説明

車両用空調装置

【課題】ドア微小開度による風きり音の発生を抑制しつつ、ラム圧による風量増大に対しても快適感を損なうことがないようにした車両用空調装置を提供する。
【解決手段】切替ドアの切替により内気又は外気をそれぞれ上側ファンと下側ファンとに吸込む第1導入通路及び第2導入通路を有する送風機ユニットと、車室内に空気を吹出す空調ユニットを具備する車両用空調装置において、第1導入通路は、内気と外気を分離して吸込むときには外気のみが導入される導入通路であって、第1導入通路に、車速に応じて外気送風量を制限する外気量調整機構を設けて、デフロスタ開口部又はフェイス開口部の風きり音の発生を抑制したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア微小開度による風きり音の発生を抑制しつつ、ラム圧による風量増大に対しても快適感を損なうことがないようにした車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員の足元にむけて空調風を吹き出すFOOT(フット)モード時に、FOOT開口部を通して空調風を極端に分配するとともに、DEF(デフロスタ)開口部を通して微小風量の空気を車両窓ガラス側に向けて吹き出して車両窓ガラスの防曇性能を発揮させる場合がある。このようなFOOTモードにおいて、吹き出しモードドアが、微小開度位置に操作されると、DEF開口部やFACE開口部の微小隙間によって空気流れが急激に絞られ、微小隙間を空気が高速で噴出することで、風きり音が発生する問題があった。
【0003】
このような問題に対して、吹出モードドアの微小開度位置に起因する問題の発生を抑制することを目的とした特許文献1が知られている。図1(a)は、特許文献1の空調ユニットの概略断面図であり、(b)は、特許文献1の各モードの風量割合とドアパタンである。以下、特許文献1の車両用空調装置を簡単に説明する。
【0004】
特許文献1の車両用空調装置は、空調ユニット10と、この空調ユニット10に空気を送風する送風機ユニット9との2つの部分に分かれている。送風機ユニット9は車室内前部の計器盤内側のうち、中央部から助手席側へオフセットして配置されており、これに対し、空調ユニット10は車室内前部の計器盤内側のうち、車両左右(幅)方向の略中央部に配置されている。空調ユニット10は車室内へ向かって送風される空気通路を構成する樹脂製の空調ケース11を有し、この空調ケース11内に冷却用熱交換器をなす蒸発器12と加熱用熱交換器をなすヒータコア13を内蔵している。空調ケース11内の、最も車両前方側の部位には空気入口空間14が形成されている。この空気入口空間14には送風機ユニット9の遠心式送風機の送風空気が流入する。
【0005】
空調ケース11内において空気入口空間14直後の部位に蒸発器12が配置されている。この蒸発器12は周知のごとく冷凍サイクルの低圧冷媒の蒸発潜熱を送風空気から吸熱して送風空気を冷却するものである。そして、蒸発器12の空気流れ下流側(車両後方側)に、蒸発器12から所定の間隔を開けてヒータコア13が配置されている。ヒータコア13は、蒸発器12を通過した冷風を再加熱するものであって、その内部に、車両エンジンから高温の温水(エンジン冷却水)が流れ、この温水を熱源として空気を加熱するものである。
【0006】
ヒータコア13の空気流れ上流側を通過する空気の空気通路は、空調ケース11内の第1上流側仕切り部材15により上方側の第1上流側通路16と下方側の第2上流側通路17とに仕切られている。この第1上流側仕切り部材15は蒸発器12空気出口側からヒータコア13空気入口側にわたって延びるように形成され、かつ、空調ケース11内部空間の車両左右方向の全長にわたって延びるように形成されている。空調ケース11内の空気通路において、ヒータコア13の上方部位および下方部位には、それぞれヒータコア13をバイパスして空気(冷風)が流れる第1バイパス通路18、第2バイパス通路19が形成されている。ヒータコア13上流側の第2上流側通路17は、通路断面積が第1上流側通路16の通路断面積より大きくなるように形成されている(例えば、1対9の割合)。
【0007】
蒸発器12とヒータコア13との間には第1エアミックスドア20および第2エアミックスドア21がそれぞれ配置されている。ここで、各エアミックスドア20、21は平板状のスライドドアにより構成されている。各エアミックスドア20、21は、駆動ギア20a、21aにより空気通路の空気流れと交差する方向に移動して、空気通路を開閉する。第1エアミックスドア20、第2エアミックスドア21は、風量割合の調整により車室内フロントガラス、車室内乗員側への吹出空気温度を調整する温度調整手段を構成する。
【0008】
ヒータコア13の空気流れ下流側(車両後方側)には、ヒータコア13の空気流れ上流側の第1上流側仕切り部材15の車両後方の延長線上の位置から上方に向けて延びる第1下流側仕切り部材22が設けられている。さらに、第1下流側仕切り部材22の端部から、デフロスタ開口部26とフェイス開口部28の間の空調ケース11上壁面に延びるように第1切替ドア23が設けられている。第1切替ドア23は、回転軸23aを中心に回転可能に配置されている。この第1下流側仕切り部材22、第1切替ドア23により、デフロスタ開口部26に空気を導く第1下流側通路24と、フェイス開口部28、フット開口部30に空気を導く第2下流側通路25が形成されている。デフロスタ開口部26、フェイス開口部28、フット開口部30は、それぞれ、回転軸27a、29a、31aを中心に、回転可能な板状のデフロスタドア27、フェイスドア29、フットドア31により開閉される。
【0009】
第1切替ドア23が図1の一点破線位置に操作されると、第1切替ドア23が、第1下流側通路24と第2下流側通路25との連通を遮断する(「仕切り位置」という)。これに対して、第1切替ドア23が図1の実線位置に操作されると、第1下流側通路24と第2下流側通路25とを連通させる(「連通位置」という)。
【0010】
フットモード時には、デフロスタ開口部26、フット開口部30が対応する吹出モードドア27、31により全開口される。デフロスタ開口部26の開度は、全開口に限定されるものではなく、例えば微小開度位置とならない半開口程度であってもよい。フェイス開口部28はフェイスドア29により閉塞される。第1切替ドア23は、図1の一点破線位置に示すようにヒータコア13の下流側の第1下流側通路24と第2下流側通路25とを仕切る「仕切り位置」に操作される。第1上流側仕切り部材15により第2上流側通路17の通路断面積が第1上流通路16の通路断面積よりも大きくなるように形成されているため、蒸発器12を通過した空気は、第2上流側通路17に主に流れ、第1上流側通路16には微小風量の空気が流れる。
【0011】
フットデフロスタモードでは、フットモードと同様にデフロスタ開口部26、フット開口部30が対応する吹出モードドア27、31により全開口され、フェイス開口部28はフェイスドア29により閉塞される。第1切替ドア23は、図1の実線位置に示すようにヒータコアの下流側の第1下流側通路24と第2下流側通路25とを連通する「連通位置」に操作される。これにより、フットモードに比較してデフロスタ開口部26を通過する空気の風量を増大させることができる。
【0012】
このようにして、特許文献1の技術においては、フットモードにおいて、デフロスタドア27を微小開度位置にしなくとも、フット開口部30から主に空気を吹き出し、デフロスタ開口部26に流入する空気の風量を微小風量とすることができるため、デフロスタ開口部26およびフット開口部30から吹き出す空気の風量割合を適正な割合とすることができるととともに、デフロスタドア27の微小開度位置により発生する異音等の問題を抑制することができる。
【0013】
この特許文献1の技術では、上述したように、ドア微小開度による風きり音の発生は抑制可能である。しかしながら、切替ドアが、仕切り位置もしくは連通位置に固定された状態で設定されるため、車両が外気モードにて高速走行しているときには、車両前面にかかるラム圧(走行時に外から押し込まれて発生する圧力)によって、送風機のスクロール出口での昇圧量が増えてしまう。このため、車室内へ流入する風量が増大して車室内の空調空気が換気されてしまうことと、乗員への風速感が狙いよりも大きくなってしまうことにより、快適感が得られないという問題がある。また、上下通風風量割合が固定されているので、車両適合時に、上下仕切位置とそれに付随するレイアウトの全面変更が必要であり、コスト及び工数が多くかかってしまう問題点も発生していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−113538号公報
【特許文献2】特開2000−16050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記問題に鑑み、ドア微小開度による風きり音の発生を抑制しつつ、ラム圧による風量増大に対しても快適感を損なうことがないようにした車両用空調装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、上側ファン(52)、下側ファン(53)、切替ドア(67、68、69、67’、68’)の切替により、内気又は外気を上側ファン(52)に吸込む第1導入通路(71)、内気又は外気を下側ファン(53)に吸込む第2導入通路(70)、及び、前記上側ファン(52)、前記下側ファン(53)からの送風空気をそれぞれ二層状態で吐出する、第1吐出通路(81)、第2吐出通路(82)を具備する送風機ユニット(9)、並びに、前記送風機ユニット(9)からの送風空気を、蒸発器(12)、エアミックスドア、ヒータコア(13)により温度調整して、デフロスタ開口部(26)、フェイス開口部(28)、フット開口部(30)から車室内に空気を吹出す空調ユニット(10)を具備する車両用空調装置において、前記第1導入通路(71)は、内気と外気を分離して吸込むときには外気のみが導入される導入通路であって、前記第1導入通路(71)に、車速に応じて外気送風量を制限する外気量調整機構を設けて、前記デフロスタ開口部(26)又は前記フェイス開口部(28)の風きり音の発生を抑制した車両用空調装置である。
【0017】
これにより、デフロスタドア又はフェイスドアを微小開度にしなくても、上側を流れる風量を調整できるため、ドア微小開度による風きり音の発生を抑制しつつ、車両が高速運転している時のラム圧による風量増大に対し、快適感を損なうこと無く適当な風量に調整することができる。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1導入通路(71)と前記第2導入通路(70)は、内気と外気を分離して吸込む内外気2層モード、外気モード、内気モードの3通りの吸込みモードで、内気又は外気が導入されることを特徴とする。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記第1導入通路(71)が、前記デフロスタ開口部(26)、及び、前記フェイス開口部(28)に連通し、前記第2導入通路(70)が、前記フット開口部(30)に連通することを特徴とする。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の発明において、前記外気量調整機構が、前記第1導入通路(71)に設けられた絞りドア(72)であることを特徴とする。これにより、請求項1の発明と同じ効果が得られるとともに、ファンにさせる仕事量を減少させることができ、省エネ効果が得られる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の発明において、前記外気量調整機構が、前記第1導入通路(71)に設けられたアイリスシャッタ式絞りドア(75)であることを特徴とする。これにより、請求項4の発明と同じ効果が得られる。
【0022】
請求項6の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の発明において、前記外気量調整機構が、前記上側ファン(52)から前記蒸発器(12)に至る第1吐出通路(81)に設けられた絞りドア(78)であることを特徴とする。これにより、請求項1の発明と同じ効果が得られる。
【0023】
請求項7の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の発明において、前記外気量調整機構が、前記上側ファン(52)から前記蒸発器(12)に至る第1吐出通路(81)と前記下側ファン(52)から前記蒸発器(12)に至る第2吐出通路(81)との間の上下通路仕切り部材(73)に設けられた開閉ドア(79)であることを特徴とする。これにより、請求項1の発明と同じ効果が得られる。
【0024】
請求項8の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の発明において、前記外気量調整機構が、前記上側ファン(52)のノーズ部に設けられたノーズ部間隙可変機構(83)であることを特徴とする。これにより、請求項4の発明と同じ効果が得られる。
【0025】
なお、上記に付した符号は、後述する実施形態に記載の具体的実施態様との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)は、特許文献1の空調ユニットの概略断面図であり、(b)は、特許文献1の各モードの風量割合とドアパタンである。
【図2】本発明の一実施形態における、内外気吸込みFOOTモードの概略説明図である。
【図3】本発明の一実施形態における、外気吸込みFOOTモードの概略説明図である。
【図4】本発明の一実施形態の吸込口切替ドア変形例における、内外気吸込みFOOTモードの概略説明図である。
【図5】本発明の一実施形態の空調ユニットの断面図である。
【図6】(a)は、外気量調整機構の他の一実施形態を示す説明図であり、(b)は、アイリスシャッタ式絞りドア75を示す模式図である。
【図7】外気量調整機構の他の一実施形態を示す説明図である。
【図8】外気量調整機構の他の一実施形態を示す説明図である。
【図9】外気量調整機構の他の一実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。各実施態様について、同一構成の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。従来技術に対しても同様に同一構成の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図2は、本発明の一実施形態における、内外気吸込みFOOTモードの概略説明図である。図3は、本発明の一実施形態における、外気吸込みFOOTモードの概略説明図である。図4は、本発明の一実施形態の吸込口切替ドア変形例における、内外気吸込みFOOTモードの概略説明図である。本発明の車両用空調装置は、HVACといわれる空調ユニット10と、この空調ユニット10に空気を送風する送風機ユニット9との2つの部分に分かれている。本実施形態の送風機ユニット9は、内気と外気を2層状態で送風できる2層構造である。
【0028】
空気導入口を開閉する吸込口切替ドアは、内気導入口65に設けられた内気用切替ドア67と、外気導入口66に設けられた外気用切替ドア68、内外気切替ドア69から構成されている。内外気吸い込みモード(67:開、68:開、69:閉)、外気モード(67:閉、68:開、69:開)、内気モード(67:開、68:閉、69:開)の3通りのモードにすることができる。外気の方が窓ガラスの防曇性能を確保できるので、適宜これらのモードを選択できるようになっている。吸込口切替ドアは、必ずしも図2の実施形態に限定されるものではない。
図4には本実施形態の吸込口切替ドア変形例が示されている。図4において、65−1、66−1は、外気導入口であり、65−2、66−2は、内気導入口である。切替ドア67’、68’を回転して、内外気吸い込みモード、外気モード、内気モードを実現することができる。これら以外にも様々な形態が存在する(一例として、特許文献2参照)。
【0029】
送風機ユニット9の遠心式送風機8は、上側ファン52と下側ファン53で構成されている。ここで上側ファン、下側ファンとは、上下の語義に限定されるものではない。図2に示す内外気吸込みFOOTモードでは、外気が外気導入口66から第1導入通路71を通り、フィルタ90を経て、上部導入口91から上側ファン52に吸入される。その後、第1吐出通路81を経て、デフロスタ開口部26及びフェイス開口部28に連通している。内気は内気導入口65から第2導入通路70を通り、フィルタ90を経て、下部導入口92から下側ファン53に吸入される。その後、第2吐出通路82を経てフット開口部30に連通している。
【0030】
第1導入通路71には、絞りドア72が設置されているので、デフロスタ開口部26及びフェイス開口部28には外気が絞られて送風される。車速が高速になって、導入外気のラム圧が高まっても絞りドア72を調整して、デフロスタ開口部26及びフェイス開口部28から吹出す風量を調整することができる。これによりデフロスタドア27およびフェイスドア28を微小開度にしなくても、上側を流れる風量をリニアに調整できるため、ドア微小開度による風きり音の発生を抑制しつつ、車両が高速運転している時のラム圧による風量増大に対し、快適感を損なうこと無く適当な風量に調整することができる。
【0031】
送風ユニット9の第1吐出通路81、第2吐出通路82は、上下通路仕切り部材73で仕切られて、それぞれ、空調ユニットの蒸発器12手前まで連続している。図5は、本発明の一実施形態の空調ユニットの断面図である。図1(a)と同一の符号を付してあるものはその説明を省略する。図1(a)とは異なり、第1切替ドア23は無く、第1上流側仕切り部材は、上下通路断面積を概ね半々にする位置に設置されている。この空調ユニットは、一例としてあげるものであって、これに限らず様々な変形例を本発明においては含むものである。図5の一実施形態の空調ユニットでは、エアミックスドア20、21がスライドドアとされているが、回転ドアで行ってもよく、エアミックスドアと通過経路には様々な実施形態が存在する。
【0032】
送風ユニット(HVAC)内通路は、第1上流仕切り部材15、第1下流仕切り部材22にて、上側(外気側)空気通路と下側(内気側)空気通路に仕切られている。FOOT開口部30からは内気導入口65にて空気を吸い込み、暖められた高温内気を再循環して吹き出し、一方、デフロスタ開口部26およびフェイス開口部28からは外気導入口66にて空気を吸い込み、低湿度の外気温風を吹き出すことができる。
【0033】
次に、図3を参照して、外気吸込みFOOTモードを説明する。この場合には、内気導入口65に設けられた内気用切替ドア67は閉、外気導入口66に設けられた外気用切替ドア68は開、内外気切替ドア69も開となっている。したがって、第1導入通路71、第2導入通路70とも外気が導入される。第1導入通路71には、絞りドア72が設置されているので、デフロスタ開口部26及びフェイス開口部28には外気が絞られて送風される。FOOTモードにおいて、乗員の顔に当る風量は多くならないようになされている。第2導入通路70には、外気が絞られずに送風されるが、第2吐出通路82を経てフット開口部30に連通しているので、風量が増えてもさほど問題にはならない。
【0034】
本実施形態は、FOOTモードにおいて効果が発揮されるものである。ここで、FOOTモードに形態には、様々なバリエーションが存在する。図1(b)には、FOOTモードの一例が示されているが、このようなFOOTモードであっても良い。本実施形態においては、デフロスタ開口部26及びフェイス開口部28からも若干の風量が吹出すようにされている。もちろんこれに限るものではなく、FOOT開口部30に主に風を分配するモード(本願では、このようなモードをFOOTモードという)であれば、本実施形態の効果が発揮されるものである。その他、F/Dモードであっても外気が絞られて送風される効果が生じる。
【0035】
本実施形態においては、絞りドア72は、上側ファン52の上部導入口91の前に設置されているので、車両が高速運転している時のラム圧による風量増大に対し、快適感を損なうこと無く適当な風量に調整することができる。さらに、ファンにさせる仕事量を減少させることができ、騒音低減に伴って、思わぬ省エネ効果が発生している。
【0036】
図6(a)は、外気量調整機構の他の一実施形態を示す説明図であり、(b)は、アイリスシャッタ式絞りドア75を示す模式図である。複数羽根77で中心部の円孔76の直径を変化させることができ、絞りドアとしての機能を発揮する。上側ファン52の上部導入口91のベルマウス部に設置すると良い。第1吐出通路81、上側(外気側)空気通路を流れる風量をリニアに調整する。これにより、ラム圧による風量増大に対し、快適感を損なうこと無く適当な風量に調整することができる。
【0037】
図7、8は、外気量調整機構の他の一実施形態を示す説明図である。絞りドア78を上側ファン52から蒸発器12に至る第1吐出通路81に設けた実施形態である。図8の外気量調整機構の他の一実施形態においては、開閉ドア79を、上側ファン52から蒸発器12に至る第1吐出通路81と、下側ファン52から蒸発器12に至る第2吐出通路81との間の上下通路仕切り部材73に設けた実施形態である。開閉ドア79は、第1吐出通路側に回転するので、第1吐出通路81の通過風量を絞ることができる。これにより、ラム圧による風量増大に対し、快適感を損なうこと無く適当な風量に調整することができる。
【0038】
図9は、外気量調整機構の他の一実施形態を示す説明図である。上側ファン52のノーズ部に設けられたノーズ部間隙可変機構83で、ノーズ部とファン羽根84の外周部との間隙を調整する。ノーズ部とファン羽根外周部との間隙を大きく開放すると、ファンは空回りして送風量が減少する。これにより、ラム圧による風量増大に対し、快適感を損なうこと無く適当な風量に調整することができる。ノーズ部間隙可変機構83は図9では揺動して、間隙量を調整しているが、これに限定されずに、直動させても良い。ファンは空回りして送風量が減少するとともに、仕事量も減少するので、省エネ効果も生じる。
【符号の説明】
【0039】
9 送風機ユニット
10 空調ユニット
26 デフロスタ開口部
28 フェイス開口部
30 フット開口部
52 上側ファン
53 下側ファン
70 第2導入通路
71 第1導入通路
81 第1吐出通路
82 第2吐出通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側ファン(52)、下側ファン(53)、
切替ドア(67、68、69、67’、68’)の切替により、内気又は外気を上側ファン(52)に吸込む第1導入通路(71)、内気又は外気を下側ファン(53)に吸込む第2導入通路(70)、及び
前記上側ファン(52)、前記下側ファン(53)からの送風空気をそれぞれ二層状態で吐出する、第1吐出通路(81)、第2吐出通路(82)を具備する送風機ユニット(9)、並びに、
前記送風機ユニット(9)からの送風空気を、蒸発器(12)、エアミックスドア、ヒータコア(13)により温度調整して、デフロスタ開口部(26)、フェイス開口部(28)、フット開口部(30)から車室内に空気を吹出す空調ユニット(10)
を具備する車両用空調装置において、
前記第1導入通路(71)は、内気と外気を分離して吸込むときには外気のみが導入される導入通路であって、前記第1導入通路(71)に、車速に応じて外気送風量を制限する外気量調整機構を設けて、前記デフロスタ開口部(26)又は前記フェイス開口部(28)の風きり音の発生を抑制した車両用空調装置。
【請求項2】
前記第1導入通路(71)と前記第2導入通路(70)は、内気と外気を分離して吸込む内外気2層モード、外気モード、内気モードの3通りの吸込みモードで、内気又は外気が導入されることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記第1導入通路(71)が、前記デフロスタ開口部(26)、及び、前記フェイス開口部(28)に連通し、前記第2導入通路(70)が、前記フット開口部(30)に連通することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記外気量調整機構が、前記第1導入通路(71)に設けられた絞りドア(72)であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記外気量調整機構が、前記第1導入通路(71)に設けられたアイリスシャッタ式絞りドア(75)であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用空調装置。
【請求項6】
前記外気量調整機構が、前記上側ファン(52)から前記蒸発器(12)に至る第1吐出通路(81)に設けられた絞りドア(78)であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用空調装置。
【請求項7】
前記外気量調整機構が、前記上側ファン(52)から前記蒸発器(12)に至る第1吐出通路(81)と前記下側ファン(52)から前記蒸発器(12)に至る第2吐出通路(81)との間の上下通路仕切り部材(73)に設けられた開閉ドア(79)であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用空調装置。
【請求項8】
前記外気量調整機構が、前記上側ファン(52)のノーズ部に設けられたノーズ部間隙可変機構(83)であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用空調装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate