説明

車両用空調装置

【課題】主に、前席に対する空調性能の低下を防止し得るようにする。
【解決手段】リアダクト3の中間部に、流路の開閉又は開度調整の少なくともいずれかを行うことにより、リア吹出口2から吹き出される、空調装置本体1からの空調用空気aの引込量を調整可能な流量調整用ドア部22が設けられるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7に示すように、自動車などの車両Aには、空調装置(空気調和装置)が設けられている。
【0003】
このような空調装置では、車室Bの前部に、主に前席Cを空調可能な空調装置本体1が設置される。そして、空調装置本体1と後席Dに対して設けられたリア吹出口2との間にリアダクト3が接続されると共に、リアダクト3後端のリア吹出口2近傍に空調装置本体1からの空調用空気aを引込可能な後席用ファン4が設けられたものも存在している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような空調装置によれば、後席用ファン4によって空調装置本体1からの空調用空気aをリアダクト3を介し後席D側へ引き込んでリア吹出口2から吹き出させることができる。即ち、後席Dの空調を行うことができる。
【0005】
なお、上記した空調装置本体1は、その内部に、前側ファン5と、エバポレータ6(冷却用熱交換器)と、ヒータコア7(加熱用熱交換器)と、ヒータコア7をバイパス可能なバイパス通路8とを順に備えている。また、空調装置本体1は、その外面部分に、窓曇防止用吹出口11(フロントDEF及びサイドDEF)と、前席空調用吹出口12と、上記リアダクト3の前端が接続される後席用開口部13とを備えている。そして、窓曇防止用吹出口11には、窓曇防止用ドア機構14が設けられ、前席空調用吹出口12には前席吹出口用ドア機構15が設けられている。
【0006】
また、バイパス通路8の入側におけるエバポレータ6とヒータコア7との間には前側ミックスドア機構16が設けられ、バイパス通路8の出側におけるヒータコア7との間には後側ミックスドア機構17が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−76484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記空調装置には、以下のような問題があった。即ち、空調装置本体1には供給可能な空調用空気aの絶対量に限界があるため、後席D側に、後席用ファン4を用いて強制的に空調用空気aを引き込んだ場合、前席Cに対する空調性能が低下するなどのおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、リアダクトの中間部に、流路の開閉又は開度調整の少なくともいずれかを行うことにより、リア吹出口から吹き出される空調用空気の引込量を調整可能な流量調整用ドア部が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記構成によって以下のような作用効果を得ることができる。即ち、リアダクトの中間部に流量調整用ドア部を設けて流路の開閉または開度調整を行うことにより、空調用空気の引込量を調整することが可能となる。これにより、前席に対する空調用空気の引込量と後席に対する空調量空気の引込量とのバランスを調整し、前席に対する空調性能の低下などを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例にかかる車両の空調装置を示す断面図である。
【図2】流量調整用ドア部を備えたリアダクトの断面図であり、(a)〜(e)は、それぞれ作動の状態を示す図である。
【図3】窓曇防止モードの場合の図1と同様の図である。
【図4】窓曇防止モードの場合の制御フローチャートである。
【図5】内気循環モードの場合の制御フローチャートである。
【図6】後席に設けられた空調装置の操作ユニットを示す図である。
【図7】従来例にかかる車両の空調装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施例を、図1〜図6により詳細に説明する。
図1の断面図に示すように、自動車などの車両Aに対し、空調装置(空気調和装置)が設けられる。この空調装置は、車室Bの前部に、前席Cを空調可能な空調装置本体1が設置される。
【0013】
そして、空調装置本体1と後席Dに対して設けられたリア吹出口2との間にリアダクト3が接続されると共に、リアダクト3後端のリア吹出口2近傍に空調装置本体1からの空調用空気aを引込可能な後席用ファン4が設けられる。そして、後席用ファン4によって空調装置本体1からの空調用空気aをリアダクト3を介し後席D側へ引込んでリア吹出口2から吹出させることができるようにする。即ち、後席Dの空調を行うことができるようにする。
【0014】
なお、以上の構成は、上記した従来例のものとほぼ同様である。また、空調装置本体1の内部および外部の構成については、窓曇防止用吹出口11(フロントDEF及びサイドDEF)や前席空調用吹出口12や後席用開口部13などを含めて上記した従来例のものとほぼ同様であるので、説明を省略する。そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
【0015】
(構成1)
リアダクト3の中間部に、図2に示すように、流路の開閉または開度調整の少なくともいずれか(または全て)を行うことにより、空調装置本体1から送られる空調用空気aの引込量を調整可能な流量調整用ドア部22が設けられる。ここで、流量調整用ドア部22は、流路の開閉および開度調整が可能なものとするのが好ましい。
【0016】
例えば、流量調整用ドア部22は、リアダクト3の幅方向(紙面と直角方向)へ延びる回転軸22aを中心にリアダクト3の内部を回動して、流路の開閉や開度調整が可能な羽根部22bを有するものなどとする。図2では、回転軸22aの位置をリアダクト3内の上部としているが、これに限るものではなく、例えば、リアダクト3の側部や下部に設けることもできる。或いは、リアダクト3の内部に設置するようにしても良い。この場合には、リアダクト3内部で羽根部22bが回動可能となるように、円形状の膨張壁部を設けるようにする。
【0017】
(構成2)
そして、空調装置本体1による前席Cへの空調用空気aの供給量が不足する時に、流量調整用ドア部22を閉じる方向に調整し、リア吹出口2から吹出す空調用空気の引込量を調整することにより、前席に対する空調性能の低下などを防止することが可能となる。上記操作は、空調装置をコントロールするための空調制御装置23(図1参照)が、空調装置本体1、後席用ファン4、流量調整用ドア部22を、制御することによって行われる。
【0018】
より具体的には、空調装置本体1の運転モードには、通常空調モードや、窓曇防止モードや、内気循環モードなどが存在する。このうち、通常空調モードは、図1に示すように、前席空調用吹出口12から空調用空気aを吹出して主に前席Cに対する空調を行うものである。
【0019】
また、窓曇防止モードは、図3に示すように、窓曇防止用吹出口11から窓ガラスへ向けて空調用空気aを吹出すことにより窓曇りを防止させるようにするものである。窓曇防止モードの場合、空調用空気aは、窓曇防止のために優先的に使用されることとなる。
【0020】
また、内気循環モードは、車室内空気を循環させて空調に使用するものである。内気循環モードの場合、外気を導入する場合と比べて、空調装置本体1への空気の取込量が制限される傾向にある。以下、通常空調モードの場合、窓曇防止モードの場合、内気循環モードの場合についての具体的な制御を説明する。
【0021】
(構成3)通常空調モードの場合
空調装置本体1が通常空調モードで、前席Cへの空調用空気aの吹出量と、後席Dへの空調用空気aの吹出量とが共に多くなるよう、空調制御装置23からの指示または乗員による操作がなされた場合には、即ち、空調装置本体1の能力を超える要求がなされた場合には、流量調整用ドア部22を閉じる方向に調整し、リア吹出口2から吹出す空調用空気aの引込量を調整することにより、前席に対する空調性能の低下を防止する。
【0022】
なお、乗員がマニュアルで操作する場合、前席Cや後席Dに対する吹出量は、例えば、大(Hi)・中・小(LO)などの複数段階で設定される。より具体的には、以下の一覧のようにする。
ケース 前席空調 後席空調 流量調整用ドア部 後席用ファン
(a) ファンLO ファンLO 開(50%) On(調整可能)
(b) ファンLO ファンHi 開(100%) On(調整可能)
(c) ファンHi ファンOff 閉 Off
(d) ファンHi ファンLO 開(15%) On(調整可能)
(e) ファンHi ファンHi 閉(30%) On(調整可能)
【0023】
まず、概略を述べると、空調装置本体1による前席Cへの空調用空気aの吹出量が少なく(LO)操作された時には、後席Dへの空気の吹出量に拘わらず前席に対する空調性能の低下を起こすことはないので、流量調整用ドア部22及び後席用ファン4により調整することができる(ケースa、b)。
【0024】
また、空調装置本体1による前席Cへの空調用空気aの吹出量が多く(Hi)操作された時であっても、後席Dへの空気の吹出量がないかまたは少ないのであれば、前席に対する空調性能の低下を起こすことはないので、流量調整用ドア部22及び後席用ファン4により調整することができる(ケースc、d)。
【0025】
しかし、空調装置本体1による前席Cへの空調用空気aの吹出量が多く(Hi)操作された時に、後席Dへの吹出量も多く要求された場合には、前席Cへの空調用空気aの供給量が不足しないように、後席Dへの空調用空気aの供給量を抑える方向に、流量調整用ドア部22及び/又は後席用ファン4を調整する(ケースe)。
【0026】
即ち、より具体的には、ケース(a)のように、前席Cへの空調用空気aの吹出量が少なく(LO)操作され、後席Dへの空気の吹出量も少なく(LO)操作された場合には、図2(a)に示すように、流量調整用ドア部22を調整(50%程度)し、後席用ファン4を調整(50%程度)にして、空調用空気aをリア吹出口2へ引込むようにする。この際、流量調整用ドア部22の開度は50%の前後で適宜調整するようにし、また、後席用ファン4の出力は50%の前後で適宜調整するようにしても良い。
【0027】
また、ケース(b)のように、前席Cへの空調用空気aの吹出量が少なく(LO)操作され、後席Dへの空気の吹出量が多く(Hi)操作された場合には、図2(b)に示すように、流量調整用ドア部22を大きく開(100%)にするとともに、後席用ファン4を大きな出力(100%)にして、空調用空気aをリア吹出口2へ多量に引込むようにする。この際、流量調整用ドア部22の開度は、全開または全開に近い位置で適宜調整するようにしても良い。また、後席用ファン4の出力は100%の前後で適宜調整するようにしても良い。
【0028】
そして、ケース(c)のように、前席Cへの空調用空気aの吹出量が多く(Hi)操作され、後席Dへの空気の吹出がない(Off)ように操作された場合には、図2(c)に示すように、流量調整用ドア部22を閉として、空調用空気aをリア吹出口2へ引込まないようにする。
【0029】
また、ケース(d)のように、前席Cへの空調用空気aの吹出量が多く(Hi)操作され、後席Dへの空気の吹出量が少なく(LO)操作された場合には、図2(d)に示すように、流量調整用ドア部22を僅かに開(15%程度)にし、後席用ファン4を微量に調整(15%程度)にして、空調用空気aをリア吹出口2へ少量引込むようにする。この際、流量調整用ドア部22の開度は、15%程度の位置で適宜調整するようにしても良く、後席用ファン4の出力は15%の前後で適宜調整するようにしても良い。
【0030】
そして、ケース(e)のように、前席Cへの空調用空気aの吹出量が多く(Hi)操作され、後席Dへの空気の吹出量も多く(Hi)操作された場合には、図2(e)に示すように、前席Cへの空調用空気aの吹出量があまり低下しない程度に、流量調整用ドア部22を調整(30%程度)し、後席用ファン4を調整(30%程度)して、空調用空気aをリア吹出口2へ引込むようにする。この際、流量調整用ドア部22の開度は、30%程度の位置で適宜調整するようにしても良く、後席用ファン4の出力は30%の前後で適宜調整するようにしても良い。
【0031】
なお、上記した100%、50%、30%、15%などの数値は、単なる例示であり、これに限るものではない。
【0032】
(構成4)窓曇防止モード(DEFモード)の場合
空調装置本体1が、図3に示すように、窓曇防止用吹出口11から窓ガラスへ向けて空調用空気aを吹出す窓曇防止モードとされた場合に、流量調整用ドア部22によって後席用ファン4によるリア吹出口2からの空調用空気aの吹出量を規制する(即ち、指示や操作よりも吹出量が小さくなるようにする)よう構成する。
【0033】
より具体的には、図4のフローチャートに示すように、ステップ1(S1)で、空調装置本体1の前側ファン5(フロントファン)がOnであるかどうかを判断し、No(即ち、フロントファンがOff)である場合には、流量調整用ドア部22を閉にし、後席用ファン4をOffに保つ。これにより、リア吹出口2からの吹出量は0になる。
【0034】
また、ステップ1(S1)がYes(即ち、フロントファンがOn)である場合には、ステップ2(S2)で、後席用ファン4がOnであるかどうかを判断し、No(即ち、後席用ファン4がOff)である場合には、流量調整用ドア部22を閉にし、後席用ファン4をOffに保つ。これにより、リア吹出口2からの吹出量は0になる。
【0035】
そして、ステップ2(S2)がYes(即ち、後席用ファン4がOn)である場合には、ステップ3(S3)で、窓曇防止モードであるかどうか(フロントDEF?)を判断し、No(即ち、フロントDEFがOff)である場合には、前述の通常空調モードと判定され、流量調整用ドア部22及び後席用ファン4によって、リア吹出口2から空調用空気aが吹出されることになる。
【0036】
そして、ステップ3(S3)がYes(即ち、フロントDEFがOn)である場合には、後席Dに対する吹出量の操作状態にかかわらず、空調装置本体1が窓曇防止を優先して行うようにする。即ち、後席Dへの空調用空気aの吹出量が多く(Hi)操作された場合でも、流量調整用ドア部22を閉方向に調整(15%程度)し、後席用ファン4を微量に調整(15%程度)にして、空調用空気aをリア吹出口2へ少量のみ引込むようにする。
【0037】
この際、流量調整用ドア部22の開度及び後席用ファン4の出力は、空調装置本体1の余力に応じたものとし、それぞれ15%程度で適宜調整するようにしても良い。また、空調装置本体1に多少余裕がある場合には、後席における操作(Hi、Lo)によって、リア吹出口2からの空気量を多少変えるようにしてもよい。
【0038】
(構成5)内気循環モードの場合
空調装置本体1が、車室内空気を循環させて空調に使用する内気循環モードで、前席Cへの空調用空気aの吹出量よりも後席用ファン4によるリア吹出口2からの空気の吹出量の方が多くなるように空調制御装置23からの指示(即ち制御指令)が出されたか、または乗員による操作がなされた場合に、流量調整用ドア部22または後席用ファン4によりリア吹出口2からの空気吹出量を規制する(即ち、指示や操作よりも吹出量が小さくなるようにする)よう構成する。
【0039】
より具体的には、図5のフローチャートに示すように、ステップ5(S5)で、空調装置本体1の前側ファン(フロントファン)が規定風量以下であるかどうかを判断し、No(即ち、フロントファンが規定風量以上)である場合には、流量調整用ドア部22と、後席用ファン4とを、通常制御にする。即ち、通常空調モードとする。
【0040】
次に、ステップ5(S5)がYes(即ち、フロントファンが規定風量以下)である場合には、ステップ6(S6)で、後席用ファン4が規定風量以上であるかどうかを判断し、No(即ち、後席用ファン4が規定風量以下)である場合には、流量調整用ドア部22と、後席用ファン4とを、通常制御にする。即ち、通常空調モードとする。
【0041】
ステップ6(S6)がYes(即ち、後席用ファン4が規定風量以上)である場合には、ステップ7(S7)でインテーク状態が内気循環モードであるかどうかを判断し、内気循環モード以外(即ち、外気導入モード)である場合には、流量調整用ドア部22と、後席用ファン4とを、通常制御にする。即ち、通常空調モードとする。
【0042】
反対に、内気循環モード(REC)である場合には、空調装置本体1が内気循環を優先して行うようにし、前席空調用吹出口12が吸い込み状態となることのないようにする。即ち、流量調整用ドア部22を閉方向に調整(15%程度)し、後席用ファン4を微量に調整(15%程度)にして、空調用空気aをリア吹出口2へ少量のみ引込むようにする。
【0043】
この際、流量調整用ドア部22の開度及び後席用ファン4の出力は、それぞれ15%程度で適宜調整するようにしても良い。また、空調装置本体1に多少余裕がある場合には、後席における操作(Hi、Lo)によって、リア吹出口2からの空気量を多少変えるようにしてもよい。
【0044】
(構成6)表示について
図6は、後席Dに設けられた空調装置の操作ユニット25を示すものであり、この操作ユニット25は、温度上昇用スイッチ25a(TEMP UP)と、温度下降用スイッチ25b(TEMP DOWN)と、風量増加用スイッチ25c(FAN UP)と、風量低減用スイッチ25d(FAN DOWN)とを備えている。
【0045】
そして、この操作ユニット25には、表示装置26が設けられている。この表示装置26は、後部座席の設定温度(温度表示部26a)、後部座席の乗員(を示す図形)に対する空気の吹出位置(矢印26b、26cの表示や非表示)、または温風か冷風の別(例えば、矢印26b、26cの色を変化させたり、白塗りや黒塗りにしたりする)、風量(バー表示部26d)などの各表示要素を、文字や記号や図などで表示できるようになっている。
【0046】
そして、流量調整用ドア部22を閉じる方向に調整して、後席用ファン4によるリア吹出口2からの空気の吹出量を規制するような場合には、空調感が不足したり、リア吹出口2からの空気の吹出量が不足したりすることになるので、その旨を表示装置26によって警告表示できるように構成する。
【0047】
表示装置26による警告表示は、上記した表示要素とは別に、直接文字や記号や図などによって表すようにすることができる。また、上記した表示要素の一部や全部を点滅させたり色(または白塗り、黒塗りの状態)を変化させたりすることができる。または、これらを組合せることができる。また、前席Cに対して、上記と同様の表示を行わせるようにしても良い。
【0048】
<作用>この実施例の主な作用は、以下の通りである。
空調装置本体1は、主に前席Cの空調を行うものとして使用される。そして、後席用ファン4を駆動することにより、リアダクト3を介して、空調装置本体1からの空調用空気aを後席D側へ引込んでリア吹出口2から吹出させることができる。これにより、前席C用の空調装置本体1を利用して後席Dの空調も行うことが可能となる。
【0049】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(作用効果1)
リアダクト3の中間部に流量調整用ドア部22を設けて、流路の開閉または開度調整を行うことにより、リア吹出口2から吹出す、空調装置本体からの空調用空気aの引込量を調整することが可能となる。これにより、前席に対する空調性能の低下などを防止することが可能となる。
【0050】
(作用効果2)
空調装置本体1が、通常空調モードで、前席Cへの空調用空気aの吹出量と、後席Dへの空調用空気aの吹出量とが共に多くなるよう指示が出されたかまたは操作がなされた場合に、流量調整用ドア部22を閉じる方向に調整し、リア吹出口2から吹出す空調用空気aの引込量を調整することにより、前席に対する空調性能の低下を防止することができるようになる。
【0051】
(作用効果3)
空調装置本体1が、窓曇防止モードとされた場合に、流量調整用ドア部22を閉じる方向に調整し、後席用ファン4によるリア吹出口2からの空気の吹出量を規制することを行う。これにより、窓ガラスに対する窓曇防止を優先的に行うことができる。
【0052】
(作用効果4)
前記空調装置本体1が、内気循環モードで、前席Cへの空調用空気aの吹出量よりも後席用ファン4によるリア吹出口2からの空気の吹出量の方が多くなるよう指示が出されたかまたは操作がなされた場合に、流量調整用ドア部22を閉じる方向に調整し、後席用ファン4によるリア吹出口2からの空気の吹出量を規制することを行う。これにより、外気を導入する場合と比べて空調装置本体1への空気の取込量が制限される内気循環モードの場合に、前席C側が負圧状態となって、前席C側の吹出口から空気を吸込むような事態が発生するのを防止することができる。
【0053】
(作用効果5)
流量調整用ドア部22を閉じる方向に調整して、後席用ファン4によるリア吹出口2からの空気吹出量を規制するような場合には、空調感が不足したり、リア吹出口2からの空気の吹出量が不足したりすることになるので、その旨を表示装置26によって警告表示できるように構成する。
【0054】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。
【0055】
また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【符号の説明】
【0056】
1 空調装置本体
2 リア吹出口
3 リアダクト
4 後席用ファン
22 流量調整用ドア部
A 車両
B 車室
C 前席
D 後席
a 空調用空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室前部に前席を空調可能な空調装置本体が設置され、該空調装置本体と後席に対して設けられたリア吹出口との間にリアダクトが接続され、該リアダクト後端の前記リア吹出口近傍に空調装置本体からの空調用空気を引込可能な後席用ファンが設けられて、該後席用ファンによって前記空調装置本体からの空調用空気をリアダクトを介し後席側へ引込んでリア吹出口から吹出し得るようにした車両用空調装置において、
前記リアダクトの中間部に空調装置本体からの空調用空気の引込量を調整可能な流量調整用ドア部が設けられたことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記空調装置本体が、通常空調モードで、
前席への空調用空気の吹出量と、後席への空調用空気の吹出量とが共に多くなるよう指示が出されたかまたは操作がなされた場合に、前記流量調整用ドア部を閉じる方向に調整し、後席用ファンによるリア吹出口からの空気吹出量を規制するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記空調装置本体が、窓曇防止モードとされた場合に、
前記流量調整用ドア部を閉じる方向に調整し、後席用ファンによるリア吹出口からの空気吹出量を規制するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記空調装置本体が、内気循環モードで、
前席への空調用空気の吹出量よりも後席用ファンによるリア吹出口からの空気の吹出量の方が多くなるよう指示が出されたかまたは操作がなされた場合に、
前記流量調整用ドア部を閉じる方向に調整し、後席用ファンによるリア吹出口からの空気吹出量を規制するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−240505(P2012−240505A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111118(P2011−111118)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】