説明

車両用空調装置

【課題】エバポレータと蓄冷熱交換器との間の間隔を小さくすることができ、更に、エバポレータと蓄冷熱交換器の各空気出口面側にそれぞれ配置される各温度センサを作業性よく取付けることができる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】第1、第2温度センサ20、21を1つのセンサ固定部材30に固定し、センサ固定部材30を蓄冷熱交換器5の空気流れ方向下流側の空気出口面5aに固定して、第1温度センサ20を、空気流れ方向に沿って蓄冷熱交換器5内を貫通させてエバポレータ4の空気流れ方向下流側の空気出口面4a近傍に配置するとともに、第2温度センサ21を、蓄冷熱交換器の空気流れ方向下流側の空気出口面5a近傍に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置に関し、特に車両エンジンを一時的に停止して圧縮機の駆動を停止させたときでも車室内へ冷風を送風可能な車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止等の観点から車両から排出されるCO(二酸化炭素)の排出量の排出量を低減するために、信号待ち等の比較的短時間の車両停止時にアイドリング状態にある車両エンジンを自動的に停止(以下、「アイドリングストップ」という)するようにした車両(自動車)が実用化されている。
【0003】
ところで、車両に搭載さている車両用空調装置は、冷凍サイクルの圧縮機(コンプレッサ)を車両エンジンにより駆動して、エバポレータを設けた通路を流れる空気を冷却することで生成された冷風を所定の吹出口から車室内に送風しているので、前記したように信号待ち等の車両停止時にアイドリングストップすると圧縮機も駆動停止し、それに伴い車室内への冷風の吹出しも停止する。このように、信号待ち等の車両停止時に車両エンジンがアイドリングストップすると、車両エンジンにより駆動される圧縮機も同時に停止するので、車室内へ吹出される空気温度が急に上昇し、車室内の乗員に対して不快な思いをさせてしまう不具合が発生する。
【0004】
そこで、信号待ち等の車両停止時に車両エンジンがアイドリングストップしているときの空調対策として、従来より、車両用エンジンが回転時にエバポレータにより得られた冷風によって蓄冷される蓄冷材を封入した蓄冷器を備え、信号待ち等で車両エンジンがアイドリングストップしているときには、前記蓄冷材の融解に伴う潜熱を利用して車室内へ冷風を送風することができるようにした車両用空調装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
前記特許文献1に記載の車両用空調装置は、蒸発器(エバポレータ)の空気流れ方向下流側に蒸発器を通過後の空気(冷風)温度を測定する蒸発器温度センサが配置され、蓄冷器の空気流れ方向下流側に蓄冷器を通過後の空気(冷風)温度を測定する蓄冷器温度センサが配置されている。蒸発器温度センサは、蒸発器の冷却能力の調整制御に用いられ、蓄冷器温度センサは、蓄冷器の空気流れ方向下流側に設置されたエアミックスドアの開度制御に用いられる。
【特許文献1】特開2002−337537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載の車両用空調装置は、前記したように蒸発器と蓄冷器の空気流れ方向下流側に蒸発器温度センサと蓄冷器温度センサがそれぞれ配置されている。ところで、図9に示すように、従来の蒸発器温度センサ100と蓄冷器温度センサ101は、蒸発器(エバポレータ)102と蓄冷器(蓄冷熱交換器)103の各空気流れ方向下流側の空気出口面102a、103aにそれぞれ固着したセンサ固定部材104a,104b上に固定されている。なお、図9において、矢印Aは空気流れ方向である。このように、従来では、蒸発器温度センサ100は、蒸発器102の空気出口面102aに所定の厚みを有するセンサ固定部材104a上に固定されることにより、蒸発器102と蓄冷器103の間にはセンサ固定部材104aの厚み以上の間隔(例えば、20mm程度の間隔)を設ける必要がある。
【0007】
また、近年では、車両(自動車)に設置される車両用空調装置の小型化(コンパクト化)が求められており、蒸発器102の空気流れ方向下流側に蓄冷器103を備え、蒸発器102の空気出口面102a側に蒸発器温度センサ100が配置される前記した車両用空調装置においても、蒸発器102と蓄冷器103との間の間隔を小さくして装置全体の更なる小型化が望まれている。
【0008】
更に、従来では、前記蒸発器温度センサ100と蓄冷器温度センサ101を、蒸発器102と蓄冷器103の各空気出口面102a、103a側にそれぞれ別々に取付け作業することにより、取付け作業性が悪かった。
【0009】
そこで、本発明は、エバポレータの空気流れ方向下流側に蓄冷熱交換器を備え、エバポレータと蓄冷熱交換器の各空気出口面側に温度センサが配置される車両用空調装置においても、エバポレータと蓄冷熱交換器との間の間隔を小さくすることができ、更に、エバポレータと蓄冷熱交換器の各空気出口面側にそれぞれ配置される各温度センサを作業性よく取付けることができる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために請求項1に係る本発明は、循環する冷媒との熱交換より送風用ブロアから送風される空気を冷却するエバポレータと、蓄冷材を充填した蓄冷材チューブを有し、前記エバポレータの空気流れ方向下流側に配置された蓄冷熱交換器と、前記エバポレータの空気流れ方向下流側の空気出口近傍に配置され、該エバポレータを通過した空気温度を測定する第1温度センサと、前記蓄冷熱交換器の空気流れ方向下流側の空気出口近傍に配置され、該蓄冷熱交換器を通過した空気温度を測定する第2温度センサと、を備え、前記蓄冷材チューブに充填された前記蓄冷材は、前記エバポレータによる冷却により該エバポレータから送風される空気が冷風のときは凝固して潜熱の形態で蓄冷し、前記エバポレータによる冷却が停止しているときには融解し潜熱を利用して該エバポレータを通して送風される空気を冷却する車両用空調装置において、前記第1、第2温度センサを1つの固定部材に固定し、前記固定部材を所定位置に設置することで、前記第1温度センサを前記エバポレータの空気流れ方向下流側の空気出口近傍に、前記第2温度センサを前記蓄冷熱交換器の空気流れ方向下流側の空気出口近傍にそれぞれ同時に配置されることを特徴としている。
【0011】
請求項2に係る本発明の車両用空調装置は、前記固定部材を前記蓄冷熱交換器の空気流れ方向下流側の空気出口面に固定して、前記第1温度センサを、空気流れ方向に沿って前記蓄冷熱交換器内を貫通させて前記エバポレータの空気流れ方向下流側に配置するとともに、前記第2温度センサを、前記蓄冷熱交換器の空気流れ方向下流側の空気出口近傍に配置することを特徴としている。
【0012】
請求項3に係る本発明の車両用空調装置は、前記固定部材を前記エバポレータと前記蓄冷熱交換器の外面側に固定して、前記第1温度センサを、空気流れ方向に対して直交方向から前記エバポレータの空気流れ方向下流側に配置するとともに、前記第2温度センサを、空気流れ方向に対して直交方向から前記蓄冷熱交換器の空気流れ方向下流側の空気出口近傍に配置することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る車両用空調装置によれば、第1、第2温度センサを固定部材に固定して1つのユニットとしたことにより、第1、第2温度センサをそれぞれ同時に取付けることができるので、第1、第2温度センサの取付け作業性の向上を図ることができる。また、従来のようにエバポレータの空気出口近傍に温度センサを固定するためのセンサ固定部材を固定する必要がないので、エバポレータと蓄冷熱交換器との間の間隔を小さくすることができ、装置全体の小型化(コンパクト化)を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
〈実施形態1〉
図1は、本発明の実施形態1に係る車両用空調装置(以下、「空調装置」という)を示す概略縦断面図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る空調装置1は、車室前部のインストルメントパネル(不図示)内に設けられる空調ケース2を有し、この空調ケース2内に形成される送風路中に、送風ファン(ブロア)3と、該送風ファン3の空気流れ方向下流側に設置した放冷却用熱交換器(以下、「エバポレータ」という)4と、該エバポレータ4の空気流れ方向下流側に設置した蓄冷熱交換器5と、該蓄冷熱交換器5の空気流れ方向下流側に設置したヒータコア6と、蓄冷熱交換器5とヒータコア6との間に設置したエアミックスドア7を有している。ヒータコア6は、エンジン駆動に循環される温水(冷却水)を熱源として該ヒータコア6を通過する空気を加熱する。
【0016】
空調ケース2の空気流れ方向下流側(図1の左側)には、内外気切替ドア8が設置されており、内外気切替ドア8の回動により内気導入口9aと外気導入口9bのいずれかを選択的に切替えることで、内気または外気が導入される。また、空調ケース2の空気流れ方向下流側(図1の右側)には、エアミックス室10にて温調された空気(空調エア)を、デフロスター吹出口11に分配するデフドア12と、ベント吹出口13に分配するベントドア14と、フット吹出口15に分配するフットドア16が設けられている。なお、図1において、矢印Aは空気流れ方向である。
【0017】
エバポレータ4は、不図示のエンジンにより駆動されるコンプレッサ、コンデンサ、リキッドタンク、循環パイプ等ととともに冷凍サイクルを構成し、送風ファン3の回転によってエバポレータ4側に送風される空気(内気又は外気)とエバポレータ4の冷媒チューブ(不図示)内を循環する冷媒との間で熱交換を行い、エバポレータ4を通過する空気を冷却するものである。
【0018】
なお、本実施形態に係る空調装置1を搭載した車両(不図示)は、アイドリングストップ機能を有しており、コンプレッサ(不図示)を駆動して冷風を車室内に吹出しているときに、信号待ち等の比較的短時間の車両停止時に車両エンジン(不図示)を自動的に停止させてコンプレッサ(不図示)を停止させた場合でも、後述する蓄冷熱交換器5に封入されている蓄冷材の蓄冷によって冷風の吹出しを維持することができるようになっている。アイドリングストップの解除は、アイドリングストップ時のブレーキ操作状態を解除することにより自動的に行われ、直にエンジン始動される。
【0019】
蓄冷熱交換器5は、図2に示すように、蓄冷材を封入した複数の扁平中空状の蓄冷材チューブ17が一定間隔で互いに平行に並列されており、各蓄冷材チューブ17の上面及び下面には、各蓄冷材チューブ17の両端部をそれぞれ固定保持した中空パイプ状の固定部材18a,18bが接合されている。各蓄冷材チューブ17の両端内部と固定部材18a,18b内は連通している。また、固定部材18a,18bには、蓄冷材を各蓄冷材チューブ17内に充填する際に使用した開口部(不図示)が設けられており、この開口部は蓄冷材の充填後に密封されている。
【0020】
各蓄冷材チューブ17の両側間には、波形状に折り曲げ成形されたコルゲートフィン19がそれぞれ接合されている。蓄冷材チューブ17、固定部材18a,18b及びコルゲートフィン19は、伝熱性や軽量化等を考慮して厚みの薄いアルミニューム材で成形することが好ましい。なお、図2では、コルゲートフィン19を一部しか図示していないが、実際には、各蓄冷材チューブ17の両側間の全域に設置されている。
【0021】
蓄冷材チューブ17内に封入される蓄冷材は、コンプレッサ(不図示)が駆動される通常の空調制御時にエバポレータ4を通過した例えば3〜5℃程度の冷風(空気)による冷却によって液相状態から固相状態に相変化して凝固し、融解潜熱の形態で蓄冷を行うことができ、アイドリングストップ時(コンプレッサ(不図示)の駆動停止時)には、融解に伴う潜熱を利用して蓄冷熱交換器5を通過する空気を冷却する。蓄冷材としては、10℃程度で相変化を起し、融解潜熱が約100kJ/kg(120J/cc)以上である、例えばポリアルキレングリコールを主成分とする蓄冷材を好適に用いることができる。
【0022】
エバポレータ4の空気流れ方向下流側の空気出口近傍(エバポレータ4と蓄冷熱交換器5間の幅狭空間)には、エバポレータ4を通過直後の空気の温度(以下、エバポレータ吹出温度」という)を測定する第1温度センサ20が配置されており、蓄冷熱交換器5の空気流れ方向下流側の空気出口近傍には、蓄冷熱交換器5を通過直後の空気の温度(以下、蓄冷熱交換器吹出温度」という)を測定する第2温度センサ21が配置されている。第1、第2温度センサ20、21でそれぞれ測定した温度情報は空調制御部(エアコンECU)22に入力される。
【0023】
空調制御部22は、第1、第2温度センサ20、21からそれぞれ入力される温度情報、車室内温度や外気温度等を検出する周知の温度センサ群(不図示)から入力される温度情報、乗員による空調パネル(不図示)のスイッチ操作によって入力される空調設定情報(風量、設定温度等)などに基づいて、エンジン駆動時における通常の車室内空調制御及びアイドリングストップ時における車室内空調制御を行う(詳細は後述する)。
【0024】
(エンジン駆動時における通常の車室内空調制御)
乗員が空調パネル(不図示)のスイッチを操作して、例えば「冷房モード」で運転を行う場合には、空調制御部22から出力される信号に基づいてファンモータMを回転駆動して送風ファン3を回転させ、例えば内気導入口9aから空気(内気)をエバポレータ4側に導入させる。更に、エンジン駆動によりコンプレッサ(不図示)を回転駆動して前記した冷凍サイクルを作動させることで、エバポレータ4を通過する空気は、冷媒チューブ(不図示)内を循環する冷媒との間で熱交換されて所定温度に冷却される。
【0025】
この際、この冷却された空気が蓄冷熱交換器5を通過するときに、蓄冷材チューブ17内の蓄冷材を冷却することによって、蓄冷材が例えば約1分30秒間で液相状態から固相状態に相変化して凝固し、融解潜熱の形態で蓄冷を行う。
【0026】
そして、空調制御部22は、第1温度センサ20から入力されるエバポレータ吹出温度情報、乗員のスイッチ操作によって入力される空調設定情報(風量、設定温度等)などに基づいて、エアミックスドア駆動部(不図示)を制御してエアミックスドア7の開度を調整する。これにより、エバポレータ4、蓄冷熱交換器5を通過した冷風(空気)の一部をヒータコア6側に導入させて、前記冷風とヒータコア6により得られた温風とをエアミックス室10で混合させることで、所望温度に温調された空気(冷風)が、例えばベントドア14を開位置に回動させることでベント吹出口13から吹出される。
【0027】
(アイドリングストップ時における車室内空調制御)
前記した通常の車室内空調制御により前記冷凍サイクルによって車室内に冷風を吹出しているときに、信号待ち等の車両停止時にアイドリングストップすると、コンプレッサ(不図示)の停止に伴ってエバポレータ4で冷風が生成されなくなり、温度上昇した空気が送風ファン3の回転によって蓄冷熱交換器5に導入される。
【0028】
この際、蓄冷材チューブ17内の蓄冷材は、前記したように液相状態から固相状態に相変化して融解潜熱の形態で蓄冷されている。よって、温度上昇した空気が各蓄冷材チューブ17の両側のコルゲートフィン19近傍を通過するときに、蓄冷材の融解に伴う潜熱を利用して前記温度上昇した空気の冷却を行い、冷風を生成する。そして、通常時と同様に、蓄冷熱交換器5で生成された冷風の一部をヒータコア6側に導入させて、前記冷風とヒータコア6により得られた温風とをエアミックス室10で混合させることで、所望温度に温調された空気(冷風)が、例えばベントドア14を開位置に回動させることでベント吹出口13から吹出される。
【0029】
空調制御部22は、第2温度センサ21から入力される蓄冷熱交換器吹出温度情報に基づいて、アイドリングストップ前に吹出していた冷風の温度と同じ温度の冷風を吹出すように、エアミックスドア駆動部(不図示)を制御してエアミックスドア7の開度を調整する。なお、本実施形態では、蓄冷材が約1分30秒間で融解することにより、30秒〜1分程度の信号待ちなどでのアイドリングストップ時においても、アイドリングストップ前と同じように所望温度の冷風を車室内に吹出させることができ、乗員に不快な思いをさせてしまうことはない。
【0030】
次に、本実施形態における、エバポレータ4と蓄冷熱交換器5の各空気出口近傍にそれぞれ配置される前記第1、第2温度センサ20、21の取付け構成について説明する。
【0031】
図3に示すように、センサ固定部材30の上面30aに蓄冷熱交換器吹出温度を測定するための第2温度センサ21の基端側を固着し、センサ固定部材30の前面30bにエバポレータ吹出温度を測定するための第1温度センサ20を一体的に接続した細管状のセンサ連結部材31の基端側を固定して、第1、第2温度センサ20、21を1つのユニットとして構成している。連結部材31は、エバポレータ4の空気流れ方向に沿った厚み寸法と略同じ長さであり、蓄冷熱交換器5の各蓄冷材チューブ17の両側のコルゲートフィン19(図2参照)に形成した挿通口(不図示)に挿通される。本実施形態では、「特許請求範囲」における固定部材がセンサ固定部材30に相当する。
【0032】
そして、図4に示すように、第1温度センサ20(連結部材31)を蓄冷熱交換器5の空気出口面5aから挿通口(不図示)に挿通して、センサ固定部材30の前面30bを蓄冷熱交換器5の空気出口面5aに固定する。なお、前記挿通口は、例えば空気出口面5aの略中央部付近に形成される。これにより、連結部材31の先端側に接続した第1温度センサ20が、エバポレータ4と蓄冷熱交換器5間でエバポレータ4の空気出口面4a近傍の中央部に位置するとともに、第2温度センサ21が蓄冷熱交換器5の空気出口面5a近傍の中央部に位置する。
【0033】
このように、第1、第2温度センサ20、21をセンサ固定部材30に固定して1つのユニットとしたことにより、第1温度センサ20を先端に接続した連結部材31を蓄冷熱交換器5の空気出口面5aから挿通して、センサ固定部材30を蓄冷熱交換器5の空気出口面5aに固定するだけで、第1温度センサ20をエバポレータ4の空気出口面4a近傍に、第2温度センサ21を蓄冷熱交換器5の空気出口面5a近傍に同時に取付けることができる。よって、第1、第2温度センサ20、21の取付け作業性の向上を図ることができる。
【0034】
更に、従来のようにエバポレータ4の空気出口面4aに温度センサを固定するためのセンサ固定部材を固定する必要がないので、エバポレータ4と蓄冷熱交換器5との間の間隔を小さくすることができる。これにより、空調ケース2の長さが短縮され、空調装置全体の小型化(コンパクト化)を図ることができる。
【0035】
なお、前記実施形態では、連結部材31の先端側に接続した第1温度センサ20をエバポレータ4の空気出口面4a近傍に位置するようにしていたが、連結部材31を少し長くして、エバポレータ4の空気出口面4aに形成した挿入口(不図示)に第1温度センサ20を挿入させるようにしてもよい。
【0036】
〈実施形態2〉
本実施形態では、図5に示すように、実施形態1におけるエバポレータ4と蓄冷熱交換器5(図1参照)の両側面(図1に示した空気流れ方向Aと平行方向に沿った両側面)に設置する側面カバー部材32を有しており、一方側の側面カバー部材32の内面に前記第1、第2温度センサ20、21をそれぞれ先端側に接続した細管状の連結部材33、34が固定されている。
【0037】
側面カバー部材32をエバポレータ4と蓄冷熱交換器5の外側面に設置したときに、第1温度センサ20は、エバポレータ4と蓄冷熱交換器5間のエバポレータ4の空気出口面4a近傍に、第2温度センサ21は、蓄冷熱交換器5の空気出口面5a近傍にそれぞれ位置するような間隔で側面カバー部材32に配置されている。他の構成は図1に示した実施形態1の空調装置と同様である。本実施形態では、「特許請求範囲」における固定部材が側面カバー部材32に相当する。
【0038】
そして、図6に示すように、前記側面カバー部材32をエバポレータ4と蓄冷熱交換器5の側面に設置することにより、第1温度センサ20は、エバポレータ4と蓄冷熱交換器5間のエバポレータ4の空気出口面4a近傍の中央部に、第2温度センサ21は、蓄冷熱交換器5の空気出口面5a近傍の中央部にそれぞれ位置するように側面側から挿入される。
【0039】
このように本実施形態においても実施形態1と同様に、第1温度センサ20をエバポレータ4の空気出口面4a近傍に、第2温度センサ21を蓄冷熱交換器5の空気出口面5a近傍に同時に取付けることができる。よって、第1、第2温度センサ20、21の取付け作業性の向上を図ることができる。
【0040】
更に、従来のようにエバポレータ4の空気出口面4aに温度センサを固定するためのセンサ固定部材を固定する必要がないので、エバポレータ4と蓄冷熱交換器5との間の間隔を小さくすることができる。これにより、空調ケース2の長さが短縮され、空調装置全体の小型化(コンパクト化)を図ることができる。
【0041】
〈実施形態3〉
本実施形態では、図7に示すように、前記側面カバー部材32の側面上部32aに薄板状の第2温度センサ21aを接続した薄板状の連結部材34aが固定されている。なお、第1温度センサ20は、実施形態2と同様に、側面カバー部材32の内面に固定した細管状の連結部材33の先端側に固定されている。他の構成は図1に示した実施形態1の空調装置と同様である。
【0042】
そして、図8に示すように、前記側面カバー部材32をエバポレータ4と蓄冷熱交換器5の側面に設置することにより、第1温度センサ20は、エバポレータ4と蓄冷熱交換器5間のエバポレータ4の空気出口面4a近傍の中央部に、第2温度センサ21aは、蓄冷熱交換器5の空気出口面5a近傍の上部にそれぞれ位置するように側面側から挿入される。第2温度センサ21aは、蓄冷熱交換器5の空気出口面5a側の上部に設けた固定部材18a(図2参照)に略接するように配置される。
【0043】
このように本実施形態では、第1温度センサ20をエバポレータ4の空気出口面4a近傍の中央部に、第2温度センサ21aを蓄冷熱交換器5の空気出口面5a近傍の上部に同時に取付けることができる。よって、第1、第2温度センサ20、21aの取付け作業性の向上を図ることができる。なお、第2温度センサ21aを蓄冷熱交換器5の空気出口面5a側の下部に設けた固定部材18b(図2参照)に略接するように配置してもよい。
【0044】
更に、従来のようにエバポレータ4の空気出口面4aに温度センサを固定するためのセンサ固定部材を固定する必要がないので、エバポレータ4と蓄冷熱交換器5との間の間隔を小さくすることができる。これにより、空調ケース2の長さが短縮され、空調装置全体の小型化(コンパクト化)を図ることができる。
【0045】
また、本実施形態では、第2温度センサ21aが蓄冷熱交換器5の空気出口面5a近傍の上部に設けた固定部材18a(図2参照)に略接するように配置されることにより、この固定部材18a内の蓄冷材の温度をより精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態1に係る車両用空調装置を示す概略縦断面図。
【図2】蓄冷熱交換器を示す正面図。
【図3】本発明の実施形態1におけるセンサ固定部材に固定された第1、第2温度センサを示す斜視図。
【図4】本発明の実施形態1における第1、第2温度センサの取付け状態を示す図。
【図5】本発明の実施形態2における側面カバー部材に固定された第1、第2温度センサを示す斜視図。
【図6】本発明の実施形態2における第1、第2温度センサの取付け状態を示す図。
【図7】本発明の実施形態3における側面カバー部材に固定された第1、第2温度センサを示す斜視図。
【図8】本発明の実施形態3における第1、第2温度センサの取付け状態を示す図。
【図9】従来例における第1、第2温度センサの取付け状態を示す図。
【符号の説明】
【0047】
1 空調装置
2 空調ケース
3 送風ファン
4 エバポレータ
5 蓄冷熱交換器
6 ヒータコア
7 エアミックスドア
19 蓄冷材チューブ
20 第1温度センサ
21、21a 第2温度センサ
22 空調制御部
30 センサ固定部材
32 側面カバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環する冷媒との熱交換より送風用ブロアから送風される空気を冷却するエバポレータと、蓄冷材を充填した蓄冷材チューブを有し、前記エバポレータの空気流れ方向下流側に配置された蓄冷熱交換器と、前記エバポレータの空気流れ方向下流側の空気出口近傍に配置され、該エバポレータを通過した空気温度を測定する第1温度センサと、前記蓄冷熱交換器の空気流れ方向下流側の空気出口近傍に配置され、該蓄冷熱交換器を通過した空気温度を測定する第2温度センサと、を備え、前記蓄冷材チューブに充填された前記蓄冷材は、前記エバポレータによる冷却により該エバポレータから送風される空気が冷風のときは凝固して潜熱の形態で蓄冷し、前記エバポレータによる冷却が停止しているときには融解し潜熱を利用して該エバポレータを通して送風される空気を冷却する車両用空調装置において、
前記第1、第2温度センサを1つの固定部材に固定し、前記固定部材を所定位置に設置することで、前記第1温度センサを前記エバポレータの空気流れ方向下流側の空気出口近傍に、前記第2温度センサを前記蓄冷熱交換器の空気流れ方向下流側の空気出口近傍にそれぞれ同時に配置されることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記固定部材を前記蓄冷熱交換器の空気流れ方向下流側の空気出口面に固定して、前記第1温度センサを、空気流れ方向に沿って前記蓄冷熱交換器内を貫通させて前記エバポレータの空気流れ方向下流側に配置するとともに、前記第2温度センサを、前記蓄冷熱交換器の空気流れ方向下流側の空気出口近傍に配置することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記固定部材を前記エバポレータと前記蓄冷熱交換器の外面側に固定して、前記第1温度センサを、空気流れ方向に対して直交方向から前記エバポレータの空気流れ方向下流側に配置するとともに、前記第2温度センサを、空気流れ方向に対して直交方向から前記蓄冷熱交換器の空気流れ方向下流側の空気出口近傍に配置することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−132028(P2010−132028A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307436(P2008−307436)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】