説明

車両用空調装置

【課題】
ユニット上部を着脱可能として装置の汎用性を図るとともに、温度調節を阻害することなく風配制御を行う車両用空調装置を提供する。
【解決手段】
空調ケース1内にブロワ2を介して導入された空気を冷却するエバポレータ4と、前記空気を加熱するヒータコア5と、ヒータコア5を通過する空気とヒータコア5をバイパスする空気との割合を調節するエアミックスドア14と、調和空気を車両側ダクトへ導くベントデフ吹出ダクト8とを有する車両用空調装置において、中間ダクト8が接続される上部接続口23に通じる上方へ延設された第1の通路31と、フット吹出口7に通じる下方へ延設された第2の通路32とを設ける。第1の通路31は、第1の通路31の通風量を調節する通風量調節ドア9を備える。第2の通路32は、第2の通路32の通風量を調節するフットドア10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度調節および風配制御の向上と、装置の汎用性を図った車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用空調装置における温度調節は、エバポレータによって冷やされた冷風と、ヒータコアによって暖められた温風をエアミックス室で混合させて行われるが、温風と冷風の混合が十分に行われずに吹出口に送風されると、装置の上部と下部のダクトから吹出される風に温度差が生じて乗員の快適性が損なわれる。このため、従来においては、エアミックス性を改善するために、上下に伸延する仕切り壁をミックスゾーン内に設けて、上部吹出口および下部吹出口に向かう通路を形成し、下部吹出口に向かう通路に冷風を通し、上部吹出口に向かう通路に温風を通すことで上下吹出し風の温度差を小さくする自動車用空気調和装置が考えられている(特許文献1参照)。
【0003】
この空気調和装置においては、ケース内の最下流側に位置するケース上端部にデフ、ベントの各吹出口を開閉し、ケース下端部にフットの吹出口を開閉するモードドア(デフドア、ベントドア、フットドア)が設けられており、このモードドアの開閉動作を制御することにより所望の吹出口から空気を吹き出すようにしている。より詳しくは、モードドアは単に開閉されるだけでなく、ドアの開き具合(ドア開度)も調整されることで、複数の吹出口から所望する風配バランスにて吹出すよう、吹出し量を制御している。
【0004】
このような各吹出口に設けられた制御ドアの駆動は、それぞれのドアにアクチュエータを設けて行ったり、メインリンク、シャフト、サブレバーなどから構成されるリンク機構の動きに伴って連動させて行っている。それぞれのドアをアクチュエータで駆動する構成はコストが高くなるため、メインリンクを駆動側とし各ドアを従動側とするリンク機構を採用する場合が多い。
【0005】
特許文献1に記載された自動車用空気調和装置にリンク機構を採用した場合、上述したとおり各吹出口に制御ドアが設けられているため、メインリンクから各ドア間の距離に応じたロッドを介して各ドアを作動させることとなるので、リンク機構全体のサイズが大きくなる。
自動車用空気調和装置は、リンク機構全体のサイズが大きくなるとロッドなどの部品の寸法誤差(製造誤差)によって制御ドアの動作に誤差が生じるため、ドア開度の制御精度が悪化し、適切な風配バランスが得にくくなる問題がある。
【0006】
また、デフ、ベントの両吹出口は自動車用空気調和装置の上側に設けられており、デフドアとベントドアもケース上部に位置される。ドア開度の制御精度を悪化させないよう、ロッドを短くする、あるいはロッドを廃止してメインリンクとデフドア、ベントドアとをカム溝とピンなどで直接接続する設計対応がなされるため、必然的にケース上部にメインリンクが設置されることになる。
ところで、自動車用空調装置は、同じ仕様のユニットを複数の車種に搭載できるよう、高い汎用性が求められている。自動車本体の基本的な骨格(プラットフォーム)に対し、車両デザインを複数用意して、広くユーザーのニーズに応えるような車両開発が行われている。このとき、空調装置には、送風能力や吹出し温度などの基本性能はプラットフォームが同じために同一であるものの、車両デザインごとに異なるデフ、ベント吹出しダクトの形状に適合できるような、レイアウト上の対応力が求められる。このためユニットは、車両ごとにユニット上部のレイアウトを適宜変更できることが望ましい。
しかしながら、前述のようにユニット上部のスペースをメインリンクやリンク機構が占有していると、ユニット上部を取り替えることができず、空調装置の汎用性が失われてコストがかかる問題がある。
【0007】
したがって、ロッドを含めたリンク機構のサイズは、各制御ドアの動作精度に影響を及ぼすため小型化する、あるいはロッドを介さずにメインリンクと係合することが望ましい。また、メインリンクの位置は装置の汎用性に影響を及ぼすため、ユニット上部に設置されないことが望ましい。
【0008】
このような、リンク機構のサイズやメインリンクの設置位置に起因する汎用性と動作精度の問題に対して、デフロスタ口およびベント口に風配する制御ドアを1枚で行い、リンク機構を小型化すると共に設置位置を従来よりも下部に設置した車両用空気調和装置が知られている(特許文献2参照)。
【0009】
また、この特許文献2に記載された車両用空気調和装置は、エアミックス空間にロータリドア(フットドア)を設けて、ケーシング上部に空気が導かれる第1の通路とケース下部に空気が導かれる第2の通路との配風量を調節するようにしており、また、デフベント切替ドアが、ロータリドアとリンク機構を介して連動し、共通のアクチュエータにより駆動されるようになっている。
【特許文献1】特開平10−329525号公報
【特許文献2】特開2005−96555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、特許文献2に記載されるようなロータリドアがエアミックス空間に設けられている車両用空気調和装置では、温風と冷風が十分に混ざり合うことが阻害され、精度よく温度を調和できない不都合がある。特許文献2では、温風の一部をケース下部から上部へ移動できるよう構成を加えたことで、この不都合の解決をはかっている。
また、特許文献2の車両用空気調和装置の風配は、たとえば、第2の通路の風量を制御すると、一義的に第1の通路の風量も決まるため、それぞれの通路の風配量の調整が困難である。
さらに、ひとつのロータリドアにより、温調制御と、第1、第2の通路への風配バランス制御とを同時に成立させる必要があるため、これら2つの制御を同時に精度良く成立させることは困難である。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ユニット上部を着脱可能として装置の汎用性を図るとともに、温度調節を阻害することなく風配制御を行うことが可能な車両用空調装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を構成するために本発明にかかる車両用空調装置は、空調ケース内に送風機を介して導入された空気を冷却するエバポレータと、前記空気を加熱するヒータコアと、前記ヒータコアを通過する空気と前記ヒータコアをバイパスする空気との割合を調節するエアミックスドアとを有し、空調装置上側の車両側ダクトへエアミックスされた調和空気を導く中間ダクトと、前記エアミックスドアより下流側に設けられて前記ヒータコアを通過する空気と前記ヒータコアをバイパスする空気とを合流させるエアミックス室に臨むと共に前記中間ダクトを接続する上部接続口に通じる上方へ延設された第1の通路と、前記エアミックス室に臨むと共に前記上部接続口と異なり該上部接続口より下方の吹出口に通じる第2の通路とを備え、前記中間ダクトは空調ケースへの着脱が可能であり、前記第1の通路に当該第1の通路の通風量を調節する第1のドアを設け、前記第2の通路に当該第2の通路の通風量を調節する第2のドアを設けたことを特徴としている(請求項1)。
【0013】
これにより、本車両用空調装置は、エアミックス室において空気の混合を妨げる要素を設けていないため、温度調節を阻害することなく風配制御を行うことができる。
第1のドアと第2のドアの2枚のドアで別々に通風量を調節できるので、風配を個別に調節できる。
第1のドアと第2のドアとを、上部接続口より下方に設けたので、メインリンクをユニット上部より下げることができるとともに、中間ダクトを空調ケースへの着脱可能としたので、車両デザインごとのユニット設定が不要となり、コストを削減できる。
【0014】
また、前記第1のドアは、前記第1の通路のエアミックス側に設けられ、前記第2のドアは、前記第2の通路のエアミックス室側に設けられたことを特徴としている(請求項2)。これにより、第1のドアと第2のドアとをエアミックス室近傍に設けられるので、メインリンクを小さくできる。
【0015】
また、前記上部接続口に接続される中間ダクトは、ベント吹出口へ通じるベント吹出ダクト部とデフロスト吹出口へ通じるデフロスト吹出ダクト部とを備え、これらダクト部への通風を切り替えるベントデフドアが収容されたベントデフ吹出ダクトであり、前記上部接続口と異なる吹出口は、フット吹出口であることを特徴としている(請求項3)。これにより、本車両用空調装置は、ベントモードとデフモードの切替えを1枚のドアによって制御できるため、ユニット上部のリンク機構の簡素化と中間ダクト内のドア占有面積の省スペース化をはかることができる。さらに、ベントドアとデフドアの制御は通路の開閉のみでよく、ドア開度を調整する必要が無くなるので、製造誤差の影響を受けにくく品質が安定する。
【0016】
また、前記第1のドアと前記第2のドアとは、前記空調ケースに取り付けられたメインリンクにそれぞれのドアと一体に回動するサブレバーを介して連結され、前記ベントデフドアは、これと一体に回動するベントデフドアレバーと、このベントデフドアレバーに一端が接続された連結ロッドと、この連結ロッドの他端に接続されたベントデフサブレバーとを介して前記メインリンクに連結されていることを特徴としている(請求項4)。これにより、本車両空調装置は、メインリンクにより、第1のドアと第2のドアとをロッドを用いずに制御できるので、ドア開度制御を精度良く行うことができる。
【0017】
尚、上述の構成は、前記ヒータコアは前記エバポレータの流れに沿って下流に位置し、前記ヒータコアと前記エバポレータは、車両幅方向のほぼ同位置に配置されている(請求項5)、いわゆる縦置き型の車両空調装置に用いる場合に特に有効である。縦置き型の空調ではエアミックス後の調和空気の流れが縦方向となり、第1の通路や中間ダクトの寸法を確保しやすく、設計自由度が高まる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば、エアミックス室に臨む第1の通路に第1のドアを、エアミックス室に臨む第2の通路に第2のドアを設けてエアミックス室でのドアの配置を回避したので、冷風と温風の混合を阻害することなく温度調節の精度を高めて風配を個別に調節することが可能となる。このため、乗員の所望の温度と通風量を提供して快適性を向上することができる。また、ユニット上部に通風量を制御する第1のドアと第2のドアがなくメインリンクをユニット上部より下げることができるとともに、中間ダクトを空調ケースへの着脱可能としたことで、車両デザインに適合したユニットの設定が容易となり、装置の汎用性を高めることができ、車両の製造コストを下げることが可能となる。
【0019】
さらに、第1のドアと第2のドアとを近接して設けてそれぞれのサブレバーを介してメインリンクと連結することができるので、メインリンクの小型化を図ることができるとともに、連結ロッドを介さずにドア開度が制御できるので、風配制御の精度の向上をさせることができる。
【0020】
また、ベントデフ吹出ダクトに設けられたベントデフドアによりベントモードとデフモードの切替えを制御しているので、ユニット上部にベント側、デフ側の風配を切り替える別々のドアが不要となり省スペースをはかることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1実施例)
以下、本発明の車両用空調装置の一例として、車両のセンターコンソール部に搭載される縦型のセンター置き形式のものについて図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明の車両用空調装置の実施例を示す縦断面図である。
本発明の自動車用空調装置は、空調ケース1内に、インテーク部(図示せず)から空気を下流側に送るためのブロワ2、このブロワ2により送られてきた空気を冷却するエバポレータ4、このエバポレータ4の上流側となる前方に設けられたエアフィルタ3、前記エバポレータ4の下流側となる後方に配置され、該エバポレータ4で冷却された空気を再加熱するヒータコア5及び、前記ヒータコア5の上部に設けられ、ヒータコア5を通過する空気とバイパスする空気との割合を調節する片持ち式のエアミックスドア14を収納し、空調ケース1の上部には中間ダクトとしてベントデフ吹出ダクト8が接続されている。また、空調ケース1とベントデフ吹出ダクト8をあわせて、ユニット51を形成している。
なお、下流側のヒータコア5と上流側のエバポレータ4の配置関係は、車両幅方向のほぼ同位置にある。つまり、車両前後方向をX軸、車両幅方向をY軸、車両上下方向をZ軸とした場合に、ヒータコア5とエバポレータ4のY軸の座標値は、ほぼ同じであり、X軸の座標値と、Z軸の座標値が異なって配置されてもよい。したがって、ヒータコア5とエバポレータ4の双方は、車両の上下方向に配置されてもよいし、車両の前後方向に配置されてもよい。ここで、添付した図面において左側を車両の前側とし、上側を車両の上側とし、車幅方向を紙面に対して垂直方向としている。
【0023】
ヒータコア5の下流側となるヒータコアの上方には、このヒータコア5を通過した温風とバイパスした冷風を混合させるエアミックス室6が形成され、このエアミックス室6に、ベントデフ吹出ダクト8に通じる上方へ延設された第1の通路31および足元に温風を吹出すフット吹出口7に通じる下方へ延設された第2の通路32が接続されている。
【0024】
この第1の通路31には、第1の通路31の通風量を調整するバタフライ式の通風量調整ドア9(第1のドア)がエアミックス室6に臨むように設けられている。
また、第2の通路32には、第2の通路32の通風量を調整するバタフライ式のフットドア10(第2のドア)がエアミックス室6に臨むように設けられている。
【0025】
ベントデフ吹出ダクト8は、第1の通路31の上端に開放された上部接続口23に接続され、上半身方向に吹出すベント吹出口に通じるベント吹出ダクト部12及びフロントガラス内面に吹出すデフロスト吹出口に通じるデフロスト吹出ダクト部13と、前記ベント吹出ダクト部12とデフロスト吹出ダクト部13とを選択的に切替える片持ち式のデフベントドア11を有している。
【0026】
図2は、リンク機構15の構成を示した縦断面図である。通風量調整ドア9、フットドア10、デフベントドア11の各ドアは、リンク機構15の動作に伴って連動するように構成されている。
リンク機構15は、空調ケース1およびベントデフ吹出ダクト8の車両幅方向の外側に設けられ、実線で示された部分であり、図示しない駆動源とワイヤー又はロッド等の伝達手段で連結されたメインリンク20と、通風量調節ドア9の回転軸に固定された風配調節サブレバー18と、フットドア10の回転軸に固定されたフットサブレバー22と、ベントデフドア11の回転軸に固定されたベントデフサブレバー16と、ベントデフサブレバー16とサブレバー21を連結する連結ロッド17とで基本的に構成されている。
【0027】
ここで、メインリンク20は、空調ケース1に取り付けられており、風配調節サブレバー18を介して通風量調整ドア9が連結され、フットサブレバー22を介してフットドア10が連結されている。また、サブレバー21、ベントサブレバー16、サブレバー21とベントサブレバー16とを連結する連結ロッド17、を介してベントデフドア11が連結されている。
【0028】
また、風配調節サブレバー18には、メインリンク20のガイド溝孔に摺動可能に係止された係合ピン18(a)が突設され、同様にサブレバー21、フットサブレバー22には、メインリンク20のガイド溝孔に摺動可能に係止された係合ピン21(a)、22(a)が突設されている。
メインリンク20のガイド溝孔は、回転中心からの距離を変化させて同方向に延設されており各ドアが所望の動作をするように形成されている。これにより、メインリンク20の回動に伴ってそれぞれのドアの開度が同時に調節されるようになっている。
【0029】
以上の構成の車両用空調装置において、ベントモード時においては、図3(a)に示すように、通風量調整ドア9を開き、フットドア10を全閉位置とし、ミックスドア14をヒータコア5への通路を全閉位置とするフルクール位置とし、デフベントドア11をベント吹出ダクト部12が開となる位置に設定する。
すると、フィルタ3およびエバポレータ4を通過した空気は、通風量調整ドア9を通過して第1の通路31に流入し、ベントデフドア11によってベント吹出ダクト部12に導かれる。
【0030】
また、バイレベルモード時においては、図3(b)に示すように、通風量調整ドア9とフットドア10を中間位置とし、ミックスドア14を中間位置とする。
すると、フィルタ3およびエバポレータ4を通過した冷風とヒータコア5によって暖められた温風とがエアミックス室6で混合されて、所望の温度に調整される。上述のとおり、エアミックス室6には、温調を阻害する障害物がないため、ヒータコア5をバイパスした冷風とヒータコア5によって温められた温風とのミックスが十分に行われ、第1の通路31と第2の通路32には適切に混合された調和空気が導かれる。そして、温調された空気は、通風量調整ドア9によって第1の通路31の通風量が調整され、フットドア10によって第2の通路32の通風量が調整される。ついで、第1の通路31に流入した空気は、ベント吹出ダクト部12に導かれ、第2の通路32に流入した空気はフット吹出口7に導かれる。
なお、エアミックス室6には、冷風と温風との混合を促進するためのバッフルプレート(図示せず)を設けて、さらに混合を促進してもよい。
【0031】
フットモード時においては、図3(c)に示すように、通風量調整ドア9を全閉位置とし、フットドア10を全開位置とし、ミックスドア14をヒータコア5への通路を全開位置とする。
すると、ヒータコア5で暖められた全ての温風がフット吹出口7に導かれる。
【0032】
デフロストモード時においては、図3(d)に示すように、通風量調整ドア9を開き、フットドア10を全閉位置とし、ミックスドア14をヒータコア5への通路を全開位置とするフルホット位置とし、デフベントドア11をデフロスト吹出ダクト部13が開となる位置に設定する。
すると、フィルタ3、エバポレータ4、ヒータコア5を通過した全ての温風がデフロスト吹出ダクト部13に導かれる。冷凍サイクルを稼動してエバポレータ4で送風空気中の水分を凝縮水とし、ヒータコア5で加熱して乾燥した温風を作り出して、デフロスト吹出しダクトから吹出すことで、車両の窓晴れ性を確保することが出来る。
【0033】
なお、ベントモード時における通風量調整ドア9の開度と、デフロストモード時における通風量調整ドア9の開度とは、ベントデフ吹出しダクトの形状に準じて適切な開度位置となるよう、図3(a)と図3(d)のように若干異ならせるようにしてもよい。
【0034】
続いて、車両デザインが異なる車両で搭載する場合のベントデフ吹出ダクト8を取り替えて汎用性を発揮させる事例を説明する。
図4は、新たなベントデフ吹出ダクト8´を空調ケース1に装着したときのユニット51の縦断面図である。
連結ロッド17をベントデフドアレバー16とサブレバー17から取り外したうえで、ベントデフドアレバー16、ベントデフドア11を含めたベントデフ吹出ダクト8を空調ケース1から取り外す。
次いで、車両デザインに適した新たな形状のベントデフ吹出ダクト8´を、空調ケース1に装着する。このとき、ベントデフ吹出ダクト8´はベントデフドアレバー16´、ベントデフドア11´を備えている。
図5は、新たなベントデフ吹出ダクト8´を空調ケース1に装着したときのリンク機構の構成を示した縦断面図である。
空調ケースへの装着後は、連結ロッド17´をサブレバー21、ベントデフレバー16´に装着する。
【0035】
ところで、ベントデフドア11は連結ロッド17を介し、メインリンク20から離れた位置にあるため、連結ロッド17の寸法誤差やたわみにより、ドア開度の制御精度が悪化する。しかし、ベントデフドア11はベント吹出ダクト部12とデフ吹出ダクト部13いずれかの通路を選択するのみであり、ドア開度の位置には高い精度は求められない。連結ロッド17の寸法誤差やたわみにより制御精度が悪化する分は、ベント吹出ダクト部12またはデフ吹出ダクト部13を閉じたときのドア圧縮シロを充分に確保することで、吸収することが出来る。
【0036】
(第2実施例)
ユニット51上部はさまざまな車両デザインの影響を受けるため、連結ロッド17を空調ケース1およびベントデフ吹出ダクト8の車両幅方向外側に設けられない場合がある。
このとき、メインリンク20の駆動力をデフベントドア11へ伝達するために、ベントデフレバー16、連結ロッド17、サブレバー21をユニットの内部に設け、連結ロッド17の一方をベントデフレバー16と連結するとともに、連結ロッド17の他方をサブレバー21と連結するよう構成しても良い。
図6(a)は、ユニット51上部の側面を示した側面図であり、図6(b)は、図6(a)に記載されたA-A間でユニット51を切断したときの断面図である。図6(a)および(b)に示したように、空調ケース1および中間ダクト8の内部を縦方向に分割し、センタベント用通路40とサイドベント用通路41とに分割し、ベントデフレバー16、連結ロッド17、サブレバー21とをサイドベント用通路に設けても良い。
【0037】
したがって以上の構成によれば、本車両用空調装置は、通風量調整ドア9を第1の通路31に、フットドア10を第2の通路32にそれぞれ設けてエアミックス室6でのドアの配置を回避したので、冷風と温風の混合を阻害することなく温度調節の精度を高めることが可能となる。
ユニット51上部に通風量を制御する通風量調整ドア9とフットドア10がなく、メインリンク20をユニット51の上部より下げることができるとともに、ベントデフダクト8を空調ケース1への着脱可能としたことで、汎用性を高めることができる。
連結ロッド17を介さずに通風量調整ドア9、フットドア10の開度を制御できるので、風配制御の精度の向上をさせることができる。
通風量調整ドア9とフットドア10とを近接して設けて、風配調節サブレバー18およびフットサブレバー22を介してメインリンク20と連結することができるので、メインリンク20の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の車両用空調装置の構成を示した縦断面図である。
【図2】リンク機構の構成を示した縦断面図である。
【図3】(a)は、本車両用空調装置のベントモードにおける各ドアの開度を示した縦断面図である。(b)は、バイレベルモードにおける各ドアの開度を示した縦断面図である。(c)は、フットモードにおける各ドアの開度を示した縦断面図である。(d)は、デフロストモードにおける各ドアの開度を示した縦断面図である。
【図4】新たなベントデフ吹出ダクトを空調ケースに装着したときのユニットの縦断面図である。
【図5】新たなベントデフ吹出ダクトを空調ケースに装着したときのリンク機構の構成を示した縦断面図である。
【図6】図6(a)は、ユニット上部の側面を示した側面図であり、図6(b)は、図6(a)に記載されたA-A間でユニットを切断したときの断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1・・・空調ケース、1(a)・・・空調ケースの仕切り板、2・・・ブロワ、3・・・エアフィルタ、4・・・エバポレータ、5・・・ヒータコア、6・・・エアミックス室、7・・・フット吹出口、8・・・中間ダクト(ベントデフ吹出ダクト)、8´・・・新たなベントデフ吹出ダクト、8(a)・・・ベントデフダクトの仕切り板、9・・・通風量調整ドア、10・・・フットドア、11・・・ベントデフドア、12・・・ベント吹出ダクト部、13・・・デフロスト吹出ダクト部、14・・・エアミックスドア、15・・・リンク機構、16・・・ベントデフドアレバー、17・・・連結ロッド、18・・・風配調節サブレバー、19・・・ワッシャ・スクリュ、20・・・メインリンク、21・・・サブレバー、22・・・フットサブレバー、23・・・上部接続口、24・・・サイドベントドア、25・・・サイドベントサブレバー、31・・・第1の通路、32・・・第2の通路、40・・・センタベント用通路、41・・・サイドベント用通路、51・・・ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調ケース内に送風機を介して導入された空気を冷却するエバポレータと、前記空気を加熱するヒータコアと、前記ヒータコアを通過する空気と前記ヒータコアをバイパスする空気との割合を調節するエアミックスドアとを有し、
空調装置上側の車両ダクトへエアミックスされた調和空気を導く中間ダクトと、前記エアミックスドアより下流側に設けられて前記ヒータコアを通過する空気と前記ヒータコアをバイパスする空気とを合流させるエアミックス室に臨むと共に前記中間ダクトを接続する上部接続口に通じる上方へ延設された第1の通路と、前記エアミックス室に臨むと共に前記上部接続口と異なり該上部接続口より下方の吹出口に通じる第2の通路とを備え、
前記中間ダクトは空調ケースへの着脱が可能であり、
前記第1の通路に当該第1の通路の通風量を調節する第1のドアを設け、前記第2の通路に当該第2の通路の通風量を調節する第2のドアを設けたことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記第1のドアは、前記第1の通路のエアミックス側に設けられ、前記第2のドアは、前記第2の通路のエアミックス室側に設けられたことを特徴とする請求項1記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記上部接続口に接続される中間ダクトは、ベント吹出口へ通じるベント吹出ダクト部とデフロスト吹出口へ通じるデフロスト吹出ダクト部とを備え、これらダクト部への通風を切り替えるベントデフドアが収容されたベントデフ吹出ダクトであり、前記上部接続口と異なる吹出口は、フット吹出口であることを特徴とする請求項2記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記第1のドアと前記第2のドアとは、前記空調ケースに取り付けられたメインリンクにそれぞれのドアと一体に回動するサブレバーを介して連結され、前記ベントデフドアは、これと一体に回動するベントデフドアレバーと、このベントデフドアレバーに一端が接続された連結ロッドと、この連結ロッドの他端に接続されたサブレバーとを介して前記メインリンクに連結されていることを特徴とする請求項3記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記ヒータコアは前記エバポレータの流れに沿って下流に位置し、前記ヒータコアと前記エバポレータは、車両幅方向のほぼ同位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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