風路14、フェイス側通風路15及びフット側通風路16は、それぞれ第1の外気通風路8の空気流出側通風路8b、第2の外気通風路9の空気流出側通風路9b及び内気通風路10の空気流出側通風路10bに対応するように仕切壁22によって幅方向に仕切られている。この場合、フェイス側通風路15内の幅方向中央側の通風路は、ユニット本体3の第1の開口部3aを介して第1のフェイス吹出口4のダクト4aに連通しており、フェイス側通風路15内の幅方向一端側及び他端側の通風路は、ユニット本体3の第2の開口部3bを介して左右の第2のフェイス吹出口5のダクト5aにそれぞれ連通している。フット側通風路16内の幅方向一端側及び他端側の通風路は、ユニット本体3の第3の開口部3cを介して左右のフット吹出口6のダクト6aにそれぞれ連通しており、フット側通風路16内の幅方向中央側の通風路は、左右に分岐するとともに、ユニット本体3の第3の開口部3cを介して左右のフット吹出口6のダクト6aに連通している。また、デフロスタ側通風路17はユニット本体3の第4の開口部3dを介してデフロスタ吹出口7のダクト7aに連通している。
【0024】
蒸発器11は、図示しない冷凍回路の圧縮機によって低温冷媒を流通することにより、蒸発器11を流通する空気と低温冷媒とを熱交換し、流通空気を冷却するようになっている。
【0025】
ヒータ13は、図示しないポンプによって車両のラジエータの冷却水を流通することにより、ヒータ13を流通する空気と冷却水とを熱交換し、流通空気を加熱するようになっている。
【0026】
第1のダンパ18は、蒸発器11の幅方向に亘るように形成され、蒸発器11の幅方向に延びる支軸18aに回動自在に支持されている。第1のダンパ18は、図示しないモータによって回動することにより、吹出側通風路12の空気流入側(蒸発器11の下流側)及びヒータ側通風路14の空気流入側(蒸発器11の下流側)をそれぞれ開閉するするようになっている。この場合、第1のダンパ18を任意の中間位置に回動することにより、吹出側通風路12及びヒータ側通風路14の両方にそれぞれ任意の風量で空気を流通可能になっている。
【0027】
第2のダンパ19は支軸19aに回動自在に支持され、図示しないモータによって回動することにより、フェイス側通風路15を開閉するようになっている。
【0028】
第3のダンパ20は支軸20aに回動自在に支持され、図示しないモータによって回動することにより、フット側通風路16を開閉するようになっている。
【0029】
第4のダンパ21は支軸21aに回動自在に支持され、図示しないモータによって回動することにより、デフロスタ側通風路17を開閉するようになっている。
【0030】
以上のように構成された空気調和装置においては、送風ユニット1から送られる空気が後述する運転モードに応じて空調ユニット2により冷却または加熱され、空調ユニット2から車内に吹き出される。送風ユニット1から空調ユニット2に送られる空気は、車両の幅方向(空調ユニット2の幅方向)一方から他方に向かって流入するが、その流通方向を空調ユニット2の各外気通風路8,9及び内気通風路10によって車両の前後方向に変えられ、蒸発器11に向かって流出する。
【0031】
また、蒸発器11の下流側を開閉する第1のダンパ18は、蒸発器11の幅方向に亘るように形成され、蒸発器11の幅方向に延びる支軸18aを中心に回動するが、第1及び第2の外気通風路8,9の外気は蒸発器11の幅方向一端側及び他端側をそれぞれ流通し、内気通風路10の内気は蒸発器11の幅方向中央側を流通することから、第1のダンパ18が何れの開度であっても、各外気通風路8,9からの外気と内気通風路10からの内気がそれぞれ第1のダンパ18の開度に応じた流量で吹出側通風路12側またはヒータ側通風路14側に流通する。
【0032】
フェイスモードでは、図10に示すように、第1のダンパ18によって吹出側通風路12を開放してヒータ側通風路14を閉鎖し、第2のダンパ19によってフェイス側通風路15を開放し、第3のダンパ20によってフット側通風路16を閉鎖し、第4のダンパ21によってデフロスタ側通風路17を閉鎖する。これにより、蒸発器11で冷却された空気が吹出側通風路12からフェイス側通風路15に流通し、第1及び第2のフェイス吹出口4,5から車内に吹き出される。
【0033】
上下差温モードでは、図11に示すように、第1のダンパ18によって吹出側通風路12及びヒータ側通風路14をそれぞれ開放し、第2のダンパ19によってフェイス側通風路15を開放し、第3のダンパ20によってフット側通風路16を開放し、第4のダンパ21によってデフロスタ側通風路17を閉鎖する。これにより、蒸発器11で冷却された一部の空気が吹出側通風路12からフェイス側通風路15に流通し、第1及び第2のフェイス吹出口4,5から車内に吹き出される。また、蒸発器11で冷却された他の空気がヒータ側通風路14内のヒータ13によって加熱され、吹出側通風路12からフット側通風路16に流通し、フット吹出口6から車内の足下に吹き出される。
【0034】
フットモードでは、図12に示すように、第1のダンパ18によって吹出側通風路12を閉鎖してヒータ側通風路14を開放し、第2のダンパ19によってフェイス側通風路15を閉鎖し、第3のダンパ20によってフット側通風路16を開放し、第4のダンパ21によってデフロスタ側通風路17を閉鎖する。これにより、蒸発器11から流出した空気がヒータ側通風路14内のヒータ13によって加熱され、吹出側通風路12からフット側通風路16に流通し、フット吹出口6から搭乗者の足下に吹き出される。これにより、主として足下に吹き出される空気によって車内が暖房される。その際、第4のダンパ21によってデフロスタ側通風路17を若干開放することにより、吹出側通風路12の僅かな空気がデフロスタ側通風路17に流通し、デフロスタ吹出口7からフロントガラスの内側に吹き出される。これにより、デフロスタ吹出口7から吹き出される少量の空気によってフロントガラスの曇り止め効果も得られる。
【0035】
デフロスタモードでは、図13に示すように、第1のダンパ18によって吹出側通風路12を閉鎖してヒータ側通風路14を開放し、第2のダンパ19によってフェイス側通風路15を閉鎖し、第3のダンパ20によってフット側通風路16を閉鎖し、第4のダンパ21によってデフロスタ側通風路17を開放する。これにより、蒸発器11で冷却(除湿)された空気がヒータ側通風路14内のヒータ13によって加熱され、吹出側通風路12からデフロスタ側通風路17に流通し、デフロスタ吹出口7からフロントガラスに向かって吹き出される。
【0036】
フット/デフロスタモードでは、図14に示すように、第1のダンパ18によって吹出側通風路12を閉鎖してヒータ側通風路14を開放し、第2のダンパ19によってフェイス側通風路15を閉鎖し、第3のダンパ20によってフット側通風路16を開放し、第4のダンパ21によってデフロスタ側通風路17を開放する。これにより、蒸発器11から流出した空気がヒータ側通風路14内のヒータ13によって加熱され、一部の空気が吹出側通風路12からフット側通風路16に流通し、フット吹出口6から車内の足下に吹き出される。また、他の空気が吹出側通風路12からデフロスタ側通風路17に流通し、デフロスタ吹出口7からフロントガラスに向かって吹き出される。
【0037】
このように、本実施形態の車両用空気調和装置によれば、蒸発器11の下流側を開閉する第1のダンパ18が蒸発器11の幅方向に亘るように形成され、蒸発器11の幅方向に延びる支軸18aを中心に回動する構成において、第1及び第2の外気通風路8,9を外気が蒸発器11の幅方向一端側及び他端側をそれぞれ流通するように形成し、内気通風路10を内気が蒸発器11の幅方向中央側を流通するように形成したので、第1のダンパ18が何れの開度であっても、各外気通風路8,9からの外気と内気通風路10からの内気をそれぞれ第1のダンパ18の開度に応じた流量で吹出側通風路12側またはヒータ側通風路14側に流通させることができる。即ち、外気と内気をそれぞれ蒸発器11に流通させる構成においても、蒸発器11の下流側を開閉する第1のダンパ18を外気及び内気の流通部分ごとにそれぞれ設ける必要がなく、ダンパの数を少なくして構造の簡素化及び低コスト化を図ることができる。
【0038】
また、第1及び第2の外気通風路8,9の外気が蒸発器11の幅方向一端側及び他端側をそれぞれ流通し、内気通風路10の内気が蒸発器11の幅方向中央側を流通するようにしているので、ユニット本体3の幅方向両側に外気を流通させ、ユニット本体3の幅方向中央側に内気を流通させることができ、ユニット本体3内の外気と内気を左右バランスよく流通させることができる。
【0039】
この場合、送風ユニット1からのダクト1aの上部通風路1bにユニット本体3の第1及び第2の外気通風路8,9を連通し、ダクト1aの下部通風路1cにユニット本体3の内気通風路10を連通するようにしたので、送風ユニット1の図示しない外気取入れ口と内気取入れ口は通常一つずつ設けられていることから、これらの取入れ口に上部通風路1b及び下部通風路1cを容易に連通させることができ、構造の簡素化を図ることができる。
【0040】
また、各外気通風路8,9及び内気通風路10の空気流入側を車両の幅方向一方から他方に向かって空気が流入するように形成し、空気流出側を蒸発器11に向かって車両の前後方向に空気が流出するように形成したので、送風ユニット1を空調ユニット2の一側方に配置する構造の車両においても、送風ユニット1と空調ユニット2との接続を容易に行うことができるとともに、これらを接続するダクト1aの占有スペースを少なくすることができる。
【0041】
更に、各外気通風路8,9と内気通風路10とを互いに上下に位置するように設けたので、送風ユニット1から空調ユニット2に空気を送るダクト1aの外気通風路及び内気通風路も互いに上下に位置するように配置することができ、ダクト1aの前後方向の寸法を小さくすることができる。
【0042】
この場合、蒸発器11の幅方向一端側に空気を流出する第1の外気通風路8と、蒸発器11の幅方向他端側に空気を流出する第2の外気通風路9とを互いに車両の前後方向に隣接するように設けたので、ダクト1aの上部通風路1bと下部通風路1cが上下に一つずつ設けられている場合でも、第1及び第2の外気通風路8,9をダクト1aの上部通風路1bに容易に連通させることができる。これにより、ユニット本体21側に二つの外気通風路8,9を設けても、送風ユニット1との間のダクト1aの構造を複雑化させることがないという利点がある。
【0043】
また、各外気通風路8,9及び内気通風路10をそれぞれ車両の前後方向の幅が上下方向の寸法よりも小さくなるように扁平状に形成したので、ユニット本体21の奥行き寸法を小さくすることができ、ユニット本体21の小型化を図ることができる。
【0044】
図15及び図16は本発明の他の実施形態を示すもので、前記実施形態と同等の構成部分には同一の符号を付して示す。尚、同図に示す構成以外の構成は、前記実施形態と同一であるため図示を省略する。
【0045】
本実施形態では、空調ユニット2内が仕切壁23によって幅方向中央で仕切られており、第1、第2及び第3のダンパ18,19,20は、それぞれ仕切壁23で仕切られた左右の通風路ごとに分割されている。この場合、第1、第2及び第3のダンパ18,19,20は、左右の通風路ごとにそれぞれ単独で動作可能になっている。
【0046】
本実施形態によれば、第1、第2及び第3のダンパ18,19,20を左右の通風路ごとに任意の開度に調整することにより、例えば運転席側に吹き出される空気と助手席側に吹き出される空気とを搭乗者の好みや熱負荷に応じて異なった温度に制御することができ、車内の空調をより的確に行うことができる。
【0047】
尚、前記実施形態では、各外気通風路8,9から蒸発器11の幅方向一端側及び他端側に外気を流出するとともに、内気通風路10から蒸発器11の幅方向中央側に内気を流出するようにしたものを示したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、蒸発器11の幅方向一端側及び他端側に内気を流出するとともに、蒸発器11の幅方向中央側に内気を流出するようにしたり、或いは蒸発器11の幅方向一端側及び他端側の一方に外気を流出するとともに、蒸発器11の幅方向一端側及び他端側の他方に内気を流出するようにしてもよい。
【0048】
また、前記実施形態では、車両のラジエータの冷却水を流通するヒータ13を備えたものを示したが、ラジエータの冷却水以外を熱源とするヒータを用いることもできる。例えば、バッテリの電力で駆動される電気ヒータを用いたり、或いは蒸発器11が接続された冷媒回路の高温冷媒を流通する放熱器をヒータとして用いるようにしてもよい。また、水やブライン等の熱媒体を流通する回路を設け、加熱した熱媒体をヒータとしての熱交換器に流通するようにしてもよい。これらのヒータを用いることにより、例えば電気自動車のように熱源となるエンジンのない車両や、ハイブリッドカーのようにエンジンの廃熱のみでは暖房用の熱量を十分に確保することのできない車両に有効である。
【符号の説明】
【0049】
8…第1の外気通風路、9…第2の外気通風路、10…内気通風路、11…蒸発器、12…吹出側通風路、13…ヒータ、14…ヒータ側通風路、18…第1のダンパ、23…仕切壁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車外から吸入された外気を流通する外気通風路と、車内から吸入された内気を流通する内気通風路と、外気通風路及び内気通風路の下流側に配置された蒸発器と、蒸発器から流出した空気を流通する吹出側通風路と、蒸発器の下流側に配置されたヒータと、蒸発器から流出した空気をヒータを介して吹出側通風路に流通させるヒータ側通風路と、蒸発器の下流側に蒸発器の幅方向に亘るように形成され、蒸発器の幅方向に延びる軸を中心に回動することにより、蒸発器から吹出側通風路に直接流通する空気の流路と、蒸発器からヒータ側通風路を介して吹出側通風路に流通する空気の流路をそれぞれ開閉するダンパとを備えた車両用空気調和装置において、
前記外気通風路を蒸発器の幅方向の所定位置に外気が流通するように形成し、
内気通風路を蒸発器の幅方向の他の所定位置に内気が流通するように形成した
ことを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項2】
前記外気通風路を蒸発器の幅方向一端側及び他端側に外気が流通するように形成し、
内気通風路を蒸発器の幅方向中央側に内気が流通するように形成した
ことを特徴とする請求項1記載の車両用空気調和装置。
【請求項3】
前記外気通風路及び内気通風路の空気流入側を車両の幅方向一方から他方に向かって空気が流通するように形成し、外気通風路及び内気通風路の空気流出側を蒸発器に向かって車両の前後方向に空気が流通するように形成した
ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用空気調和装置。
【請求項4】
前記外気通風路と内気通風路とを互いに空気流入側が上下に位置するように形成した
ことを特徴とする請求項3記載の車両用空気調和装置。
【請求項5】
前記外気通風路を、蒸発器の幅方向一端側に空気を流出する第1の外気通風路と、蒸発器の幅方向他端側に空気を流出する第2の外気通風路とから形成し、
第1の外気通風路と第2の外気通風路とを互いに空気流入側が車両の前後方向に隣接するように設けた
ことを特徴とする請求項4記載の車両用空気調和装置。
【請求項6】
前記外気通風路及び内気通風路をそれぞれ車両の前後方向の幅が上下方向の寸法よりも小さくなるように扁平状に形成した
ことを特徴とする請求項3、4または5記載の車両用空気調和装置。
【請求項7】
前記吹出側通風路及びヒータ側通風路内を車両の幅方向に仕切る仕切壁を備え、
前記ダンパを仕切壁で仕切られた通風路ごとにそれぞれ単独で動作可能に構成した
ことを特徴とする請求項2、3、4、5または6記載の車両用空気調和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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