説明

車両用衝撃吸収具及び車両用バンパ装置

【課題】蛇腹変形に伴う衝撃エネルギーの吸収を効率的に行いつつ、軸方向に対し斜めから荷重が入力された際の横倒れを抑制することができる車両用衝撃吸収具及び車両用バンパ装置を提供する。
【解決手段】車両幅方向に延びるバンパリインホース16の端部16aにおいて、該バンパリインホース16と車両前後方向に延びるサイドメンバ11との間に介在され、軸圧縮荷重を蛇腹変形で吸収して衝撃エネルギーを吸収する車両用衝撃吸収具において、前記サイドメンバ11側に形成され、車両前後方向に開口する略四角筒状の基端側吸収部21と、前記基端側吸収部21に連続して前記バンパリインホース16側に形成され、前記基端側吸収部21の軸方向への投影面積内に収まるとともに、前記基端側吸収部21よりも多い角数を有して車両前後方向に開口する略八角筒状の先端側吸収部22とを備えることを特徴とする車両用衝撃吸収具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用衝撃吸収具及び車両用バンパ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8に示すように、自動車などに搭載される車両用衝撃吸収具としてのクラッシュボックス80は、車両幅方向に延びるバンパリインホース16の端部と車両前後方向に延びるサイドメンバ11との間に介在されている。このクラッシュボックス80は、例えば車両衝突に伴い軸方向に圧縮する衝撃荷重(軸圧縮荷重)を受けた際に、軸圧縮変形、いわゆる蛇腹変形することで衝撃エネルギーを吸収する。
【0003】
ところで、こうしたクラッシュボックス80は、軸方向に延びる稜線の数(断面における頂点の数)を増やすべくその筒形状を多角化させることが提案されている(例えば特許文献1では16角形、特許文献2では20角形など、図4参照)。これは、多角化に伴い軸圧縮時の荷重(潰れ荷重)が増加することで、その分、板厚の薄肉化が図れることによる。また、クラッシュボックスの断面における一辺長が短縮されることで、蛇腹変形時における各辺の座屈波長が短くなり、その分、軸圧縮時の荷重の落ち込みが低減されて、エネルギー吸収効率(以下、「EA効率」ともいう)を高められることによる。
【0004】
図9は、多角化したクラッシュボックスの変形量と荷重との関係を示すグラフである。同図では、通常のクラッシュボックスの変形量と荷重との関係を破線にて併せて描画している。同図から明らかなように、多角化に伴って軸圧縮時の荷重(潰れ荷重)が増加され、且つ、その落ち込みが低減されていることが確認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−18792号公報
【特許文献2】特開2009−168115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図8に示すように、例えば車両が障害物Sに斜突するなど、クラッシュボックス80の軸方向(車両前後方向)に対し斜めから荷重Fが入力されたとする。この場合、特許文献1,2のクラッシュボックスでは、多角化に伴う断面形状の外形縮小によって断面二次モーメントが低下していることで、サイドメンバ11側である基端側(根本側)を支点とする横倒れが発生しやすくなる(図4参照)。既述のように、これらのクラッシュボックスでは、軸圧縮時の荷重(潰れ荷重)の増加に伴って板厚の薄肉化が図られていることから局部変形が起こりやすく、横倒れがより一層発生しやすくなっている。
【0007】
本発明の目的は、蛇腹変形に伴う衝撃エネルギーの吸収を効率的に行いつつ、軸方向に対し斜めから荷重が入力された際の横倒れを抑制することができる車両用衝撃吸収具及び車両用バンパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両幅方向に延びるバンパリインホースの端部において、該バンパリインホースと車両前後方向に延びるサイドメンバとの間に介在され、軸圧縮荷重を蛇腹変形で吸収して衝撃エネルギーを吸収する車両用衝撃吸収具において、前記サイドメンバ側に形成され、車両前後方向に開口する多角筒状の基端側吸収部と、前記基端側吸収部に連続して前記バンパリインホース側に形成され、前記基端側吸収部の軸方向への投影面積内に収まるとともに、前記基端側吸収部よりも多い角数を有して車両前後方向に開口する多角筒状の先端側吸収部とを備えることを要旨とする。
【0009】
同構成によれば、例えば車両衝突に伴う蛇腹変形態様、即ち衝撃エネルギーの吸収特性に支配的な前記先端側吸収部を、前記基端側吸収部の軸方向への投影面積内に収め、且つ、該基端側吸収部よりも多い角数を有する多角筒状にしたことで、断面における一辺長が短縮され、蛇腹変形時における各辺の座屈波長が短くなる。これにより、前記先端側吸収部の軸圧縮時の荷重の落ち込みを低減して、エネルギー吸収効率を向上することができる。一方、前記基端側吸収部は、前記先端側吸収部よりも断面の外形が拡大され、且つ、該先端側吸収部よりも少ない角数を有する多角筒状にしたことで、相対的にその断面二次モーメントを増加することができる。これにより、例えば車両が障害物に斜突するなど、軸方向に対し斜めから荷重が入力されたとしても、前記サイドメンバ側である基端側(根本側)を支点とする横倒れを抑制することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用衝撃吸収具において、前記基端側吸収部は、断面において車両上下方向及び幅方向に延びる辺を有することを要旨とする。
同構成によれば、前記基端側吸収部は、断面において車両上下方向及び幅方向に延びる辺を有することで、仮に同一の断面形状を有する多角筒を車両上下方向又は幅方向に頂点が突出するように配置した場合に比べて、車両幅方向の断面二次モーメントを大きくとることができる。従って、例えば車両が障害物に斜突するなど、軸方向に対し斜めから荷重が入力されたとしても、前記サイドメンバ側である基端側(根本側)を支点とする横倒れを更に抑制することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の車両用衝撃吸収具において、前記基端側吸収部に固着されて前記サイドメンバと結合する台座部を備え、前記基端側吸収部は、四角断面であり、前記台座部は、前記基端側吸収部に嵌合して該基端側吸収部にスポット溶接にて接合される嵌合壁を有することを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、前記基端側吸収部を四角断面にすることで、断面における各辺を比較的長くできる分、スポット溶接による前記基端側吸収部及び前記台座部(嵌合壁)の溶接点を多く確保することができる。よって、前記基端側吸収部及び前記台座部の結合強度を増加することができ、且つ従来行われているアーク溶接に比べて低コスト化も図ることができる。このため、例えば車両が障害物に斜突するなど、軸方向に対し斜めから荷重が入力されたとしても、前記基端側吸収部及び前記台座部の結合状態を堅固に維持することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用衝撃吸収具を備えることを要旨とする車両用バンパ装置。
同構成によれば、蛇腹変形に伴う衝撃エネルギーの吸収を効率的に行いつつ、軸方向に対し斜めから荷重が入力された際の横倒れを抑制することができる車両用衝撃吸収具を備えた車両用バンパ装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、蛇腹変形に伴う衝撃エネルギーの吸収を効率的に行いつつ、軸方向に対し斜めから荷重が入力された際の横倒れを抑制することができる車両用衝撃吸収具及び車両用バンパ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態を示す平面図。
【図2】同実施形態を示す分解斜視図。
【図3】同実施形態を示す平面図及び正面図。
【図4】断面形状に違いによるEA効率及び横倒れの傾向を示す説明図。
【図5】同実施形態の衝突態様を示す平面図
【図6】同実施形態の変形形態を示す分解斜視図。
【図7】同実施形態の変形形態を示す正面図。
【図8】従来形態を示す平面図。
【図9】蛇腹変形における各辺の長短による変形量と荷重との関係図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、自動車などの車両のフロント部分に適用される本実施形態に係る車両用バンパ装置を示す平面図である。同図に示されるように、車両幅方向両側には、例えば金属板からなり、断面略四角形の中空構造を有して車両前後方向に延びる一対のサイドメンバ11が配設されている。これらサイドメンバ11は、ボデーの一部を構成する。そして、各サイドメンバ11の前端には、周縁に沿って外側に延出するフランジ状の取付部11aが形成されている。この取付部11aの前端には、車両用衝撃吸収具としてのクラッシュボックス12が図示しない締結具(例えば、ボルト、ナット等)によって締結されるとともに、該クラッシュボックス12の前面には、車両幅方向に延在する、例えば金属板からなるバンパリインホース16の各端部16aが図示しない締結具(例えば、ボルト、ナット等)によって締結されている。
【0017】
図2は、クラッシュボックス12を示す分解斜視図である。同図に示されるように、クラッシュボックス12は、本体部13、台座部14、及び蓋部15を備えて構成されている。本体部13は、鉄系金属からなる断面略コ字状の一対の鉄プレス材20a,20bを車両幅方向に突き合わせてこれらをスポット溶接することで構成されており(スポット溶接による接合点は×印で図示)、車両前後方向に開口する。この本体部13(20a,20b)の四隅は、車両前後方向中間部から先端(車両前側)に向かうに従って幅広になるように略三角形状に面取りされている。そして、本体部13は、車両後側に略四角筒状をなす断面略一定の基端側吸収部21を形成するとともに、該基端側吸収部21に連続して車両前側に断面略八角筒状をなす先端側吸収部22を形成する。なお、基端側吸収部21は、断面における各辺が車両上下方向及び幅方向に延在するように配置されており、車両上下方向に延在する辺の長さは、幅方向に延在する辺の長さよりも短く設定されている。また、先端側吸収部22は、車両前後方向中間部から先端(車両前側)に向かうに従って断面の外形が徐々に縮小(縮開)されている。先端側吸収部22が、基端側吸収部21よりも多い角数を有して該基端側吸収部21の軸方向への投影面積内に収まっていることはいうまでもない(図3参照)。
【0018】
台座部14は、例えば金属板により前記取付部11aの外形に合わせて略四角板状に成形されており、その中央部に形成された略四角形の貫通孔の周縁に沿って車両前側に略四角筒状に突出する嵌合壁14aを有する。この嵌合壁14aは、その外壁面の形状が基端側吸収部21に合わせて成形されており、基端側吸収部21に嵌合されてスポット溶接によって固着される(スポット溶接による両者の接合点を×印でそれぞれ図示)。クラッシュボックス12は、台座部14において前記取付部11aに締結されている。
【0019】
一方、蓋部15は、例えば金属板により前記先端側吸収部22の前端の外形に合わせて略八角板状に成形されており、その周縁に沿って車両後側に略八角筒状に突出する縁部壁15aを有する。この縁部壁15aは、その内壁面の形状が基端側吸収部21の外壁面の形状に合わせて成形されており、先端側吸収部22に嵌合されてスポット溶接によって固着される(スポット溶接による両者の接合点を×印でそれぞれ図示)。クラッシュボックス12は、蓋部15において前記バンパリインホース16の端部16aに締結されている。
【0020】
このような構成にあって、車両の衝突等により前方から衝撃が加えられると、この衝撃は、バンパリインホース16及びクラッシュボックス12を介してサイドメンバ11(ボデー)に伝達される。このとき、クラッシュボックス12が蛇腹変形することで衝撃エネルギーを吸収する。本実施形態では、衝撃エネルギーの吸収特性に支配的な先端側吸収部22を、基端側吸収部21の軸方向への投影面積内に収め、且つ、該基端側吸収部21よりも多い角数を有する略八角筒状にしたことで、先端側吸収部22の軸圧縮時の荷重の落ち込みが低減され、EA効率が向上されている(図4、図9参照)。
【0021】
一方、図5に示されるように、車両が障害物Sに斜突するなど、クラッシュボックス12の軸方向に対し車両前方に向かって右側(例えば運転席側)寄りの斜めから荷重Fが入力されたとする。このとき、右側のクラッシュボックス12には車両幅方向外側寄りでは小さく、車両幅方向内側寄りでは大きな荷重が加わる。この車両幅方向の内側と外側との荷重差により、本体部13には、基端側吸収部21(嵌合壁14a)が支点となり車両幅方向内側に横倒れするようなモーメントMAが発生する。このとき、基端側吸収部21は、先端側吸収部22よりも断面の外形が拡大され、且つ、該先端側吸収部22よりも少ない角数を有する略四角筒状にしたことで、断面二次モーメントが増加している。これに加え、基端側吸収部21は、各辺が車両上下方向及び幅方向に延在するように配置されていることにより、同一断面形状を他の姿勢で配置した場合よりも車両幅方向の断面二次モーメントが増加している。これにより、右側のクラッシュボックス12は、基端側吸収部21(嵌合壁14a)を支点とする車両幅方向内側への横倒れが抑制される。そして、横倒れの抑制されたクラッシュボックス12は、前述の態様で蛇腹変形して衝撃エネルギーを吸収する。同様に、左側のクラッシュボックス12には車両幅方向外側寄りでは大きく、車両幅方向内側寄りよりでは小さな荷重が加わる。この車両幅方向の内側と外側との荷重差により、本体部13には、基端側吸収部21(嵌合壁14a)が支点となり車両幅方向外側に横倒れするようなモーメントMBが発生する。この場合であっても、左側のクラッシュボックス12は、上記に準じて基端側吸収部21(嵌合壁14a)を支点とする車両幅方向内側への横倒れが抑制される。
【0022】
また、各クラッシュボックス12の基端側吸収部21を略四角筒状にしたことにより、断面における各辺を比較的長く確保できる分、スポット溶接による該基端側吸収部21と台座部14(嵌合壁14a)とのスポット溶接の接合点が多く確保され、基端側吸収部21及び台座部14の結合強度が増加されている。これにより、クラッシュボックス12は、軸方向に対し斜めから荷重が入力されたとしても、本体部13(基端側吸収部21)と台座部14との結合状態が堅固に維持される。
【0023】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、クラッシュボックス12(13)は、車両衝突に伴う蛇腹変形態様、即ち衝撃エネルギーの吸収特性に支配的な先端側吸収部22を、基端側吸収部21の軸方向への投影面積内に収め、且つ、該基端側吸収部21よりも多い角数を有する略八角筒状にしたことで、断面における一辺長が短縮され、蛇腹変形時における各辺の座屈波長が短くなる。これにより、先端側吸収部22の軸圧縮時の荷重の落ち込みを低減して、エネルギー吸収効率を向上することができる。一方、基端側吸収部21は、先端側吸収部22よりも断面の外形が拡大され、且つ、該先端側吸収部22よりも少ない角数を有する略四角筒状にしたことで、相対的にその断面二次モーメントを増加することができる。これにより、車両が障害物Sに斜突するなど、軸方向に対し斜めから荷重が入力されたとしても、クラッシュボックス12は、サイドメンバ11側である基端側吸収部21(嵌合壁14a)を支点とする横倒れを抑制することができる。
【0024】
(2)本実施形態では、基端側吸収部21は、断面において車両上下方向及び幅方向に延びる辺を有することで、仮に同一の断面形状を有する多角筒を車両上下方向又は幅方向に頂点が突出するように配置した場合に比べて、車両幅方向の断面二次モーメントを大きくとることができる。従って、車両が障害物Sに斜突するなど、軸方向に対し斜めから荷重が入力されたとしても、クラッシュボックス12は、サイドメンバ11側である基端側吸収部21(嵌合壁14a)を支点とする横倒れを抑制することができる。
【0025】
(3)本実施形態では、基端側吸収部21を四角断面にすることで、断面における各辺を比較的長くできる分、スポット溶接による基端側吸収部21及び台座部14(嵌合壁14a)の接合点を多く確保することができる。よって、基端側吸収部21及び台座部14の結合強度を増加することができ、車両が障害物Sに斜突するなど、軸方向に対し斜めから荷重が入力されたとしても、基端側吸収部21及び台座部14の結合状態を堅固に維持することができる。また、従来行われているアーク溶接による接合に比べて、低コスト化を図ることもできる。
【0026】
(4)本実施形態では、クラッシュボックス12(13)は、鉄プレス材20a,20bは車両上下方向に重ねられる突き合わせ面をスポット溶接してなる。この場合、スポット溶接により鉄プレス材20a,20bの支えられる荷重が低下するため、その分、板厚を厚くする必要があるものの、断面における辺の長さが相対的に短い上下で接合したため、例えば断面における辺の長さが相対的に長い左右で接合する場合に比べてその荷重の低下を抑制することができ、必要な板厚量の増加を少なくすることができる。
【0027】
(5)本実施形態では、軸方向に対し斜めから荷重が入力された際、エネルギー吸収効率を向上するとともに、基端側吸収部21(嵌合壁14a)を支点とする横倒れを抑制することができるクラッシュボックス12を備えた車両用バンパ装置を提供することができる。
【0028】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図6及び図7に示すクラッシュボックス60を採用してもよい。すなわち、このクラッシュボックス60は、本体部61、台座部65及び蓋部66を備えて構成される。本体部61は、鉄系金属からなる断面略コ字状の一対の鉄プレス材61a,61bを車両幅方向に突き合わせてこれらをスポット溶接することで構成されており(スポット溶接による接合点は×印で図示)、車両前後方向に開口する。この本体部61(61a,61b)の車両幅方向の側面は、車両前後方向中間部から先端(車両前側)に向かうに従って軸線側に深くなるように凹設されている。そして、本体部61は、車両後側に略八角筒状をなす断面略一定の基端側吸収部62を形成するとともに、該基端側吸収部62に連続して車両前側に断面略16角筒状をなす先端側吸収部63を形成する。なお、基端側吸収部62は、断面における各辺が車両上下方向及び幅方向に延在するように配置されており、車両上下方向に延在する辺の長さは、幅方向に延在する辺の長さよりも短く設定されている。また、先端側吸収部63は、車両前後方向中間部から先端(車両前側)に向かうに従って断面の外形が徐々に縮小(縮開)されている。先端側吸収部63が、基端側吸収部62よりも多い角数を有して該基端側吸収部21の軸方向への投影面積内に収まっていることはいうまでもない(図7参照)。
【0029】
台座部65は、例えば金属板により前記取付部11aの外形に合わせて略四角板状に成形されており、その中央部に形成された略四角形の貫通孔の周縁に沿って車両前側に略四角筒状に突出する嵌合壁65aを有する。この嵌合壁65aは、その外壁面の形状が基端側吸収部62に合わせて成形されており、基端側吸収部62に嵌合されてスポット溶接によって固着される(スポット溶接による両者の接合点を×印でそれぞれ図示)。クラッシュボックス60は、台座部65において前記取付部11aに締結されている。
【0030】
一方、蓋部66は、例えば金属板により前記先端側吸収部63の前端の外形に合わせて略16角板状に成形されており、その周縁に沿って車両後側に略八角筒状に突出する縁部壁66aを有する。この縁部壁66aは、その内壁面の形状が基端側吸収部62の外壁面の形状に合わせて成形されており、先端側吸収部63に嵌合されてスポット溶接によって固着される(スポット溶接による両者の接合点を×印でそれぞれ図示)。クラッシュボックス60は、蓋部66において前記バンパリインホース16の端部16aに締結されている。
【0031】
・クラッシュボックス12は、基端側吸収部21が先端側吸収部22よりも相対的に断面形状における角数(辺数)が少なく且つ外形が大きい関係であればよい。すなわち、基端側吸収部21は、断面略一定の多角筒状であればその角数は任意である。同様に、先端側吸収部22は、車両前後方向中間部から先端(車両前側)に向かうに従って幅広になるように角部が略三角形状に面取りされ、あるいは車両前後方向中間部から先端(車両前側)に向かうに従って軸線側に深くなるように側面が凹設された多角筒状であればその角数は任意である。
【0032】
・本発明に係る衝撃吸収具を、例えばサイドメンバ11などその他の衝撃吸収用のフレームに適用してもよい。
・本発明は、車両のリヤ部分に適用してもよい。
【0033】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
・請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用衝撃吸収具において、
前記先端側吸収部は、前記基端側吸収部の角数の整数倍であることを特徴とする車両用衝撃吸収具。
【符号の説明】
【0034】
11…サイドメンバ、12、60…クラッシュボックス(車両用衝撃吸収具)、14,65…台座部、14a,65a…嵌合壁、16…バンパリインホース、16a…端部、21,62…基端側吸収部、22,63…先端側吸収部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両幅方向に延びるバンパリインホースの端部において、該バンパリインホースと車両前後方向に延びるサイドメンバとの間に介在され、軸圧縮荷重を蛇腹変形で吸収して衝撃エネルギーを吸収する車両用衝撃吸収具において、
前記サイドメンバ側に形成され、車両前後方向に開口する多角筒状の基端側吸収部と、
前記基端側吸収部に連続して前記バンパリインホース側に形成され、前記基端側吸収部の軸方向への投影面積内に収まるとともに、前記基端側吸収部よりも多い角数を有して車両前後方向に開口する多角筒状の先端側吸収部とを備えることを特徴とする車両用衝撃吸収具。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用衝撃吸収具において、
前記基端側吸収部は、断面において車両上下方向及び幅方向に延びる辺を有することを特徴とする車両用衝撃吸収具。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両用衝撃吸収具において、
前記基端側吸収部に固着されて前記サイドメンバと結合する台座部を備え、
前記基端側吸収部は、四角断面であり、
前記台座部は、前記基端側吸収部に嵌合して該基端側吸収部にスポット溶接にて接合される嵌合壁を有することを特徴とする車両用衝撃吸収具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用衝撃吸収具を備えることを特徴とする車両用バンパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−111113(P2011−111113A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271513(P2009−271513)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000100791)アイシン軽金属株式会社 (137)
【Fターム(参考)】